JP3685301B2 - ポリエステル樹脂 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボトル、フイルム、シートなどの成形品に用いられるポリエステル樹脂に関する。詳しくは、透明性および耐熱寸法安定性の優れた成形品、特に中空成形品を与えるポリエステル樹脂に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステル樹脂、特にポリエチレンテレフタレート(以下単に「PET」と略称する)はその優れた透明性、機械的強度、耐熱性、ガスバリヤー性等の特性により炭酸飲料、ジュース、ミネラルウオータ等の容器の素材として採用されておりその普及はめざましいものがある。
【0003】
一般にこのような用途に使用されるPETは、主としてテレフタール酸、エチレングリコールを原料とし、重縮合触媒としてゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物およびこれらの混合物などを用いて製造される。
前記の触媒の中で、アンチモン触媒は価格が低いことから繊維やフイルム用のPETを製造するさいの触媒として使用されている。しかし、ゲルマニウム化合物やチタン化合物を触媒として用いた場合に比べて、得られたPETの結晶化速度が速く、透明性の優れた中空成形品を得ることが非常に困難である。
【0004】
これらの問題点を解決するため、重縮合触媒としてゲルマニウム化合物やこれとチタン化合物の混合物が使用されているが、高価なゲルマニウム化合物を使用するとPETのコストが高くなるという欠点がある。
このような問題点を解決する方法として、例えば特開平6−279579号公報では、アンチモン化合物とリン化合物の使用量比を規定することにより透明性を改良される方法が開示されている。しかしながら、この方法で得られたPETからの中空成形品の透明性は、十分なものではない。
また、特開平10−36495号公報には、三酸化アンチモン、リン酸およびスルホン酸化合物を使用して透明性に優れたポリエステルの連続製造法が開示されている。しかしながら、このような方法で得られたポリエステルは熱安定性が悪く、得られた中空成形品のアセトアルデヒド含量が高くなり問題である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題を解決し、透明性が優れた成形品が得られ、且つ、安価なポリエステル樹脂を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち、本発明のポリエステル樹脂は、アンチモン化合物を触媒として製造される主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステル樹脂において、
(a)この樹脂から成形した非晶成形体を、140℃で60秒間加熱した時の密度が1.338(g/cm3 )以下で、かつ140℃での密度上昇速度が0.4×10-3〜0.8×10-3(g/(cm3 ・秒))
(b)前記非晶成形体を180℃で20秒間加熱した時の密度が1.338(g/cm3 )以下で、かつ180℃での密度上昇速度が1.0×10-3〜3.5×10-3(g/(cm3 ・秒))
の範囲であることを特徴とするポリエステル樹脂である。
【0007】
上記の特性を持つポリエステル樹脂は、透明性、および、耐熱寸法安定性の優れた成形品、特に中空成形品を与える。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるポリエステル樹脂とは、エチレンテレフタレート単位を85モル%以上含む線状ポリエステル樹脂であり、好ましくは90モル%以下、さらに好ましくは95モル%以上含む線状ポリエステル樹脂である。
【0009】
前記ポリエステル樹脂の共重合に使用されるジカルボン酸としては、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニール−4,4’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、p−オキシ安息香酸、オキシカプロン酸等のオキシ酸及びその機能的誘導体、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、グルタル酸等の脂肪族ジカルボン酸及びその機能的誘導体、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸及びその機能的誘導体などが挙げられる。
【0010】
前記ポリエステル樹脂の共重合に使用されるグリコールとしては、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等の芳香族グリコールなどが挙げられる。
【0011】
さらに、前記ポリエステル樹脂中の多官能化合物からなるその他の共重合成分としては、酸成分として、トリメリット酸、ピロメリット酸等を挙げることができ、またグリコール成分としてグリセリン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの多官能化合物からなる共重合成分の使用量は、ポリエステル樹脂が実質的に線状を維持する程度でなければならない。
【0012】
本発明のポリエステル樹脂は、アンチモン化合物を触媒として製造される主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステル樹脂であって、この樹脂から成形した非晶成形体を、
(a)140℃で60秒間加熱した時の密度が1.338(g/cm3 )以下、好ましくは1.337(g/cm3 )以下、更に好ましくは(1.336g/cm3 )以下で、かつ140℃での密度上昇速度が0.4×10-3〜0.8×10-3(g/(cm3 ・秒))、好ましくは0.45×10-3〜0.75×10-3(g/(cm3 ・秒))、更に好ましくは0.50×10-3〜0.70×10-3(g/(cm3 ・秒))の範囲にあり、
(b)180℃で20秒間加熱した時の密度が1.338(g/cm3 )以下、好ましくは1.337(g/cm3 )以下、更に好ましくは1.336(g/cm3 )以下で、かつ180℃での密度上昇速度が1.0×10-3〜3.5×10-3(g/(cm3 ・秒))、好ましくは1.1×10-3〜3.4×10-3(g/(cm3 ・秒))、更に好ましくは1.2×10-3〜3.3×10-3(g/(cm3 ・秒))の範囲であることを特徴とするポリエステル樹脂である。
【0013】
140℃で60秒間加熱した時の密度が1.338(g/cm3 )以上で、かつ140℃での密度上昇速度が0.8×10-3(g/(cm3 ・秒))以上、そして180℃で20秒間加熱した時の密度が1.338(g/cm3 )以上で、かつ180℃での密度上昇速度が3.5×10-3(g/(cm3 ・秒))以上の場合は、得られた成形品の透明性は非常に悪くなる。140℃での密度上昇速度が0.4×10-3(g/(cm3 ・秒))以下で、かつ180℃での密度上昇速度が1.0×10-3(g/(cm3 ・秒))以下の場合は、得られた成形品の耐熱性が悪くなる。
【0014】
本発明のポリエステル樹脂は、テレフタール酸とエチレングリコール及び/又は第三成分を直接反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメチルとエチレングリコール及び/又は第三成分を反応させてメチルアルコールを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を行うエステル交換法により製造されるが、この製造過程でMg化合物、Ca化合物、Co化合物、Mn化合物及びZn化合物より選ばれた少なくとも1種の金属化合物およびP化合物を2回以上に分割して添加し、またエステル化反応またはエステル交換反応が実質的に終了後から重縮合反応前までにSb化合物を添加して重縮合を行うことにより得ることが出来る。
【0015】
さらにポリエステル樹脂の分子量を増大させ、アセトアルデヒド含量を低下させるために固相重合を行ってもよい。
前記のエステル化反応、エステル交換反応、溶融重縮合反応および固相重合反応は、回分式反応装置でおこなっても良いしまた連続式反応装置で行っても良い。
【0016】
本発明で用いられるMg化合物、Ca化合物、Co化合物、Mn化合物およびZn化合物は反応系に可溶な化合物であれば全て使用できる。
【0017】
Mg化合物としては、水素化マグネシウム. 、酸化マグネシウム、酢酸マグネシウムのような低級脂肪酸塩、マグネシウムメトキサイドのようなアルコキサイド等が挙げられる。
Ca化合物としては、水素化カルシウム、水酸化カルシウム、酢酸カルシウムのような低級脂肪酸塩、カルシウムメトキサイドのようなアルコキサイド等が挙げられる。
Co化合物としては、酢酸コバルトのような低級脂肪酸塩、ナフテン酸コバルト、安息香酸コバルト等の有機酸塩、塩化コバルト等の塩化物、コバルトアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0018】
Mn化合物としては、酢酸マンガン、安息香酸マンガン等の有機酸塩、塩化マンガン等の塩化物、マンガンメトキサイド等のアルコキサイド、マンガンアセチルアセトナート等が挙げられる。
Zn化合物としては、酢酸亜鉛、安息香酸亜鉛等の有機酸塩、塩化亜鉛等の塩化物、亜鉛メトキサイド等のアルコキサイド、亜鉛アセチルアセトナート等が挙げられる。
【0019】
本発明で使用されるP化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸およびそれらの誘導体等が挙げられる。具体例としてはリン酸、リン酸トリメチルエステル、リン酸トリエチルエステル、リン酸トリブチルエステル、リン酸トリフェニールエステル、リン酸モノメチルエステル、リン酸ジメチルエステル、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブチルエステル、亜リン酸、亜リン酸トリメチルエステル、亜リン酸トリエチルエステル、亜リン酸トリブチルエステル、メチルホスホン酸、メチルホスホン酸ジメチルエステル、エチルホスホン酸ジメチルエステル、フェニールホスホン酸ジメチルエステル、フェニールホスホン酸ジエチルエステル、フェニールホスホン酸ジフェニールエステル等であり、これらは単独で使用してもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明で使用されるSb化合物としては、三酸化アンチモン、酢酸アンチモン、酒石酸アンチモン、酒石酸アンチモンカリ、オキシ塩化アンチモン、アンチモングリコレート、五酸化アンチモン、トリフェニルアンチモン等が挙げられる。本発明で用いられるMg化合物、Ca化合物、Co化合物、Mn化合物およびZn化合物は、ポリエステル樹脂の製造過程で少なくとも2回以上に分割して添加するのが好ましく、また生成ポリマー中の含有量が金属原子としてポリマー1トン中0.03〜5.0モルの範囲になるように添加する。
【0021】
本発明で用いられるP化合物は、ポリエステル樹脂の製造過程で少なくとも2回以上に分割して添加するのが好ましく、また生成ポリマー中のP原子に対するポリマー中のMg化合物、Ca化合物、Co化合物、Mn化合物およびZn化合物の合計金属原子比として0.1〜3.0の範囲になるように添加する。
【0022】
Mg化合物、Ca化合物、Co化合物、Mn化合物、Zn化合物およびP化合物を分割して添加する方法は、ポリエステル樹脂の製造を回分式で実施する場合は添加時期をずらすことにより、また連続式で実施する場合は添加場所を変更することにより行うことが出来る。ポリエステル樹脂の製造を連続式で実施する場合は、反応缶の個数を増加して少なくとも2つの反応缶に別々に添加する方法、同じ反応缶で反応の進行順に少なくとも2カ所以上の添加位置を別々に設けて添加する方法、また反応缶と反応缶の連続部にラインミキシングする方法等種々の方法が採用される。
【0023】
Mg化合物、Ca化合物、Co化合物、Mn化合物およびZn化合物の添加量の分割割合は、初回の添加量を全添加量の約50%以下にするのが好ましく、30%以下にするのが特に好ましい。
【0024】
P化合物の添加量の分割割合は、初回の添加量を全添加量の約50%以下にするのが好ましく、30%以下にするのが特に好ましい。またそれぞれMg化合物、Ca化合物、Co化合物、Mn化合物およびZn化合物の添加後に添加するのが好ましい。
【0025】
第1回目のMg化合物、Ca化合物、Co化合物、Mn化合物、Zn化合物およびP化合物の添加時期は、エステル化およびエステル交換反応前または反応途中でもよいし、終了後でもよいが、第2回目以降の添加時期はエステル化またはエステル交換反応途中又は終了後が好ましい。
【0026】
本発明で使用されるSb化合物は、生成ポリマー中の含有量が金属原子としてポリマー1トン中0.1〜2.5モルの範囲になるように添加する。
【0027】
本発明のポリエステル樹脂の極限粘度は、0.57〜0.90dl/g、好ましくは0.58〜0.88dl/g、さらに好ましくは0.60〜0.85dl/gの範囲である。0.57dl/g以下では、得られた成形品等の機械的特性が悪い。また、0.90dl/gを越える場合は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量化合物が増加したり、成形品が黄色に着色する等の問題が起こる。
【0028】
また、本発明のポリエステル樹脂を構成するジエチレングリコール量はグリコール成分の1.5〜5.0モル%、好ましくは1.6〜4.5モル%、更に好ましくは1.7〜4.0モル%である。ジエチレングリコール量が1.5モル%以下の場合は、結晶化速度が早いため本発明で規定した成形体の密度が本発明で規定する範囲に入らず、得られた成形品の透明性が悪くなる。またジエチレングリコール量が5.0モル%以上の場合は、ポリエステル樹脂のガラス転移点が低下し、得られた成形品の耐熱性が低下し、また熱安定性が悪いため成形時にアセトアルデヒド含量の増加量が大となり、保香性に悪影響を与える。
【0029】
また、本発明のポリエステル樹脂のアセトアルデヒド含量は10ppm以下、好ましくは8ppm以下、更に好ましくは5ppm以下である。アセトアルデヒド含量が10ppm以上の場合は、このポリエステル樹脂から成形された容器等の内容物の風味や臭い等が悪くなる。
【0030】
また、本発明のポリエステル樹脂の環状3量体の含有量は0.35重量%以下、好ましくは0.33重量%以下、さらに好ましくは0.32重量%以下である。本発明のポリエステル樹脂から耐熱性の中空成形品等を成形する場合は加熱金型内で熱処理を行うが、環状3量体の含有量が0.35重量%以上含有する場合には、加熱金型表面へのオリゴマー付着が急激に増加し、得られた中空成形品等の透明性が非常に悪化する。
【0031】
本発明のポリエステル樹脂は、一般に用いられる溶融成形法により、中空成形品、フイルム、シート等に成形することが出来る。中空成形品を製造する場合は、公知のホットパリソン法またはコールドパリソン法等の方法を用いて本発明のポリエステル樹脂から、透明な、耐熱性に優れた中空成形品を作ることが出来る。
【0032】
本発明のポリエステル樹脂を用いて中空成形品を製造する場合は、先ず射出成形により予備成形体を成形し、次いでこれを延伸ブロー成形してボトルに成形する。射出成形は、一般に約265〜約300℃の射出温度、約30〜約70kg/cm2 の射出圧力で実施し、予備成形体を成形する。この予備成形体の口栓部を熱処理して結晶化させる。このようにして得られた予備成形体を、コールドパリソン法の場合は約80〜約120℃に予熱し、またホットパリソン法の場合は約80〜約120℃になるように冷却する。この予備成形体をブロー金型中で約120〜約210℃にて延伸ブロー成形し、次いで約0.5〜約30秒間熱処理する。延伸倍率は、通常、縦方向に1.3〜3.5倍、周方向に2〜6倍とするのがよい。
【0033】
また、本発明のポリエステル樹脂は、異種のフイルムとの積層フイルムや積層シート、金属板との積層体、多層中空成形品用にも使用することが出来る。
本発明のポリエステル樹脂には、必要に応じて公知の核剤、安定剤、帯電防止剤、着色剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、滑剤、離型剤などの各種の添加剤を配合してもよい。
【0034】
【実施例】
以下本発明を実施例により具体的に説明するが本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0035】
なお、主な特性値の測定法を以下に説明する。
1)極限粘度(IV)
1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(2:3重量比)混合溶媒中30℃での溶液粘度から求めた。
【0036】
2)ジエチレングリコール含量(以下[DEG含量」という)
メタノールにより分解し、ガスクロマトグラフィーによりDEG量を定量し、全グリコール成分に対する割合(モル%)で表した。
【0037】
3)アセトアルデヒド含量(以下「AA含量」という)
樹脂ペレット試料/蒸留水=1g/2mlを窒素置換したガラスアンプルに入れて上部を溶封し、160℃で2時間抽出処理を行い、冷却後抽出液中のアセトアルデヒドを高感度ガスクロマトグラフィーで測定し濃度をppmで表示した。
【0038】
4)ポリエステル樹脂の環状3量体含量
樹脂ペレット試料をヘキサフルオロイソプロパノール/クロロフォルム混合液に溶解し、さらにクロロフォルムを加え希釈する。これにメタノールを加えてポリマーを沈殿させた後、濾過する。濾液を蒸発乾固し、ジメチルフォルムアミドで定容とし、液体クロマトグラフ法により定量した。
【0039】
5)ヘーズ(霞度%)
下記の段付成形体からの5mm厚みの成形板を使用し、日本電色製へーズメータを用いて測定する。
【0040】
6)成形体の成形
乾燥したポリエステル樹脂を名機製作所製M−100射出成形機により、シリンダー温度290℃(ホッパー下は250℃)に於いて、10℃に冷却した段付平板金型で成形し、段付成形体を得る(サイクルタイム70秒)。この段付成形体は、2、3、4、5、6、7、8、9、10,11mmの厚みの約3cm×約5cm角の成形板を階段状に備えたもので、1個の重量は約146gである。2mm厚みの成形板は密度上昇速度の測定に、また5mm厚みの成形板はヘーズ(霞度%)測定にそれぞれ切り出して使用する。
【0041】
7)成形板の加熱処理および密度上昇速度の算出
前記の2mm厚みの成形板を段付成形体より切り出し、所定の温度にコントロールしたシリコン油浴(撹拌器付き)に所定時間浸漬後す早く取り出し、n−ヘキサン中に投入して急冷する。急冷後表面に付着したシリコン油をn−ヘキサンで洗浄し、密度を測定する。
試料の加熱は、140℃及び180℃に於いて10秒間隔で実施する。加熱処理は、一条件につき5試料について繰り返し実施し、各条件での試料の密度の平均値を求める。各温度における加熱処理時間と成形板の密度の値をプロットし、密度上昇曲線を得る。この密度上昇曲線より次のようにして各温度での密度上昇速度を求める。即ち、140℃での密度上昇曲線は、密度1.340(g/cm3 )に対応する加熱時間(t1秒)および密度1.360(g/cm3 )に対応する加熱時間(t2秒)を求め、次式より算出する。
密度上昇速度(g/(cm3 ・sec))=0.02/(t2−t1)
また、180℃での密度上昇曲線は、密度1.345(g/cm3 )に対応する加熱時間(t1秒)および密度1.365(g/cm3 )に対応する加熱時間(t2秒)を求め、前記の式より算出する。
【0042】
8)ポリエステル樹脂ペレットおよび加熱処理成形板の密度
四塩化炭素/n−ヘプタン混合溶媒の密度勾配管で25℃で測定する。
【0043】
(実施例1)
エステル化装置としては、撹拌装置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口を設けた第1エステル化反応装置、反応缶内を2つの槽に分割し各反応槽に撹拌装置を付し、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口を設けた第2エステル化反応装置よりなる3段の完全混合槽型の連続エステル化反応装置を用いた。その第1エステル化反応装置内の反応生成物が存在する系へ、TPAに対するEGのモル比1.7に調整したTPAのEGスラリーを連続的に供給した。同時にTPAのEGスラリー供給口とは別の供給口より酢酸マグネシウム4水和物のEG溶液を生成ポリエステル樹脂1トン当たりMg原子として0.33モル(生成ポリエステル樹脂に対して約8ppm)となるように連続的に供給し、常圧にて平均滞留時間4時間、温度255℃で反応させた。
【0044】
この反応生成物を連続的に系外に取り出して第2エステル化反応装置の第1槽目に供給し、第2槽目より連続的に取り出した。第1槽目から第2槽目への移送はオーバーフロー方式を採用した。
第1槽目の入口側の供給口より生成ポリエステル樹脂1トン当たりP原子として0.33モル(約10ppm)となるような量のリン酸のEG溶液、第2槽目の入口側の供給口より生成ポリエステル樹脂1トン当たりMg原子として0.91モル(約22ppm)となるような量の酢酸マグネシウム4水和物のEG溶液および第2槽目の中間位置の供給口より生成ポリエステル樹脂1トン当たりP原子として0.61モル(約19ppm)となるような量のリン酸のEG溶液を連続的に添加し、常圧にて各槽の平均滞留時間2.5時間、温度260℃で反応させた。
【0045】
次いで、第2エステル化反応装置からエステル化反応生成物を連続的に取り出し、撹拌装置、分縮器、原料仕込口および生成物取り出し口を設けた2段の連続重縮合反応装置に連続的に供給した。エステル化反応物の輸送配管に接続された重縮合触媒供給配管より、生成ポリエステル樹脂1トン当たりSb原子として1.6モル(約195ppm)となるような量の三酸化アンチモンのEG溶液をエステル化反応生成物に供給し、前記の連続重縮合反応装置で約270℃、減圧下に重縮合を行った。得られたPET樹脂のIVは0.53であった。この樹脂をひきつづき連続固相重合装置に送り、窒素雰囲気下で約205℃で固相重合した。得られたPET樹脂のIVは0.74、DEG含量は2.5モル%、AA含量は3.3ppm、環状3量体含量は0.32重量%、密度は1.401g/cm3 であった。
【0046】
前記の方法により密度測定用の成形板を成形し、加熱処理を行い密度を測定した。140℃で60秒加熱した時の密度が1.335g/cm3 、140℃での密度上昇速度が0.6×10-3(g/(cm3 ・秒))であり、180℃で20秒間加熱した時の密度が1.335g/cm3 、180℃での密度上昇速度が1.8×10-3(g/(cm3 ・秒))であった。
また、5mm厚みの成形板のヘーズは4.1%と良好であった。
【0047】
得られたPET樹脂を窒素気流を用いた乾燥器で乾燥し、名機製作所製M−100射出成型機により樹脂温度290℃でプリフォームを成形した。このプリフォームの口栓部を自家製の口栓部結晶化装置で加熱結晶化させた後、コーポプラスト社製LB−01延伸ブロー成型機を用いて2軸延伸ブロー成形し、引き続き約140℃に設定した金型内で5秒間熱固定し、1500mlの中空成型容器(胴部平均肉厚0.4mm)を得た。胴部のヘーズは1.3%と良好であった。
【0048】
(実施例2)
実施例1と同一の装置を使用し、金属化合物の添加量及び添加位置を変更する以外は実施例1と同一条件でエステル化反応および溶融重合を実施した。第2エステル化反応装置の第1槽目の入口側の供給口より生成ポリエステル樹脂1トン当たりMg原子として0.16モル(約4ppm)となるような量の酢酸マグネシウム4水和物のEG溶液、第1槽目の中間位置の供給口より生成ポリエステル樹脂1トン当たりP原子として0.39モル(約12ppm)となるような量のリン酸のEG溶液、第2槽目の入口側の供給口より生成ポリエステル樹脂1トン当たりMg原子として0.45モル(約11ppm)となるような量の酢酸マグネシウム4水和物のEG溶液および第2槽目の中間位置の供給口より生成ポリエステル樹脂1トン当たりP原子として1.16モル(約36ppm)となるような量のリン酸のEG溶液を連続的に添加してエステル化反応させた。次いで、実施例1と同様の方法で生成ポリエステル樹脂1トン当たりSb原子として1.5モル(約183ppm)となるような量の三酸化アンチモンのEG溶液をエステル化反応生成物に供給して重縮合反応を実施した。得られたPET樹脂のIVは0.53であった。この樹脂をひきつづき連続固相重合装置に送り、窒素雰囲気下で約205℃で固相重合した。得られたPET樹脂のIVは0.75、DEG含量は2.7モル%、AA含量は3.5ppm、環状3量体含量は0.31重量%、密度は1.400g/cm3 であった。
【0049】
前記の方法により密度測定用の成形板を成形し、加熱処理を行い密度を測定した。140℃で60秒加熱した時の密度が1.334g/cm3 、140℃での密度上昇速度が0.5×10-3(g/(cm3 ・秒))であり、180℃で20秒間加熱した時の密度が1.334g/cm3 、180℃での密度上昇速度が1.5×10-3(g/(cm3 ・秒))であった。
また、5mm厚みの成形板のヘーズは3.8%と良好であった。
得られたPET樹脂から実施例1と同様にして、1500mlの中空成型容器(胴部平均肉厚0.4mm)を得た。胴部のヘーズは1.4%と良好であった。
【0050】
(比較例1)
実施例1で2回に分割して添加しているリン酸の全量と実施例1と同量の三酸化アンチモンを第1エステル化装置に、また実施例1で2回に分割して添加している酢酸マグネシウムの全量を第2エステル化装置の第1槽目に添加し、実施例1と同一条件で重縮合を行い、IVが0.54のプレポリマーを得た。これを実施例1と同一固相重合設備を用いて同一条件で固相重合し、IVが0.75、DEG含量が2.8モル%、AA含量が3.5ppm、環状3量体含量が0.33重量%、密度が1.399g/cm3 のPET樹脂を得た。
【0051】
実施例1と同様に成形板の加熱処理を行い、密度を測定したところ、140℃で60秒加熱した時の密度が1.340g/cm3 、140℃での密度上昇速度が1.1×10-3(g/(cm3 ・秒))であり、180℃で20秒間加熱した時の密度が1.342g/cm3 、180℃での密度上昇速度が4.5×10-3(g/(cm3 ・秒))であった。
また、5mm厚みの成形板のヘーズは25.1%と高かった。
実施例1と同様にして、平均肉厚0.4mm、1500mlの中空容器を得た。この容器の胴部ヘーズは5.3%と高く、透明性は不良であった。
【0052】
【発明の効果】
本発明のポリエステル樹脂は、安価で、透明性および耐熱寸法安定性の優れた成形品として有利に使用出来る。
Claims (4)
- アンチモン化合物を触媒として製造される主たる繰り返し単位がエチレンテレフタレートであるポリエステル樹脂において、
(a)この樹脂から成形した非晶成形体を、140℃で60秒間加熱した時の密度が1.338(g/cm3 )以下で、かつ140℃での密度上昇速度が0.4×10-3〜0.8×10-3(g/(cm3 ・秒))
(b)前記非晶成形体を180℃で20秒間加熱した時の密度が1.338(g/cm3 )以下で、かつ180℃での密度上昇速度が1.0×10-3〜3.5×10-3(g/(cm3 ・秒))
の範囲であることを特徴とするポリエステル樹脂。 - ポリエステル樹脂が中空成形品用であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステル樹脂。
- 極限粘度が0.70〜0.90dl/g、共重合されたDEG量がグリコール成分の1.5〜5.0モル%および密度が1.37g/cm3以上である請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂。
- アセトアルデヒド含量が10ppm以下、環状3量体含量が0.35重量%以下である請求項1、2又は3記載のポリエステル樹脂。
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