JP2530448Y2 - 釣竿の穂先 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は釣竿の穂先に関する。

（従来の技術） 一般に釣竿の穂先は、その先端部に例えばリリアンか
ら成る結糸具を取付けて、該結糸具に釣糸を結んで用い
るようにしているが、釣糸が釣竿に絡み付いた場合に
は、その都度釣竿全体を釣糸の絡みが解消される方向に
回転させる必要があり、非常に面倒である。

しかして懸かる不具合を解消するために従来において
は例えば実開昭47−7387号公報に開示され且つ第２図に
概略的に示した如く、穂先（Ｈ）の先端部外周に嵌合す
る嵌合孔（Ａ）を備えた嵌合筒部（Ｂ）と該嵌合筒部
（Ｂ）の長さ方向一端から該筒部（Ｂ）と同軸状に延び
且つ外径が前記嵌合筒部（Ｂ）の外径よりも小径とした
小径軸部（Ｃ）とから成る支持体（Ｄ）と、結糸具
（Ｅ）を備えた回転筒（Ｆ）とを形成して、該回転筒
（Ｆ）を前記小径軸部（Ｃ）に回転自由に挿嵌すると共
に、前記小径軸部（Ｃ）の先端部に前記回転筒（Ｆ）の
抜け止め部（Ｇ）を設け、該抜け止め部（Ｇ）と前記嵌
合筒部（Ｂ）の端縁との間で、前記回転筒（Ｆ）の軸方
向移動を規制するように成す一方、前記支持体（Ｄ）を
前記嵌合孔（Ａ）を介して穂先（Ｈ）の先端部外周に嵌
合固定し、釣糸が釣竿に絡んだ場合、釣竿を引張るだけ
で前記回転筒（Ｆ）が穂先（Ｈ）に対して回転して、釣
糸の絡みを解消できるようにしたものが提案されてい
る。

（考案が解決しようとする課題） ところが、以上の構造のものでは、支持体における前
記嵌合筒部（Ｂ）と小径軸部（Ｃ）との境界に、前記回
転筒（Ｆ）の前記小径軸部（Ｃ）に対する軸方向移動を
規制する段部（Ｉ）を設ける必要があり、また前記嵌合
筒部（Ｂ）に穂先（Ｈ）を嵌める嵌合孔（Ａ）を必要と
することから、前記支持体（Ｄ）の構造が非常に複雑で
あり、従って、例えば該支持体（Ｄ）を合成樹脂より成
形する場合、その金型の構造が複雑となってコスト高の
要因となる。

又、前記支持体（Ｄ）における嵌合筒部（Ｂ）の端面
と穂先外周面との間に段差ができるため、この段差をな
くするための特別の手立が必要であり、より一層コスト
高となる問題があった。

本考案は以上の実情に鑑みて開発したもので、目的と
するところは、穂先の先端面を回転筒の軸方向移動を規
制する規制面として利用して、回転筒を支持する支持部
材を単純な形状とすることが出来ると共に、穂先本体の
外周に段差ができないようにすることができる釣竿の穂
先を提供するにある。

（課題を解決するための手段） 本考案は、先端を開放した中空の穂先本体（１）の先
端部内側に、前記穂先本体（１）の先端面（12）よりも
外方に突出する軸体（２）を嵌合して固定し、 この軸体（２）の穂先本体（１）に対する突出部外周
に柔軟性の結糸具（５）を保持した回転筒（３）を回転
自由に支持すると共に、 前記軸体（２）の先端部に、前記穂先本体（１）の先
端面（12）との間で前記回転筒（３）の前方軸方向移動
を規制する第１規制手段（24）を設け、かつ前記回転筒
（３）の後方軸方向移動を規制する手段として、前記穂
先本体（１）の先端面（12）を第２規制手段（12）と
し、 前記軸体（２）における第１規制手段（24）又は第２
規制手段と前記回転筒（３）の端縁との間のいずれか一
方に、前記回転筒（３）の回転性を高めるワッシャ
（４）を遊動可能に介装して なる釣竿の穂先である。

（作用） 本考案によれば、穂先本体（１）の先端面が回転筒
（３）の軸方向移動を規制するので、前記軸体（２）に
前記回転筒（３）が穂先本体（１）側に移動するのを規
制するための段差等を設ける必要がなくなり、そのため
前記軸体（２）の形状が簡素となるのである。

又、穂先本体（１）内に軸体（２）を嵌合する構造で
あるから、穂先本体（１）の外周に段差はできないので
ある。

（実施例） 図において、（１）は釣竿の穂先を構成する中空状の
穂先本体であって、この穂先本体（１）は、高強度繊維
に合成樹脂を含浸してなるプリプレグを円筒状に巻回し
た後、加圧焼成して先端に向って細くなるパイプ状に形
成したものであって、該穂先本体（１）の内部空間（1
0）を、該穂先本体（１）の先端で開口させる一方、図
に示す実施例では、該穂先本体（１）の先端部内周面
に、前記内部空間（10）の開口に向ってわずかにテーパ
状に拡径する嵌合面（11）を形成している。

しかして図に示す実施例では、前記穂先本体（１）の
内部空間（10）内に挿嵌可能な断面円形とした棒状の軸
体（２）を別途形成して、該軸体（２）の長さ方向中間
部に、前記嵌合面（11）に密嵌可能なテーパ状嵌合部
（21）を形成すると共に、該嵌合部（21）を挾んでその
長さ方向一端側には、前記内部空間（10）に挿入する挿
入軸部（22）を、また長さ方向他方側には前記挿入軸部
（22）の外径よりわずかに大径の外径とした支持軸部
（23）をそれぞれ設けて、該支持軸部（23）の先端部
に、該支持軸部（23）の外径よりも大径の抜け止部（2
4）を一体に設ける一方、前記挿入軸部（22）側から前
記支持軸部（23）上に、例えばアルミニウム製のパイプ
材からなる円筒状の回転筒（３）と、この回転筒（３）
の長さ方向両端と対向する一対のジュラコン樹脂製ワッ
シャ（４）を遊挿し、前記回転筒（３）の外周にリリア
ンから成る柔軟性の結束具（５）を接着剤で固着してい
る。

そして斯くの如く回転筒（３）を支持した前記軸体
（２）の挿入軸部（22）とテーパ状嵌合部（21）の外周
面に接着剤（Ｔ）を塗布した後、前記挿入軸部（22）を
前記穂先本体（１）の先端開口から前記内部空間（10）
内に挿入して、前記テーパ状嵌合部（21）を前記嵌合面
（11）に嵌合させることで、該軸体（２）を前記穂先本
体（１）の先端部に固着すると共に、前記抜け止部（2
4）と前記穂先本体（１）の先端面（12）とで前記回転
筒（３）の軸方向移動を規制するように成している。

ジュラコン樹脂製のワッシャ（４）を設けることによ
り、前記回転筒（３）の回転性を高めることができる。
又、このワッシャ（４）を設ける場合、先側のワッシャ
（４）は、第１図の如く前記抜け止部（24）の外径より
も大径に形成して、このワッシャ（４）の外周面で前記
結糸具（５）を受止め、この結糸具（５）が前記抜け止
部（24）の先端、又は、軸体（２）の先端に接触するの
を防止するのが好ましい。斯くすることにより、前記結
糸具（５）が前記抜け止部（24）先端縁及び軸体（２）
先端縁とこすれて擦切れるのを防ぐことができるのであ
る。

斯くして前記結糸具（５）に結んだ釣糸（図示せず）
が釣竿に絡んだ場合には、釣糸を引張るだけで、前記回
転筒（３）が前記支持軸部（23）上で回転して、釣糸の
絡みが解消されるのである。

以上の実施例では、前記軸体（２）を中実の棒状とし
たが、筒状に形成してもよい。又、抜け止部（24）を一
体に設けた軸体（２）を用いたが、その他、前記抜け止
部（24）を有しない軸体を用い、この軸体の先端部に、
リング等の抜止体を接着剤などの固定手段で固定すると
か、或いは糸を巻いて抜け止部を形成してもよいのであ
って、前記回転筒（３）の軸方向移動を規制する規制手
段の構成は特に制限されるものでない。

また、前記回転筒（３）は、ステンレスパイプやカー
ボンパイプから形成してもよい。

（考案の効果） 以上の如く本考案によれば、軸体における規制手段と
回転筒の後縁との間に、回転筒の回転性を高めるワッシ
ャを遊動可能に設けたので、釣り仕掛けなどの荷重によ
り穂先本体が撓み、結糸具を保持した回転筒が規制手段
側に移動しても、規制手段の構成に関係なく回転筒の回
転性を良好にできる効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案にかゝる穂先の一実施例を示す要部の一
部切欠側面図、第２図は従来の穂先の一例を示す概略断
面図である。 （１）……穂先本体 （２）……軸体 （３）……回転筒 （24）……抜け止部（規制手段）

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】先端を開放した中空の穂先本体（１）の先
   端部内側に、前記穂先本体（１）の先端面（12）よりも
   外方に突出する軸体（２）を嵌合して固定し、 この軸体（２）の穂先本体（１）に対する突出部外周に
   柔軟性の結糸具（５）を保持した回転筒（３）を回転自
   由に支持すると共に、 前記軸体（２）の先端部に、前記穂先本体（１）の先端
   面（12）との間で前記回転筒（３）の前方軸方向移動を
   規制する第１規制手段（24）を設け、かつ前記回転筒
   （３）の後方軸方向移動を規制する手段として、前記穂
   先本体（１）の先端面（12）を第２規制手段（12）と
   し、 前記軸体（２）における第１規制手段（24）又は第２規
   制手段と前記回転筒（３）の端縁との間のいずれか一方
   に、前記回転筒（３）の回転性を高めるワッシャ（４）
   を遊動可能に介装して なる釣竿の穂先。