JP2507656Y2 - ドラム式洗濯機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ドラム水平軸芯回りに回転駆動されるドラ
ムによって洗濯をなすドラム式洗濯機に係り、更に詳し
くは、洗濯に供せられる洗濯物の量を検出するとともに
洗濯物量に応じて運転条件を調整することのできるドラ
ム式洗濯機に関する。

〔従来技術〕

この種のドラム式洗濯機は、洗濯水が所定量給水され
た水槽内で、洗濯物を収容したドラムをドラム水平軸芯
回りに回転駆動させることにより洗濯がなされ、その時
の給水量を、前記水槽に設けられた水位センサ若しくは
給水管の中途に設けられた流量検知器により検出するよ
うに構成されている。

〔考案が解決しようとする課題〕 ところが、上記したような従来のドラム式洗濯機は、
洗濯物と比較してドラムの重量が非常に大きなものとな
る。そのために、攪拌式洗濯機に見られるような、洗濯
時に回転する攪拌翼に加えられた洗濯物の負荷抵抗力を
前記攪拌翼の回転数やモータの通電電流変化から判断す
るといった、洗濯物量の検知をなすことが困難であっ
た。

従って、前記ドラム式洗濯機は、洗濯物量が検知され
ることは殆どないことから、洗濯に供せられる洗濯物量
に関係なく、洗濯物の定格容量に基づいた水量の洗濯水
が給水されていた。そのために、洗濯に供せられる洗濯
物量が少ない場合でも、前記所定水量の洗濯水が給水さ
れ、洗濯時間も変わらないことから、経済的な或いは時
間的な面から無駄が多いといった問題がある。

そこで、本考案の目的とすることろは、洗濯物量を検
知することができ、検知された洗濯物量に応じて運転条
件を最適に調整することのできるドラム式洗濯機を提供
することにある。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案が採用するする手
段は、その要旨とするところが、水槽内で、洗濯物を収
容したドラムをドラム水平軸芯回りに回転させて洗濯す
るドラム式洗濯機において、前記水槽内へ時間当たり一
定量の洗濯水を供給する定量供給手段と、上記定量供給
手段による給水時間を計測するタイマー手段と、前記水
槽内の洗濯水の水位を検知する水位センサと、洗濯に先
だって洗濯物を濡らす濡らし工程手段と、前記濡らし工
程前後に定水位まで給水するための給水時間の変化を前
記タイマー手段によって検出する給水時間検出手段と、
前記給水時間の変化に応じて運転条件を調整する制御手
段とを具備してなることを特徴とするドラム式洗濯機で
ある。

〔作用〕

本考案に係るドラム式洗濯機では、洗濯水が所定レベ
ルまで水槽内に給水され、その時の洗濯水の給水時間が
タイマー手段により検出される。次に、洗濯物は、濡ら
し工程手段により洗濯に先だって濡らされ、前記水を含
浸する。この濡らし工程により水位が下がるが、この時
の水位低下量は洗濯物の量に応じたものとなる。続い
て、前記濡らし工程後に更に給水され、所定水位に達す
るまでの給水時間が検出される。こうして、検出された
濡らし工程前後の給水時間の変化量は、給水量の変化量
に比例する。このような給水量の変化量は洗濯物量に依
存する。そして、前記ドラム式洗濯機は、前記洗濯水の
変化量、換言すれば洗濯物量に応じて、運転条件が制御
手段により最適に調整される。

ここで給水量の変化が洗濯物の量の変化に対応する理
由を第４図を参照して説明する。

この発明では、第４図（ａ）に示すように，洗濯に先
立ってドラムＡに洗濯物Ｂを入れた後，給水栓Ｃから洗
濯槽内の所定水位L1まで給水する（１次給水）。単位時
間当たりの給水量が一定になるように調整されているの
で，水位L1までの給水に掛かった時間T1は，その時の水
量を表す。水位L1はドラムＡの底部が漬からない程度で
あるから，ドラム内の洗濯物Ｂはこの時点では濡れな
い。

水位L1に達すると給水を中断してドラムＡを回転しつ
つ，散水栓Ｄから洗濯槽内の水を汲み上げてドラム内の
洗濯物Ｂに散水し，洗濯物を十分に濡らす（第４図
（ｂ））。洗濯物が十分に濡れると，洗濯槽内の水が洗
濯物の中に吸収されるので，洗濯槽内の水の水位はL2ま
で下がる（第４図（ｃ）参照）。洗濯物の量が多い程そ
の吸水量が多いので，洗濯層内の水位L2は洗濯物量が多
い程，低くなる。従って、上記１次給水時の水位L1と水
位L2の差が洗濯物の量を表す。但し，水位L2は実際には
測れない程低い場合もあり，直接水位L2を検出できない
場合があるので，再度給水栓Ｃから水位がL1になるまで
給水して（２次給水），その時の給水時間T2を測定す
る。この２次給水時間T2は，水位L1とL2の差の水量に対
応する。次に上記給水時間T2とT1との比（T2/T1）を演
算する。この時，給水栓Ｃにおける水圧が常に一定であ
れば，上記水位L1とL2の差だけで洗濯物の量を判断すれ
ば良いが，実際には上記給水栓Ｃにおける水圧は，洗濯
する時間帯（家庭が水を使う時間帯と使わない時間帯で
は水圧が変化する）や，使用する家の場所（高層マンシ
ョンの上層部か低層部か等）によって変化する。その
為,1次給水時間T1をベースとして２次給水時間との比を
導入すると，上記比は水圧の変化に係わらず洗濯物の量
を表す。以上述べたところから，給水量の変化が洗濯物
の量の変化に対応することが理解される。

〔実施例〕

以下、図面を参照して、本考案を具体化した実施例に
つき説明し、本考案の理解に供する。尚、以下の実施例
は、本考案を具体化した一例であって、本考案の技術的
範囲を限定する性格のものではない。

ここに、第１図は本考案の一実施例に係るドラム式洗
濯機を示す側断面図、第２図はドラム式洗濯機の制御に
係る信号系統を示すブロック図、第３図は同ドラム式洗
濯機の制御手順を示すフローチャート、第４図は給水量
の変化が洗濯物の量の変化に対応することを説明するた
めの概念図である。

第１図において、ドラム式洗濯機Ｄは、第１図及び第
２図に示すように、外槽１の内部に水槽２が運転中の振
動を吸収するように図外のバネにより弾性的に支持され
ている。

前記水槽２は、その底部に排水口17が開口して設けら
れ、該排水口に接続された排水管18によって外槽１の外
部と連絡されている。前記排水管18は、その中途に、必
要に応じて該排水管18を開閉する電磁式の排水弁６が配
設され、該排水弁６と前記排水口17との間で分岐されて
循環ポンプ８と連結されている。前記排水弁６は洗い運
転時には閉止されている。更に、該循環ポンプ８は、そ
の吐出側が水槽２の上部に設けられた循環水注入口12に
接続されている。

水槽２の背面上部には、給水口11が設けられ、給水管
19によって機外の給水栓（不図示）と連結されている。
前記給水管19は、その中途に、必要に応じて給水管を開
閉する電磁式の給水弁５と給水量を一定に保つ定流量弁
10とが配設されている。

更に、前記水槽２は、その背面下端部に導圧管13が水
槽２の外側に向けて接続されている。前記導圧管13は、
その先端に、水槽２の底部に貯留された図外の洗濯水の
水頭に応じて変化する圧力を検出するように、水位セン
サ９が配設されている。

そして、水槽２は、運転時に外槽１の前面に蝶設され
た蓋４を閉止することにより密封される。

前記水槽２に収納された円筒状のドラム３は、その内
周部3aに、バッフル16が、ドラム水平軸芯方向に長く且
つ同軸芯に向けて突出して形成されるとともに、多数の
通水用小孔20が開口して形成されている。そして、前記
ドラム３は、背面側の側壁部3bに固着されたドラム水平
軸21が軸受22を介して前記水槽２に軸支され、前記水槽
２の底部外面に固設されたモータ７と、プーリ14、23及
びベルト15を介して連結されている。

前記ドラム式洗濯機Ｄの運転を制御する制御部30は、
水位センサ９及び各種スイッチからの信号を入力して演
算した後に、給水弁５、排水弁６、モータ７、循環ポン
プ８及び各種表示ポンプ等へ信号を出力するCPUと、給
水時間を計時するタイマーと、予め設定入力された数値
データ及び演算毎の信号データを記憶するメモリと、前
記CPUと上記した周辺機器との間で入出力信号のやりと
りを行うインタフェイスといった、それぞれ図外の要素
から構成され、外槽１に内設されている。

従って、上記したように構成されるドラム式洗濯機Ｄ
は、運転時にはドラム３の内部に洗濯物及び洗剤を投入
し蓋４を閉止した後に、操作スイッチをONすれば、洗濯
運転が開始される。

以下、第３図に示すフローチャートに従って、前記制
御部30における制御動作に付き説明する。

先ず、運転開始に伴って、給水弁５がONされて開放
し、洗濯水が流量検知器10を通過して水槽２内に１次給
水される（ステップS1）。前記洗濯水は、前記メモリに
記録された１次設定水位に対応する水槽２の水位まで１
次給水される（ステップS2）。水位の検知は水位センサ
９が行う。このとき、洗濯水は、水槽２の背面側の給水
口11から定流量弁10を経て単位時間当り一定量づつ給水
され、ドラム３の底部が水没しない前記１次設定水位ま
でしか給水されないので、前記洗濯水がドラム３内に収
容された洗濯物に含浸されることはない。そして、洗濯
水が前記１次設定水位まで給水されたことが水位センサ
９によって検知されると、制御部30からの出力信号によ
り給水弁５が閉止され、洗濯水の１次給水が終了する。
かかる１次給水に要した時間T1は前記タイマーにより計
時され記憶される（ステップS3）。

続いて、モータ７がONされ、ドラム３が回転駆動され
る。それにより、前記洗濯物は、バッフル16によって、
ドラム３の頂部まで持ち上げられた後に底部に落下され
るといったタンブリングが繰り返される。

同時に、循環ポンプ８も起動され、水槽２の底部に貯
留された洗濯水が、水槽２上部の循環水注入口12からド
ラム３に向けて噴射される。それにより、前記洗濯水
は、ドラム３の通水用小孔20を通過して、ドラム３内の
洗濯物を濡らして含浸される（ステップS4）。

上記したような洗濯物に対するドラム３によるタンブ
リング、及び洗濯水の循環噴射といった濡らし工程がス
テップS4において所定時間の間実行された後に、前記モ
ータ７及び前記循環ポンプ８が停止され、その時の水槽
２の底部に貯留された洗濯水の水位が水位センサ９によ
り検知される。

そして、前記洗濯水の水位は、ステップS5において前
記１次設定水位と比較判断される。換言すれば、水槽２
底部に貯留された前記濡らし工程前後の洗濯水の変化量
が検出される。このとき、濡らし工程後における洗濯水
の水位が１次設定水位と略同等若しくは若干低いと判断
されれば、前記洗濯水はほとんど洗濯物に含浸していな
いことが示され、洗濯水の含浸量に略比例する洗濯物量
が極めて少ないと判断される。そこで、洗い、濯ぎ、及
び脱水が一連となった全自動運転コースモードの内か
ら、極小の洗濯物量に適した、例えば水量が少なく且つ
洗濯時間の短い極小量コース運転モードが選択される。

逆に、前記洗濯水の水位が１次設定水位よりも低い場
合には、給水弁５が開放され、前記メモリに予め記憶さ
れた２次設定水位に達するまで２次給水がなされる（ス
テップS6及びS7）。この時の洗濯水の２次給水時間、T2
は、前記タイマーにより検知され、その給水時間データ
（T2/T1）が前記メモリに格納される（ステップS8）。
更に、前記給水時間T2/T1データは、予め設定され前記
メモリに記憶されている閾値データα、β（α＜β）と
その大小が比較演算される（ステップS9）。そして、前
記比較演算結果に応じて運転条件を調整するように、前
記全自動運転コースモードの内から適宜のモードが選択
される。

例えば、前記２次給水時間データ（T2/T1）が前記閾値
データβよりも大きかった場合には、洗濯水の含浸量が
最も多い、即ち洗濯物量が最も多いと判断され、満量コ
ース運転モードが選択される。

同様に、前記２次給水時間データ（T2/T2）が、閾値
データα及びβの中間値、若しくは閾値データαよりも
小さい値である場合には、それぞれ中量コース運転モー
ド若しくは小量コース運転モードが選択される。

このように、ドラム式洗濯機Ｄは、洗濯に供せられる
洗濯物量に応じて給水量、洗濯時間、ドラム回転数など
の運転条件を最適に調整することができる。それによ
り、経済的に或いは時間的に無駄の少ない洗濯運転が実
現され得る。

尚、本実施例における水量検出手段として、濡らし工
程後に２次設定水位まで注ぎ足した洗濯水の２次給水量
を検出したが、濡らし工程後の水槽内における洗濯水の
水位を直接設定するものであってもよい。即ち、濡らし
工程前後の水量の変化は、濡らし工程前後の水位の変化
を測定することにより検出することができる。

また、上記した２次設定水位は、１次設定水位と同水
位であっても構わない。

更に、前記閾値データα、βは２つのデータが設定さ
れたが、設定される閾値データを１つとして、極小量コ
ース運転モードも含めて３つのモードでも良い。逆に、
閾値データを数多く設定すれば、より細かな運転モード
を選択することが可能となる。

このようなドラム式洗濯機は、流量検知器を必要とし
ないため、信号系統及び制御方法が簡略化される。更
に、水槽２への給水圧力が一定である場合には、定流量
弁を省略しても構わない。

〔考案の効果〕

本考案は、水槽内で、洗濯物を収容したドラムをドラ
ム水平槽芯回りに回転させて洗濯するドラム式洗濯機に
おいて、前記水槽内へ時間当たり一定量の洗濯水を供給
する定量供給手段と、上記定量供給手段による給水時間
を計測するタイマー手段と、前記水槽内の洗濯水の水位
を検知する水位センサと、洗濯に先だって洗濯物を濡ら
す濡らし工程手段と、前記濡らし工程前後に定水位まで
給水するための給水時間の変化を前記タイマー手段によ
って検出する給水時間検出手段と、前記給水時間の変化
に応じて運転条件を調整する制御手段とを具備してなる
ことを特徴とするドラム式洗濯機であるから、簡易且つ
安価な構成で洗濯物量を検知することができ、前記洗濯
物量に応じて運転条件を最適に調整することが可能とな
る。それにより、経済的に或いは時間的にも無駄を省く
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係るドラム式洗濯機を示す
側断面図、第２図は同ドラム式洗濯機の制御に係る信号
系統を示すブロック図、第３図は同ドラム式洗濯機の制
御手順を示すフローチャート、第４図は給水量の変化が
洗濯物の量に対応することを説明するための概念図であ
る。 〔符号の説明〕 Ｄ……ドラム式洗濯機、２……水槽 ３……ドラム、５……給水弁 ６……排水弁、７……モータ ８……循環ポンプ、９……水位センサ 10……定流量弁、12……循環水注入口 21……ドラム水平軸、30……制御部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】水槽内で、洗濯物を収容したドラムをドラ
   ム水平軸芯回りに回転させて洗濯するドラム式洗濯機に
   おいて、 前記水槽内へ時間当たり一定量の洗濯水を供給する定量
   供給手段と、 上記定量供給手段による給水時間を計測するタイマー手
   段と、 前記水槽内の洗濯水の水位を検知する水位センサと、 洗濯に先だって洗濯物を濡らす濡らし工程手段と、 前記濡らし工程前後に定水位まで給水するための給水時
   間の変化を前記タイマー手段によって検出する給水時間
   検出手段と、 前記給水時間の変化に応じて運転条件を調整する制御手
   段とを具備してなることを特徴とするドラム式洗濯機。