JP2518890B2 - ポリイミド系樹脂組成物 - Google Patents

ポリイミド系樹脂組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は成形用樹脂組成物に関する。更に詳しくは、
耐熱性、耐薬品性、機械的強度などにすぐれ、かつ成形
加工性にすぐれたポリイミド系の成形用樹脂組成物に関
する。
〔従来の技術〕
従来からテトラカルボン酸二無水物とジアミンの反応
によって得られるポリイミドはその高耐熱性に加え、力
学的強度、寸法安定性が優れ、難燃性、電気絶縁性など
を併せ持つために、電気電子機器、宇宙航空用機器、輸
送機器などの分野で使用されており、今後共耐熱性が要
求される分野に広く用いられることが期待されている。
従来優れた特性を示すポリイミドが種々開発されてい
る。
しかしながら耐熱性に優れていても、明瞭なガラス転
移温度を有しないために、成形材料として用いる場合に
焼結成形などの手法を用いて加工しなければならないと
か、また加工性は優れているが、ガラス転移温度が低
く、しかもハロゲン化炭化水素に可溶で、耐熱性、耐溶
剤性の面からは満足がゆかないとか、性能に一長一短が
あった。
〔発明が解決しようとする問題点〕
本発明の目的は、ポリイミドが本来有する優れた特性
に加え、さらに耐熱性/または機械的強度が向上したポ
リイミド系樹脂組成物を得ることにある。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明者らは前記問題点を解決するために鋭意研究を
行なった結果、新規ポリイミドと特定量の芳香族ポリア
ミドイミドとよりなるポリイミド系樹脂組成物が特に前
記目的に有効であることを見出し、本発明を完成した。
本発明者はさきに機械的性質、熱的性質、電気的性
質、耐溶剤性などにすぐれ、かつ耐熱性を有するポリイ
ミドとして 式(I) (式中、Rは から選ばれた少なくとも1種である。) で表される繰り返し単位を有するポリイミドを見出した
(特願昭62-163940、163941)。
本発明の目的は、これらのポリイミドが本来有する機
械的、熱的および電気的特性や耐溶剤性を損なうことな
く、さらにその耐熱性、機械的強度を向上させたポリイ
ミド系樹脂組成物を提供することにある。
すなわち本発明は、 式(I) (式中、Rは前と同じ) で表される繰り返し単位を有するポリイミド99.9〜50重
量%と芳香族ポリアミドイミド0.1〜50重量%とからな
る樹脂組成物である。
本発明で使用されるポリイミドは、式(II) で表されるエーテルジアミン、即ちビス〔4−{4−
(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル〕スル
ホンと一種以上のテトラカルボン酸二無水物とを反応さ
せて上記記載の式(I)のポリイミドが得られる この時用いられるテトラカルボン酸二無水物は式(II
I) (式中Rは前に同じ) で表されるテトラカルボン酸二無水物である。
即ち、使用さるテトラカルボン酸二無水物としては、
エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカル
ボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無
水物、ピロメリット酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾ
フェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′−ベ
ンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2′,3,3′
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス
(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2
−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水
物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無
水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二
無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタ
ン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタ
ン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタ
ン二無水物、4,4′−(p−フェニレンジオキシ)ジフ
タル酸二無水物、4,4′−(m−フェニレンジオキシ)
ジフタル酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカル
ボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン
酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二
無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水
物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,
3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,
7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物であ
り、これらテトラカルボン酸二無水物は単独あるいは2
種以上混合して用いられる。
なお、本発明の組成物に用いられる熱可塑性ポリイミ
ドは、前記のエーテルジアミンを原料として用いられる
ポリイミドであるが、このポリイミドの良好な物性を損
なわない範囲内で他のジアミンを混合使用して得られる
ポリイミドも本発明の組成物に用いることができる。
混合して用いることのできるジアミンとしては例えば
m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p
−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p
−アミノベンジルアミン、ビス(3−アミノフェニル)
エーテル、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニ
ル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、
ビス(3−アミノフェニル)スルフィド、(3−アミノ
フェニル)(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス
(4−アミノフェニル)スルフィド、ビス(3−アミノ
フェニル)スルホキシド、(3−アミノフェニル)(4
−アミノフェニル)スルホキシド、ビス(4−アミノフ
ェニル)スルホキシド、ビス(3−アミノフェニル)ス
ルホン、(3−アミノフェニル)(4−アミノフェニ
ル)スルホン、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、
3,3′−ジアミノベンゾフェノン、3,4′−ジアミノベン
ゾフェノン、4,4′−ジアミノベンゾフェノン、ビス
〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、ビ
ス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕メタン、
1,1−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕
エタン、1,1−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(3−アミノフェノ
キシ)フェニル〕エタン、1,2−ビス〔4−(4−アミ
ノフェノキシ)フェニル〕エタン、2,2−ビス〔4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2−
ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕プロパ
ン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕ブタン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕ブタン、2,2−ビス〔4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオ
ロプロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパ
ン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3
−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス
(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−
アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4′−ビス(3−アミ
ノフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス(4−アミノ
フェノキシ)ビフェニル、ビス〔4−(3−アミノフェ
ノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(4−アミノフ
ェノキシ)フェニル〕ケトン、ビス〔4−(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−(4−
アミノフェノキシ)フェニル〕スルフィド、ビス〔4−
(3−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキシド、ビ
ス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホキ
シド、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フェニル〕
スルホン、ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕スルホン、ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)フ
ェニル〕エーテル、ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)フェニル〕エーテル、1,4−ビス〔4−(3−アミ
ノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、1,3−ビス〔4
−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル〕ベンゼン、4,
4′−ビス〔3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイ
ル〕ジフェニルエーテル、4,4′−ビス〔3−(3−ア
ミノフェノキシ)ベンゾイル〕ジフェニルエーテル、4,
4′−ビス〔4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベン
ジル)フェノキシ〕ベンゾフェノン、4,4′−ビス〔4
−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキ
シ〕ジフェニルスルホンなどが挙げられる。
本発明で使用される芳香族ポリアミドイミドは主鎖の
繰り返し単位中にイミドとアミドの結合をもつものであ
り、 下記一般式 (式中Arは少なくとも1つのベンゼン環を含む3価の芳
香族基、Zは2価の有機基を示す)で表わされる繰り返
し単位を有する芳香族ポリアミドイミドである。
本発明において特に好ましい芳香族ポリアミドイミド
は、式、 および式、 で表わされる繰り返し単位を有する芳香族ポリアミドイ
ミドである。
これらの芳香族ポリアミドイミドは、例えば米国アモ
コ社よりトーロン(TORLON)の商標名で市販されてい
る。
本発明の成形用樹脂組成物は前記ポリイミド99.9〜50
重量%、芳香族ポリアミドイミドが0.1〜50重量%の範
囲にあり、その合計が100重量%であるように調整され
る。
本発明のポリイミド/芳香族ポリアミドイミド複合樹
脂系において芳香族ポリアミドイミドによる耐熱性およ
び/または機械的強度の向上効果は少量でも認められ、
その組成割合の下限は0.1重量%であるが、好ましく
は、0.5重量%以上である。
また、芳香族ポリアミドイミドは通常の熱可塑性樹脂
に比べて非常に高い熔融粘度を有するため、該組成物中
の芳香族ポリアミドイミドの量を余り多くするとポリイ
ミドの有する優れた成形加工性を維持できなくなり、ま
た破断伸度も低下し好ましくない。そのため芳香族ポリ
アミドイミドの組成割合には上限があり、50重量%以下
が良い。
本発明による組成物を混合調製するにあたっては、通
常公知の方法により製造できるが、例えば次に示す方法
などは好ましい方法である。
(1)ポリイミド粉末と芳香族ポリアミドイミド粉末を
乳鉢、ヘンシェルミキサー、ドラムブレンダー、タンブ
ラーブレンダー、ボールミルリボンブレンダーなどを利
用して予備混練し粉状とする。
(2)ポリイミド粉末をあらかじめ有機溶媒に溶解ある
いは懸濁させ、この溶液あるいは懸濁液に芳香族ポリア
ミドイミドを添加し、均一に分散または溶解させた後、
溶媒を除去し、粉状とする。
(3)本発明のポリイミドの前駆体であるポリアミド酸
の有機溶剤溶液中に、芳香族ポリアミドイミドを溶解ま
たは懸濁させた後、100〜400℃に加熱処理するか、また
は通常用いられるイミド化剤を用いて化学イミド化した
後、溶剤を除去して粉状とする。
このようにして得られた粉状ポリイミド系樹脂組成物
は、そのまま各種成形用途、すなわち射出成形、圧縮成
形、トランスファー成形、押圧成形などに用いられる
が、溶融ブレンドしてから用いるのはさらに好ましい方
法である。ことに前記組成物を混合調製するに当り、粉
末同志、ペレット同志、あるいは粉末とペレットを混合
溶融するのも、簡易で有効な方法である。
溶融ブレンドには通常のゴムまたはプラスチック類を
溶融ブレンドするのに用いられる装置、例えば熱ロー
ル、バンバリーミキサー、ブラベンダー、押出機などを
利用することができる。溶融温度は配合系が溶融可能な
温度以上で、かつ配合系が熱分解し始める温度以下に設
定されるが、その温度は通常280〜440℃、好ましくは30
0〜420℃である。
本発明の樹脂組成物の成形方法としては、均一溶融ブ
レント体を成形し、かつ生産性の高い成形方法である射
出成形または押出成形が好適であるが、その他のトラン
スファー成形、圧縮成形、焼結成形、押出しフィルム成
形などを適用してもなんら差し支えない。
なお本発明の樹脂組成物に対して固体潤滑剤、例えば
二硫化モリブデン、グラファイト、窒化ホウ酸、一酸化
鉛、鉛粉などを一種以上添加することができる。
また補強剤、例えはガラス繊維、炭素繊維、芳香族ポ
リアミド繊維、炭化珪素繊維、チタン酸カリウム繊維、
ガラスビーズなどの一種以上を添加することもできる。
なお本発明の樹脂組成物に対して、本発明の目的を損
なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収
剤、難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤など
の通常の添加剤を一種以上添加することもできる。
また、本発明において使用するポリイミド樹脂は、特
願昭62-163940、および62-163941に記載の方法で製造し
た。
〔実施例〕 以下本発明を実施例および比較例により、さらに詳細
に説明する。なお、本発明において使用するポリイミド
樹脂は、特願昭62-163940、および62-163941に記載の方
法で製造し、その元素分析値および基本物性を表−1に
まとめて示す。
実施例−1〜12 表−1記載の製造例1〜5で得られたポリイミド粉末
と、芳香族ポリアミドイミドであって、市販されている
トーロン4203L(TORLON 4203L;米国アモコ社商標)を表
−2〜3のように各種の組成でドライブレンドした後、
熔融混練しながら押し出す操作を行なって均一配合ペレ
ットを得た。
次に、上記で得た均一配合ペレットを射出成形機(ア
ーブルグ社製 アーブルグオールラウンドA-220)を用
い、バレル温度380〜400度、金型温度220℃で射出成形
し、試験片を作成して、試験片の物理的、熱的性質を測
定した。
結果を表−2〜3に示す。
なお各表には最低射出成形圧力も併せて記す。
表中引張強度及び破断伸度はASTM D-638、曲げ強度及
び曲げ弾性率はASTM D-790、アイゾット衝撃値はASTM D
-256、ガラス転移温度はTMA針入法 、熱変形温度はASTM D-648に拠る。
比較例−1〜6 本発明の範囲外の組成物を用い、実施例1〜12と同様
な操作で得られた成形物の物理的、熱的性質を測定した
結果を表−2〜3に併せて示す。
〔発明の効果〕
本発明の方法によればポリイミドが本来有する優れた
特性に加え、著しく耐熱性および/または機械的強度が
向上したポリイミド系樹脂組成物が提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 彰宏 神奈川県鎌倉市材木座1―13―24 (56)参考文献 特開 昭64−9226(JP,A) 特開 昭64−9227(JP,A) 特開 昭59−126464(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式(I) (式中、Rは から選ばれた少なくとも1種である。) で表される繰り返し単位を有するポリイミド99.9〜50重
    量%と式(A) および/または式(B) で表される繰り返し単位を有する芳香族ポリアミドイミ
    ド0.1〜50重量%とからなるポリイミド系樹脂組成物。
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