JP2512793B2 - 昇降機のテ―ルコ―ドの制振装置 - Google Patents

昇降機のテ―ルコ―ドの制振装置

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JP2512793B2 JP29940788A JP29940788A JP2512793B2 JP 2512793 B2 JP2512793 B2 JP 2512793B2 JP 29940788 A JP29940788 A JP 29940788A JP 29940788 A JP29940788 A JP 29940788A JP 2512793 B2 JP2512793 B2 JP 2512793B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は昇降機のテールコードの制振装置に関する。
〈従来の技術〉 昇降機では、昇降路内を上下に昇降する篭と昇降路壁
との間には、制御線や電力線などの配線をする必要があ
るので、テールコードと呼ばれこれらの制御線や電力線
を束ねて編組した構成のコードが、篭と昇降路壁との間
に篭の昇降行程の半分よりやや長く懸垂架設されてい
る。このテールコードは、狭くて長い昇降路の中で、両
端を篭側と昇降路壁側で支持されて自重で垂れ下がって
いる。
このため、強い張力で両端を張られ支持されている主
ロープや重量補償ロープに比較して、張力が弱いので揺
動の左右振動数が低く、地震や台風で建物が揺れた時に
超高層ビルの固有振動数と共振し、低周期、大振幅で揺
れ易く、昇降路の壁面などと衝突し易い。
このようになると、他の機器や部材にテールコードが
絡みつくことがあり、絡みついたままの状態で昇降機を
運転すると重大事故が発生するおそれもある。テールコ
ードの場合は、主ロープなど他の条件に比して固有振動
数が低いので、1次のモードの固有振動数の外に、高次
のモードの振動が建物の固有振動数と共振することが多
く、問題が特に複雑である。
これに対して、地震等の振動を吸収するために防振ゴ
ムを担体と被担体との間に挿入することが行われている
が、加振振動の周期が長い場合には、これに対応して防
振ゴムのばね定数を低くすることが困難で、完全に振動
を吸収することは出来ない。
本願の発明者は、この問題を解決するために、鉄道車
輌等で取り入れられ、浮動懸架機構で水平方向に揺動出
来るように車体を台車から懸架し、ばね定数の低いばね
復心力を与え、且つ台車と車体の水平相対運動に制動力
を与えるダンパーを設ける方式にヒントを得て、特開昭
55-94045号公報及び特開昭57-124145号公報で新しい形
の制振装置を提案している。
しかし、その後の試験研究の結果、テールコードのよ
うに両端を支持して重力でU字型に垂らした条件の浮動
懸架では、次のような問題を解決する必要のあることが
明らかとなつた。
(1) 鉄道車輌等に用いられている浮動懸架機構の目
的は、車輌走行時に蛇行振動をする台車から受ける揺動
加速度の伝達を遮断吸収することにある。このために、
一般に復心装置のばね定数はやや高目にし、余り大きな
振幅では揺れないように安全な設計がなされている。
これに対して、テールコードの浮動懸架機構の目的は
建物が低周期、大振幅で揺れても条体が昇降路壁面に衝
突するほどの大振幅で揺れないようにすることにある。
このように、制振装置により抑制すべき対象は、車輌の
場合のように負荷の加速度ではなく振幅である。
このためには、復心力を出来るだけ小さくして揺動支
点を動き易くすることが必要であるが、一方で復心力を
極端に小さくすると、中立位置に戻りにくくなるので、
復心力を適正な範囲に保つことがテールコードの浮動懸
架機構の場合には特に重要である。
(2) 鉄道車輌等の浮動懸架機構の被担体である車体
に対する加振力は、浮動懸架機構から一方的に伝達され
る。
これに対して、テールコードの懸架では両端を別の位
置で個別に支持している。この両方の支持端に対して浮
動懸架機構を設けることが困難で、一端だけを浮動懸架
機構で支持する場合が多いので、浮動懸架機構を採用し
ていない方の支持点から、地震等の揺れがテールコード
に伝わつてしまうことが避けられない。
エレベータのテールコードの両端の支持点の一方だけ
に浮動懸架機構を採用した試験設備で、テールコードの
波動伝播現象を観測した結果では次の現象が認められ
た。
即ち、テールコードの一端を揺つてテールコードに発
射した横波は、テールコードの長手方向に伝播して他端
に至りその浮動懸架機構で反射され元の方向に戻つて来
る。この反射の際には、一部の波動エネルギーが消耗さ
れるので、反射された波は減衰してかなり小さくなる。
このように、浮動懸架機構は、本来の機能である担体
から被担体への振動伝達の遮断吸収作用に加えて、前記
の反射率を下げるという重大な作用をも果たしている。
また、地震による建物の揺れがおさまつた後のテールコ
ードの自由振動の自然減衰の際に果たす浮動懸架機構の
ダンピング作用は、この入射波に対する反射波の反射率
を上げることによつて向上する。このためには、テール
コードから浮動懸架機構へ入射する波に追従して、浮動
懸架機構が容易に振動でき、しかも適度な制動抵抗を有
することが特に重要である。
この場合、復心力と制動力の何れもが過大であると、
浮動懸架機構の揺動支点をロツクしてしまい、テールコ
ードは揺動しているにも拘らず揺動支点は固定支点と同
じことになつてしまう傾向がある。
(3) 鉄道車輌の場合は、浮動懸架機構の被担体であ
る車体は一体の剛体である。浮動懸架機構において揺動
支点に作用させる制動力を極端に強くすると、揺動支点
は拘束されてしまい固定支点と同じになるので、振動の
遮断吸収効果が発揮できなくなる。
しかし、鉄道車輌の浮動懸架機構の例に見るように、
車体の揺動の減衰に時間がかかつて不安定になることを
避け、路面からの振動の遮断吸収効果を若干犠牲にして
も、制動力をやや強めに設定し、所謂ダンピングのよく
効いた設計が良いとされている。この結果、一般に自由
振動の減衰率は30%を越すようになつている。
これに対して、テールコードが被担体である場合に
は、テールコードは全体が一体になつて動く剛体ではな
く、任意の位置で曲がることが出来る。
換言すると、一次のモードの揺動波形の外に2次、3
次、4次……n次の高次のモードで振動をすることが出
来るという独特の性質がある。
このために、制動抵抗を大きくしたり、復心力を強く
したりすると、揺動支点が拘束された固定支点としての
挙動をし易い。特に、制動力をクーロン摩擦で与える場
合には、制動力を極端に小さくしないと揺動支点の動き
が断続的に停止し、ぎくしやくとした付帯的自振振動を
誘起し易い。
この結果、テールコードは高次の振動が誘発され、テ
ールコード全体として大変複雑な振動をするようになる
と共に、一次のモードの基本波も効果的に吸振されなく
なつてしまう。
以上のことは、建物から浮動懸架機構を介してテール
コードに揺動が伝わる場合と、テールコードから浮動懸
架機構に揺動波が入射する場合の何れの場合にも問題と
なる。
〈発明が解決しようとする課題〉 前述したように、テールコードを浮動懸架した場合に
特有の問題点が明かになつたが、これに加えてテールコ
ードを浮動懸架機構で支持して制振しようとするには、
次のような課題を解決する必要がある。
(1) テールコードの揺動は基本的には、張力を加え
た弦の横振動と同じで、振動エネルギーが波動伝播速度
でテールコードの長手方向に走り、固定支持端で反射さ
れながらテールコードの中を往復している。
この場合、波動伝播速度は弦の張力と密度の比の平行
根に比例するが、一般の弦では張力と密度がほぼ一定で
あるために、波動伝播速度が弦の全長にわたり、どの位
置でも一定である。
これに対して、昇降機のテールコードでは、両端を支
持され、U字型に自重で垂れ下がり懸架されているの
で、張力が場所によつて大きく異なつている。
即ち、テールコードの張力は最下部のU字型湾曲底部
で零であり、ここでは波動伝播速度は張力よりもテール
コードの部材の曲げ剛性で定まり、最も遅くなる。これ
に比して、テールコードの上部では、自重によつて張力
が大きくなるので、波動伝播速度ははるかに速くなる。
一般に、波がテールコードを伝播する場合に、その波
長は波動伝播速度に比例して伸縮するので、張力の小さ
なU字型湾曲部底部付近では波長は短くなる。然るに伝
播に際して一個の波形の中に貯えられている波動エネル
ギーは変化していないから、U字型底部でテールコード
の揺動の振幅は最大となる。
つまり、テールコードは下の方ほどよく触れるが、波
長は短いので拘束力を及ぼすことにより、ロツクされて
固定支点に転化し易い。そして、この現象は波動の周期
すなわち波長には関係無く生じる。
(2) テールコードは、篭側と昇降路壁側とで両端を
支持されているので、篭の昇降に併せてJ字型、U字
型、逆J字型に変形する。このために、両端の支持点の
荷重分担比率は篭の位置によつて大幅に変動する。
ここで、J字型とは釣り針型と呼んでもよいが、第2
図に示すように釣り針型のテールコードの釣り糸接続側
の先端を、浮動懸架機構で懸架する場合には懸垂負荷重
量は最大となる。
反対に第3図に示すように釣り針の尖つた針の側でテ
ールコードの先端を浮動懸架機構が懸架する場合には懸
垂負荷重量は最小となる。第2図の状態では、浮動懸架
機構の懸垂負荷が大きいので、当然大きい復心力がない
と中立位置が保ち難いが、第3図の状態では懸垂負荷が
小さいので小さな復心力で十分である。
このために、懸垂負荷重量が最大の条件に対応して選
定した最適復心力の大きさは、懸垂負荷重量が最小の条
件に対応して設定した最適復心力の大きさとしては過大
であるという特有の問題を生じる。
復心力が不必要に過大であると、振動伝達の遮断吸収
効果が損なわれるばかりでなく、テールコードが浮動を
しなくなるので、浮動懸架機構のエネルギー消耗作用が
発揮されなくなるのである。
また、制動力についても同様に懸垂荷重の大小に応じ
て増減した方が良好な制振効果が得られる。
本発明は、前述したようなこの種の制振装置の現状に
鑑みてなされたものであり、その目的は篭の昇降に伴つ
て浮動懸架装置の懸垂負荷重量配分が変化しても、常に
適正な復心力が得られ、振動伝達の遮断吸収作用を良好
に行い、揺動支点はテールコードの振れに垂直に追従し
て揺動し、入射波に対するエネルギー消耗作用を発揮
し、さらに浮動懸架装置の制動抵抗も最適値に自動的に
変化し、優れた制振動作を行う昇降機のテールコードの
制振装置を提供することにある。
〈課題を解決するための手段〉 前記目的を達成するために、本発明は昇降機の昇降路
内で、前記昇降機の篭と昇降路壁間に懸架されるテール
コードの前記篭側支持点と、前記昇降路壁側支持点との
少なくとも一方を、水平方向に揺動する浮動懸架装置で
懸架した昇降機のテールコードの制振装置において、前
記テールコードの篭側支持点は、篭に接続されるテール
コードの篭側接続部付近に設けられ、前記篭側接続部と
当該篭側支持点との間に位置するテールコードの篭側端
部を弾性変形可能に支持する点であり、前記昇降路側支
持点は、昇降路に接続されるテールコードの昇降路側接
続部付近に設けられ、前記昇降路側接続部と当該昇降路
側支持点との間に位置するテールコードの昇降路側端部
を弾性変形可能に支持する点であるとともに、前記浮動
懸架装置による揺動支点の案内軌跡を下方に凸な曲線と
し、この曲線の中立位置近傍の曲率半径を前記テールコ
ードの全長の1/20以上でこの全長の2倍以下に設定した
構成にしてある。
〈作用〉 前述のように、昇降機のテールコードでは、篭の位置
によつてテールコードの支持点からU型湾曲底部までの
距離が変化するので、懸垂負荷重量の配分も変化する
が、本発明では浮動懸架装置の復心力はばねではなく、
揺動軌跡の曲率半径と懸架重量によつて定まるので、復
心力は懸垂負荷重量配分の変化に応じて自動的に増減す
る。
また、本発明では特許請求の範囲に規定するように揺
動支点の軌跡曲線の曲率を規定しているので、浮動懸架
装置の懸垂負荷重量配分が最大である場合に適正な復心
力が得られるが、懸垂負荷重量配分が最小である場合に
は、発生する復心力は負荷に応じて減るので、過大な復
心力が発生することを防ぎ、常に適正な復心力が得られ
る。
このために、昇降機がどのような位置にある条件で
も、浮動懸架装置は振動伝達の遮断、吸収作用を良好に
行うと共に、振動支点はテールコードの振れに追従して
垂直に揺動をし、浮動懸架装置への入射波に対するエネ
ルギー消耗作用を半期する。
さらに、浮動懸架装置の往復動に対する摩擦抵抗も懸
垂負荷の配分の変化に応じて増減するので、制動抵抗も
自動的に最適値になるように増減する。
また、昇降機のテールコードの揺動の減衰に対して
は、空気の攪拌抵抗が実際問題として無視出来ない作用
を及ぼしているが、テールコードの両端の支点を固定し
たものや支点が動き難いものに比べて、本発明の構成の
ものは篭がどの位置にいる場合にも、浮動懸架装置の揺
動支点が効果的に往復動作をするので、テールコードの
揺動は両端を節としたモードではなく、両端付近まで空
気抵抗を受けながら揺動をするようになる。
このため、空気攪拌による揺動エネルギー消耗作用が
本発明の構成によつて篭の位置に拘らず、テールコード
の全長にわたり総合的に向上するという効果もある。
このような作用、効果は、仮想振子半径が浮動懸架装
置の案内軌跡曲線によつてのみ、ほぼ一義的に決定さ
れ、テールコードの懸垂重量配分によつて大きく支配さ
れない本発明の構成によつてのみ得られるものである。
〈実施例〉 以下、本発明の実施例を第1図を用いて詳細に説明す
る。
ここで、第1図は本発明の実施例の構成を示す斜視図
である。
同図に示すように、昇降路内に昇降自在に篭2が設け
られ、この篭2の上面には主ロープ4が取り付けられ、
下面には篭側ジヤンクシヨンボツクス8と、篭側レール
20とが固定されている。
この篭側レール20は図のY軸方向、即ち昇降路壁1と
直交する方向に延長配設され、そのレール面18は中央部
分が僅かに凹状に形成されている。
一方、昇降路壁1には昇降路側ジヤンクシヨンボツク
ス7が固定され、この昇降路側昇降路側ジヤンクシヨン
ボツクス7の下部において、昇降路壁1に昇降路側レー
ル19がブラケツト21により固定されている。
この昇降路側レール19は第1図のX軸方向、即ち昇降
路壁1と平行する方向に延長配設され、そのレール面17
は中央部分が僅かに凹状に形成されている。
前述のレール面17、18には、それぞれシヤトル13及び
シヤトル14がローラ15、16により移動自在に係合されて
いる。そして、外装被覆材内に複数本の多芯ケーブル
と、複数本の補強用のスチールコードが包み込まれてい
るテールコード3の両端付近で、外装被覆を裂いて剥ぎ
出されたスチールコード9、10が、それぞれシヤトル1
3、14に固定されている。
スチールコード9、10が剥ぎ出され、複数本の多芯ケ
ーブルのみが収容されているテールコード端部5、6
は、それぞれ昇降路側ジヤンクシヨンボツクス7と篭側
ジヤンクシヨンボツクス8とに固定されている。
前述のレール面17、18は、各々下方に向かつて第1図
では図示出来ない大きな曲率半径で凸な円弧形状に形成
され、レール面17、18の中央部分の凹状部の曲率半径r
と、テールコード3の全長Lの間には次式が成立する。
このように、レール面17、18の中央部が僅かに凹状部
となつているので、テールコード3に働く重力によつて
中心放光に復心力が発生するようになつている。
またテールコード3の両端付近のA点及びA′点で剥
ぎ出されたスチールコード9、10が、それぞれシヤトル
13、14に支点11、12で固定されているので、テールコー
ド3は支点11、12で全重量が支持され、テールコード端
部5、6はゆるみを持つていて張力は印加されていない
構成となつている。テールコード端部5、6の一端は、
それぞれ昇降路側ジヤンクシヨンボツクス7と篭側ジヤ
ンクシヨンボツクス8とに固定されているが、A地点及
びA′点部分は水平に揺動可能なので、テールコード3
が水平揺動するとテールコード端部5、6は弾性変形す
るようになつている。
そして、テールコード端部5、6は、多数本の絶縁電
線が撚り合わせられた多芯ケーブルなので、弾性変形の
際内部摩擦によるエネルギー損失が大きい構成となつて
いる。このため、テールコード3が揺動運動をすると、
テールコード端部5、6はこの運動に対して僅かながら
制動力を及ぼし振動エネルギーを消耗させるようになつ
ている。
また、テールコード端部5、6が有する弾性により、
A点及びA′点の水平揺動変位に対して僅かながら、ば
ね作用により復心力が与えられるようになつている。
このような構成の実施例において、昇降路側レール1
9、シヤトル13、篭側レール20及びシヤトル14が、浮動
懸架装置を構成している。
次に実施例の動作を説明する。
一般に、重さを無視出来る振子が、第1図に示すO0
又はO0′から吊るされていると考え、O1点又はO1
点で錘りとしてテールコードを吊るしたと考えた時に、
重力により得られる復心力がばね等により浮動懸架装置
に働いている復心力と等しいならば、このO0又はO0
を等価的仮想振子支持点と呼ぶ。この場合、O0又は
0′からO1点又はO1′点までの距離が仮想振子半径
Rである。
第1図に示すように、シヤトル13、14の軌道曲線に働
く懸垂荷重によつて発生する復心力と、テールコード端
部5、6のばね作用による復心力の両方が作用する場合
でも、同様の考え方で仮想振子半径を想定することが出
来る。
等化的仮想振子半径Rは長さのデイメンジヨンをもつ
ているので、テールコードの全長Lとの比をとり、この
比のR/Lで復心力の大きさを無次元化して表現すること
が出来る。
本発明の効果を得るには、揺動支持点に作用する復心
力を必要にして十分な値にすることが要件になるが、こ
の具体的な数値は設備の大小の規模によつて変わる。こ
の要件を無次元化して定義する必要があり、前記のよう
な表現法を採用したのである。
第1図において、テールコード端部5、6の曲げ剛
性、即ちばね作用によつて生じる復心力は、本発明の構
成要件を満たすものでは重力によつて発生する復心力よ
りも小さくなつている。この場合、ばね力を十分小にし
て無視すると、復心力は案内軌跡の曲率半径だけで定ま
り、この曲率半径が仮想振子の半径Rと一致する。
第1図に示す実施例では、テールコード3の昇降路壁
側の支点11にX軸方向に揺動する1次元浮動懸架装置を
採用し、篭側の支点12にY軸方向に揺動する1次元浮動
懸架装置を採用している。
従つて、地震、台風により建物が水平方向に揺動する
と、昇降路壁1と篭2の両方が水平に揺動するが、この
各々に設けた前記の1次元浮動懸架装置で、その1次元
方向の揺動だけがテールコード3に伝達されないように
遮断吸収される。
即ち、昇降路側ではX軸方向の揺動だけが遮断され、
Y軸方向の揺動はテールコード3に伝達され、篭2側で
はY軸方向の揺動だけが遮断され、X軸方向の揺動はテ
ールコード3に伝達される。
昇降路側からテールコード3に伝達されたY軸方向の
揺動は、横波としテールコード3の長手方向に伝わり篭
2側に達するが、ここにはY軸方向に揺動する浮動懸架
装置があるので、テールコードの揺動に追従して揺動支
点が働く。
ここに、装置の摩擦抵抗やテールコード端部5、6の
変形抵抗のヒステリシス等により、適正な大きさの制動
力が作用しているので、揺動エネルギーが消耗される。
消耗されなかつた残りのエネルギーは、テールコード3
の方に反射されるが、反射率は1よりも小になつてい
る。
篭2側からテールコード3に伝達されたX軸方向の揺
動エネルギーについても、同様にして反対側の昇降路壁
の浮動懸架装置で消耗される。
試験研究の結果によると、地震等による建物の揺れの
テールコード3への伝達を、浮動懸架装置が遮断吸収す
る作用及び揺れているテールコード3から浮動懸架装置
に入射する波動エネルギーを消耗させて反射率を下げる
作用の何れにおいても、R/L比は大きな方が良好な制振
効果が得られる。
この際、R/L<1/20の条件では本発明の制振効果を殆
ど享受することが出来ず、R/Lが1を越すと、余り制振
効果が増加しなくなり、R/L>2の条件では、制振効果
の増加傾向は飽和する。
そして、R/L>2となると復心力が小さくなり過ぎ
て、シヤトル13、14が中立位置に戻らず、ドリフトした
ままで停止する傾向や、篭2の微小な傾斜に浮動懸架装
置が敏感に反応して、シヤトル13、14がストロークの端
の方にドリフトしてしまい易い欠点が目立つようにな
る。
このために、R/Lの値が特許請求の範囲で定める範囲
内にあることが必要である。
一方、復心力が主にばねによつて発生している場合に
は、懸垂荷重が変化しても復心力が一定であるため、R/
Lの値が篭2の昇降によつて変動し、前記範囲を逸脱し
易いという問題がある。しかし、実施例では、このR/L
を軌道の幾何学的形状という管理し易いパラメータを定
めることにより、適正値に保持している。
また、制動力を発生する装置の特性は、制振装置の性
能に大きな影響を与える。制動力が大き過ぎると固定支
点と同じことになるので、動き始める時の軌道抵抗は出
来るだけ低いことが望ましいが、浮動懸架支持点が急速
に動く場合には、速度に比例して強い制動力が作用する
ようにした方が共振条件における応答倍率を低く抑えら
れる。
また、摩擦抵抗が極力低くなるように設計し、油ダン
パー、空気ダンパー等をよる粘性抵抗が揺動エネルギー
吸収の主役を果たすように設計するのが望ましい。
なお、本発明では、シヤトルの揺動軌跡曲線の曲率半
径の大きさを規定し、実施例では中立位置の近傍で曲率
半径を所定範囲に設定しているが、中立位置から十分離
れた位置で、規定値よりも小さくした複合曲率とし、過
大変位に対するストツパーの作用をさせることも出来
る。
また、実施例ではテールコードの直交するX軸および
Y軸方向の2次元の揺動に個別に対応した1次元方向の
浮動懸架装置を、昇降路側と篭側とに分担させて設置し
ているが、一個所で2次元方向の浮動懸架装置を実現し
てもよい。さらに、複数個の浮動懸架装置を実現しても
よい。さらに、複数個の浮動懸架装置を組合わせた場合
には、一個の浮動懸架装置が本発明の要件を満たしてい
ればよい。
浮動懸架装置も実施例で説明したものに限らず、テー
ルコードの支点を張力と直交する方向に揺動可能にする
ものであれば、例えば第1図のA点を昇降機の機械室か
ら細い鋼索で鉛直に吊るし、A点にダンパーを係合させ
たものでもよい。
実施例ではシヤトルは2個のローラによつて案内され
ているので、シヤトルの案内軌跡曲線とレール曲線とは
厳密には一致していないが、2個のローラの距離が小で
あれば両曲線は殆ど同じである。例えば、レールを完全
な直線にしておき、シヤトルローラの半径が回転方向に
変化する偏心車輪としても、シヤトル案内軌跡を下に凸
な曲線とすることが出来る。この場合には、明らかにシ
ヤトルの案内軌跡曲線とレール曲線とは同じではなくな
る。
〈発明の効果〉 本発明によると、浮動懸架装置の復心力はばねではな
く、主として揺動軌跡の曲率半径と懸架重量によつて定
まるために、復心力は懸垂負荷重量配分の変化に応じて
自動的に増減する。
このため、篭の昇降に伴つて浮動懸架装置の懸垂負荷
重量配分が最大から最小へ変化しても、常に適正な復心
力が得られる。
従つて、昇降機がどのような位置にある条件でも、浮
動懸架装置は振動伝達の遮断吸収作用を良好に行うと共
に、揺動支点はテールコードの振れに追従して素直に揺
動をし、浮動懸架装置への入射波に対するエネルギー消
耗作用を発揮する。
さらに、浮動懸架装置の往復動に対する摩擦抵抗も懸
垂負荷の配分の変化に応じて増減するので、制動抵抗も
自動的に最適値になるように増減する。
本発明は、テールコードの両端の支点を固定したもの
や、支点が動き難いものに比して、篭がどの位置にいる
場合にも、浮動懸架装置の揺動支点が効果的に往復動作
をするので、テールコードの揺動は両端を節としたモー
ドではなく、両端付近まで空気抵抗を受けながら揺動を
するようになる。
このため、空気攪拌による揺動エネルギー消耗作業が
本発明によつて篭の位置に拘らず、テールコードの全長
にわたり総合的に向上する。
以上のような作用効果は、仮想振子半径が、浮動懸架
装置の案内軌跡曲線によつてほぼ一義的に決定され、且
つテールコードの懸垂重量配分により影響を受けない、
本発明によつて得られるものである。このようにして、
本発明によると、昇降機のテールコードに対して、総て
の条件で良好な制振作用を有し、前述の課題を解決した
昇降機のテールコードの制振装置が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例の構成を示す斜視図、第2図お
よび第3図は、それぞれ昇降機における篭位置とテール
コードの形状を示す説明図である。 1……昇降路壁、2……篭、3……テールコード、5、
6……テールコード端部、7……昇降路側ジヤンクシヨ
ンボツクス、8……篭側ジヤンクシヨンボツクス、9、
10……スチールコード、11、12……支点、13、14……シ
ヤトル、15、16……ローラ、17、18……レール面、19…
…昇降路側レール、20……篭側レール、21……ブラケツ
ト。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】昇降機の昇降路内で、前記昇降機の篭と昇
    降路壁間に懸架されるテールコードの前記篭側支持点
    と、前記昇降路壁側支持点との少なくとも一方を、水平
    方向に揺動する浮動懸架装置で懸架した昇降機のテール
    コードの制振装置において、 前記テールコードの篭側支持点は、篭に接続されるテー
    ルコードの篭側接続部付近に設けられ、前記篭側接続部
    と当該篭側支持点との間に位置するテールコードの篭側
    端部を弾性変形可能に支持する点であり、 前記昇降路側支持点は、昇降路に接続されるテールコー
    ドの昇降路側接続部付近に設けられ、前記昇降路側接続
    部と当該昇降路側支持点との間に位置するテールコード
    の昇降路側端部を弾性変形可能に支持する点であるとと
    もに、 前記浮動懸架装置による揺動支点の案内軌跡を下方に凸
    な曲線とし、この曲線の中立位置近傍の曲率半径を前記
    テールコードの全長の1/20以上でこの全長の2倍以下に
    設定したことを特徴とする昇降機のテールコードの制振
    装置。
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