JP2516994Y2 - 車両ドア用コ−ナカバ− - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は車両ドアのコーナ部に取付けられるコーナ
カバーに関するものである。

〔従来の技術〕

第９図は車両の斜視図である。図において、１は車
体、２はドア、３はドアガラス、４はコーナカバーであ
る。第10図は従来の前部ドアのコーナカバーを車内側か
ら見た正面図、第11図はそのＡ−Ａ断面図、第12図はＢ
−Ｂ断面図、第13図はコーナカバーインナの斜視図であ
る。

コーナカバー４は、車内側Ｒに設けられるコーナカバ
ーインナ4aと、車外側Ｓに設けられるコーナカバーアウ
タ4bとからなり、それぞれドア２を構成する車体パネル
５としてのドアパネルインナ5a、およびドアパネルアウ
タ5bに、シール用スポンジ６を介して、ねじ７等により
取付けられている。８はパネル引掛用フック、９はトリ
ム引掛用フック、10はドアトリムインナ、11はねじ穴、
12はウェザーストリップである。

上記のコーナカバー４は、コーナカバーインナ4a、コ
ーナカバーアウタ4bとも、シール用スポンジ６を介して
ドアパネルインナ5aおよびドアパネルアウタ5bに当接
し、ねじ７等により固着する。このときコーナカバーイ
ンナ4aはパネル引掛用フック８をドアパネルインナ5aの
穴に引掛け、トリム引掛用フック９をドアトリムイソナ
10に引掛ける。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかしながら、このような従来の車両ドア用コーナカ
バーにおいては、一定幅、一定厚さのシール用スポンジ
をコーナカバーの裏面に接着して車体パネルとの間をシ
ールするようになっているため、部品点数および取付工
数が多く、広い接着面を形成しても剥れやすいという問
題点があった。シール用スポンジは一定厚さのものしか
製作できないため、車体パネルとコーナカバーの間隔が
急激に大きく変化していると、均一なシール性能を得る
ことができないという問題点があった。

この考案は上記問題点を解決するためのもので、部品
点数、取付工数およびシール用スペースが少なく、かつ
車体パネルとコーナカバーの間隔が急激に大きく変化す
る場合でも自由に対応でき、完全かつ均一にシールする
ことが可能な車両ドア用コーナカバーを提供することを
目的としている。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案は、車両ドアのコーナ部を構成する車体パネ
ルの開口部を覆うように取付けられるカバー本体と、 このカバー本体を車体パネルに取付ける取付手段と、 前記カバー本体の内面から、車体パネルの開口部の周
辺部に近接し、かつ前記取付手段を外周側から囲むよう
に突出する連続した環状のリブと、 このリブの先端部に、厚さが急激に薄くなる段差部を
介して、車体パネルの開口部の外側に当接して弾性変形
するように、リブの突出方向に対して傾斜する方向に、
かつ連続した環状に突出する薄肉のひれ状のたわみ部と が弾性を有する合成樹脂により一体成形され、 車体と当接することによるたわみは、前記たわみ部に
おいて生じ、リブには実質的に生じないようにした ことを特徴とする車両ドア用コーナカバーである。

〔作用〕

この考案の車両ドア用コーナカバーにおいては、弾性
を有する合成樹脂によりカバー本体、取付手段、リブお
よびたわみ部を一体成形したコーナカバーを製造する。
そしてこのコーナカバーのリブを車体パネルに対向さ
せ、リブの先端に段差部を介して、リブの突出方向に対
し傾斜する方向に突出するたわみ部を車体パネルに当接
させて、前記傾斜方向にたわませた状態で、コーナカバ
ーを取付手段により、車体パネルに取付ける。このとき
たわみ部はリブの先端に厚さが急激に薄くなる段差部を
介して突出し、しかもリブの突出方向に対して傾斜して
いるので、コーナカバーを車体パネルに押付けて取付け
る際、たわみ部は全体がリブに対して同じ方向に容易に
たわみ、部分的に異なる方向にたわむことはない。

取付状態においては、リブが環状に連続しており、そ
の先端に段差部を介して突出するたわみ部は弾性変形に
より全体がたわんで車体パネルに当接する。

この場合リブはたわむことなく、たわみ部を均一な力
で支持するため、車体パネルとコーナカバーの間隔が急
激に大きく変化する場合でもシール性はよく、かつシー
ル力が均一となる。

〔実施例〕

以下、この考案を図面の実施例について説明する。第
１図ないし第５図はこの考案を前部ドアのコーナカバー
に適用した一実施例を示し、第１図は第10図のＡ−Ａ相
当断面図、第２図はＢ−Ｂ相当断面図、第３図はコーナ
カバーインナの斜視図、第４図は第２図の一部拡大図、
第５図はその一部拡大図であり、第９図ないし第13図と
同一符号は同一または相当部分を示す。

この実施例ではドア２の構造は従来のものとほぼ同様
になっており、コーナカバーアウタ4bも従来のものと同
様のものが使用されているが、コーナカバーインナ4aは
本考案の実施品となっている。

コーナカバーインナ4aの基本的な構造は従来のものと
ほぼ同様であるが、従来のシール用スポンジ６に代え
て、カバー本体13の内面からカバー本体13より薄肉の連
続した環状のリブ14が車体パネル５（ドアパネルインナ
5Aa）側に一体に形成されて伸び、リブ14の先端部に
は、厚さが急激に薄くなる段差部14aを介して、リブ14
より薄肉のひれ状のたわみ部15が、リブ14の突出方向に
対して角度θで傾斜する方向に突出している。たわみ部
15は段差部14aの先端から先細に形成されて突出し、そ
の先端部付近が、車体パネル５に当接して、全体が弾性
変形可能となっている。リブ14は第３図に示すように、
取付手段であるフック８を外周から囲むように形成され
ており、たわみ部15はその全周にわたって先端部から突
出している。コーナカバー本体13、リブ14およびたわみ
部15と、取付手段としてのパネル引掛用フック８および
トリム引掛用フック９とはポリプロピレン樹脂のような
弾性を有する合成樹脂により、一体成形されている。他
の構成は第９図ないし第13図と同様である。

上記のように構成された車両ドア用コーナカバーにお
いては、コーナカバーアウタ4bは従来と同様に取付けら
れる。

コーナカバーインナ4aについては、弾性を有する合成
樹脂によりカバー本体13、パネル引掛用フック８、トリ
ム引掛用フック９、リブ14およびたわみ部15を一体成形
してコーナカバーインナ4aを製造する。そしてこのコー
ナカバーインナ4aのパネル引掛用フック８をドアパネル
インナ5aの穴に引掛け、トリム引掛用フック９をドアト
リムインナ10に引掛けた状態で、コーナカバーインナ4a
のリブ14を車体パネル５（ドアパネルインナ5a）に対向
させ、たわみ部15を車体パネル５に当接させて、全長に
わたって同じ方向にたわませた状態で、コーナカバーイ
ンナ4aをねじ７等により車体パネル５に取付ける。

このときたわみ部15はリブ14の先端に、厚さが急激に
薄くなる段差部15aを介して突出し、しかもリブ14の突
出方向に対して傾斜しているので、コーナカバーインナ
4aを車体パネル５に押付けて取付ける際、たわみ部15は
全体がリブ14に対して同じ方向に容易にたわみ、部分的
に異なる方向にたわむことはない。

取付状態においては、リブ14が環状に連続しており、
その先端に段差部を介して突出するたわみ部15は弾性変
形により全体がたわんで、先端部付近が車体パネル５に
当接する。

この場合、リブ14はたわむことなく、たわみ部15を均
一な力で支持するため、シール性よく、かつシール力が
均一となる。このため車体パネル５とカバー本体13の間
隔が急激に大きく変化する場合でも、その変化をたわみ
部15が吸収し、完全に密着する。特に図のようにたわみ
部15が先細に形成されていると、コシが強くなり、圧着
力が平均化する。

第６図および第７図は別の実施例を示す第４図の一部
拡大図である。第６図ではたわみ部15を偏向させた例を
示し、リブ14の突出方向に対し、θ_１の角度で傾斜して
いる。これによりたわみ部15を一定方向にたわませ、シ
ール性を向上させることができる。この場合15aのよう
に全長にわたってたわみ部15とは逆の方向に偏向方向を
変え、θ_２の傾斜角としてもよい。第７図ではたわみ部
15が２個平行に設けられて、θ_３、θ_４の角度で傾斜し
ており、これによりシール性がさらに向上する。

第８図は他の実施例を示す第10図のＢ−Ｂ相当断面図
である。この実施例ではリブ14およびたわみ部15は車体
パネル５の面の変化に対応するように高さが変化してお
り、これによりたわみ部15のたわみ量が均一となるため
シール性が向上する。

以上の実施例ではコーナカバーインナ4aのみについて
本考案を実施したが、コーナカバーアウタ4bについても
同様に適用可能であり、後部ドアのコーナカバー４につ
いても同様に適用できる。またカバー本体13、パネル引
掛用フック８、トリム引掛用フック９、リブ14、たわみ
部15の形状、構造等は図示のものに限定されず、変更可
能である。さらにリブ14、たわみ部15とも数、位置等は
限定されず、それぞれ１個または複数個を、平行または
任意の配置で設けてもよい。

〔考案の効果〕

この考案によれば、カバー本体の取付手段を囲むよう
に環状のリブを一体的に形成し、リブの先端部に段差部
を介して薄肉ひれ状のたわみ部を、リブの突出方向に対
して傾斜する方向に連続した環状に突出するように一体
的に形成したので、カバー本体に剛性を付与するととも
に、部品点数、取付工数およびシール用スペースが少な
く、かつたわみ部のみをたわませ、リブはたわむことな
く均一な力でたわみ部を支持することにより、車体パネ
ルとコーナカバーの間隔が急激に大きく変化する場合で
も自由に対応でき、完全かつ均一にシールを行うことが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第５図はこの考案の一実施例を示し、第１
図は第10図のＡ−Ａ相当断面図、第２図はＢ−Ｂ相当断
面図、第３図はコーナカバーインナの斜視図、第４図は
第２図の一部拡大図、第５図はその一部拡大図、第６図
および第７図は別の実施例を示す第４図の一部拡大図、
第８図は他の実施例を示す第10図のＢ−Ｂ相当断面図、
第９図は車両の斜視図、第10図は従来のコーナカバーの
正面図、第11図はそのＡ−Ａ断面図、第12図はＢ−Ｂ断
面図、第13図はコーナカバーインナの斜視図である。 各図中、同一符号は同一または相当部分を示し、２はド
ア、４はコーナカバー、4aはコーナカバーインナ、4bは
コーナカバーアウタ、５は車体パネル、5aはドアパネル
インナ、5bはドアパネルアウタ、６はシール用スポン
ジ、13はカバー本体、14はリブ、14aは段差部、15はた
わみ部である。

Claims (3)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車両ドアのコーナ部を構成する車体パネル
   の開口部を覆うように取付けられるカバー本体と、 このカバー本体を車体パネルに取付ける取付手段と、 前記カバー本体の内面から、車体パネルの開口部の周辺
   部に近接し、かつ前記取付手段を外周側から囲むように
   突出する連続した環状のリブと、 このリブの先端部に、厚さが急激に薄くなる段差部を介
   して、車体パネルの開口部の外側に当接して弾性変形す
   るように、リブの突出方向に対して傾斜する方向に、か
   つ連続した環状に突出する薄肉のひれ状のたわみ部と が弾性を有する合成樹脂により一体成形され、 車体と当接することによるたわみは、前記たわみ部にお
   いて生じ、リブには実質的に生じないようにした ことを特徴とする車両ドア用コーナカバー。
2. 【請求項２】たわみ部が１個のリブの先端部に１または
   ２個設けられた実用新案登録請求の範囲第１項記載の車
   両ドア用コーナカバー。
3. 【請求項３】たわみ部が先細に形成された実用新案登録
   請求の範囲第１項または第２項記載の車両ドア用コーナ
   カバー。