JP2004286426A - 低顕熱容量搬送機構並びにそれを使用した熱処理炉及び熱処理方法 - Google Patents

低顕熱容量搬送機構並びにそれを使用した熱処理炉及び熱処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来熱処理炉内で被熱処理物の搬送に使用されてきた搬送機構に比して低顕熱容量であり、被熱処理物の迅速な加熱及び冷却が可能であるような搬送機構を提供する。
【解決手段】被熱処理物を熱処理する熱処理炉内で、複数の前記被熱処理物を順次搬送するために使用される搬送機構であって、被熱処理物10の投影面積下における搬送機構の顕熱容量が、被熱処理物10の顕熱容量以下である搬送機構。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱処理炉内において、太陽電池基板等の被熱処理物を順次搬送するための搬送機構並びにそれを使用した熱処理炉及び熱処理方法に関する。
太陽電池基板の製造においては、基板上に電極ペーストを所定のパターンで印刷形成した後、当該電極ペーストの熱処理を行う必要がある。この熱処理は、メッシュベルトコンベアを搬送機構として有する熱処理炉を用い、被熱処理物である基板をメッシュベルト上に載置した状態で、炉内を連続的又は間欠的に移動させながらヒーターで800〜900℃程度の温度まで加熱した後、冷却するという工程で行われている(例えば、特許文献1参照。)。
ところで、例えば前記のように太陽電池基板を熱処理するに当たっては、基板を迅速に昇温させ、最高温度で所定時間加熱した後、急冷することが製品特性上優位であり、特に600℃辺りから最高温度の800〜900℃まで昇温する過程においては、40℃/秒以上の昇温速度で急加熱し、その後40℃/秒以上の降温速度で急冷することが理想とされている。
しかしながら、従来のようにメッシュベルトコンベアを熱処理炉内における被熱処理物の搬送機構に用いた場合においては、搬送機構自体の顕熱容量が大きく、その昇温や降温に時間がかかるため、前記のような理想的な急加熱及び急冷却を実現することは困難であった。
特開2002−203888号公報
本発明は、このような従来の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来熱処理炉内で被熱処理物の搬送に使用されてきた搬送機構に比して低顕熱容量であり、被熱処理物の迅速な加熱及び冷却が可能であるような搬送機構を提供することにある。
本発明によれば、被熱処理物を熱処理する熱処理炉内で、複数の前記被熱処理物を順次搬送するために使用される搬送機構であって、前記被熱処理物の投影面積下における前記搬送機構の顕熱容量が、前記被熱処理物の顕熱容量以下である搬送機構、が提供される。
また、本発明によれば、前記の搬送機構を備えた熱処理炉、が提供される。
更に、本発明によれば、熱処理炉内で、前記の搬送機構を使用して被熱処理物の搬送を行いながら、前記被熱処理物の熱処理を行う熱処理方法、が提供される。
本発明によれば、被熱処理物の迅速な加熱及び冷却が可能となり、理想的なヒートパターンで被熱処理物の熱処理を行うことができる。
前記のとおり、本発明の搬送機構は、被熱処理物を熱処理する熱処理炉内で、複数の前記被熱処理物を順次搬送するために使用される搬送機構であって、その特徴的な構成として、前記被熱処理物の投影面積下における前記搬送機構の顕熱容量が、前記被熱処理物の顕熱容量以下であるようにしたものである。
このように被熱処理物の投影面積下における搬送機構の顕熱容量を、被熱処理物の顕熱容量以下の低顕熱容量とすることにより、搬送機構の被熱処理物を載置する部位の温度追従性が向上し、被熱処理物を従来よりも迅速に加熱及び冷却することが可能となる。
本発明の搬送機構は、被熱処理物の投影面積下における顕熱容量が、被熱処理物の顕熱容量以下であれば、その構造は問わないが、被熱処理物が例えば太陽電池基板のように薄板状で顕熱容量が比較的小さいものである場合には、従来そのような被熱処理物の搬送機構として一般的に使用されてきたメッシュベルトコンベアでは、その被熱処理物の投影面積下における顕熱容量を被熱処理物の顕熱容量以下とすることは、その構造から考えて事実上困難である。
そこで、前記のような薄板状で顕熱容量が比較的小さい被熱処理物を搬送する場合であっても、被熱処理物の投影面積下における顕熱容量を被熱処理物の顕熱容量以下とすることができるような搬送機構の具体的な構造を幾つか例示する。
図1に示す搬送機構は、熱処理炉に対して移動するように設けられた線材を有し、被熱処理物を前記線材上に載置し、前記線材を移動させることにより前記被熱処理物の搬送を行う仕組みとなっている。具体的な構成としては、熱処理炉に固定される固定側線材1と、熱処理炉に対してウォーキングビーム的動作をする移動側線材5という2種の線材が、互いに所定間隔で2本ずつ配設されている。なお。ここで「ウォーキングビーム的動作」とは、従来一般的に知られているウォーキングビームの動作、すなわち、上昇→前進→下降→後退を周期的に繰り返す移動動作のことを言う。
この搬送機構において、炉に固定されて移動しない固定側線材1は固定側線材ホルダー2に片端を固定され、他端を固定側ウェイト3に固定される。固定側ウェイト3は固定側滑車4を介して固定側線材1に固定されるため、固定側線材1の伸張に関わらず、常に同じ張力を固定側線材1に与えることができる。
同様に、炉に対し移動する移動側線材5は移動側線材ホルダー6に片端を固定され、他端を移動側ウェイト7に固定される。移動側ウェイト7は移動側滑車8を介して移動側線材5に固定されるため、移動側線材5の伸張に関わらず、常に同じ張力を移動側線材5に与えることができる。
移動側線材ホルダー6と移動側滑車8は、駆動機構(図示せず)に支持される。駆動機構は、上昇、前進、下降、後退の動作を周期的に繰り返す、いわゆる一般的なウォーキングビームの動作をするものと同等の構成とすることができる。このため移動側線材5は、同様に上述のウォーキングビーム的動作を周期的に繰り返すことができる。
最初に、固定側線材1上に載置された被熱処理物10は、移動側線材5が上昇する際に移動側線材5上に移載される。次に、移動側線材5が前進し、被熱処理物10を前進搬送する。更に、移動側線材5が下降すると、被熱処理物10は固定側線材1上に移載される。最後に、移動側線材5が後退し、最初の状態となる。これらの動作を繰り返すことで、被熱処理物10を搬送することができ、熱処理炉(図示せず)内を通過させ、所定の熱処理が可能となる。
なお、本例では、2種の線材の内の一方(移動側線材5)だけが熱処理炉に対して移動(ウォーキングビーム的動作)をするような構成としているが、いわゆるダブルウォーキングビームのように、所定間隔で配設された2種の線材が熱処理炉に対し互いに異なったウォーキングビーム的動作をするように構成してもよい。また、線材の本数は、被熱処理物物を支持する際の安定性を考慮して、各種毎に2本以上とする。
このように線材を用いて被熱処理物の支持及び移動を行うような構造の搬送機構で有れば、被熱処理物の投影面積下に当たる部位は、線材の一部だけであるので、被熱処理物が太陽電池基板のような薄板状で顕熱容量が比較的小さなものである場合においても、被熱処理物の投影面積下における搬送機構の顕熱容量を被熱処理物の顕熱容量以下とすることは容易に実現可能である。
本例において使用する線材としては、炉内温度に耐え得る耐熱性と、必要な張力を与えることができるものであれば、その材質や形状に特に制限はないが、例えば、インコネル、チタン等の金属のより線や、径が1〜2mmの細棒からなるワイヤー、あるいは、同様に耐熱性に優れた金属やセラミックからなるチェーンを挙げることができる。
図2に示す搬送機構は、被熱処理物が太陽電池基板やプラズマディスプレイ用ガラス基板のような長方形の板状体である場合に、それを間欠的に炉内搬送するためのウォーキングビーム式の搬送機構であって、炉に対して固定された固定側ビーム21と、所定のストロークで駆動し、被熱処理物30を搬送する移動側ビーム22とからなる。
この搬送機構においては、被熱処理物30を停止させている間は、図3に示すように、その長方形の外周を構成する4辺の内、搬送方向と平行な2辺の近傍部位を支持部材23を介して固定側ビーム21上に保持し、一方、被熱処理物30を移動させている間は、図4に示すように、搬送方向と直交する他の2辺の近傍部位を支持部材24を介して移動側ビーム22上に保持する。
ビームの基本動作は、従来のウォーキングビームと同様である。すなわち、図3のように、被滅処理物30が固定側ビーム21上に保持され、移動側ビーム22が固定側ビーム21より下方に位置する状態から動作が開始し、まず、移動側ビーム22が徐々に上昇して、固定側ビーム21上に載置されていた被滅処理物30を固定側ビーム21から受け取り、図4のように、移動側ビーム22が固定側ビーム21よりも上方に位置するまで上昇する。次に、移動側ビーム22は被熱処理物30を保持した状態で搬送方向に1ストローク分前進する。次いで、移動側ビーム22は下降して、固定側ビーム21に被熱処理物30を受け渡し、更に下降した後、1ストローク分後退して、図3に示す当初の位置関係(定位置)に戻る。
このような動作を周期的に繰り返すことにより、この搬送機構は、被熱処理物の停止中には、当該被熱処理物の搬送方向と平行な2辺の近傍部位を固定側ビーム上に保持した状態で、また、被熱処理物の移動中には、搬送方向と直交する2辺の近傍部位を移動側ビーム上に保持した状態で、熱処理炉内で長方形の被熱処理物を順次間欠的に搬送して行く。
本例の搬送機構はウォーキングビームの一種に属するものであるが、被熱処理物の投影面積下に当たる部位は、ビームと支持部材の一部だけであり、また炉内での移動距離も短く熱容量が甚大であっても、顕熱量としては微小であるので、被熱処理物が太陽電池基板のような薄板状で顕熱容量が比較的小さなものである場合においても、被熱処理物の投影面積下における搬送機構の顕熱容量を被熱処理物の顕熱容量以下とすることは実現可能である。
また、前記のように固定側ビーム上に保持される被熱処理物の外周近傍部位と、移動側ビーム上に保持される被熱処理物の外周近傍部位とを分けることによって、従来のウォーキングビームに比べて、被熱処理物をより外周に近い部位で保持することが可能となるので、例えば太陽電池基板のように裏面の中央部に電極等が形成されているため、熱処理中に外周近傍部位での接触しか許されないような被熱処理物でも、損傷を与えることなく搬送することができる。
なお、図2の実施形態では、被熱処理物30の長方形の外周を構成する4辺の内、搬送方向と平行な2辺の近傍部位を固定側ビーム21上に保持し、搬送方向と直交する2辺の近傍部位を移動側ビーム22上に保持するようにしているが、これを逆に、搬送方向と直交する2辺の近傍部位を固定側ビーム21上に保持し、搬送方向と平行な2辺の近傍部位を移動側ビーム22上に保持するようにしても同様の効果が得られる。
図5〜8に示す搬送機構も、被熱処理物が太陽電池基板やプラズマディスプレイ用ガラス基板のような長方形の板状体である場合に、それを間欠的に炉内搬送するためのウォーキングビーム式の搬送機構であって、各ビーム上には、被熱処理物の外周近傍部で被熱処理物と接触して支持する支持ピンと、通常時には被熱処理物と接触せず、被熱処理物に割れが生じて支持ピンだけでは被熱処理物を支持できなくなった際に、被熱処理物に接触して支持することができるような、支持ピンよりも低い高さを有するサブ支持ピンが設けられている。
図5〜8は、この搬送機構の各動作段階における被熱処理物の支持状態を示す説明図であり、各図において(a)は被熱処理物に割れが発生していない通常時の支持状態を示し、(b)は搬送方向先頭の被熱処理物に割れが生じた場合の支持状態を示している。本例の搬送機構は、熱処理炉に対して固定された4本の固定側ビーム31a、31b、31c、31dと、熱処理炉に対して上下及び前後に動作可能な3本の移動側ビーム32a、32b、32cからなる。
外側の2本の固定側ビーム31a、31d上には、長方形の被熱処理物の外周を構成する4辺の内、搬送方向と平行な2辺の近傍部位にて被熱処理物と接触し、これを支持する支持ピン33が設けられている。また、内側の2本の固定側ビーム31b、31c上には、長方形の被熱処理物の外周を構成する4辺の内、搬送方向と直交する2辺の近傍部位にて被熱処理物と接触し、これを支持する支持ピン33と、支持ピン33よりも低い高さを有するサブ支持ピン34が設けられている。
また同様に、3本の移動側ビーム32a、32b、32cにも、長方形の被熱処理物の外周を構成する4辺の内、搬送方向と直交する2辺の近傍部位にて被熱処理物と接触し、これを支持する支持ピン35と、支持ピン35よりも低い高さを有するサブ支持ピン36が設けられている。
図5は、搬送機構の動作開始時における被熱処理物の支持状態を示す説明図である。この時点では、移動側ビーム32a、32b、32cは下降した状態にあり、図5(a)のように被熱処理物に割れが発生していない場合は、固定側ビーム31a、31b、31c、31d上の支持ピン33により、被熱処理物40a、40bは原位置で水平に支持されている。一方、図5(b)のように先頭の被熱処理物40aに割れが生じた場合は、固定側ビーム31a、31b、31c、31d上の支持ピン4だけでは割れた被熱処理物40aを支持できなくなるが、同ビーム上のサブ支持ピン34が被熱処理物40aに接触して、支持を補助することにより、下降状態の移動側ビーム32a、32b、32cには被熱処理物40aを接触させることなく安定した支持状態を維持する。
図6は、搬送機構の移動側ビームが上昇して、固定側ビームから移動側ビームへ被熱処理物が受け渡され時の被熱処理物の支持状態を示す説明図である。図6(a)のように被熱処理物に割れが発生していない場合は、原位置で上昇した移動側ビーム32a、32b、32c上の支持ピン35により、被熱処理物40a、40bは水平に支持されている。一方、図6(b)のように先頭の被熱処理物40aに割れが生じた場合は、移動側ビーム32a、32b、32c上の支持ピン6だけでは割れた被熱処理物1aを支持できなくなるが、同ビーム上のサブ支持ピン36が被熱処理物40aに接触して、支持を補助することにより、下方に位置する固定側ビーム31a、31b、31c、31dには被熱処理物40aを接触させることなく安定した支持状態を維持する。
図7は、搬送機構の上昇した移動側ビームが前進している時の被熱処理物の支持状態を示す説明図である。図7(a)のように被熱処理物に割れが発生していない場合は、上昇した移動側ビーム32a、32b、32c上の支持ピン35により、被熱処理物40a、40b、40cは水平に支持されたまま前進する。一方、図7(b)のように先頭の被熱処理物40aに割れが生じた場合は、移動側ビーム32a、32b、32c上の支持ピン35だけでは割れた被熱処理物40aを支持できなくなるが、同ビーム上のサブ支持ピン36が被熱処理物40aに接触して、支持を補助することにより、下方に位置する固定側ビーム31a、31b、31c、31dには被熱処理物40aを接触させることなく安定した支持状態を維持したまま前進する。
図8は、搬送機構の移動側ビームが前進端到達後に下降して、移動側ビームから固定側ビームへ被熱処理物が受け渡された時の被熱処理物の支持状態を示す説明図である。図8(a)のように被熱処理物に割れが発生していない場合は、固定側ビーム31a、31b、31c、31d上の支持ピン33により、被熱処理物40a、40b、40cは水平に支持されている。一方、図8(b)のように先頭の被熱処理物40aに割れが生じた場合は、固定側ビーム31a、31b、31c、31d上の支持ピン33だけでは割れた被熱処理物40aを支持できなくなるが、同ビーム上のサブ支持ピン34が被熱処理物1aに接触して、支持を補助することにより、下降した移動側ビーム32a、32b、32cには被熱処理物40aを接触させることなく安定した支持状態を維持する。下降した移動側ビームは、下降状態のまま後進し、図5の原位置に戻る。
本例の搬送機構も、ウォーキングビームの一種に属するものであるが、被熱処理物の投影面積下に当たる部位は、ビームの一部と支持ピンだけであり、また炉内での移動距離も短く熱容量が甚大であっても、顕熱量としては微小であるので、被熱処理物が太陽電池基板のような薄板状で顕熱容量が比較的小さなものである場合においても、被熱処理物の投影面積下における搬送機構の顕熱容量を被熱処理物の顕熱容量以下とすることは実現可能である。
また、本例の搬送機構では、割れが発生した被熱処理物でも、正常に搬送することができ、また、その後から送られて来る被熱処理物も何ら影響を受けることなく正常に搬送される。ビーム上に設ける支持ピンとサブ支持ピンとの高さの差は、被熱処理物のたわみ等も考慮して3mm以上とすることが好ましい。
なお、図5〜8の例では、2種のビームの内の一方(移動側ビーム3a、3b、3c)だけが熱処理炉に対して移動をするような構成としているが、いわゆるダブルウォーキングビームのように、2種の線材が熱処理炉に対し互いに異なった動作をするように構成してもよい。ビームの数は、割れた被熱処理物を支持する際の安定性を考慮して、各種毎に3本以上とする。
本例の搬送機構及び前述の図2に示す搬送機構において使用するビームの材質としては、例えば、耐熱鋳鋼、あるいはスポール性の良好なセラミック材であるシリコン金属を含浸させた炭化珪素等を好適なものとして挙げることができる。
本発明の熱処理炉は、炉内における被熱処理物の搬送機構として、前記本発明の搬送機構を備えたものであり、この熱処理炉を使用して被熱処理物の熱処理を行うことによって、前記本発明の搬送機構により得られる効果を、実際の熱処理において享受することができる。また、本発明の熱処理方法は、熱処理炉内で、前記本発明の搬送機構を使用して被熱処理物の搬送を行いながら、被熱処理物の熱処理を行うものであり、この熱処理方法を用いて被熱処理物の熱処理を行うことによって、同様に前記本発明の搬送機構により得られる効果を、実際の熱処理において享受することができる。
また、本発明の熱処理方法においては、前記のとおり急加熱や急冷却が可能な搬送機構を使用することにより、熱処理の工程に、被熱処理物を40℃/秒以上の昇温速度で急加熱する工程及び/又は40℃/秒以上の降温速度で急冷却する工程が含まれるようにすることができ、その結果、例えば太陽電池基板等の熱処理において、従来は困難であった理想的なヒートパターンを実現することが可能となり、従来よりも特性の優れた製品を製造することができるようになる。なお、本発明の熱処理炉及び熱処理方法においては、被熱処理物を熱処理するための加熱手段として、遠赤外線ヒーター又は近赤外線ヒーターを使用することが好ましい。
図1に示すような線材を使用した搬送機構を備えた熱処理炉(実施例)と、メッシュベルトコンベアを搬送機構として備えた熱処理炉(比較例)とで、ヒーター温度設定等の熱処理条件を同一としてシリコンウェハー(150mm角、0.3mm厚み、14g重量)の熱処理を実施した。なお、実施例及び比較例の諸元は下記表1に示す。被熱処理物(シリコンウェハー)の投影面積下における搬送機構の顕熱容量は、実施例では被熱処理物の顕熱容量の約1/5であり、比較例では被熱処理物の顕熱容量の約7倍であった。結果は図9のグラフに示すとおりであり、実施例は比較例に比して、迅速な昇温及び降温を行うことができた。
Figure 2004286426
本発明は、熱処理炉内において、複数の被熱処理物、例えば太陽電池基板、プラズマディスプレイパネル用ガラス基板、シリコンウェハー等を順次搬送するための搬送機構並びに当該搬送機構を使用した熱処理炉及び熱処理方法として、好適に使用することができる。
本発明に係る搬送機構の実施形態の一例を模式的に示す説明図である。 本発明に係る搬送機構の実施形態の他の一例を模式的に示す説明図である。 図2に示す実施形態において、被熱処理物が固定側ビーム上に保持された状態を示す説明図である。 図2に示す実施形態において、被熱処理物が移動側ビーム上に保持された状態を示す説明図である。 本発明に係る搬送機構の実施形態の更に他の一例を模式的に示す説明図であって、(a)は搬送機構の動作開始時において被熱処理物に割れが発生していない通常時の支持状態を示し、(b)は搬送機構の動作開始時において搬送方向先頭の被熱処理物に割れが生じた場合の支持状態を示している。 本発明に係る搬送機構の実施形態の更に他の一例を模式的に示す説明図であって、(a)は移動側ビームが上昇した時において被熱処理物に割れが発生していない通常時の支持状態を示し、(b)は移動側ビームが上昇した時において搬送方向先頭の被熱処理物に割れが生じた場合の支持状態を示している。 本発明に係る搬送機構の実施形態の更に他の一例を模式的に示す説明図であって、(a)は移動側ビームが前進している時において被熱処理物に割れが発生していない通常時の支持状態を示し、(b)は移動側ビームが前進している時において搬送方向先頭の被熱処理物に割れが生じた場合の支持状態を示している。 本発明に係る搬送機構の実施形態の更に他の一例を模式的に示す説明図であって、(a)は移動側ビームが前進端到達後に下降した時において被熱処理物に割れが発生していない通常時の支持状態を示し、(b)は移動側ビームが前進端到達後に下降した時において搬送方向先頭の被熱処理物に割れが生じた場合の支持状態を示している。 実施例の結果を示すグラフである。
符号の説明
1…固定側線材、2…固定側線材ホルダー、3…固定側ウェイト、4…固定側滑車、5…移動側線材、6…移動側線材ホルダー、7…移動側ウェイト、8…移動側滑車、10…被熱処理物、21…固定側ビーム、22…移動側ビーム、23…支持部材、24…支持部材、30…被熱処理物、31a…固定側ビーム、31b…固定側ビーム、31c…固定側ビーム、31d…固定側ビーム、32a…移動側ビーム、32b…移動側ビーム、32c…移動側ビーム、33…支持ピン、34…サブ支持ピン、35…支持ピン、36…サブ支持ピン、40a…被熱処理物、40b…被熱処理物、40c…被熱処理物。

Claims (8)

  1. 被熱処理物を熱処理する熱処理炉内で、複数の前記被熱処理物を順次搬送するために使用される搬送機構であって、
    前記被熱処理物の投影面積下における前記搬送機構の顕熱容量が、前記被熱処理物の顕熱容量以下である搬送機構。
  2. 前記熱処理炉に対して移動するように設けられた線材を有し、前記被熱処理物を前記線材上に載置し、前記線材を移動させることにより前記被熱処理物の搬送を行う請求項1の搬送機構。
  3. 前記熱処理炉に対し互いに異なったウォーキングビーム的動作をするように所定間隔で配設された2種の線材、又は一方が前記熱処理炉に固定されるとともに他方が前記熱処理炉に対してウォーキングビーム的動作をするように、互いに所定間隔で配設された2種の線材をそれぞれ2本以上有してなる請求項2記載の搬送機構。
  4. 長方形の板状体である前記被熱処理物を間欠的に搬送するウォーキングビーム式の搬送機構であって、前記熱処理物を停止させている間は、前記被熱処理物の長方形の外周を構成する4辺の内、搬送方向と平行な2辺又は搬送方向と直交する2辺の何れかの近傍部位を固定側ビーム上に保持し、前記薄型基板を移動させている間は、他の2辺の近傍部位を移動側ビーム上に保持するようにした請求項1の搬送機構。
  5. 長方形の板状体である前記被熱処理物を間欠的に搬送するウォーキングビーム式の搬送機構であって、動作の異なる2種のビーム、又は一方が前記熱処理炉に対し固定され、他方が前記熱処理炉対し移動する2種のビームをそれぞれ3本以上有し、各種ビーム上には、前記被熱処理物の外周近傍部で前記基板と接触して支持する支持ピンと、通常時には前記被熱処理物と接触せず、前記被熱処理物に割れが生じて前記支持ピンだけでは前記被熱処理物を支持できなくなった際に、前記被熱処理物に接触して支持することができるような、前記支持ピンよりも低い高さを有するサブ支持ピンが設けられた請求項1の搬送機構。
  6. 請求項1ないし5の何れか一項に記載の搬送機構を備えた熱処理炉。
  7. 熱処理炉内で、請求項1ないし5の何れか一項に記載の搬送機構を使用して被熱処理物の搬送を行いながら、前記被熱処理物の熱処理を行う熱処理方法。
  8. 前記熱処理の工程に、前記被熱処理物を40℃/秒以上の昇温速度で急加熱する工程及び/又は40℃/秒以上の降温速度で急冷却する工程が含まれる請求項6記載の熱処理方法。
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