JP3734802B2 - 甘味系凍結乾燥食品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、甘味系凍結乾燥食品の製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、甘酒を始め、生姜湯、カリン湯、抹茶、紅茶、しるこ用などの甘味系凍結乾燥食品を製造するに際し、甘味料として高感度甘味料を糖質甘味料と併用することにより、糖質甘味料の量を減らして相対的に水分を多くすることで、凍結乾燥処理をしやすくし、お湯により、容易に復元できておいしい甘味系液状食品を与えることができる甘味系凍結乾燥食品の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
甘味系液状食品の一種である甘酒は、本来、米飯に米麹を混合して、米麹に繁殖するこうじカビが生産する糖化酵素を利用して、米のでん粉質をブドウ糖、麦芽糖に変化させたものを水に溶解、分散させた飲料である。しかし、現在の甘酒は、米麹、酒粕、又はそれらの混合物などに甘味料を加え、更に香味、酸味を引き立たせる目的で食塩、しょうが等を加えて作られたものが主流となっている。一般に、甘酒は、米麹が潰れずに残ったものや、米飯や酒粕の不溶性成分などからなる固形分を含有している。米麹だけから作られた甘酒の場合には、米麹の不溶性固形分が沈殿して透明な上澄液が形成されるため、比較的さらりとして飲みやすい。しかし、米麹だけの甘酒を飲む地域は限られており、一般には米麹と米飯、米麹と酒粕、又は酒粕だけで作られた甘酒が普及している。
また、甘味系液状食品としては、前記甘酒以外に、例えば生姜湯、カリン湯、抹茶、紅茶、しるこなどが知られている。
【0003】
ところで、常圧下で食品を乾燥する場合、通常加熱空気や加熱板などにより熱を加えて乾燥するが、このような加熱乾燥においては、被乾燥食品中の水は、内部拡散と表面蒸発との繰り返しで蒸発し、乾燥される。その結果、被乾燥食品は、乾燥中に熱変性を受けて着色、変色したり、あるいは芳香が逸散したり、異臭を発生したりするなど、乾燥前の食品の特徴を失うことが多い。また、この乾燥食品をお湯や水で復元させた場合、復元速度が遅いという問題もある。
したがって、食品分野においては、このような問題を解決するために凍結乾燥方法が多用されている。通常、食品を凍結乾燥する場合、まず、被乾燥食品を、冷凍食品製造の場合と同様に−20〜−40℃程度の温度で急速凍結し(予備凍結)、これを0.0005〜2Torr程度の真空中に入れて食品中の氷を昇華させ、−30℃前後の温度から70℃程度に至るまでに乾燥させる方法が用いられる。
【0004】
このような凍結乾燥においては、氷の昇華によって乾燥が行われるので、低温で乾燥が進み、その結果、乾燥中に該食品は物理的にも化学的にも変化を受けにくく、色、味、芳香、ビタミン類、形状などの変化が少ない乾燥食品となる。また、多孔質な構造となるため、加熱乾燥食品に比べて、一般に復元性がよいというメリットもある。
このような凍結乾燥方法によって、前記甘酒などの甘味系液状食品を処理し、凍結乾燥食品とすれば、容積が小さく、かつ固形状になるため、運搬や取り扱いが極めて容易となる。この甘味系凍結乾燥食品は、お湯によって容易に復元し、充分な甘味を呈すること、また、保存中も安定であることなどが要求される。
しかしながら、このような甘味系凍結乾燥食品を得るには、凍結乾燥処理する際の水分量と甘味度とのバランスの点で困難な問題を生じる。
【0005】
例えば、復元後の食品の甘味度を高くしようとして、被凍結乾燥処理品中の砂糖などの糖質甘味料を多くした場合、必然的に水分が低下するため、凍結乾燥処理において水分が抜けにくく凍結乾燥処理が困難となり、また得られた凍結乾燥処理品は、お湯で復元しにくいなどの問題が生じる。また、甘味系凍結乾燥食品中の水分を一定限度以下にしないと、保存中に製品自体の保持する水分により溶け出したりする不都合も生じる。そこで、凍結乾燥が進行しやすいように、被凍結乾燥処理品中の水分濃度を高めると、凍結乾燥食品中の糖質甘味料の濃度が低下し、復元後の食品の甘味度を確保することができなくなる。
甘酒の凍結乾燥処理品として、例えば酒粕と、糖質甘味料と、調味料などを含む乳濁液状物の凍結真空乾燥処理品が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、この場合、甘味料として糖質甘味料のみを用いているため、前記と同じような問題が生じる。
【0006】
【特許文献1】
特開昭51−110071号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、甘酒を始め、生姜湯、カリン湯、抹茶、紅茶、しるこ用などの甘味系凍結乾燥食品を製造するに際し、凍結乾燥処理がしやすく、凍結乾燥食品の保存も安定で、お湯又は水により容易に復元できて充分な甘味を呈する液状食品を与えることができる甘味系凍結乾燥食品の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、甘味料として高感度甘味料と糖質甘味料を併用し、特定の量の水分と高感度甘味料を含むと共に、ブリックス糖度がある範囲にある組成物を凍結乾燥処理することにより、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)主素材と、高感度甘味料と、糖質甘味料と、水を含み、かつ組成物中の乾燥固形分100重量部に対して、水分含有量が200〜420重量部、高感度甘味料含有量が、甘味度での砂糖換算で少なくとも30重量部であって、ブリックス糖度が10〜30である組成物を凍結乾燥処理することを特徴とする甘味系凍結乾燥食品の製造方法(以下、製造方法Iと称す。)、
(2)甘味系凍結乾燥食品が、微紛体が分散していてもよい溶液状飲料食品である上記(1)の甘味系凍結乾燥食品の製造方法、
(3)米麹及び酒粕を含む主素材と、高感度甘味料と、糖質甘味料と、水を含み、かつ組成物中の乾燥固形分100重量部に対して、水分含有量が250〜350重量部、高感度甘味料含有量が、甘味度での砂糖換算で少なくとも30重量部であって、ブリックス糖度が10〜25である組成物を凍結乾燥処理し、甘酒用凍結乾燥食品を作製することを特徴とする甘味系凍結乾燥食品の製造方法(以下、製造方法IIと称す。)、
(4)組成物が、主素材を含み、かつ加熱殺菌処理された水などの水性液に、高感度甘味料、糖質甘味料及び必要に応じて水を加えたものである上記(1)、(2)、(3)の甘味系凍結乾燥食品の製造方法、及び
(5)組成物が、主素材及び糖質甘味料を含み、かつ加熱殺菌処理された水などの水性液に、高感度甘味料及び必要に応じて水を加えたものである上記(1)、(2)、(3)の甘味系凍結乾燥食品の製造方法、
を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の甘味系凍結乾燥食品の製造方法には、製造方法I及び製造方法IIの二つの態様があり、まず、製造方法Iについて説明する。
本発明の製造方法Iは、微紛体が分散していてもよい溶液状飲料食品用の凍結乾燥食品を製造する方法である。上記溶液状の飲料食品としては、特に制限はなく、例えば生姜湯、カリン湯、抹茶、紅茶、しるこなどを挙げることができる。
この製造方法Iにおいては、主素材と、高感度甘味料と、糖質甘味料と、水を含む組成物Iを凍結乾燥処理する。
当該組成物Iに用いられる主素材としては、例えば生姜湯を対象にする場合には、生姜ミンチや、生姜の抽出エキス又は抽出液などを用いることができ、カリン湯を対象にする場合には、カリンの抽出エキス又は抽出液などを用いることができる。また、抹茶を対象にする場合には、抹茶微粉末などを、紅茶を対象にする場合には、紅茶の抽出エキス又は抽出液などを、しるこを対象にする場合には、しるこ乾燥粉末又は濃縮しるこ液などを用いることができる。
なお、本発明の対象とする凍結乾燥食品は、通常、お湯や水などにより復元して溶液状の飲料食品として食するものであるが、この溶液状飲料食品中には、前記した生姜ミンチや抹茶微粉末などの微紛体が分散していてもよい。
【0010】
また、高感度甘味料としては特に制限はなく、従来公知の高感度甘味料の中から、適宜選択して用いることができる。このようなものとしては、例えば砂糖の約200倍の甘味をもつアミノ酸系甘味料のアスパルテーム、砂糖の約200倍の甘味をもつステビア抽出品、蔗糖を原料とし、三つの水酸基を選択的に塩素に置換してなる、砂糖の約600倍の甘味をもつスクラロース、砂糖の約200倍の甘味をもち、耐酸性、耐熱性、耐酵素性に優れるアセスルファムカリウムなどを挙げることができる。これらの高感度甘味料は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、糖質甘味料としては特に制限はなく、従来公知の糖質甘味料の中から適宜選択して用いることができる。このようなものとしては、砂糖のほか、例えば、ブドウ糖(グルコース)、果糖(フラクトース)、キシロース、ソルボース、ガラクトース、異性化糖などの単糖類、蔗糖(シュクロース)、麦芽糖(マルトース)、乳糖(ラクトース)、異性化乳糖、パラチノースなどの二糖類、カップリングシュガー、ネオシュガーなどのオリゴ糖類、マルチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、パラチニットなどの糖アルコール類、さらにはブドウ糖や果糖などの糖分が約7割を占める蜂蜜等を挙げることができる。これらの糖質甘味料は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0011】
当該組成物Iには、所望によりでん粉類や各種の増粘剤、調味料、酸味料、香料などを、適宜配合することができる。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース又はその塩、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、アラビアガムなどが挙げられ、調味料としては、例えば食塩、グルタミン酸ナトリウムなどが挙げられる。酸味料としては、例えばクエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、酢などの食用に用いられる酸の他、レモン汁や梅エキスなどの酸性の食品等が挙げられる。
当該組成物Iにおいては、水分含有量は、組成物中の乾燥固形分100重量部に対して、200〜420重量部の範囲で選定される。当該組成物Iにおける水分含有量が、乾燥固形分100重量部に対して、200重量部未満では、凍結乾燥処理において水分が抜けにくく、凍結乾燥処理自体が困難になるだけでなく、一般的に凍結乾燥食品中の水分含有量が3重量%を超えると、保存中にその水分により食品が溶け出したりする不都合を生じると言われている。また、当該組成物Iにおける水分含有量が、乾燥固形分100重量部に対して、420重量部を超えると、凍結乾燥食品を復元したときの甘味度を充分に確保できなくなる。その他に、凍結乾燥中に発泡したり、乾燥製品の保形性が担保できない。好ましい水分含有量は、300〜400重量部の範囲であり、特に350〜400重量部の範囲が好適である。
【0012】
また、当該組成物Iにおける高感度甘味料の含有量は、組成物中の乾燥固形分100重量部に対して、甘味度での砂糖換算で、30重量部以上である。この含有量が30重量部未満では甘味度が不足する。また、その上限は、所望の甘味度により、適宜決められるが、一般的には甘味度での砂糖換算で250重量部程度である。
さらに、当該組成物Iにおいては、ブリックス糖度は10〜30の範囲で選定される。このブリックス糖度が10未満では糖質甘味料の含有量が少なく、甘味の質が低下する原因となる上、水分含有量を前記範囲内に調整することが困難となり、一方30を超えると糖質甘味料の含有量が多くなって、水分含有量を前記範囲内に調整することが困難となる。好ましいブリックス糖度は13〜24の範囲であり、特に15〜20の範囲が好ましい。
【0013】
当該組成物Iは、例えば以下のようにして調製することができる。
まず、主素材と所望により用いられるでん粉類や増粘剤を少なくとも含む水性液を調製し、これを加熱殺菌処理したのち、この加熱殺菌処理液に、高感度甘味料及び所望により用いられる香料と、場合により水を加える。この際、糖質甘味料及び所望により用いられる調味料や酸味料は、主素材を含む水性液に含有させておいてもよいし、前記高感度甘味料と共に、加熱殺菌処理液に加えてもよい。
このようにして調製された組成物Iは、次工程の凍結乾燥処理工程へ供される。
【0014】
次に、製造方法IIについて説明する。
本発明の製造方法IIは甘酒用の凍結乾燥食品を製造する方法であり、この製造方法IIにおいては、米麹及び酒粕を含む主素材と、高感度甘味料と、糖質甘味料と、水を含む組成物IIを凍結乾燥処理する。
当該組成物IIに用いられる主素材の米麹と酒粕との使用割合としては特に制限はないが、米麹:酒粕の固形分重量比で通常10:3ないし10:30、好ましくは10:9ないし10:13の範囲で選定される。高感度甘味料及び糖質甘味料については、前述の製造方法Iにおいて説明したとおりである。
当該組成物IIには、所望により、食塩などの調味料、酸味料、生姜などの香料等を、適宜配合することができる。上記酸味料としては、前述の製造方法Iで説明したとおりである。
【0015】
当該組成物IIにおいては、水分含有量は、組成物中の乾燥固形分100重量部に対して、250〜350重量部の範囲で選定される。水分含有量が、乾燥固形分100重量部に対して、250重量部未満では、凍結乾燥処理において水分が抜けにくく、凍結乾燥処理自体が困難になるだけでなく、一般的に凍結乾燥食品中の水分含有量が3重量%を超えると、保存中にその水分により食品が溶け出したりする不都合を生じると言われている。また、水分含有量が、乾燥固形分100重量部に対して、350重量部を超えると、凍結乾燥食品を復元したときの甘味度を充分に確保できなくなる。好ましい水分含有量は、270〜330重量部の範囲であり、特に280〜320重量部の範囲が好適である。
また、当該組成物IIにおける高感度甘味料の含有量は、乾燥固形分100重量部に対して、甘味度での砂糖換算で、30重量部以上である。この含有量が30重量部未満では甘味度が不足する。また、その上限は、所望の甘味度により、適宜決められるが、一般的には甘味度での砂糖換算で250重量部程度である。
【0016】
さらに、当該組成物IIにおいては、ブリックス糖度は10〜25の範囲で選定される。このブリックス糖度が10未満では糖質甘味料の含有量が少なく、甘味の質が低下する原因となる上、水分含有量を前記範囲内に調整することが困難となり、一方25を超えると糖質甘味料の含有量が多くなって、水分含有量を前記範囲内に調整することが困難となる。好ましいブリックス糖度は15〜25の範囲であり、特に19〜23の範囲が好ましい。
当該組成物IIは、例えば以下のようにして調製することができる。
まず、酒粕を含む水性スラリーを、加熱殺菌処理し、次いでこれに、米麹を含み、50〜70℃程度の温度で糖化処理された水性スラリーを加え、再度加熱殺菌処理したのち、好ましくは80℃以下、より好ましくは75℃以下の温度に冷却する。次に、この再加熱殺菌処理液に、高感度甘味料及び所望により用いられる香料と、場合により水を加える。この際、糖質甘味料及び所望により用いられる調味料や酸味料は、酒粕を含む水性液又は米麹を含む水性液に含有させておいてもよいし、前記高感度甘味料と共に、再加熱殺菌処理液に加えてもよい。しかし、糖質甘味料は、加熱殺菌処理において変質し、着色する場合があり、甘酒は高い白色度が要求されることから、高感度甘味料と共に、再加熱殺菌処理液に加えることが望ましい。
このようにして調製された組成物IIは、次工程の凍結乾燥処理工程へ供される。
【0017】
前記組成物I及びIIの凍結乾燥処理においては、通常まず、該組成物を予備凍結したのち、凍結乾燥処理する。この予備凍結及び凍結乾燥処理の方法としては特に制限はなく、従来凍結乾燥食品を製造する際に慣用されている方法を用いることができる。すなわち、予備凍結としては、通常−20〜−40℃の範囲の温度において、急速凍結する方法が好ましく用いられる。また、凍結乾燥処理としては、前記−20〜−40℃の予備凍結品を、0.0005〜2Torr程度の真空下に載置し、該凍結品中の氷を昇華させ、最終的には室温〜70℃程度まで昇温して乾燥させる方法を用いることができる。
このようにして、組成物Iから、効率よく生姜湯、カリン湯、抹茶、紅茶、しるこ用などの凍結乾燥食品が得られ、組成物IIから、効率よく甘酒用の凍結乾燥食品が得られる。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
酒粕(固形分50重量%)150gに80℃の湯400gを注ぎ、食品用ミキサーを用いて攪拌して均質なスラリーを得たのち、焦げ付きを防ぐために80℃のお湯を適宜加えながら加熱殺菌処理した。
次いで、この加熱殺菌処理スラリーに、米麹(固形分90重量%)80gに80℃のお湯150gを注ぎ糖化処理した米麹懸濁液を加えたのち、この混合物を再加熱殺菌処理した。この再加熱殺菌処理後の温度80℃の混合物に、砂糖120g、食塩5g及びアスパルテーム1gを順次加えてよく混合したのち、これに全体重量が1100g(乾燥固形分273g含有)になるように水330gを加え、かつブリックス糖度を20%に調整した。
【0019】
次に、このブリックス糖度20に調整したもの60gを、44mm×65mm×20mmのポリプロピレン製容器に注ぎ、−20℃で24時間凍結させた。この凍結物をフリーズドライ製造装置に供し、0.03〜0.3Torrに減圧後(減圧開始から約1時間後)、品温が50℃となるように加温し、さらに、品温設定温度50℃に設定した後から2時間30分後(減圧開始から約3時間30分後)、品温の設定温度を70℃になるように加温した。
その後、減圧開始から24時間後に常温に戻して、目的の甘酒用のフリーズドライ製品を製造した。
【0020】
比較例1
実施例1において、再加熱殺菌処理後の混合物に、アスパルテームを用いずに砂糖320g及び食塩5gを加えてよく混合したのち、これに全体重量が1100g(乾燥固形分472g含有)になるように水120gを加えた(この際、ブリックス糖度は41であった。)以外は、実施例1と同様な操作を行い、甘酒用のフリーズドライ製品を製造した。
比較例2
実施例1において、再加熱殺菌処理後の混合物に、アスパルテームを用いずに砂糖320g及び食塩5gを加えてよく混合したのち、ブリックス糖度が20になるように水1790gを加え、全量を2255g(乾燥固形分472g含有)にした以外は、実施例1と同様な操作を行い、甘酒用のフリーズドライ製品を製造した。
【0021】
<実施例1、比較例1及び比較例2の甘酒用のフリーズドライ製品の評価>
得られた各フリーズドライ製品の重量、厚さ及び含有する水分量を測定した。なお、水分量は、103℃、5時間以上での常圧加熱乾燥法により測定した。
その結果、実施例1の製品は、平均重量が14.3gで、平均厚さが20mmおよび平均水分量が2.4重量%であった。一方、比較例1の製品は、平均重量が26.5gで、平均厚さが37mmおよび平均水分量が6.4重量%であった。また、比較例2の製品は、平均重量が13.8gで、平均厚さが19mmおよび平均水分量が1.7重量%であった。製品の厚さについて変動係数(標準偏差を平均値で除した百分率)を求めると実施例1の製品の厚さの変動係数は、6%であり、比較例1の製品の厚さの変動係数は、10%であり、さらに、比較例2の製品の厚さの変動係数は、16%であった。これより、実施例1の本発明品は製品個々の大きさにおいて振れがなく製造することができた。
また、実施例1の製品は、容器の形状と同じ形状のしっかりした固さのフリーズドライ製品が得られた。これに対し、比較例1の製品は、容器の形状よりも1.8倍も大きく膨らんだフリーズドライ製品が得られた。また、比較例2の製品は、形状は容器の形状と同じであったが、表面に乾燥した膜が形成されて、この膜がもろく崩れやすいフリーズドライ製品であった。
【0022】
さらに、凍結乾燥の工程において、実施例1は、細かい泡が時おり発生していたものの製品の製造に支障はなかった。しかし、比較例1は、熱をかけるまでは実施例1と同じ状況であったが、熱をかけることによって、体積が約1.5倍程度になり、かつ、容器から浮き上がる現象が認められた。容器から浮き上がると、容器を設置している棚から熱が伝わりにくいので、製品への熱伝導が低下するという問題が発生した。したがって、比較例1の水分含量は他のものよりも多かったと推察された。また、比較例2は、減圧開始から泡が多量に発生し、熱をかけてから、さらに多量の泡が発生した。これら泡は、結合して大きな泡となった。そのため、近くにある製品同士の泡が結合することによって、製品間の厚さの振れが大きくなったものと推察された。
さらにまた、実施例1、比較例1および比較例2の製品を90℃のお湯100ミリリットル注いで甘酒の復元を行った。実施例1の甘酒は、お湯によく溶け、かつ、おいしい甘酒であった。一方、比較例1の製品は、全くお湯に溶けず形状を維持したままお湯に浮かび甘酒に至らなかった。また、比較例2の甘酒は、お湯によく溶けたものの、全体的な味がうすくおいしいものではなかった。
【0023】
実施例2
砂糖26g、乳糖26g、黒糖9g及びキサンタンガム1gの粉末を混合して、90℃のお湯280gに溶解した。この溶解液に生姜ミンチ(固形分66重量%)10g、生姜エキス(固形分6.3重量%)6gを加えたのち、液温を90℃に調節し、これに、でん粉9gを水26gに分散させてなるでん粉分散液を加えた。
次いで、この混合液を80℃で5分間攪拌しながら加熱することによって、殺菌処理した。殺菌処理後、ゆずフレーク1g、香料0.5g、アスパルテーム0.2gを加えてよく混合した。この際、全重量は380g(乾燥固形分79.2g含有)であり、ブリックス糖度は18であった。
次に、この混合物45gを、44mm×50mm×20mmのポリプロピレン製容器に注ぎ、−20℃で24時間凍結させた。この凍結物をフリーズドライ製造装置に供し、0.03〜0.3Torrに減圧後(減圧開始から約1時間後)、品温が50℃となるように加温し、さらに品温設定温度50℃に設定した後から2時間30分後(減圧開始から約3時間30分後)、品温の設定温度を70℃になるように加温した。
その後、減圧開始から24時間後に常温に戻して、目的の生姜湯用のフリーズドライ製品を製造した。
このフリーズドライ製品を、90℃のお湯100ミリリットルに注いで生姜湯の復元を行ったところ、お湯によく溶け、かつおいしい生姜湯であった。
【0024】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、甘酒を始め、生姜湯、カリン湯、抹茶、紅茶、しるこ用などの甘味系凍結乾燥食品を製造するに際し、甘味料として高感度甘味料を糖質甘味料と併用することにより、糖質甘味料の量を減らして相対的に水分を多くすることで、凍結乾燥処理がしやすく、保存も安定で、お湯又は水により容易に復元できて充分な甘味を呈する液状食品を与えることができる甘味系凍結乾燥食品を効率よく製造することができる。
Claims (5)
- 主素材と、高感度甘味料と、糖質甘味料と、水を含み、かつ組成物中の乾燥固形分100重量部に対して、水分含有量が200〜420重量部、高感度甘味料含有量が、甘味度での砂糖換算で少なくとも30重量部であって、ブリックス糖度が10〜30である組成物を凍結乾燥処理することを特徴とする甘味系凍結乾燥食品の製造方法。
- 甘味系凍結乾燥食品が、微紛体が分散していてもよい溶液状飲料食品用である請求項1記載の甘味系凍結乾燥食品の製造方法。
- 米麹及び酒粕を含む主素材と、高感度甘味料と、糖質甘味料と、水を含み、かつ組成物中の乾燥固形分100重量部に対して、水分含有量が250〜350重量部、高感度甘味料含有量が、甘味度での砂糖換算で少なくとも30重量部であって、ブリックス糖度が10〜25である組成物を凍結乾燥処理し、甘酒用凍結乾燥食品を作製することを特徴とする甘味系凍結乾燥食品の製造方法。
- 組成物が、主素材を含み、かつ加熱殺菌処理された水性液に、高感度甘味料、糖質甘味料及び必要に応じて水を加えたものである請求項1、2又は3記載の甘味系凍結乾燥食品の製造方法。
- 組成物が、主素材及び糖質甘味料を含み、かつ加熱殺菌処理された水性液に、高感度甘味料及び必要に応じて水を加えたものである請求項1、2又は3記載の甘味系凍結乾燥食品の製造方法。
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