JP2513571Y2 - ピンミラ―カッタ― - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、クランク軸のピン部の
切削に使用される、スローアウェイ式の切刃を有するイ
ンターナル型のピンミラーカッターに関する。

【０００２】

【従来の技術】クランク軸のピン部等の丸切削加工に使
用される工具として、ピンミラーカッター(以下、カッ
ターと略称する)がある。

【０００３】図２は、従来のこの種のカッターを示すも
のである。このカッターは、平板環状をなす工具本体１
と、この工具本体１に着脱自在に装着されたスローアウ
ェイチップ７(以下、チップと略称する)とから概略構成
されたものであり、上記工具本体１は、外周側からつば
部２、盗み部３、およびチップ取付部４の三部分に大別
されている。そして、チップ取付部４内周の上下端面お
よび内周面には、各々チップ取付用の傾斜面と、これら
チップ取付用傾斜面の回転方向に面するチップポケット
５とが形成されている。更に、前記チップ取付用傾斜面
上にはチップ取付座６が形成され、チップ取付座６には
各々切削用超硬合金製のチップ７がクランプねじ８によ
り着脱自在に装着されている。また、前記チップ取付座
６周辺のチップ取付部４には、チップ７の配列順序を示
す記号(チップナンバー９)が、工具本体１の回転方向と
は逆向きに刻印されている。

【０００４】一方、つば部２の外周部にはドライブキー
用溝１０と呼ばれる凹部が円周方向に複数個設けられて
いる。なお、つば部２上下面に刻印された矢印１１は、
工具本体１の切削回転方向を表示するものである。

【０００５】上記構成のカッターを工作機械に取り付け
るには、前記ドライブキー用溝１０を駆動源に設けられ
たキーと嵌着させ、更に工具本体１のつば部２に設けら
れた取付穴１２に通したクランプボルトにより工具本体
１と駆動源とを締め付け固定する方法が取られる。そし
て、工具本体１の中央開口部に被削材を配設し、かつ工
具本体１をその軸線を中心として矢印１１方向に回転さ
せるとともに被削材を工具本体１の半径方向に送り運動
させることにより被削材に対する切削加工が行われる。
なお、切削の結果生じた切削屑は、チップポケット５内
で屈曲切断させられた後順次排出される。

【０００６】上記カッターにおいては、切削の進行に伴
い、チップ７の切刃が摩滅するため、チップ７は適宜交
換しなければならない。この場合、従来よりチップ７を
手で交換するか、工具本体１をチップ自動交換機に取り
付け、自動的にチップ７を交換する方法が取られてい
た。特に、後者では、チップ自動交換機をドライブキー
用溝１０と嵌着させた後、チップ自動交換機のレンチを
クランプねじ７にはめ込み、当該レンチを自動的に回す
ことによりチップ７の着脱を行っていた。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のカッターにおいては、チップ７を交換する場合、以
下のような問題が生じていた。

【０００８】(１) チップ７を手で交換する場合、チッ
プ７の着脱を一つずつ手で行うため、作業が非常に煩雑
とならざるを得ず、それだけカッターの稼動率が低下し
た。

【０００９】(２) チップ自動交換機を用いてチップ７
を交換する場合、切削中ドライブキー用溝１０と駆動源
に設けられたキーとの間に生じる応力や滑りにより、ド
ライブキー溝用１０が塑性変形または摩耗することがあ
る。ところが、ドライブキー溝用１０がわずかでも塑性
変形または摩耗していると、カッターをチップ自動交換
機に取り付けた際、チップ自動交換機のレンチと、チッ
プ７を固定しているクランプねじ８との間に位置のずれ
が生じ両者が嵌合しないため、チップ７の交換ができな
くなることがあった。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本考案は、上記事情に鑑
みてなされたもので、工具本体のつば部の外周部に、工
作機械の駆動部または当該部に接続されたアダプターと
連結することのない第二の凹部を設置してなるピンミラ
ーカッターである。

【００１１】

【作用】本考案においては、チップ自動交換機を、切削
による影響を受けることのない第二の凹部に取り付ける
ため、チップ自動交換機のレンチとチップ固定用クラン
プねじとの間の位置のずれがなく、両者間における機械
的精度の高い嵌合が常時可能となる。

【００１２】

【実施例】以下、図面に基づき、本考案の実施例を更に
詳しく説明する。

【００１３】図１は、本考案のカッターの一実施例を示
す平面図である。なお、図２に示したものと共通する部
分には同一符号を付してその説明を省略する。

【００１４】カッターは、平板環状をなす工具本体１
と、この工具本体１に着脱自在に装着されたチップ７と
から構成され、上記工具本体は、外周側からつば部２、
盗み部３、および外周部４に大別されている。

【００１５】また、つば部２の外周部の任意の位置には
チップセット基準キー用溝(第二の凹部)１３が設けら
れ、更に、チップ取付座６周辺のチップ取付部４の端に
は、チップ７の配列順序を示すチップナンバー９が、チ
ップセット基準キー用溝１３の半径方向内側に存在する
チップ取付座６を起点として刻印されている。この場
合、チップナンバー９の配列順序を、図１に示すよう
に、つば部２上下面に刻印された矢印１１によって表示
される工具本体１の回転方向と一致させてもよい。

【００１６】本考案においては、切削の進行に伴い摩滅
したチップ７の交換に際し、工具本体１のチップ自動交
換機への取り付け位置を決定する基準として、チップセ
ット基準キー用溝１３が用いられる。すなわち、工具本
体１をチップ自動交換機に取り付ける場合には、チップ
セット基準キー用溝１３をチップ自動交換機に設けられ
た、同キー用溝専用のチップセット基準キーと嵌着させ
た後、つば部２に開口した取付穴１２に通したクランプ
ボルトにより、チップ自動交換機と工具本体１とを締め
付け固定する方法が取られている。ここで、チップセッ
ト基準キー用溝１３は、切削時において駆動装置および
被削材とは一切接触していないので、切削による塑性変
形や摩耗等の影響を受けない。そのため、同キー用溝を
用いた工具本体１のチップ自動交換機への取り付けにお
いては、両者を、あらかじめ決められた取付位置に、常
時正確に取り付けることができる。従って、チップ自動
交換機のレンチとチップ固定用のクランプねじ８との間
の位置のずれを生じることがなく、両者間における機械
的精度の高い嵌合が常時可能となっている。

【００１７】また、工具本体１上下面におけるチップ取
付座６周辺のチップ取付部４周上に刻印されている前記
チップナンバー９の配列順序が、図１に示すように、つ
ば部２上下面に刻印された矢印１１によって表示される
工具本体１の回転方向と一致している場合には、チップ
セット基準キー用溝１３の位置から特定のチップ７の位
置を容易に知ることが可能であるのみならず、チップ７
交換後に行なわれる刃先の振れ調整の際、振れ調整の順
番とチップナンバー９の順番とが一致するので、振れ調
整後の刃先位置の微調整を容易に行うことができる。

【００１８】

【考案の効果】上記の通り、本考案においては、チップ
自動交換機への取付に際し、切削による影響を受けるこ
とのない第二の凹部を用いたため、チップ自動交換機を
用いたチップの着脱を、常時確実に行うことが可能とな
った。また、チップの配列順序を示すチップナンバー
が、チップセット基準キー用溝の半径方向内側に存在す
るチップを起点として、本体周上のチップ取り付け部位
に刻印されているため、チップセット基準キー用溝の位
置を基準として、特定のチップの位置を容易に知ること
が可能となった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す、ピンミラーカッター
の平面図である。

【図２】従来のピンミラーカッターの例を示す平面図で
ある。

【符号の説明】

１ 工具本体 ２ つば部 ３ 盗み部 ４ チップ取付部 ５ チップポケット ６ チップ取付座 ７ スローアウェイチップ(チップ) ８ クランプねじ ９ チップナンバー １０ ドライブキー用溝 １１ 矢印 １２ 取付穴 １３ チップセット基準キー用溝

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 平板環状をなし外周部に駆動源と嵌合す
   る凹部が形成された工具本体と、この工具本体の上下端
   面内周に円周方向に配されたスローアウェイチップおよ
   び上記工具本体の内周面に千鳥刃状に配されたスローア
   ウェイチップとを具備してなるインターナル型のピンミ
   ラーカッターにおいて、上記工具本体の外周部に、前記
   駆動源と連結することのない少なくとも一箇所の第二の
   凹部が設置されていることを特徴とするピンミラーカッ
   ター。
2. 【請求項２】 上記スローアウェイチップの配列順序を
   示す記号が、上記工具本体の、上記第二の凹部の半径方
   向内側に位置するスローアウェイチップ取り付け部位を
   起点として刻印されていることを特徴とする請求項１記
   載のピンミラーカッター。