JP2507511Y2 - 屋根パネル固定金物 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、住宅やその他の建物
の屋根パネルを母屋に固定する屋根パネル固定金物に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、建物の屋根パネルを母屋に固定す
る場合に、例えば図４のような屋根パネル固定金物３０
を使用していた。すなわち、屋根パネル固定金物３０は
下半部にフック３０ａを形成したものであり、そのフッ
ク３０ａを形鋼からなる母屋３１の上フランジ３１ａに
係止させた状態で、この金物３０の上半部を屋根パネル
３２の垂木３２ａの側面に釘３３で打ち付けて固定す
る。これにより、屋根パネル固定金物３０を介して屋根
パネル３０が母屋３１に固定される。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、この屋根パネ
ル固定金物３０では、現場で釘打ちして固定する必要が
あるため、一般の作業者では行えず、大工による施工が
必要となる。このため、母屋３１上に載せられた屋根パ
ネル３２は、大工が入るまで固定が完了せずに放置され
ることになる。そのため、突風により屋根パネル３２が
飛散するといった危険性がある。また、屋根パネル固定
金物３０による屋根パネル３２の固定が完了しないと屋
根上での作業が行えないので、屋根仕上工事を進めるこ
とができず、大工による施工日程が狂うと、建物の全体
工期にも影響を及ぼす等の問題点もあった。

【０００４】この考案の目的は、大工に頼らず建方中に
簡単に屋根パネルを母屋に固定できる屋根パネル固定金
物を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】この考案の屋根パネル固
定金物は、Ｌ形の折曲板状に形成されて立片部に固着具
挿通孔を、横片部にボルト挿通孔を各々有するパネル側
固定金物と、弾性切起片およびボルト挿通孔を有する板
状の締付け金物とからなる。前記パネル側固定金物は前
記立片部が屋根パネルの垂木の側面に固着具で固定され
る。締付け金物は、前記パネル側固定金物の横片部と共
に前記ボルト挿通孔に挿通されたボルトで締付けられ
る。形鋼からなる母屋の上フランジは、これらパネル側
固定金物の横片部と締付け金物の弾性切起片との間で挟
み込まれる。

【０００６】

【作用】上記構成によると、予め工場で、屋根パネルの
垂木の側面にパネル側固定金物の立片部を固着具で固定
しておくことができる。現場では、このパネル側固定金
物の横片部のボルト挿通孔から挿通させたボルトを締付
け金物のボルト挿通孔に挿通し、ナットを締め付けるこ
とにより、パネル側固定金物と締付け金物の弾性切起片
とで母屋の上フランジを挟み込み、屋根パネルを母屋に
固定することができる。

【０００７】

【実施例】この考案の一実施例を図１ないし図３に基づ
いて説明する。この実施例の屋根パネル固定金物１は、
図２に示すように形鋼からなる母屋９に屋根パネル１０
を固定するのに使用する金物であって、屋根パネル１０
は屋根板１０ａの下面に複数の垂木１０ｂを並設して構
成される。同図の小屋組はマンサード屋根の小屋組であ
り、母屋９は合掌材８上に取り付けられている。

【０００８】屋根パネル固定金物１は、図１に示すよう
に屋根パネル１０に固定するパネル側固定金物２と、こ
れとは別体の締付け金物３とからなる。パネル側固定金
物２はＬ形の折曲板状に形成され、その立片部２ａには
複数の釘挿通孔４が、横片部２ｂにはボルト挿通孔５が
それぞれ形成されている。

【０００９】締付け金物３は板状の金物であり、中央に
ボルト挿通孔７が形成され、この孔７の片側で、母屋９
の上フランジ９ａに対向する一対の弾性切起片６，６が
上向きに形成されている。また、締付け金物３の弾性切
起片６と反対側の端部にはパネル側固定金物２の横片部
２ｂに当接する立上り片３ａが形成されている。

【００１０】上記屋根パネル固定金物１による屋根パネ
ル１０の固定手順を説明する。パネル側固定金物２は、
予め工場で屋根パネル１０に固定する。この固定は、パ
ネル側固定金物２の立片部２ａを屋根パネル１０の垂木
１０ｂの側面の所定位置に配置し、釘挿通孔４から固着
具である釘又はビス１１を垂木１０ｂに打ち付けること
により行う。釘又はビス１１の他にボルト等の固着具を
使用しても良い。

【００１１】現場では、屋根パネル１０を母屋９上に載
せたときにパネル側固定金物２の横片部２ｂと締付け金
物３とで母屋９の上フランジ９ａを挟んで、パネル側固
定金物２と締付け金物３とをボルト１２とナット１３で
締付ける。これにより、屋根パネル１０が母屋９に固定
される。この場合に、締付け金物３の立上り片３ａはパ
ネル側固定金物２への当たりとなり、また弾性切起片６
はパネル側固定金物２の下面に弾性的に接触する。その
ため、年月の経過によっても、振動等でボルト１２に緩
みを生じることなく、堅固な固定を維持できる。ボルト
１２は、他の構築部分に使用するボルトと共通のものと
することが好ましい。これにより、部品種類数が少なく
でき、また屋根パネル１０の固定用として特別の工具を
準備することが不要となる。

【００１２】この屋根パネル固定金物１によると、この
ようにボルト締めだけで簡単に固定できるので、大工に
頼らずに建方中に建方工によって行うことができる。そ
のため、建方の終了時点で屋根パネル１０の固定が完了
することになり、強風による建設途中の屋根パネル１０
の飛散がなくなる。また、建方終了後の他の作業者によ
る屋根上作業の安全が図れる。さらに、屋根パネル１０
を一枚ずつ完全に固定して行くことができて、建方工等
の施工の安全にも寄与する。また、屋根パネル１０の固
定に大工が不要となるため、大工の入る日程の都合によ
る工期の遅れがなくせる。特に、図２に示すマンサード
屋根の急勾部や、他の急勾配屋根にこの屋根パネル固定
金物１を使用する場合は、このように屋根パネル１０を
一枚ずつ固定できることから、施工が行い易くなる。

【００１３】

【考案の効果】この考案の屋根パネル固定金物は、Ｌ形
の折曲板状に形成されて立片部に固着具挿通孔を、横片
部にボルト挿通孔を各々有するパネル側固定金物と、弾
性切起片およびボルト挿通孔を有する板状の締付け金物
とからなり、前記パネル側固定金物の立片部を屋根パネ
ルの垂木の側面に固着具で固定し、前記締付け金物を前
記パネル側固定金物の横片部と共にボルトで締付け、こ
れらパネル側固定金物と締付け金物の弾性切起片との間
で母屋の上フランジを挟み込むようにしたため、建方中
に大工によらずとも簡単に屋根パネルを母屋に固定でき
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例である屋根パネル固定金物の
分解斜視図である。

【図２】同屋根パネル固定金物の使用状態を示す建物の
要部縦断面図である。

【図３】同屋根パネル固定金物による屋根パネルの固定
状態を示す拡大図である。

【図４】従来の屋根パネル固定金物による屋根パネルの
固定状態を示す斜視図である。

【符号の説明】

２…パネル側固定金物、２ａ…立片部、２ｂ…横片部、
３…締付け金物、４…針挿通孔、５…ボルト挿通孔、６
…弾性切起片、７…ボルト挿通孔、９…母屋、９ａ…上
フランジ、１０…屋根パネル、１０ｂ…垂木、１１…釘
又はビス、１２…ボルト

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 Ｌ形の折曲板状に形成されて立片部に固
   着具挿通孔を、横片部にボルト挿通孔を各々有するパネ
   ル側固定金物と、弾性切起片およびボルト挿通孔を有す
   る板状の締付け金物とからなり、前記パネル側固定金物
   は前記立片部が屋根パネルの垂木の側面に固着具で固定
   され、前記締付け金物は前記パネル側固定金物の横片部
   と共に前記ボルト挿通孔に挿通されたボルトで締付けら
   れ、これらパネル側固定金物の横片部と締付け金物の弾
   性切起片との間で、形鋼からなる母屋の上フランジを挟
   み込む屋根パネル固定金物。