JP2509168Y2 - ハンガ―引戸の振れ止め構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、開口上部のハンガーレールに引戸を開閉移
動自在に吊持してなるハンガー引戸の振れ止め構造に関
するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする課題］ 一般に、この種ハンガー引戸においては、引戸上端部
に設けたハンガーローラが開口上部に架設させるハンガ
ーレール上を転動することにより開閉するよう構成され
るが、上記引戸とハンガーローラとの間に、引戸を前後
方向に平行移動自在なリンク機構を介設し、閉鎖時にお
ける引戸の平行移動により面一な閉鎖面を形成できるよ
うにしたものが提案されている。

しかるに、この様なものでは、閉鎖位置付近におい
て、引戸がハンガーローラに片持ち状に支持されること
になるため、ハンガーローラに偏荷重が作用して円滑な
レール走行が阻害される許りか、ハンガーローラがハン
ガーレールから外れてしまう惧れもあり問題となつてい
た。

［課題を解決するための手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑みこれらの欠点を一掃
することができるハンガー引戸の振れ止め構造を提供す
ることを目的として創案されたものであつて、引戸上端
のハンガーブラケツトにリンクプレートの一側を縦軸回
りに揺動自在に軸支し、該リンクプレートの他側に、左
右方向を向いたハンガーレールを走行するハンガーロー
ラが設けられたローラフレームを縦軸回りに揺動自在に
軸支してローラフレームに対して引戸を開口前後方向に
平行移動可能に構成し、閉鎖位置で引戸を前後方向に平
行移動できるようにしてなるハンガー引戸において、前
記引戸と躯体側との間には、引戸の開放位置から閉鎖位
置直前位置まではリンクプレートが左右方向を向いてハ
ンガーローラが引戸の鉛直上方に位置し、閉鎖位置では
前後方向を向いてハンガーローラが引戸に対して前後に
位置ズレした位置に偏位するようガイドするガイド手段
を介装すると共に、ハンガーローラよりも上方に位置す
るよう延設したローラフレームの上端部に、躯体側に固
設したガイドレールに振れ止め案内されてローラフレー
ムの前後方向の振れ止めをする振れ止めローラを設けた
ことを特徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、円滑な開閉動作
を実現すると共に、ハンガーローラが外れる等の不具合
も防止できるようにしたものである。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。
図面において、１は両開き式ハンガー引戸を構成する引
戸であつて、該引戸１の上端には、一対のハンガーブラ
ケツト２が一体的に設けられ、さらに各ハンガーブラケ
ツト２の上端には、ハンガーローラ３を回動自在に支持
するローラフレーム４が後述するリンクプレート５を介
して設けられている。一方、６は開口上部に設けられる
引戸ケースであつて、該引戸ケース６は、下面が開口
し、かつ前面6aが蝶番6bにより開閉するよう形成される
ものであるが、このものに内装される固定フレーム７に
は、左右方向に長尺なハンガーレール８が一体的に固設
されている。つまり前記引戸１は、ハンガーローラ３が
ハンガーレール８上を転動することにより吊り下がり状
に開閉作動するが、これらの構成は従来通りである。

前記両リンクプレート５は、長短のリンク片5a、5bに
より略Ｌ字形状に形成され、そしてリンク片5aの先端部
が前記ハンガーブラケツト２の上端部に、またリンク片
5aの基端部が前記ローラフレーム４の下端部にそれぞれ
枢軸９、10を介して回動自在に枢着されるが、さらに両
リンクプレート５のリンク片5bは、両端部がそれぞれ両
リンク片5bの先端部に枢着される連結リンク11によつて
連動連結されている。即ち、リンクプレート５は、常時
はリンク片5aが引戸開閉方向に沿い、またリンク片5bが
手前側に突出する姿勢となつて引戸１をハンガーローラ
３の下方に位置せしめるが、枢軸10回りの回動に伴いリ
ンク片5aが後方に突出することにより引戸１を後方に向
けて平行移動させることができるようになっている。

さらに、12はガイドローラであつて、該ガイドローラ
12は、戸先側ハンガーブラケツト２から前方手前側に向
けて突設されるローラブラケツト13の先端部上面に回動
自在に設けられている。一方、14はガイドレールであつ
て、該ガイドレール14は、引戸ケース６内の手前側下方
部に位置するべく前記固定フレーム７に左右方向を向い
て固設され、下部開口から嵌入する前記ガイドローラ12
を走行案内することにより引戸１の前後方向の移動規制
を行うものであるが、ガイドレール14の戸先側端部に
は、後方に向けて折曲する傾斜状の閉鎖ガイド部14aが
形成されている。即ち、ガイドレール14は、常時は引戸
１をハンガーローラ３の略鉛直下方に位置せしめるべく
ガイドローラ12を案内するが、閉鎖位置付近では引戸１
を後方に平行移動せしめるべくガイドローラ12を閉鎖ガ
イド部14aにおいて傾斜案内するようになつており、こ
れにより引戸１は、閉鎖位置において開口左右の壁面と
面一な閉鎖面を形成することができるようになつてい
る。

またさらに、15は断面略コ字形状に形成される前記ロ
ーラフレーム４の上端面に回動自在に設けられた振れ止
めローラであつて、該振れ止めローラ15は、 字形状に形成される前記固定フレーム７の天部に固設さ
れる振れ止めレール16に内嵌状に走行案内されることに
より、閉鎖位置において引戸１を片持ち状に支持するロ
ーラフレーム４の前後方向の振れ止めを行うようになつ
ている。

一方、17は前記ローラフレーム４に連結される伝動ベ
ルトでつて、該伝動ベルト17は、引戸ケース６内の左右
両端部および中間部に取付けられるプーリ18に懸回さ
れ、電動モータ19の駆動に伴う移送作動により引戸１を
開閉作動せしめるが、上記伝動ベルト17およびプーリ18
は、引戸ケース６内においてローラフレーム４よりも手
前側に位置するよう配設されている。尚、20は引戸１の
下面に設けられる下部ローラ、21は下部ローラ20を閉鎖
位置において後方側に案内するべく床面に設けられるガ
イド板、22は閉鎖時に引戸１と弾圧状に接当する機密材
である。

叙述の如く構成された本考案の実施例において、引戸
１は、電動モータ19の駆動に基づく閉鎖作動において閉
鎖位置付近に達すると、ガイドローラ12が閉鎖ガイド部
14aのガイドを受けることによつて後方に閉鎖移動する
ことになり、そして閉鎖移動する引戸１はハンガーロー
ラ３に片持ち状に支持されることになるが、該片持ち支
持により偏荷重を受けるハンガーローラ３は、ローラフ
レーム４に設けられる振れ止めローラ15による振れ止め
作用により前後に振れることなく円滑な走行を維持する
ことになる。

この様に、本考案が実施されたものにあつては、引戸
１とハンガーローラ３との間に、引戸１を前後方向に平
行移動自在なリンクプレート５を介設し、閉鎖位置にお
ける引戸１の平行移動により面一な閉鎖面を形成できる
ようにしたものでありながら、閉鎖位置付近で引戸１を
片持ち支持するハンガーローラ３は、ローラフレーム４
に設けられる振れ止めローラ15と、固定フレーム７に設
けられる振れ止めレール16とによる振れ止めガイドによ
つて前後方向の振れが規制される。従つて、開閉作動時
においては、引戸１を鉛直上方に位置するハンガーロー
ラ３がハンガーレール８上に安定走行して円滑な引戸１
の開閉作動を実現できる許りか、ハンガーローラ３が前
後の振れに伴つてハンガーレール８から外れてしまうよ
うな不具合も防止できることになり、この結果、円滑か
つ確実な開閉作動を行い得る機能性に優れたハンガー引
戸とすることができる。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたもので
あるから、ローラフレームと引戸との間にリンク機構を
介設して、閉鎖位置で引戸を前後方向に平行移動させて
面一な閉鎖ができるようにしたものでありながら、引戸
の開閉過程では、ハンガーローラは、振止めローラと共
に引戸の鉛直線位置に位置するこになつて、ローラの芯
ズレがない円滑な引戸の開閉作動が確保され、そして閉
鎖位置付近で引戸が前後に位置ズレしたとき片持ち状に
支持されることになるが、その場合に、引戸は振れ止め
ローラによつて振れ止めされることになつて、閉鎖位置
付近においても円滑なレール走行状態を維持できる。

従つて、引戸が前後に平行移動して面一な閉鎖ができ
るにも拘らず、円滑な開閉作動が行い得るこになる許り
か、ハンガーローラが前後方向の振れによつてハンガー
レールから外れてしまうような不具合も防止できて開閉
性能に優れたハンガー引戸になる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係るハンガー引戸の振れ止め構造の実
施例を示したものであつて、第１図はハンガー引戸の一
部切欠き正面図、第２図は開放状態を示す引戸ケースの
断面図、第３図は閉鎖状態を示す同上断面図、第４図は
引戸下部のガイド機構を示す断面図、第５図は開放状態
を示す引戸ケースの内部平面図、第６図は閉鎖状態を示
す同上平面図、第７図は開放状態を示す引戸の平面図、
第８図は開放状態の要部を示す平面図、第９図は閉鎖状
態の要部を示す平面図、第10図は開放状態の要部を示す
斜視図、第11図は閉鎖状態の要部を示す斜視図である。 図中、１は引戸、３はハンガーローラ、４はローラフレ
ーム、５はリンクプレート、６は引戸ケース、11は連結
リンク、12はガイドローラ、14はガイドレール、14aは
閉鎖ガイド部、15は振れ止めローラ、16は振れ止めレー
ル、17は伝動ベルト、18はプーリ、19は電動モータであ
る。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】引戸上端のハンガーブラケツトにリンクプ
   レートの一側を縦軸回りに揺動自在に軸支し、該リンク
   プレートの他側に、左右方向を向いたハンガーレールを
   走行するハンガーローラが設けられたローラフレームを
   縦軸回りに揺動自在に軸支してローラフレームに対して
   引戸を開口前後方向に平行移動可能に構成し、閉鎖位置
   で引戸を前後方向に平行移動できるようにしてなるハン
   ガー引戸において、前記引戸と躯体側との間には、引戸
   の開放位置から閉鎖位置直前位置まではリンクプレート
   が左右方向を向いてハンガーローラが引戸の鉛直上方に
   位置し、閉鎖位置では前後方向を向いてハンガーローラ
   が引戸に対して前後に位置ズレした位置に偏位するよう
   ガイドするガイド手段を介装すると共に、ハンガーロー
   ラよりも上方に位置するよう延設したローラフレームの
   上端部に、躯体側に固設したガイドレールに振れ止め案
   内されてローラフレームの前後方向の振れ止めをする振
   れ止めローラを設けたことを特徴とするハンガー引戸の
   振れ止め構造。