JP2516028Y2 - 釣り竿 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は釣り竿に関する。

〔従来の技術〕

従来、釣り竿の尻部を構成する尻リング体を竿材に取
付けるに、接着剤を用いて行っていた。固定ガイドにつ
いても同様である。

〔考案が解決しようとする課題〕 しかし、前記尻リング体を竿材に取付けるについて
は、竿材における尻リング体取付部位に、然るべき研削
加工を施し、竿材と尻リングとの嵌合公差を厳密に設定
する必要があった。特に竿材として、プリプレグを巻き
成形し、その巻き成形したプリプレグにテープを巻付け
て竿材を構成する成形形態を採る場合には、巻付けたテ
ープによる表面が滑らかすぎ、接着するに際しては竿の
表面研削工程が不可欠であり、その研削工程に多大の時
間と労力を要し更に接着剤を均一に塗らなくてはならず
多大な労力を要していた。

本考案の目的は、尻リング体等の成形形態として一体
的に成形するものを採用することによって、製作時の時
間短縮と労力の軽減及び品質の安定を図ることのできる
釣り竿を提供する点にある。

〔課題を解決するための手段〕 本第１考案による特徴構成は、竿材の後端部に、成形
型によって前記竿材に対して一体に成形固定される尻リ
ング体を設けてある点にあり、その作用効果は次の通り
である。

〔作用〕

つまり、成形型を使用しているので、その成形工程に
よって尻リング体の形状を成形し乍ら、竿材の表面に仕
上加工を施すことなく尻リング体を同時に接着固定でき
る。

〔考案の効果〕

従って、尻リング体と竿材とに互いの嵌合の為の、研
削工程を必要とせず、製作工程の短縮・労力の軽減を達
成できる。

しかも、成形時の高温・高圧によって、接着剤による
よりも尻リング体の接着強度を大幅に高めることがで
き、尻リング体の脱落等を未然に防止できる。

〔課題を解決するための手段〕

本第２考案による特徴構成は、竿材の前端部に、成形
型によって前記竿材に対して一体に成形固定される固定
ガイドを設けてある点にあり、その作用効果は次の通り
である。

〔作用・考案の効果〕

作用効果は第１考案の場合と同様である。しかも、固
定ガイドは釣り糸による曲げ力及び竿の曲りによる力を
受ける為に、竿材との接着強度を高めることがより有効
に働く効果もある。

〔実施例〕

実施例について説明する。第１図に示すように、元上
本体（２）を出退自在に収納する元竿（１）の先端に、
固定ガイド（６）を取付けると共に、元竿（１）の尻部
に尻リング体（３）を取付け、この尻リング体（３）に
尻栓（４）を螺合して釣り用振出し竿を構成する。図中
（５）は、元上本体（２）を嵌め込み固定するストッパ
リングである。

次に、尻リング体（３）及び固定ガイド（６）の成形
工程について説明する。まず、尻リング体（３）及び固
定ガイド（６）を取付ける元竿（１）としての竿材（1
A）の製造について説明する。

強化炭素繊維を周方向に引揃えたものに樹脂を含浸さ
せて形成したプリプレグを第１層として１プライ分マン
ドレルに巻付け、次に、強化炭素繊維の方向を軸方向に
引揃えたプリプレグを第２層として２プライ分マンドレ
ルに巻付け、更に、強化炭素繊維の方向を周方向に引揃
えたプリプレグを第３層として１プライ分マンドレルに
巻付け、筒状体を形成し、 筒状体外周面に成形テープを巻付け、その後焼成・切
断を行い、成形テープをはぎ取って所定の竿材（1A）を
構成する。

前記竿材（1A）を使用して、尻リング体（３）及び固
定ガイド（６）を一体成形固着する。つまり、第２図に
示すように、成形型（Ａ）を利用して樹脂のインジェク
ション成形を行う。竿材（1A）内に内型（ａ）を竿材
（1A）全長に亘って内装し、竿材（1A）を外嵌するよう
に二ッ割の外型（ｂ）を設け、この内型（ａ）と外型
（ｂ）とで成形型（Ａ）を構成する。この成形型（Ａ）
のゲートより樹脂を注入し、尻リング体（３）を竿材
（1A）後端に一体成形固着する。前記竿材（1A）の外周
面に凹入部（1a）を設け、この凹入部（1a）にも樹脂を
行き渡らせ、尻リング体（３）の抜け止め構造とする。

前記内型（ａ）を竿材（1A）先端にまで挿通し、外側
に三ッ割の外型（ｃ）を竿材（1A）に外嵌し、固定ガイ
ド（６）をインジェクション樹脂成形する。図中（ｄ）
は固定ガイド（６）の糸挿通孔を形成する補助型ある。

以上によって、竿材（1A）に尻リング体（３）と固定
ガイド（６）を一体成形する。この場合に、インジェク
ション成形に利用される樹脂は、通常、熱可塑性樹脂で
成形時の高温・高圧によって成形され、常温に下がった
ときは収縮するために、接着剤によるよりも接着強度を
大幅に高めることができる。上記の説明においてはリー
ルシートの取付についての説明をしていないが、リール
シートについても単品加工したリールシートを取付ける
のではなく、成形型を使って一体成形してもよい。又、
固定ガイド（６）、リールシート、尻リング体（３）を
一つの成形型で成形する方法を採ってもよい。

前記したように、尻リング体（３）の取付部位として
は竿材（1A）の外周面に凹入部（1a）に樹脂を廻り込ま
せ尻リング体（３）の抜け止め構造としているが、竿材
（1A）の外周面には元々Ｘ字状テープが巻いてあるの
で、その外周面にはテープによる凹凸面が存在し、成形
樹脂がその凹面に廻り込み、抜け止め構造を成形するの
で、特に凹入部（1a）はなくてもよい。

〔別実施例〕

イ 尻リング体（３）、及び、固定ガイド（６）の材質
としてはアルミニウム等の金属を利用して、鋳造によっ
て竿材（1A）に対して一体成形してもよい。

ロ 成形型（Ａ）を使って成形するのは、尻リング体
（３）、及び、固定ガイド（６）の何れか一方だけでも
よい。

ハ 第３図に示すように、元竿（１）外周面における固
定ガイド（６）の取付部位に、凹入溝を形成し、固定ガ
イド（６）の元竿（１）に対する取付基端部を凹入溝内
に入り込ませ、抜け止め構造とする構成を採ってもよ
い。

尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面との対照を便
利にする為に符号を記すが、該記入により本考案は添付
図面の構造に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る釣り竿の実施例を示し、第１図は元
竿部の縦断側面図、第２図は固定ガイド及びリング体の
成形状態を示す縦断側面図、第３図は固定ガイドの取付
形態の別実施例を示す縦断側面図である。 （1A）……竿材、（３）……尻リング体、（６）……固
定ガイド、（Ａ）……成形型。

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】竿材（1A）の後端部に、成形型（Ａ）によ
   って前記竿材（1A）に対して一体に成形固定される尻リ
   ング体（３）を設けてある釣り竿。
2. 【請求項２】竿材（1A）の前端部に、成形型（Ａ）によ
   って前記竿材（1A）に対して一体に成形固定される固定
   ガイド（６）を設けてある釣り竿。