JP2520470B2 - 車室内音響特性評価装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、車室内の音響特性を測定評価する車室内音
響特性評価装置に関する。

従来の技術 従来の車室内音響特性評価装置としては、例えば第７
図乃至第８図に示すようなものがある（自動車技術会前
刷集851号，昭和60年５月発行）。

従来よりオーディオの分野では、人間の頭形状に似た
ダミーヘッドを用いて人間の耳位置にあたる部分の音を
マイクロホンで録音し、ヘッドホンより再生音を聴く、
バイノーラル録音・再生法が確立されており、同一音源
からの音を人間の耳が受けると同様なレベル差・時間差
が生じるように録音するこで、より原音に近い音が再現
できる。

この技術は、車両の騒音の評価にも応用され、第７〜
８図に図示した如く車室内の乗員の頭位置に相当する位
置にダミーヘッド１を配置し、乗員の左右耳位置にあた
る位置にマイクロホン2,2等の集音装置を設置し、車両
走行時の室内騒音をマイクアンプ３を介してDAT等の記
録媒体４に収録し、このようにして収録した音を第９図
に図示した如くヘッドホン５等により再生して評価者８
に提供し、騒音を評価する。なお第９図は各々異なる記
録媒体4,4′に例えば一定速走行時と加速走行時の車内
騒音を収録し、切換スイッチ６で切り換えて、オーディ
オアンプ７を通しヘッドホン５で再生して、評価者８が
加速時の車内騒音が一定速走行時の車内騒音に対して、
いかなる特性を有するかを比較評価するいわゆる一対比
較評価を例示したものである。

発明が解決しようとする課題 しかしながら、従来のこのような車室内音響特性評価
装置にあっては、騒音現場におけるリアルタイムな加工
評価ではなく、ダミーヘッド1,マイクロホン2,マイクア
ンプ３よりなる集音装置により取り込んだ音響信号を、
一度記録媒体４に収録し、この記録媒体４に収録した収
録音を、測定現場ではなくリスニングルーム等でヘッド
ホン５で再生評価さる構成となっていたため、走行時に
受ける音以外の、例えば加速感，乗り心地，視認性等の
体感要素まで含めた音の総合評価が行えないという問題
点があった。

本発明は、このような従来の問題点に着目してなされ
たもので、その目的とするところは、リアルタイムな加
工，評価に加え音以外の体感要素と音との関係を評価す
ることができる車室内音響特性評価装置を提供しようと
するものである。

課題を解決するための手段 このため本発明は、車両に搭載され、かつ車両走行中
における車室内の音響特性を車両に搭乗した評価者が評
価する車室内音響特性評価装置であって、乗員の耳位置
の音をバイノーラル集音するために車室内に設置された
集音手段と、該集音手段からの信号を受け、かつ車両走
行中の外部入力信号に基づいて周波数特性を変化させる
周波数制御手段と、該周波数制御手段からの信号を受
け、評価者の耳位置近傍でリアルタイムに再生する再生
手段とを備えたことを特徴としている。

作用 助手席等の車室内乗員位置に設置したダミーヘッドマ
イクロホン等の集音手段で車室内走行騒音などの車室内
音を集音し、その音信号の周波数特性をエンジン回転数
信号等の外部入力信号に基づいて変えた後に、車両に搭
乗した評価者にヘッドホン等の再生手段でリアルタイム
に提供する。

これにより、走行に同期した音をリアルタイムに加
工，評価できるとともに、音以外の加速感などの体感要
素と音との関係を評価できる。

実施例 以下、本発明を図面に基づいて説明する。第１図は本
発明の第１実施例を示す図である。

まず構成を説明する。１は車室内助手席等に設置した
ダミーヘッド、２はマイクロホン、３はマイクアンプで
あり、これらによって集音装置を形成している。

また９はマイクアンプ３からの出力信号の周波数特性
を加工する周波数コントローラ、10は信号を増幅するボ
リュームアンプである。

上記周波数コントローラ９は、エンジン回転パルスや
クロック信号等の外部入力信号をトリガとして、音信号
の周波数特性を時間的に変化させるようにしたものであ
る。

そして、５はボリュームアンプ10からの出力信号を車
両に乗車している評価者８に提供するヘッドホン等の再
生装置である。

次に作用を評価状況を図示した第２図を参照して説明
する。車室内助手席等に設置したダミーヘッド１および
マイクロホン２で集音した、例えば走行騒音などの車室
内騒音は、マイクアンプ３を通して増幅された後、周波
数特性を変えることのできる周波数コントローラ９およ
びボリュームアンプ10を介して、ヘッドホン５により、
運転者等としてダミーヘッド１とともに同一車両に乗車
している評価者８に再生提供される。

即ち、評価者８は、ヘッドホン５を装着し、運転しな
がら、あるいは同乗しながら走行音をモニターし、周波
数特性を変化させながら走行音の評価を行う。

かくして、走行に同期した音を再生評価することがで
き、またリアルタイムな加工評価に加え、音以外の加速
感，乗り心地等の体感要素と音との関係（例えば加速感
と音との対応評価）を評価することができる。

本実施例のように周波数特性を変化させることによ
り、実験対称車両特有の騒音の評価をすることができ
る。

即ち、例えば車室内騒音に占めるエンジン２次成分の
影響を評価するために、エンジン回転パルスの入力信号
に基づいて、エンジン回転の２次成分周波数を検出し、
車室内騒音からエンジン回転の２次成分をカットする様
に周波数コントローラ９内蔵のイコライザあるいはフィ
ルタを時間的にコントロールした後に、再生して評価者
８に提供する。

第３図（ａ），（ｂ）は各々車室内加速時騒音と、そ
の音よりエンジン回転２次成分をカットした騒音の周波
数成分分布状態を図示したものである。評価者８は第３
図（ａ）の音と第３図（ｂ）の音とを聴くことによって
エンジン回転２次の周波数成分の車室内騒音への影響を
知ることができる。このように特定の次数や周波数を変
化させることにより、これらの音が車内騒音にどの程度
関与しているかなど、車両特有の現象音を評価すること
ができる。

第４図には、本発明の第２実施例を示す。この実施例
は集音位置と再生聴取位置とを同一としたものである。

第４図に示した一体型集音再生装置14は、ヘッドホン
等の再生手段５の外側に人間の耳殻形状をした耳状突起
13が設けられ、耳穴位置に相当する中央位置近傍にマイ
クロホン等の集音手段２が取り付けられている。

通常ダミーヘッド１に装着したマイクロホン２を用い
る場合には、ダミーヘッド１が設置された集音位置と評
価者８が座る聴取位置が異なる。

そのため例えばダミーヘッド１を助手席に設置して、
助手席位置の音をドライバ位置で評価する場合等には、
マイクロホン２の左右チャンネルを再生時に逆にするこ
とで疑似的なものとしているが、厳密にいうと多少異な
る。

本実施例の集音再生装置14によれば、集音装置２と再
生装置５とを一体にし、しかも人間の耳の回折特性等を
考慮して耳状突起13が集音装置５の外側に設けられてい
るので、原音を忠実に再現することができる。

この一体型集音再生装置14は、集音装置としてのみ使
用することもできる。この場合には第５図（ａ）および
そのＡ−Ａ断面を図示した第５図（ｂ）に図示したよう
にダミーヘッド１にヘッドホン等の再生装置５が収納で
きるような穴15を穿設し、そこにヘッドホン５を収納す
れば、通常のダミーヘッドマイクロホンとして使用する
ことができる。また当然再生装置としてのみ使用するこ
ともできる。

第６図には、本発明の第３実施例を示す。この実施例
は、可聴域以外の信号を補正する補正装置16を設け、超
低周波あるいは、高周波の耳には聴こえないが、音の評
価に何らかの影響を与えると思われる信号をボリューム
アンプ10の出力あるいは、外部からの入力信号として補
正装置16に入力し、超低周波は例えばシート17に装着し
た振動板を振動させて体感を高めるシートの振動とし
て、超高周波は例えば音圧感を与えるスーパーツィータ
等として評価者８に提供するものである。

本実施例によれば、可聴域外の音の影響を体感しなが
ら評価できるのでより高度な評価が可能である。

発明の効果 以上説明してきたように、本発明によれば、ダミーヘ
ッドマイクロホン等の集音装置を車室内に設置し、音信
号の周波数特性をエンジン回転数等に基づいて変化させ
た後、ヘッドホン等の再生装置により同一車室内に搭乗
している評価者に再生提供する構成としたので、走行に
同期した音の再生評価ができる。

またリアルタイムな加工評価に加え、例えば加速感と
音との対応評価等、音以外の体感要素と音との関係を評
価することができる。

特に、実際の車両走行条件によって周波数特性を時間
と共に変化させるので車両現象音に則したより細かな評
価測定が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１実施例を示す構成図、第２図は評
価状況を示す説明図、第３図は車室内加速時音を示し、
第３図（ａ）は原音，第３図（ｂ）はエンジン回転２次
成分音を除去した音、第４図は本発明の第２実施例の一
体型集音再生装置を示す斜視図、第５図（ａ），（ｂ）
は一体型集音再生装置を集合装置として使用している状
態を示す図、第６図は本発明の第３実施例を示す構成
図、第７図は従来の集音状況を示す図、第８図は従来の
集音構成図、第９図は従来の再生，評価構成図である。 １……ダミーヘッド、２……マイクロホン、３……マイ
クアンプ、５……ヘッドホン、８……評価者、９……周
波数コントローラ、10……ボリュームアンプ、13……耳
状突起部、14……一体型集音再生装置、16……補正装
置。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南部 起可 神奈川県横浜市神奈川区宝町２番地 日 産自動車株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−254997（ＪＰ，Ａ) 実開 昭57−56083（ＪＰ，Ｕ)

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両に搭載され、かつ車両走行中における
   車室内の音響特性を車両に搭乗した評価者が評価する車
   室内音響特性評価装置であって、乗員の耳位置の音をバ
   イノーラル集音するために車室内に設置された集音手段
   と、該集音手段からの信号を受け、かつ車両走行中の外
   部入力信号に基づいて周波数特性を変化させる周波数制
   御手段と、該周波数制御手段からの信号を受け、評価者
   の耳位置近傍でリアルタイムに再生する再生手段とを備
   えたことを特徴とする車室内音響特性評価装置。
2. 【請求項２】上記周波数制御手段は、上記外部入力信号
   としてエンジン回転数信号を用い、エンジン回転数に応
   じた特定次数成分の周波数をカットするものであること
   を特徴とする請求項１記載の車室内音響特性評価装置。