JP2523354Y2 - ブラシレスモ−タ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は磁気ディスク等のメディアを駆動する装置等
に使用されるブラシレスモータに関する。

［従来の技術］ 第２図は従来のメディア駆動用の直流ブラシレスモー
タを示している。同図中１はモータハウジングで、その
中央部には筒部２が一体に形成されている。筒部２の外
周にはステータ３が取付けられ、かつ筒部２内の上下に
は夫々軸受4a,4bが内装されている。そして、これらの
軸受4a,4bは筒部２に挿入されたロータ５の回転軸６を
回転自在に支持している。ロータ５は、回転軸６にメデ
ィア取付用のハブ７を取付けるとともに、このハブ７の
内面にステータ３の外周面と対向するロータマグネット
８を取付けて形成されている。なお、同図中９は抜止め
用カラー、10は磁性流体シールである。ところで、上記
従来のモータ構成において、ステータ３の取付けは、筒
部２の先端から嵌込んで行うようになっている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかし、モータハウジング１と一体の筒部２は内部に
軸受4a,4bを取付けるために、筒部２のステータ嵌合部
位の径はステータ３の嵌込みの必要上から、軸受4aの外
径よりも大きくする必要がある。このため、ステータ３
の外径がある大きさに制限されている場合には、ステー
タの外径と内径との間の寸法ｌが小さく、したがって巻
線スペースが小さいという問題があった。

また、従来のブラシレスモータでは、その組立てにあ
たって、モータハウジング１とロータ５以外の部品、す
なわち、ステータ３、一対の軸受4a,4b、抜止め用カラ
ー９、および磁性流体シール10を、一つ一つ単品状態の
ままでモータハウジング１の筒部２に逐一組付ける必要
があるから、組立ての手間が多いという問題もあった。

したがって本考案の目的とするところは、ステータを
大径にすることなく、その巻線スペースを大きくできる
とともに、容易かつ正確に組立てることができるブラシ
レスモータを得ることにある。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案のブラシレスモー
タは、小径なステータ支持部の一端のみにこの支持部よ
り大径な軸受支持部を連ねた段付き筒状の支持筒体を備
え、この筒体における上記ステータ支持部の他端部を、
上記支持筒体とは別体のモータハウジングに設けた取付
部が有する突出された筒状嵌合部位の内面に嵌着して、
上記支持筒体を上記モータハウジングに固定し、上記筒
状嵌合部位と上記支持筒体の上記軸受支持部とに接して
これらにより挟着されるステータを、上記ステータ支持
部の外周に嵌合して取付けるとともに、上記軸受支持部
および上記モータハウジングの上記取付部に夫々軸受を
内装し、これら一対の軸受により上記支持筒体内に挿入
されたロータの回転軸を回転自在に支持したものであ
る。

［作用］ 本考案のブラシレスモータにおいては、モータハウジ
ングとは別体で、かつステータ支持部の一端に軸受支持
部を連ねた支持筒体が、そのステータ支持部の外周に予
めステータを嵌合して取付けた状態で、モータハウジン
グの取付部における筒状嵌合部位の内面に嵌着して固定
される。このため、ステータが嵌合されるステータ支持
部の怪を、軸受が内装される軸受支持部よりも小径とで
きる。このように軸受に制約されることなくステータ支
持部を小径とできる分に応じて、ステータの外径と内径
との間の寸法を大きく確保できるから、巻線スペースを
大きくできる。また、ステータ支持部の外周に嵌着され
たステータは、ステータ支持部を筒状嵌合部位の内面に
嵌着することにより、この筒状嵌合部位と支持筒体の大
径な軸受支持部とで挟着されるから、ステータを支える
部品を特別に必要としない。その上、支持筒体には、そ
のステータ支持部の外周にステータが嵌着されるととも
に、軸受支持部に軸受が内装されて、これらの部品をモ
ータの組立てにおいて一つのアッセンブリ部品として取
扱うことができる。しかも、上記アッセンブリの組立て
において、ステータが嵌合して取付けられる支持筒体
が、小径なステータ支持部の一端のみに大径な軸受支持
部を連ねてなり、その小径なステータ支持部にステータ
を嵌合して取付けるから、軸受支持部が邪魔になること
がなく、したがって、特別な加工を支持筒体に要するこ
となく、容易にステータをステータ支持部の外周に嵌着
できる。そのため、モータの組立てに要する手間を少な
くできる。また、前記モータの組立てにおいて筒状嵌合
部位にはこれと軸受支持部との間に挟まれるステータが
当たって位置決めされるから、筒状嵌合部位をストッパ
として利用でき、筒状嵌合部位へのステータ支持部の嵌
着において前記アッセンブリを位置決めできるのみなら
ず、この取付け後のロータの取付けにおいて回転軸を支
持筒体に挿通させる際に加えられる外力に拘らず、前記
位置決め状態を保持できるので、モータを正確に組立て
ることができる。

［実施例］ 一実施例を示す第１図中11は非磁性金属製のモータハ
ウジングで、その略中央部には取付部12が一体に形成さ
れている。このモータハウジング11は例えば磁気ディス
クパックのケースＡに取付られるようになっている。上
記取付部12は、ケースＡ内に突出する筒状嵌合部位12
a、およびケースＡ外に突出する軸受取付部位12bを有す
るとともに、これら両部位12a,12bをつなぐ通孔を有し
て形成されている。なお、モータハウジング11のケース
Ａ内の面には、ロータの回転位置検出用のホール素子等
を取付けた図示しない回路基板が取付けられるようにな
っている。

また、第１図中13は支持筒体で、これは、小径なステ
ータ支持部14の一端のみに、この支持部14よりも大径な
軸受支持部15を一体に連ねた段付き筒状をなしている。
そして、この筒体13は、そのステータ支持部14の他端
（先端）部を、上記取付部12の筒状嵌合部位12aの内面
に嵌着して固定されている。なお、嵌合面は接着剤によ
り接着されている。また、支持筒体13は後述する軸受18
の外輪と同じ材質であり、この措置によってモータの動
作時における熱膨脹の差をなくして、後述のロータ19の
軸振れを極少とし得るようにしてある。

支持筒体13の小径なステータ支持部14の外周には、ス
テータコア16aに巻線16bを巻付けてなるステータ16が取
付けられている。ステータ16は、モータハウジング11へ
の支持筒体13の固定前に、予めステータ支持部14に取付
けられるようになっている。しかも、ステータ16は、大
径な軸受支持部15と上記筒状嵌合部位12aとに接してこ
れらに挟着され、これによりステータ16を支える特別な
専用部品を必要としないように構成してある。

そして、上記軸受取付部位12bおよび支持筒体13の軸
受支持部15には、夫々軸受17および18が内装されてい
る。これら一対の軸受17,18は、支持筒体13内に挿入さ
れたロータ19の回転軸20を回転自在に支持している。ロ
ータ19は、非磁性金属製の回転軸20と、この回転軸20の
上記ケースＡ内の端部に連結された非磁性金属製のメデ
ィア取付用のハブ21と、このハブ21の内周面に取付けら
れるとともに上記ステータ16の外周面に対向するロータ
マグネット22とから形成されている。なお、第１図中21
aはハブ21の肉盛り部であるが、この部分は軽量化のた
めに省略しても差支えない。

また、第１図中23は回転軸20のケースＡ外の端部に嵌
着した軸受17の抜止め用カラー、24は回転軸20に嵌着し
た磁性金属製のカラー、25は軸受支持部15内に取付けた
磁石と磁性板とからなるリング状の磁性流体シールで、
その磁性板と上記カラー24との間には図示しないシール
用の磁性流体が設けられるようになっている。

上記構成の直流ブラシレスモータの組立ては次のよう
にしてなされる。まず、モータハウジング11とは別体の
支持筒体13における軸受支持部15内に軸受18を内装する
とともに、磁性流体シール25を取付ける。さらに、支持
筒体13のステータ支持部14の外周に、この支持部14の先
端からステータ16を嵌合して軸受支持部15に当たるまで
押込んで、ステータ16を取付ける。次に、軸受17を予め
取付けたモータハウジング11の取付部12における筒状嵌
合部位12aに、ステータ16より突出されたステータ支持
部14の先端部を嵌着して、モータハウジング11に支持筒
体13を介してステータ16を取付ける。最後に、組立てら
れたロータ19をステータ16に被せるようにして、その回
転軸20を支持筒体13に挿入して貫通させることにより、
軸受17,18に回転自在に支持させ、その後回転軸20の先
端部にカラー23を嵌着する。以上の手順で組立てが完了
する。

このようにして組立てられるから、ステータ16および
軸受18が取付けられる支持筒体13は、軸受18を内装する
軸受支持部15よりも小径でかつ回転軸20が挿通できる程
度のステータ支持部14を備える構成とでき、その小径な
ステータ支持部14の外周にステータ16を嵌合して取付け
ることができる。すなわち、軸受18の大きさに規制され
ることなく、ステータ16の内径を小さくできるものであ
り、これによってステータ16の内径と外径との間の寸法
Ｌを大きくできる。したがって、ステータ16を大径化す
ることなく、その巻線スペースを大きく確保できるとと
もに、より多くの巻線16bを巻いてモータ性能を高める
ことができる。

また、既述の組立において、この組立前に予め支持筒
体13の小径なステータ支持部14の外周にはステータ16が
嵌着されるとともに、支持筒体13の大径な軸受支持部15
には軸受18および磁性流体シール25が夫々内装されて、
これらの部品が一つのアッセンブリとされることによ
り、これらの部品をモータの組立てにおいて一部品とし
て取扱うことができる。そのため、モータの組立ての手
間は、モータハウジング11への前記アッセンブリおよび
軸受17の取付けと、軸受17,18にわたるロータ19の回転
軸20の取付けと、抜止め用カラー23の回転軸20への取付
けだけでよい。その上、既述のようにステータ支持部14
の外周に嵌着されたステータ16を、筒状嵌合部位12aと
支持筒体13の軸受支持部15とで挟着して、ステータ16を
支える部品を不要とできる。したがって、モータの組立
てにおいて各部品を一つ一つ逐一取付ける面倒がなく、
モータの組立てに要する手間を少なくできる。しかも、
ステータ16のステータコア16aが嵌合して取付けられる
支持筒体13が、小径なステータ支持部14の一端のみに大
径な軸受支持部15を連ねてなるから、上記アッセンブリ
の組立てにおいて、小径なステータ支持部14にステータ
16を嵌合して取付ける際に軸受支持部15が邪魔になるこ
となく、したがって、特別な加工を支持筒体13に要する
ことなく、容易にステータ16をステータ支持部14に嵌着
できる。そのため、モータを容易に組立てることができ
る。また、この組立てにおいて筒状嵌合部位12aにはこ
れと軸受支持部15との間に挟まれるステータ16が当たっ
て位置決めされるから、筒状嵌合部位12aをストッパと
して利用できる。そのため、筒状嵌合部位12aへのステ
ータ支持部14の嵌着において前記アッセンブリを位置決
めできるのみならず、この取付け後のロータ19の取付け
において回転軸20を支持筒体13に挿通させる際に加えら
れる外力に拘らず、前記位置決め状態を保持できるの
で、モータを正確に組立てることができる。

なお、上記一実施例は以上のように構成したが、本考
案の実施に当っては、考案の要旨に反しない限り、モー
タハウジング，取付部，支持筒体のステータ支持部，支
持筒体の軸受支持部，ステータ，軸受，ロータ，回転
軸，筒状嵌合部位等の具体的な構造，形状，位置、およ
び材質等は、上記一実施例に制約されることなく、種々
の態様に構成して実施できることは勿論である。

［考案の効果］ 以上説明した本考案は上記実用新案登録請求の範囲に
記載の構成を要旨とするから、ステータを大径化するこ
となく、その巻線スペースを大きくできるという効果を
奏するとともに、組立ての手間が少なく、しかも、ステ
ータ支持部へのステータの嵌着に大径な軸受支持部が邪
魔になることがないので、容易にモータを組立てること
ができ、その上、このモータ組立てにおいて筒状嵌合部
位でステータを位置決めをするので、正確に組立てるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す縦断面図である。第２
図は従来例を示す縦断面図である。 11…モータハウジング、12…取付部、12a…筒状嵌合部
位、13…支持筒体、14…ステータ支持部、15…軸受支持
部、16…ステータ、17,18…軸受、19…ロータ、20…回
転軸。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】小径なステータ支持部の一端のみにこの支
   持部より大径な軸受支持部を連ねた段付き筒状の支持筒
   体を備え、この筒体における上記ステータ支持部の他端
   部を、上記支持筒体とは別体のモータハウジングに設け
   た取付部が有する突出された筒状嵌合部位の内面に嵌着
   して、上記支持筒体を上記モータハウジングに固定し、
   上記筒状嵌合部位と上記支持筒体の上記軸受支持部とに
   接してこれらにより挟着されるステータを、上記ステー
   タ支持部の外周に嵌合して取付けるとともに、上記軸受
   支持部および上記モータハウジングの上記取付部に夫々
   軸受を内装し、これら一対の軸受により上記支持筒体内
   に挿入されたロータの回転軸を回転自在に支持したこと
   を特徴とするブラシレスモータ。