JP2525029B2 - ポリエチレンテレフタレ―トおよびその用途 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレ―トおよびその用途

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JP2525029B2 JP63071527A JP7152788A JP2525029B2 JP 2525029 B2 JP2525029 B2 JP 2525029B2 JP 63071527 A JP63071527 A JP 63071527A JP 7152788 A JP7152788 A JP 7152788A JP 2525029 B2 JP2525029 B2 JP 2525029B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、耐熱性および透明性に優れたポリエチレン
テレフタレートに関する。また本発明は、該ポリエチレ
ンテレフタレートからなりかつ耐熱性および透明性に優
れた中空成形体用プリフォームおよび中空成形容器、と
くに高温充填性に優れた耐熱性ポリエチレンテレフタレ
ート製中空成形容器に関する。
発明の技術的背景ならびにその問題点 従来、調味料、油、ジュース、炭酸飲料、ビール、日
本酒、化粧品、洗剤などの容器用の素材としてはガラス
が広く使用されていた。しかし、ガラス容器は製造コス
トが高いので通常使用後の空容器を回収し、循環再使用
する方法が採用されている。また、ガラス容器は重いの
で運送経費がかさむことの他に、破損し易く、取り扱い
に不便であるなどの欠点があった。
ガラス容器のこれらの欠点を解消しようとして、ガラ
ス容器から種々のプラスチック容器への転換が最近急速
に進んでいる。その素材としては、充填内容物の種類お
よびその使用目的に応じて種々のプラスチックが採用さ
れており、これらのプラスチック素材のうちでポリエチ
レンテレフタレートは機械的強度、耐熱性、透明性およ
びガスバリヤー性に優れているので、ジュース、清涼飲
料、炭酸飲料、調味料、洗剤、化粧品などの容器の素材
として採用されている。また、これらの用途のうちで、
ジュース、清涼飲料、炭酸飲料の充填用中空成形容器に
は、殺菌および高速充填を行なうことが求められてあ
り、このため高温充填に耐え得る耐熱性樹脂で該中空成
形容器を形成することが要求されており、またこれらの
充填用中空成形容器には、いずれも透明性が要求されて
いる。
ポリエチレンテレフタレートはこれらの物性に優れた
プラスチックであるが、前述の高温充填性に耐え得る耐
熱性および透明性を同時に備えたポリエチレンテレフタ
レートは従来知られていなかった。
従って、従来ポリエチレンテレフタレートから耐熱性
の中空成形容器を成形する方法としては、ポリアリレー
トなどの耐熱性樹脂を積層する方法(プラスチックス、
Vo1.36(No.9)、121(1985)など)、成形後にヒート
セットを施す方法(特公昭59−3301号公報、特開昭55−
12031号公報、特開昭56−75833号公報、特開昭56−1314
2号公報など)、成形後の容器を溶媒処理することによ
り結晶化度を向上させる方法(特公昭59−15807号公報
など)が提案されている。このような方法は、いずれも
本来耐熱性が不充分のポリエチレンテレフタレートに成
形手段または成形後の処理により耐熱性を付与しようと
するものであるが、いずれの方法で得られた中空成形容
器もジュースなどの高温充填時の耐熱性ならびに透明性
を充足するものではなく、高温充填時の温度、圧力およ
び液重量などに耐え得る耐熱性および透明性に優れたポ
リエチレンテレフタレート、そしてこのようなポリエチ
レンテレフタレートからなる中空成形体用プリフォーム
および中空成形容器の出現が強く要望されている。
発明の目的 本発明は、従来のポリエチレンテレフタレートおよび
ポリエチレンテレフタレートからなる中空成形容器が前
述の状況にあることに鑑みて完成されたものであって、
耐熱性および透明性に同時に優れた中空成形容器用のポ
リエチレンテレフタレートを提供することを目的として
いる。また、本発明は、耐熱性および透明性に優れてお
り、とくにジュース、清涼飲料、炭酸飲料などの高温充
填時の耐熱性に優れているようなポリエチレンテレフタ
レートから成形された中空成形体用プリフォームならび
に中空成形容器を提供することを目的としている。
発明の概要 本発明によれば、 (A)一般式[I] で表わされるエチレンテレフタレート成分単位(a)
が、97.0〜98.6モル%の範囲および一般式[II] で表わされるジオキシエチレンテレフタレート成分単位
(b)が、1.4〜3.0モル%の範囲から形成され、かつ両
成分単位がランダムに配列しており、 (B)o−クロロフェノール中で25℃で測定した極限粘
度[η]が、0.70〜0.90dl/gの範囲にあり、 (C)示差走査型熱量計(DSC)で10℃/分の昇温速度
で測定した結晶化温度(Tcc)が165.0℃以上であり、か
つ 67.5[η]+119.0≦Tcc ≦67.5[η]+133.5 で表される範囲にあり、 (D)290℃に融解した後、200℃で等温結晶化した場合
に生成する球晶の数(a)が108個/cm3以下であり、こ
の球晶の数(a)と、280℃に融解した後200℃で等温結
晶化した場合に生成する球晶の数(b)との差((b)
−(a))が5×107個/cm3以下であることによって特
徴づけられるポリエチレンテレフタレートが提供され、
また該ポリエチレンテレフタレートから成形された中間
成形体用プリフォームおよび中空成形容器が提供され
る。
発明の具体的説明 本発明のポリエチレンテレフタレートは、一般式
[I] で表わされるエチレンテレフタレート成分単位(a)の
含有率が、97.0〜98.6モル%、好ましくは97.1〜98.5モ
ル%、とくに好ましくは97.3〜98.3モル%の範囲であ
り、一般式[II] で表わされるジオキシエチレンテレフタレート成分単位
(b)の含有率が、1.4〜3.0モル%、好ましくは1.5〜
2.9モル%、とくに好ましくは、1.7〜2.7モル%の範囲
である。
本発明のポリエチレンテレフタレートでは、前記一般
式[I]で表されるエチレンテレフタレート成分単位
(a)および前記一般式[II]で表されるジオキシエチ
レンテレフタレート成分単位(b)がランダムに配列し
てエステル結合を形成することにより、実質上線状のポ
リエステルを形成している。そして、該ポリエチレンテ
レフタレートが実質上の線状であることは、該ポリエチ
レンテレフタレートがo−クロロフェノールに溶解する
ことによって確認される。
本発明のポリエチレンテレフタレートのo−クロロフ
ェノール中で25℃で測定した極限粘度[η]は、0.70〜
0.90dl/g、好ましくは0.71〜0.87dl/g、とくに好ましく
は0.72〜0.85dl/gの範囲にある。極限粘度[η]が0.70
dl/gより小さい場合には、耐熱性、透明性および機械的
強度に優れた中空成形容器は得られなくなり、また0.90
dl/gより大きくなると、プリフォームの成形性および延
伸ブロー成形性が劣るようになる。なお、ここで、本発
明のポリエチレンテレフタレートを特定した極限粘度
[η]は、次の方法によって測定したものである。すな
わち、試料ポリエチレンテレフタレートをo−クロロフ
ェノールに、1g/100mlの濃度で溶かし、室温でウベロー
デ型毛細管粘度計を用いて溶液粘度の測定を行い、その
後o−クロロフェノールを徐々に添加して、低濃度側の
溶液粘度を測定し、0%濃度に外挿して溶液粘度
([η])を求めた。
また、本発明のポリエチレンテレフタレートの示差走
査型熱量計(DSC)で10℃/分の速度で昇温した際の昇
温結晶化温度(Tcc)は、165.0℃以上であり、好ましく
は167.0〜185℃、とくに好ましくは168.0〜180.0℃の範
囲にある。また、本発明のポリエチレンテレフタレート
の昇温結晶化温度(Tcc)は、極限粘度[η]との関係
において、下記式 67.5[η]+119.0≦Tcc ≦67.5[η]+133.5 の範囲にあり、さらに好ましくは、 67.5[η]+122.5≦Tcc ≦67.5[η]+128.5 の範囲にある。
該ポリエチレンテレフタレートの昇温結晶化温度(Tc
c)が165.0℃より低くなると、中空成形容器の透明性が
低下し、耐熱性も低下し、ジュースあるいはコーラなど
の清涼飲料などを高温充填する時に熱変形が起こるよう
になる。また、昇温結晶化温度(Tcc)が上記式の下限
値より低くなると、ジュースあるいはコーラなどの清涼
飲料などを高温充填する時に同様に熱変形が起こり易く
なる。なお、ここで、本発明のポリエチレンテレフタレ
ートを特定する昇温結晶化温度(Tcc)は、次の方法に
よって測定したものである。すなわち、パーキンエルマ
ー社製DSC−2型示差走査型熱量計を用いて約140℃で約
5mmHgの圧力下約5時間以上乾燥したポリエチレンテレ
フタレートチップの中央部からの試料約10mgの薄片を液
体用アルミニウムパン中に窒素雰囲気下に封入して測定
した。測定条件はまず室温より急速昇温して290℃で10
分間溶融保持したのち室温まで急速冷却し、その後10℃
/分の昇温速度で昇温する際に検出される発熱ピークの
頂点温度を求めた。
さらに、本発明のポリエチレンテレフタレートから28
0℃で成形した5mm厚さのプレートのヘイズ(Haze、曇り
度)は、通常、2〜15%、好ましくは3〜10%、とくに
好ましくは3〜7%の範囲である。
なお、ポリエチレンテレフタレートのヘイズの測定は
次の方法に従った。すなわち、名機製作所(株)製M−
70A−SJ型射出成形機を用いて、約140℃で約5mmHgの圧
力下約16時間以上乾燥したポリエチレンテレフタレート
を1回の成形で各々2、3、4、5、6、7mmの厚みの
プレートが同時に成形できるフマキラー(株)製段付角
板金型に、シリンダー温度260〜275℃、金型温度約40℃
の条件で射出成形し、得られた段付角板の厚みが5mmの
プレートの曇り度を村上色彩(株)製HM−100型ヘイズ
メーターを用いて測定した。
また、本発明のポリエチレンテレフタレートは、290
℃に融解した後、200℃で等温結晶化した場合に生成す
る球晶の数(a)が、108個/cm3以下、好ましくは8×1
07個/cm3以下、とくに好ましくは5×107個/cm3以下で
ある。そしてこの球晶の数(a)と、280℃に融解した
後200℃で等温結晶化した場合に生成する球晶の数
(b)との差((b)−(a))が、5×107個/cm3
下、好ましくは3×107個/cm3以下、とくに好ましくは
1×107個/cm3以下である。
この球晶の数は、本発明のポリエチレンテレフタレー
トを示差走査型熱量計(DSC)で290℃または280℃で融
解後、320℃/分の速度で200℃に降温し、200℃で0.5時
間結晶化して生成した球晶を、DSCサンプルパンから取
り出し、偏光顕微鏡で球晶の平均的な大きさを測定し、
次にF.Van.Antwerpen,D.W.Van,Krevelan等の方法[J.Po
lym.Sci.,Polym.Phys.Ed.,10,2423(1972)〕に従って
球晶の数N=1/〔(4/3)πR3〕(R:球晶平均半径)を
求めた値である。
290℃に溶融した後、200℃で等温結晶化した場合の球
晶の数(a)が108個/cm3以上であると、このようなポ
リエチレンテレフタレートから得られるプリフォームあ
るいは中空成形容器の透明性が悪くなる傾向がある。ま
たこの球晶の数(a)と、280℃に溶融した後200℃で結
晶化した場合の球晶の個数(b)との差((b)−
(a))が、5×107個/cm3以上であると、同様にこの
ようなポリエチレンテレフタレートから得られるプリフ
ォームあるいは中空成形容器の透明性が悪くなる。
なお球晶の数を測定するに際しては、測定試料として
は、140℃で約5mmHgの圧力下で約5時間以上乾燥したポ
リエチレンテレフタレートチップの中央部から得られた
試料約10mgの薄片を用い、DSCとしてパーキンエルマー
社製DSC−2型示差走査型熱量計を用いた。該試料は液
体用アルミニウムパン中に窒素雰囲気下に封入して溶融
し、次いで所定温度まで冷却して結晶化した。溶融は28
0℃および290℃で10分間溶融保持することにより行なっ
た。また球晶観察は、ミクロトームにより10μmの厚さ
の薄片を作成し、ニコン社製偏光顕微鏡で300倍の倍率
で観察することにより行なった。
次に本発明のポリエチレンテレフタレートの製造方法
について説明する。
本発明のポリエチレンテレフタレートは直接重合法に
よって製造することができる。具体的には、テレフタル
酸とエチレングリコールとの混合物を少なくとも2段階
のエステル化反応工程で連続的に反応させることにより
低次縮合物とし、さらにこれを少なくとも2段の液相重
縮合工程で連続的に減圧下に重縮合させることによりポ
リエステルを得、該ポリエステルを溶融押出法によりポ
リエステルチップを形成させ、該ポリエステルチップを
少なくとも1段の固相重合工程で不活性ガス雰囲気中で
重縮合させ、極限粘度[η]を増大させる方法が採用さ
れる。
次に、各工程およびその条件について説明する。
本発明のポリエチレンテレフタレートは各工程の条件
を適宜に選択し、(A)ポリエチレンテレフタレートの
組成、(B)極限粘度[η]および(C)球晶の数が本
発明で規定する範囲となるように重縮合反応を制御する
ことにより得られる。
まず、テレフタル酸と、テレフタル酸1モルに対して
1.02〜1.4モル、好ましくは1.03〜1.3モルのエチレング
リコールとからなる混合物からテレフタル酸のエチレン
グリコールスラリーを形成させる。該スラリーは、エス
テル化反応工程に連続的に供給される。エステル化反応
は、少なくとも2個のエステル化反応器を直列に連結し
た装置を用いてエチレングリコールが還流する条件下
で、反応によって生成した水を精留塔で系外に除去しな
がら実施される。エステル化反応を行う際の反応条件
は、第1段目のエステル化反応の温度が通常240〜270
℃、好ましくは245〜265℃であり、圧力が通常0.2〜3kg
/cm2G、好ましくは0.5〜2kg/cm2Gであり、また最終段目
のエステル化反応の温度が通常250〜280℃、好ましくは
255〜275℃であり、圧力が通常0〜1.5kg/cm2G、好まし
くは0〜1.3kg/cm2Gである。したがって、エステル化反
応を2段階で実施する場合には、第1段目および第2段
目のエステル化反応条件がそれぞれ上記の範囲であり、
3段階以上で実施する場合には、第2段目から最終段の
1段前までのエステル化反応の反応条件は、上記第1段
目の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。
たとえば、エステル化反応が3段階で実施される場合に
は、第2段目のエステル化反応の反応温度は通常245〜2
75℃、好ましくは250〜270℃であり、圧力は通常0〜2k
g/cm2G、好ましくは0.2〜1.5kg/cm2Gである。これらの
エステル化反応の反応率は、それぞれの段階において
は、とくに制限はないが、各段階におけるエステル化反
応率の上昇と度合が滑らかに分配されることが好まし
く、さらに最終段目のエステル化反応生成物においては
通常は90%以上、好ましくは93%以上に達することが望
ましい。これらのエステル化工程により低次縮合物が得
られ、該低次縮合物の数平均分子量は、通常、500〜500
0である。
このようにして得られた低次縮合物は、次の液相重縮
合工程の重縮合反応器に連続的に供給される。重縮合反
応の反応条件は、第1段目の重縮合の反応温度が、通
常、260〜290℃、好ましくは265〜290℃、さらに好まし
くは270〜285℃であり、圧力が通常500〜20Torr、好ま
しくは200〜30Torrであり、また最終段の重縮合反応の
温度が通常270〜300℃、好ましくは275〜295℃であり、
圧力が通常、10〜0.1Torr、好ましくは5〜0.5Torrであ
る。
特に第1段目の重縮合の反応温度を265〜285℃とした
場合に、得られるポリエチレンテレフタレートを290℃
に融解した後、200℃で等温結晶化した場合に生成する
球晶の数(a)が108個/cm3以下であり、この球晶の数
(a)と、280℃に融解した後、200℃で等温結晶化した
場合に生成する球晶の数(b)との差((b)−
(a))が5×107個/cm3以下であるポリエチレンテレ
フタレートが得られる。
重縮合反応を2段階で実施する場合には、第1段目お
よび第2段目の重縮合反応条件はそれぞれ上記の範囲で
あり、3段階以上で実施する場合には、第2段目から最
終段の1段前までの重縮合反応の反応条件は上記1段目
の反応条件と最終段目の反応条件の間の条件である。た
とえば、重縮合反応が3段階で実施される場合には、第
2段目の重縮合反応の反応温度は通常265〜295℃、好ま
しくは270〜290℃、さらに好ましくは270〜285℃であ
り、圧力は通常、50〜2Torr、好ましくは、40〜5Torrの
範囲である。これらの重縮合反応工程の各々において到
達される極限粘度[η]は、とくに制限はないが、各段
階における極限粘度の上昇の度合が滑らかに分配される
ことが好ましく、さらに最終段目の重縮合反応器から得
られるポリエチレンテレフタレートの極限粘度[η]
は、通常0.55〜0.70dl/g、好ましくは0.57〜0.68dl/gの
範囲である。このようにして、最終重縮合反応器から得
られたポリエチレンテレフタレートは、溶融押出成形法
によってチップに成形される。
さらに、このポリエチレンテレフタレートのチップは
固相重縮合工程に供給される固相重縮合工程は少なくと
も1段からなり、重縮合温度が通常190〜230℃、好まし
くは195〜225℃であり、圧力が通常、1kg/cm2G〜10Tor
r、好ましくは常圧ないし100Torrの条件下で、窒素ガ
ス、アルゴンガス、炭酸ガスなどの不活性ガス雰囲気下
で固相重縮合反応が実施される。これらの不活性ガスの
中では窒素ガスが好ましい。
ジオキシエチレンテレフタレート成分は、以上の製造
工程で副反応により生成するが、さらにジエチレングリ
コールを製造過程で添加することにより調製してもよ
い。
前述のエステル化反応は、テレフタル酸およびエチレ
ングリコール以外の添加物を添加せずに実施することも
可能であり、また後述する重縮合の触媒の共存下に実施
することも可能であるが、さらにトリエチルアミン、ト
リn−ブチルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第
3級アミン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化
テトラn−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベン
ジルアンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウム、お
よび炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢
酸ナトリウムなどの塩基性化合物を少量添加して実施す
ると、ポリエチレンテレフタレートの主鎖中のジオキシ
エチレンテレフタレート成分単位の割合を比較的低水準
に保持できるので好ましい。
これらの塩基成分単位化合物の添加方法にはとくに制
限はなく、エステル化反応器のすべてに添加してもよい
し、第1段目あるいは第2段目以降の特定の反応器に添
加してもよい。また、重縮合反応は触媒および安定剤の
存在下に実施されることが好ましい。触媒として二酸化
ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド、ゲルマ
ニウムテトラn−ブトキシドなどのゲルマニウム化合物
を用いることができる。これらの触媒の中では、二酸化
ゲルマニウム化合物を用いると、生成するポリエチレン
テレフタレートの色相および透明性が優れるので好まし
い。また、安定剤としては、トリメチルホスフェート、
トリエチルホスフェート、トリn−ブチルホスフェー
ト、トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェ
ート、トリクレジルホスフェートなどの燐酸エステル
類、トリフェニルホスファイト、トリスドデシルホスフ
ァイト、トリスノニルフェニルホスファイトなどの亜リ
ン酸エステル類、メチルアシッドホスフェート、イソプ
ロピルアシッドホスフェート、ブチルアッシドホスフェ
ート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェー
ト、ジオクチルホスフェートなどの酸性リン酸エステ
ル、およびリン酸、ポリリン酸などのリン化合物が用い
られる。これらの触媒あるいは安定剤の使用割合は、テ
レフタル酸とエチレングリコールの混合物の重量に対し
て、触媒の場合には触媒中の金属の重量として、通常、
0.0005〜0.2重量%、好ましくは0.001〜0.05重量%の範
囲であり、また安定剤の場合には、安定剤中のリン原子
の重量として、通常、0.001〜0.1重量%、好ましくは0.
002〜0.02重量%の範囲である。これらの触媒および安
定剤は、エステル化反応工程の段階において供給するこ
ともできるし、重縮合反応工程の第1段目の反応器に供
給することもできる。
本発明の中空成形体用プリフォームは、前記ポリエチ
レンテレフタレートを通常の方法でプリフォームに成形
加工して得られる。本発明の中空成形体用プリフォーム
は、該ポリエチレンテレフタレートから形成された単層
中空成形体用のプリフォームであってもよいし、該ポリ
エチレンテレフタレートからなる層およびガスバリヤー
性樹脂などポリエチレンテレフタレート以外の樹脂から
なる層から形成された多層中空成形体用の多層プリフォ
ームであってもよい。
本発明の中空成形体用プリフォームを構成するポリエ
チレンテレフタレートには、必要に応じて、従来から公
知の核剤、無機充填材、滑材、スリップ剤、アンチブロ
ッキング剤、安定剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料などの
各種の添加剤が適宜配合されていてもよい。また、本発
明の中空成形体用プリフォームが該ポリエチレンテレフ
タレートから形成された単層中空成形体用の単層プリフ
ォームである場合には、該ポリエチレンテレフタレート
には、さらに必要に応じて、従来から公知のガスバリヤ
ー性を有する樹脂などポリエチレンテレフタレート以外
の樹脂を配合することもでき、その配合割合は適宜の範
囲である。
本発明の中空成形体用プリフォームは従来から公知の
方法で成形することができ、たとえば単層プリフォーム
は射出成形法によって成形することができるし、前記多
層プリフォームは多層の射出成形法によって成形するこ
ともできるし、また同様の積層構造を有する管状物を成
形加工する方法によっても製造することができる。とく
に、射出成形法によってプリフォームを成形する場合、
本発明のポリエチレンテレフタレートを使用すると、射
出成形時に金型のエアーベント部の汚れおよび詰りが非
常に少なくなり、金型の掃除頻度を少なくすることがで
きるために、プリフォーム成形の生産性を大きく向上さ
せることができる。
本発明の中空成形容器は、前記中空成形体用プリフォ
ームを延伸ブロー成形することにより製造される。本発
明の中空成形容器は、前記プリフォームと同様に該ポリ
エチレンテレフタレートから形成された単層中空成形容
器であってもよいし、該ポリエチレンテレフタレートか
らなる層およびガスバリヤー性を有する樹脂などポリエ
チレンテレフタレート以外の樹脂からなる層から形成さ
れた多層中空成形容器であってもよい。
本発明の中空成形容器が多層中空成形容器である場合
には、その器壁の厚みは該ポリエチレンテレフタレート
を主なる肉厚とし、該ガスバリヤー性を有する樹脂など
のポリエチレンテレフタレート以外の樹脂を薄層する積
層体を形成しており、ポリエチレンテレフタレート以外
の樹脂層は最外層であってもよいし、最内層であっても
よいし、また中間層であってもよい。
本発明の中空成形容器を構成するポリエチレンテレフ
タレートには、必要に応じて、従来から公知の該剤、無
機充填剤、滑剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、
安定剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料などの各種の添加剤
が適宜量配合されていてもよい。また、本発明の中空成
形容器が該ポリエチレンテレフタレートの単層容器であ
る場合には、該ポリエチレンテレフタレートには、さら
に必要に応じて、従来から公知のガスバリヤー性を有す
る樹脂などのポリエチレンテレフタレート以外の樹脂を
配合することもでき、その配合割合は適宜の範囲であ
る。
本発明の中空成形容器は、通常、延伸されており、一
軸延伸中空成形容器である場合もあるし、二軸延伸中空
成形容器である場合もある。該中空成形容器が一軸延伸
中空成形容器である場合には、延伸倍率は、通常、1.1
〜10倍、好ましくは1.2〜8倍、とくに好ましくは1.5〜
7倍の範囲であり、二軸延伸中空成形容器である場合に
は、その延伸倍率は、縦軸方向に通常1.1〜8倍、好ま
しくは1.2〜7倍、とくに好ましくは1.5〜6倍の範囲で
あり、横軸方向には通常、1.1〜8倍、好ましくは1.2〜
7倍、とくに好ましくは1.5〜6倍の範囲である。
該中空成形容器の製造において、本発明のポリエチレ
ンテレフタレートを使用すると、一軸延伸ブロー成形あ
るいは二軸延伸ブロー成形にあたって、ブロー金型の汚
れが従来に比べて非常に少なくなり、ブロー金型の掃除
の頻度を少なくすることができるために、延伸ブロー成
形時の生産性を大きく向上させることができる。
本発明の中空成形容器は、前記中空成形体用プリフォ
ームを延伸ブロー成形することにより製造される。その
方法としては、加熱したプリフォームを縦軸方向に延伸
した後に、さらにブロー成形することにより横軸方向に
延伸する方法などを例示することができる。ブロー成形
の際のプリフォームの加熱温度は、通常、80〜130℃、
好ましくは85〜125℃の範囲であり、ブロー成形金型温
度は、通常、常温ないし200℃、好ましくは40〜180℃の
範囲である。ヒートセットを施す方法としては従来から
公知の方法が採用され、ヒートセットの温度は、通常11
0〜170℃、好ましくは120〜160℃の範囲である。
[実施例] 次に、実施例によって本発明を具体的に説明する。
実施例1 図1に示すような、第1、第2、第3、第4および第
5の反応器が槽型であり、また第6の反応器が二軸回転
式の横型反応器からなる連続重縮合装置を用いて、以下
のとおり操作して連続重合を行い、ポリエチレンテレフ
タレートを製造した。
予め3750重量部の反応液が滞留されており、撹拌下25
5℃で窒素雰囲気下に1.7kg/cm2Gの条件下に維持された
第1反応器に、毎時高純度テレフタル酸1437重量部およ
びエチレングリコール645重量部を混合して調製したス
ラリーを連続的に供給し、第1段目のエステル化反応を
行った。この第1段目のエステル化反応においては、20
3重量部の水と3重量部のエチレングリコールとの混合
液が留去された。また、この第1段目のエステル化反応
物は、平均滞留時間が2.0時間になるように制御され、
連続的に撹拌下260℃で0.8kg/cm2Gの条件下に維持され
た第2反応器に導かれた。この反応器2においては、毎
時0.35重量部の二酸化ゲルマニウムと32重量部のエチレ
ングリコールとの均一溶液が連続的に供給されるととも
に、毎時84重量部の水と7重量部のエチレングリコール
との混合液が連続的に留去されて、第2段目のエステル
化反応が継続された。また、この第2段目のエステル化
反応物は、平均滞留時間が2.0時間になるように制御さ
れ、連続的に撹拌下265℃で常圧の条件下に維持された
第3反応器に導かれた。この第3反応器においては、毎
時1.23重量部のトリメチルホスフェートと22重量部のエ
チレングリコールとが混合された均一溶液が連続的に供
給されるとともに、毎時21重量部の水と38重量部のエチ
レングリコールとの混合液が連続的に留去され、第3段
目のエステル化反応が継続された。
この第3段目のエステル化反応物も平均滞留時間が2.
0時間となるように制御され、連続的に撹拌下275℃で70
mmHgに維持された第4反応器に導かれた。この第4反応
器においては、毎時62重量部のエチレングリコールと6
重量部の水との混合物が連続的に留去されて、第1段目
の重縮合反応が行われた。また、この第1段目の重縮合
反応物は、平均滞留時間が1.0時間となるように制御さ
れ、連続的に撹拌下280℃で5mmHgに維持された第5反応
器に導かれた。
この第5反応器においては、毎時26重量部のエチレン
グリコールと3重量部の水との混合液が連続的に留去さ
れて、第2段目の重縮合反応が継続された。また、この
第2段目の重縮合反応物は、平均滞留時間が1.0時間に
なるように制御され、連続的に282℃〜285℃で1.8mmHg
〜2.5mmHgの条件下に維持された横型二軸回転式反応槽
である第6反応器に導かれた。
この第6反応器においては、毎時12重量部のエチレン
グリコールと1重量部の水との反応液が連続的に留去さ
れて、第3段目の重縮合反応が継続された。また、この
第3段目の重縮合反応物は、平均滞留時間が2.5時間と
なるように制御され、連続的にポリエステル抜き出し装
置によって、反応器外にストランド状で抜き出され、水
中に浸漬されて冷却された後、ストランドカッターによ
ってチップ状に裁断された。以上の液相重合によって得
られたポリエチレンテレフタレートのo−クロロフェノ
ール中で25℃で測定した極限粘度[η]は0.62dl/gであ
り、またジオキシエチレンテレフタレート成分の含有量
は2.50モル%であった。
さらに、その液相重合によるポリエチレンテレフタレ
ートは、窒素雰囲気下約140℃で約15時間乾燥するとと
もに結晶化を行った後、塔型の固相重合器に装填し、窒
素雰囲気下205℃で15時間固相重合を行った。このよう
にして得られたポリエチレンテレフタレートのo−クロ
ロフェノール中25℃で測定した極限粘度[η]は0.80dl
/gであり、またそのジオキシエチレンテレフタレート成
分の含量は2.53モル%であり、その昇温結晶化温度Tcc
は174℃であった。また290℃に融解した後、200℃で等
温結晶化した場合に生成する球晶の数は、5×107個/cm
3であり、この球晶の数と、280℃に融解した後200℃で
等温結晶化した場合に生成した球晶の数との差は、3×
107個/cm3であった。
次に、この固相重合によって製造したポリエチレンテ
レフタレートを約140℃で約5mmHgの減圧下に約16時間乾
燥し、さらに名機製作所(株)製M−70A−SJ型射出成
形機を用いて1回の成形で各々2、3、4、5、6、7m
mの厚みのプレートが同時に成形できる段付角板金型
に、シリンダー温度が260℃〜275℃であり、金型温度が
約40℃である条件で射出成形して段付角板を得た。得ら
れた段付角板の厚みが5mmのプレートの曇り度を村上色
彩(株)製HM−100型ヘイズメーターを用いて測定した
結果、4.8%であった。
実施例2〜3 実施例1の液相重合によって得られたポリエチレンテ
レフタレートの固相重合において、重合条件を表1に記
載のとおりとする以外は、実施例1と同様にして固相重
合を行った。得られたポリエチレンテレフタレートの極
限粘度[η]、ジオキシエチレンテレフタレート成分の
含量および昇温結晶化温度は、それぞれ表1に記載のと
おりであった。
さらに、実施例1と同様にして段付角板を成形して、
それらの厚みが5mmのプレートの曇り度を測定した結果
は、それぞれ表1に記載のとおりであった。
実施例4 図1において、第1反応器を使用せず、スラリーポン
プの出口の配管を第2反応器に連結した装置を用いて、
以下のとおり操作して連続液相重合を行い、ポリエチレ
ンテレフタレートを製造した。
あらかじめ3757部の反応液が滞留されており、撹拌下
250℃で窒素雰囲気下に1.5kg/cm2の条件下に維持された
第2反応器に、毎時高純度テレフタル酸1437部およびエ
チレングリコール645部を混合して調製したスラリーを
連続的に供給して第1段目のエステル化反応を行った。
この第1段目のエステル化反応においては、毎時196
重量部の水と3重量部のエチレングリコールとの混合物
が留去された。また、第1段目のエステル化反応物は、
平均滞留時間が2.0時間になるように制御され、連続的
に撹拌下260℃で0.8kg/cm2の条件下に維持された第3反
応器に導かれた。この第3反応器においては、毎時0.35
重量部の二酸化ゲルマニウムと32重量部のエチレングリ
コールとの均一溶液が連続的に供給されるとともに、毎
時87重量部の水と7重量部のエチレングリコールとの混
合物が連続的に留去されて、第2段目のエステル化反応
が継続された。また、この第2段目のエステル化反応物
は、平均滞留時間が2.0時間になるように制御され、連
続的に265℃で常圧の条件下に維持された第4反応器に
導かれた。
この第4反応器においては、毎時0.20重量部のメチル
アシッドホスフェートと22重量部のエチレングリコール
とが混合された均一溶液が連続的に供給されるととも
に、毎時22重量部の水と40重量部のエチレングリコール
との混合液が連続的に留去されて第3段目のエステル化
反応が継続された。また、この第3段目のエステル化反
応物も平均滞留時間が2.0時間になるように制御され、
連続的に撹拌下277℃で50mmHgに維持された第5反応器
に導かれた。
この第5反応器においては、毎時72重量部のエチレン
グリコールと5重量部の水との混合液が連続的に留去さ
れて、第1段目の重縮合反応が行われた。また、この第
1段目の重縮合反応物は、平均滞留時間が2.0時間とな
るように制御され、連続的に282℃〜285℃で1.5mmHg〜
2.0mmHgの条件下に維持された第6反応器に導かれた。
この第6反応器においては、毎時26重量部のエチレン
グリコールと1重量部の水との混合液が連続的に留去さ
れて、第2段目の重縮合反応が継続された。また、この
第2段目の重縮合反応物は、平均滞留時間が2.8時間に
なるように制御されて、実施例1と同様に連続的にポリ
エステル抜出し装置を通して抜出され、さらに冷却され
たのちチップ状に細断された。この液相重合によって得
られたポリエチレンテレフタレートの極限粘度[η]お
よびジオキシエチレンテレフタレート成分含量を実施例
1と同様に測定した結果は、それぞれ0.62dl/gおよび2.
54モル%であった。
さらに、その液相重合によって得られたポリエチレン
テレフタレートを実施例1と同様に乾燥したのち、さら
に実施例1と同じ装置を用いて同様の条件で固相重合し
た。その結果、得られたポリエチレンテレフタレートの
極限粘度[η]は0.79dl/gであり、またそのジオキシエ
チレンテレフタレート成分含量は2.55モル%であり、さ
らに290℃融解後、200℃で等温結晶化した場合に生成し
た球晶の数(a)は6×107個/cm3であり、またその昇
温結晶化温度Tccは173℃であった。280℃融解後、200℃
で等温結晶化した場合に生成した球晶の数(b)と
(a)の差は1×107個/cm3であった。
つぎに、この固相重合によって製造したポリエチレン
テレフタレートを実施例1と同様に乾燥し、さらに実施
例1と同じ装置を用いて同様の条件で段付角板を成形し
た。得られた段付角板の厚みが5mmのプレートの曇り度
を実施例1と同様に測定した結果、7.1%であった。
比較例1 図1において、第1、第3、第4および第6反応器を
使用せず、スラリーポンプの出口の配管を第2反応器に
連結し、また第2反応器の出口配管と第5反応器に連結
した装置を用いて、以下のとおり第2反応器によってエ
ステル化反応を、さらに第5反応器によって重縮合反応
を行って、ポリエチレンテレフタレートを製造した。
180℃で1.5kg/cm2の窒素雰囲気下に維持された第2反
応器に、2874重量部の高純度テレフタル酸および1235重
量部のエチレングルコールとを混合物として調製された
スラリーを充填し、さらに0.70重量部の二酸化ゲルマニ
ウムと30重量部のエチレングリコールとの均一溶液を撹
拌下に仕込んだ。ついで、圧力を1.5kg/cm2に維持した
まま、約30分間かけて温度を255℃まで上昇させて、エ
ステル化反応を開始せしめた。エステル化反応は、留出
水中のエチレングリコールの含有量が5重量%以下にな
るように制御しながら255℃で1.5kg/cm2の加圧下、6.4
時間継続された。このエステル化反応では、605重量部
の水と30重量部のエチレングリコールとの混合液が留去
された。
エステル化反応終了後、反応器の圧力を常圧に戻し、
ついで0.40重量部のメチルアシッドホスフェートと24重
量部のエチレングリコールとの混合溶液を添加したの
ち、撹拌下に約15分間保持した。ついで、このエステル
化反応生成物を260℃で窒素雰囲気下常圧に保持された
第5反応器に移液し、ついで撹拌下に約1時間かけて常
温から約1mmHgにするとともに275℃まで昇温して、重縮
合反応を開始した。重縮合反応は、真空度を約1mmHgに
保持したままで275℃で約1.5時間行い、さらに285℃ま
で昇温して約1時間行った。この重縮合反応では、157
重量部のエチレングリコールと26重量部の水との混合液
が留去した。
重縮合反応後、反応器の圧力を窒素で常圧にもどし、
ついでポリエステル抜出し装置を通して約25分間の間に
抜き出し、実施例1と同様に冷却されたのちチップ状に
細断された。この液相重合によって得られたポリエチレ
ンテレフタレートの極限粘度[η]およびジオキシエチ
レンテレフタレート成分含量を実施例1と同様に測定し
た結果、それぞれ0.61dl/gおよび2.57モル%であった。
さらに、その液相重合によって得られたポリエチレン
テレフタレートを実施例1と同様に乾燥したのち、さら
に実施例1と同じ装置を用いて同様の条件で固相重合し
た。その結果、得られたポリエチレンテレフタレートの
極限粘度[η]は0.79dl/gであり、またそのジオキシエ
チレンテレフタレート成分の含量は2.57モル%であり、
その昇温結晶化温度Tccは147℃であった。さらに290℃
融解後、200℃で等温結晶化した場合に生成した球晶の
個数(a)は9×107個/cm3であり、280℃融解後、200
℃で等温結晶化した場合に生成した球晶の数(b)と
(a)の差は1.2×108個/cm3であった。
つぎに、この固相重合によって製造したポリエチレン
テレフタレートを実施例1と同様に乾燥し、さらに実施
例1と同じ装置を用いて同様の条件で段付角板を成形し
た。得られた段付角板の厚みが5mmのプレートの曇り度
を実施例1と同様に測定した結果、27%であった。
実施例5 実施例1の固相重合によって得たポリエチレンテレフ
タレートを窒素雰囲気下、約140℃で約15時間乾燥後、
射出成形機を用いて成形温度約280℃で溶融し、10℃に
冷却されたプリフォーム金型に成形圧力約800kg/cm2
射出成形し、外径28mm、厚さ4mmのプリフォームを作製
した。ついで、口詮部のみ160℃オイルバス中にて結晶
化したプリフォームを作った。この口詮部結晶化プリフ
ォームを二軸延伸吹込成形機(コーポプラスト(CORPO
−PLAST)社製LB01)を用いて、吹込み圧力約20kg/c
m2、プリフォーム加熱時間約60秒、延伸温度約100℃の
条件下で縦約2倍および横約3倍に二軸延伸し、さらに
約140℃の表面温度を要する金型内で約10秒間保持した
後、金型を冷却する方法によってヒートセットを行っ
て、内容積が1.0の胴部に6枚の減圧パネルを有し、
底部が底上げの二軸延伸ボトルを作製した。ボトルの透
明性は良好であった。
つぎに、このボトルに85℃の熱水を充填し、10分間室
温で放置後、約25℃の水中に浸漬して冷却し、ボトルの
形状を調べた結果、まったく変形は認められなかった。
実施例6〜8 実施例2、3および4の固相重合によって得られたポ
リエチレンテレフタレートを用いて二軸延伸ボトルを製
造するにあたって、二軸延伸吹込成形の条件をそれぞれ
表2に記載のとおりとする以外は、実施例5と同様にし
て成形した。ボトルの透明性は良好であった。さらに得
られた二軸延伸ボトルにそれぞれ実施例5と同様に85℃
の熱水を充填してボトルの変形試験を行った結果、いず
れのボトルにも変形は認められなかった。
比較例2〜3 比較例1の固相重合によって得られたポリエチレンテ
レフタレートを用いて、それぞれ実施例5、6および7
とまったく同様の条件で二軸延伸ボトルを製造した。そ
のボトルはボトル胴部が少し白化していた。さらに得ら
れた二軸延伸ボトルにそれぞれ実施例5と同様に85の熱
水を充填してボトルの変形試験を行った。その結果、い
ずれのボトルもボトル肩部に収縮が生じ、かつボトル胴
部のパネル部にふくれが認められた。
発明の効果 本発明のポリエチレンテレフタレートは、機械的強
度、耐熱性および透明性に優れているので、本発明のポ
リエチレンテレフタレートから成形された中空成形容器
はジュース、清涼飲料、炭酸飲料、調味料などの高温充
填性に優れており、さらには高温充填時の熱変形がな
く、殺菌処理を容易に行うことができ、高速充填性に優
れているという特徴がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のポリエチレンテレフタレートの製造法
を説明するための装置の工程図の一例を示す。 1……スラリー調製槽、2……スラリー貯留槽 3,4……エステル化反応装置 5,6……エステル化反応、重縮合兼用装置 7……重縮合装置 8……横型連続重縮合装置 9……スラリーポンプ、10〜14……ポンプ 15,16……ポリエステル抜出し装置 17〜20……精留塔、21〜28……冷却器 29〜30……レシーバー

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)一般式[I] で表されるエチレンテレフタレート成分単位(a)が、
    97.0〜98.6モル%の範囲および一般式[II] で表されるジオキシエチレンテレフタレート成分単位
    (b)が、1.4〜3.0モル%の範囲から形成され、かつ両
    成分単位がランダムに配列しており、 (B)o−クロロフェノール中で25℃で測定した極限粘
    度[η]が、0.70〜0.90dl/gの範囲にあり、 (C)示差走査型熱量計(DSC)で10℃/分の昇温速度
    で測定した結晶化温度(Tcc)が165.0℃以上であり、か
    つ 67.5[η]+119.0≦Tcc≦67.5[η]+133.5 で表される範囲にあり、 (D)290℃で融解した後、200℃で等温結晶化した場合
    に生成する球晶の数(a)が108個/cm3以下であり、こ
    の球晶の数(a)と、280℃に融解した後200℃で等温結
    晶化した場合に生成する球晶の数(b)との差((b)
    −(a))が5×107個/cm3以下である、 ことによって特徴づけられるポリエチレンテレフタレー
    ト。
  2. 【請求項2】前記一般式[I]で表されるエチレンテレ
    フタレート成分単位(a)が、97.3〜98.3モル%の範囲
    および前記一般式[II]で表されるジオキシエチレンテ
    レフタレート成分単位(b)が、1.7〜2.7モル%の範囲
    にある請求項1に記載のポリエチレンテレフタレート。
  3. 【請求項3】テレフタル酸とエチレングリコールとの混
    合物を少なくとも2段階のエステル化反応工程で連続的
    に反応させることにより低次縮合物とし、さらにこれを
    少なくとも2段の液相重縮合工程で連続的に減圧下に重
    縮合させることによりポリエステルを得、該ポリエステ
    ルを溶融押出法によりポリエステルチップとし、該ポリ
    エステルチップを少なくとも1段の固相重合工程で不活
    性ガス雰囲気中で重縮合させて得られた請求項1または
    2に記載のポリエチレンテレフタレート。
  4. 【請求項4】二酸化ゲルマニウム触媒を用いて得られた
    請求項1なしい3のいずれかに記載のポリエチレンテレ
    フタレート。
  5. 【請求項5】(A)一般式[I] で表されるエチレンテレフタレート成分単位(a)が、
    97.0〜98.6モル%の範囲および一般式[II] で表されるジオキシエチレンテレフタレート成分単位
    (b)が、1.4〜3.0モル%の範囲から形成され、かつ両
    成分単位がランダムに配列しており、 (B)o−クロロフェノール中で25℃で測定した極限粘
    度[η]が、0.70〜0.90dl/gの範囲にあり、 (C)示差走査型熱量計(DSC)で10℃/分の昇温速度
    で測定した結晶化温度(Tcc)が165.0℃以上であり、か
    つ 67.5[η]+119.0≦Tcc≦67.5[η]+133.5 で表される範囲にあり、 (D)290℃で融解した後、200℃で等温結晶化した場合
    に生成する球晶の数(a)が108個/cm3以下であり、こ
    の球晶の数(a)と、280℃に融解した後200℃で等温結
    晶化した場合に生成する球晶の数(b)との差((b)
    −(a))が5×107個/cm3以下である、 ことによって特徴づけられるポリエチレンテレフタレー
    トから成形された中空成形体用プリフォーム。
  6. 【請求項6】前記ポリエチレンテレフタレートは、前記
    一般式[I]で表されるエチレンテレフタレート成分単
    位(a)が、97.3〜98.3モル%の範囲および前記一般式
    [II]で表されるジオキシエチレンテレフタレート成分
    単位(b)が、1.7〜2.7モル%の範囲にある請求項5に
    記載の中空成形体用プリフォーム。
  7. 【請求項7】前記ポリエチレンテレフタレートは、テレ
    フタル酸とエチレングリコールとの混合物を少なくとも
    2段階のエステル化反応工程で連続的に反応させること
    により低次縮合物とし、さらにこれを少なくとも2段の
    液相重縮合工程で連続的に減圧下に重縮合させることに
    よりポリエステルを得、該ポリエステルを溶融押出法に
    よりポリエステルチップとし、該ポリエステルチップを
    少なくとも1段の固相重合工程で不活性ガス雰囲気中で
    重縮合させて得られたものである請求項5または6に記
    載の中空成形体用プリフォーム。
  8. 【請求項8】前記ポリエチレンテレフタレートは、二酸
    化ゲルマニウム触媒を用いて得られたものである請求項
    5なしい7のいずれかに記載の中空成形体用プリフォー
    ム。
  9. 【請求項9】(A)一般式[I] で表されるエチレンテレフタレート成分単位(a)が、
    97.0〜98.6モル%の範囲および一般式[II] で表されるジオキシエチレンテレフタレート成分単位
    (b)が、1.4〜3.0モル%の範囲から形成され、かつ両
    成分単位がランダムに配列しており、 (B)o−クロロフェノール中で25℃で測定した極限粘
    度[η]が、0.70〜0.90dl/gの範囲にあり、 (C)示差走査型熱量計(DSC)で10℃/分の昇温速度
    で測定した結晶化温度(Tcc)が165.0℃以上であり、か
    つ 67.5[η]+119.0≦Tcc≦67.5[η]+133.5 で表される範囲にあり、 (D)290℃で融解した後、200℃で等温結晶化した場合
    に生成する球晶の数(a)が108個/cm3以下であり、こ
    の球晶の数(a)と、280℃に融解した後200℃で等温結
    晶化した場合に生成する球晶の数(b)との差((b)
    −(a))が5×107個/cm3以下である、 ことによって特徴づけられるポリエチレンテレフタレー
    トから成形された中空成形容器。
  10. 【請求項10】前記ポリエチレンテレフタレートは、前
    記一般式[I]で表されるエチレンテレフタレート成分
    単位(a)が、97.3〜98.3モル%の範囲および前記一般
    式[II]で表されるジオキシエチレンテレフタレート成
    分単位(b)が、1.7〜2.7モル%の範囲にある請求項9
    に記載の中空成形容器。
  11. 【請求項11】前記ポリエチレンテレフタレートは、テ
    レフタル酸とエチレングリコールとの混合物を少なくと
    も2段階のエステル化反応工程で連続的に反応させるこ
    とにより低次縮合物とし、さらにこれを少なくとも2段
    の液相重縮合工程で連続的に減圧下に重縮合させること
    によりポリエステルを得、該ポリエステルを溶融押出法
    によりポリエステルチップとし、該ポリエステルチップ
    を少なくとも1段の固相重合工程で不活性ガス雰囲気中
    で重縮合させて得られたものである請求項9または10に
    記載の中空成形容器。
  12. 【請求項12】前記ポリエチレンテレフタレートは、二
    酸化ゲルマニウム触媒を用いて得られたものである請求
    項9なしい11のいずれかに記載の中空成形容器。
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