JP2524410Y2 - 医療用エアマット - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、長時間にわたって寝たままの病人に生じ易
い床ずれを防止する医療用エアマットに関する。

〔従来の技術〕

自ら寝返りすることが出来ない重病人や障害者が長期
間寝ていると、床ずれが出来易い。

床ずれの原因としては、身体の一定箇所が寝具に接
し、体重の圧力を受けているので血行不良を生じ、又、
体内から発生した湿気により過湿状態が続くため細菌が
繁殖する等の理由などが考えられる。

長期間床に伏し寝返りがうてないと、血行不良などに
より内蔵の機能が低下することがある。

床ずれを防止する医療用エアマットとしては、実開昭
58-16125号公報記載の技術などに示すように、エアマッ
トの長手方向に交互に配列したＡ系統及びＢ系統のエア
セルを交互に膨張，収縮させて、身体の寝具接触位置を
一定時間間隔で変更し、身体の一箇所に血行不良や過湿
状態が持続されることを防止している。

然し、夏季などは発汗量も多くなり身体や寝巻の湿度
が高くなるので、Ａ系統及びＢ系統のエアセルを交互に
膨張，収縮させるだけでは過湿状態を防止できない場合
がある。

かかる場合には、エアセルの上面に空気孔を設け、空
気孔から放出される空気により湿気を除去する方法がと
られてきたが、湿度が高くならない冬季にも湿気防止用
の空気が放出される問題があった。

そこで、特公昭61-16454号公報記載の技術のように、
膨張収縮する第一系統と第二系統のエアセルの間に、上
面に空気噴出口を備えた第三系統を設けたエアマットを
配列し、この第三系統を開閉する電磁弁を制御回路によ
り開閉するようにしたエアマットがある。

〔考案が解決しようとする課題〕

然し、第三系統を設けたエアマットには、次のような
課題があった。

（１）第三系統はエアマット上面に空気噴出口が設けて
あるために、エアマットに病臥する病人によって空気噴
出口が塞がれてしまう問題があった。

（２）第三系統はエアマット上面に空気噴出口を備え、
エアマットに病臥する病人の身体と空気噴出口とが近接
しているため、身体が局部的に過度に冷却される課題が
あった。

（３）エアマットの表面は、病人の発汗や皮膚表面及び
寝巻の汚れ、吐瀉物等により汚れ易い状態にある。

一方、第三系統から過度の空気が放出されないように
空気噴出口は小径に形成されており、且つ、空気噴出口
がエアマットの上方に開口しているので、空気噴出口が
汚れにより詰まり易いのが、取り外して洗浄することが
できない。又、第三系統以外にも次のような課題があっ
た。

（４）空気を供給するエアポンプを常時運転する方式で
は、無駄な電力が消費される問題と、常に運転騒音が発
生する問題がある。

本考案は、以上の諸問題を解決することを目的とした
ものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案の医療用マット
は、マット本体の長手方向に交互に配列される複数のＡ
系統及びＢ系統のエアセルと、上記Ａ系統の各エアセル
につながるＡ系統管路と、上記Ｂ系統の各エアセルにつ
ながるＢ系統管路と、エアポンプの送気管より供給され
る空気を所定時間毎に上記Ａ系統管路及びＢ系統管路に
切り換えて供給し、所定時間毎に上記Ａ系統管路及びＢ
系統管路を大気に連通する切り換え弁と、エアポンプに
接続するＣ系統の管路に着脱自在に取り付けられ、上記
Ａ系統及びＢ系統エアセルの下方に位置する多孔質材の
エア噴出部材と、上記送気管に設けられ上記Ａ系統管路
及びＢ系統管路内の圧力を検知するセンサと、該センサ
が空気供給圧力が所定圧力に上昇したことを検知したと
きに上記エアポンプの運転を一時停止する制御部とによ
って構成した。

〔作用〕

上記のように構成された医療用エアマットは、切り換
え弁によりＡ系統管路及びＢ系統管路に空気が交互に供
給され、Ａ系統管路に供給された空気はＡ系統の各エア
セルを膨張させ、所定時間後にＡ系統管路が大気に連通
するとＡ系統の各エアセルを収縮させる。

同様にして、Ｂ系統のエアセルが所定時間毎に膨張並
びに収縮する。

Ａ系統及びＢ系統のエアセルが交互に膨張と収縮を繰
り返し、エアマットの寝ている病人の床ずれが防止され
る。

エア噴出部材に空気を供給すると、Ａ系統及びＢ系統
のエアセルと上記マット本体との間に形成される空間に
空気が放出され、空気がＡ系統とＢ系統との間から漏出
してエアマット寝具及び病人の湿気が除去される。

この漏出する空気は、身体に風圧を感じさせない程度
の流れであり、身体の一部を急冷することはない。

エア噴出部材は着脱自在に設けられているので、必要
に応じて取り外して洗浄したり、新品のエア噴出部材に
取替たりすることが出来る。

従って、エア噴出部材が汚れて非衛生的になったり、
目詰まりを生じることはなく、各エア噴出部材からほぼ
均等に空気が放出される。

又、上記Ａ系統管路或いはＢ系統管路内の圧力が所定
圧力に上昇したことを圧力センサが検知すると、エアポ
ンプの運転が一時停止し、必要以上の空気の供給が停止
する。

〔実施例〕

本考案の実施例について図面を参照しながら説明す
る。

第１図は医療用エアマットの平面図、第２図は第１図
の一部拡大図、第３図は第１図のX-X断面の要部斜視図
を示す。

第１図において、符号１はゴム、合成樹脂シート、布
地に高重合ポリマーフィルムをラミネート加工などによ
り吸湿性を有する可撓性材料を熱溶着などの固着手段で
成形した横長のマット本体で、ベッドの上などに載置さ
れる。

マット本体１の表面には、第４図に示すように、複数
のバンド２が波形状にして載置され、マット本体１に接
触するバンド２の端部及び中間の数箇所がマット本体１
に溶着などの手段で固着され、固着点2aと固着点2aとの
間のバンド２は上方に高くなる湾曲部2bが形成され、湾
曲部2bとマット本体１の間にエアセル挿入空間2cが形成
される。

そして、複数のバンド２のエアセル挿入空間2cにＡ系
統のエアセル３とＢ系統のエアセル４が交互に挿入さ
れ、マット本体１の長手方向に配列される。

第７図に示すように、ポンプケース５の内部にはモー
タによって回転駆動されるエアポンプ6,7が設置され、
エアポンプ６の送気管6aに切り換え弁８が接続し、切り
換え弁８の２個の吐出管8a及び8bにＡ系統管路９及びＢ
系統管路10がそれぞれ連結される。

そして、エアポンプ６より供給される空気は切り換え
弁８により所定時間毎にＡ系統管路９及びＢ系統管路10
に切り換えて供給され、Ａ系統管路９に供給された空気
は、Ａ系統管路９に設けられた複数個の分岐管11を通し
て各Ａ系統のエアセル３に、Ｂ系統管路10に供給された
空気はＢ系統管路10に設けられた複数個の分岐管12を通
して各Ｂ系統のエアセル４に供給される（第５図参
照）。

エアポンプ７の送気管7aはＣ系統管路14に接続し、Ｃ
系統管路14には、Ａ系統のエアセル３及びＢ系統のエア
セル４の下方に位置する複数個の分岐管15に各エア噴出
チューブ16を接続し、エア噴出チューブ16の先端に着脱
自在に取り付けられるエア噴出部材17より供給空気が外
部に放出される（第６図参照）。

エア噴出部材17は多孔質材より成り、エア噴出部材17
の前面に形成された多数の小孔から風圧のほとんど無い
空気が放出され、空気はＡ系統のエアセル３とＢ系統の
エアセル４とのすき間から病人の方に供給される（第３
図参照）。

本実施例では、エア噴出部材17から空気を放出するよ
うにしたが、エア噴出チューブ16を分岐管15から着脱自
在に取り付け、エア噴出チューブ16に設けた複数の小孔
から空気を放出するようにしてもよい。

又、エアポンプ６の送気管6aの途中に圧力センサ（図
示しない）を設け、切り換え弁８より空気を供給されて
いるＡ系統管路９或いはＢ系統管路10の内部の空気供給
圧力が所定圧力に上昇したことを上記圧力センサが検知
したときに、検知信号によりエアポンプ６の運転を一時
停止する制御部（図示しない）を設ける。

以上のように構成された医療用マットの作用を説明す
る。

ポンプケース５の中のモータを始動するとエアポンプ
６から切り換え弁８に空気が供給されると共に切り換え
弁８が作動するので、所定時間毎にＡ系統管路９或いは
Ｂ系統管路10に空気が交互に供給され、又、所定時間毎
にＡ系統管路９或いはＢ系統管路10が切り換え弁８を経
由して大気に連通する。

かくして、Ａ系統のエアセル３及びＢ系統のエアセル
４が非常にゆっくりしたテンポで交互に膨張収縮を繰り
返し、エアマットの寝ている病人の床ずれが防止され
る。

一方、ポンプ７を始動するとポンプ７からＣ系統管路
14に供給される空気は各分岐管15よりエア噴出チューブ
16の先端に取り付けられた多孔質材のエア噴出部材17か
ら空気が放出され、風圧のない空気がＡ系統のエアセル
３及びＢ系統のエアセル４のすき間から漏出して病人の
身体に供給され、身体及びエアセル３及び４の表面の湿
気が除去される。

この漏出する空気は、身体に風圧を感じさせない程度
の流れであり、身体の一部に強く吹きつけることはな
い。

冬季のように漏洩空気の必要ない場合には、エアポン
プ７を停止しておけばよい。

エア噴出部材17は着脱自在に設けられているので、必
要に応じて取り外して洗浄したり、新品のエア噴出部材
17に取替たりすることが出来る。

従って、エア噴出部材17が汚れて非衛生的になった
り、目詰まりを生じることはなく、各エア噴出部材17か
らほぼ均等に空気が放出される。

又、エアポンプ６の送気管6aの途中に圧力センサを設
けた場合には、Ａ系統のエアセル３或いはＢ系統のエア
セル４が空気の供給を受けて膨張し、所定の圧力に達す
ると、圧力センサが所定の圧力を検知した信号によりエ
アポンプ６が一時停止するので、エアポンプ６を駆動す
る動力が節約され、又、騒動音も出なくなる。

〔考案の効果〕

本考案は、以上説明したように構成されているので、
以下に示すような効果を奏する。

（１）エア噴出部材はＡ系統エアセル及びＢ系統エアセ
ルの下方に位置しているので、エアマットの病臥する病
人に直接触れてエア噴出部材が塞がれることはない。

（２）エアマットに病臥する病人の身体が発汗などによ
って汗ばんだときには、身体とエアマットの接触部に床
ずれを生じ易いが、多孔質材のエア噴出部材から放出さ
れた空気がエアマットの隙間を通して身体に流れるの
で、身体が直接空気の噴出にさらされて局部的に過度に
冷却されることがなく身体及びエアマットの湿気が除去
される。

（３）エアマットの表面は、病人の発汗や汚れ、吐瀉物
等により汚れ易い状態にあり、微細な孔を有するエア噴
出部材に目詰まりを生じ易いが、エア噴出部材がエアセ
ルの下方の空間に位置しているので直接に汗や汚物に曝
されることがなく、目詰まりが防止される。

（４）又、空気噴出部材は着脱自在なので、取り外して
洗浄するしたり、新品のものと取替たりすることができ
る。

（５）センサが空気供給圧力が所定圧力に上昇したこと
を検知したときにエアポンプの運転を一時停止するの
で、エアポンプの運転時間が短くなり、無駄な運転動力
が節約され、エアポンプの運転騒音の発生時間が短くな
る利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第７図は本考案の実施例を示し、 第１図は医療用エアマットの平面図、 第２図は第１図の一部拡大図、 第３図は第１図のX-X断面の要部斜視図、 第４図はエアマット本体の要部斜視図、 第５図はエアセルの底部を示す要部斜視図、 第６図はＣ系統管路からエア噴出部材につながる管路の
斜視図、 第７図はポンプから各系統の管路のつながりを示す略図
である。 １……マット本体、２……バンド、３……Ａ系統のセ
ル、４……Ｂ系統のセル、５……ポンプケース、6,7…
…ポンプ、８……切り換え弁、９……Ａ系統管路、10…
…Ｂ系統管路、11,12……分岐管、14……Ｃ系統管路、1
5……分岐管、16……エア噴出チューブ、17……エア噴
出部材。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】マット本体の長手方向に交互に配列される
   複数のＡ系統及びＢ系統のエアセルと、上記Ａ系統の各
   エアセルにつながるＡ系統管路と、上記Ｂ系統の各エア
   セルにつながるＢ系統管路と、エアポンプの送気管より
   供給される空気を所定時間毎に上記Ａ系統管路及びＢ系
   統管路に切り換えて供給し、所定時間毎に上記Ａ系統管
   路及びＢ系統管路を大気に連通する切り換え弁と、エア
   ポンプに接続するＣ系統の管路に着脱自在に取り付けら
   れ、上記Ａ系統及びＢ系統エアセルの下方に位置する多
   孔質材のエア噴出部材と、上記送気管に設けられ上記Ａ
   系統管路及びＢ系統管路内の圧力を検知するセンサと、
   該センサが空気供給圧力が所定圧力に上昇したことを検
   知したときに上記エアポンプの運転を一時停止する制御
   部とによって構成される医療用エアマット。