JP2518084Y2 - ディスクカートリッジ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はディスク状記録媒体を収納したディスクカー
トリッジ、特に3.5インチ用のディスクカートリッジに
関する。

〔従来の技術〕

記録再生装置に使用されるディスク状記録媒体は、不
使用時に破損したり、塵埃が付着したりするのを防止す
るために、ディスクカートリッジ内にこのディスク状記
録媒体を収納することによって保護している。このよう
なディスクカートリッジとして、例えば第６図および第
７図に示すようなものがある。第６図において、符号10
1はケースであり、このケース101にはディスク状記録媒
体106が収納されている。ケース101にはこのディスクカ
ートリッジが記録再生装置に装着されたときに、ディス
ク状記録媒体106を回転させるための回転穴102や情報の
読み書きを行うためにヘッドを接近可能なヘッド挿入穴
103が形成されている。

ここで、前記回転穴102やヘッド挿入穴103からケース
101内部に塵埃が侵入するのを防止するために、このケ
ース101にはシャッタ104が取り付けられている。また、
第７図に示すようにシャッタ104はケース101内に収装さ
れたねじりコイルばね105によって常時付勢されて、前
記回転穴102やヘッド挿入穴103を閉止している。

ねじりコイルばね105の付勢力に抗してシャッタ102を
摺動させると、前記回転穴102やヘッド挿入穴103は開口
される。ここで、ねじりコイルばね105は一端腕部105
a、他端腕部105bおよびねじりコイル部105cとからな
り、一端腕部105aはシャッタ104の第１ばね受部107と係
合し、他端腕部105bはケース101の第７図中右側端の第
２ばね受部108と係合している。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、このような従来のディスクカートリッ
ジにおいては、シャッタ104を常時付勢するねじりコイ
ルばね105は第７図に示すようにその一端腕部105aと他
端腕部105bとが折曲されずに真直ぐに伸長されていた。
このため、シャッタ104を開くと、これによってねじり
コイルばね105が押圧され、この一端腕部105aと他端腕
部105bとは、ケース101の第２ばね受部107側へと押しや
られてしまう。ケース101の第２ばね受部107近傍には記
録再生装置の保持ピンと係合するための係合凹部101aが
形成されているので、他端腕部105bはこの係合凹部101a
と当接してしまう虞がある。他端腕部105bが係合凹部10
1aと当接すると、この他端腕部105bはこの係合凹部101a
から相対的に押し戻される形となり、第２ばね受部107
から外れてしまう虞が生じていた。又ねじりコイルばね
105の一端腕部105aと他端腕部105bとが折曲されずに真
直ぐに伸張されているので、両腕部に加わる応力が、ね
じりコイル部105cとの接続部に集中し、このため、繰り
返しの使用による耐久性に問題があった。

〔課題を解決するための手段〕

このような問題を解決するために、本考案にあって
は、ディスク状記録媒体が収納されたケースと、このケ
ースに形成されたヘッド挿入穴およびディスク状記録媒
体を回転させるための回転穴を開閉するためのシャッタ
と、このシャッタに固着され前記ケースと滑接するスラ
イダーと、このスライダーと一端腕部が係合し他端腕部
が前記ケースと係合して前記シャッタを閉止方向に付勢
するねじりコイルばねとを備え、前記コイルばねの両腕
部がねじりコイル部から扇形に開くように伸びているデ
ィスクカートリッジにおいて、前記一端腕部および他端
腕部のそれぞれの略中央を互いに、この一端腕部と他端
腕部とが相対向する内側に向けて折曲し、前記ケースに
は、記録再生装置の保持ピンと係合するための係合凹部
を、前記シャッタが開放されたときの前記ねじりコイル
ばねの折曲部と対向するように設けたものである。

〔作用〕

シャッタが押されると、ねじりコイルばねは押圧さ
れ、この一端、他端腕部は他端腕部が係合するばね受部
へ向けて移動する。前記ばね受部へ向けて移動する他端
腕部は前記ばね受部の近傍のケースには係合凹部が形成
されているので、この係合凹部へ当接する虞が生じる。
しかし、前記他端腕部は略中央が折曲されているので、
この折曲部分が前記係合凹部を迂回する形となり、この
他端腕部が前記係合凹部に当接するのが回避される。
又、両腕部は略中央部が折曲されているので、両腕部に
加わる応力はねじりコイル部との接続部に集中すること
なく、従ってねじりコイルばねの耐久性が向上する。

〔実施例〕

以下、本考案を図面に基づいて説明する。

第１図ないし第５図は本考案に係る3.5インチ用のデ
ィスクカートリッジの一実施例を示す図である。

第１図および第２図において符号１はディスクカート
リッジのケースであり、このケース１は合成樹脂製であ
って全体が矩形の平板状筺体の上半片1aと下半片1bとか
らなっている。ケース１内には光学的情報を記録した3.
5インチの光ディスク２（ディスク状記録媒体）が収納
されている。ケース１の下半片1bの中央には、光ディス
ク２が記録再生装置に装着されたときに、ケース１内の
光ディスク２をスピンドルモータ（図示せず）によって
回転させるための回転穴４が形成され、この回転穴４か
ら光ディスク２の中心部に設けられたハブ部2aが露出し
ている。またケース１の上・下半片1a,1bには光ディス
ク２に記録された情報を読み取るための光ヘッド（図示
せず）が接近可能なようにヘッド挿入穴３が形成されて
いる。

光ディスク２を使用しない場合には、前記回転穴４や
ヘッド挿入穴３から塵埃がケース１内に侵入するのを防
止するために、このケース１にはシャッタ５が取付けら
れている。シャッタ５はステンレス鋼等の金属薄板を略
中央から断面略コの字形に折り曲げて形成され、前記回
転穴４及びヘッド挿入穴３を開閉するための開閉板部６
と、この開閉板部６よりも折り曲げ長さが短い補助開閉
板部７とを有している。

ケース１の記録再生装置挿入先端部分に形成されたガ
イド部Ｇは、第３図に示すように、図上左側に形成され
ケース１の上端面から落込んだ位置に水平方向に伸びる
ガイド表面８を有している。ガイド表面８の同図中右側
には、シャッタ５開閉するための開閉ピンＰがこのシャ
ッタ５を開放したときに落込むための逃げ凹み９が形成
されている。前記開閉ピンＰは第３図中シャッタ５を右
側に移動せしめ、ヘッド挿入穴３を開放する。

断面略コの字形シャッタ５の折曲部分5aの内面側には
ガイド部Ｇに摺接するポリアセタール等の合成樹脂製の
スライダー12が取り付けられており、このスライダー12
は第３図中略右半分が前記折曲部分5aの内面側にタッピ
ングねじ等によって固着されている。ここで、スライダ
ー12が摺接するケース１のガイド部Ｇもスライダー12と
同様に合成樹脂製であるので、スライダー12はガイド部
Ｇに対して滑性を有している。

また、第４図および第５図に示すようにスライダー12
の摺動方向一方端（第５図中右方端）には嵌合突起部13
が形成され、この嵌合突起部13の両側には一対の突起部
分13a,13bが形成され、この一対の突起部分13a,13bは上
・下半片1a,1bの内壁面に形成された一対の嵌入溝1c,1d
に嵌入している。嵌合突起部13にはねじりコイルばね14
の一端腕部14aが係合される第１ばね受部15が形成さ
れ、ケースの第５図中右上方端部にはねじりコイルばね
14の他端腕部14bが係合される第２ばね受部16が形成さ
れ、ねじりコイルばね14の付勢力によってスライダー12
を第５図中左方へ付勢している。また、嵌合突起部13に
はねじりコイルばね14が嵌入可能な割り溝13cが形成さ
れている。

ねじりコイルばね14の一端腕部14aおよび他端腕部14b
のそれぞれは、この略中央がこの一端腕部14aと他端腕
部14bが相対向する側（第５図において中心線（Ｌ）
側）に向けて折曲され、それぞれに折曲部分14c,14dが
設けられている。また、ねじりコイルばね14は一端腕部
14aと他端腕部14bとの間にねじりコイル部14eを有して
いる。すなわち、両腕部14a,14bはねじりコイル部14eか
ら扇形に斜めに伸びており、その略中央が扇形の内側に
折れて折間部分14c,14dをなしている。一方、スライダ
ー12の摺動方向他方端（第３図中左方端）にも同様の嵌
合突起部16が形成され、この突起部分（図示せず）も上
・下半片1a,1bの嵌入溝（図示せず）に嵌入している。

ところで、ディスクカートリッジを記録再生装置に装
着すると、回転穴４やヘッド挿入穴３を開口するため
に、この装置の開閉ピンＰがシャッタ５を押す。シャッ
タ５が第５図中右方へ押されると、ねじりコイルばね14
が押圧されてこの一端、他端腕部14a,14bが第２ばね受
部16へ向けて移動する。ここで、第２ばね受部16の近傍
には、記録再生装置の保持ピンと係合するための係合凹
部1eが形成されている。このため、第２ばね受部16へ向
けて移動する他端腕部14bはこの係合凹部1eへ当接する
虞が生じる。

しかし、他端腕部14bは前記したように中心線Ｌ側に
向けて折曲され、略中央に折曲部分14dが設けられてい
るので、この折曲部分14dが係合凹部1eを迂回する形と
なり、他端腕部14bが係合凹部1eに当接するのが回避さ
れる。したがって、他端腕部14bが係合凹部1eから押さ
れるようなことはなく、第２ばね受部16から外れてしま
うのが阻止される。

また、開閉ピンＰがシャッタ５を押すと、ねじりコイ
ルばね14の一端、他端腕部14a,14bは第1,第２ばね受部1
5,16によってこのねじりコイル部14eに向けて押圧され
る。一端、他端腕部14a,14bには前記したように折曲部
分14c,14dが設けられているので、この押圧の際の応力
は、従来のようにねじりコイル部14eの一箇所のみ集中
することはなく、前記折曲の部分14c,14dにも分散され
る。したがって、このディスクカートリッジを永年使用
しても、前記押圧の際の応力がねじりコイル部14eの一
箇所にのみ繰り返して集中するのが阻止されるので、こ
のねじりコイル部14eに疲れが生じるのが防止され、こ
のねじりコイルばね10の耐久性を向上させることができ
る。

〔考案の効果〕

ねじりコイルばねの一端腕部および他端腕部のそれぞ
れの略中央を、この一端腕部と他端腕部とが相対向する
内側に向けて折曲したので、このねじりコイルばねを押
圧するとこの一端、他端腕部がケースの係合凹部へ向け
て移動するが、他端腕部の折曲した部分が、前記係合凹
部を迂回する形となり、この他端腕部が前記係合凹部に
当接するのが回避される。したがって、ねじりコイルば
ねの他端腕部が前記係合凹部から押されるようなことは
なく、この他端腕部が係合するばね受部から外れるのが
阻止される。又、ねじりコイルばねの両腕部は略中央が
折曲されているので、両腕部に加わる応力はねじりコイ
ル部との接続部に集中することなく、ねじりコイルばね
の耐久性が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図は本考案に係る3.5インチ用のディ
スクカートリッジの一実施例を示す図であり、第１図は
このディスクカートリッジの表側の斜視図、第２図同裏
側の斜視図、第３図はこのディスクカートリッジの正面
図、第４図は第３図におけるIV-IV線拡大断面図、第５
図は第４図におけるV-V線断面図であり、第６図および
第７図は従来のディスクカートリッジを示す図であり、
第６はこのディスクカートリッジの斜視図、第７図はこ
のケースの部分拡大断面図である。 １……ケース、３……ヘッド挿入穴、４……回転穴、５
……シャッタ、12……スライダー、14……ねじりコイル
ばね、14a……一端腕部、14b……他端腕部、14c,14e…
…折曲部分。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ディスク状記録媒体が収納されたケース
   と、このケースに形成されたヘッド挿入穴およびディス
   ク状記録媒体を回転させるための回転穴を開閉するため
   のシャッタと、このシャッタに固着され前記ケースと滑
   接するスライダーと、このスライダーと一端腕部が係合
   し他端腕部が前記ケースと係合して前記シャッタを閉止
   方向に付勢するねじりコイルばねとを備え、前記コイル
   ばねの両腕部がねじりコイル部から扇形に開くように伸
   びているディスクカートリッジにおいて、前記一端腕部
   および他端腕部のそれぞれの略中央を互いに、この一端
   腕部と他端腕部とが相対向する内側に向けて折曲し、前
   記ケースには、記録再生装置の保持ピンと係合するため
   の係合凹部を、前記シャッタが開放されたときの前記ね
   じりコイルばねの折曲部と対向するように設けたことを
   特徴とするディスクカートリッジ。