JP2521308B2 - 甘味剤濃縮物および熱安定性甘味剤濃縮物の製造方法 - Google Patents

甘味剤濃縮物および熱安定性甘味剤濃縮物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、高強度甘味剤スクラロース（4,1′,6′−
トリクロロ−4,1′,6′−トリデオキシガラクトスクロ
ース）およびマルトデキストリン、加水分解されたデン
プンおよびポリデキストロースのようなある種の水溶性
オリゴ糖を含む甘味剤濃縮物に関する。スクラロースの
甘味剤としての使用は、本発明者らの英国特許第1,543,
167号明細書に開示されている。
「甘味剤濃縮物」は、高強度甘味剤を高割合で含有
し、従つて甘味剤を濃縮形で貯蔵および輸送する有用な
手段を与える組成物を意味する。甘味剤濃縮物は、広範
囲の環境条件下で貯蔵および輸送でき、従つて極端な温
度に対して安定でなければならない。
本発明者らは、概して、スクラロースが比較的低濃度
で分散されている食品および飲料において、スクラロー
スは高温に対して非常に安定であることを見出した。し
かしながら、純粋、乾燥、結晶性スクラロースは、高温
に対してはより不安定となる。
本発明者らによる出願中の英国特許出願第2,169,601A
号明細書において、本発明者らは結晶性スクラロースの
変色が熱、乾燥条件下に起こり得ることを開示してい
る。例えば、純粋、乾燥結晶性スクラロースを100℃を
保持する場合、約20分後に無色（白色）から淡褐色に変
色する。約40℃より高温において長期間にわたつて、ス
クラロースの著しい分解が起こり得る。
英国特許第2,169,601A号明細書に開示されたように、
熱、乾燥条件下の結晶性スクラロースの安定性は、甘味
剤を、ナイアシンアミドのような窒素含有塩基の微量を
もつて、共晶出させることによつて著しく増進できる。
しかしながら、このことによつて晶出過程が複雑にな
り、しかもスクラロースの製造コストが増大する。従つ
て、スクラロースを高温に対して安定化する一層簡単な
一層適当な方法が必要である。
驚くべきことに、本発明者らは、スクラロースの熱安
定性は、このスクラロースをマルトデキストリンのよう
な水溶性安定剤と均質に一緒にする場合に大いに増強さ
れることを今や見出した。従つて、スクラロースおよび
マルトデキストリンを重量比2:3、1:1:および3:2で含む
噴霧乾燥甘味剤濃縮物は、45℃において貯蔵14週後にス
クラロースの損失を何ら示さない。
対照的に、スクラロース33.8重量％を含有する結晶性
スクラロースとマルトデキスリンの単純乾燥混合物は45
℃において25日貯蔵後にスクラロースの若干の損失を示
した。純、乾燥結晶性スクラロース自体は、46℃におい
て約１週間後に変色し、約３週間〜４週間後にはスクラ
ロースの測定可能な損失が生ずる。従つて、安定剤中の
スクラロース粒子の単純な分散によつて、満足な生成物
が得られるが、この分散はスクラロースの熱安定性をあ
る程度増大する。
本発明による耐熱安全性の高い甘味剤濃縮物を得るた
めに、スクラロースと安定剤の一層均質な組み合せを形
成する必要がある。このことは、スクラロースと安定剤
の共通溶液の噴霧乾燥および凍結乾燥を初め、種々の従
来の方法によつて達成できる。
本発明者らは、噴霧乾燥によつて十分な結果を得、し
かもこの方法が甘味剤濃縮物の適当な製造方法であるこ
とを見出した。スクラロース自体は、噴霧乾燥できな
い。なぜならば、スクラロースはこの様式で処理された
場合に融解し、しかも装置の内面に付着するからであ
る。しかしながら、スクラロースとマルトデキストリン
の水性共溶液は、スクラロース対マルトデキストリンの
重量比約80:20までにおいて十分に噴霧乾燥できる。
本発明の甘味剤濃縮物の顕微鏡検査から、これら甘味
剤濃縮物は安定剤に一様に分散し、しかも密着したスク
ラロースの非結晶形を含むことが明らかである。
すなわち、本発明により、水溶性オリゴ糖に一様に分
散し、しかも付着している。実質的に非結晶性スクラロ
ースの粒子を含み、乾量基準でスクラロース約20％〜80
％を含有することを特徴とする、甘味剤濃縮物が提供さ
れる。
安定剤として用いる水溶性オリゴ糖は用途に適したか
なり広範囲の食品グレード材料から選ぶことができる。
これら材料としては、マルトデキストリン、加水分解さ
れたデンプン、および重合されたグルコース（例えばポ
リデキストロース）のようなグルコースオリゴ糖のおよ
びこれらの混合物がある。本発明者らは、マルトデキス
トリンがスクラロースの特に良好な安定剤であり、しか
もこのマトルトデキスリンは比較的安価であるという利
点を更に有することを見出した。
本発明の甘味剤濃縮物は、他の高強度甘味剤および香
味剤のような他の水分散可能成分に任意に含有してもよ
い。特に、（本発明者らの英国特許第2,098,848B号明細
書に開示された）サツカリン、アセスルフエーム（aces
ulfame）−Ｋおよびステビオサイドおよび（本発明者ら
の英国特許第2,154,850A号明細書に開示された）シクラ
メート（cyclamate）のような他の高強度甘味剤の相乗
的組み合せを含む甘味剤濃縮物は興味深い。他の有用な
甘味剤濃縮物としては、スクラロースおよびジペプチド
甘味剤を含有するものがある。なぜならばこのような組
み合せは、本発明者らの英国特許第2,153,651A号明細書
に開示された甘味剤のスクロース様品質を有するからで
ある。
前記の水溶性オリゴ糖の若干は増量剤と用いられて、
種々の食品成分の高度希釈配合物を得るのに使用されて
いる。例えば、マルトデキストリン乾燥重量222.2gを含
有する溶液をスクラロース0.5gと混合し、次いで嵩密度
0.2g/mlまで噴霧乾燥することによつて製造された増量
された甘味剤は本発明者らの英国特許第1,543,167号明
細書に開示されている。この甘味剤組成物は、スクロー
スの同体積とほぼ同じ甘味度を有し、しかも家庭用、例
えば「卓上」甘味剤として意図されている。この組成物
は、スクラロール0.22重量％を含有する。
この卓上「スプーン対スプーン」製品とは全く対照的
に、本発明の甘味剤濃縮物は、スクラロースをはるかに
高い割合、一般に約20％より高い割合で含有し、しかも
重量対重量基準でスクラロースの約100倍またはそれ以
上の甘味度を有する。
本発明を更に実施例により具体的にするが、これに限
定されるものではない。
例１ 甘味剤濃縮剤の製造 結晶性スクラロースおよびマルトデキストリン［CPC
「スノーフレーク（Snowflake）」01915）」の重量割合
2:3、1:1および3:2の混合物を水に溶解して、40％W/V溶
液を得た。各溶液を、「アンヒドロ」ラボラトリー・ド
ライヤー（「Anhydro」Laboratory Drier）、S1型を用
いて下記のように噴霧乾燥した。
例２ 甘味剤濃縮物の安定性 各甘味剤濃縮物の試料（3g）を、10個の二重密閉ポリ
テン袋に詰め、次いで45℃において乾燥器中に貯蔵し
た。30日後、各濃縮物の試料を約、約１週間の間隔で乾
燥器から取り出して、分析に要するまで０℃のフリーザ
ーに貯蔵した。
新たに製造された濃縮物（０日）の試料および90日お
よび98日に乾燥器から取り出した試料を高速液体クロマ
トグラフイー（h,p,l,c,）によつてそのスクラロース含
量を分析した。
同様に、純結晶性スクラロースを、0.75mmの篩に通し
て、凝集粒子を細分し、次いで同様の条件下に45℃にお
いて貯蔵した。試料を31日の期間にわたつて採取し、次
いで前記のように高速液体クロマトグラフイーによつて
分析した。有意なスクラロースの損失は、スクラロース
値での２％減少であると考えられた。純スクラロース、
約25日後に著しく損失（分解）したことが分かつた。対
照的に、スクラロース／マルトデキストリン濃縮物は、
何れも、98日後においても何ら著しい消失は認められな
かつた。

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】水溶性オリゴ糖に一様に分散ししかも付着
    している実質的に非結晶性スクラロースの粒子を含み、
    乾量基準でスクラロース約20％〜80％を含有することを
    特徴とする、甘味剤濃縮物。
  2. 【請求項２】オリゴ糖がグルコースオリゴ糖またはその
    混合物から選ばれた、特許請求の範囲第１項に記載の甘
    味剤濃縮物。
  3. 【請求項３】オリゴ糖がマルトデキストリン、加水分解
    されたデンプンおよび重合されたグルコースから選ばれ
    た、特許請求の範囲第２項に記載の甘味剤濃縮物。
  4. 【請求項４】１種またはそれ以上の他の水分散可能成分
    を含有する、特許請求の範囲第１項〜第３項の何れかに
    記載の甘味剤濃縮物。
  5. 【請求項５】前記他の成分が他の高強度甘味剤または香
    味剤を含む、特許請求の範囲第４項に記載の甘味剤濃縮
    物。
  6. 【請求項６】前記高強度甘味剤がサツカリン、アセスル
    フエーム−Ｋ、ステビオサイド、シクラメートおよびジ
    ペプチド甘味剤から選ばれた、特許請求の範囲第５項に
    記載の甘味剤濃縮物。
  7. 【請求項７】スクラロース対オリゴ糖の比が乾量基準で
    40:60〜60:40である、特許請求の範囲第１項〜第６項の
    何れかに記載の甘味剤濃縮物。
  8. 【請求項８】スクラロースを乾量基準で約20％〜80％含
    有するスクラロースとオリゴ糖の共通水溶液を形成し、
    次いで溶液を乾燥することを特徴とする、スクラロース
    および水溶性オリゴ糖を含有する熱安定性甘味剤濃縮物
    の製造方法。
  9. 【請求項９】溶液を噴霧乾燥する、特許請求の範囲第８
    項に記載の方法。
  10. 【請求項１０】スクラロース対オリゴ糖の比が、乾量基
    準で40:60〜60:40である、特許請求の範囲第８項または
    第９項に記載の方法。
  11. 【請求項１１】オリゴ糖がグルコースオリゴ糖およびそ
    の混合物から選ばれた、特許請求の範囲第８項〜第10項
    の何れかに記載の方法。
  12. 【請求項１２】オリゴ糖がマルトデキストリン、加水分
    解されたデンプンおよび重合されたグルコースから選ば
    れた、特許請求の範囲第11項に記載の方法。
  13. 【請求項１３】溶液が１種またはそれ以上の他の水分散
    可能成分をも含有する、特許請求の範囲第８項〜第10項
    の何れかに記載の方法。
  14. 【請求項１４】前記の他の成分が他の高強度甘味剤およ
    び香味剤から選ばれた、特許請求の範囲第11項に記載の
    方法。
  15. 【請求項１５】前記高強度甘味剤がサツカリン、アセス
    ルフエーム−Ｋ、ステビオサイド、シクラメートおよび
    ジペプチド甘味剤から選ばれた、特許請求の範囲第12項
    に記載の方法。
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