JP3567399B2 - 大断面トンネルおよびその構築方法 - Google Patents

大断面トンネルおよびその構築方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大断面を有した断面視矩形状のトンネルを構築するに際して用いて好適な大断面トンネルおよびその構築方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
周知のように、トンネルの構築には、シールド掘削機で地山を掘削し、その後方においてシールド掘削機と略同径のトンネルを構築するシールド工法が多用されている。しかしながらシールド工法では、大断面のトンネルを構築しようとすると、当然のことながらそれに用いるシールド掘削機が大型化し、この結果、シールド掘削機の製作、運搬、現場組立等のあらゆる面において人手およびコストが嵩むものとなってしまう。
【0003】
このため、近年では、大断面のトンネルの形状に沿って小径トンネルを多数構築することによって、これら小径トンネルから大断面のトンネル構造体を形成する工法が開発されている。
【0004】
ところで、特に内部に大空間を有する大断面トンネルを構築しようとした場合、図10に示すように、断面円形のトンネル構造体1を構築し、その内方に所定寸法の空間Sを形成していたのでは、空間Sに対してトンネル構造体1が大きいために、大断面トンネルTを構築するに要する用地が広く必要となってコストが嵩んだり、用地確保ができない場合には所定寸法の空間Sを形成することができないといった問題がある。
【0005】
このため、図11に示すように、断面視矩形の大断面トンネルT’を構築すれば、所定寸法の空間Sを形成するために必要最小限の用地を確保すればよく、コストの低減を図れることから、このような断面視矩形の大断面トンネルT’の構築工法が各種開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の大断面トンネルおよびその構築方法には、以下のような問題が存在する。
図11に示したような断面視矩形の大断面トンネルT’のトンネル構造体2を構築するに際しては、トンネル構造体2の四辺を構成する水平部2a、鉛直部2bを、それぞれセグメントを断面視ロ字状に組んで構築した後、互いに隣接する水平部2aと鉛直部2bどうしを、継ぎ目部Aにおいて接続する必要がある。
これには、図12(a)に示すように、トンネル構造体2の水平部2aと鉛直部2bとを別々に構築した後、まずこれら水平部2aと鉛直部2bとの間の地盤G1を薬液注入あるいは凍結工法等を用いて地盤改良する。続いて、図12(b)に示すように、水平部2aを構築する際にその端部に組み込んでおいた接続部土留材3を鉛直部2bに向けて押し出す。そして、接続部土留材3を鉛直部2bに到達させた後、水平部2aと鉛直部2bのセグメント4を撤去し、鉛直部2b側に接続用ブラケット5を取り付ける。このようにして水平部2aと鉛直部2bとを一体に接続した後、図12(c)に示すように、その内方に鉄筋6等を配し、コンクリート7を打設することによってトンネル構造体2が完成する。
【0007】
このような工法においては、まず、接続部土留材3を押し出すようになっているが、水平部2aを構築するに際しては、その外周にモルタル等の裏込充填材が注入されているため、接続部土留材3の押し出しは困難である。
また、継ぎ目部Aに止水および強度増加のために、薬液注入や凍結工法等で地盤改良するようになっているが、言うまでもなくこのような地盤改良には時間とコストがかかり、しかも完全な止水効果を得ることは困難である。
【0008】
また、トンネル構造体2の幅が増加または減少等、変化する場所においては、水平部2a、鉛直部2bの間隔が大きくなるため、継ぎ目部Aの地盤改良しなければならない区域が大幅に増加し、これによって前記問題はさらに顕著なものとなる。
【0009】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、施工を円滑に行って工期の短縮化と低コスト化を図るとともに、完全な止水効果を有する大断面トンネルを構築することのできる大断面トンネルおよびその構築方法を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明は、大断面トンネルが、断面略矩形状に形成されたトンネル構造体と、その内方に形成されたトンネル空間とからなり、前記トンネル構造体、断面視矩形状の矩形シールドトンネルと、前記大断面トンネルの内周面側と外周面側とにそれぞれ配置された2本一対の断面視円形の円形シールドトンネルとが、断面周方向において交互に隣接配置され、かつ互いに隣接する前記矩形シールドトンネルと前記円形シールドトンネルとがその一部を互いに重合させて一体化されたものであることを特徴としている。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の大断面トンネルにおいて、前記トンネル構造体の断面における辺の長さを、該トンネル構造体の軸線方向に沿って漸次増加または減少させる部分で、前記2本一対の円形シールドトンネルの間隔が前記トンネル構造体の軸線方向に沿って、該トンネル構造体の厚さ方向に変位して構築されたものであることを特徴としている。
【0012】
請求項3に係る発明は、大断面トンネルが、断面略矩形状に形成されたトンネル構造体と、その内方に形成されたトンネル空間とからなり、前記トンネル構造体が、互いに隣接する断面視矩形状の矩形シールドトンネルの間に、前記大断面トンネルの内周面側と外周面側とにそれぞれ配置された2本一対の断面視円形の円形シールドトンネルが前記トンネル構造体の周方向に複数並設されるとともにその一部を互いに重合させて一体化され、かつ互いに隣接する前記矩形シールドトンネルと前記円形シールドトンネルとがその一部を互いに重合させて一体化されたものであることを特徴としている。
【0013】
請求項4に係る発明は、予め定めた間隔を隔てて複数の矩形シールドトンネルを先行構築した後、互いに隣接する前記矩形シールドトンネル間の、構築すべき大断面トンネルの外周面側と内周面側とに、それぞれ円形シールドトンネルを後行構築することによって、前記矩形シールドトンネルと、前記大断面トンネルの外周面側と内周面側とに位置する2本一対の前記円形シールドトンネルとが周方向において交互に隣接配置されてなるトンネル構造体を構築し、しかる後に、該トンネル構造体の内方の地山を掘削してここに空間を形成することによって、前記大断面トンネルを構築する方法であって、前記トンネル構造体の辺の長さをその軸線方向に沿って漸次増加または減少させる部分においては、互いに隣り合う前記矩形シールドトンネルどうしを漸次離間または接近させるよう構築するとともに、前記2本一対の円形シールドトンネルの間隔を前記トンネル構造体の厚さ方向に変位させつつ構築することを特徴としている。
【0014】
請求項5に係る発明は、請求項4記載の大断面トンネルの構築方法において、前記円形シールドトンネルを構築するに際して、これを前記矩形シールドトンネルの内部から発進させることを特徴としている。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る大断面トンネルおよびその構築方法の実施の形態の一例を、図1ないし図9を参照して説明する。
【0016】
図1に示すように、構築すべき大断面トンネル10は、例えば地下に設けられる高速道路として用いられるもので、この大断面トンネル10には、本線10Aに支線10Bが合流する合流ランプLが設けられている。
合流ランプLには、周知のように、支線10Bから走行してきた車が加速するための加速車線部Xが設けられており、この加速車線部Xの端部に連続して、この大断面トンネル10の幅が漸次変化するテーパ部Dが形成されている。
【0017】
図2に示すものは大断面トンネル10の例えば本線10Aを示すもので、この部分は、周囲の地山からの土圧に抗するための覆工体である断面視日字状のトンネル構造体11と、該トンネル構造体11の内方に形成された上下2段の内部空間12A、12Bとから構成されている。
【0018】
このトンネル構造体11は、断面視矩形の矩形シールドトンネル13が周方向に複数配置されて、これらが一体化された構成からなっている。
そして、このようなトンネル構造体11内には、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の継ぎ目部に図示しない鉄筋が配筋され、さらにその内部に図示しないコンクリートが打設される構成となっている。
【0019】
図3に示すように、大断面トンネル10のテーパ部Dにおいては、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の間隔が漸次拡大され、これらの間の土留めとして、トンネル構造体11の厚さ、すなわち各矩形シールドトンネル13の高さ寸法よりも小径の円形シールドトンネル15,16が構築されている。
図4に示すように、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13間に構築する円形シールドトンネル15,16を、トンネル構造体11の厚さ方向に変位させることによって、テーパ部Dにおける矩形シールドトンネル13,13の間隔の変化に対応するようになっている。これは、図4(a)ないし(c)に示すように、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の間隔が広がるにしたがって、円形シールドトンネル15,16をトンネル構造体11の厚さ方向中心部に向けて変位させていくことにより、両側の矩形シールドトンネル13,13に重合させる部分の円形シールドトンネル15,16の幅が変化することになるからである。
【0020】
次に、このような大断面トンネル10の構築方法について説明する。
図2に示した大断面トンネル10の本線10A、支線10Bについては、トンネル構造体11を構成する矩形シールドトンネル13,13,…を順次構築していく。このとき、先行構築した矩形シールドトンネル13に隣接して他の矩形シールドトンネル13を構築するに際しては、その一部を重合させてトンネル構造体11を強固に一体化させるようにする。
【0021】
この後、構築したトンネル構造体11内で、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の継ぎ目部J1のセグメント(図示なし)およびこの部分の裏込充填材(図示なし)を撤去することにより、双方の矩形シールドトンネル13,13の内部空間を連通させる。このようにしてトンネル構造体11の内部空間を全周にわたって連通させた後、ここに、鉄筋(図示なし)の配筋、およびコンクリート(図示なし)の打設を行う。しかる後には、トンネル構造体11の内方の地山を掘削し、ここに内部空間12A,12Bを形成することにより所定形状の大断面トンネル10の本線部10A,10Bの構築が完了する。
【0022】
一方、幅が漸次拡がっていくテーパ部Dにおいては、トンネル構造体11の施工を以下のようにして行う。
図5(a)に示すように、まず、トンネル構造体11を構成する矩形シールドトンネル13,13,…を順次構築するときに、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の間隔を、掘進方向前方に行くに従い漸次拡大していく。
【0023】
各矩形シールドトンネル13を構築するには、図4に示したように、断面視矩形のシールド掘削機(図示なし)の前面に備えたカッタで地盤中に矩形の孔17を削孔していき、その後方で鋼製のセグメント18,18,…をそれぞれ断面視矩形に組み立てる。そして、組み立てたセグメント18,18,…の外周面と孔17の内周面との間にコンクリートやモルタル、ファイバーコンクリート等の裏込充填材19を充填する。
【0024】
次いで、図6(a)に示すように、矩形シールドトンネル13,13どうしが隣接している部分において、その継ぎ目部J1に位置するセグメント18,18を取り外し、さらにこの部分の裏込充填材19を撤去する。
これにより互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の内部空間が連通した状態となるので、ここに円形シールドトンネル15を構築するための断面視円形のシールド掘削機20を設置する。このとき、シールド掘削機20の本体、発進架台、反力壁などの製作に必要となる各種材料や、円形シールドトンネル15の構築に必要なセグメントなどの材料は、全て先行構築した矩形シールドトンネル13内を通して運搬することができる。
【0025】
そして、設置したシールド掘削機20を、図5(b)に示すような経路Rで掘進させることによって、孔Hを削孔していく。
これには、シールド掘削機20を、まず発進位置(図5中符号イの位置)から斜め上方に向けて発進させる。そして、矩形シールドトンネル13,13が離間し始める位置(図中符号ロの位置)で、シールド掘削機20の中心軸線位置が矩形シールドトンネル13,13の上端部と略同一レベルとなるよう、シールド掘削機20を徐々に変位させていく。
このとき、図6(b)および(c)に示すように、この区間(図5中符号イ〜ロの区間)における矩形シールドトンネル13,13は、セグメント18等を解体することなくシールド掘削機20を掘進させるため、セグメント18を内側に位置させるとともに、裏込充填材19を厚く打設した構成としておく。これにより、シールド掘削機20は、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の裏込充填材19,19の内部を掘進していくことになる。また、シールド掘削機20の発進時には、その前方の全面に裏込充填材19,19が打設されているので、通常のシールド掘削機の発進時に必要な、前方の地山の地盤改良が不要である。
【0026】
この後、さらにシールド掘削機20を斜め上方に向けて掘進させ、その中心軸線位置が、矩形シールドトンネル13,13よりも上方の所定のレベルとなる(図5中符号ハの位置)まで変位させていく。この区間(図5中符号ロ〜ハの区間)における矩形シールドトンネル13,13は、その側面の裏込充填材19、19の厚さが、徐々に薄くなるよう形成されている。
【0027】
続いて、矩形シールドトンネル13,13の間隔が所定以上となる(図中符号ニの位置)まで、シールド掘削機20を矩形シールドトンネル13,13の軸線と平行に掘進させていく。
そして、この後は、図4(a)ないし(c)に示したように、矩形シールドトンネル13,13の間隔がさらに拡がるにしたがって、シールド掘削機20を斜め下方に向けて掘進させていき、このシールド掘削機20で削孔した孔Hが、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の双方に重合するようにする。
【0028】
このようにして図7(a)に示すように、シールド掘削機20によって互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の上端部間に孔Hを掘削しつつ、その後方においては、この孔H内に、以下のようにして円形シールドトンネル15を構築していく。
まず、図7(b)に示すように、孔H内に所定形状のセグメント21を組み立てた後、セグメント21の外周面と孔Hの内周面との間に裏込充填材22を充填する。
次いで、図7(c)に示すように、セグメント21内の下部に、上面23aが両側の矩形シールドトンネル13,13の上側の内側面と略同レベルに位置し、かつ下面23bがセグメント21の内面に沿った形状の型枠23を配置する。続いて、このセグメント21内に例えばコンクリート等の中詰め充填材24を打設する。
【0029】
このようにして、漸次拡幅するテーパ部D(図1参照)において、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13間に、円形シールドトンネル15を構築していく。
【0030】
この後、図8(a)に示すように、上記円形シールドトンネル15を先行構築した区間において、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の下端部間に、上記と同様にして円形シールドトンネル16を構築していく。このときには、円形シールドトンネル16の上部に型枠25を配するようにする。
【0031】
これら円形シールドトンネル15,16の構築が完了した後には、まず、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の継ぎ目部J2において、側面のセグメント18,18を取り外し、続いてこの部分の裏込充填材19,19および地山G3を撤去する。このときには、上下の円形シールドトンネル15,16が土留めの役割をなすようになっている。
なお、必要に応じ、矩形シールドトンネル13の上面側,円形シールドトンネル15等を支持する支保工を用いる。
【0032】
次いで、図8(b)に示すように、円形シールドトンネル15の下部、円形シールドトンネル16の上部において、それぞれ、裏込充填材22と、セグメント21と、型枠23,25とを撤去する。このとき、取り外す部分のセグメント21に継ぎ目を予め設けておき、さらにボルト等を用いず単に突き合わせるだけにしておくことにより、セグメント21の取り外しを簡単に行うことができる。また、型枠23,25は単に取り外すのみでよい。
【0033】
このようにして、図8(c)に示すように、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13の内部空間を周方向に連通させた後、トンネル構造体11の内部に鉄筋26を配筋組立し、さらにコンクリート27を打設充填することにより、テーパ部Dにおけるトンネル構造体11の構築が完了する。
【0034】
しかる後には、図3に示したように、トンネル構造体11の内方の地山G4を掘削し、ここに内部空間12A,12Bを形成することにより、テーパ部Dにおいて漸次拡幅する所定形状の大断面トンネル10の構築が完了する。
【0035】
上述した大断面トンネル10およびその構築方法では、大断面トンネル10を構成するトンネル構造体11の幅が漸次拡がるテーパ部Dにおいて、互いに隣り合う矩形シールドトンネル13,13どうしを漸次離間させるよう先行構築するとともに、2本一対の円形シールドトンネル15,16をトンネル構造体11の厚さ方向に変位させて後行構築することによって、トンネル構造体11を構築する構成とした。このようにして、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13間に円形シールドトンネル15,16を後行構築することによって、これらを矩形シールドトンネル13,13間の土留めとすることができ、従来のように薬液注入などによって地盤改良することなく、完全な止水効果を得ることができる。さらに、円形シールドトンネル15,16をトンネル構造体11の厚さ方向に変位させることによって、テーパ部Dにおけるトンネル構造体11の拡幅にも対応することができる。したがって、従来地盤改良にかかっていた費用と工期を低減することができ、また、地盤改良工法に比較して高い止水効果を得ることができるので、大断面トンネル10の施工の安全性を大幅に向上させることができる。
【0036】
なお、上記実施の形態において、互いに隣接する矩形シールドトンネル13,13間に、上下各1本の円形シールドトンネル15,16を構築する構成としたが、図9に示すように、矩形シールドトンネル13,13の間隔が大きい場合には、トンネル構造体11の周方向において、2本(図9(a)参照)、又は3本(図9(b)参照)、あるいはそれ以上の本数の円形シールドトンネル15,16を構築する。
この場合、矩形シールドトンネル13,13の間隔が漸次拡がるにしたがい、円形シールドトンネル15,16の本数を1本から2本、3本へと増加させていく。例えば、2本目の円形シールドトンネル15,16を構築するに際しては、矩形シールとトンネル13,13の間隔が、1本目の円形シールドトンネル15,16の外径よりも大きくなる前の位置から、2本目の円形シールドトンネル15,16用のシールド掘削機(図示なし)を発進させるようにする。3本目以降についても同様である。
【0037】
また、上記実施の形態において、本発明に係る大断面トンネルおよびその構築方法を、大断面トンネル10の幅が拡がるテーパ部Dに適用する構成としたが、もちろん、幅が減少する場合や、幅が変化しない部分においても適用することができる。さらには、大断面トンネル10の幅ではなく、高さが増加又は減少する場合にも同様にして適用することができる。
さらに、大断面トンネル10の本線部10Aや支線部10Bについては、その施工方法を上記に限定するものではなく、施工を低コスト、短工期で、かつ安全に行うことのできる方法を用いればよい。
【0038】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に係る大断面トンネルによれば、大断面を有したトンネルのトンネル構造体、矩形シールドトンネルと、トンネル構造体の内周面側と外周面側とに位置する2本一対の円形シールドトンネルとを、断面周方向において交互に隣接配置し、かつ互いに隣接する矩形シールドトンネルと円形シールドトンネルとを、その一部を互いに重合させて一体化したものである。これにより、トンネル構造体の内周面側と外周面側とに位置する2本一対の円形シールドトンネルを、互いに隣接する矩形シールドトンネル間の土留めとすることができるので、従来のように互いに隣接する矩形シールドトンネル間の地山を薬液注入などによって地盤改良することなく、完全な止水効果を得ることができる。したがって、従来地盤改良にかかっていた費用と工期を低減することができ、また、地盤改良工法に比較して、完全な止水効果を得ることができるので、大断面トンネルの施工の安全性を向上させることができる。
【0039】
請求項2に係る大断面トンネルによれば、トンネル構造体の断面における辺の長さを、該トンネル構造体の軸線方向に沿って漸次増加または減少させる部分で、2本一対の円形シールドトンネルの間隔を、トンネル構造体の厚さ方向に変位させる構成となっている。これにより、トンネル構造体の幅や高さ等が増加または減少する部分において、互いに隣接する矩形シールドトンネルの間隔の増減に対応することができ、この部分においても請求項1に係る効果を奏することができる。
【0040】
請求項3に係る大断面トンネルによれば、互いに隣接する矩形シールドトンネル間に、2本一対の円形シールドトンネルを複数並設させるとともにその一部を互いに重合させて一体化し、かつ互いに隣接する矩形シールドトンネルと円形シールドトンネルとがその一部を互いに重合させて一体化した構成となっている。これにより、互いに隣接する矩形シールドトンネルの間隔が、円形シールドトンネルの外径よりも大きい場合にも対応することができる。
【0041】
請求項4に係る大断面トンネルの構築方法によれば、予め定めた間隔を隔てて複数の矩形シールドトンネルを先行構築した後、互いに隣接する前記矩形シールドトンネル間に、構築すべき大断面トンネルの外周面側と内周面側とにそれぞれ円形シールドトンネルを後行構築することによってトンネル構造体を構築し、しかる後に、トンネル構造体の内方の地山を掘削してここに空間を形成して大断面トンネルを構築する方法である。そして、前記トンネル構造体の辺の長さをその軸線方向に沿って漸次増加または減少させる部分においては、互いに隣り合う矩形シールドトンネルどうしを漸次離間または接近させるよう構築するとともに、2本一対の円形シールドトンネルの間隔をトンネル構造体の厚さ方向に変位させて構築する構成となっている。このようにして、先行構築した矩形シールドトンネル間の、大断面トンネルの外周面側と内周面側とに、2本一対の円形シールドトンネルを後行構築することによって、これらを互いに隣接する矩形シールドトンネル間の土留めとすることができる。これにより、従来のように互いに隣接する矩形シールドトンネル間の地山を薬液注入などによって地盤改良することなく、完全な止水効果を得ることができる。したがって、地盤改良にかかる費用と工期を低減することができ、また、地盤改良工法に比較して非常に高い止水効果を有しているので、大断面トンネルの施工の安全性を向上させることができる。
【0042】
請求項5に係る大断面トンネルの構築方法によれば、円形シールドトンネルを構築するに際して、これを矩形シールドトンネルの内部から発進させる構成となっている。これにより、円形シールドトンネルを構築するためのシールド掘削機の組立や、これに必要な各種材料や円形シールドトンネルの構築に必要なセグメントなどの材料の運搬を、全て先行構築した矩形シールドトンネル内で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る大断面トンネルおよびその施工方法を適用する大断面トンネルの一例を示す平断面図である。
【図2】前記大断面トンネルの一部を示す立断面図である。
【図3】同大断面トンネルの拡幅部分を示す立断面図である。
【図4】前記拡幅部分におけるトンネル構造体の一部を示す立断面図である。
【図5】同拡幅部分におけるトンネル構造体の一部を示す平断面図および側断面図である。
【図6】図5の符号イ、ロ、ハの各位置における前記トンネル構造体の立断面図である。
【図7】前記トンネル構造体の構築方法を示す工程図である。
【図8】同トンネル構造体の構築方法を示す図であって、図7に続く状態を示す工程図である。
【図9】本発明に係る大断面トンネルおよびその構築方法の他の一例を示す立断面図である。
【図10】従来の大断面トンネルの一例を示す立断面図である。
【図11】従来の断面視矩形の大断面トンネルの一例を示す立断面図である。
【図12】図11に示した大断面トンネルの構築方法を示す工程図である。
【符号の説明】
10 大断面トンネル
11 トンネル構造体
13 矩形シールドトンネル
15,16 円形シールドトンネル

Claims (5)

  1. 大断面トンネルが、断面略矩形状に形成されたトンネル構造体と、その内方に形成されたトンネル空間とからなり
    前記トンネル構造体、断面視矩形状の矩形シールドトンネルと、前記大断面トンネルの内周面側と外周面側とにそれぞれ配置された2本一対の断面視円形の円形シールドトンネルとが、断面周方向において交互に隣接配置され、かつ互いに隣接する前記矩形シールドトンネルと前記円形シールドトンネルとがその一部を互いに重合させて一体化されたものであることを特徴とする大断面トンネル。
  2. 請求項1記載の大断面トンネルにおいて、前記トンネル構造体の断面における辺の長さを、該トンネル構造体の軸線方向に沿って漸次増加または減少させる部分で、前記2本一対の円形シールドトンネルの間隔が前記トンネル構造体の軸線方向に沿って、該トンネル構造体の厚さ方向に変位して構築されたものであることを特徴とする大断面トンネル。
  3. 大断面トンネルが、断面略矩形状に形成されたトンネル構造体と、その内方に形成されたトンネル空間とからなり、
    前記トンネル構造体が、互いに隣接する断面視矩形状の矩形シールドトンネルの間に、前記大断面トンネルの内周面側と外周面側とにそれぞれ配置された2本一対の断面視円形の円形シールドトンネルが前記トンネル構造体の周方向に複数並設されるとともにその一部を互いに重合させて一体化され、かつ互いに隣接する前記矩形シールドトンネルと前記円形シールドトンネルとがその一部を互いに重合させて一体化されたものであることを特徴とする大断面トンネル。
  4. 予め定めた間隔を隔てて複数の矩形シールドトンネルを先行構築した後、互いに隣接する前記矩形シールドトンネル間の、構築すべき大断面トンネルの外周面側と内周面側とに、それぞれ円形シールドトンネルを後行構築することによって、前記矩形シールドトンネルと、前記大断面トンネルの外周面側と内周面側とに位置する2本一対の前記円形シールドトンネルとが周方向において交互に隣接配置されてなるトンネル構造体を構築し、しかる後に、該トンネル構造体の内方の地山を掘削してここに空間を形成することによって、前記大断面トンネルを構築する方法であって、前記トンネル構造体の辺の長さをその軸線方向に沿って漸次増加または減少させる部分においては、互いに隣り合う前記矩形シールドトンネルどうしを漸次離間または接近させるよう構築するとともに、前記2本一対の円形シールドトンネルの間隔を前記トンネル構造体の厚さ方向に変位させつつ構築することを特徴とする大断面トンネルの構築方法。
  5. 請求項4記載の大断面トンネルの構築方法において、前記円形シールドトンネルを構築するに際して、これを前記矩形シールドトンネルの内部から発進させることを特徴とする大断面トンネルの構築方法。
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