JP2522619Y2 - 車両用エンジンの防振装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［考案の目的］ （産業上の利用分野） この考案はエンジン運転中にエンジン本体から発生す
る振動を低減する車両用エンジンの防振装置に関する。

（従来の技術） 一般に、自動車等の車両用エンジンはゴムブッシュ等
の弾性体を備えた複数のマウント部を介して車体側に連
結されている。第３図は例えば、FF（フロントエンジン
・フロントドライブ）形の自動車等の車両に装着された
車両用エンジンの外観を示すもので、１は車両用のエン
ジン本体である。このエンジン本体１の一端部には第４
図に示すように変速機２がボルト止め等の手段によって
連結されている。これらのエンジン本体１および変速機
２は車体のエンジンルーム内に車幅方向に沿って並設さ
れている。さらに、エンジン本体１はゴムブッシュ等の
弾性体を備えたフロントロールストッパブラケット３、
リヤロールストッパブラケット４、エンジンマウントブ
ラケット５等の複数のマウント部を介して車体側に連結
されている。この場合、フロントロールストッパブラケ
ット３は車体側のセンターフレーム６の前端部側に配設
されているとともに、リヤロールストッパブラケット４
は車体側のセンターフレーム６の後端部側に配設されて
いる。

また、エンジンマウントブラケット５はエンジン本体
１の上部一側部に配設されている。このエンジンマウン
トブラケット５の上部構成部材5aには略Ｌ字状の屈曲部
が屈曲形成されており、この屈曲部がエンジン本体１の
上部端縁部に沿ってエンジン本体１の前側に延出されて
いる。そして、このエンジンマウントブラケット５の上
部構成部材5aにおける前側延出部には下方に向けて延設
された下方延出部が連結されており、この下方延出部の
下端部が固定ボルト等によってエンジン本体１に固定さ
れている。さらに、エンジンマウントブラケット５の上
部構成部材5aにはゴムブッシュ保持部７が突設されてお
り、このゴムブッシュ保持部７内のゴムブッシュのボル
ト挿通孔内に挿通された取付けボルトによって車体側の
支持ブラケットがエンジンマウントブラケット５側に固
定されている。なお、変速機２はトランスミッションマ
ウントブラケット８を介して車体側に連結されている。
また、エンジン本体１の上部にはエンジン本体１吊下げ
用のエンジンハンガー９が固定されている。そして、エ
ンジン本体１の各種の整備作業時にはこのエンジンハン
ガー９にワイヤまたはチェーン等をかけてエンジン本体
１を吊下げるようになっている。

ところで、この種のものにあってはエンジン本体１の
動作中、エンジン本体１の回転数が例えば6000r.p.m.以
上程度の高回転領域まで上昇するとエンジンマウントブ
ラケット５の上下方向および左右方向の振動が極端に増
大する。そのため、この強い振動がエンジン本体１から
車体側に伝達されるので、車室内には比較的強い振動こ
もり音が発生し、車室内の騒音が大きくなる問題があっ
た。

（課題が解決しようとする問題点） 従来構成のものにあってはエンジン本体１の動作中、
エンジン本体１の回転数が例えば6000r.p.m.以上程度の
高回転領域まで上昇するとエンジンマウントブラケット
５の上下方向および左右方向の振動が極端に増大し、こ
の強い振動がエンジン本体１から車体側に伝達されるの
で、車室内には比較的強い振動こもり音が発生し、車室
内の騒音が大きくなる問題があった。

この考案は上記事情に着目してなされたもので、エン
ジン本体の高回転領域であっても車室内の騒音を効果的
に低減することができるとともに、エンジン本体の部品
数の増加を防止してエンジン本体全体の大形化を防止
し、かつコストが低減し、エンジン本体の安定した吊下
げが行える車両用エンジンの防振装置を提供することを
目的とするものである。

［考案の構成］ （問題点を解決するための手段） この考案は一端がエンジン本体の短寸法側上部に取付
けられ、他端がエンジン本体の長手側下部に取付けられ
た湾曲形状を有するエンジンマウントブラケットと、該
エンジンマウントブラケットの該長手側に位置する中間
部に一端が連結され、エンジン本体の長手側に取付けら
れる排気マニホールド取付け部に他端が連結された制振
部材とを設け、この制振部材にエンジン本体吊下げ用の
エンジンハンガー部を一体に設けたものである。

（作用） エンジンマウントブラケットを湾曲形状に形成させ、
かつ一端をエンジン本体の短寸法則上部に取付け、他端
をエンジン本体の長手側下部に取付けることにより、エ
ンジン本体のアイドル振動を低減し、ゴムブッシュ保持
部の支持ポイントや、エンジン本体への補機類取付け上
の干渉防止を図るとともに、そのブラケットにおけるエ
ンジン本体の長手側面に制振部材を取付けることによ
り、エンジンマウントブラケットの上下，左右方向の振
動を制振部材によって効果的に抑制するとともに、この
制振部材にエンジン本体吊下げ用のエンジンハンガー部
を一体に設けることにより、エンジン本体の部品数が増
加することを防止して全体の小形化を図るようにしたも
のである。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を第１図および第２図を参
照して説明する。第１図は例えば、FF（フロントエンジ
ン・フロントドライブ）形の自動車等の車両に装着され
た車両用エンジンの防振装置の要部の概略構成を示すも
ので、11はエンジン本体である。このエンジン本体11の
一端部には第２図に示すように変速機12がボルト止め等
の手段によって連結されている。これらのエンジン本体
11および変速機12は車体のエンジンルーム内に車幅方向
に沿って並設されている。さらに、エンジン本体11はゴ
ムブッシュ等の弾性体を備えたフロントロールストッパ
ブラケット13、リヤロールストッパブラケット14、エン
ジンマウントブラケット15等の複数のマウント部を介し
て車体側に連結されている。この場合、フロントロール
ストッパブラケット13は車体側のセンターフレーム16の
前端部側に配設されているとともに、リヤロールストッ
パブラケット14は車体側のセンターフレーム16の後端部
側に配設されている。

また、エンジンマウントブラケット15はエンジン本体
11の上部一側部に配設されている。このエンジンマウン
トブラケット15の上部構成部材15aには略Ｌ字状の屈曲
部（前側延出部15b）が屈曲形成されており、この屈曲
部がエンジン本体11の上部端縁部に沿ってエンジン本体
11の前側に延出されている。そして、このエンジンマウ
ントブラケット15の上部構成部材15aにおける前側延出
部15bには下方に向けて延設された下方延出部15cが連結
されており、この下方延出部15cの下端部が固定ボルト
等によってエンジン本体11に固定されている。さらに、
エンジンマウントブラケット15の上部構成部材15aには
ゴムブッシュ保持部17が突設されており、このゴムブッ
シュ保持部17内のゴムブッシュのボルト挿通孔内に挿通
された取付けボルトによって車体側の支持ブラケットが
エンジンマウントブラケット15側に固定されている。な
お、変速機12はトランスミッションマウントブラケット
18を介して車体側に連結されている。

また、19はエンジン運転中のエンジンマウントブラケ
ット15からの振動の発生を抑制する制振用ステー（制振
部材）である。この制振用ステー19の一端はエンジンマ
ウントブラケット15の上部構成部材15aにおける前側延
出部15bの下方延出部15cに固定ボルト20…によって固定
されている。さらに、この制振用ステー19の他端はエン
ジン本体11の前面上部の排気マニホールト取付け部に排
気マニホールド取付けボルト21…によって固定されてい
る。また、この制振用ステー19にはエンジン本体11吊下
げ用のエンジンハンガー部22が上方向に向けて一体に屈
曲形成されている。

そこで、上記構成のものにあっては一端をエンジンマ
ウントブラケット15の上部構成部材15aにおける前側延
出部15bの下方延出部15cに固定し、他端をエンジン本体
１の前面上部の排気マニホールト取付け部に固定した制
振用ステー19を設けたので、エンジン本体11の回転数が
高回転領域まで上昇した場合にこの制振用ステー19によ
ってエンジンマウントブラケット15の上下方向および左
右方向の振動を抑制することができる。そのため、エン
ジン本体11の高回転領域であっても従来のようにエンジ
ン本体11から各マウント部を介して車体側に強い振動が
伝達されたことを防止することができ、車室内の騒音の
増大を防止することができる。さらに、エンジン本体11
の前面上部の排気マニホールト取付け部に制振用ステー
19の固定端を排気マニホールト取付けボルト21…によっ
て固定させたので、制振用ステー19の固定端をエンジン
本体11に固定するためにエンジン本体11側にステー取付
け用のボス部を新たに突設する必要がない。そのため、
エンジン本体11の設計変更を省略してコスト低下を図る
ことができる。また、制振用ステー19にエンジン本体11
吊下げ用のエンジンハンガー部22を上方向に向けて一体
に屈曲形成したので、エンジン本体11の部品数の増加を
防止してエンジン本体11全体の大形化を防止することが
できる なお、この考案は上記実施例に限定されるものではな
く、この考案の用紙を逸脱しない範囲で種々変形実施で
きることは勿論である。

［考案の効果］ エンジンマウントブラケットを湾曲形状に形成させ、
かつ一端をエンジン本体の短寸法則上部に取付け、他端
をエンジン本体の長手側下部に取付けることにより、エ
ンジン本体のアイドル振動を低減し、ゴムブッシュ保持
部の支持ポイントや、エンジン本体への補機類取付け上
の干渉防止を図るとともに、そのブラケットにおけるエ
ンジン本体の長手側面に制振部材を取付けたので、エン
ジンマウトブラケットの振動を抑制でき、さらに制振部
材にエンジン本体吊下げ用のエンジンハンガー部を一体
に設けたので、エンジン本体部の品点数を少なくしてコ
ストを低減し、エンジン本体の安定した吊下げを行う。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図はこの考案の一実施例を示すもの
で、第１図は車両用エンジンの防振装置の要部の概略構
成を示す斜視図、第２図はエンジン本体の取付け状態を
示す平面図、第３図および第４図は従来例を示すもの
で、第３図はエンジン本体の外観を示す要部の斜視図、
第４図はエンジン本体の取付け状態を示す平面図であ
る。 11……エンジン本体、15……エンジンマウントブラケッ
ト、19……制振用ステー（制振部材）、22……エンジン
ハンガー部。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】一端がエンジン本体の短寸法側上部に取付
   けられ、他端がエンジン本体の長手側下部に取付けられ
   た湾曲形状を有するエンジンマウントブラケットと、該
   エンジンマウントブラケットの該長手側に位置する中間
   部に一端が連結され、エンジン本体の長手側に取付けら
   れる排気マニホールド取付け部に他端が連結された制振
   部材とを設け、この制振部材にエンジン本体吊下げ用の
   エンジンハンガー部を一体に設けたことを特徴とする車
   両用エンジンの防振装置。