JP2000189473A - 介護用ベッド装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】車椅子への移動や入浴などの際にも介護人の簡
単な作業で介護を行うことを可能とすること。 【解決手段】床面上に設置される架台本体１１と、架台
本体１１に対してベッド支持装置１３により支持された
ベッド架台１２と、ベッド架台１２の上方において要介
護者を吊るためのフック部材９７を当該ベッド架台１２
の幅方向に沿って移動可能とするための水平移動装置１
５と、を有し、ベッド支持装置１３は、ベッド架台１２
が、水平姿勢の使用位置と使用位置から退避した退避位
置との間で変位可能なように支持するものであり、ベッ
ド架台１２が退避位置に変位したときに、フック部材９
７の下方において、床面上に介護用機材ＥＱを搬入する
ための空間ＲＭが設けられるよう構成されてなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、病人又は運動機能
障害者などの要介護者のための介護用ベッド装置に関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来より、例えぱ病院において寝たまま
の患者を移動させるために、種々のベッド装置又は運搬
装置が提案されている。

【０００３】例えば、特公昭６２−１５２２８５号公報
には、ベッドに、その表面を走行して患者を水平方向に
移動させる運搬ベルトが設けられたベッド装置が開示さ
れている。

【０００４】また、特公平５−３３０９号公報には、床
面上を転動する複数の車輪を備えることによって移動可
能であり、高さ調整の可能な載置台及び回動可能な補助
台を備えた運搬装置が開示されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上に述べた前者の装置
では、ベッド上の患者を他のベッドに移動させることは
可能である。しかし、ベッド上の患者を車椅子へ載せた
り、又はその逆に車椅子からベッド上に載せたり、ま
た、入浴や用便などの際の介護を行うためには、ベッド
上の患者を介護人が抱きかかえて移動させる必要があ
る。

【０００６】また、上に述べた後者の装置では、載置台
上の患者を別のベッドの上に移動させることは可能であ
る。しかし、前者の場合と同様に、載置台又はベッドの
上の患者を車椅子へ載せたり、入浴や用便などの際の介
護を行うためには、やはり載置台又はベッド上の患者を
介護人が抱きかかえて移動させる必要がある。

【０００７】すなわち、従来の装置では、車椅子への移
動や入浴などの際には介護人によって抱きかかえるとい
う作業が必要であり、これが介護人にとって大変な重労
働となっている。

【０００８】本発明は、上述の問題に鑑みてなされたも
ので、車椅子への移動や入浴などの際にも介護人の簡単
な作業で介護を行うことのできる介護用ベッド装置を提
供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】請求項１の発明に係る装
置は、床面上に設置される架台本体１１と、前記架台本
体１１に対してベッド支持装置１３により支持されたベ
ッド架台１２と、前記ベッド架台１２の上方において要
介護者を吊るためのフック部材９７を当該ベッド架台１
２の幅方向に沿って移動可能とするための水平移動装置
１５と、を有し、前記ベッド支持装置１３は、前記ベッ
ド架台１２が、水平姿勢の使用位置と前記使用位置から
退避した退避位置との間で変位可能なように支持するも
のであり、前記ベッド架台１２が退避位置に変位したと
きに、前記フック部材９７の下方において、床面上に介
護用機材ＥＱを搬入するための空間ＲＭが設けられるよ
う構成されてなる。

【００１０】請求項２の発明に係る装置は、床面上に設
置される架台本体１１と、前記架台本体１１に対してベ
ッド支持装置１３により支持されたベッド架台１２と、
前記ベッド架台１２の上方において当該ベッド架台１２
の幅方向に沿って移動可能に設けられた複数のフック部
材９７を含む水平移動装置１５と、前記水平移動装置１
５を前記架台本体１１に対して昇降可能に支持する昇降
支持装置１４と、を有し、前記ベッド支持装置１３は、
前記ベッド架台１２が、水平姿勢の使用位置と前記使用
位置から退避した退避位置との間で変位可能なように支
持するものであり、前記ベッド架台１２が退避位置に変
位したときに、前記フック部材９７の下方において、床
面上に介護用機材ＥＱを搬入するための空間ＲＭが設け
られるよう構成されてなる。

【００１１】請求項３の発明に係る装置では、前記ベッ
ド支持装置１３は、前記ベッド架台１２の長手方向に沿
った一側縁部を回動可能に支持する回動軸４６と、前記
使用位置において前記ベッド架台を水平姿勢に保持する
保持装置ＫＰと、を有してなる。

【００１２】請求項４の発明に係る装置では、前記ベッ
ド支持装置１３は、前記ベッド架台１２を昇降移動する
昇降移動装置ＵＤを有してなる。

【００１３】請求項５の発明に係る装置では、前記ベッ
ド架台１２は、前記退避位置において、鉛直方向に沿っ
た鉛直姿勢となるように構成されてなる。

【００１４】請求項６の発明に係る装置では、前記架台
本体１１は、平面視が略コ字形であり、その下面の四隅
に床面上を転動して移動するためのキャスター１６が設
けられてなる。

【００１５】

【発明の実施の形態】図１は本発明の一実施形態の介護
用ベッド装置１の正面図、図２は介護用ベッド装置１の
正面図であって、ベッド架台を退避位置とした状態を示
す図、図３は介護用ベッド装置１の一部の右側面図、図
４は介護用ベッド装置１のＡ−Ａ’線断面矢視図、図５
は介護用ベッド装置１のベッド架台のベッド支持装置１
３を拡大して示す図、図６は水平移動装置１５によって
要介護者ＳＰを吊った状態を示す図である。

【００１６】図１において、介護用ベッド装置１は、架
台本体１１、ベッド架台１２、２箇所に設けられたベッ
ド支持装置１３，１３、昇降支持装置１４、水平移動装
置１５、及び４個のキャスター１６，１６…などから構
成される。

【００１７】架台本体１１は、図４によく示されるよう
に、主架台３１、及び主架台３１の両端部において垂直
方向に突出して一体的に設けられた副架台３２，３３か
らなり、全体として平面視が略コ字形を呈している。副
架台３２，３３の上面には、丸パイプを曲げて形成され
た手摺り３４，３５が取り付けられている。なお、主架
台３１及び副架台３２，３３として、本実施形態では、
角筒状の軽量型鋼が用いられるが、Ｈ型又はＩ型の型鋼
など、他の種々の材料を用いることが可能である。

【００１８】架台本体１１の下面の四隅には上述のキャ
スター１６，１６…が取り付けられている。キャスター
１６が床面ＦＬ上を転動することよって、介護用ベッド
装置１を人が押して容易に移動させることができる。

【００１９】ベッド架台１２は、丸パイプを曲げて枠状
に形成した外枠部材４１、及び外枠部材４１の内側にお
いてその長辺間にかけ渡された丸パイプからなる多数の
桟部材４２，４２…からなる。ベッド架台１２は、２箇
所に設けられたベッド支持装置１３，１３によって、架
台本体１１に対し昇降可能に且つ回動可能に支持されて
いる。

【００２０】すなわち、ベッド架台１２は、その長手方
向に沿った一側縁部が、回動軸４６によって回動可能に
支持されている。これによって、ベッド架台１２は、回
動軸４６を中心として回動し、水平姿勢の使用位置（図
１において実線で示す）と、使用位置から下方へ９０度
回動して鉛直姿勢に退避した退避位置（図２において実
線で示す）との間で変位可能である。ベッド架台１２が
鉛直姿勢となることにより、後に述べる空間ＲＭが広く
なる。

【００２１】ベッド架台１２の上には、マットレス又は
布団などのベッド本体ＢＤが着脱可能に取り付けられて
いる。なお、外枠部材４１及び桟部材４２として、アン
グル鋼材や平帯板鋼材など、種々の材料を用いることが
可能である。

【００２２】また、ベッド架台１２は、各ベッド支持装
置１３の支柱５１の外周に摺動可能に取り付けられた支
持筒５２の昇降移動にともなって上下方向に移動する。
これによって、ベッド架台１２の高さ位置、したがって
ベッド本体ＢＤの高さ位置が調整可能である。ベッド本
体ＢＤの表面の高さは、最も低いときが高さＨ１であ
り、その位置からストロークＳＴの間で任意の位置まで
上昇可能である。

【００２３】ベッド架台１２には、使用位置での保持を
確実にするため、折り畳み可能な補助脚４７が２箇所に
取り付けられている。補助脚４７には、床面ＦＬ上を転
動可能なように、その下端部にキャスター４８が取り付
けられている。また、補助脚４７の使用中に折り畳まれ
てしまわないように、折り曲げ可能なステー４９が設け
られている。補助脚４７を折り畳んだ状態で保持するた
めに、弾性によって補助脚４７を把持する受け部材４９
ａが、ベッド架台１２の下面に設けられている。

【００２４】ベッド架台１２は、使用位置では、通常の
ベッドとして又はソファ（椅子）として使用可能であ
る。通常、ベッド本体ＢＤの表面が使用位置の低い位置
にあるときには（例えば図１において実線で示す位
置）、ソファとして使用される。高い位置にあるときに
は（例えば図１において鎖線で示す位置）、ベッドとし
て使用される。なお、これらの中間の任意の位置におい
て種々の目的に使用可能である。

【００２５】ベッド架台１２が退避位置にあるときに
は、図４によく示されるように、架台本体１１の内側に
おいて、床面ＦＬ上に空間ＲＭが形成される。この空間
ＲＭは、床面ＦＬと連続しているので、車椅子、浴槽、
便器、リハビリテーション用器具など、要介護者ＳＰの
生活、介護、又は治療などに必要とする種々の介護用機
材ＥＱを、空間ＲＭの内外に容易に運び込むことができ
る。

【００２６】ベッド支持装置１３，１３は、上に述べた
ように、主架台３１の２箇所に設けられている。２つの
ベッド支持装置１３は、互いに同様の構造であるので、
その一方のみについて説明する。なお、操作棒６３は、
２つのベッド支持装置１３に共通の部材である。

【００２７】ベッド支持装置１３には、ベッド架台１２
を支持し且つ昇降移動する昇降移動装置ＵＤ、ベッド架
台１２を使用位置において水平姿勢に保持するための保
持装置ＫＰ、及びベッド架台１２を任意の位置に保持す
るロック装置ＲＫが備えられる。

【００２８】図５及び図３によく示されるように、ベッ
ド支持装置１３は、昇降移動装置ＵＤとして、上に述べ
た支柱５１、支持筒５２、及びアクチュエータ５３を備
えている。支柱５１は、角筒材からなり、主架台３１に
対して垂直な状態で、その下端に設けたフランジ板が主
架台３１の上面にボルトなどで固定されることによって
取り付けられている。支持筒５２は、支柱５１よりもひ
とまわり大きい角筒材からなり、支柱５１の外周を摺動
可能である。

【００２９】アクチュエータ５３は、電動式であり、そ
の一端部が主架台３１の表面に取り付けられ、その他端
に設けられた先端金具５３ａには連結ピン５４が取り付
けられている。連結ピン５４は、支柱５１の両側面に設
けられた長穴５１ａを貫通して外方へ突出し、支持筒５
２の両側面に設けられた穴に嵌入して係合している。

【００３０】したがって、アクチュエータ５３が伸長駆
動することによって、支持筒５２は上昇し、収縮駆動す
ることによって支持筒５２は下降する。これによって、
ベッド架台１２が昇降駆動される。

【００３１】ところで、図５によく示されるように、支
持筒５２には、ブラケット４５が取り付けられ、ブラケ
ット４５には上に述べた回動軸４６が設けられている。
ベッド架台１２には保持部材４３が一体的に取り付けら
れ、保持部材４３に設けられた穴に、回動軸４６が回動
可能に嵌入している。また、保持部材４３には、その上
面にブラケット４４が一体的に取り付けられている。

【００３２】図５において、ベッド支持装置１３は、保
持装置ＫＰとして、ストッパー６１、作動リンク６２、
操作棒６３、及び引っ張りバネ６４を備えている。

【００３３】ストッパー６１は、一端部が支持筒５２に
設けられた軸６１ａを中心に回動可能であり、他端部が
ピン６１ｂによって作動リンク６２と回動可能に連結さ
れている。ストッパー６１には係合凹部６１ｃが設けら
れている。ベッド架台１２が使用位置にあるときには、
係合凹部６１ｃに保持部材４３の先端部が係合し、これ
によってベッド架台１２が下方へ回動しないように保持
されている。その状態で、ストッパー６１は引っ張りバ
ネ６４によって引っ張られ、係合が不測に外れないよう
になっている。

【００３４】操作棒６３は、図４によく示されるよう
に、２つのベッド支持装置１３，１３の間に渡って配置
された長い丸棒状のものであり、各支持筒５２に取り付
けられたブラケット６５，６５によって回動可能に支持
されている。操作棒６３には作動リンク６２が連結さ
れ、操作棒６３を回動すると作動リンク６２も一体的に
回動する。

【００３５】したがって、操作棒６３の端部の直角に曲
げられた部分を下方に押すことにより、操作棒６３が回
動し、作動リンク６２を介してストッパー６１を図５の
左方向に回動させ、ストッパー６１と保持部材４３との
係合を外すことが可能である。

【００３６】図５によく示されるように、ベッド支持装
置１３は、ロック装置ＲＫとして、ロックシリンダ７
１、解除レバー７２、及びブラケット７３を備えてい
る。

【００３７】ロックシリンダ７１は、シリンダチューブ
内を摺動するピストンの両側に形成される流体室間の流
体の流れを停止することによってピストンの移動を停止
させ、シリンダチューブとピストンロッドとに連結され
た外部の部材の移動を規制（ロック）するとともに、解
除レバー７２の操作によって流体の流れを可能としてそ
の規制を解除するように構成された公知のものである。
このようなロックシリンダ７１として、例えば、カヤバ
社製のフリーロックなどを用いることが可能である。

【００３８】ロックシリンダ７１は、そのシリンダチュ
ーブの側の端部が、ピン７１ａによってブラケット４４
と回動可能に連結され、そのピストンロッドの側の先端
部が、ピン７１ｂによってブラケット７３と回動可能に
連結されている。ブラケット７３は、支持筒５２に固定
されている。

【００３９】したがって、常時は、ロックシリンダ７１
はロック状態であり、これによってベッド架台１２は回
動しないようにロックされている。解除レバー７２を図
５の下方へ押すことによってロックシリンダ７１はロッ
ク状態が解除され、ベッド架台１２を回動することが可
能となる。

【００４０】なお、ベッド架台１２が使用位置にあると
きには、ベッド架台１２の水平姿勢が保持装置ＫＰによ
って保持されているので、その状態からベッド架台１２
を回動させるには、操作棒６３の操作による保持の解除
と解除レバー７２の操作によるロック状態の解除とを同
時に行う。

【００４１】さて、水平移動装置１５は、ベッド架台１
２の上方において、ベッド架台１２の幅方向（図１の矢
印Ｍ１方向）に沿って移動可能な複数のフック部材を含
んで構成される。昇降支持装置１４は、水平移動装置１
５を、架台本体１１に対して昇降可能に支持する。

【００４２】すなわち、昇降支持装置１４は、支柱８
１、昇降筒８２、及びアクチュエータ８３を備えてい
る。

【００４３】支柱８１は、角筒材からなり、主架台３１
に対して垂直な状態で、その下端に設けたフランジ板が
主架台３１の上面にボルトなどで固定されることによっ
て取り付けられている。昇降筒８２は、支柱８１よりも
ひとまわり小さい角筒材からなり、支柱８１の内周を摺
動可能である。

【００４４】アクチュエータ８３は、その一端部が主架
台３１の表面に取り付けられ、その他端に設けられた先
端金具８３ａには連結ピン８４が取り付けられている。
連結ピン８４は、支柱８１の両側面に設けられた穴に嵌
入している。

【００４５】したがって、アクチュエータ８３が伸長駆
動することによって、昇降筒８２は上昇し、収縮駆動す
ることによって昇降筒８２は下降する。これによって、
水平移動装置１５の全体が昇降駆動される。

【００４６】水平移動装置１５は、主ビーム９１、２つ
の副ビーム９２、複数のローラ９４がそれぞれ設けられ
た２つの吊り台車９３、吊り台車９３によって吊り下げ
られた移動ビーム９５、移動ビーム９５に沿ってスライ
ド可能に設けられた多数のスライドバンド９６、各スラ
イドバンド９６に取り付けられたフック部材９７、及び
２つのアクチュエータ９８などから構成される。

【００４７】主ビーム９１は、角筒材からなり、その中
央部が昇降筒８２の上端において固定されている。主ビ
ーム９１の両端部に、２つの副ビーム９２のそれぞれの
一端部が固定されている。副ビーム９２は、角筒材又は
Ｃ型材からなる。角筒材を用いた場合には、下面に長手
方向の溝を形成しておく。吊り台車９３は、副ビーム９
２の内部に設けられ、副ビーム９２の下面の内側面をロ
ーラ９４が転動することによって移動可能である。

【００４８】２つのアクチュエータ９８は、それぞれ副
ビーム９２の内部に設置されており、その一端部が副ビ
ーム９２の奥の面に、他端部が吊り台車９３に、それぞ
れ連結されている。これらのアクチュエータ９８は、互
いに同期して作動する。したがって、アクチュエータ９
８の伸縮駆動によって、吊り台車９３が矢印Ｍ１方向に
駆動される。

【００４９】吊り台車９３の移動にともなって、移動ビ
ーム９５が移動する。移動ビーム９５は、ベッド架台１
２の幅方向のほぼ中央あたりから端縁部のあたりの間に
おいて移動される。フック部材９７は、スライドバンド
９６を移動ビーム９５に沿ってスライドさせることによ
って、ベッド架台１２の長さ方向（図３の矢印Ｍ２方
向）の任意の位置にセットすることが可能である。

【００５０】図２及び図６に示すように、フック部材９
７には、要介護者ＳＰを載せたスリングシートＳＣを吊
り下げる。スリングシートＳＣは、水平移動装置１５に
よってベッド架台１２の幅方向に移動可能であり、昇降
支持装置１４によって上下方向に移動可能である。これ
らを移動するための制御は、図示しない操作盤に設けら
れた操作ボタンの操作によって行うことが可能である。

【００５１】次に、上に述べた介護用ベッド装置１の動
作及び操作方法について、図１及び図２などを参照して
説明する。

【００５２】図１において、実線で示すベッド架台１２
は、ソファとして使用可能な位置である。ベッドとして
使用する場合には、操作盤によってベッド支持装置１３
の昇降移動装置ＵＤを作動させ、適当な位置まで上昇さ
せる。また、ベッド架台１２を退避位置に変位させるた
めには、ベッド架台１２を適当な位置まで上昇させる。

【００５３】例えば、図１に鎖線で示す要介護者ＳＰを
入浴させるには、要介護者ＳＰの下にスリングシートＳ
Ｃの本体を通し、フック部材９７を要介護者ＳＰの真上
あたりに移動させ且つ少し下降させた後、スリングシー
トＳＣの吊り具をフック部材９７に連結する。

【００５４】そして、フック部材９７を上昇させて要介
護者ＳＰを若干持ち上げた後、保持装置ＫＰ及びロック
装置ＲＫを操作してベッド架台１２を退避位置に移動さ
せる。これによって空いた空間ＲＭに、介護用機材ＥＱ
である浴槽を搬入する。フック部材９７を浴槽の真上に
移動させ、下降させて要介護者ＳＰを浴槽の所定の位置
まで降ろす（図２を参照）。

【００５５】このように、本実施形態の介護用ベッド装
置１によると、ベッド本体ＢＤ上の要介護者ＳＰを、介
護人の簡単な作業及び操作によって容易に浴槽に入れる
ことができる。介護人は、要介護者ＳＰを抱きかかえる
という重労働をする必要がない。

【００５６】要介護者ＳＰを浴槽からベッド本体ＢＤ上
に移す場合には、上と逆の操作を行えばよい。介護用機
材ＥＱとして、車椅子、便器、又はリハビリテーション
用器具などを用いる場合も同様である。

【００５７】また、要介護者ＳＰが、介護用ベッド装置
１を用いてリハビリテーションを行うことも可能であ
る。すなわち、例えば、ベッド架台１２を退避位置とし
た状態で、フック部材９７に適当な長さの丸棒などを挿
通し、その高さ位置を調整した上で、要介護者ＳＰが両
手を挙げて丸棒の両端を握り、空間ＲＭ内の床面ＦＬ上
を歩行する。丸棒に代えて、適当な種々の器具を用いる
ことも可能である。

【００５８】要介護者ＳＰが疲れた場合には、ベッド架
台１２を使用位置とし且つ低い位置とし、ベッド本体Ｂ
Ｄの上に腰を掛けて休むことができる。なお、フック部
材９７は、必ずしも環状である必要はなく、スリングシ
ートＳＣなどを吊り下げることのできる形状であればよ
い。

【００５９】上に述べた介護用ベッド装置１において、
アクチュエータ５３，８３，９８として電動式のものを
用いたが、油圧や水圧などの流体圧式のものを用いても
よい。吊り台車９３を水平方向に駆動するためのアクチ
ュエータ９８を２個用いたが、１個又は３個以上でもよ
い。また、アクチュエータ９８を用いることなく、吊り
台車９３を手動で移動させるようにしてもよい。その場
合に、適当なハンドル又はネジ軸などを設ければよい。
昇降駆動のためのアクチュエータ５３又は８３について
も、それを省略して手動のためのハンドル又はネジ軸な
どを設けてもよい。

【００６０】上の実施形態の介護用ベッド装置１におい
ては、支柱５１を１本としたが、２本の支柱を設けても
よい。これによって水平移動装置１５の支持及び昇降動
作が安定する。その場合には、支柱を円筒材とし、また
アクチュエータ５３を２つの支柱の中間部に設ければよ
い。また、支柱８１の内周面を昇降筒８２が移動するよ
うにしたが、その逆に、支柱８１の外周面を昇降筒８２
が移動するようにしてもよい。その場合において、支柱
５１と支柱８１とを兼用することも可能である。

【００６１】架台本体１１を略コ字形としたが、他の種
々の形態とすることができる。例えば、副架台３２，３
３を主架台３１の両端部から内側に入った位置に設けて
もよい。その場合には、補助脚４７の下端部をその副架
台上に載置するように構成することができ、キャスター
４８が不要である。また、３個以上の副架台を設けても
よい。その場合には、介護用機材ＥＱの下部の構造を考
慮した上で、介護用機材ＥＱが空間ＲＭ内に搬入可能な
ようにしておけばよい。また、副架台の高さ寸法を小さ
くしておいてもよい。介護用機材ＥＱが乗り越えられる
程度に低いものであれば、空間ＲＭの入口部分をそのよ
うな副架台で連結してもよい。キャスター１６を着脱可
能としてもよい。

【００６２】図７は他の実施形態のベッド支持装置１３
Ａを示す図である。図７において、図５と同様な機能を
有する部分には同一の符号を付すか又は同一の符号に
「Ａ」を付加して説明を省略する。

【００６３】図７に示すベッド支持装置１３Ａでは、昇
降移動はしない。保持装置ＫＰＡにおいては、操作棒６
３Ａを図の左方向に回動させるように操作することによ
り、作動リンク６２が左回りに回動し、リンク６７を左
回りに回動させる。リンク６７の回動によって、リンク
６７を介してストッパー６１Ａが左回りに回動し、保持
部材４３との係合が外れ、ベッド架台１２は使用位置か
ら退避位置への回動が可能となる。

【００６４】また、ロック装置ＲＫＡにおいて、常時は
ロックシリンダ７１Ａによってベッド架台１２が回動し
ないようにロックされているが、解除レバー７２Ａを操
作することによってロックシリンダ７１Ａのロック状態
が解除され、ベッド架台１２は回動が可能となる。

【００６５】なお、上の実施形態においては、ベッド架
台１２を回動軸４６によって回動可能に支持している
が、他の機構によって使用位置と退避位置との間で変位
可能としてもよい。例えば、ベッド架台１２を上方へ回
動可能なように、スライド可能なように、又は取り外し
可能なように支持しておくこともできる。

【００６６】図８は他の実施形態の水平移動装置１５Ａ
の一部を示す図である。図８において、図３と同様な機
能を有する部分には同一の符号を付すか又は同一の符号
に「Ａ」を付加して説明を省略する。

【００６７】図８において、副ビーム９２ＡとしてＩ型
材が用いられており、吊り台車９３Ａのローラ９４Ａは
副ビーム９２Ａを挟んだ状態で設けられている。また、
移動ビーム９５ＡとしてＩ型材が用いられており、ロー
ラ付きのスライド台車９６Ａが移動可能に設けられてい
る。スライド台車９６Ａにはローラが付いているので、
移動が滑らかである。

【００６８】上の実施形態において、要介護者ＳＰの載
ったスリングシートＳＣを昇降するために、水平移動装
置１５の全体を昇降支持装置１４によって昇降駆動した
が、水平移動装置１５の全体を昇降駆動することなく、
例えば移動ビーム９５，９５Ａが昇降するように構成し
てもよい。その場合には、吊り台車９３，９３Ａと移動
ビーム９５，９５Ａとの間にアクチュエータを設ける
か、又は滑車とロープなどを組み合わせたものを設けて
もよい。また、移動ビーム９５，９５Ａ自体も昇降しな
いように上下方向には固定とし、スリングシートＳＣ自
体に昇降機構を設けることとしてもよい。

【００６９】その他、介護用ベッド装置１の各部又は全
体の構造、形状、寸法、個数、材質、配置などは、本発
明の趣旨に沿って適宜変更することができる。

【００７０】

【発明の効果】本発明によると、車椅子への移動や入浴
などの際にも、介護人の簡単な作業で介護を行うことが
できる。

【００７１】請求項４の発明によると、ベッド架台の高
さ位置を調整することにより、ベッドやソファなど種々
の用途に使用することができる。

【００７２】請求項５の発明によると、空間が広くな
る。

【００７３】請求項６の発明によると、空間が広くな
り、且つ介護用ベッド装置の全体を容易に移動させるこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態の介護用ベッド装置の正面
図である。

【図２】ベッド架台を退避位置とした状態を示す介護用
ベッド装置の正面図である。

【図３】介護用ベッド装置の一部の右側面図である。

【図４】介護用ベッド装置のＡ−Ａ’線断面矢視図であ
る。

【図５】介護用ベッド装置のベッド架台のロック機構を
拡大して示す図である。

【図６】水平移動装置によって要介護者を吊った状態を
示す図である。

【図７】他の実施形態のベッド支持装置を示す図であ
る。

【図８】他の実施形態の水平移動装置の一部を示す図で
ある。

【符号の説明】

１ 介護用ベッド装置 １１ 架台本体 １２ ベッド架台 １３，１３Ａ ベッド支持装置 １４ 昇降支持装置 １５，１５Ａ 水平移動装置 １６ キャスター ４６ 回動軸 ９７，９７Ａ フック部材 ＲＭ 空間 ＥＱ 介護用機材 ＵＤ 昇降移動装置 ＫＰ，ＫＰＡ 保持装置 ＲＫ，ＲＫＡ ロック装置（保持装置）

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】床面上に設置される架台本体と、 前記架台本体に対してベッド支持装置により支持された
   ベッド架台と、 前記ベッド架台の上方において要介護者を吊るためのフ
   ック部材を当該ベッド架台の幅方向に沿って移動可能と
   するための水平移動装置と、を有し、 前記ベッド支持装置は、前記ベッド架台が、水平姿勢の
   使用位置と前記使用位置から退避した退避位置との間で
   変位可能なように支持するものであり、 前記ベッド架台が退避位置に変位したときに、前記フッ
   ク部材の下方において、床面上に介護用機材を搬入する
   ための空間が設けられるよう構成されてなる、ことを特
   徴とする介護用ベッド装置。
2. 【請求項２】床面上に設置される架台本体と、 前記架台本体に対してベッド支持装置により支持された
   ベッド架台と、 前記ベッド架台の上方において当該ベッド架台の幅方向
   に沿って移動可能に設けられた複数のフック部材を含む
   水平移動装置と、 前記水平移動装置を前記架台本体に対して昇降可能に支
   持する昇降支持装置と、を有し、 前記ベッド支持装置は、前記ベッド架台が、水平姿勢の
   使用位置と前記使用位置から退避した退避位置との間で
   変位可能なように支持するものであり、 前記ベッド架台が退避位置に変位したときに、前記フッ
   ク部材の下方において、床面上に介護用機材を搬入する
   ための空間が設けられるよう構成されてなる、 ことを特徴とする介護用ベッド装置。
3. 【請求項３】前記ベッド支持装置は、 前記ベッド架台の長手方向に沿った一側縁部を回動可能
   に支持する回動軸と、 前記使用位置において前記ベッド架台を水平姿勢に保持
   する保持装置と、 を有してなる、 請求項１又は請求項２記載の介護用ベッド装置。
4. 【請求項４】前記ベッド支持装置は、前記ベッド架台を
   昇降移動する昇降移動装置を有してなる、 請求項１乃至請求項３のいずれかに記載の介護用ベッド
   装置。
5. 【請求項５】前記ベッド架台は、前記退避位置におい
   て、鉛直方向に沿った鉛直姿勢となるように構成されて
   なる、 請求項１乃至請求項４のいずれかに記載の介護用ベッド
   装置。
6. 【請求項６】前記架台本体は、平面視が略コ字形であ
   り、その下面の四隅に床面上を転動して移動するための
   キャスターが設けられてなる、 請求項１乃至請求項５のいずれかに記載の介護用ベッド
   装置。