JP2519042B2 - 炭素炭素複合材の製造方法 - Google Patents

炭素炭素複合材の製造方法

Info

Publication number
JP2519042B2
JP2519042B2 JP62035676A JP3567687A JP2519042B2 JP 2519042 B2 JP2519042 B2 JP 2519042B2 JP 62035676 A JP62035676 A JP 62035676A JP 3567687 A JP3567687 A JP 3567687A JP 2519042 B2 JP2519042 B2 JP 2519042B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon
pitch
carbon fiber
carbonization
precursor
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP62035676A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63206351A (ja
Inventor
稔 高畠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Petoca Ltd
Original Assignee
Petoca Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Petoca Ltd filed Critical Petoca Ltd
Priority to JP62035676A priority Critical patent/JP2519042B2/ja
Priority to DE19883872407 priority patent/DE3872407T2/de
Priority to EP19880102568 priority patent/EP0280233B1/en
Publication of JPS63206351A publication Critical patent/JPS63206351A/ja
Priority to US07/711,354 priority patent/US5246639A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP2519042B2 publication Critical patent/JP2519042B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B35/00Shaped ceramic products characterised by their composition; Ceramics compositions; Processing powders of inorganic compounds preparatory to the manufacturing of ceramic products
    • C04B35/71Ceramic products containing macroscopic reinforcing agents
    • C04B35/78Ceramic products containing macroscopic reinforcing agents containing non-metallic materials
    • C04B35/80Fibres, filaments, whiskers, platelets, or the like
    • C04B35/83Carbon fibres in a carbon matrix
    • DTEXTILES; PAPER
    • D01NATURAL OR MAN-MADE THREADS OR FIBRES; SPINNING
    • D01FCHEMICAL FEATURES IN THE MANUFACTURE OF ARTIFICIAL FILAMENTS, THREADS, FIBRES, BRISTLES OR RIBBONS; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED FOR THE MANUFACTURE OF CARBON FILAMENTS
    • D01F11/00Chemical after-treatment of artificial filaments or the like during manufacture
    • D01F11/10Chemical after-treatment of artificial filaments or the like during manufacture of carbon

Description

【発明の詳細な説明】 (発明の属する技術分野) 本発明は、強化材としてのピッチ系炭素繊維にピッチ
等の液状炭化性物質を含浸後、不活性雰囲気下で炭化、
必要に応じて黒鉛化することによって得られる高密度、
高強度の炭素繊維強化炭素炭素複合材の製造方法の改良
に関する。
より詳しくは、本発明は、450〜2,200℃で炭化した且
つ無緊張下での炭化・黒鉛化により高強度、高弾性の炭
素繊維(強化材)に変換できるピッチ系炭素繊維〔以
下、単にピッチ系前駆体炭素繊維という〕を用い、その
後の炭化・黒鉛化工程における体積収縮率(Sf)と、ピ
ッチ等の液状炭化性物質(以下、単にマトリックス炭素
前駆体という)のその後の炭化・黒鉛化工程における体
積収縮率(Sm)との間に一定の収縮率差の関係があるよ
うにすることにより、実質上亀裂や剥離の発生を極めて
少なくさせ、かつ高密度、高強度を有する炭素繊維強化
炭素炭素複合材を製造できる方法に関するものである。
更に、本発明の方法によると、上記実質上亀裂や剥離
の発生を極めて少なくさせ、かつ高密度、高強度を有す
る炭素炭素複合材を、二次的補強処理することなく製造
できる。
更に詳しくは、本発明の方法によると、高強度、耐熱
性、耐腐食性、耐薬品性、耐摩耗性等の性能を生かし
た、機械部品、電気・電子機器部品等に有用な高密度、
高強度の炭素繊維強化炭素炭素複合材を提供できる。
(従来の技術) 従来、高密度で高強度の炭素炭素複合材は、強化材と
して高強度・高弾性の炭素繊維の所望の形状に巻き取っ
たものに、或いは炭素繊維を主要材として構成される構
造物に、マトリックス炭素前駆体としての樹脂やピッチ
等の液状炭化性物質を含浸させ、不活性雰囲気下で炭
化、必要に応じて黒鉛化することにより得られることが
知られている。
しかし、強化材としての上記高強度・高弾性の炭素繊
維は黒鉛化されていて剛直で且つマトリックス炭素前駆
体含浸後の焼成時に収縮しないため、その際に収縮する
マトリックス炭素との間にかなりの収縮差が起こり界面
に致命的な亀裂や剥離を生じ、得られる炭素炭素複合材
の機械的強度は損なわれていた。
そのために、マトリックス炭素前駆体としての樹脂や
ピッチ等の液状炭化性物質を再度含浸させ、続いてこれ
を炭化するという含浸・炭化工程を5〜6回以上繰り返
して二次的補強処理を行うことにより、高密度で高強度
の炭素炭素複合材を得ている。
この製造方法においては、含浸・炭化工程を繰り返す
ため製造工程が長くかかり煩雑となり、しかも炭化工程
での電気炉の稼動時間の延長に伴って製品がコスト高に
なるという課題があった。
また、従来の炭素炭素複合材は、強化材としての炭素
繊維とマトリックス炭素との界面接着力が弱く、これを
改善向上する目的で炭素繊維表面を種々の処理剤で被覆
する方法がとられているが、その処理剤の焼成物が、得
られた炭素炭素複合材中の不純物となり、炭素材として
の純度を低下させ、耐薬品性や耐熱性の低下となる課題
があった。
これらの課題を解決するために、マトリックス炭素前
駆体としての液状炭化性物質が炭素繊維製造用原料繊維
と同種の有機高分子物質であり、即ちポリアクリルニト
リル(PAN)系炭素繊維を強化材とする場合はPAN系樹脂
であり、またはピッチ系炭素繊維を強化材とする場合は
ピッチであることが有効となることが特開昭52−52912
号公報(特公昭59−35841号公報)に開示されている。
該公報に記載の方法は、マトリックス炭素前駆体とし
ての液状炭化性物質を炭化して得られるマトリックス炭
素が強化材としての炭素繊維と同種であって、ほぼ同一
の性質を示すので、高温度領域での炭化・黒鉛化を必要
とする場合、両者の熱膨張率の差が非常に小さくなるた
め、この過程での強化材とマトリックス炭素との界面に
生じる亀裂や剥離を減少させることが可能であり、或る
程度の効果はある。
しかし、マトリックス炭素前駆体としての液状炭化性
物質は、炭化・黒鉛化工程において体積収縮をどうして
も生じる。この時に剛直なる炭素繊維が内在すると、マ
トリックス炭素の体積収縮が必ずしも均一な収縮を示し
難いために、強化材との界面で亀裂や剥離を発生させる
原因となっている。
即ち、強化材としての炭素繊維とマトリックス炭素前
駆体としての液状炭化性物質は構造の差異が大きいた
め、炭化初期過程においてはそれぞれの熱的性質に差を
生じて、界面に亀裂や剥離が発生するようになり、やは
り二次的補強処理を必要としていた。
また、特公昭49−29432号公報には、ピッチを原料と
した不融化繊維を窒素中で熱処理して得た一定量に調整
されたエーテル結合炭素(C−O結合)を持つ有機繊維
を強化材とし、これにマトリックス炭素前駆体として有
機バインダーを含浸し炭化して、C−O結合により両者
の結合が向上した炭素炭素複合材が開示されている。
この技術の場合、エーテル結合酸素量を調整された不
融化繊維である強化材とマトリックス炭素前駆体との間
の線収縮率差を少なくすることが記載されているが、本
発明の強化材のように特定の前駆体炭素繊維ではなく特
殊な不融化繊維である点で相違し、また、本発明のよう
に強化材とマトリックス炭素前駆体との間の一定範囲の
体積収縮率差を利用した界面接着力の強化により、実質
上亀裂や剥離の発生が極めて少なくかつ高密度、高強度
を有する炭素炭素複合材を製造するものでない点でも相
違しており、本発明の構成を示唆しない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明は、前記の課題、即ち炭素炭素複合材の製造工
程における炭化初期過程で強化材とマトリックス炭素と
の界面に生じる致命的な亀裂や剥離を大巾に減少させ、
また強化材とマトリックス炭素との界面の接着力を改善
させることにより、機械的強度に優れ、耐熱性、耐薬品
性、耐摩耗性に優れた炭素炭素複合材を提供することを
目的としている。
他の目的は、かかる炭素炭素複合材を工業的に容易に
かつ安価に製造する方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者は上記課題を種々検討した結果、強化材とし
て特定のピッチ系炭素繊維、即ち、ピッチ系前駆体炭素
繊維を用い、且つそのピッチ系前駆体炭素繊維のその後
の炭化・黒鉛化工程における体積収縮率(Sf)と、マト
リックス炭素前駆体のその後の炭化・黒鉛化工程におけ
る体積収縮率(Sm)との間に一定の収縮率差の関係があ
るようにすることにより、実質上亀裂や剥離の発生を極
めて少なくさせ、かつ高密度で高強度の炭素炭素複合材
を製造できることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
即ち、本発明は: 450〜2,200℃で炭化したピッチ系炭素繊維にピッチ
等の液状炭化性物質をマトリックス炭素前駆体として含
浸後、不活性雰囲気下で炭化、必要に応じて黒鉛化する
に当たり、該ピッチ系炭素繊維が無緊張下の炭化・黒鉛
化により高強度、高弾性の炭素繊維に変換できるもので
あり、且つ該ピッチ系炭素繊維のその後の炭化・黒鉛化
工程における体積収縮率(Sf)と、該ピッチ等の液状炭
化性物質のその後の炭化・黒鉛化工程における体積収縮
率(Sm)との間にSm−Sf=6.8〜42.3%なる収縮率差の
関係がある、高密度、高強度の炭素繊維強化炭素炭素複
合材の製造方法を提供する。また、 ピッチ等の液状炭化性物質を含浸、続いてこれを炭
化・黒鉛化するという工程を繰返す二次的補強処理を行
うことなく、1回の含浸、炭化・黒鉛化工程で嵩密度1.
45〜2.05g/ccの炭素繊維強化炭素炭素複合材を製造する
点にも特徴を有する。また、 ピッチ等の液状炭化性物質として、450〜2,200℃で
炭化したピッチ系炭素繊維の製造原料ピッチを用いる点
にも特徴を有する。
以下、本発明の詳細に説明する。
本発明において、強化材として用いる450〜2,200℃で
炭化した且つ無緊張下の炭化・黒鉛化により高強度、高
弾性の炭素繊維に変換できるピッチ系前駆体炭素繊維
は、その後の炭化・黒鉛化工程により5〜60%、好まし
くは10〜50%の体積収縮率を示すものを用いることが、
マトリックス炭素前駆体の炭化・黒鉛化工程による体積
収縮率を実質的に緩和し、即ち両者の一定の体積収縮率
差により実質上亀裂や剥離の発生を極めて少なくさせか
つ高密度、高強度の炭素炭素複合材を与える上で望まし
い。
また、本発明において、上記特定のピッチ系前駆体炭
素繊維は引張強度50〜2,500Mpa、伸度0.5〜8.0%、引張
弾性率4〜400Gpaを有することが高密度、高強度・高弾
性の炭素炭素複合材を提供するのに望ましく、しかも、
該ピッチ系前駆体炭素繊維は無緊張下でその後の炭化・
黒鉛化によって、引張強度、引張弾性率ともに前段階で
の上記ピッチ系前駆体炭素繊維のそれに比して1.1倍以
上に上昇し、引張強度が1.5Gpa以上、引張弾性率400Gpa
以上の性能を示すものであることが望ましい。
本発明において、ピッチ系前駆体炭素繊維とは、石油
系ピッチや石炭系ピッチ等のピッチ原料、好ましくは易
黒鉛化性ピッチ(メソフェーズピッチ等)を常法に従っ
て紡糸後、常法に従って酸化雰囲気下で200〜400℃で熱
処理することにより得られたピッチ系不融化繊維を450
〜2,200℃、好ましくは500〜2,200℃の温度で炭化させ
たピッチ系前駆体炭素繊維であり、且つ無緊張下でも炭
化・黒鉛化により高強度、高弾性の炭素繊維に変換でき
るものである。
しかも、該特定のピッチ系前駆体炭素繊維は、通常の
高弾性炭素繊維のように剛直性でなくいまだ柔軟性を保
持しているので、そのままで織物や賦形物等の構造物に
容易に加工できるものである。
本発明の場合、強化材としての上記特定のピッチ系前
駆体炭素繊維は、該ピッチ系炭素繊維をそのまま引き揃
えた又は巻き取り等した状態で、或いは該ピッチ系炭素
繊維を主要材として構成される織物や賦形物等の構造物
の状態でマトリックス炭素前駆体を含浸し、上記SfとSm
との間に一定の収縮率差の関係があるように炭化・黒鉛
化を行うことによって、実質上強化材とマトリックス炭
素との界面に発生する致命的な亀裂や剥離を極めて少な
くした、高密度で高強度・高弾性の炭素炭素複合材が製
造できるのである。
従来、セルロースやPAN系繊維を前駆体とする高強度
・高弾性の織物や賦形物等の構造物を製造する場合、セ
ルロースやPAN系繊維は緊張下で黒鉛化した後でしか高
強度・高弾性率を発現しないので、一度該前駆体繊維を
緊張下で黒鉛化したものを強化材として使用する必要が
ある。このため該強化材は、マトリックス炭素前駆体を
含浸後、再度高温焼成(炭化・黒鉛化)されることにな
る。黒鉛化してしまった炭素繊維は剛直であり、且つマ
トリックス炭素前駆体含浸後の高温焼成の際にはもう収
縮しないので、強化材と収縮するマトリックス炭素前駆
体との収縮率差が非常に大きく亀裂や剥離を生じること
は避けられない。
これに対して、本発明の特定のピッチ系前駆体炭素繊
維の場合には、緊張しなくとも(無緊張下)、その後の
高温焼成により高強度・高弾性の炭素繊維となる性能を
有するので、黒鉛化していない状態で繊維構造物にした
後、マトリックス炭素前駆体を含浸し、上記SfとSmとの
間に一定の収縮率差の関係があるように、炭化・黒鉛化
することにより、容易に高強度・高弾性の炭素炭素複合
材構造物を得ることができるのである。
従って、本発明においては、上記特定のピッチ系前駆
体炭素繊維或いは該ピッチ系前駆体炭素繊維を主要材と
して構成される織物や賦形物等の構造物を強化材として
用い、かつ該ピッチ系炭素繊維のその後の炭化・黒鉛化
工程における体積収縮率(Sf)と、マトリックス炭素前
駆体のその後の炭化・黒鉛化工程における体積収縮率
(Sm)と間に一定の収縮率差(即ち、特性の差)の関係
がある場合に、マトリックス炭素前駆体の炭化・黒鉛化
工程における体積収縮に伴う、強化材とマトリックス炭
素との界面に発生する亀裂や剥離の原因となる歪みを、
該ピッチ系前駆体炭素繊維の炭化・黒鉛化工程での体積
収縮をもって緩和することが可能となり、実質上、亀裂
や剥離の発生を極めて少なくさせることができ、二次的
補強処理(即ち、マトリックス炭素前駆体としてのピッ
チや熱硬化性樹脂等の液状炭化性物質を再度含浸させ、
続いてこれを炭化するという含浸・炭化工程を5〜6回
以上繰り返す補強処理)をすることなく、高密度で高強
度・高弾性を有する炭素炭素複合材を製造することが可
能となる。
要するに、本発明において、上記特定のピッチ系前駆
体炭素繊維を使用し且つ該ピッチ系炭素繊維のその後の
炭化・黒鉛化工程における体積収縮率(Sf)と、使用す
るマトリックス炭素前駆体のその後の炭化・黒鉛化工程
における体積収縮率(Sm)との関係をSm−Sf=6.8〜42.
3%とすることによって、強化材とマトリックス炭素と
の界面接着力を従来の炭素炭素複合材に比べて大きくす
ることができる。
より詳細には、本発明において、Sm−Sf=6.8〜42.3
%の関係があると、マトリックス炭素が炭素繊維より収
縮しようとする力が界面接着力の強化に役立つが、収縮
率差が42.3%を越えるとマトリックス炭素が収縮しすぎ
て炭素繊維との界面で亀裂や剥離が起きてしまう。ま
た、収縮率差が6.8%未満では、マトリックス炭素の収
縮力を界面接着力の強化に役立てる効果が少なくなって
しまう。
なお、Sm(マトリックス炭素前駆体の体積収縮率)が
Sf(ピッチ系前駆体炭素繊維の体積収縮率)より小さい
と、炭素繊維の方が周囲のマトリックス炭素より収縮し
てしまい、界面で亀裂や剥離が起きてしまう。
本発明の場合には、強化材としての上記特定のピッチ
系前駆体炭素繊維にシラン系カップリング剤等の特別の
表面処理剤を被覆しなくとも大きな界面接着力を得るこ
とが可能となり、実質上、炭素純度の高い、耐熱性、耐
薬品性、耐摩耗性等に優れた炭素炭素複合材を製造する
ことができる。
本発明の優れた効果の1つとして、含浸、炭化・黒鉛
化工程の簡略化がある。本発明の方法を用いることによ
り、ピッチ等の液状炭化性物質を含浸し、続いてこれを
炭化・黒鉛化する際に、従来のようにこの工程を繰り返
した含浸、炭化・黒鉛化工程、即ち二次的補強処理を行
う必要がなく、1回の処理でほぼ必要とする密度に到達
させることができる。
この炭素炭素複合材の密度は、強化材としての上記特
定のピッチ系前駆体炭素繊維に含浸不可能な中空部が存
在しない場合に、1.45〜2.05g/cm3の高密度のものとす
ることができる。
次に、本発明に用いるマトリックス炭素前駆体として
のピッチ等の液状炭化性物質には、強化材として使用す
るピッチ系前駆体炭素繊維の原料ピッチと同種のもの、
即ち石油系ピッチ又は石炭系ピッチのいずれかの段階の
もの、例えば熱処理前ピッチや、フェノール樹脂、フラ
ン樹脂等の熱硬化性樹脂等を用いることができる。
本発明の場合、上記液状炭化性物質として、ピッチ系
前駆体炭素繊維の製造用原料と同種のものを用いること
が、得られた炭素炭素複合体の物性向上、界面の接着力
の向上等の点で好ましい。
本発明の炭素炭素複合材の製造方法の例は、具体的に
以下の通りである。すなわち、所望する形状に配列或い
は巻き取った上記特定のピッチ系前駆体炭素繊維或いは
該ピッチ系前駆体炭素繊維を主要材として構成される織
物や賦形物等の構造物にマトリックス炭素前駆体として
ピッチ等の液状炭化性物質を減圧、加圧含浸し、必要に
応じてプレス成形する。次に、不活性雰囲気中、常圧或
いは加圧下で炭化、或いはプレス成形しかつ炭化し必要
に応じて黒鉛化する。
耐熱性、耐薬品性等を向上させるためには、1,000℃
以上の高温度で炭化・黒鉛化することが好ましい。
〔実施例〕
本発明を下記の実施例により説明するが、それらは本
発明の範囲を制限しない。
上記(Sm−Sf)の体積収縮率差は、以下の実施例を見
ても分かるように、炭化温度を変えて、ピッチ系前駆体
炭素繊維とマトリックス炭素前駆体との最終熱処理工程
後の体積収縮率Sf、Smについて、種々の試験片を用いて
寸法変化・密度変化・炭化収率等の計測値から算出し、
両者の差(Sm−Sf)として表されるものである。当該
(Sm−Sf)が所定の範囲となるようにピッチ系前駆体炭
素繊維とマトリックス炭素前駆体の組合せを選択すれば
よい。
(実施例1) 石油ピッチ(軟化点150℃、残留炭素分53重量%、密
度1.28g/cm3)を常法で380〜420℃で熱処理して得られ
たメソフェースピッチを溶融紡糸し、常法で空気中で30
0〜340℃で不融化した繊維を不活性雰囲気中で500℃で
炭化された石油ピッチ系炭素繊維を一方向に引き揃え、
この炭素繊維製造用原料の熱処理前の石油ピッチ(軟化
点150℃、残留炭素分53重量%、密度1.28g/cm3)を溶融
させ、2〜10mmHgの減圧下で脱気含浸後、アルゴンガス
雰囲気に置換し、引き続き1MPaに昇圧し加圧含浸処理を
行った。この試料をアルゴンガス雰囲気中加圧下(15MP
a)にて、毎分2.5℃で600℃まで昇温し、2時間保持し
て炭化した。
更に、アルゴンガス雰囲気中常圧下で2,000℃まで炭
化した。
こうして得られた炭素炭素複合材の特性を次に示す。
炭素繊維体積含有率・・・56% 嵩密度 ・・・・・・2.01g/cc 曲げ強度 ・・・・・・470MPa 曲げ弾性 ・・・・・・200GPa 本実施例で用いた500℃で炭化された石油ピッチ系炭
素繊維は、無緊張下で2,000℃まで炭化すると、繊維軸
方向及び繊維直径の寸法変化から約46%の体積収縮を示
した。
また、マトリックス炭素前駆体として用いた前記石油
ピッチをアルゴンガス雰囲気中加圧下(15MPa)、毎分
2.5℃で600℃まで炭化後、更にアルゴンガス雰囲気中常
圧下で2,000℃まで炭化すると、最終的に炭化収率80重
量%、真密度2.17g/cm3のピッチ炭が得られた。従っ
て、この石油系ピッチは2,000℃までの炭化処理により
約52.8%の体積収縮をしたこととなる。
従って、2,000℃までの炭化工程において、強化材と
してのピッチ系炭素繊維とマトリックス炭素前駆体とし
ての石油ピッチとの体積収縮率の差は、約6.8%であっ
た。
本実施例の試料の断面を偏光顕微鏡で観察すると、強
化材とマトリックス炭素との界面に亀裂や剥離は観察さ
れなかった。
(実施例2) 実施例1と同じ不融化繊維を不活性雰囲気中で1,000
℃で炭化し石油ピッチ系炭素繊維を一方向に引き揃え、
実施例1と同様にして炭素炭素複合材を製造した。
この試料の特性を次に示した。
炭素繊維体積含有率・・・56% 嵩密度 ・・・・・・1.83g/cc 曲げ強度 ・・・・・・400MPa 曲げ弾性 ・・・・・・200GPa 本実施例で用いた1,000℃で炭化された石油ピッチ系
炭素繊維は、無緊張下で2,000℃まで炭化すると、繊維
軸方向及び繊維直径の寸法変化から約10.5%の体積収縮
を示した。
マトリックス炭素前駆体として用いた石油ピッチは、
実施例1と同様に2,000℃までの炭化処理により約52.8
%の体積収縮を示したことになる。
従って、2,000℃までの炭化工程による、強化材とし
ての石油ピッチ系炭素繊維とマトリックス炭素前駆体と
しての石油ピッチとの体積収縮率の差は、約42.3%であ
った。
本実施例の試料の断面を偏光顕微鏡で観察すると、強
化材とマトリックス炭素との界面に亀裂や剥離は観察さ
れなかった。
(比較例1) 実施例1と同じ不融化繊維を不活性雰囲気中で2,500
℃で黒鉛化し石油ピッチ系炭素繊維を一方向に引き揃
え、この炭素繊維製造用原料の熱処理前の石油ピッチ
(軟化点150℃、残留炭素分53重量%、密度1.28g/cm3
を溶融させ、実施例1と同様にして炭素炭素複合材(試
料No.1)を製造した。
この試料の断面を偏光顕微鏡にて観察すると、強化材
とマトリックス炭素との界面には亀裂や剥離が観察され
た。この亀裂や剥離は600℃の加圧炭化後に既に観察さ
れた。
試料No.1と同様にして作製した炭素炭素複合材を更に
同一の石油ピッチを用いて再含浸、炭化する二次的補強
処理を行った試料(試料No.2)及び2回行った試料(試
料No.3)を作製した。各試料の特性を表1に示す。
比較例で用いた2500℃で黒鉛化した石油ピッチ系炭素
繊維は、無緊張下で2,000℃まで再度炭化したところ、
繊維軸方向及び繊維直径の寸法変化は認められず、体積
変化を示さなかった。即ち、2,000℃までの炭化工程
で、これら炭素炭素複合材の強化材としての炭素繊維と
マトリックス炭素前駆体としての石油ピッチとの体積収
縮率の差は約52.8%であることになる。
(発明の効果) 以上の通り、強化材として軽度炭化した特定のピッチ
系前駆体炭素繊維を用いるため、素材コストを低減させ
ることが可能となり、工業的に容易かつ安価に炭素炭素
複合材を製造することが可能となる。
該ピッチ系前駆体炭素繊維とマトリックス炭素前駆体
とのその後の炭化・黒鉛化工程における体積収縮率差を
一定範囲としたので、実質上亀裂や剥離の発生を極めて
少なくさせ、かつ高密度・高強度炭素炭素複合材を製造
できる。
また、高密度で高強度の炭素炭素複合材製造時の再含
浸等の二次的補強処理を省略することも可能である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】450〜2,200℃で炭化したピッチ系炭素繊維
    にピッチ等の液状炭化性物質をマトリックス炭素前駆体
    として含浸後、不活性雰囲気下で炭化、必要に応じて黒
    鉛化するに当たり、該ピッチ系炭素繊維が無緊張下の炭
    化・黒鉛化により高強度、高弾性の炭素繊維に変換でき
    るものであり、且つ該ピッチ系炭素繊維のその後の炭化
    ・黒鉛化工程における体積収縮率(Sf)と、該ピッチ等
    の液状炭化性物質のその後の炭化・黒鉛化工程における
    体積収縮率(Sm)との間にSm−Sf=6.8〜42.3%なる収
    縮率差の関係があることを特徴とする、高密度、高強度
    の炭素繊維強化炭素炭素複合材の製造方法。
  2. 【請求項2】ピッチ等の液状炭化性物質を含浸、続いて
    これを炭化・黒鉛化するという工程を繰返す二次的補強
    処理を行うことなく、1回の含浸、炭化・黒鉛化工程で
    嵩密度1.45〜2.05g/ccの炭素繊維強化炭素炭素複合材を
    製造することを特徴とする、特許請求の範囲第1項記載
    の方法。
  3. 【請求項3】ピッチ等の液状炭化性物質として、450〜
    2,200℃で炭化したピッチ系炭素繊維の製造原料ピッチ
    を用いることを特徴とする、特許請求の範囲第1項又は
    第2項記載の方法。
JP62035676A 1987-02-20 1987-02-20 炭素炭素複合材の製造方法 Expired - Lifetime JP2519042B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62035676A JP2519042B2 (ja) 1987-02-20 1987-02-20 炭素炭素複合材の製造方法
DE19883872407 DE3872407T2 (de) 1987-02-20 1988-02-22 Verfahren zur herstellung von kohlenstoff-kohlenstoff-verbundmaterialien.
EP19880102568 EP0280233B1 (en) 1987-02-20 1988-02-22 Method for producing carbon-carbon composite materials
US07/711,354 US5246639A (en) 1987-02-20 1991-06-04 Method for producing carbon-carbon composite materials

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62035676A JP2519042B2 (ja) 1987-02-20 1987-02-20 炭素炭素複合材の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63206351A JPS63206351A (ja) 1988-08-25
JP2519042B2 true JP2519042B2 (ja) 1996-07-31

Family

ID=12448483

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62035676A Expired - Lifetime JP2519042B2 (ja) 1987-02-20 1987-02-20 炭素炭素複合材の製造方法

Country Status (3)

Country Link
EP (1) EP0280233B1 (ja)
JP (1) JP2519042B2 (ja)
DE (1) DE3872407T2 (ja)

Families Citing this family (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6479079A (en) * 1987-09-22 1989-03-24 Petoca Ltd Porous isotropic carbon-carbon composite material and its production
JPS6479073A (en) * 1987-09-22 1989-03-24 Petoca Ltd Porous isotropic carbon-carbon composite material and its production
US4847063A (en) * 1987-12-02 1989-07-11 Fiber Materials, Inc. Hollow composite body having an axis of symmetry
JPH0735614B2 (ja) * 1988-10-03 1995-04-19 新王子製紙株式会社 高黒鉛化炭素繊維の製造方法
GB8827146D0 (en) * 1988-11-21 1988-12-29 Ici Plc Preparation of refractory materials
EP0379328B1 (en) * 1989-01-17 1996-11-27 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Carbon fiber reinforced carbon
US5202293A (en) * 1989-01-17 1993-04-13 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Carbon fiber reinforced carbon
US5169718A (en) * 1989-06-22 1992-12-08 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Sliding member
JP2600088B2 (ja) * 1990-09-26 1997-04-16 工業技術院長 黒鉛繊維の製造方法
DE69311817D1 (de) * 1992-01-24 1997-08-07 Nippon Oil Co Ltd Verfahren zur Herstellung von Kohle-Kohle-Verbund-Vorformen und Kohle-Kohle-Verbund
FR2687998A1 (fr) * 1992-02-28 1993-09-03 Aerospatiale Procede de fabrication d'une piece en materieu composite carbone/carbone utilisant de la poudre de mesophase.
CN115286412B (zh) * 2022-07-15 2023-07-18 航天特种材料及工艺技术研究所 一种大面积高导热陶瓷基复合材料及其制备方法

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4823793B1 (ja) * 1968-06-17 1973-07-16
JPS4929432A (ja) * 1972-07-19 1974-03-15
DE3234777C2 (de) * 1982-09-20 1984-07-19 Schunk & Ebe Gmbh, 6301 Heuchelheim Graphitform für das Drucksintern
US4554024A (en) * 1984-02-13 1985-11-19 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Air Force Method for preparing an improved pitch impregnant for a carbon-carbon composite

Also Published As

Publication number Publication date
EP0280233B1 (en) 1992-07-01
DE3872407T2 (de) 1992-12-03
JPS63206351A (ja) 1988-08-25
EP0280233A1 (en) 1988-08-31
DE3872407D1 (de) 1992-08-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1908740B1 (en) CARBON-FIBER-REINFORCED SiC COMPOSITE MATERIAL AND SLIDE MEMBER
JP2519042B2 (ja) 炭素炭素複合材の製造方法
EP0297695B1 (en) Process for fabricating carbon/carbon fibre composite
US4101354A (en) Coating for fibrous carbon material in boron containing composites
Iwashita et al. Effect of matrix texture on tensile strength and oxidation behavior of carbon fiber reinforced carbon composites
JP2664047B2 (ja) 炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法
JPH0816032B2 (ja) 高強度炭素炭素複合材の製造方法
JP2019043099A (ja) 炭素繊維シート積層体及びその製造方法
JP3433473B2 (ja) 炭素繊維強化炭素複合材とその製造方法及びそれを用いた摺動材
JP3288408B2 (ja) 汎用炭素繊維強化炭素材料の製造法
US5246639A (en) Method for producing carbon-carbon composite materials
US4164601A (en) Coating for fibrous carbon material in boron containing composites
JPH0255393B2 (ja)
JP2635634B2 (ja) 炭素繊維強化炭素材料の製造方法
JPH08245273A (ja) 炭素繊維強化炭素複合材の製造方法
JPS62252371A (ja) 炭素繊維強化炭素複合材料の製造方法
KR970007019B1 (ko) 고밀도 탄소섬유 강화 탄소복합재의 제조방법
JPH0426547A (ja) 炭素―炭素複合材の製造方法
JP2003012374A (ja) 炭素繊維強化炭素材の製造方法
JPH07291750A (ja) 炭素/炭素複合材料用成形体の製造法
JPH06321633A (ja) 耐衝撃性炭素・炭素複合材及びその製法
JP2004217466A (ja) 炭素繊維・炭素複合材料用炭素繊維束およびその製造方法
JPH05139832A (ja) 炭素材料の製造方法
JPH11302086A (ja) 炭素繊維強化炭素複合材料及びその製造方法
JPH01153571A (ja) 炭素繊維強化炭素複合材の製法