JP2522901B2 - ウォ―キングビ―ム式搬送装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、焼成基板等の処理材料
を炉内で搬送するウォーキングビーム式搬送装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、処理材料の搬送方式として、メッ
シュベルトコンベア方式、ウォーキングビーム方式、ロ
ーラハース方式等が知られている。メッシュベルトコン
ベア方式は、メッシュベルトに処理材料を積載し、この
メッシュベルトを炉の装入口側から抽出口側に移動させ
るものである。また、ウォーキングビーム方式は、固定
ビームと移動ビームとからなるウォーキングビームに支
持された処理材料を、移動ビームの矩形運動により搬送
するものである。さらに、ローラハース方式はローラ上
に載置された処理材料をローラの回転により搬送するも
のである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の搬送方式は、以下のような問題を有している。すなわ
ち、メッシュベルトコンベア方式は、処理材料を熱処理
するには、メッシュベルトを処理材料と同時に加熱、あ
るいは冷却する必要があり、多くのエネルギを消費して
しまう。また、抽出口から出たメッシュベルトが炉の装
入口に戻るようにリターン機構を炉の下部に設けている
ので、装置全体が大型化し、また、炉内に出し入れされ
るメッシュベルトによって塵埃を炉内に取り入れてしま
うという問題点があった。

【０００４】また、ウォーキングビーム方式は、移動ビ
ームの駆動装置を炉の下方に設けているため、炉の下方
に大きな空間が必要になり、炉を小型化できないという
問題点があった。また、炉床には移動ビームを支えるポ
ストの開口部を設けているので、熱損失が大きくなると
いう問題点があり、さらに、上記開口部により炉内を特
定の雰囲気に保持することが困難であるという問題点が
あった。

【０００５】さらに、ローラハース方式は、炉内にロー
ラを貫通させ、炉外に設けた駆動装置によりローラを回
転させて処理材料を搬送するものであるが、ローラの貫
通部が多数あり、貫通部をシールするため炉構造が複雑
化することや、重量物を搬送する場合、ローラ径が大き
くなり装置が大型化するという問題点があった。

【０００６】ところで、上記の搬送方式は、一般に下記
のような炉に採用されている。すなわち、メッシュベル
トコンベア方式は、炉内に貫通部や開口部を持たないの
で炉構造は複雑化しないが炉内に塵埃を持ち込むため、
簡単な構造で、さほど厳密な雰囲気を要求されない炉に
採用されている。また、ウォーキングビーム方式は炉内
雰囲気を要求されない大型の処理材料を大量に搬送する
炉に採用されている。さらに、ローラハース方式は、多
数の貫通部を有するので炉構造は複雑化するが、炉内雰
囲気は清浄に維持できるので厳密な炉内雰囲気を要求さ
れる炉に採用されている。しかし、近年、製品の高品質
化と低価格化から、熱効率が良く、厳密な炉内雰囲気が
維持でき、簡単な炉構造であり、それに加えて、大量の
処理材料を搬送できる装置が要求されている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明は、熱効
率が良く、炉内雰囲気を清浄に保って、構造が簡単であ
り、大量搬送が可能なウォーキングビーム式搬送装置を
提供するためになされたもので、炉長方向に往復動する
回動自在な軸と、該軸に所定間隔で設けたアームとから
なる第１ビームと、前記第１ビームの回動時に前記アー
ムとの係合部を有する第２ビームとからなる移動ビーム
を炉巾方向に少なくとも２本所定間隔を持って配設する
とともに、前記移動ビームの下降端にて第１および第２
ビームの上端部より突出している平坦な上端面を持つ処
理材の支持部と、前記第１ビームを保持する溝と、前記
第２ビームを収容する溝と、からなる固定台を炉長方向
に所定間隔を持って配設したことを特徴としている。

【０００８】

【作用】上記構成のウォーキングビーム式搬送装置で
は、第１ビームをアームが第２ビームを持ち上げる方向
に回動し、該アームで第２ビームを押し上げて第２ビー
ムを固定台の第２ビームを収容する溝から突出させ、こ
の第２ビームで固定台の支持部に載置された処理材料を
支持する。次に、第１ビームを抽出口に向かって前進さ
せ、第２ビームと共に処理材料を搬送する。続いて、第
１ビームを回動させてアームに支持された第２ビームを
下降させ、第２ビームを固定台の第２ビームを収容する
溝に収容し、固定台の支持部で処理材料を支持する。最
後に第１ビームを装入口に向かって後退し、第１ビーム
および第２ビームからなる移動ビームをスタート地点
（原点）に送り戻す。以降、上記第１ビームの回動・前
進・回動（逆方向）・後退により第２ビームを上昇・前
進・後退・下降させて固定台と移動ビームで交互に処理
材料を支持しながら搬送する。

【０００９】

【実施例】以下、添付図面を参照して本発明の実施例に
ついて説明する。図１はウォーキングビーム型炉１の縦
断面を示し、鋼材で箱形に形成された炉本体２の装入側
前壁３と抽出側後壁４にはそれぞれ開口部５，６が形成
され、ウォーキングビーム式搬送装置７（以下「搬送装
置７」という。）を有する耐熱鋼からなる筒状のマッフ
ル８が上記開口部５，６を介して炉本体２に挿通されて
いる。炉本体２の内面には断熱層９が配置され、この断
熱層９の内壁とマッフル８の外壁で形成された空間１０
の天井部と底部には、装入側から所定距離の領域にそれ
ぞれヒータ１１が配置されている。なお、ヒータ１１は
空間１０の全長に亘って設けてもよい（図３参照）。

【００１０】上記搬送装置７は、図２に示すように、複
数の固定台１２を備えており、これら固定台１２はマッ
フル８の底部に炉長方向に沿って等間隔に配置されてい
る。固定台１２の支持部１３の上端面はそれぞれ平坦面
としてあり、各固定台１２の支持部１３が同一水平面上
に位置するように高さが調整されている。上記支持部１
３には、炉長方向に伸びる中心線に関して左右対称に、
第１ビーム１４，１４を保持する溝１５，１５と、第２
ビーム１６，１６を収容する溝１７，１７が形成され、
第１ビーム１４を保持する溝１５はその底部が半円形状
に加工され、第２ビーム１６を収容する溝１７は矩形断
面としてある。また、溝１５，１７の深さはそれらに収
容した第１ビーム１４，第２ビーム１６からなる移動ビ
ームが下降端に位置する際に、支持部１３から前記移動
ビームが突出しない高さとしてある（図８参照）。

【００１１】上記第１ビーム１４はマッフル８よりも長
い円形断面の金属棒又は金属チューブで、外周部には半
径方向に突出するアーム１８が上記固定台１２と接触し
ない間隔で同一直線上に設けてあり、第１ビーム１４を
保持する溝１５にそれぞれ収容されている。また、マッ
フル８から突出した第１ビーム１４の両端部が支持架台
１９に保持されている。一方、第２ビーム１６はマッフ
ル８とほぼ同一長さ又はそれよりも長い矩形断面の金属
棒又は金属チューブで、底部２０には固定台１２と接触
しない間隔で凹部２１が形成されており、第２ビーム１
６を収容する溝１７にそれぞれ収容され、凹部２１に第
１ビーム１４のアーム１８が係合されている。

【００１２】上記支持架台１９は、図１に示すように、
炉長方向に配設されたレール２２と、該レール２２上を
進退自在な支持台２３とを備え、マッフル８から突出し
た第１ビーム１４の端部が支持台２３に回動自在に保持
されている。なお、前記支持架台１９は、マッフル８の
装入端と抽出端の外側にそれぞれ配設されており、その
いずれか一方に例えばボールネジとモータからなる進退
装置２５と、例えばモータ等からなる回動装置２４を備
えている。

【００１３】なお、炉本体２が長く、移動ビームを１本
で構成できない場合は第１ビーム１４と第２ビーム１６
を炉長方向で２分割して構成し、装入側と抽出側の端部
にそれぞれ進退装置２５と回動装置２４を設け、支持架
台１９を固定端として、第１ビーム１４および第２ビー
ム１６の膨張を炉内側へ逃がすようにする。

【００１４】上記搬送装置７の基本動作について説明す
る。第１ビーム１４と第２ビーム１６からなる移動ビー
ムの基本動作は、概略、第１ビーム１４の回動・前進・
回動・後退にともなう第２ビーム１６の上昇・前進・下
降・後退という４つのステップからなり、第１のステッ
プでは、図４，５に示すように、回動装置２４の駆動に
基づいて第１ビーム１４，１４がそれぞれ矢印ａ，ａ′
方向に所定角度回転する。これにより、アーム１８，１
８が上昇するとともに、これと係合する第２ビーム１
６，１６が第２ビーム１６を収容する溝１７，１７に沿
って上昇し、固定台１２の支持部１３から突出する。な
お、第１ステップの開始時、固定台１２，１２の間に位
置するアーム１８は挿入側の固定台１２の近傍に位置し
ている（図６参照）。また、第２ビーム１６，１６と係
合するアーム１８，１８の先端は、図示するように丸み
をつけておくのが望ましい。

【００１５】第２ステップでは、図７に示すように、移
動装置１９，１９に設けた進退装置２５の駆動に基づい
て第１ビーム１４，１４が装入側から抽出側（矢印Ｘ方
向）に所定量前進し、同方向に同量第２ビーム１６，１
６を前進させる。この第２ステップの間、第１ビーム１
４と第２ビーム１６からなる移動ビームは第１ステップ
で上昇させた上昇端に保持されている。

【００１６】第３ステップでは、図８に示すように、回
動装置２４の第１ステップと逆方向の駆動に基づいて第
１ビーム１４，１４をそれぞれ矢印ｂ，ｂ′方向に所定
角度回転する。これにより、アーム１８が下降して第２
ビーム１６が第２ビーム１６を収容する溝１７に収容さ
れる。

【００１７】第４ステップでは、図９，１０に示すよう
に、支持架台１９に設けた進退装置２５の駆動に基づい
て第１ビーム１４を抽出側から装入側（矢印Ｙ方向）に
後退し、第２ビーム１６を第１のステップのスタート位
置（原点）に送り戻す。

【００１８】以上の構成からなるウォーキングビーム型
炉１では、第１ビーム１４と第２ビーム１６からなる移
動ビームが上述の４つのステップを繰り返す。また、前
工程から搬送されてきたガラス基板等の処理材料Ｗは、
マッフル８の装入側で固定台１２に受け渡され、固定台
１２と上記移動ビームで交互に支持され、ヒータ１１で
加熱されながら抽出側に搬送される。そして、マッフル
８の抽出側に到達した処理材料Ｗは、図示しない次工程
の搬送手段に受け渡される。なお、本実施例では第１ビ
ーム１４のアーム１８と第２ビーム１６の係合部（凹部
２１）を下部が開放された形状に形成したが、図１１の
ように第２ビーム１６に開口部２６を設けて、該開口部
２６にアーム１８を係合して、第１ビーム１４の回動に
より第２ビーム１６を強制的に下降させる構造としても
よい。

【００１９】また、移動ビームは、本実施例のように２
本に限定するものではなく、処理材料Ｗの重量等から必
要に応じて、３本あるいはそれ以上に増やしても何ら問
題はない。さらに、本実施例では、処理材料Ｗを固定台
１２で支持するものとしたが、処理材料Ｗの大きさや移
動ビームの送り量あるいは固定台１２の設置間隔等の条
件から処理材料を固定台１２で支持できるとは限らな
い。その場合には、図１２，１３に示すように、固定台
１２に固定ビーム２７を設け、公知のウォーキングビー
ム式搬送装置と同様の構造としてもよい。この場合も、
固定ビーム２７の本数は上記移動ビームと同様２本に限
定するものではない。

【００２０】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明に
かかるウォーキングビーム式搬送装置では、第１ビーム
の回動・前進・回動・後退により炉内にて第２ビームを
上昇・前進・下降・後退させるので搬送装置が炉外より
塵埃を持ち込まず炉内雰囲気を清浄に保てる。また、炉
内に固定台を設けて第１ビームと第２ビームを保持する
とともに、第１ビームの両端を炉の挿入端および抽出端
から突出させて炉外にて支持し、該支持部にて進退およ
び回動にかかる駆動を行う構造なので、炉体に搬送装置
用の開口部や貫通部を設ける必要がないため炉構造が複
雑化せず、しかも炉内雰囲気の保持が容易であり、上記
の駆動を行う装置が炉の下部に存在しないので炉全体を
小型化できる。さらに、搬送装置用の開口部を持たない
ウォーキングビーム式搬送装置なので熱効率が良くな
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明にかかるウォーキングビーム式搬送装
置を備えたウォーキングビーム型炉の断面図である。

【図２】 本発明にかかるウォーキングビーム式搬送装
置の分解斜視図である。

【図３】 図１のIII−III線断面図である。

【図４】 第２ビームで処理材料を支持した状態を示す
搬送装置の横断面図である。

【図５】 第２ビームで処理材料を支持した状態を示す
搬送装置の縦断面図である。

【図６】 搬送装置の平面図である。

【図７】 処理材料の搬送状態を示す搬送装置の縦断面
図である。

【図８】 固定台で処理材料を支持した状態を示す搬送
装置の横断面図である。

【図９】 固定台で処理材料を支持した状態を示す搬送
装置の縦断面図である。

【図１０】 移動ビームの後退状態を示す搬送装置の縦
断面図である。

【図１１】 第２ビームに開口部を設け、この開口部に
アームを挿入した状態を示す図である。

【図１２】 固定台に固定ビームを設け、処理材料を支
持した状態を示す図である。

【図１３】 本発明にかかるウォーキングビーム式搬送
装置の他の実施例の分解斜視図である。

【符号の説明】

１…ウォーキングビーム型炉、２…炉本体、７…ウォー
キングビーム式搬送装置、１２…固定台、１４…第１ビ
ーム、１５…溝、１６…第２ビーム、１７…溝、１８…
アーム、１９…支持架台、２４…回動装置、Ｗ…処理材
料（ガラス基板）。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉長方向に往復動する回動自在な軸と、
   該軸に所定間隔で設けたアームとからなる第１ビーム
   と、前記第１ビームの回動時に前記アームとの係合部を
   有する第２ビームとからなる移動ビームを炉巾方向に少
   なくとも２本所定間隔を持って配設するとともに、前記
   移動ビームの下降端にて第１および第２ビームの上端部
   より突出している平坦な上端面を持つ処理材の支持部
   と、前記第１ビームを保持する溝と、前記第２ビームを
   収容する溝と、からなる固定台を炉長方向に所定間隔を
   持って配設したことを特徴とするウォーキングビーム式
   搬送装置。