JP2508165B2 - 化粧合板の端面処理法 - Google Patents

化粧合板の端面処理法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、テーブル、カウンター、家具、音響器ケ
ース等の木製什器や床材、壁材等の木質建材、車内装備
品などの表面材として好適に用いられる木質系化粧合板
の端面処理方法に関し、化粧合板の端面に切削加工を施
した後、この端面に未硬化状態の熱硬化性樹脂を塗布し
て未硬化樹脂膜を形成し、さらにこの樹脂膜上に、粘着
性テープの粘着面側に木材小片が接着されてなるテープ
を、その粘着面が上記樹脂膜に対向する向きに貼り合わ
せた後、上記樹脂膜を硬化させることによって、端面部
分においても木材小片の混入による美観が得られるとと
もに、全体に均質な表面が得られ、特に角や曲面などの
形状を有する端面と上下面との接合部においても滑らか
に変化してあたかも一枚板のように見える表面が、容易
な方法で得られるようにしたものである。
[従来の技術] 従来より、この種の化粧合板としては、先に本出願人
が特願昭61−161564号にて提案したものがある。これ
は、木材小片を分散した樹脂混和物からなる樹脂シート
を表面材として設けてなる化粧合板である。
そしてこのような化粧合板の端面を処理するにあたっ
ては、この端面に木材小片を1つ1つ接着し、概略の形
状とした後に、その空隙に樹脂を注ぎ込んで硬化させ、
さらに表面を切削することによって、目的の形状の端面
を得るといった方法が使用されていた。
[発明が解決しようとする問題点] ところが、この方法によれば、木材片を1つ1つ接着
する作業に非常に手間がかかる他、得られた化粧合板の
表面にあっても、全体に均質な表面とすることが難し
く、また化粧合板の上下面から端面への変化が滑らかで
なく断続的な表面となってしまうなど、その外観が悪い
不都合があった。さらに、最終的に切削等の処理を施し
て製品とする際にも、表面の切削性が悪く、割れたりひ
びが入ったりするなどの問題があった。
そこで、この発明は上述の問題点を解消し、全体に均
質で、かつ上下面と端面との接合部分が滑らかで連続的
であって、あたかも一枚板のような外観が得られ、かつ
表面の切削性が良好である化粧合板の端面処理法を提供
することを目的としている。
[問題点を解決するための手段] この発明は、化粧合板の端面の切削処理を施した後、
この端面に未硬化状態の熱硬化性樹脂を塗布して未硬化
樹脂膜を形成し、さらにこの樹脂膜上に、粘着性テープ
の粘着面側に木材小片が接着されてなるテープを、その
粘着面が上記樹脂膜に対向する向きに貼り合わせた後、
上記樹脂膜を硬化させることをその解決手段とする。
第1図は、この発明において使用される化粧合板の一
例を示すものである。
この化粧合板1は、基板2と、この基板2の上面ある
いは上下面に、木材小片が分散された樹脂混和物からな
る樹脂膜3が設けられて構成されている。
基板2には、ワラン合板、パーチクルボード、ランバ
ーコアーボード、ムク材などの木質系のものや、繊維強
化合成樹脂板などの樹脂系のものなどが用いられ、その
厚さは特に限定されることはないが、通常5〜50mm程度
とされる。
また樹脂膜3は、不透明樹脂中に木材小片3aを分散さ
せた樹脂混和物からなるものである。この木材小片3aに
は、黒タン、ブナ、ナラ、トチ、セン、タモ、カエデ、
カバ、カシなどの広葉樹、スギ、ヒノキ、マツ、スプル
ース、アガチスなどの針葉樹などの木材の小片であっ
て、その形状は特に限定されないが、板状、直方体状、
立方体状、粒状などの切削加工により形成された小片、
またはこれらの小片を機械的衝撃、ローラ加圧などによ
って破砕した小片などの様々の形状のものが用いられ
る。また、このような木材小片3a…を分散させる不透明
樹脂には、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコー
ン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹
脂が主に用いられ、これに必要に応じ適宜の充填剤、着
色剤などが添加されて使用される。
そして、このような樹脂中に上記の木材小片3a…を10
〜30重量%程度添加して混練りした混和物を、厚さ2mm
程度の平板状に成形したのちに、上記基板2上に接着剤
等を用いて貼り合わせて、第1図に示したような化粧合
板1が形成されている。
以下、このような化粧合板1の端面処理法の一例を、
工程順に詳細に説明する。
〔工程1〕 まず、この化粧合板1の端面に切削処理を施す。この
切削処理は、滑らかな端面を得るべく実施するものであ
り、その端面の形状は特に限定されないが、例えば具体
的には、第2図に示すような半円弧状の曲面を有する形
状とされるのが、作業上の点から好ましい。またこの切
削加工は、例えば#40〜#60程度のサンドペーパーやサ
ンドブラスト、あるいは平面研摩機などを利用して実施
する。そして、この切削加工においては、後述の樹脂膜
形成によって端面が被覆されて化粧合板1の大きさが増
大することを考慮に入れて、目的の化粧合板1の大きさ
よりも、端面被覆の厚さ分だけ小さくなるように切削を
行うことが望ましい。
〔工程2〕 次いで、〔工程1〕で得られた端面に、熱硬化性樹脂
の未硬化物を塗布して樹脂膜4を形成する。この樹脂に
は、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ジア
リルフタレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、
フェノール樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂が好適
に使用される。また、必要に応じ、これに適宜充填剤、
着色剤などが添加されて着色不透明樹脂として使用する
こともできる。ここでの充填剤には、炭酸カルシウム、
タルク、酸化チタン、シリカ、ガラス粉末などが好適に
使用され、その配合量は、樹脂液100重量部に対して100
〜300重量部程度とされ、ペースト状になるまで添加す
るのが好ましい。また着色剤には、黄色系、茶色系、褐
色系の色調の染料、顔料等が好ましいが、これ以外の色
調のものでもよく、その添加量は特に限定されることは
ない。
そして、このような熱硬化性樹脂の未硬化物は、第3
図に示したように、化粧合板1の端面に、厚さ3mm程度
となるように塗布されて、樹脂膜4とされる。この塗布
には、コテ塗りあるいは刷毛塗り等の方法が好適に使用
される。
〔工程3〕 一方、第4図に示したようなテープ5を作成する。こ
のテープ5とは、通常の片面粘着性テープ5aの粘着面側
一面に木材小片5bを接着してなるテープである。
このテープ5の作成にあっては、まず、ポリイソブチ
レン、ポリビニルエーテル、ポリビニルブチラール、ポ
リアクリル酸エステル等を主剤として、これにエステル
ガム、フェノール樹脂、クマロン樹脂等の粘着補助剤、
フタル酸エステル、塩化パラフィン、塩化ジフェニル等
の可塑剤、または必要に応じて適宜の着色剤等を添加し
てなる接着剤を用意する。
この接着剤を、布、紙、セロハン、ポリ塩化ビニル、
ポリエチレン、ポリエステル、フッ素樹脂などからなる
透明あるいは着色透明の支持体の片面に塗布することに
よって粘着面を形成して、片面粘着性テープ5aとする。
次いで、この片面粘着性テープ5aの粘着面に木材小片
5b…を接着する。この木材小片5bには、黒タン、ブナ、
ナラ、トチ、セン、タモ、カエデ、カバ、カシなどの広
葉樹、スギ、ヒノキ、マツ、スプルース、アガチスなど
の針葉樹などの木材の小片が好適に使用され、その形状
は特に限定されないが、板状、直方体状、円筒状、粒状
などの切削加工により形成された小片、またはこれらの
小片を機械的衝撃、ローラ加圧などによって破砕した小
片などの様々の形状のものが用いられるが、上記片面粘
着性テープ5aへの接着安定性などの点から、幅1〜6m
m、長さ3〜15mm、厚さ0.5〜3mm程度の大きさの小角タ
イプのものや、あるいは径1〜6mm、高さ3〜15mm程度
の大きさのチップタイプのものなどが好適に使用され
る。そして、これらの木材小片5b…は、樹種の異なるも
のや色調の異なるものなどが混入していてもよく、また
この木材小片5b…には必要に応じて寸法安定化処理や防
腐処理等を施してもよく、また1種または2種以上の色
調に着色処理を施したものを使用してもよい。またさら
にこの木材小片5b…は、上述の化粧合板1の上下面に設
けられた樹脂膜3中に分散されている木材小片3a…と同
一のものでも異なるものでもよいが、得られた化粧合板
1における表面全体がより均質なものに見えるために
は、同質のものを使用することが好ましい。そして、こ
の木材小片5b…を、上記粘着性テープ5aの粘着面一面に
接着して、テープ5とし、使用する。
またさらにこのテープ5に、通気性の良い粘着性テー
プ5a、すなわち例えば、ガーゼ等の支持材の片面にアク
リル系粘着剤を塗布してなる粘着性テープ5aなどを用い
れば、後述のようにこのテープ5を端面の樹脂膜4上に
に貼着する際、この樹脂膜4とテープ5との間および/
あるいは樹脂膜4中に混入された空気を脱気することが
できるため、気泡の発生がなく、かつ樹脂膜4とテープ
5との密着性のよい端面を得ることができる。
〔工程4〕 次に、このテープ5を、〔工程2〕で端面に塗布され
た未硬化の熱硬化性樹脂膜4上に貼着する。この際、第
5図に示したように、上記テープ5の粘着面、すなわち
木材小片5b…が粘着されている側の面が、上記熱硬化性
樹脂膜4に接するような向きに貼り合わせて、第6図に
示したように、端面を覆う。
次いで、この熱硬化性樹脂膜4を硬化させる。ここで
いう硬化とは、熱硬化性樹脂の架橋が十分に進行して固
化した状態を指呼している。そして、このような硬化状
態とするには、具体的には例えば80℃程度の加熱炉内に
30分程度静置することによって硬化させることもできる
が、より好ましくは、樹脂を硬化させると同時にこの樹
脂中あるいは樹脂とテープとの間から空気を追い出すた
めに、エアバッグを利用して、80℃程度の加熱下で0.1M
Pa程度の圧力を加えることによって硬化させるなどの方
法がより効果的に利用される。
〔工程5〕 次いで、硬化状態とされた樹脂膜4からテープ5を剥
離し、その端面に曲面加工を施して、所望の、形状の端
面を形成する。この曲面加工は、例えばモルダーなどを
用いて切削により所望の形状を得たのちに表面を研摩す
ることによって実施することができる。具体的には例え
ば、第7図に示したような半円弧状の曲面を有する端面
を得る。
さらに、こうして得られた化粧合板1の端面を含む全
表面上には、必要に応じ不飽和ポリエステル樹脂等から
なる透明樹脂膜を設けて、これらの硬化樹脂膜などを保
護することもできる。
以上述べたように、この発明の化粧合板1の端面処理
法は、化粧合板1の端面に切削加工を施した後、この端
面に未硬化状態の熱硬化性樹脂を塗布して未硬化樹脂膜
4を形成し、さらにこの樹脂膜4上に、片面粘着性テー
プ5aの粘着面側に木材小片5b…が接着されてなるテープ
5を、その粘着面が上記樹脂膜4に対向する向きに貼り
合わせた後、上記樹脂膜4を硬化させるものであるの
で、木材混入による美観が全体に及び得られ、かつ上下
面と端面との接合部分が滑らかで連続的であって、全体
が均質であたかも一枚板のような外観が、容易な方法に
よって得られる効果がある。
[実施例] 不飽和ポリエステル樹脂100重量部に炭酸カルシウム2
00重量部と黄色顔料5重量部を配合したペースト状の組
成物を用意した。
一方、ブナ、ナラなどを幅3〜6mm、長さ5〜10mm、
厚さ1〜1.5mmの大きさの小片に切断し、これを乾燥し
たのち不飽和ポリエステル樹脂中に浸漬し、樹脂液を含
浸し、常温で放置して半硬化状態とした木材小片を上記
組成物に混合し、これを型に流し込みローラで均して厚
さ1.5mmの平板状に成形した。次いで、ホットプレスに
圧力3MPa、温度140℃、時間2分加熱加圧して硬化状態
とした。このものをサンダー掛けして研削したのち、厚
さ12mmのワラン合板の基板に貼り合わせて、化粧合板を
得た。
次いで、この化粧合板の端面を#100のサンドペーパ
ーにより切削して、第2図に示したような半円弧状の端
面を得た。
次いで、この端面に、未硬化状態のエポキシ樹脂を塗
布した。このエポキシ樹脂の配合量は、 エピコート#815 100重量部 エポメートLX−1 33重量部 炭酸カルシウム 240重量部 のもので、ペースト状のものを使用した。
一方、粘着テープの粘着面一面に、ブナ、ナラなどを
幅1〜5mm、長さ5〜15mm、厚さ0.2〜2mm程度の大きさ
の小角タイプの小片に切断し、これを乾燥したのち不飽
和ポリエステル樹脂中に浸漬し、樹脂液を含浸させ、常
温で放置して半硬化状態とした木材小片を接着させて、
テープを作成した。
このテープを、この粘着面に接着されている木材小片
が、上記エポキシ樹脂に接するような向きに貼り合わせ
た。
次いで、エアバッグを使用して、温度80℃、圧力0.1M
Pa、時間30分の条件にて加熱加圧して、上記エポキシ樹
脂を硬化させた。
次いで、この端面から上記テープを剥離したのち、得
られた端面をモルダーにより曲面加工して、第7図に示
したような半円弧状の端面を有する化粧合板を得た。
以上のようにして得られた化粧合板にあっては、端面
にも木材小片が配されているので、上下面とともに、端
面においても木材混入による美観が得られ、またこの上
下面と端面との接合部にあっては、滑らかに連続的に変
化する表面が得られ、このため、全体に及び均一で、あ
たかも一枚板のような外観が得られた。
[発明の効果] この発明の化粧合板の端面処理法は、化粧合板の端面
に切削加工を施した後、この端面に未硬化状態の熱硬化
性樹脂を塗布して未硬化樹脂膜を形成し、さらにこの樹
脂膜上に、片面粘着性テープの粘着面側に木材小片が接
着されてなるテープを、その粘着面が上記樹脂膜に対向
する向きに貼り合わせた後、上記樹脂膜を硬化させるも
のであるので、全体に均質な表面が得られ、かつ上下面
と端面との接合部分が滑らかで連続的であって、あたか
も一枚板のような外観が、容易な方法により得られる効
果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図〜第6図は、ともにこの発明の化粧合板の端面処
理法の一例を工程順に説明する概略断面図であり、 第7図は、この方法により得られた化粧合板の端面の一
例を示す概略断面図である。 1……化粧合板、4……樹脂膜、5……テープ、5a……
片面粘着性テープ、5b……木材小片。
フロントページの続き (72)発明者 大本 兼男 静岡県浜松市中沢町10番1号 ヤマハ株 式会社内 (56)参考文献 特開 昭56−24104(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化粧合板の端面に切削加工を施した後、こ
    の端面に未硬化状態の熱硬化性樹脂を塗布して未硬化樹
    脂膜を形成し、さらにこの樹脂膜上に、粘着性テープの
    粘着面側に木材小片が接着されてなるテープを、その粘
    着面が上記樹脂膜に対向する向きに貼り合わせた後、上
    記樹脂膜を硬化させることを特徴とする化粧合板の端面
    処理法。
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