JPS6216264Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はマシニングセンタにより加工物の隅部
に溝入れ加工する溝入れ工具に関する。

加工物の段部の隅部に溝入れ加工する場合、そ
の段部の加工と溝入れ加工とは一般に機械を異に
した別工程で行なわなければならない。そのた
め、段取工数が多く経済的でない。

本考案はこの点に鑑み開発されたもので、マシ
ニングセンタにより、通常の主軸位置決め装置で
主軸を一定位置に固定し、工具を回転することな
く、軽切削の溝加工を行うようにし、もつて段取
り工数が削減され、かつ作業性が向上する溝入れ
工具を提供しようとするものである。

以下本考案を図面に示す具体例によつて説明す
ると、第１図および第２図は本考案の基礎的構造
部分の説明であり、１は竪向きの主軸、２は主軸
頭で、主軸１の基端部にはナツト３およびキー４
により固定板５が固定されている。固定板５に
は、周方向二個所に係合溝６，６′が形成され、
その一つに本体に固定されたシリンダ７のロツド
である位置決めピン８が嵌入係合している。これ
によつて、主軸１が周方向に固定されている。す
なわち、シリンダ７の流体圧切り換えにより、主
軸１の工具交換位置での固定および解除が行なわ
れる。

主軸１にはシヤンク９が取付けられており、こ
のシヤンク９には自動工具交換装置（以下ATC
と呼ぶ）把持部９ａが形成されている。シヤンク
９の先端中央の孔には、バイトホルダー１０の嵌
入ロツド部１０ａが挿嵌され、固定ボルト１１，
１１により固定されている。１２は加工物で、そ
の段部の隅部に対して45度方向の溝入れ加工を行
うために、バイトホルダー１０に斜め下方に張り
出すバイト１３が固定されている。バイト１３の
固定には、バイトホルダー１０の溝部１０ａにバ
イト１３の本体部１３ａが挿入され、その挿入部
を固定ボルト１４，１４により押圧して固定が行
なわれている。

このような竪型のマシニングセンタでは、前工
程の加工が終了し、本考案の溝入れ工具を自動工
具交換装置により主軸１に挿嵌した後主軸位置決
め位置により加工開始点が設定されるとともに、
シリンダ７の位置決めピン８が後退位置から進出
して固定板５の係合溝６に嵌入して主軸１の固定
が図られる。すなわち、溝入れ工具は位置が固定
されこの状態のまま主軸１全体は直線移動して、
すなわち紙面方向に移動して、加工物１２に対し
てバイト１３により溝入れ加工を行う。加工物１
２の他の隅部（第１図仮想線で示す）の加工に際
しては、主軸１が軸周りに180度に回転して、他
の係合溝６′に位置決めピン８が嵌入して主軸１
の固定が図られた後、逆方向に直線移動して加工
が行なわれる。

主軸１の位置決め固定は、第３図に示す方式を
採つてもよい。すなわち、シヤンク９にナツト１
５およびキー１６により固定部１７ａが環状でそ
こから主軸頭２に向つてＬ字状に延びるステー１
７を固定し、主軸頭２にボルト１８により固定さ
れた孔部１９ａを有する係合部材１９を設け、ス
テー１７の先端を孔部１９ａに係合嵌入して主軸
１の固定を図つてもよい。

一方、第４図〜第６図に示す構造は、本考案の
要旨となるものであり、特徴ともなるものであ
る。

すなわち、バイトホルダー１０′をバイトが着
脱自在となるよう構成し、かつ傾斜させたもので
ある。この構造においては、十字状のバイトホル
ダー１０′の上面には十字状の突起部１０′ａが形
成され、この突起部１０′ａがシヤンク９の溝部
９ａに係合され、円筒部材２０内を貫通してシヤ
ンク９まで螺入された固定ボルト２１により主軸
１の軸線に対して傾斜して固定されたものであ
る。そしてバイトホルダー１０′の各突出部には
バイト１３が配され側方から螺入される止めボル
ト２２により止め付けられている。

溝入れ加工は、一つのバイトにより行なわれ、
そのバイトが摩耗等により交換を要する場合に
は、固定ボルト２１が緩められ、突起部１０′ａ
がシヤンク９の溝部９ａから外され、バイトホル
ダー１０′が円筒部材２０を回転軸として90度ま
たは180度回転され、他の新しいバイト１３を再
び加工対象部に位置合わせされた後、加工が再開
される。したがつて、バイトの交換作業性が向上
する。ここで、突起部１０′ａはシヤンク９の溝
部９ａに嵌入係合されるので、切削力の受けとし
て機能するとともに、バイト１３の加工対象部へ
の位置合せ機能をも果す。またバイトホルダー１
０′を上記のように傾斜させておくと、切削中以
外の他の交換用バイトを加工物１２の表面から逃
がすことができるから、交換用バイトによる加工
物１２の表面への疵付けを防止できる。

他方、加工物への溝入れ加工としてはバイトの
形状を工夫することにより、第７図の加工物１２
に対し右方に示す例のように、バイト１３Ａによ
り上向き溝入れ加工したり、左方に示すように、
バイト１３Ｂにより横方向の溝入れ加工すること
も容易にできる。

また、第８図のように、バイトホルダー１０に
その対向（反対）位置に二つのバイト１３，１３
を取付けて、主軸１の位置決めはそのままに、一
方の溝入れ終了後矢印方向へ主軸１を移動し、戻
り工程で他方のバイト１３により溝入れ加工を施
せば、加工物１２′に２個所の溝加工部１２′ａ，
１２′ａを形成することができる。従つて、主軸
の位置決め動作が一回で済むので、作業時間の短
縮が図られる。また、第１図および第２図の説明
で触れたように、二つの係合溝６，６′を形成し
て、バイト１３を180度回転させる方法を採つて
も良い。この場合、左方の溝入れ加工終了後、他
方の係合溝６′を介して位置決めし、戻り工程の
送りで右方の溝加工を行う。

以上の通り、本考案は、バイトホルダーが回転
部材を回転軸として90度または180度回転させる
ことができるので摩耗したバイトと新しいバイト
の交換を極めて迅速に行うことができ、またバイ
トホルダーが主軸に対して傾斜させているので切
削用以外の他の交換用バイトを加工物の表面から
逃がすことができるから、交換用バイトによる加
工物の表面への疵付けを防止できる。また更に主
軸に取付けられたシヤンクにバイトホルダーを固
定し、主軸を固定してバイトを回転することなく
直線移動するようにしたから、軽切削の溝入れ加
工を行う場合、従来別工程で行つていた溝入れ加
工を、同一工程で加工でき、簡単な方法で段取り
工数を大幅に削減できる。またシヤンクATC把
持部を形成したので、シヤンク、バイトホルダー
およびバイトがATC工具として同一に使用で
き、回転切削と同様に扱うことができるから、通
常の自動運転で済み、マシニングセンタの作業性
を損わず、きわめて便宜である。さらに構造的に
簡素で、バイトの変更ひとつで種々の態様の加工
を行うことができる。

以上実施例として竪形のマシニングセンタでの
作業を説明したが横形マシニングセンタにおいて
も同様に行うことが可能である。即ち水平に保持
された主軸が上下に摺動することにより加工物の
上下方向の溝入れ作業ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る工具の正面図、第２図は
その横断面図、第３図は主軸の固定態様例を異に
する要部正面図、第４図は交換自在のバイトホル
ダー例の一部破断正面図、第５図は−線矢視
断面図、第６図は−線矢視断面図、第７図お
よび第８図は態様を異にする溝入れ加工例の正面
図である。 １……主軸、２……主軸頭、５……固定板、
６，６′……係合溝、７……シリンダ、８……位
置決めピン、９……シヤンク、１０，１０′……
バイトホルダー、１２，１２′……加工物、１
３，１３Ａ，１３Ｂ……バイト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 主軸定位置停止機構を有するマシニングセンタ
   の主軸に取付けられる溝入れ工具に於いて、工具
   交換用の把持部を有し、先端に主軸軸線に対して
   傾斜するように割出し位置決め用の凹凸係合部を
   有するシヤンクと、該シヤンクの凹凸係合部と噛
   合する凹凸係合部を有し外周に向けて複数のバイ
   トを保持するバイトホルダーと、該バイトホルダ
   ーを前記シヤンクに取外し自在に設ける取付け手
   段とから構成されるマシニングセンタの溝入れ工
   具、