JP5266372B2 - 切削工具、切削加工装置および切削加工方法 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、切削加工装置の主軸等に取付けられて、回転しながら被加工物を切削する回転工具であって、円孔の開口部の周縁に傾斜した面取り部分を形成する面取りナイフと、段付孔の孔内部の平坦面を形成するための平削りナイフとを有する回転工具が開示されている。
切削加工の際、工具本体を回転させながら被加工物に押し当てる。まず、工具本体に固定された平削りナイフによって段付孔の平坦面の切削が行われる。そして、工具本体が平坦面を切削しながら所定の深さまで押しこまれると、平削りナイフよりも後方に固定された面取りナイフによって開口部の周縁が面取りされる。
このように、特許文献1の回転工具を使用すれば、一つの回転工具により段付部の平坦面の形成と、開口部の周縁のバリ取りとが行われるようになっている。
なお、切削工具をその中心軸まわりに回転させずに、被加工物を回転させることで、バイトの刃先を被加工物に対向させても、同様の効果が得られる。
また、X軸移動機構、Y軸移動機構およびZ軸移動機構により、テーブルに載置された被加工物と回転移動機構に支持された切削工具とを三次元方向へ相対移動させる三次元相対移動機構が構成される。
このように、本発明の切削加工装置によれば、被加工物に溝条部または突条部を平削り加工する際に、1つの切削工具で複数の平削り加工を実施することができるとともに、使用するバイトを容易に変更できるので、加工作業の簡略化を図ることができる。
この構成によれば、テーブルを回転させる回転移動機構を備えているので、テーブルを回転させることで、使用するバイトに容易に変更することができ、前述の切削加工装置と同様の効果を得ることができる。
そして、複数のバイトが中心軸に直交する複数の平面上に分かれて配置されているので、各バイトの取付部も中心軸方向に互いにずれた位置に配置することができ、工具本体の中心軸に直交する方向の外径寸法を小さくすることができる。例えば、切削工具を貫通孔に挿入させて切削加工する際に、比較的小さな貫通孔にも挿入させることができるので、切削可能な被加工物の対象範囲を広げることができる。
図1から図5に示す第1実施形態は、本発明には含まれないが、本発明の前提となる技術であり、本発明である第2実施形態の説明では、第1実施形態との相違に基づいて説明を行う。
なお、後述する第2実施形態以降において、以下に説明する第1実施形態での構成部材と同じ構成部材および同様な機能を有する構成部材には同一符号を付し、説明を簡単にあるいは省略する。
<切削加工装置の構成>
図1は、本発明には含まれないが本発明の前提となる切削加工装置の実施形態を示す正面図である。
切削加工装置は、図1に示すように、NC装置などの制御装置20により制御される加工装置であって、ベース1と、このベース1上に前後方向(Y軸方向)へ移動可能に設けられ上面にワーク(被加工物)Wを載置するテーブル2と、ベース1の両側に立設された一対のコラム3,4と、この両コラム3,4の上部間に掛け渡されたクロスレール5と、このクロスレール5に沿って左右方向(X軸方向)へ移動可能に設けられたサドル6と、このサドル6に上下方向(Z軸方向)へ昇降可能に設けられたラム7と、このラム7の下端に設けられ主軸8を回転自在に支持する主軸頭(回転移動機構)9と、を備える。
切削加工装置は、主軸8に着脱自在に取り付けられた切削工具10によって、ワークWの被加工面Waを平削り加工して所定の溝条部を形成するためのものである。なお、X軸、Y軸、Z軸は互いに直交している。
また、ベース1には、切削工具10を予備の切削工具30あるいは異なる形状のバイトを有した切削工具に交換するための工具スタンド40が設けられており、X軸移動機構51およびZ軸移動機構61により主軸8を、工具スタンド40に接近させて、例えば、使用中の切削工具10と工具スタンド40の切削工具30とを容易に交換できるようになっている。
制御装置20は、主軸頭9およびX軸移動機構51、Y軸移動機構21、Z軸移動機構61を制御する制御手段を構成している。
図2、図3は、切削工具10を示す正面図、および、上方から見た横断面図である。
切削工具10は、図2に示すように、主軸8(図1参照)に固定された状態で回転軸C1と一致する中心軸Pを有する工具本体11と、中心軸Pまわりに90度の中心角で放射状に配置された4本のバイト12と、工具本体11の基端に形成されたテーパシャンク13と、を含んで構成されている。4本のバイト12は、第1バイト12A、第2バイト12B、第3バイト12Cおよび第4バイト12Dからなり、中心軸Pに直交する1つの平面上に配置され、工具本体11の先端(図中下端)の外周に固定されている。
第2バイト12Bは、端縁が円弧状に形成されたチップ122Bを有した円弧バイトであり、ワークWに円弧溝を形成する際に用いられる円弧バイトである。円弧状の端縁を有するチップ122Bは、バイト本体121Bの長手方向に直交する幅方向に沿って、円弧状の端縁が外向きとなるように配置されている。
第4バイト12Dは、四角柱状のチップ122Dを有し、溝条部の左側の内側面を切削加工する際に用いられる左側面バイトである。四角柱状のチップ122Dは、バイト本体121Dの長手方向に沿って、第3バイト12Cのチップ122Cとは反対側に配置されている。
切削加工装置を用いてワークWを平削り加工する切削加工方法について、図4および図5を用いて説明する。本実施形態では、図4に示すように貫通する円形孔Wbを有したワークWを用いて、この円形孔Wbの内側面を被加工面Waとして、被加工面Waにスプライン溝(溝条部)Wcを形成する場合について例示する。
図4、図5は、切削工具10を使用した切削加工方法を説明する縦断面図、および、上方から見た横断面図である。
第1加工手順S2では、まず、工具移動手順S21にて、三次元相対移動機構(X軸移動機構51、Y軸移動機構21、Z軸移動機構61)により、切削工具10を初期位置から被加工面Waの加工開始位置まで移動させる。
次に、バイト位置決め手順S22にて、第1バイト12Aのチップ122Aが被加工面Waに対向するように、主軸頭9により切削工具10を中心軸Pまわりに回転させて、第1バイト12Aを位置決めする。
そして、切込量調整手順S23にて、三次元相対移動機構により切削工具10を移動させて、第1バイト12Aのチップ122Aの被加工面Waに対する切込量を調整する。
次に、平削り加工手順S24にて、Z軸移動機構61により切削工具10を回転軸C1方向に移動させて、被加工面Waを平削り加工する(図4参照)。ここでは、第1バイトを被加工面Waに沿って上部から下部に向かって移動させる際に、被加工面Waが平削り加工される。なお、図5(A)に示すように、切削加工するスプライン溝Wcの幅寸法がチップ122Aの幅寸法より大きい場合には、所定の溝幅が得られるまで平削り加工手順S24を繰り返し実施すればよい。
最後に、退避手順S25にて、第1バイト12Aを被加工面Waから退避させて、第1加工手順S2が終了し、被加工面Waが粗加工され、四角溝が形成される。
なお、第2加工手順S3では、円弧バイトである第2バイト12Bにより、四角溝の溝底が円弧状に切削加工され(図5(B)参照)て、被加工面Waに円弧溝が形成される。このように、第2加工手順S3ではスプライン溝Wcの溝底の仕上げ加工が実施される。
また、第3加工手順S4および第4加工手順S5では、右側面バイトである第3バイト12Cおよび左側面バイトである第4バイト12Dにより、円弧溝の左右の内側面が仕上げ加工される(図5(C)、図5(D)参照)。
本実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
(1)切削工具10が4本のバイト12A〜12Dを備え、各バイトのチップ122A〜122Dの形状が互いに異なっているので、4本のバイト12A〜12Dによる第1加工手順S2から第5加工手順S5を組み合わせれば、1つの切削工具10で所定の形状のスプライン溝Wcを形成することができる。
次に、本発明の実施形態である第2実施形態に係る切削工具について図6に基づいて説明する。本実施形態は、前述した第1実施形態の構成を基に、切削工具におけるバイトの配置を変化させたものである。
図6は、本実施形態の切削工具10Aを示す正面図である。切削工具10Aは、前述の第1実施形態の切削工具10に対して4本のバイト12A〜12Dの配置構成が相違するもので、その他の構成は略同様である。すなわち、切削工具10Aは、工具本体11Aと、4本のバイト12A〜12Dと、テーパシャンク13と、を備えている。
(5)4本のバイト12A〜12Dが中心軸Pに直交する複数の平面上に分かれて配置されているので、各バイト12A〜12Dの取付部も中心軸方向に互いにずれた位置に配置することができ、工具本体11Aの中心軸Pに直交する方向の外径寸法を小さくすることができる。例えば、切削工具10Aを貫通孔に挿入させて切削加工する際に、比較的小さな貫通孔にも挿入させることができるので、切削可能なワークWの対象範囲を広げることができる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本発明の切削工具を使用して被加工面に形成される溝条部としては、図8(A)に示すセレーション溝Weでもよい。また、これらの溝条部に限らず、図7(B)、図8(B)に示す突条部を形成する際にも本発明の切削工具を利用できる。突条部としては、図7(B)のスプライン軸のスプラインWdや、図8(B)のセレーション軸のセレーションWfなどが例示される。スプライン軸やセレーション軸は、比較的大きなトルクを伝達する際に用いられ、ボスを軸に固定する場合などに用いられる。なお、溝条部としては、キー溝、ダブルキー溝、外径溝などであってもよい。
9…主軸頭(回転移動機構)
10A…切削工具
11A…工具本体
12…複数のバイト
12A…第1バイト
12B…第2バイト
12C…第3バイト
12D…第4バイト
21…Y軸移動機構
51…X軸移動機構
61…Z軸移動機構
122A,122B,122C,122D…チップ(刃先)
C1…主軸の回転軸
C2…テーブルの回転軸
P…切削工具の中心軸
W…ワーク(被加工物)
Wa…被加工面
Wc…スプライン溝(溝条部)
Wd…スプライン(突条部)
We…セレーション溝(溝条部)
Wf…セレーション(突条部)。
Claims (4)
- 中心軸を有する工具本体、および、前記中心軸まわりに放射状に配置されて前記工具本体に固定される複数のバイト、を備え、被加工物を平削り加工して所定の溝条部または突条部を形成する切削工具であって、
前記複数のバイトは、互いに異なる形状の刃先を有し、かつ前記中心軸に直交する複数の平面上にそれぞれ配置されており、
前記工具本体は、前記各刃先を所定の順番で前記被加工物に対向させるために、前記中心軸まわりの回転方向において位置決めされ、
前記被加工物に対向された前記刃先は、前記被加工物に切り込まれた状態で、前記中心軸に沿って移動され、前記被加工物を前記中心軸に平行に平削り加工することを特徴とする切削工具。 - 請求項1に記載の切削工具を有し、被加工物を平削り加工して所定の溝条部、または、突条部を形成する切削加工装置であって、
前記被加工物を載置するテーブルと、
前記中心軸と前記被加工物の被加工面とが平行となるように前記切削工具を支持し、前記切削工具を前記中心軸まわりの回転方向において位置決めする回転移動機構と、
X軸方向へ前記テーブルおよび前記回転移動機構を相対移動させるX軸移動機構と、
前記X軸に直交するY軸方向へ前記テーブルおよび前記回転移動機構を相対移動させるY軸移動機構と、
前記X軸および前記Y軸に直交するZ軸方向へ前記テーブルおよび前記回転移動機構を相対移動させるZ軸移動機構と、を含んで構成され、
前記各刃先は、所定の順番で、前記被加工面に対向され、前記被加工面に切り込まれた状態で、前記被加工面に対して前記中心軸方向に相対移動され、前記被加工面を平削り加工することを特徴とする切削加工装置。 - 請求項1に記載の切削工具を有し、被加工物を平削り加工して所定の溝条部、または、突条部を形成する切削加工装置であって、
前記被加工物を載置するテーブルと、
前記中心軸と前記被加工物の被加工面とが平行となるように前記切削工具を支持する工具支持部と、
X軸方向へ前記テーブルおよび前記工具支持部を相対移動させるX軸移動機構と、
前記X軸に直交するY軸方向へ前記テーブルおよび前記工具支持部を相対移動させるY軸移動機構と、
前記X軸および前記Y軸に直交するZ軸方向へ前記テーブルおよび前記工具支持部を相対移動させるZ軸移動機構と、
前記テーブルを前記中心軸に平行な回転軸まわりに回転自在に支持し、前記回転軸まわりの回転方向において位置決めする回転移動機構と、を含んで構成され、
前記各刃先は、所定の順番で、前記被加工面に対向され、前記被加工面に切り込まれた状態で、前記被加工面に対して前記中心軸方向に相対移動され、前記被加工面を平削り加工することを特徴とする切削加工装置。 - 被加工物を平削り加工して所定の溝条部、または、突条部を形成する切削加工方法であって、
中心軸を有する工具本体、および、前記中心軸まわりに放射状に配置されて前記工具本体に固定されるとともに互いに異なる形状の刃先を有しかつ前記中心軸に直交する複数の平面上にそれぞれ配置された複数のバイト、を備えた切削工具を用いて、
前記中心軸と前記被加工物の被加工面とが平行となるように前記切削工具を支持して、
前記各刃先を所定の順番で前記被加工面に対向させるために、前記切削工具を前記中心軸まわりの回転方向において位置決めし、または、前記被加工物を前記中心軸に平行な回転軸まわりの回転方向において位置決めして、
前記被加工面に対向された前記刃先を前記被加工面に切り込ませた状態で、前記被加工面に対して前記中心軸方向に相対移動させて、前記被加工面を平削り加工することを特徴とする切削加工方法。
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