JP2507549Y2 - 身体障害者用入浴装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案は、身体障害者を入浴させるために用いられる
身体障害者用入浴装置に係るものであり、特に支柱に回
転アームを支持させ、該回転アームの先端に取り付けた
支持アームに支持される担架の上面に身体障害者を載せ
て入浴させる入浴装置に関するものである。

「従来の技術」 従来、身体障害者入浴装置として、例えば、特公昭57
-42340号公報に開示されているように、支持アームに回
転アームの基端側を鉛直面内に回転自在に取り付け、回
転アームの先端で入浴用担架を支持する構成のものが知
られている。

この装置を用いて身体障害者を入浴させるには、身体
障害者を担架上に乗せた後、回転アームを回転させて担
架およびその上に乗せた身体障害者をアーム基端を中心
に円周方向に移動させて、浴槽中に浸すようにする。逆
に、身体障害者を浴槽から出す場合には、回転アームを
前記とは逆方向に回転させるようにする。

「考案が解決しようとする課題」 上記した従来の身体障害者用入浴装置では、当該入浴
装置が設置されるスペースや天井高さにより装置自体に
寸法制限がありかつ軽量化の要求もあって、担架を浴槽
本体から出してその上部に身体障害者を乗せる際に、浴
槽本体と担架との間にあまり大きな隙間をとることがで
きない。このため、浴槽本体と担架との隙間に介助者が
入ることができず、車椅子やストレッチャから入浴装置
担架へ身体障害者を移し替える作業や、担架上での身体
障害者の清拭作業等の作業が行いづらい欠点があった。

本考案は上記事情に鑑みてなされたもので、車椅子等
から入浴装置担架へ身体障害者を移し替える移替作業等
を行う場合に、介助者の作業性の向上が図れる身体障害
者用入浴装置を提供することを目的とする。

「課題を解決するための手段」 本考案では係る目的を達成するために、基台に立設さ
れた支柱と、該支柱に基端側を垂直面に沿って回転自在
に支持された回転アームと、該回転アームの先端に取り
付けられた支持アームに支持されて回転アームが回転さ
れる際常に水平状に保持される担架と、前記回転アーム
が所定角度位置にあるとき担架上に乗せられた身体障害
者を入浴させる浴槽本体とを備え、前記担架は支持アー
ムに対し水平方向に相対移動可能に設けられ、かつ担架
と支持アームとの間には両者の相対的な位置を決定して
保持するロック機構が設けられている構成とした。

「作用」 車椅子から入浴装置の担架へあるいはその逆に入浴装
置から車椅子へ身体障害者を移し替える場合、担架を支
持アームに対し水平方向へ相対移動させて、担架と浴槽
本体との間に適宜隙間をつくる。

この隙間を利用して介助者は担架と浴槽本体との間に
入ることができ、よって、身体障害者に対する移替作業
や清拭作業等の作業が容易に行える。

また、担架はロック機構によって支持アームに対し保
持固定することができ、上記移替作業等の際に担架が動
くことを防止でき、移替作業等の安全性は確保される。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明する。

第１実施例 第１図〜第11図は本考案の第１実施例を示すものであ
り、第１図は入浴装置の全体側面図、第２図は同断面図
である。

これらの図において符号１は浴槽本体、２は浴槽本体
１の近傍に配備された昇降装置であり、両者によって入
浴装置が構成される。また、５はカバー5aによって覆わ
れた昇降装置２の基台であり、この基台５には角パイプ
から作られた支柱６が基端部を基台５にボルト止めされ
て立設されている。支柱６には昇降体７が昇降自在に取
り付けられている。昇降体７は、内部に油圧シリンダ等
の駆動源を備え、これによって適宜高さ位置に移動調整
できかつその位置に保持できるようになっている。

第３図に示すように昇降体７には軸８が回転自在に支
持され、該軸８の突出端には回転アーム10がその基端側
を固定支持されて、垂直面に沿って回転自在に設けられ
ている。この回転アーム10は昇降体７の内部に配備され
た回転機構によって回転操作される。回転アーム10の先
端には軸受け11が水平状に延びるように固着され、軸受
け11には軸12が回転自在に支持されている。そして軸12
の一端（図中右端）にはＬ字状の支持アーム13が支持さ
れている。支持アーム13には身体障害者Ｍを座位の状態
で乗せる担架14が床面に平行となるように支持されてい
る。なお、担架14は必要に応じ、身体障害者Ｍの背を支
持する背もたれ部分14aを適宜角度調整できるようにし
てもよい（第１図参照）。

また、この入浴装置には、回転アーム10が回転操作さ
れるときでも常に担架14の上面を床面と平行となるよう
につまり水平状態になるように保持する平行リンク機構
15が設けられている。平行リンク機構15は、前記軸８の
突出端部であって回転アーム10が固着された部分よりも
若干内方にずれた位置にスプロケット16が昇降体７に対
し相対回転不能に取り付けられ、このスプロケット16と
前記担架14を支持する軸12の図中左端に取り付けられた
スプロケット17との間にチェーン18が巻回されて構成さ
れている。なお、上記両スプロケット16,17は同径のも
のが用いられ、これにより、担架14の上面が常に床面と
平行となるように保持される。

前記担架14は支持アーム13に対し水平方向に移動自在
に設けられ、かつ担架14と支持アーム13との間には両者
の相対的な位置を決定して保持するロック機構19が設け
られている。

すなわち、第４図〜第８図に示すように、支持アーム
13にはブラケット21を介してシャフト22が起立状態で取
り付けられている。他方、前記担架14を支持する担架フ
レーム23には一端側にボス24が設けられ、該ボス24に前
記シャフト22が挿通されることにより、担架14はシャフ
ト22を中心に水平方向に回動可能になっている。シャフ
ト22の上下部分にはスラストワッシャ25,26が取り付け
られ、さらにその両側には抜け止めナット27が螺合され
ている。

また、前記支持アーム13の先端側上部（第４図〜第６
図中右端側上部）には平板レール29が固定され、前記担
架フレーム23の下面には複数のローラ30…が取付板31を
介して前記シャフト22を中心に所定角度置きに取り付け
られている。そして、ローラ30が前記平板レール29上を
走行することにより、担架14の荷重を、支持アーム13の
基端側だけでなく、ローラ30および平板レール29を介し
て支持アーム13の先端側にも分散できるようになってい
る。

担架フレーム23に取り付けられる取付板31の基端側
（第４図〜第６図中左端側）には舌片部31aが形成さ
れ、この舌片部13aは、支持アーム13に取り付けられた
押さえ部材32により上方から押さえられている。これに
より、荷重バランス等によって、担架14の先端側（第４
図〜第６図中右端側）が上動するような力を受けるとき
でも、その移動を防止できる。

また、前記ロック機構19について説明すると、前記取
付板31には、コ字状のロックレバー35が一端側をピン34
により支持されて水平面に沿って回動自在に取り付けら
れ、該ロックレバー35は図示しないスプリングによりピ
ン34を中心に第４図中Ａ方向に付勢されている。該ロッ
クレバー35の他端側には後述するロック溝29aに嵌合す
るロックピン36が植設されている。また、第７図および
第８図に示すように、担架フレーム23には操作用とロッ
ク用を兼ねたハンドル38が取り付けられている。ハンド
ル38は、担架フレーム23に取り付けられた取付基台39
と、該取付基台39に対してスライド自在に嵌合されたハ
ンドル操作部40からなっている。ハンドル操作部40は連
結バー41を介して前記ロックレバー35に連結されてい
る。

他方、平板レール29の先端側（第４〜６図中右端側）
は円弧状に形成され、そこにはロック溝29a、29aが適宜
間隔をあけて形成されている。このロック溝29aに、前
記ロックレバー35に取り付けたロックピン36が嵌入する
ことにより、支持アーム13に対する担架14の位置が決定
されかつ保持されるようになっている。

次に、上記構成の入浴装置の作用について説明する。

身体障害者Ｍを入浴させる場合、例えば、第９図に示
すように担架14が浴槽本体１内にある場合には、第２図
に示すように回転アーム10の回動操作並びに昇降体７の
昇降操作を行うことにより、担架14を浴槽本体１の外方
へ出し、同浴槽本体１の側方へ位置させる。

そして、この外方へ取り出した担架14に対して、身体
障害者Ｍを乗せた車椅子Ｃあるいはストレッチャを横付
けし、身体障害者Ｍを車椅子Ｃ等から担架14へ移し替え
る。

このとき、第11図および第５図に示すように、担架14
を支持アーム13に対しシャフト22を中心にＸ方向に回動
させることにより、浴槽本体１と担架14との間に適宜隙
間Ｓをつくる。この隙間Ｓを利用して介助者は、浴槽本
体１と担架14との間に入ることができ、もって、身体障
害者Ｍに対する移替作業が容易に行える。また清拭作業
等の作業も容易に行える。

上記担架14を回動させるには、ハンドル操作部40を手
前に引き、図示しないスプリングに抗してロックレバー
35を第４図中Ｂ方向に回動させてロックピン36をロック
溝29aから抜き出し、ロック状態を解除して担架14をシ
ャフト22を中心にＸ方向に回動させる。そして、適宜位
置に来たところで、ハンドル操作部40の引っ張り力を解
除すると、ロックレバー35はスプリングの付勢力によっ
てＡ方向に回動し、先端のロックピン36が第５図に示す
ように手前側のロック溝29aに嵌入する。これによりロ
ック状態となる。したがって、上記身体障害者Ｍの移替
作業等の際に、担架14が自由に動くことを防止でき、作
業の安全性が確保される。

このように身体障害者Ｍを担架14の上面に移し替えた
後、回動アーム10の回動操作や昇降体７の昇降操作によ
って、身体障害者Ｍを浴槽本体１に入浴させることがで
きる。

入浴状態から脱する場合には、回動アーム10や昇降体
７を前記とは逆方向の動作を行なわせて、身体障害者Ｍ
を車椅子Ｃ等の近傍位置に戻し、同車椅子Ｃに移せばよ
い。

第２実施例 第12図ないし第16図はこの考案の第２実施例を示す。

この実施例は担架14を支持アーム13に対し水平方向に
平行移動させる例である。

すなわち、第12図〜第14図に示すように、支持アーム
13の上面の基端部および先端部には、ブラケット49を介
して断面逆Ｌ字状のレール50（50a、50b）が支持アーム
13に対して直交するように取り付けられている。他方、
担架フレーム23の下面の基端部および先端部には、２つ
の走行ローラ51,51および一つのガイドローラ52がそれ
ぞれブラケット53に支持されて取り付けられ、担架14の
幅方向に複数設けられている。走行ローラ51…はレール
50（50a,50b）上を走行するように位置決めされ、ガイ
ドローラ52はレール50の外側（第14図に示すように基端
側のレール50aに対しては図中左側、先端側のレール50b
に対しては図中右側）にくるよう位置決めされており、
両ガイドローラ52によって、担架14が支持アームの長手
方向に移動するのを規制できるようになっている。

また、担架フレーム23の基端部および先端部には浮き
上がり防止部材55が、その先端をレール50の張り出し部
の下方位置に張り出して取り付けられ、これにより担架
14の基端部あるいは先端部が荷重バランス等で浮き上が
るのを防止している。

また、担架14の中央部には支持アーム13との間に、該
支持アーム13との相対的な位置を定めるロック機構19が
設けられている。このロック機構19は、第14図および第
15図に示すように支持アーム13側に、下方からのロック
ピン56の侵入を許容するロック溝57aを有するロック板5
7が左右に適宜間隔をあけて取り付けられている。ま
た、担架フレーム23の下面には取付板58を介してロック
アーム59が、ピン60を中心に垂直方向に揺動可能かつ前
記両ロック板57の間に配置されて取り付けられている。
このロックアーム59の先端部には前記ロックピン56が両
側をロックアーム59から突出されていて、このロックア
ーム59中央部９と取付板58との間にスプリング61が取付
られ、ロックピン56ハロック板57のロック溝に嵌合する
方向（第15図中反時計方向）へ回動するように付勢され
ている。このため、ロックアーム59も同方向へ付勢され
ている。

この実施例においても、車椅子あるいはストレッチャ
から担架14へ３身体障害者を移し替えるとき、第16図に
示すように、担架14を支持アーム13から離間する方向に
移動させることができる。このため、担架と浴槽本体の
との間に形成されてる隙間Ｓに介助者が侵入でき、前記
実施例と同様身体障害者Ｍの移替作業や、清拭作業が容
易に行える。

また、上記実施例では、支柱６に昇降体７を設けこの
昇降体７から回転アーム10を延出させて担架14を支持さ
せているが、これに限られることなく、昇降体７をもた
ず支柱６に直接回転アーム10を取り付けて担架14を支持
する構造のものにも本考案は適用することができる。

「考案の効果」 以上説明したように本考案によれば、車椅子等から入
浴装置の担架へあるいはその逆に入浴装置から車椅子等
へ身体障害者を移し替える場合、担架を支持アームに対
し水平方向へ相対移動させて、担架と浴槽本体との間に
適宜隙間をつくり、この隙間を利用して介助者は担架と
浴槽本体との間に入ることができる。したがって、身体
障害者に対する移替作業や清拭作業等の作業が容易に行
える。

また、担架はロック機構によって支持アームに対し保
持固定することができ、上記移替作業等の際に担架が自
由に動くことを防止でき、移し替え作業の安全性は確保
される。

【図面の簡単な説明】

第１図〜第11図は本考案の第１実施例を示し、第１図は
本考案にかかる入浴装置を用いて身体障害者を入浴させ
る状態を説明する側面図、第２図は第１図のII-II線に
沿う断面図、第３図は昇降体、回動アームおよび支持ア
ームの関係を示す一部を断面した側面図、第４図は担架
と支持アームとの関係を示す平断面図、第５図は同関係
を示すものであり担架を旋回させた状態を示す平断面
図、第６図は同横断面図、第７図はロック機構の詳細平
面図、第８図は第７図のVIII矢視図、第９図〜第11図は
入浴装置の作用説明図である。 第12図〜第16図は本考案の第２実施例を示すもので、第
12図は支持アームと担架との関係を示す平断面図、第13
図は同作用説明図、第14図は同横断面図、第15図はロッ
ク機構の詳細を示す第14図のXV線に沿う断面図、第16図
は同作用説明図である。 １……浴槽本体 ５……基台 ６……支柱 ７……昇降体 10……回転アーム 13……支持アーム 15……平行リンク機構 19……ロック機構 22……シャフト 23……担架フレーム 29……平板レール 30……ローラ 35……ロックレバー 36……ロックピン 50……レール 51……ローラ 52……ガイドローラ 56……ロックピン 59……ロックアーム

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】基台に立設された支柱と、該支柱に基端側
   を垂直面に沿って回転自在に支持された回転アームと、
   該回転アームの先端に取り付けられた支持アームに支持
   されて回転アームが回転される際常に水平状に保持され
   る担架と、前記回転アームが所定角度位置にあるとき担
   架上に乗せられた身体障害者を入浴させる浴槽本体とを
   備え、 前記担架は支持アームに対し水平方向に相対移動可能に
   設けられ、かつ担架と支持アームとの間には両者の相対
   的な位置を決定して保持するロック機構が設けられてい
   ることを特徴とする身体障害者用入浴装置。