JP2532542B2 - 熱転写記録シ―ト - Google Patents

熱転写記録シ―ト

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JP2532542B2 JP62333731A JP33373187A JP2532542B2 JP 2532542 B2 JP2532542 B2 JP 2532542B2 JP 62333731 A JP62333731 A JP 62333731A JP 33373187 A JP33373187 A JP 33373187A JP 2532542 B2 JP2532542 B2 JP 2532542B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (A)産業上の利用分野 本発明は熱転写記録シートに関する。詳しくは、表面
平滑性の低い記録媒体に対して良好な転写記録像を記録
することが出来る熱転写記録シートに関する。
(B)従来の技術 近年、サーマルプリンター、サーマルファクシミリ等
を用いて普通紙に転写画像を形成させる熱転写記録は盛
んに開発されてきている。この熱転写記録は装置の機構
が簡単なため保守が容易で、かつ価格及び維持費が低い
こと、また低エネルギーで鮮明かつ堅牢な記録が出来る
こと、さらに多色のインクシートを用いることにより比
較的容易にカラー記録が可能であること等から最近広く
使用されている。
特にモノクロタイプの熱転写記録シートはサーマルプ
リンターの普及により使用量は増大している。
従来の熱転写記録シートを用いた場合、使用する記録
媒体、即ち通常普通紙と呼ばれている紙は紙の表面平滑
度の高いものが適している。紙の表面平滑性は通常JIS
P8119に定めるベック(BEKK)の平滑度(秒)で表わ
されるが、この平滑度で表わすならば、200秒程度の紙
が適していることになる。
しかしながら、表面平滑性の低い紙、例えば、20〜30
秒のPPC用紙やフォーム用紙、10秒以下のボンド紙のよ
うな紙を用いる場合、従来の熱転写記録シートでは印字
品位の高い鮮明な転写画像を得ることは出来ない。
このような表面平滑性の低い紙に対応する熱転写記録
シートに関しては種々の公知技術がある。
例えば、加熱時の熱溶融性インクの流動性を向上させ
ることによって普通紙の粗面部の凹部に流入させる方法
がある。即ち、特開昭60−161196号公報のように高沸点
炭化水素系溶剤又は高沸点ハロゲン化炭化水素系溶剤を
熱溶融性インク中に添加する方法を開示している。
又、熱溶融性インク中に熱分解性発泡剤を加えて転写
時に発生するガスの押圧力により普通紙の粗面部の凹部
にインクを付着あるいは浸透させる方法がある。即ち、
特開昭59−201893号公報のように加熱時分解する物質と
して重炭酸塩、炭酸塩、亜硝酸塩などの無機化合物、あ
るいはニトロソ系又はスルホニルヒドラジド系有機化合
物を添加する方法を開示している。
さらに、転写層を2層構造とするもので、基材に近い
面に着色剤を含まない中間層を、そしてその上に熱溶融
性インクを設けることにより加熱後の転写で粗面部の凸
部でもって橋懸けさせる方法がある。即ち、特開昭62−
9991公報のように中間層として過冷却性のある材料、例
えばジシクロヘキシルフタレート、ベンゾトリアゾー
ル、アセトアニリドなどを用いる方法を開示している。
(C)発明が解決しようとする問題点 上記の従来技術で引用した特許公報では種々の問題点
がある。
例えば、流動性を向上させる熱溶融性インクでは転写
性は向上するが転写画像は取り扱い時の摩擦やこすれに
対して汚れるという問題が生じる。又、熱分解性発泡剤
を添加する方法では適する転写条件を見い出すことは難
しく転写時に発生するガスも小さい。特にホットメルト
型の熱溶融性インクを基材に塗設する場合には好ましく
ない。
さらに、転写層を2層構造とする方法では目的とする
表面平滑性の低い記録媒体に転写するのには適している
が、好適な融点で過冷却性をもつ素材に限定されること
である。
(D)問題点を解決するための手段 本発明は、従来の欠点を解決し表面平滑性の低い記録
媒体に対しても印字品位の高い鮮明なる転写画像を記録
することの出来る熱転写記録シートを提供するものであ
る。
即ち、本発明による熱転写記録シートは、基材上に離
型層及び熱溶融性インク層を順次塗設してなる熱転写記
録シートにおいて、該熱溶融性物質と基材との接着力が
5〜100g/25mmであり、かつ常温時(20℃)よりも加熱
時(80℃)の方が小さい値であることを特徴とするもの
である。
上記接着力はJIS K6854で規定される180゜剥離接着
強さ試験法に準拠して測定したものであり、180゜剥離
接着強さ試験法とは、試験片(基材)へ該熱溶融性物質
を130〜180g/m2塗布し、試験片同志を塗布面で貼り合わ
した後、ハンドローラーを用いて5kgの荷重をかけ、長
さ方向に往復しないように5回繰り返し圧着した後、常
温で48時間放置後ロードセル型剥離試験機を使用して毎
分200±20mmの移動速さで180゜剥離を行うものである。
本発明では、上記試験方法に準拠し、測定するもので
あるが、具体的には、離型層として熱溶融性物質を基材
上に塗工し、(例えば水性分散液として用いる)塗布後
直ちにその塗工面と非塗工の基材とを貼り合わした後、
規定量の荷重をかけて圧着し、120℃雰囲気で10分間放
置する。接着後、室温で10分間放置したのち、25mm巾に
スリットしたものを試験片として使用するものである。
本発明において、熱溶融性物質と基材との接着力は5
〜100g/m2に規定するが、100g/25mm以上では接着力が大
きすぎて本発明の目的とする表面平滑性の低い記録媒体
に良好な印字像を得ることができない、又、5g/25mm以
下では熱転写記録シートを取り扱う場合に基材からはが
れるという欠点がある。
更には、基材がポリエステルフィルムであることを特
徴とするものである。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の熱転写記録シートは基材の片面に離型層を塗
設し、さらにその上に熱溶融性インク層を塗設した2層
構造からなるものである。基材の熱溶融性インク層側と
普通紙とを重ね、基材の反対面よりサーマルヘッドを用
いて加熱印字すると普通紙面に転写による印字像を得る
ことができる。この場合、印字像は基材から離型層と熱
溶融性インクが共に転写された状態のものとなる。即
ち、離型層の接着性は基材よりも熱溶融性インク層との
間の方が高く、それ故に基材との間で剥離することにな
る。本発明の熱転写記録シートでは上記の様に基材から
離型層及び熱溶融性インク層の両層が剥離し、普通紙に
転写されることで普通紙、特に表面平滑性の低い紙に印
字品位の高い鮮明なる転写画像を得るという目的及び効
果をもつものである。
即ち、本発明の目的は、基材から離型層及び熱溶融性
インク層の両層を剥離させることである。
サーマルヘッドからの熱により基材と接している離型
層は容易に熱溶融性インクと共に普通紙へ転写する。
このことにより表面平滑性の低い紙に対しても鮮明な
る転写画像を得ることができるのである。
本発明の熱転写記録シートは普通紙と重ねてサーマル
ヘッドにより加熱印字される離型層共々普通紙に転写画
像を形成するが、熱溶融性インクは加熱により溶解して
普通紙の粗面に浸透又は接着し、付随する離型層はイン
クに伴って転写する。このとき、離型層は粗面の凹凸部
における谷間にまたがって橋懸けを生ずることにより印
字に鮮明さを与えると考えられる。
上述したように、本発明において、基材と離型層との
間の剥離性は、基材と離型層との間の接着力をもって表
わし、その接着力に依存することを見い出したのであ
る。即ち、常温(20℃)に於ける接着力より加熱時(80
℃)の接着力を小さくすることで、本発明の目的が達成
されるのである。本発明で常温と加熱時の接着力の差が
大きい程、と言うことは加熱時に於ける基材と離型層と
の間の接着力が小さいことであるが、これは常温におい
て、基材と離型層は接着性に優れ、又、加熱時には離型
層は基材からの剥離性に優れることになる。
このような理由に基づいて本発明の熱転写記録シート
は目的とする表面平滑性の低い記録媒体に対して印字品
位の高い鮮明なる転写画像を得ることが出来るものであ
る。
次に、使用する素材等につき、さらに具体的に説明す
る。
基材としては、コンデンサ紙、タイプライター用紙、
トレーシングペーパー等の薄紙、合成紙、セロハン紙、
更にはポリエステルフィルム、ポリイミドフィルム、ポ
リエチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、テフ
ロンフィルム等の合成樹脂フィルムをそのまま又はサー
マルヘッドに粘着しないように耐熱処理加工をして使用
される。
これら例示したうち、本発明の目的には特に、ポリエ
ステルフィルムが好ましい。
本発明の離型層に用いられる材料としては、合成樹脂
が挙げられる。例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステ
ル系樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリア
クリル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹
脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、
石油系樹脂、テルペン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポ
リオレフィン系樹脂、およびエラストマー類等を挙げる
ことができる。
さらに、本発明の範囲内において例えば、ワックス類
等の熱溶融性物質を用いても良い。又、単独でも併用で
も何ら限定するものではない。
本発明の離型層は、上述した各種材料を水性系、溶剤
系又はホットメルト系として基材に塗設するが、塗工又
は印刷の方法について如何なる方法でも良い。
離型層の塗工厚は、0.25〜10μm、好ましくは0.5〜
5μm、更に好ましくは1〜3μmである。
又、離型層の上に塗設する熱溶融性インク層の塗工厚
は、1〜15μm、好ましくは2〜10μm、更に好ましく
は4〜7μmである。
本発明の熱溶融性インク層に用いられるインクは、熱
溶融性物質、着色剤、バインダー、柔軟剤等より構成さ
れるが、使用に当っては必要に応じて使いわけられる。
熱溶融性物質には、以下に代表的なものを例示する
が、これ等に限定されるものではない。
ワックス類としては、例えば、ライスワックス、木ろ
う、キャンデリラワックス、カルナウバワックス等の植
物系ワックス、ラノリン、密ろう、鯨ろう、セラックろ
う等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライ
ト、セレシン等の鉱物系ワックス、パラフィンワック
ス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワック
ス、酸化パラフィンワックス、低分子ポリエチレン等の
合成炭化水素系ワックス、リシノール酸アマイド、ラウ
リン酸アマイド、エルカ酸アマイド、パルミチン酸アマ
イド、オレイン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、エ
チレンビスステアリン酸アマイド等の脂肪酸アマイドワ
ックスを挙げることができる。
金属石鹸としては、ステアリン酸ナトリウム、パルミ
チン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸
カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシ
ウム等の高級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。
樹脂類としては、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系
樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアクリ
ル系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、
セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、石油
系樹脂、テルペン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオ
レフィン系樹脂、およびエラストマー類等を挙げること
ができる。
着色剤には水溶性染料、油溶性染料、分散染料、有色
顔料等の洗顔料があるが、必要に応じて使いわけられ
る。以下、具体的に例示するが、これらに限定されるも
のではなく、2種以上の併用でも良い。
水溶性染料としては、ニトロソ染料、アゾ染料(モ
ノ、ビス、トリス、テトラキスアゾ染料)、スチルベン
アゾ染料、ケトイミン(ジフェニルメタン)染料、トリ
フェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染
料、キノリン染料、メチン染料、ポリメチン染料、チア
ゾール染料、インダミン染料、アジン染料、チアジン染
料、オキシケトン染料、アントラキノン染料、フタロシ
アニン染料などを挙げることができる。
油溶性染料としては、アゾ染料、アゾ金属錯塩染料、
アントラキノン染料、およびフタロシアニン染料を挙げ
ることができる。さらに具体的に例示すると、アゾ染料
としてはソルベントエロー2(C.I.11020、以下カット
内はC.I.No.を示す)ソルベントオレンジ1(11920)、
ソルベントレッド24(26105)、ソルベントブラウン3
(11360)などが、アゾ金属錯塩染料としては、ソルベ
ントエロー19(13900A)、ソルベントオレンジ5(1874
5A)、ソルベントレッド8(12715)、ソルベントブラ
ウン37、ソルベントブラック123(12195)などが、アン
トラキノン染料としては、ソルベントバイオレット13
(60725)、ソルベントブルー11(61525)、ソルベント
グリーン3(61565)などが、フタロシアニン染料とし
てはソルベントブルー25(74350)などがある。
分散染料としては、アミノアゾまたはアミノアントラ
キノン染料、ニトロアリールアミン染料等を挙げること
ができる。さらに具体的に例示するとアミノアゾ染料と
してはディスパーズエロー3(C.I.11855、以下カッコ
内はC.I.No.を示す)、ディスパーズオレンジ3(1100
5)、ディスパーズレード1(11110)、ディスパーズバ
イオレッド24(11200)、ディスパーズブルー44などが
ある。アミノアントラキノン染料としてはディスパーズ
オレンジ11(60700)、ディスパーズレッド4(6075
5)、ディスパーズバイオレッド1(61100)、ディスパ
ーズブルー3(61505)などがある。
ニトロアリールアミン染料としてはディスパーズエロ
ー1(10345)および42(10338)などがある。
有色顔料としては、アゾ顔料(モノアゾ、ビスアゾ、
縮合アゾ顔料)、染色レーキ顔料(酸性染料レーキ、塩
基性染料レーキ、媒染染料レーキ顔料)、ニトロ顔料、
ニトロソ顔料、フタロシアニン顔料、高級顔料(建染染
料系顔料、金属錯塩顔料、ペリレン顔料、イソインドリ
ノン顔料、キナクリドン顔料)などを挙げることができ
る。さらに具体的に例示すると、アゾ顔料としてはハン
ザエローG(C.I.11680、以下カッコ内はC.I.No.を示
す)、ハンザエローR(12710)、ピラゾロンレッドB
(21120)、パーマネントレッドR(12085)、レーキレ
ッドC(15585)、ブリリアントカーミン6B(15850)、
パーマネントカーミンFB(12490)(以上モノアゾ顔
料)、ベンジジンエローG(21090)、ベンジジンエロ
ーGR(21100)、パーマネントエローNCR(20040)(以
上ビスアゾ顔料)、クロモフタルイエロー、クロモフタ
ルレッド(以上縮合アゾ顔料)などがある。染色レーキ
顔料としては、キノリンエローレーキ(47005)、エオ
シンレーキ(45380)、アルカリブルーレーキ(42750
A、42770A)(以上酸性染料レーキ顔料)、ローダミン
レーキB(45170)、メチルバイオレットレーキ(4253
5)、ビクトリアブルーレーキ(44045)、マラカイトグ
リーンレーキ(42000)(以上塩基性染料レーキ顔
料)、アリザリンレーキ(58000)(媒染染料レーキ顔
料)などがある。ニトロ顔料としてナフトールエローS
(10316)、ニトロソ顔料としてピグメントグリーンB
(10006)、ナフトールグリーンB(10020)、フタロシ
アニン顔料としては、無金属フタロシアニンブルー(74
100)、フタロシアニンブルー(74160)、フタロシアニ
ングリーン(74260)などがある。高級顔料としては、
アンスラピリミジンエロー(68420)、インダンスレン
ブリリアントオレンジGK(59305)、インダスレンブル
ーRS(69800)、チオインジゴレッドB(73300)(以上
建染染料系顔料)、ニッケルアゾエロー(12775)金属
錯塩顔料)、ペリレンレッド(71140)、ペリレンスカ
ーレット(71137)(以上ペリレン顔料)、イソインド
リノンエロー(イソインドリノン顔料)、キナクリドン
レッドY(46500)、キナクリドンマゼンタ(73915)な
どがある。
また、黒色顔料として、カーボンブラック(C.I.7726
5)がある。
バインダーは、水溶性バインダー、非水溶性バインダ
ーのいずれも使用できる。
このような、バインダーの具体例を以下に例示するが
これらに限定されるものではなく、2種以上を併用して
もよい。
バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコー
ル、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴ
ム、でん粉及びその誘導体、カゼイン、ポリビニルピロ
リドン、ブチラール樹脂、エチレンエチルアクリレー
ト、スチレン・ブタジエン共重合体、酢酸ビニル樹脂、
酢酸ビニル系共重合体、アクリル樹脂、メチルメタアク
リル樹脂、スチレン・アクリロニトリル樹脂、エチレン
−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、石油樹脂な
どを挙げることができる。
柔軟剤としては、鉱油、ジブチルフタレート、ジオク
チルフタレート、ミネラルスピリット、流動パラフィン
等を挙げることができる。
以上に挙げた熱溶融性物質、着色剤、バインダー、柔
軟剤の他に添加剤、例えば、界面活性剤、分散剤、帯電
防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加してもよ
い。
凹部の離型層及び熱溶融性インク層を基材に塗工する
ため使用される塗工機はホットメルトコーター、エター
ナイフコーター、ロールコーター、ブレードコーター、
バーコーター、等の公知のコーター、又、フレキソ法、
グラビア法等による公知の印刷機も使用され得る。
なお、溶剤塗工については、一般の溶剤で可能である
が例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアル
コール、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、酢
酸エチルなど適宜使用し得る。
(E)作用 本発明による熱転写記録シートは、基材の片面に離型
層及び熱溶融性インク層を順次塗設してなるものであ
る。該離型層は熱溶融性物質からなり、JIS K6854で規
定される180゜剥離接着強さ試験法によって表わされる
該熱溶融性物質と基材との接着力が5〜100g/25mmであ
り、かつ常温時(20℃)よりも加熱時(80℃)の接着力
が小さいことを特徴とするものである。
このような特徴をもつ本発明の熱転写記録シートは、
表面平滑性の低い記録媒体に対して印字品位の高い、鮮
明なる転写画像を得ることができると言う作用をもつ。
更に、本発明の熱転写記録シートは、サーマルヘッド
による加熱印字に於て、離型層及び熱溶融性インク層が
共々転写されるため、記録媒体上に転写された熱溶融性
インク離型層で被われることにより耐摩耗性のある転写
画像を得ることができるという作用がある。
以下、実施例を挙げて具体的に本発明を説明する。
尚、実施例中の「部」は重量部を示す。
(F)実施例 実施例1 耐熱処理層を塗設した厚さ5.4μmのポリエステルフ
ィルムの非塗工面に熱溶融性物質からなる離型層を塗工
厚2μmとなるようにロールコーターを用いて塗工し
た。熱溶融性物質として常温時(20℃)において接着力
が54g/25mm、加熱時(80℃)において接着力が33g/25mm
であるポリエステル樹脂のエマルジョンを用いた。
続いて、離型層の上に下記配合による熱溶融性インク
を用いてホットメルトコーターにより塗工厚4μmとな
るように熱溶融性インク層を塗工し熱転写記録シートを
得た。
カーボンブラック 15部 エチレン−酢ビ共重合体 5部 石油樹脂 10部 ポリエチレンワックス 30部 150゜Fパラフィンワックス 40部 このようにして得られた熱転写記録シートをリボン状
にスリットしてBEKK平滑度10秒の受像紙(三菱製紙
(株)製、商品名スピカボンド紙)に市販の熱転写プリ
ンター(キャノン(株)製、商品名タイプスター5)に
て印字したところ、受像紙には鮮明かつ耐摩耗性のある
転写画像を得ることができた。
実施例2〜4 実施例1で用いたポリエステル樹脂に代えて、表1に
示す離型層素材を用い、実施例1と同一の熱溶融性イン
クを塗工して熱転写記録シートを得、実施例1と同様に
して印字した。併せて、基材との接着性、印字性、耐摩
耗性の評価結果を表1に示した。
比較例1〜3 実施例1で用いたポリエステル樹脂に代えて、表1に
示す離型層素材を用い、実施例1と同一の熱溶融性イン
クを塗工して熱転写記録シートを得、実施例1と同様に
して印字した。併せて、基材との接着性、印字性、耐摩
耗性の評価結果を表1に示した。
比較例4 実施例1に於る離型層を省き、実施例1と同様の熱溶
融性インク層のみを塗工して熱転写記録シートを得、実
施例1と同様にして印字した。併せて、基材との接着
性、印字性、耐摩耗性の評価結果を表1に示した。
評価方法; 基材との接着性 熱転写記録シートを10回手でもんで基材からの離型層
及び熱溶融性インク層のはがれを観察した。
印字性 BEKK平滑度10秒の受像紙に市販の熱転写プリンター
(キャノン(株)製、商品名、タイプスター5)にてテ
ストパターンを印字し目視による観察を行った。
耐摩耗性 市販の紙粘着テープ(住友スリーエム(株)商品名、
post−it)の非粘着面に100g/cm2の荷重をかけ被印字面
を5回擦り、その汚れの度合を観察した。
表1から明らかなように、本発明の範囲内にある熱溶
融性物質からなる離型層を有する熱転写記録シートは、
BEKK平滑度10秒の受像紙に対して良好な印字品質を与え
ることが判る。
比較例1では、熱溶融性物質として120゜Fパラフィ
ンワックスを用いた離型層は、接着力において常温(20
℃)で小さく基材への接着力に劣っており、また十分な
印字性、耐摩耗性も得られないことが判る。
比較例2および3は、接着力において本発明の範囲外
にあり、本発明の範囲から大きくはずれるほど、十分な
印字性が得られないことが判る。
比較例2は、離型層を省き、熱溶融性インク層のみを
塗工した熱転写記録シートであり、受像紙に対する印字
性及び被印字面の耐摩耗性は十分でないことが判る。
(G)発明の効果 以上の通り、本発明の熱転写記録シートは、表面平滑
性の低い紙に対して印字品位の高い、鮮明なる転写画像
を得ることができ、更には耐摩耗性を有する転写画像を
得ることができるものであり、本発明の熱転写記録シー
トは工業的意義が極めて高いものである。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は本発明による熱転写記録シートの構
成を示す図である。なお、第1図では耐熱処理層を熱溶
融性インク層とは反対面に備えた構成図であり、第2図
は耐熱処理層を備えてない構成図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−68786(JP,A) 特開 昭61−78692(JP,A) 特開 昭60−236790(JP,A) 特開 昭60−189492(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材上に離型層および熱溶融性インク層を
    順次塗設してなる熱転写記録シートにおいて、該離型層
    が熱溶融性物質からなり、JIS K6854で規定される180
    ゜剥離接着強さ試験法によって表わされる該熱溶融性物
    質と基材との接着力(g/25mm)が5〜100g/25mmであ
    り、かつ常温時(20℃)よりも加熱時(80℃)の接着力
    が小さいことを特徴とする熱転写記録シート。
  2. 【請求項2】該基材がポリエステルフィルムであること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の熱転写記録シ
    ート。
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