JP2529771B2 - ロ―プレスリニアモ―タエレベ―タ― - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 請求項（１）及び（２）に係る発明は、それぞれリニ
アモータの推進力によりロープを介さずかごが昇降路内
を昇降するロープレスリニアモータエレベーターに関す
るものである。

［従来の技術］ 第４図は例えば実開昭62−136476号公報に示されたも
のと同様の従来のロープレスリニアモータエレベーター
を示す構成図である。

図において、昇降路（１）の両側壁には、それぞれ上
下方向に沿って複数のコイル（２）が配列されていると
ともに、上下方向に延びるレール（３）が設けられてい
る。このレール（３）に沿って昇降路（１）内を昇降す
るかご（４）の両側面には、それぞれ複数の永久磁石
（５）がコイル（２）に対向するように設けられてい
る。

上記のような従来のロープレスリニアモータエレベー
ターでは、コイル（２）及び永久磁石（５）により同期
式リニアモータが構成されており、このリニアモータの
推進力によりかご（４）がレール（３）に沿って昇降す
る。

［発明が解決しようとする課題］ 上記のように構成された従来のロープレスリニアモー
タエレベーターにおいては、故障等により推進力が異常
に減少した場合に、非常制動をかける装置を有していな
いため、安全性が不十分であるという問題点があった。
また、ロープが切れた場合の確実な非常止装置が発明さ
れてからロープ式エレベーターが広く実用化されるよう
になったことからも明らかなように、上記のように安全
性が不十分な従来のロープレスリニアモータエレベータ
ーは、実用化が困難であるという問題点があった。

請求項（１）及び（２）に係る発明は、上記のような
問題点を解決することを課題としてなされたものであ
り、推進力が異常に減少した場合に即座にかごを停止さ
せることができ、これにより安全性を高めることがで
き、かつ実用性を十分に高めることができるロープレス
リニアモータエレベーターを得ることを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 請求項（１）に係る発明のロープレスリニアモータエ
レベーターは、レールに対して接離自在にかごに設けら
れたブレーキシューと、このブレーキシューをレール側
に付勢する付勢手段と、推進体に所定値以上の推進力が
生じるとブレーキシューをレールから引き離す操作部材
とを有する制動装置をかごに設けたものである。

請求項（２）に係る発明のロープレスリニアモータエ
レベーターは、推進力の有無によって機械的にブレーキ
をかける制動装置と、電気的に操作されてブレーキをか
ける電磁ブレーキとをかごに設け、かごの起動時には、
制動装置を解除してから電磁ブレーキを解除し、かごの
停止時には、電磁ブレーキによりかごが停止してから制
動装置によりブレーキをかけるようにしたものである。

［作用］ 請求項（１）に係る発明においては、通常運転又は非
常時に推進体の推進力がなくなると、制動装置がかごを
停止させる。

請求項（２）に係る発明においては、かごの起動時に
は、制動装置が解除されてから電磁ブレーキを解除し、
かごの停止時には、電磁ブレーキによりかごを停止させ
てから制動装置によりブレーキをかける。

［実施例］ 以下、各発明の実施例を図について説明する。第１図
は各発明の一実施例によるロープレスリニアモータエレ
ベーターを示す要部構成図である。

図において、かご（11）は、従来同様、昇降路（図示
せず）に設けられたレール（12）に沿って昇降する。か
ご（11）の上部には、制動装置（13）を介して推進体
（14）が取り付けられている。この推進体（14）は、昇
降路に設けられたコイル（図示せず）に対向する永久磁
石（図示せず）を有しており、これらのコイル及び永久
磁石で構成されるリニアモータの推進力によりかご（1
1）が昇降する。また、制動装置（13）は、推進体（1
4）が推進力が生じていないときにブレーキをかけ、推
進力が生じているときにはブレーキを解除するようにな
っている。

一方、かご（11）の下部には、電磁ブレーキ（15）が
取り付けられている。この電磁ブレーキ（15）には、電
磁コイル（16）が設けられており、この電磁コイル（1
6）の電磁力によりブレーキが解除されるようになって
いる。また、電磁コイル（16）は、接点（Ａ）を介して
電源（Ｅ）に接続されており、この接点（Ａ）を閉じる
ことにより電磁コイル（16）が励磁される。

次に、第２図は第１図の制動装置（13）を示す構成図
である。

図において、制動装置（13）には、それぞれ第１及び
第２の支点（21），（22）を中心に回動可能な第１及び
第２のレバー（23），（24）が取り付けられている。各
レバー（23），（24）の一端部には、レール（12）に押
し当てられる第１及び第２のブレーキシュー（25），
（26）が取り付けられている。各レバー（23），（24）
の他端部には、各ブレーキシュー（25），（26）をレー
ル（12）に押し当てるように各レバー（23），（24）を
付勢する付勢手段としての第１及び第２のスプリング
（27），（28）が設けられている。

また、推進体（14）から制動装置（13）内に向けて操
作部材としての操作バー（29）が延びている。この操作
バー（29）の中間部からは、左右に向けて突起部（29
a）が突出している。この突起部（29a）の上方及び下方
には、ボルト（30）が２個ずつ配置されており、突起部
（29a）がボルト（30）に当接することにより、操作バ
ー（29）及び推進体（14）の制動装置（13）に対する相
対的な上下動範囲が限定されている。

操作バー（29）の下端部には、左右に突出した第１の
操作部（29b）が設けられている。この第１の操作部（2
9b）は、操作バー（29）が制動装置（13）に対して上動
した際に、各スプリング（27），（28）に逆らって各レ
バー（23），（24）を回動させ、各ブレーキシュー（2
5），（26）をレール（12）から引き離す。

次に、第３図は第１図の電磁ブレーキ（15）を示す構
成図である。

図において、電磁ブレーキ（15）には、それぞれ第３
及び第４の支点（31），（32）を中心に回動可能な第３
及び第４のレバー（33），（34）が取り付けられてい
る。各レバー（33），（34）の一端部には、レール（1
2）に押し当てられる第３及び第４のブレーキシュー（3
5），（36）が取り付けられている。各レバー（33），
（34）の他端部には、各ブレーキシュー（35），（36）
をレール（12）に押し当てるように各レバー（33），
（34）を付勢する第３及び第４のスプリング（37），
（38）が設けられている。

また、電磁コイル（16）の内側には、電磁コイル（1
6）の電磁力により上動するプランジャ（39）が上下動
可能に設けられている。このプランジャ（39）の下端部
には、左右に向けて延びる第２の操作部（39a）が設け
られており、プランジャ（39）が上動した際に、第２の
操作部（39）が各スプリング（37），（38）に逆らって
各レバー（33），（34）を回動させ、各シュー（35），
（36）をレール（12）から引き離す。

次に、動作について説明する。まず、かご（11）の停
止中は、制動装置（13）では、推進体（14）に推進力が
生じていないため、操作バー（29）が下動した状態にな
っている。このため、第１及び第２のスプリング（2
7），（28）のばね力により第１及び第２のブレーキシ
ュー（25），（26）が各レール（12）に押し当てられて
いる。また、電磁ブレーキ（15）では、接点（Ａ）が開
放されており、電磁コイル（16）に対する通電がされて
いないため、プランジャ（39）が下動した状態になって
いる。このため、第３及び第４のスプリング（37），
（38）のばね力で第３及び第４のブレーキシュー（3
5），（36）が各レール（12）に押し当てられている。
このような各ブレーキシュー（25），（26），（35），
（36）と各レール（12）との間の摩擦力により、かご
（11）は停止している。

次に、かご（11）の起動時は、上昇，下降いずれの場
合でも、まず推進力により推進体（14）が第１の制動装
置（13）に対して上動する。つまり、かご（11）には常
時下方に向けて重力が作用しているので、かご（11）の
昇降時には、この重力に逆らう上向きの力が推進体（1
4）に生じることになる。すると、推進体（14）ととも
に操作バー（29）が上動して、第１の制動装置（13）の
ブレーキが解除される。

この後、推進体（14）の推進力が増してかご（11）と
釣り合うようになると、接点（Ａ）が閉成し電磁コイル
（16）が励磁される。これによって、プランジャ（39）
が上動して電磁ブレーキ（15）のブレーキも解除され、
かご（11）は滑らかに昇降を開始する。

また、かご（11）が目的階床に近付くと、接点（Ａ）
が開放され、電磁ブレーキ（15）によりかご（11）が停
止される。この後、推進体（14）の推進力を徐々に減
じ、第１の制動装置（13）の制動力を働かせることによ
り、かご（11）の停止状態がより確実に保持される。

ところで、運転中、何等かの原因で推進体（14）の推
進力が異常に減少した場合、上記実施例のエレベーター
では、制動装置（13）によりかご（11）が非常停止する
ので、従来よりも安全性が高まり、実用性を十分に高め
ることができる。

また、起動時には、制動装置（13）が解除されてから
電磁ブレーキ（15）が解除され、停止時には、電磁ブレ
ーキ（15）によりかご（11）が停止してから制動装置
（13）によりブレーキがかけられるので、安全装置が二
重に作用することになり、ロープ式エレベーターと遜色
のないロープレスリニアモータエレベーターが実現でき
る。また、上記のような制御をすることにより、滑らか
な起動・停止が可能となり、乗り心地も良くなる。

なお、上記実施例では付勢手段として第１及び第２の
スプリング（27），（28）を示したが、例えば板ばね等
でもよく、上記実施例に限定されるものではない。

また、上記実施例では推進力を生じる推進体（14）が
かご（11）の上方にかご（11）と別体で設けられている
ものを示したが、従来同様かご側面に一体に設けられて
いるものでもよい。

さらに、リニアモータは同期式のものに限定されるも
のではなく、例えばリニア誘導モータでもよい。

さらにまた、上記実施例では操作部材として操作バー
（29）を示したが、この形状などは上記実施例に限定さ
れるものではない。

さらに、電磁ブレーキ（15）は、電気的に操作されて
かご（11）を停止させるものであればよく、その構造は
上記実施例のものに限定されるものではない。

［発明の効果］ 以上説明したように、請求項（１）に係る発明のロー
プレスリニアモータエレベーターは、レールに対して接
離自在にかごに設けられたブレーキシューと、このブレ
ーキシューをレール側に付勢する付勢手段と、推進体に
所定値以上の推進力が生じるとブレーキシューをレール
から引き離す操作部材とを有する制動装置をかごに設け
たので、推進力が異常に減少した場合に即座にかごを停
止させることができ、これにより安全性を高めることが
でき、かつ実用性を十分に高めることができるなどの効
果を奏する。

また、請求項（２）に係る発明のロープレスリニアモ
ータエレベーターは、推進力の有無によって機械的にブ
レーキをかける制動装置と、電気的に操作されてブレー
キをかける電磁ブレーキとをかごに設け、かごの起動時
には、制動装置が解除されてから電磁ブレーキが解除さ
れ、かごの停止時には、電磁ブレーキによりかごが停止
してから制動装置によりブレーキをかけるようにしたの
で、上記の発明の効果に加え、起動・停止がスムーズに
なり、乗り心地を良くすることができるとともに、安全
性もより向上させることができるなどの効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は各発明の一実施例を示す要部構成図、第２図は
第１図の制動装置を示す構成図、第３図は第１図の電磁
ブレーキを示す構成図、第４図は従来例を示す構成図で
ある。 図において、（11）はかご、（12）はレール、（13）は
制動装置、（14）は推進体、（15）は電磁ブレーキ、
（25）は第１のブレーキシュー、（26）は第２のブレー
キシュー、（27）は第１のスプリング（付勢手段）、
（28）は第２のスプリング（付勢手段）、（29）は操作
バー（操作部材）である。 なお、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】レールに対して接離自在にかごに設けら
   れ、前記レールとの間の摩擦力により前後かごの停止状
   態を保持するブレーキシューと、このブレーキシューが
   前記レールに接するように付勢する付勢手段と、リニア
   モータの推進体に所定値以上の推進力が生じると前記推
   進体とともに前記ブレーキシューに対して上動すること
   により、前記付勢手段に逆らって前記ブレーキシューを
   前記レールから引き離す操作部材とを有する制動装置を
   備えていることを特徴とするロープレスリニアモータエ
   レベーター。
2. 【請求項２】レールに対して接離自在にかごに設けら
   れ、前記レールとの間の摩擦力により前記かごの停止状
   態を保持する第１のブレーキシュー、このブレーキシュ
   ーが前記レールに接するように付勢する付勢手段、及び
   リニアモータの推進体に所定値以上の推進力が生じると
   前記推進体とともに前記ブレーキシューに対して上動す
   ることにより、前記付勢手段に逆らって前記ブレーキシ
   ューを前記レールから引き離す操作部材を有する制動装
   置と、 前記かごに設けられ、電気的に操作されて前記かごを停
   止させる電磁ブレーキとを備え、 前記かごの起動時には、前記制動装置が解除されてから
   前記電磁ブレーキが解除され、前記かごの停止時には、
   前記電磁ブレーキにより前記かごが停止してから前記制
   動装置により前記かごの停止状態が保持されることを特
   徴とするロープレスリニアモータエレベーター。