JP2509072B2 - トンネルの施工方法 - Google Patents

トンネルの施工方法

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JP2509072B2
JP2509072B2 JP5157560A JP15756093A JP2509072B2 JP 2509072 B2 JP2509072 B2 JP 2509072B2 JP 5157560 A JP5157560 A JP 5157560A JP 15756093 A JP15756093 A JP 15756093A JP 2509072 B2 JP2509072 B2 JP 2509072B2
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順一 加瀬
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  • Excavating Of Shafts Or Tunnels (AREA)
  • Lining And Supports For Tunnels (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、掘削すべきトンネルの
周囲を予め補強した後にトンネルを掘削するトンネルの
施工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】周知のようにトンネルの施工において
は、掘削時に、掘削されるトンネル先端部のまだ覆工さ
れていない部分で、切羽(掘削中のトンネルの最先端部
の掘削面)や天端が崩落する可能性があるので、掘削時
に上記天端等の崩落を防止するために様々な施工方法が
用いられている。このような施工方法の一つとして近年
プレライニング工法が行なわれている。
【0003】従来、プレライニング工法においては、図
5に示すように、例えば、掘削すべきトンネルの外面に
沿って地山eに溝aを形成する掘削機1を用いて切羽2
aのトンネル2の上側の外面に当たる部分に幅の狭い溝
aを形成し、該溝aにモルタルや薬液等を注入して、ラ
イニングLを形成するものであった。すなわち、トンネ
ル2を掘削する前に、一次覆工を行なってしまうもので
あった。
【0004】なお、上記掘削機1は、レール3上を走行
する走行車4上に、先端がトンネル2の内面に沿って回
動するアーム5が設けられ、該アーム5の先端部に溝a
を掘削するカッタ6が設けられたものである。そして、
上記ライニングLは、地山eの掘削すべきトンネル部分
を覆うように形成されており、上記ライニングL内を掘
削していくことにより、掘削時にトンネル2の天端部等
が崩落することがなく、安全にトンネル2を掘削するこ
とができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記プレラ
イニング工法においては、掘削された溝がしばらくする
と崩落してしまう可能性があり、溝が崩落してしまう前
にモルタル等を注入する必要がある。従って、溝を掘削
しながらモルタルを速やかに注入する必要があるが、必
ずしもカッターによる溝の掘削速度とモルタルの注入速
度とが噛み合うとは限らず、上記溝に均一かつ完全にモ
ルタルを充填することが困難であった。また、プレライ
ニング工法においては、溝に注入されたモルタルが硬化
することによりライニングの強度が発現することになる
ので、溝にモルタルを注入した後に、モルタルが硬化す
るまで、ライニング内を掘削することができず、トンネ
ル構築の工期を長引かせる要因となっていた。
【0006】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、上記プレライニング工法において、形成された
ライニングが安定した強度を得ることができるととも
に、モルタルの完全な硬化を待たずにトンネルの掘削工
程を行なうことができるトンネルの施工方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された本
発明のトンネルの施工方法は、掘削すべきトンネルの少
なくとも上面側の周囲に、掘削すべきトンネル外面に沿
って補強溝を形成するとともに、該補強溝に既に形成さ
れた補強部材を挿入して掘削すべきトンネルの周囲を補
強する補強工程と、次いで、該補強工程により補強され
た部分の内側にトンネルを掘削する掘削工程とを具備し
てなり、上記補強部材は、上記トンネルの外面に沿って
形成される補強溝内に複数挿入できるように、予め、上
記補強溝をトンネルの掘削方向に沿って複数に分割した
形状に対応して成形しておき、上記補強工程において、
上記補強溝を掘削するとともに、順次補強部材を補強溝
に挿入し、かつ、先に挿入された補強部材に後から挿入
する補強部材を組み付けていくことを上記課題の解決手
段とした。そして、請求項2に記載された本発明のトン
ネルの施工方法によれば、上記補強部材の両側縁には、
それぞれ上記補強溝内に隣接して挿入される補強部材同
士を接合するための接合部が設けられていることが好ま
しい。
【0008】また、請求項3に記載された本発明のトン
ネルの施工方法によれば、上記補強部材の両側縁に形成
された接合部は、一方の側縁に該側縁に沿って設けられ
た突条と、他方の側縁に沿って設けられるとともに上記
突条と嵌合する形状の嵌合溝とからなり、上記トンネル
外面に沿って設けられた補強溝内に隣接して配置される
補強部材間において、先に補強溝に挿入された一方の補
強部材の側縁に沿って、他方の補強部材を上記補強溝に
挿入することにより、上記突条と嵌合溝を嵌合させて補
強部材同士を接合することが好ましい。さらに、請求項
4に記載された本発明のトンネルの施工方法によれば、
上記補強部材には、上記補強溝内において隣接して配置
される補強部材間で連通する間隙が設けられ、上記補強
溝に補強部材を挿入した後に、上記補強部材の間隙にモ
ルタル等の補強剤を充填し、上記補強部材を一体に連結
することが好ましい。
【0009】
【作用】上記請求項1記載の構成によれば、補強溝を掘
削するとともに、順次補強部材を補強溝に挿入し、か
つ、先に挿入された補強部材に後から挿入する補強部材
を組み付けていくことにより、地山のトンネルを掘削す
べき部分の周囲を補強しているが、補強溝への補強部材
の挿入は、狭い溝へのモルタルの注入に比較して、補強
溝の掘削速度に合わせて行なうことが容易であり、か
つ、補強溝内に多少の土砂が崩落しても、補強部材を押
し込むことにより、崩落した土砂を溝の先端側に押し込
んで溝の空間を確保することができる。従って、補強溝
にモルタルを注入する構成とした場合に、容易に補強溝
にモルタルを均一に注入することができ、安定した強度
で掘削すべきトンネルの周囲を補強することができる。
【0010】また、上記補強部材と該補強部材の組み付
け方法とを充分な強度が発現できるものとすれば、補強
溝にモルタルを注入しなくても、補強部材によりトンネ
ル上の地山を支持することができる。また、モルタルを
注入する構成とした場合には、モルタルの完全な硬化を
待つことなく、トンネルの掘削を開始することができ、
トンネルを構築するための工期を短縮することができ
る。また、請求項2記載の発明によれば、予め補強部材
に接合部が設けられていることにより、補強溝内におい
て、補強部材同士を容易に組み付けることができる。ま
た、請求項3記載の発明によれば、補強溝に補強部材を
挿入する際に、既に挿入された補強部材の側縁に沿っ
て、後から挿入する補強部材を挿入することで、補強部
材同士が接合されることになり、幅の狭い補強溝内にお
いて容易に補強部材同士を接合することができる。
【0011】さらに、請求項4記載の発明によれば、上
述のように、補強部材により補強溝の空間を確保した後
に、モルタル等の補強剤を注入することになるので、補
強溝に均一にモルタルを挿入することができ、均一な強
度のライニングを構築することができる。さらに、上述
したように上記補強部材と補強部材の組み付け方法とを
充分な強度が発現できるものとすれば、モルタルの硬化
を待つことなく、トンネルの掘削を開始することができ
るので、トンネルの構築において、工期の短縮を図るこ
とができる。
【0012】
【実施例】以下に本発明の一実施例を図面を参照して説
明する。図1はこの実施例のトンネルの施工方法を説明
するための図面であり、図2はこの実施例のトンネルの
施工方法において、プレライニングに用いられる補強部
材10を示すものである。この実施例のトンネルの施工
方法は、トンネル先端部において、掘削すべきトンネル
の外周面(トンネルの下面を除く)を覆うように溝aを
掘削するとともに、溝aの掘削された部分に補強部材1
0…を順次挿入し、溝aの掘削及び補強部材10の挿入
が終了した後に、補強部材10の挿入された溝aにモル
タルを注入して、補強部材10とモルタルからなるプレ
ライニングを形成し、その後にプレライニング内を掘削
してトンネルを構築するものである。
【0013】また、プレライニング内をその先端部まで
掘削した後に、再びトンネルの先端部においてプレライ
ニングを構築することを繰り返すことにより、トンネル
を掘削していくものである。なお、溝aの掘削方法は、
この実施例において上記従来例と同様のものであり、そ
の説明を簡略化する。この実施例における溝aの掘削方
法は、上記従来例の図5に示すように、トンネル2の先
端部において、切羽2aから掘削すべきトンネルの周囲
を覆うように、地山eに略半円形状の溝aを掘削するも
のである。
【0014】そして、溝aの掘削に際しては、図1に示
すように、まず、掘削すべきトンネルの外面の上側の略
半円形状の部分の一方の端部(トンネルの壁面とトンネ
ルの底面とが接合する部分)にカッタ6を地山eを掘削
することにより挿入し、このカッタ6を図1の矢印dに
示すように上記一方の端部から掘削すべきトンネルの外
面に沿って他方の端部に向かって移動させることにより
溝aを掘削する。従って、溝aは、上記一方の端部側か
ら形成されていくことになるが、溝aの形成された部分
には、カッタ6による溝aの掘削速度に対応して補強部
材を挿入していく。従って、溝a内の崩落が始まる前、
すなわち、溝aが形成された直後に補強部材10が順次
挿入されることになる。
【0015】ここで、図2を用いて上記補強部材10に
ついて説明する。補強部材10は、上記略半円形状の溝
aをトンネルの掘削方向に平行かつトンネルの中心方向
に向かった分割面により多数に分割した形状とされてい
る。すなわち、補強部材10は、その上下面が僅かに円
弧状に湾曲した矩形状の板体であり、図示しない鉄筋が
埋設されたプレキャストコンクリート性の板体とされて
いる。また、補強部材10の一方の側面には、側面の長
さ方向に沿って突条11が形成され、補強部材10の他
方の側面には、上記突条11と嵌合する形状の嵌合溝1
2が、側面の長さ方向に沿って形成されている。
【0016】また、上記突条11及び嵌合溝12は、そ
の長さ方向が補強部材10を補強溝aに挿入した際に、
トンネルの掘削方向と平行になるようになっている。従
って、補強溝a内に隣接して配置される二つの補強部材
10、10においては、先に補強溝a内に挿入された補
強部材10の側面に後から挿入される補強部材10の側
面を沿わせるように、補強部材10を補強溝に挿入する
ことで、一方の補強部材10の側面の突条11と他方の
補強部材10の側面の嵌合溝12が嵌合することにな
り、補強部材10…を順次互いの側面を当接させた状態
で補強溝aに挿入することにより、補強部材10…同士
が順次接合されるようになっている。
【0017】また、補強部材10の内部には、図2に示
すように、空洞13が形成されるとともに、補強部材1
0の両側面には、上記空洞13と連通する複数の貫通孔
14…が形成されている。また、上記貫通孔14…の位
置は、補強部材10の左右両側面で同じ位置にされてお
り、補強溝a内部において互いに接合された状態の補強
部材10…の空洞13…は、上記貫通孔14…を介して
全てが連通するようになっている。このような補強部材
10…を、互いに接合されるように補強溝a内に挿入し
た後に、補強部材10の空洞13内にモルタルを注入す
る。補強部材10の空洞13内に注入されたモルタル
は、上記補強部材13の貫通孔14…から流出して順次
隣接する補強部材10…の空洞13…内に充填され、補
強溝a内に挿入された全ての補強部材10…の空洞13
…及び貫通孔14…に充填される。
【0018】従って、補強溝a内に挿入された全ての補
強部材10…がモルタルにより一体に接合されることに
なるとともに、各補強部材10…の空洞13…に充填さ
れたモルタルも貫通孔14…介して一体のものとして硬
化する。そして、これら補強部材10…とモルタル13
…とからプレライニングが形成される。なお、モルタル
を注入する際には、補強部材10の空洞13に注入管
(図示略)を挿入することにより行なうことができ、補
強部材10により注入管を挿入する空間が確保されてい
るので、補強溝aの崩落等により注入管が潰されてしま
うことがなく、確実にモルタルを注入することができ
る。
【0019】次に、上記補強部材10…とモルタルとに
より形成されたプレライニング内を掘削することにより
トンネルを構築する。この際に、プレライニングは、補
強溝a内に補強部材10…を挿入するとともに、隣接す
る補強部材10…同士を接合した段階で、掘削時にトン
ネル天端部を支持するのに必要な強度を有するものとす
ることができるので、上記モルタルが完全に硬化する前
にプレライニング内の掘削を開始することができる。す
なわち、モルタルが流動性を失う程度に硬化した段階
で、プレライニング内の掘削を開始することができる。
【0020】なお、プレライニング内の掘削方法は、特
に限定されるものではなく、例えば、全断面掘削機(図
示略)や自由断面掘削機(図示略)等を用いた機械掘削
を用いることができる。そして、上述のように形成され
たプレライニング内の掘削が終了した段階で、再び上述
のように補強溝aを掘削してプレライニングの形成を行
なう。そして、プレライニングの形成とプレライニング
内の掘削を繰り返し行なうことにより、トンネルの掘削
を進行していく。
【0021】以上のようなトンネルの施工方法によれ
ば、掘削すべきトンネルの周囲を覆うように補強溝aを
形成するとともに、補強溝aの掘削された部分に順次補
強部材10…を挿入していくことにより、補強溝a内の
崩落を防止し、補強溝a内にモルタルを充填する空間を
確保することができるので、補強溝aの掘削速度と補強
溝aへのモルタルの注入速度とのタイミングを合わせる
必要がなく、補強溝aに容易かつ均一に所定量のモルタ
ルを注入することができるので、均一で充分な強度を有
するプレライニングを容易に形成することができる。
【0022】また、補強部材10には、その両側面にそ
れぞれ側面の長さ方向及びトンネルの掘削方向に沿った
突条11と嵌合溝12が形成されているので、単に、ト
ンネルの掘削方向に沿うとともに既に補強溝aに挿入さ
れた補強部材10に隣接して、補強部材10を補強溝a
に挿入することにより、補強部材10、10同士を容易
に接合することができる。さらに、補強溝a内に挿入さ
れるとともに互いに接合された補強部材10…は、それ
自体に、掘削すべきトンネル上の地山eを支持するのに
必要な強度を持たせることが可能であり、補強溝aの補
強部材10内に注入されるモルタルが完全に硬化する前
に、プレライニング内の掘削作業を安全に行なうことが
でき、トンネルの構築において工期の短縮を図ることが
できる。
【0023】なお、上記実施例において、補強部材10
は突条11、補強溝12、空洞13、貫通孔14を有す
る矩形状のプレキャストコンクリート製の板体とされた
が、本発明の補強部材はこれに限定されるものではな
い。例えば、図3に示すように予め鉄筋15…を組んだ
架構状のものを補強部材16としても良い。また、図4
に示すように、高い強度を有する合成樹脂の棒体17…
と接合部材18とを架構状に組んだものを補強部材19
としても良い。
【0024】なお、図3及び図4に示すような架構状の
補強部材16、19は、補強溝a内に挿入した後に、互
いの側縁に延出する鉄筋15…もしくは合成樹脂製の棒
体17を絡み合わせるようにして、補強部材16、19
同士を組み付けることができる。また、架構状の補強部
材16、19により、上記実施例の補強部材10と同様
にモルタルを注入する間隙を補強溝a内に確保すること
ができる。
【0025】また、補強溝a内で互いに組み付けられた
補強部材16、19によりある程度の強度を確保するこ
とができるが、モルタルがある程度硬化する前に、プレ
ライニング内を掘削するとモルタルが補強部材16、1
9から剥離してしまう可能性があるので、モルタルがあ
る程度硬化するのを待ってからトンネルの掘削作業を行
なう必要がある。しかし、従来のプレライニング工法の
ように、モルタルが完全に硬化して大きな強度を発現す
るまで掘削を待つ必要がなく、従来のプレライニング工
法に比較して、トンネル構築の工期を短縮することがで
きる。
【0026】また、本発明において補強部材は、必ずし
も、上述のようにモルタルを注入する間隙(空洞)を有
するものである必要がなく、空洞を有さないプレキャス
トコンクリート製の板体や鋼板等を補強部材として用い
て良い。なお、上記間隙を有さない補強部材の場合に
は、上記実施例の補強部材10のように、容易かつ確実
に補強部材同士を接合する接合部を有することが好まし
い。
【0027】また、上記実施例の補強部材10の接合部
となる突状11及び嵌合溝12は、その断面が係止部を
持たない形状となっていたが、本発明がこれに限定され
るものではなく、例えば、断面形状がT字状やL字状の
突状及び嵌合溝を設ける構成としても良い。また、補強
溝a内に注入される補強剤は、モルタルに限られるもの
ではなく、例えば、セメント、コンクリート、薬液等の
硬化物を用いることができる。
【0028】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、上記請求
項1記載のトンネルの施工方法によれば、補強溝を掘削
するとともに、順次補強部材を補強溝に挿入し、かつ、
先に挿入された補強部材に後から挿入する補強部材を組
み付けていくことで、地山のトンネルを掘削すべき部分
の周囲を補強しているが、補強溝への補強部材の挿入
は、狭い溝へのモルタルの注入に比較して、補強溝の掘
削速度に合わせて行なうことが容易であり、かつ、補強
溝内に多少の土砂が崩落しても、補強部材を押し込むこ
とにより、崩落した土砂を溝の先端側に押し込んで溝の
空間を確保して、補強部材を補強溝内に挿入することが
できる。したがって、従来のプレライニング工法におい
て、モルタルを均一に補強溝内に注入することが難しく
均一なプレライニングを形成することが困難であったの
に対して、本願発明においては、補強溝内に補強部材を
挿入することで、確実かつ均一にトンネルの周囲を補強
することができる。また、補強部材をモルタルを注入す
る間隙を有するものとすれば、上述のように補強溝に補
強部材を挿入することにより、掘削された補強溝の崩落
を防止して、補強部材によってモルタルを注入すべき空
間(補強溝の間隙)を確保した後に、モルタルを上記空
間に注入することができるので、容易かつ確実に補強溝
にモルタルを均一に注入することができる。この場合に
は、さらに、均一な強度で掘削すべきトンネルの周囲を
補強することができる。また、上記補強部材を充分な強
度を有するものとし、かつ、該補強部材同士の組み付け
方法を充分な強度が発現できるものとすれば、補強溝に
モルタルを注入しなくても、補強部材により掘削すべき
トンネルの周囲の地山を支持することができる。また、
上述のように補強部材にモルタルを注入可能な間隙を有
するものとし、補強溝に補強部材を挿入した後にモルタ
ルを注入する構成とした場合には、モルタルの完全な硬
化、すなわち、モルタルの強度の発現を待つことなく、
トンネルの掘削を開始することができる。 したがって、
プレライニング工法を用いてトンネルを構築する際の工
期を短縮することができる。すなわち、従来のプレライ
ニング工法において、補強溝にモルタルを注入した後
に、モルタルが硬化して充分な強度が発現するまで、補
強溝に囲まれた地山を掘削することが困難であったのに
対して、本願発明によれば、補強溝に補強部材を挿入し
おえた段階、もしくは、補強溝に補強部材を挿入し、さ
らに補強部材の間隙にモルタルを注入し、モルタルが流
動しない程度に硬化した段階で、補強溝に囲まれた部分
を掘削することができるので、トンネルの施工期間の短
縮を図ることができる。
【0029】また、請求項2記載のトンネルの施工方法
によれば、予め補強部材に接合部が設けられていること
により、補強溝内において、補強部材同士を容易に組み
付けることができる。また、請求項3記載のトンネルの
施工方法によれば、補強溝に補強部材を挿入する際に、
既に挿入された補強部材の側縁に沿って、後から挿入す
る補強部材を挿入することで、補強部材同士が接合され
ることになり、幅の狭い補強溝内において容易に補強部
材同士を接合することができる。
【0030】さらに、請求項4記載のトンネルの施工方
法によれば、上述のように、補強部材により補強溝の空
間を確保した後に、モルタル等の補強剤を注入すること
になるので、補強溝に均一にモルタルを注入することが
でき、均一な強度のライニングを構築することができ
る。従って、トンネルの掘削作業の安全性を向上するこ
とができる。さらに、上述したように上記補強部材及び
補強部材の組み付け方法を充分な強度が発現できるもの
とすれば、モルタルの硬化を待つことなく、トンネルの
掘削を開始することができるので、トンネルの構築にお
いて、工期の短縮を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のトンネルの施工方法の一実施例を説明
するためのトンネル先端部の切羽面を示す断面図であ
る。
【図2】上記実施例のトンネルの施工方法で用いられる
補強部材を示す斜視図である。
【図3】上記実施例の補強部材とは異なる補強部材を示
す斜視図である。
【図4】上記実施例の補強部材とは異なる補強部材を示
す斜視図である。
【図5】従来のトンネルの施工方法を説明するためのト
ンネル先端部の断面図である。
【符号の説明】
a 補強溝 10 補強部材 11 突条 12 嵌合溝 13 空洞(間隙) 14 貫通孔(間隙) 16 補強部材 19 補強部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂野 正明 大阪府大阪市中央区高麗橋4丁目1番1 号 東洋建設株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−257297(JP,A) 実公 昭41−19894(JP,Y1)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 掘削すべきトンネルの少なくとも上面側
    の周囲に、掘削すべきトンネル外面に沿って補強溝を形
    成するとともに、該補強溝に既に形成された補強部材を
    挿入して掘削すべきトンネルの周囲を補強する補強工程
    と、次いで、該補強工程により補強された部分の内側に
    トンネルを掘削する掘削工程とを具備してなり、 上記補強部材は、上記トンネルの外面に沿って形成され
    る補強溝内に複数挿入できるように、予め、上記補強溝
    をトンネルの掘削方向に沿って複数に分割した形状に対
    応して成形しておき、上記補強工程において、上記補強
    溝を掘削するとともに、順次補強部材を補強溝に挿入
    し、かつ、先に挿入された補強部材に後から挿入する補
    強部材を組み付けていくことを特徴とするトンネルの施
    工方法。
  2. 【請求項2】上記補強部材の両側縁には、それぞれ上記
    補強溝内に隣接して挿入される補強部材同士を接合する
    ための接合部が設けられていることを特徴とする請求項
    1記載のトンネルの施工方法。
  3. 【請求項3】上記補強部材の両側縁に形成された接合部
    は、一方の側縁に該側縁に沿って設けられた突条と、他
    方の側縁に沿って設けられるとともに上記突条と嵌合す
    る形状の嵌合溝とからなり、上記トンネル外面に沿って
    設けられた補強溝内に隣接して配置される補強部材間に
    おいて、先に補強溝に挿入された一方の補強部材の側縁
    に沿って、他方の補強部材を上記補強溝に挿入すること
    により、上記突条と嵌合溝を嵌合させて補強部材同士を
    接合することを特徴とする請求項2記載のトンネルの施
    工方法。
  4. 【請求項4】上記補強部材には、上記補強溝内において
    隣接して配置される補強部材間で連通する間隙が設けら
    れ、上記補強溝に補強部材を挿入した後に、上記補強部
    材の間隙にモルタル等の補強剤を充填し、上記補強部材
    を一体に連結することを特徴とする請求項1ないし3の
    いずれかに記載のトンネルの施工方法。
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