JP2520043Y2 - 記録用紙 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、通常の記載方法によっ
て記録可能な記録面を有する用紙であって、光学的複写
をすることができない用紙及び部分的に複写不能の欄を
設けた様式用紙に関する。

【０００２】

【従来の技術】現在、光学的複写機が一般に広く普及
し、一枚の原紙若しくはコピーから簡単に多数枚のコピ
ーが再生できる。その結果、秘密に保持しておきたい情
報までも一箇所のコピー配布先から簡単に広く漏洩する
弊害も現れている。また、アンケート用紙などの様式用
紙においては、例えば、記載者の住所氏名が秘密になれ
ば、記載事項が公表されても差し支えない場合もある。
かかる様式用紙では、秘密にすべき欄を黒で消したもの
を複写したりしているのが現状であるが、この場合は、
原紙を保存するためには該原紙のコピーを取ってから、
該コピーの必要欄を消したものをコピーするので手間が
かかる。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】本考案は、上記のよう
な記載事項の秘密を保持すめために、複写することがで
きない記録面を全面又は部分的に有する記録用紙を提供
することを目的とするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本考案は、次の各項の考
案よりなる。 （１）樹脂フイルム表面を有するシートの該樹脂フイル
ム面に、アルミニウムを蒸着させて、該アルミニウム蒸
着面の上層に、粗面化用無機粉末を含有する樹脂層を設
けて記録面を形成したことを特徴とする記録用紙。 （２）紙又は合成紙の表面にアルミニウム微粉末を含有
する樹脂層を設け、該アルミニウム微粉末含有樹脂層の
上に粗面化用無機粉末を含有する樹脂層を設けて記録面
を形成したことを特徴とする記録用紙。 （３）上記１項又は２項の記録用紙製の様式用紙であっ
て、アルミニウム蒸着面又はアルミニウム微粉末含有樹
脂層が様式印刷欄の一部の区分にのみ存在する様式用
紙。

【０００５】本考案記録用紙における記録面とは、手書
きによる筆記、タイプライターの印字、コンピュータア
ウトプットプリンターの印字、印刷機による印刷、複写
機による複写印刷など、用紙の上にインキ、トナーなど
によって、文字、図形などを表示できる手段により、記
録可能な面をいう。本考案の記録用紙は、粗面化用無機
粉末を含有する樹脂層を表面に有するので、上記記録手
段によって記録をすることができる。

【０００６】本考案記録用紙のアルミニウム蒸着方式の
用紙に用いる樹脂フイルム表面を有するシートは、単一
の樹脂シートも使用することができるが、通常は、図１
に示すように、紙又は樹脂シート１に薄手の樹脂フイル
ム２をラミネートしたものを好適に使用することができ
る。本考案記録用紙は、上記シートの樹脂フイルム表面
にアルミニウムを蒸着したものを使用する。この場合、
薄手の樹脂フイルムの表又は裏の少なくともいずれか一
方の全面にアルミニウム蒸着処理したものを、紙又は樹
脂シートにラミネートするのが工程上から便利である。

【０００７】次いで、アルミニウム蒸着処理した上に、
粗面化処理を行うと本考案記録用紙を製造することがで
きる。本考案において、薄手の樹脂フイルムを使用する
場合は、該フイルムの下にアルミニウム蒸着面を設けて
積層することもできる。粗面化処理は、シリカ、ガラス
粉末、雲母などの無機粉末を含有する樹脂液を塗布又は
印刷方式によってシート全面に付着させ、これを乾燥し
て、無機粉末含有の樹脂層を表面に形成せしめてこれを
記録面とする。該樹脂層は、膜面が薄いので光透過性は
あるが、粗面化樹脂層は光透過性がよいほど好ましい。
この場合、薄手のアルミニウム蒸着フイルムの蒸着面又
は蒸着面の反対面にあらかじめ該樹脂層の記録面を設け
たものを、紙又はシートにラミネートすることができ
る。

【０００８】本考案記録用紙のアルミニウム微粉末含有
樹脂層方式の記録用紙に用いるシートは紙及び樹脂フイ
ルムシートのいずれでもよく、また、種々のラミネート
フイルムシートも使用することができる。本考案記録用
紙に用いるアルミニウム微粉末含有樹脂層は、ビヒクル
と顔料からなる通常の印刷インキの顔料の代わりに、ア
ルミニウム微粉末を含有させたものが印刷方式で効率よ
く樹脂層による記録面を形成できるので望ましい。当該
ビヒクルとしては、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹
脂、ポリエステル系樹脂などの樹脂、油、溶剤などを使
用することができる。

【０００９】アルミニウム含有樹脂層方式の本考案記録
用紙は、蒸着膜方式と同じく粗面化処理によって記録面
を形成することができる。このようにして製造された本
考案記録用紙は、通常の記録手段によって、文字図形が
記載できる記録面を有しており、記録後、この記録用紙
を複写しようとすると、アルミニウム蒸着面又はアルミ
ニウム微粉末含有樹脂層に光が吸収されて記録文字図形
以外の部分も黒くなったコピーが得られるので記載事項
を判別することができない。本考案の記録用紙の美観を
良くするために、粗面化処理の前に薄い着色インキを表
面塗布することができる。この場合は、着色剤は透明色
が望ましい。

【００１０】本考案の実施例の図面によって本考案を具
体的に説明する。図１の実施例は、その断面図に示すよ
うに、紙シート１に、裏面にアルミニウム蒸着層３を有
し、表面に粗面化樹脂層４を有する薄手のフイルム２を
積層して形成されている。図２の実施例は、その断面図
に示すように、紙シート１には、アルミニウム微粉末含
有樹脂層５が塗布されていて、その上に粗面化樹脂層４
が積層されている。

【００１１】次に、本考案記録用紙の複雑な態様の部分
的に複写不能にした様式用紙の実施例の図面について説
明する。図３及び図４の本考案実施例記録用紙は、紙シ
ート１に、片面にアルミニウム蒸着した薄手のフイルム
２を積層して、この薄手フイルムの表面に、様式印刷の
住所、氏名欄Ａに相当する箇所を残して、白色インキ層
６で印刷して、アルミニウム蒸着面を遮蔽する。次い
で、全面に粗面化樹脂層４を設けて記録面を形成してか
ら、様式印刷を施して図１の用紙とする。

【００１２】住所、氏名が書かれたままの図１の用紙を
複写機によりコピーしても、得られたコピーは、住所、
氏名欄Ａの区分は黒くなっていて、記録を判別すること
ができない。このような部分複写不能の記録用紙は、種
々のアンケート用紙、病院のカルテ、例えば、価格欄だ
けが秘密の納品伝票など、極めて広い用途を有してい
る。アルミニウム微粉末含有樹脂層方式の場合も上記と
同一の白色印刷の手法を適用できる他に、アルミニウム
微粉末樹脂層を印刷方式で部分塗布して最初からアルミ
ニウム樹脂層をＡの区分にだけ存在させない製造方法が
便利である。

【００１３】

【考案の効果】本考案記録用紙は、用紙に所望の記載を
することができるが、用紙に記録された内容の全部又は
所望の区分が複写できないようにすることができるの
で、秘密保持及びプライバシー保護のために広く利用す
ることができる。

【００１４】

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は本考案実施例の記録用紙の拡大断面図で
ある。

【００１５】

【図２】図２は本考案実施例の記録用紙の拡大断面図で
ある。

【００１６】

【図３】図３は本考案実施例の記録用紙の平面図であ
る。

【００１７】

【図４】図４は図３の実施例の拡大断面図である。

【００１８】

【符号の説明】

１ 紙シート ２ 薄手樹脂フイルム ３ アルミニウム蒸着層 ４ 粗面化樹脂層 ５ アルミニウム微粉末含有樹脂層 ６ 白色インキ層

Claims (4)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】樹脂フイルム表面を有するシートの該樹脂
   フイルム面に、アルミニウムを蒸着させて、該アルミニ
   ウム蒸着面の上層に、粗面化用無機粉末を含有する樹脂
   層を設けて記録面を形成したことを特徴とする記録用
   紙。
2. 【請求項２】紙又は合成紙の表面にアルミニウム微粉末
   を含有する樹脂層を設け、該アルミニウム微粉末含有樹
   脂層の上に粗面化用無機粉末を含有する樹脂層を設けて
   記録面を形成したことを特徴とする記録用紙。
3. 【請求項３】特定の様式が記録面に印刷されている用紙
   であって、該印刷様式欄の一部の区画にのみ、アルミニ
   ウム蒸着面を有することを特徴とする請求項１記載の記
   録用紙。
4. 【請求項４】特定の様式が記録面に印刷されている用紙
   であって、該印刷様式欄の一部の区画にのみ、アルミニ
   ウム微粉末含有樹脂層を有することを特徴とする請求項
   ２記載の記録用紙。