JP2525583B2 - 車両の4輪操舵装置 - Google Patents

車両の4輪操舵装置

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JP2525583B2 JP17524386A JP17524386A JP2525583B2 JP 2525583 B2 JP2525583 B2 JP 2525583B2 JP 17524386 A JP17524386 A JP 17524386A JP 17524386 A JP17524386 A JP 17524386A JP 2525583 B2 JP2525583 B2 JP 2525583B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、前輪の転舵に応じて後輪をも転舵するよう
にした車両の4輪操舵装置に関するものである。
(従来の技術) 従来より、この種の車両の4輪操舵装置として、例え
ば特開昭55−91457号公報に開示されるように、前輪を
転舵する前輪転舵機構と、後輪を転舵する後輪転舵機構
とを備え、前輪の転舵角および車速に応じて後輪の転舵
角を変化させ、低速時では前輪と後輪とを逆位相に、高
速時では同位相にすることにより、車両の横すべりを防
止して走行安定性を向上させるとともに、低速時での小
廻り性の向上を図り得るようにしたものが知られてい
る。
このような4輪操舵装置における後輪転舵機構は、前
輪転舵角に対する後輪転舵角の比(以下「転舵比」とい
う)が所定の転舵比特性に従って可変制御されるように
なっている。この転舵比特性は、車速に応じて転舵比が
変化するようにした特性であって、低速域および高速域
ではそれぞれ転舵比は負および正の絶対値の大きな値と
なるが車速の変化に対する転舵比の変化は比較的小さ
く、一方、中速域では転舵比は零近傍の絶対値の小さな
値となるが車速の変化に対する転舵比の変化は比較的大
きくなるように、その特性が定められるのが普通であ
る。
上記転舵比特性に従って後輪の転舵角を変化させる手
段としてパルスモータが使用されている。すなわち、こ
のパルスモータは、現時点における車速および前輪転舵
角から転舵比特性に従って該車速に応じた転舵比を得る
べく後輪を所定量転舵する駆動手段であって、このパル
スモータによる転舵は、該パルスモータの駆動と連動す
るコントロールバルブを経て油圧ポンプから圧油供給さ
れるパワーシリンダにより助勢されるようになってい
る。そして、このパワーシリンダには、該パワーシリン
ダ内に設けられているピストンを中立位置すなわち転舵
比が零となる位置に付勢するセンタリングスプリングが
設けられていて、これによりパルスモータ等後輪転舵機
構の一部に故障が発生したとき、パワーシリンダの油圧
を解除してセンタリングスプリングで転舵比零のいわゆ
る2輪操舵状態での走行を保障するようになっている。
(発明が解決しようとする問題点) ところで、上記のようにパルスモータの駆動により後
輪を転舵する後輪転舵機構を備えた4輪操舵装置にあっ
ては、低速域および高速域における転舵に要するパルス
モータの駆動トルクは中速域におけるそれよりも大きな
ものとなる。これは、低速域および高速域においては、
転舵比の絶対値が大きくなるため、転舵の際にセンタリ
ングスプリングの弾性力の影響を大きく受けるからであ
る。一方、中速域においては、大きなトルクを必要とし
ない反面、車速に対する転舵比の変化率(すなわち転舵
比特性の傾き)が大きいため、転舵比特性に従って後輪
を転舵するためにはパルスモータの送り速度を大きくす
る必要がある。パルスモータは送り速度を大きくすると
トルクが減少するので、パルスモータの送り速度を中速
域における送り速度に合わせて設定すると、低速域およ
び高速域においてはトルク不足を生ずることとなる。し
たがって全車速領域において後輪転舵を円滑に行うこと
ができるようにするためには大型のパルスモータを使用
する必要がある。さもなければ、低速域および高速域に
おいてはパルスモータへの負荷が過大となり、パルスモ
ータが脱調を起こして転舵比特性に従った後輪転舵がで
きなくなるため車両が不安定になるといった不都合を生
ずることとなる。一方、パルスモータを大型化すること
はスペース,重量,コストの面でなお問題があり、改善
が望まれる。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであ
って、パルスモータの大型化を必要とすることなく全車
速領域において円滑なる後輪転舵を実現することのでき
る車両の4輪操舵装置を提供しようとするものである。
(問題点を解決するための手段) 本発明による車輪操舵装置は、パルスモータの送り速
度を所定条件に応じて可変とすることにより上記問題点
の解決を図るようにしたものである。すなわち、ハンド
ル操舵に応じて前輪を転舵する前輪転舵機構と、この前
輪の転舵に応じて後輪を転舵する後輪転舵機構とを備え
てなり、前記後輪転舵機構は該後輪転舵機構を中立位置
に付勢するセンタリングスプリングを備えており、前記
後輪転舵機構による後輪の転舵は、前輪転舵角に対する
後輪転舵角の比が車速に応じて変化する所定の転舵比特
性に従いパルスモータを駆動して行うようにされている
車両の4輪操舵装置であって、前記パルスモータの送り
速度が、低車速領域および高車速領域において小となる
よう、前記転舵比特性の領域に対応して可変とされてい
ることを特徴とするものである。
上記「転舵比特性の傾き」とは、上記「所定の転舵比
特性」における車速に対する転舵比(すなわち前輪転舵
角に対する後輪転舵角の比)の変化率を意味するもので
ある。
(作用) 上記構成により、所定の転舵比特性の領域に対応した
送り速度でパルスモータの駆動がなされるため、転舵比
特性に従った後輪転舵を全車速領域において円滑に行う
上でパルスモータに要求される送り速度および駆動トル
クという相反する要素を、パルスモータの大型化に頼る
ことなく両立させることが可能となる。すなわち、一般
に、低車速領域および高車速領域では転舵比の絶対値が
大であり、かかる車速領域においてはセンタリングスプ
リング等のため大きな駆動トルクを要するが、パルスモ
ータの送り速度を小さくすることにより容易に駆動する
ことができる。また、例えば転舵比の絶対値が小である
中車速領域において傾きが大である転舵比特性であれ
ば、該車速領域における送り速度を大とすることによ
り、車速に対する転舵比の変化率が大きい該車速領域に
おいても後輪転舵を車速変化に応じて俊敏に行うことが
できる。
(発明の効果) したがって、本発明によれば、コンパクトなパルスモ
ータで全車速領域において所定の転舵比特性に応じた円
滑なる後輪転舵を行うことが可能となり、このため、省
スペース,軽量化およびコストダウンを図ることができ
る。
(実 施 例) 以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は本実施例に係る車両の4輪操舵装置の全体構
成を示し、1は左右の前輪2L,2Rを転舵する前輪転舵機
構であって、該前輪転舵機構1は、ステアリングハンド
ル3と、該ステアリングハンドル3の回転運動を直線運
動に変換するラック&ピニオン機構4と、該ラック&ピ
ニオン機構4の作動を前輪2L,2Rに伝達してこれらを左
右に転舵させる左右のタイロッド5,5およびナックルア
ーム6,6とからなる。
7は左右の後輪8L,8Rを転舵する後輪転舵機構であっ
て、該後輪転舵機構7は、両端が左右の後輪8L,8Rにタ
イロッド9,9およびナックルアーム10,10を介して連結さ
れた車幅方向に延びる後輪操作ロッド11を備えている。
該後輪操作ロッド11にはラック12が形成され、該ラック
12に噛合するピニオン13がパルスモータ14により一対の
傘歯車15,16およびピニオン軸17を介して回転されるこ
とにより、上記パルスモータ14の回転方向および回転量
に対応して後輪8L,8Rが左右に転舵されるように構成さ
れている。
また、上記後輪操作ロッド11には、該ロッド11を操作
ロッドとするパワーシリンダ18が接続されている。該パ
ワーシリンダ18は、後輪操作ロッド11に固着したピスト
ン18aにより車幅方向に仕切られた左転用油圧室18bおよ
び右転用油圧室18cを有しているとともに、該各油圧室1
8b,18cはそれぞれ油圧通路19a,19bを介して、パワーシ
リンダ18への油供給方向および油圧を制御するコントロ
ールバルブ20に連通し、該コントロールバルブ20には油
供給通路21および油戻し路22を介して油圧ポンプ23が接
続されており、該油圧ポンプ23はモータ24によって回転
駆動される。上記コントロールバルブ20は、ピニオン軸
17の回転方向を検出して後輪8L,8Rの左方向転舵(図中
反時計方向への転舵)時には油供給通路21を左転用油圧
室18bに連通しかつ右転用油圧室18cを油戻し路22に連通
する一方、後輪8L,8Rの右方向転舵(図中時計方向への
転舵)時には上記とは逆の連通状態とし、同時に油圧ポ
ンプ23からの油圧をピニオン軸17の回転力に応じた圧力
に減圧するものであり、パルスモータ14により傘歯車1
5,16、ピニオン軸17、ピニオン13およびラック12を介し
て後輪操作ロッド11が軸方向(車幅方向)に移動される
ときにはパワーシリンダ18への圧油供給により上記後輪
操作ロッド11の移動を助勢するようにしている。パワー
シリンダ18の各油圧室18b,18cにはピストン18aを中立位
置に付勢するセンタリングスプリング18dが設けられて
いて、パルスモータ14その他の後輪転舵機構7の一部が
故障し後輪の転舵が不能となったときには、油圧通路19
aおよび19bを連通させて油圧を解除し前記センタリング
スプリング18dの弾性力によりピストン18aを中立位置に
保持し、これにより前輪のみによる2輪操舵装置状態と
することができるようになっている。
そして、上記パルスモータ14および油圧ポンプ23の駆
動用モータ24は、後輪転舵機構7の制御部たるコントロ
ーラ25から出力される制御信号によって作動制御され
る。上記コントローラ25には、前輪転舵機構1における
ステアリングハンドル3の操舵量等から前輪転舵角を検
出する舵角センサ26からの舵角信号と、車速を検出する
車速センサ27からの車速信号とがそれぞれ入力されてい
るとともに、バッテリ電源28が接続されている。
上記コントローラ25は、第2図に示すように、車速セ
ンサ27からの車速信号を受け、特性記憶回路29に記憶さ
れた所定の転舵比特性から現時点における車速に対応す
る転舵比QR/QF(前輪転舵角QFに対する後輪転舵角QR
比)を演算する目標転舵比演算回路30と、該目標転舵比
演算回路30から入力された転舵比信号と舵角センサ26か
ら入力された舵角信号とから現時点における目標転舵比
に対応する後輪転舵角を演算する目標転舵角演算回路31
と、この目標転舵角演算回路31から入力された舵角信号
を受けてパルスモータ14および油圧ポンプ23の駆動用モ
ータ24を所定量駆動する駆動回路32とを備えてなり、こ
れによって所定の転舵比特性に従い後輪転舵角が目標転
舵角となるようなパルスモータ14および油圧ポンプ23の
駆動用モータ24の駆動を制御するようになっている。
上記特性記憶回路29に予め記憶された所定の転舵比特
性は、第3図に示すように、車速に応じて転舵比QR/QF
が変化する特性となっている。この転舵比特性は、車速
が低速から高速に上昇するに従って転舵比が負方向の逆
位相(前後輪が逆方向に転舵される状態)で大きな値か
ら零に近づくように移行し、中速域にて転舵比が正方向
の同位相(前後輪が同方向に転舵される状態)に変わり
高速域では同位相で転舵比が大きくなるように設定され
ており、これにより低速時における小廻り性の向上およ
び高速時における車速の横すべり防止による走行安定性
の向上を図るようになっている。そして、上記転舵比特
性は、低速域および高速域においては車速に対する転舵
比の変化率が小さく、中速域においては該変化率が大き
いものとなっている。
第2図に示すように、コントローラ25は、さらに、送
り速度演算回路33を備えていて、車速センサ27からの車
速信号および目標転舵比演算回路30からの転舵比信号に
基づき、第3図に示す転舵比特性の傾き(すなわち車速
に対する転舵比の変化率)の大きさに応じてパルスモー
タ14の送り速度を制御すべく、駆動回路32に送り速度信
号を出力するようになっている。すなわち、この送り速
度は、転舵比特性の傾きの大きさに所定の係数kをかけ
た値に設定されるものであって、該係数kは、パルスモ
ータ14の負荷等に対応して適当に設定されるべきもので
ある。
これについてさらに詳述すれば、パルスモータ14の送
り速度と発生トルクとの間には第4図に示すような関係
があるので、第5図に示すようにパルスモータの負荷
(バルブ負荷)が大となる低速域および高速域において
は、中速域に比して送り速度を小とすることが、パルス
モータ14に脱調を生ぜしめることなくこれを駆動する上
で好ましい。一方、第3図に示すように、転舵比特性の
傾きの大きい中速域においては、パルスモータ14の送り
速度を大とすることが、車速変化に応じて後輪転舵を俊
敏に行う上で好ましい。したがって、係数kの値は、パ
ルスモータの負荷を許容限度内に維持した上で、低速域
および高速域における駆動トルク増大の要請ならびに中
速域における送り速度増大の要請を可能な限り満すよう
に定められるべきものである。
第6図は、このようにして係数kが定められたパルス
モータ14の送り速度を車速との関係で示す図である。図
から明らかなように、パルスモータ14の送り速度は低速
域および高速域に比して中速域において大となるように
設定がなされている。もっとも、この場合において、低
速域および高速域におけるパルスモータ14の送り速度を
低減する必要性があるのは、後輪を転舵角零の位置から
右あるいは左に遠ざける方向に転舵するとき(すなわち
センタリングスプリング18dの弾性力に抗して転舵する
とき)のみであり、その逆方向に転舵するときにはパル
スモータ14の駆動トルクをあまり必要としないので、後
輪を転舵角零の位置に近づける方向に転舵するときに
は、パルスモータ14の送り速度を小さくせず、中速域に
おける送り速度と同じ送り速度とするように設定しても
よい。
なお、パルスモータ14の送り速度を一定とした場合に
その負荷が車速に対し第5図に示すような特性となるの
は、低速域および高速域においては、転舵比の絶対値が
大であるためセンタリングスプリング8d(第1図参照)
による弾性力の作用を強く受けるためである。
以上詳述したように、本実施例によればパルスモータ
14の送り速度が各時点の車速における転舵比特性の傾き
に応じて可変とされているため、コンパクトなパルスモ
ータにより全車速領域において所定の転舵比特性に従っ
た後輪転舵を円滑に行うことが可能となる。
第7図は、パルスモータ14とコントローラ25との接続
状態を示す図である。
図に示すように、ボディ外板34を隔ててパルスモータ
14は室外35に、コントローラ25は室内36に設けられ、両
者の結線を行うカプラ37は室内36側に位置して設けられ
ている。これによりカプラ37は風雨に曝されることがな
いので後輪転舵機構7の信頼性の向上を図ることができ
る。また、室外35に設けられたパルスモータ14は密閉構
造とされており、該密閉構造内の空気相38は、パルスモ
ータ14とカプラ37とを接続するハーネス39を通して室内
36側で呼吸を行うことができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明による車両の4輪操舵装置の一例を示す
全体構成図、 第2図は該装置のコントローラを示すブロック図、 第3ないし6図は該装置の作用を示すグラフ、 第7図は該装置のパルスモータおよびコントローラの接
続状態を示す図である。 1……前輪転舵機構、7……後輪転舵機構 14……パルスモータ 18d……センタリングスプリング

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ハンドル操舵に応じて前輪を転舵する前輪
    転舵機構と、この前輪の転舵に応じて後輪を転舵する後
    輪転舵機構とを備えてなり、前記後輪転舵機構は該後輪
    転舵機構を中立位置に付勢するセンタリングスプリング
    を備えており、前記後輪転舵機構による後輪の転舵は、
    前輪転舵角に対する後輪転舵角の比が車速に応じて変化
    する所定の転舵比特性に従いパルスモータを駆動して行
    うようにされている車両の4輪操舵装置であって、 前記パルスモータの送り速度が、低車速領域および高車
    速領域において小となるよう、前記転舵比特性の領域に
    対応して可変とされていることを特徴とする車両の4輪
    操舵装置。
  2. 【請求項2】前記パルスモータの送り速度が、前記転舵
    比特性の傾きが大である車速領域において大であること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項記載の車両の4輪操
    舵装置。
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