JPS5826727Y2 - 刃先調整装置付スロ−アウエイ工具のクイツクチエンジ機構 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は微動ネジ方式の刃先調整装置を工具本体に着脱
するためのクイックチェンジ機構に関するものである。

微動ネジ方式の刃先調整装置は第１図に示すように、ス
ローアウェイチップ１が着脱自在に装着されたカートリ
ッジ２と、このカートリッジ２を進退させて刃先位置の
微調整を行なうための調整ダイヤル３と、前記カートリ
ッジ２及び調整ダイヤル３を取り付けるとともに遊びを
除去するための機構や精度を良好に保つための嵌合部品
等を内蔵したユニット本体４とからなるものである。

そして従来では、前記ユニット本体４の基端部をボーリ
ングバー等の工具本体５に穿設した取付孔６内に挿入す
るとともに、工具本体５に螺装した複数本の止ネジＩの
頭部をユニット本体４の先端外周部に突設した鍔部に係
合させて前記刃先調整装置を工具本体５に取り付けてい
た。

ところで、上記のような刃先調整装置に対してスローア
ウェイチップ１の交換を行う場合には、刃先調整装置自
体がスローアウェイチップ１の着脱機構を有しているた
め、通常、刃先調整装置を工具本体５に取り付けたまま
の状態でチップ交換を行ういわゆる機上セットが採用さ
れていた。

しかしながら、機上セットにおいては、例えば機械に設
けられた切屑飛散防止用のカバーがチップ交換作業の邪
魔になったり、作業者が不安定な状態での作業を強いら
れたりすることが往々にしてあった。

このため、スローアウェイチップ１を単に着脱するので
あればいざしらず、交換前後のスローアウェイチップど
うしの寸法差の分、刃先調整を行なう必要があるこの種
の機上セットにあっては、刃先位置の調整を精度高くか
つ迅速に行なうことが困難であった。

なお、機外セットを行なうために、工具本体５自体を機
械端から取り外し、予め刃先位置の調整を行った他の工
具本体と交換することが行なわれることもある。

ところが、機械端例えばスピンドル８と工具本体５との
間には各工具本体５毎に直角度、平行度、同芯度あるい
は円筒度等の精度上のバラツキが存在し、そのため例え
ば第２図に示すように工具交換をしてスピンドル８と工
具本体５との間に誤差εが生じた場合、加工寸法はＲ／
ｒとなり、しかもその差は工具長ｌに比例する。

したがって、上記のような刃先調整装置の取付構造にあ
っては、工具交換を行なう都度工具本体５とスピンドル
８との間の誤差を見込んで刃先位置の調整を行なわなけ
ればならず、しかもその操作は工具本体５をスピンドル
８から取り外して行なわなければならず、そのために刃
先位置の調整を精度高くかつ迅速に行なうことが困難で
あった。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、刃先調整装
置を工具本体から取り外ずしてスローアウェイチップの
機外セットを行うという新規な考え方に基づき、刃先調
整装置の工具本体に対する取付は構造を迅速交換が可能
な構造とすることにより、刃先位置の調整を精度高くか
つ迅速に行うことができるクイックチェンジ機構を提供
することを目的とする。

以下本考案の実施例を図面を参照して説明する。

なお、第１図と同一部分には図に同一符号を付してその
説明を省略する。

第３図乃至第５図において、ユニット本体４の上端部に
環状の鍔部４ａが半径方向へ突出して形成されており、
この鍔部４ａの上側に締緩用リング９が嵌装されている
。

この締緩用リング９は１対の花弁状突起９ａが半径方向
へ突出して形成されたものであって、前記ユニット本体
４の鍔部４ａの上側に回転可能に嵌装されるとともに、
止ピン１０で抜は止めされている。

一方、工具本体５に穿設された取付孔６の開口部側は、
基端部より大径に形成され、もしくは工具本体５の表面
に前記取付孔６の基端部より大径の貫通孔が形成された
適宜の板状体を固着することにより大径に形成されてい
る。

そして、前記取付孔６の開口端には内径が前記締緩用リ
ング９の外径とほぼ等しい鍔部６ａが半径方向内周側へ
突出して形成されており、この鍔部６ａに前記花弁状突
起９ａと緩嵌合するｌ対の花弁状切欠部６ｂが形成され
ている。

さらに、花弁状切欠部６ｂが形成されることにより分断
された前記鍔部６ａは、その下面が第５図に示すように
前記花弁状切欠部６ｂから円周方向へ向かうに従って漸
次下方へ降下するように形成され、斯くして前記鍔部６
ａの下面は前記花弁状突起９ａを下方に押圧するための
傾斜面６Ｃとされている。

なお、図中１１は前記取付孔６の開口部側を大径とする
ことによって形成された基準面６ｄとここに接する前記
ユニット本体４の鍔部４ａの下面との間に配設された位
置決めピンであって、この位置決めピン１１でユニット
本体４の取付姿勢の再現性を保つと同時にユニット本体
４の回り止めをするようになされている。

また、図中１２は前記締緩用リング９を回動操作するた
めの着脱用工具（図示せず）を係止するための保合穴で
ある。

つぎに着脱手順を説明する。

まず、ユニット本体４に締緩用リング９を止ピン１０で
抜は止めして回転可能に嵌装するとともに、このユニッ
ト本体４にスローアウェイチップ１、カートリッジ２及
び調整ネジ３を図に示すように組み付けておく。

そして、ユニット本体４の鍔部４′ａと位置決めピン１
１との相互の位置及び締緩用リング９の花弁状突起９ａ
と取付孔６の花弁状切欠部６ｂとの相互の位置を合致さ
せて、上記のように組み付けられたユニット本体４を取
付孔６内に挿入する。

この場合、ユニット本体４は位置決めピン１１で位置決
めされると同時に回り止めされ、また締緩用リング９の
花弁状突起９ａは花弁状切欠部６ｂを通過して取付孔６
の開口端部に突出形成した鍔部６ａの下側に位置してい
る。

しかる後、締緩用リング９を適宜の着脱用工具で第４図
における反時計方向へ回せば、その花弁状突起９ａが前
記鍔部６ａの下側へ入り込んで傾斜面６Ｃに接触し、締
緩用リング９を更に回せばその花弁状突起９ａは傾斜面
６Ｃのクサビ作用で下方に押圧され、その結果ユニット
本体４はその鍔部４ａが取付孔６の基準面６ｄに圧接さ
れることにより取付孔６内すなわち工具本体５に固定さ
れる。

なお、スローアウェイチップ１の刃先位置の調整につい
ては、スローアウェイチップ１と刃先調整装置との間で
予め行なっておく。

この場合、ユニット本体４の鍔部４ａの下端面からスロ
ーアウェイチップ１の刃先までの寸法調整を行うように
すればよい。

スローアウェイチップ１を交換あるいは再研削するため
に上記構成の刃先調整装置を工具本体から取り外す場合
は、上述した操作と逆の操作を行なえばよい。

なお、以上の説明から明らかなように、スローアウェイ
チップ１の刃先位置の調整は、刃先調整装置を工具本体
５から取り外ずした状態の機外セットで行なうのである
から、容易にかつ精度よく行うことができる。

しかも、工具本体５をスピンドルから取り外す必要がな
いから、工具本体５とスピンドルとの間の誤差を特に考
慮する必要がなく、刃先位置の調整をより一層精度よく
行うことができる。

その上、刃先調整装置は単なる回動操作によって工具本
体５に対する着脱を行うことができるから、たとえ切屑
飛散防止用カバーが邪魔になったり、作業者が不安定な
状態での作業を強いられたとしても、その着脱を迅速に
行うことができる。

以上説明したように本考案によれば、ユニット本体に、
花弁状突起が形成された締緩用リングを回転自在に嵌装
腰この締緩用リングを回動することによりその花弁状突
起を取付孔の開口端部に突設した鍔部の下側に入り込ま
せてその下部傾斜面で押圧し、斯くしてユニット本体を
取付孔内に挿入した状態で工具本体に固定するように構
成したから、スローアウェイチップの刃先位置の調整は
、刃先調整装置を工具本体から取り外ずした状態の機外
セットで行うことができ、しかも工具本体を機械から取
り外す必要がないから、工具本体と機械との間の誤差を
特に考慮する必要がなく、これら両者が相俟って刃先位
置の調整を容易にかつ精度よく行うことができ、その上
刃先調整装置の工具本体に対する着脱を単なる回動操作
で行うことができるから、それを迅速に行うことができ
る。

これによって、スローアウェイチップ交換の際の刃先位
置の調整を精度よくかつ迅速に行うことができる。

さらに本考案によれば、部品点数が少なく構成が簡単で
あるから、各部品間の累積誤差が生じることがなく、し
たがって精度を極限まで高めることができ、またユニッ
ト本体を規格化するとともに精度良く加工することによ
り、ユニット本体の互換性を高めることができ、それ故
工具本体を工作機械に取り付けたままでユニット本体の
着脱を行なうことができることと相まって、刃先調整装
置付スローアウェイ工具自体の維持管理を簡素化でき、
そしてまた工具本体を機械から取り外す必要をなくした
ことにより、工具本体の予備本数を少なくすることがで
きるから、ランニングコストの低減化を図ることも可能
である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の刃先調整装置の取付状態を示す縦断面図
、第２図は工具本体の取付誤差と刃先位置の誤差との関
係を゛示す説明図、第３図は本考案の一実施例を示す縦
断面図、第４図はその平面図、第５図は第４図の■−Ｖ
線矢視断面図である。 １・・・・・・スローアウェイチップ、２・・・・・・
カートリッジ、３・・・・・・調整ダイヤル、４・・・
・・・ユニット本体、４ａ・・・・・・鍔部、５・・・
・・・工具本体、６・・・・・・取付孔、６ａ・・・・
・・鍔部、６ｂ・・・・・・花弁状切欠部、６Ｃ・・・
・・・傾斜面、９・・・・・・締緩用リング、９ａ・・
・・・・花弁状突起。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. スローアウェイチップが装着されたカートリッジを調整
   ダイヤルを介して進退自在に取り付けたユニット本体を
   、工具本体に穿設した取付孔に挿入、固定した刃先調整
   装置付スローアウェイ工具において、前記ユニット本体
   の上端部に鍔部を形成するとともに該鍔部の上側に半径
   方向へ突出する花弁状突起が形成された締緩用リングを
   抜は止めして回転可能に嵌装し、また前記取付孔の開口
   端部に半径方向内周側へ突出する鍔部を形成するととも
   に該鍔部に前記花弁状突起と緩嵌台する花弁状切欠部を
   形成し、さらに該花弁状切欠部を形成することにより分
   断された前記鍔部の下面を、前記花弁状切欠部から円周
   方向へ向かうに従って前記ユニット本体の下端側へ漸次
   降下させ、前記花弁状突起を押圧するための傾斜面とし
   たことを特徴とする刃先調整装置付スローアウェイ工具
   のクイックチェンジ機構。