JP2527818B2 - エンジンの燃焼制御装置 - Google Patents

エンジンの燃焼制御装置

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JP2527818B2
JP2527818B2 JP1191642A JP19164289A JP2527818B2 JP 2527818 B2 JP2527818 B2 JP 2527818B2 JP 1191642 A JP1191642 A JP 1191642A JP 19164289 A JP19164289 A JP 19164289A JP 2527818 B2 JP2527818 B2 JP 2527818B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、エンジンの燃焼制御装置に係り、詳しく
は、メタノールやエタノール等のアルコールを他の燃
料、例えばガソリンと混合した混合燃料で運転されるエ
ンジンの燃焼状態を制御する装置に関する。
(従来の技術) ガソリンを使用するエンジンに対する点火時期制御に
各種のものが提案されている。その主な内容は2つで、
その1つは筒内圧が最大となるクランク角位置(θpma
x:以下、適宜筒内圧最大角度という)が機関の発生トル
クを最大にする一定位置(ATDC10°ないし20°)にくる
ように点火時期を制御(MBT制御)するもの、他の1つ
は筒内圧信号から機関のノッキング信号を取り出し、ノ
ッキングレベルが所定値より大きくなった時に遅角側に
点火時期を制御(ノッキング制御)するものである。
また、これら両者の組み合わせられたもの、あるいは
多気筒機関に対するMBT制御に工夫を凝らしたものなど
がある。後者について説明すると(特開昭61-14479号公
報参照)、これはθpmaxの平均値を採用する場合の問題
を解消するために考案されたもので、予め試験等で調べ
た耐ノック性が相対的に高い状態にある気筒の圧力信号
にて点火時期制御を開始し、当該気筒でノッキングが発
生してMBT制御が不可能となったら、やはり耐ノック性
が相対的に高い状態にある気筒の圧力信号を選択させる
点に特徴を有し、この手法によればノッキングの生じて
いない気筒では確実にMBTに制御されるので、ノッキン
グが生じていないのに平均値(MBTよりいくらかずれた
値となる)が採用される場合に比べて燃費率が良くな
り、しかも制御が簡素化される。
例えば、各気筒について逐次検出したθpmaxのうち最
新の4気筒分について平均値を計算し、その平均値に基
づいて各気筒共通の点火時期を演算するのでは、ノッキ
ングを生じた気筒の点火時期によってノッキングを生じ
ていない気筒の点火時期が不必要に遅角されてしまうの
である。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、このような従来のエンジンの燃料制御
装置にあっては、ガソリン(特定の燃料)を使用するエ
ンジンを対象としてMBT、ノック抑制制御を行う構成と
なっていたため、メタノールエンジンに適用した場合、
メタノールはオクタン価が高いことから、耐ノック性が
良く、高圧縮比化が可能であるが、そのため、圧縮工程
中の筒内温度がガソリンに比較すると高くなり、点火プ
ラグの電極、あるいは燃焼室内のデポジットが着火点と
なり、プレイグニションが発生し易くなってエンジンの
耐久性が低下する恐れがあった。
(発明の目的) そこで本発明は、プレイグニションを検出することに
より、プレイグニションの影響を最小限に抑えてエンジ
ンの耐久性の低下を防止することを目的としている。
(課題を解決するための手段) 本発明によるエンジンの燃焼制御装置は上記目的達成
のため、その基本概念図を第1図に示すように、エンジ
ンの運転状態を検出する運転状態検出手段aと、エンジ
ンの筒内圧を検出する圧力検出手段bと、燃料中のアル
コール濃度を検出するアルコール検出手段cと、エンジ
ンの運転状態に基づいて燃焼状態を制御する基本制御値
を設定する基本値設定手段dと、圧力検出手段bの出力
に基づいてプレイグニションを検出するプレイグニショ
ン検出手段eと、プレイグニションが検出されると、ア
ルコール濃度に応じて点火時期を遅角させるかあるいは
空燃比をリッチ化するかのうち少なくとも1つ以上の処
理を行って前記基本制御値を補正する制御手段fと、制
御手段fの出力に基づいて燃焼に関連するパラメータを
操作する操作手段gと、を備えている。
(作用) 本発明では、各気筒の筒内圧の変化からプレイグニシ
ョンが検出され、プレイグニションと判断すると、アル
コール濃度に応じて、点火時期のリタードあるいは空燃
比のリッチ化のうち1つ以上が実行される。
したがって、任意のアルコール濃度においてエンジン
の燃焼が抑制される方向に制御され、プレイグニション
によるエンジンの耐久性の低下が防止される。
(実施例) 以下、本発明を図面に基づいて説明する。第2〜7図
は本発明に係るエンジンの燃焼制御装置の一実施例を示
す図である。
まず、構成を説明する。第2図は燃焼制御装置の全体
構成図であり、この図において、1はエンジンであり、
吸入空気はエアクリーナ2から吸気管3を通して各気筒
に供給され、燃料は噴射信号Siに基づきインジェクタ4
により噴射される。燃料としてはガソリンにメタノール
やエタノール等のアルコールを混合したアルコール混合
材料が用いられ、気筒内の混合気は点火信号Spに基づく
点火プラグ5の放電作用によって爆発、燃焼し、排気に
なって排気管6から排出される。
エンジン1に吸入される空気の流量Qaはエアフローメ
ータ7により検出され、吸気管3内の絞弁8によって制
御される。エンジン1のクランク角はクランク角センサ
9により検出され、クランク角センサ9の出力パルスを
計数することによりエンジン回転数Nが算出される。排
気中の酸素濃度は排気管6に設けた酸素センサ10により
検出され、ウォータジャケットを流れる冷却水の温度は
水温センサ11により検出される。また、各気筒の筒内圧
は圧力センサ(圧力検出手段)12により検出され、圧力
センサ12は点火プラグ5の座金とし締付、固定されてい
る。
上記エアフローメータ7、クランク角センサ9、酸素
センサ10および水温センサ11は運転状態検出手段13を構
成しており、運転状態検出手段13および圧力センサ12か
らの出力はコントロールユニット20に入力される。
30はアルコールセンサ(アルコール検出手段)であ
り、燃料中のアルコール濃度(混合割合)が検出されて
その検出出力はコントロールユニット20に入力されてい
る。コントロールユニット20は基本値設定手段、プレイ
グニション検出手段および制御手段としての機能を有
し、主にマイクロコンピュータによって構成され、図7
に示すプログラムに従ってエンジン1の燃焼制御に必要
な処理値を演算し、前記噴射信号Siおよび点火信号Spを
出力する。なお、インジェクタ4および点火プラグ5は
操作手段21を構成する。
次に、作用を説明する。
一般に、プレイグニション(過早着火)とは、燃焼室
内壁に生じた過熱箇所つまり、プラグの先端排気弁など
により過熱されて火花点火の前に着火することをいう。
したがって、現象としては熱面着火に他ならず、混合気
が高温になって着火する点はノッキングと似ているが、
ノッキングは点火後に生じ、プレイグニションは点火前
に着火することに相違がある。
プレイグニションの原因の大部分は過熱した点火プラ
グであるが、着火の時期がたまたま火花による点火時期
と丁度一致していると、イグニションキーを切って点火
を止めてもエンジンは止まらず、また出力も爆発音も何
等異常なく、同キーを入れて運転しているときと同じよ
うに正常に作動を続ける(ホット・スポットの温度が平
衡していれば)。このようなときは、エンジンにとって
はなんら有害ではないがエンジンがコントロール(停
止)できない。このようなときは、燃料を濃くすると簡
単に止まる。
プレイグニションは、軽度のときは、普通の運転時に
発生していながら気付かないこともある。程度が激しく
なると、シリンダ壁の温度が急上昇し、出力は激減し、
回転数が変動し、ついには運転不能になり、エンジンを
損傷したりする。一般に、このような激しいプレイグニ
ションはエンジンの中速以上で起きることが多い。
第3図はプレイグニション時の筒内圧波形であり、特
に、モータリング時とMBT時とプライグニション時の波
形を記載している。同図において、モータリング時はθ
pmaxがTDCに一致する。MBT時はモータリング時と比較
し、点火時期から着火遅れを持って筒内圧がモータリン
グ時よりも大きくなり、θpmaxはATD10°〜20°であ
る。しかし、プレイグニションは点火時期前に圧力上昇
が始まるため、θpmaxはMBTのθpmaxよりもTDC側にず
れ、さらに絶対圧も非常に高くなる。
第4図は点火時期と点火プラグ5の中心電極温度との
関係を示す。点火時期を進めて行くと次第に中心電極温
度が高くなり、ついにはプレイグニションを発生する温
度に達する。一方、空燃比(A/F)をリーン化すると中
心電極温度は更に高くなり、リッチの場合より点火時期
が遅角側でプレイグニッションが発生する。したがっ
て、プレイグニションが発生した場合、点火時期を遅角
するかあるいは空燃比をリッチ化すると防止できること
になる。
また、第5図はメタノール濃度による点火時期特性を
示す。メタノールは耐ノック性が高く、プレイグニッシ
ョンが発生しやすい。したがって、メタノール濃度があ
る割合(M0)以上でないと、ノックより先にプレイグニシ
ョンが発生しない。M0以下では通常のノック制御で充分
である。また、燃焼室内のデポジットの発生や点火時期
の変動によりプレイグニション発生点火時期はリタード
側にずれてくる。そこで、プレイグニションが発生した
場合の点火時期設定はメタノール割合が高い程余裕代を
大きくする。
第6図は同様にメタノール濃度と空燃比特性を示す。
プレイグニション限界はメタノール濃度が高い程リッチ
になり、また設定空燃比はメタノールの断熱火炎温度が
ガソリンより低いためリーン設定できる。したがって、
余裕代はメタノールのほうが小さい。よって、プレイグ
ニションが発生した場合の設定空燃比はメタノール濃度
が高い程リッチに設定する。
以上のことから、メタノール濃度に応じて点火時期お
よび空燃比の補正を行えば極めて適切となることが判
る。
第7図は上記原理に基づく燃焼制御のプログラムを示
すフローチャートである。
まず、P1でアルコールセンサ30の出力に基づいてメタ
ノール濃度を読込み、P2でノックが起きているか否かを
判別する。プレイグニションもノックもないときはP3で
θpmaxがMBTに等しいか否かを判別し、等しいときはP4
でこの点火時期時の筒内圧Pkを学習し、P5では点火時期
の補正なしとしてルーチンを終了する。また、P2でノッ
クがあるときはP6で点火時期をリタードしてノックを制
御する。P6ではメタノール濃度に応じて点火時期をリタ
ードする。したがって、ノックの制御をきめ細かく行え
る。
一方、P3でθpmaxがMBTとずれているときはP7でメタ
ノール濃度がM0以上か否かを判別する。M0未満のときは
P10にジャンプしてMBT制御のための点火時期の補正を行
う。また、M0以上のときにはP8でこのときの筒内圧Psを
読み込み、P9でPs−Pk≧ΔPk(但し、Pk:メタノール濃
度に応じて設定された設定値)が成立するか否かを判別
する。成立していなければ点火時期よりも後に燃焼があ
ったと判断し、P10でMBT制御のための点火時期の補正を
行う。一方、上式の関係が成立していれば、点火時期よ
りも前に燃焼があったと判断しP11でカウンタをカウン
トアップし、P12でカウント回数がメタノール濃度に応
じて設定された所定値m0以上であるか否かを判別する。
m0未満のときはP13でθpmax時の筒内圧Pθpmaxを読み
込み、Pθpmax≧P0(但し、P0はメタノール濃度に応じ
て設定されたプレイグニションと断定できるレベル)が
成立するか否かを判別する。成立していればプレイグニ
ションの程度がクリティカルでないと判断してP14でメ
タノール濃度に応じて点火時期をリタードするととも
に、P15でメタノール濃度に応じて空燃比をリッチ化
し、さらにP16でカウンタをクリアする。これにより、
プレイグニションが直ちに抑制される。したがって、例
えばメタノールエンジンで高圧縮比にしたような場合で
燃焼室内にデポジットが生じたり等してプレイグニショ
ンが発生してもエンジン1の損傷を防止することができ
る。また、Pθpmax<P0のときはP14〜P16をジャンプし
てルーチンを終える。一方、Pθpmax<P0であってもPs
−Pk≧ΔPkの成立するカウント回数がm0以上であればク
リティカルと判断しP14に進む。
以上のことから、本実施例ではプレイグニションが発
生した場合、任意のメタノール濃度においてエンジン1
の損傷を有効に防止することができる。
なお、上記実施例では点火時期のリタードおよび空燃
比のリッチ化を双方とも行っているが、これはどちらか
一方を行ってもよい。
(効果) 本発明によれば、任意のアルコール濃度においてプレ
イグニションの影響を最小限に抑えることができ、エン
ジンの耐久性の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の基本概念図、第2〜7図は本発明の一
実施例を示す図であり、第2図はその全体構成図、第3
図はその筒内圧波形を示す図、第4図はそのプレイグニ
ションの発生の特性を示す図、第5図はその点火時期に
対するメタノール濃度とプレイグニションの発生との関
係を示す図、第6図はその空燃比に対するメタノール濃
度とプレイグニションの発生との関係を示す図、第7図
はその燃焼制御のプログラムを示すフローチャートであ
る。 1……エンジン、2……エアクリーナー、3……吸気
管、4……インジェクタ、5……点火プラグ、6……排
気管、7……エアフローメータ、8……絞弁、9……ク
ランク角センサ、10……酸素センサ、11……水温セン
サ、12……圧力センサ(圧力検出手段)、13……運転状
態検出手段、20……コントロールユニット(基本値設定
手段、プレイグニション検出手段、制御手段)、21……
操作手段、30……アルコールセンサ(アルコール検出手
段)。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】a)エンジンの運転状態を検出する運転状
    態検出手段と、 b)エンジンの筒内圧を検出する圧力検出手段と、 c)燃料中のアルコール濃度を検出するアルコール検出
    手段と、 d)エンジンの運転状態に基づいて燃焼状態を制御する
    基本制御値を設定する基本値設定手段と、 e)圧力検出手段の出力に基づいてプレイグニションを
    検出するプレイグニション検出手段と、 f)プレイグニションが検出されると、アルコール濃度
    に応じて点火時期を遅角させるかあるいは空燃比をリッ
    チ化するかのうち少なくとも1つ以上の処理を行って前
    記基本制御値を補正する制御手段と、 g)制御手段の出力に基づいて燃焼に関連するパラメー
    タを操作する操作手段と、 を備えたことを特徴とするエンジンの燃焼制御装置。
JP1191642A 1989-07-25 1989-07-25 エンジンの燃焼制御装置 Expired - Lifetime JP2527818B2 (ja)

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JPH0357878A JPH0357878A (ja) 1991-03-13
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