JP2505459Y2 - トラクタの伝動構造 - Google Patents

トラクタの伝動構造

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JP2505459Y2 JP1990047089U JP4708990U JP2505459Y2 JP 2505459 Y2 JP2505459 Y2 JP 2505459Y2 JP 1990047089 U JP1990047089 U JP 1990047089U JP 4708990 U JP4708990 U JP 4708990U JP 2505459 Y2 JP2505459 Y2 JP 2505459Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案はトラクタにおいて機体前部を構成するクラ
ツチハウジング内に、高低段とか前後進段を備える2段
の補助変速装置を設けてある伝動構造に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
上記のような補助変速装置を機械式のものとする場合
の典型型な構造は、例えば実開昭58−22557号公報及び
実開昭59−37131号公報に開示されているように、前端
部内において主クラツチを内装するクラツチハウジング
と変速伝動機構を内装するミツシヨンケースとを前後に
連設するトラクタにおいて、主クラツチ従動側の駆動軸
とミツシヨンケースの入力軸とを互に同心配置し、これ
らの駆動軸及び入力軸に平行するカウンタ軸上において
2個の歯車を装備し駆動軸5と入力軸間で2段の変速を
行なう機械式の変速装置を設けるといつたものである。
本構造によると、上記カウンタ軸を取去ると共に上記の
駆動軸と入力軸間を直結すれば補助変速装置を設けない
仕様のトラクタ伝動構造が得られ、補助変速装置を設け
る仕様のものと設けない仕様のものとの間での構造転換
が容易で経済的である。
上記した2公報のうち実開昭58−22557号公報に開示
のものは、クラツチハウジング内の中間位置に一体的に
設けられた仕切壁の大径の穴を覆うように該仕切壁の前
面に装着する支持体とクラツチハウジングの後壁とに、
補助変速装置を支持させている。また実開昭59−37131
号公報のものは、ミツシヨンケースの前面に装着してク
ラツチハウジング内の後方部に設置する補助変速ケース
をハウジングとして、補助変速装置を設けている。
以上の公知例のようにクラツチハウジング内に仕切壁
を設けるとか閉封された補助変速ケースを設ける理由
は、クラツチハウジング内前端部の主クラツチが乾式の
摩擦クラツチに構成されるのに対し機械式の補助変速装
置は潤滑を要求するものであり、補助変速装置用の潤滑
油を主クラツチから遮断するためである。
〔考案が解決しようとする問題点〕
実開昭58−22557号公報のもののようにクラツチハウ
ジングの後壁を補助変速装置後端側の支持部材として利
用する構造によると、補助変速装置の組込みをどうして
もクラツチハウジング内で行なわなければならないか
ら、組立てが厄介となる。この点、ミツシヨンケースの
前面に装着する補助変速ケースを用いる実開昭59−3713
1号公報のものによると、補助変速ケースを先ずミツシ
ヨンケースの前面に装着した上で、クラツチハウジング
をミツシヨンケースの前面側に連設する組立て法を採用
すれば、組立ては容易であるが、反面、別ケースによつ
て重量が増す不具合と補助変速ケース内からクラツチハ
ウジング内への油漏れ防止を厳密にしておく必要性とが
ある。
またクラツチハウジング内の仕切り壁に装着する支持
体を補助変速装置前端側の支持部材として利用する実開
昭58−22557号公報のものによれば、補助変速装置を設
けない仕様とするときには別仕様の軸受板によつて仕切
壁の大径の穴を覆う必要があると共に、例えば特公昭63
−39449号公報に開示されているように補助変速装置と
して機械式のものより前後幅が大となる油圧クラツチ式
のものを設けるトラクタでは、機械式補助変速装置の前
後幅に対応させて設けられている仕切壁をより前方側に
移す必要、つまり全く別仕様のクラツチハウジングを用
いる必要が出て来る。
実開昭59−37131号公報のものはクラツチハウジング
内に中途の仕切壁を設けていないが、クラツチハウジン
グの壁厚を薄くしつつ強度を確保する上で、多くのトラ
クタにおいてそうされているように仕切壁を設けるのが
望ましい。
この考案の目的とするところは軽量で済む支持部材に
機械式の補助変速装置を、組立てを極く容易とするよう
に支持させてあり、また補助変速装置を設けない仕様及
び前後幅大な油圧クラツチ式の補助変速装置を設ける仕
様にも柔軟に対処できるようにクラツチハウジング内の
仕切壁を設けてある、トラクタの新規な伝動構造を提供
するにある。
〔問題点を解決するための手段〕
そのためにこの考案は添付図に例示するように、前端
部内において主クラツチ2を内装するクラツチハウジン
グ1と変速伝動機構4を内装するミツシヨンケース3と
を前後に連設すると共に、主クラツチ2従動側の駆動軸
5とミツシヨンケース3の入力軸6とを互に同心配置
し、これらの駆動軸5及び入力軸6に平行するカウンタ
軸7上において2個の歯車8,9を装備し駆動軸5と入力
軸6間で2段の変速を行なう機械式の補助変速装置10
を、クラツチハウジング1内の後方部に設置してあるト
ラクタの伝動構造において、次のような手段を講じた。
すなわち第1−4図、第5図、第6図及び第7−9図
にそれぞれ例示するようにこの考案は、互に間隔をあけ
た前後の軸受板部11a,11bを上下の連結板部11c,11dによ
つて一体的に連結してなる支持枠11を、後方側の軸受板
部11bでミツシヨンケース3の前面に装着してクラツチ
ハウジング1内の後方部に設けて、この支持枠11に前記
補助変速装置10を支持させる一方、該補助変速装置10
を、前記駆動軸5及び入力軸6と同心配置の2個の歯車
12,13を前記したカウンタ軸7上の2個の歯車8,9と噛合
せると共にこれらの何れかの組の2個の歯車間で駆動軸
5またはカウンタ軸7にスプライン嵌めされた係合金物
14を備え、この係合金物14上に摺動のみ自在に設けたシ
フト金物15によつて係合金物14両側の歯車を択一的に係
合金物14へと結合して変速伝動を行なうものに構成し、
また上記した支持枠11の前後の軸受板部11a,11bにまた
がらせて支持させたガイド杆16上に上記シフト金物15を
シフト操作するシフトフオーク17を設ける一方、補助変
速装置10の前方側でクラツチハウジング1内に該ハウジ
ングと一体の仕切壁1aを設けた。
〔考案の作用と効果〕
この考案によると、補助変速装置10をプリアセンブリ
ーとして組立て、それをミツシヨンケースの前面側に装
備させた上でクラツチハウジング1をミツシヨンケース
3の前面に装着するといつた順序で組立てを行なえる。
そして補助変速装置10をプリアセンブリーとして組立て
ることを、極く容易に行なえる。
すなわち第1、2図に図示の構造では駆動軸5及び入
力軸6と同心配置の2個の歯車12,13間で駆動軸5に係
合金物14をスプライン嵌めしているが、補助変速装置の
組立てに当たつては第4図に例示するように、支持枠11
の前後の軸受板部11a,11bを利用し該支持枠11に、2個
の歯車8,9を装備するカウンタ軸7を支持させると共
に、2個の歯車12,13とその間の係合金物14を、歯車8,1
2及び歯車9,13をそれぞれ噛合せた状態で配置し(なお
図例では歯車9,13はアイドラ歯車19を介して噛合せてい
る。)、シフトフオーク17をのせたガイド杆16を前後の
軸受板部11a,11bにまたがらせて支持させシフトフオー
ク17を係合金物14上のシフト金物15へと係合させる。こ
の状態では歯車8,12及び9,13の噛合せと歯車12,13間へ
の係合金物14の介装によつて歯車12,13及び係合金物14
が所定の位置でセンターを合致し、その状態が、係合金
物14上のシフト金物15がシフトフオーク17によつて受け
支持されていることにより保持される。したがつて駆動
軸5を図示矢印のように前方側の軸受板部11a側から歯
車12,係合金物14中へと挿入して来、これによつて駆動
軸5外周面のスプライン5aを係合金物14内周面のスプラ
イン14aに嵌め合い係合させ、係合金物14を所期のよう
に駆動軸5にスプライン嵌めした状態を得ることができ
る。
また第7図に図示の構造ではカウンタ軸7上の2個の
歯車8,9間でカウンタ軸7に係合金物14をスプライン嵌
めしているが、補助変速装置の組立てにあたつては、先
ず第8図に例示するように支持枠11の前後の軸受板部11
a,11bを利用し該支持枠11に、駆動軸5及び2個の歯車1
2,13を位置決め支持させた上で、第9図に例示するよう
に歯車12、13に対し歯車8,9を噛合せると共に歯車8,9間
にシフト金物15をのせた係合金物14を介装し、支持枠11
に支持させたガイド杆16上のシフトフオーク17をシフト
金物15に対し係合させると、第4図について前述したの
と類似して歯車8,9及び係合金物14が所定の位置でセン
ターを合致した状態に維持される。この状態でカウンタ
軸7を軸受板部11a側から歯車9,係合金物14,歯車8中へ
と挿入して来、これによつてカウンタ軸7外周面のスプ
ライン7aを係合金物14内周面のスプライン14aに嵌め合
い係合させ、係合金物14を所期のようにカウンタ軸7に
スプライン嵌めした状態を得ることができる。
第4図に図示の状態から駆動軸5を所定の位置に組付
けたもの、及び第9図に図示の状態からカウンタ軸7を
所定の位置に組付けたものはそれぞれ、安定したプリア
センブリーとして取扱いうるから、これを支持枠11の後
方側軸受板部11bにてミツシヨンケース3の前面に装着
し、その上でクラツチハウジング1を、支持枠11の外周
面を通してミツシヨンケース3の前面にもたらし後端面
でミツシヨンケース3前面に装着することにより、補助
変速装置10がクラツチハウジング1内の後方部に設置さ
れた組込み状態を得ることができる。なお入力軸6はミ
ツシヨンケース3の前方へと突出させておくことによ
り、クラツチハウジング1をミツシヨンケース3の前面
に装着するときに補助変速装置10の出力端に対し自動的
に接続できる。
以上のようにこの考案は補助変速装置10について、ク
ラツチハウジング1と分離した別体の支持枠11であつて
互に間隔をあけた一体的な前後の軸受板部11a,11bを有
する単一支持枠11を設けた構造、常時噛合いする2組の
歯車列8,12及び9,13を設けると共に同心配置の2個の歯
車12,13或は8,9間に係合金物14を介装し、ガイド杆16を
介し支持枠11に支持させたシフトフオーク17によつて係
合金物14上のシフト金物15をシフト操作するようにする
ことで、駆動軸5或はカウンタ軸7の組込み前に歯車1
2,13或は8,9とその間の係合金物14を位置決め保持可能
とした構造によつて、機械式の2段補助変速装置の組立
て及びトラクタへの組込みを極く容易とする。支持枠11
をして、前後の軸受板部11a,11bを上下の連結板部11c,1
1dにて一体連結したものとし両側方を開放させているか
ら、同支持枠11が軽量で済むものとなると共に、前後の
軸受板部11a,11b間への歯車等の挿入も支持枠11の側方
から難なく行なえる。
支持枠11が両側方を開放したものであるもクラツチハ
ウジング1内に仕切壁1aを設けた構造からして、補助変
速装置10用の潤滑油が乾式の主クラツチ2から問題なく
遮断される。そして特に同仕切壁1aをして補助変速装置
10の支持には関与させていないことから、この仕切壁1a
を補助変速装置10よりも適当間隔だけ前方に位置するよ
うに設けておくことで、補助変速装置を設けない仕様の
トラクタ伝動構造においてはもとより機械式の補助変速
装置10よりも前後幅を大とする油圧クラツチ式の補助変
速装置を設ける仕様のトラクタ伝動構造においても、仕
切壁1aの位置と構造を全く等しくする単一仕様のクラツ
チハウジングを用いることが可能となり、経済性が大き
く高められる。
〔実施例〕
第1−3図が第1の実施例を示し、第4図は同実施例
における補助変速装置の組立て法を示している。
第1図に示すように前記駆動軸5及び入力軸6は中空
軸に形成され、駆動軸5を貫通するPTO系駆動軸21及び
入力軸6を貫通するPTO系伝動軸22が設けられている。
駆動軸5及びPTO系駆動駆動軸21はエンジン・フライホ
イール23に対しそれぞれ、前記主クラツチ2及びPTO系
主クラツチ24を介して接続されている。前記仕切壁1a
は、支持枠11よりもかなり前方の位置でクラツチハウジ
ング1に一体形成され、駆動軸5の前後方向中間部をベ
アリング25を介し支持している。ミツシヨンケース3内
には入力軸6に平行させた下方位置の伝動軸26が設けら
れ、前記変速伝動機構4は入力軸6と伝動軸26間に配設
された変速装置を含む。
第1−3図に示すように図示支持枠11は、前方側の軸
受板部11aよりも後方側の軸受板部11bの方を厚さ大、且
つ、横幅大に形成してあり、上方の連結板部11cを下方
の連結板部11dよりも横幅大に形成してあるものとされ
ている。前方側の軸受板部11aには駆動軸5及びカウン
タ軸7をそれぞれ支承するベアリング28,29の嵌合保持
穴28A,29Aを上下に配して形成してあり、また後方側の
軸受板部11bには入力軸6及びカウンタ軸7をそれぞれ
支承するベアリング30,31の嵌合保持穴30A,31Aを上下に
配して形成してある。伝動軸26の前端部も軸受板部11b
に支持させることとしてあつて、該前端部を支承するベ
アリング32の嵌合保持穴32Aが、嵌合保持穴31Aとセンタ
ーをずらし重復させて軸受板部11bに設けられている。
図示の補助変速装置10は前,後進2段の変速を行なうも
のに構成され、前記したように歯車13,9はアイドラ歯車
19を介し嵌合されており、このアイドラ歯車19を遊転自
在に支持するアイドラ軸18(第2図)を嵌入保持するた
めの保持穴18Aを、第3図に示すように軸受板部11aの一
側端に嵌合保持穴28A,29Aの中間のレベルで設けてあ
る。同保持穴18Aの反対側で前後の軸受板部11a,11bに
は、前記ガイド杆16の前後端部を嵌入保持するための保
持穴16A,16Bを設けてある。第1図に示すように前方側
の軸受板部11aに保持させる上下のベアリング28,29は、
該軸受板部11aの前面に取付ける抜止め板33によつて抜
止めすることとしてあり、この抜止め板33を取付けるた
めの1対のねじ穴33Aが、第3図に示すように軸受板部1
1aに形成されている。後方側の軸受板部11bの端縁部に
は適当数のボルト挿通穴34が設けられており、このボル
ト挿通穴34に挿通しミツシヨンケース3前端部内面上の
連結壁部のねじ穴へと螺込まれるボルト35によつて、軸
受板部11bでの支持枠11のミツシヨンケース3前面への
装着がなされる。
第1の実施例では補助変速装置10がピン式同期噛合い
型のものに構成されており、第1図に示すようにリング
状の前記シフト金物15を貫通させて同期ガイドピン37が
設けられ、各歯車12,13と一体回転する同期アウタリン
グ12a,13aに摩擦係合する同期リング38を、同期ガイド
ピン37の両端部に保持させてある。歯車13は駆動軸5に
遊嵌され、歯車12は入力軸6にスプライン嵌めして嵌着
されており、各歯車12,13には、リング12aないし13aと
各リング38間で同期回転が達成された後にシフト金物15
内面のスプラインが噛合わされることとなるスプライン
12b,13bを設けてある。歯車12,13に噛合う歯車8,9はカ
ウンタ軸7に、スプライン嵌めによつて固定されてい
る。
第2図に示すようにシフトフオーク17はその筒部17a
でもつて、位置固定のガイド杆16に摺動可能にガイドさ
れ、シフト金物15の周方向の略半部を斜め下方側から抱
いて支持するようにして、シフト金物15に係合させてあ
る。クラツチハウジング1の一側壁を貫通させた操作軸
41を設けてあり、この操作軸41の内端に取付けた作動ア
ーム42をシフトフオーク17に対し、操作軸41の回転変位
によりガイド杆16上でシフトフオーク17が摺動変位せし
められるように係合させてある。操作軸41の外端にはシ
フトアーム43を取付けてある。
クラツチハウジング1とミツシヨンケース3間の連結
は、第2図に図示の連結ボルト45をクラツチハウジング
1側からミツシヨンケース3に螺着して行なわれる。な
お図示を省略するがミツシヨンケース3内には直列接続
した2組の機械式変速装置が設けられており、各組の変
速装置操作用の2本宛のフオークシヤフト46,47の前端
部を保持する保持穴46A,47Aが、支持枠11の軸受板部11b
の上端部分両側に形成されている。
第1図に示すように駆動軸5上の前方側の歯車13が支
持枠11の軸受板部11aと摺接することを確実に避けさせ
るため、駆動軸5外周面の環状段部5bとベアリング28間
で保持されるリング49を、歯車13のボス部内端附近に接
当させるようにして駆動軸5上に配置してある。
このため第4図に示すようにリング49が組込まれない
状態の下では同リング49の厚さに対応するクリアランス
αが、軸受板部11aと歯車13間に存在する。そこで図示
の場合には第4図に示す駆動軸5の挿入組込みを、歯車
13が図示の所定位置に留められるように支持枠11をして
前方側軸受板部11aを上側とした姿勢におき駆動軸5を
上方側から挿入するようにして、行なうこととされてい
る。リング49は環状段部5bとベアリング28間で予め駆動
軸5上に設置され、ベアリング28を嵌合保持穴28Aに嵌
合させるように駆動軸5が組込まれると、リング49によ
つてクリアランスαが埋められる。
PTO系の駆動軸21と伝動軸22間は第1図に示すように
カツプリング・スリーブ51によつて連結されることとさ
れ、第4図に図示の駆動軸5の組込みに際しPTO系駆動
軸21は中空の駆動軸5を貫通させ下端にカツプリング・
スリーブ51を装備させた状態としておき、駆動軸5と同
時に組込まれる。
第4図に図示の状態から両駆動軸5,21の組込みを完了
した状態を得た後は、第1図に図示のように抜止め板33
によるベアリング28,29の抜止めを行ない、支持枠11を
水平姿勢とし、入力軸6及びPTO系伝動軸22を前面から
突出状として装備するミツシヨンケース3の前面に支持
枠11を装着する。このとき歯車12の内周面に形成されて
いるスプライン12cが入力軸6前端部外周面に形成され
ているスプラインに嵌合い係合されて、歯車12と入力軸
6間がスプライン嵌めによつて所要のように結合され、
またカツプリング・スリーブ51によつてPTO系の駆動軸2
1と伝動軸22間が自動的に連結される。ここで第1,2図に
図示のボルト35による装着を行なう。
クラツチハウジング1は前述したようにその後で、ミ
ツシヨンケース3の前面上にもたらされ、第2図に図示
のボルト45による連結が行なわれる。主クラツチ2及び
PTO系主クラツチ24と関連する操作機構はその後に、ク
ラツチハウジング1の前端部内に組込む。
補助変速装置10においてシフト金物15を操作し、係合
金物14を介し駆動軸5に対し歯車12を結合したときは入
力軸6が車両前進方向に回転駆動され、また係合金物14
を介し駆動軸5に対し歯車13を結合したときは同歯車1
3、アイドラ歯車19、歯車9、カウンタ軸7、歯車8及
び歯車12を介して入力軸6が車両後進方向に回転駆動さ
れる。
第5図及び第6図はそれぞれ、第2及び第3の実施例
の要部を、第4図に対応して駆動軸5及びPTO系駆動軸2
1の組込み前の状態で、且つ、支持枠11を軸受板部11aが
上側に来る姿勢において、画いている。
第5図に図示の第2の実施例では補助変速装置に同期
噛合い機構を設けず、シフト金物15内面のスプラインを
各歯車12,13ボス部外面のスプライン12a,13bに対し強制
的に係合させる構造を採つている。
第6図に図示の第3の実施例ではボルグワーナ式の同
期機構を設けており、各歯車12,13のボス部に円錐面状
のクラツチ面を設け、その上に対応するクラツチ面を内
面上に有する同期リング55,56をのせ、同期リング55,56
による回転同期後にシフト金物15内面のスプラインが噛
合うこととなるスプライン爪部12d,13dを、各歯車12,13
に設けている。
第2,第3の実施例の他の部分の構造は第1の実施例に
おけるのと同様であり、その組立ては第1の実施例につ
いて述べたのと同様に行なわれる。
第7図は第3の実施例を示し、前端に歯車60を一体形
成した中空の中間軸61を駆動軸5と入力軸6間に配置
し、支持枠11の後方側の軸受板部11bに1対のベアリン
グ62,63を介して支持させている。カウンタ軸7上には
上記歯車60と噛合せた出力歯車64を別に設けてあり、中
間軸61と入力軸6とがスプライン嵌め65によつて接続さ
れている。
第4の実施例では支持枠11内に駆動軸5を大きく突入
させてあり、同駆動軸5の後端部をベアリング67を介し
中間軸61に支持させる一方、歯車12,13を前後の間隔を
あけて駆動軸5にスプライン嵌めて嵌着している。歯車
12、13の軸線方向変位を阻止するためには、駆動軸5に
止輪68,69を装着してある。歯車8,9はカウンタ軸7に遊
嵌され、歯車8は歯車12に対し直接に噛合され歯車9は
前記のもの同様のアイドラ歯車19を介して歯車13と噛合
されている。歯車8,9間でカウンタ軸7に係合金物14が
スプライン嵌めされ、この係合金物14に対しスプライン
嵌めされているシフト金物15の内面のスプラインを、各
歯車8,9ボス部のスプライン8d,9dに対し噛合せて、カウ
ンタ軸7に対する各歯車8,9の選択的な結合を得ること
とされている。ガイド杆16及びシフトフオーク17は、前
述の場合と同様に設けられている。
第8,9図は第4の実施例における補助変速装置10を、
プリアセンブリーとして組立てる方法を示している。
第8図に図示の状態までの組立てを行なうには、先ず
歯車60を装備する中間軸61を支持枠11の軸受板部11b
に、ベアリング62,63を介して図示のように支持させ
る。そして支持枠11を図示の姿勢としておいて、所定位
置においた歯車12上に鎖線図示のように歯車13を同心状
に重ね合せておく。ここで駆動軸5とそれを貫通させた
PTO系駆動軸21とを上側から支持枠11内に挿入して図示
位置に組込んだ上で、歯車13を駆動軸5上で実線図示の
所定位置まで持上げC字形の止輪69を駆動軸5に装着す
ることによつて同歯車13の位置を固定すると共に、同様
にC字形の止輪68を駆動軸5に装着することによつて歯
車12の位置を固定する。なお前述した第1の実施例にお
けるカウンタ軸7の組込みも、上述したのと同様に行な
われる。
第9図に図示のカウンタ軸7の組込みは考案の作用の
項で前述した通りに行なわれ、歯車9と軸受板部11aと
の摺接を阻止するために前記リング49同様のリング71を
カウンタ軸7の段部7bとベアリング29間で保持して設け
ることとされ第9図に図示の状態で軸受板部11aと歯車
9間にクリアランスαが存在することから、支持枠11を
して軸受板部11aを上側とした図示姿勢においてカウン
タ軸7の組込みを行なうこととしてある。カウンタ軸7
には出力歯車64をスプライン嵌めするためのスプライン
7cも設けられ、相手側のスプライン64aが出力歯車64の
内周面に形成されている。
カウンタ軸7の組込みによつて完成したプリアセンブ
リーのトラクタ内への組込みは、前述した通りに行なわ
れる。
第4の実施例ではカウンタ軸7上でシフト金物15をシ
フト操作し、それによつて歯車8をカウンタ軸7に結合
すると中間軸61及び入力軸6が車両前進方向に回転駆動
され、また歯車9をカウンタ軸7に結合すると中間軸61
及び入力軸6が車両後進方向に回転駆動される。
以上の実施例では補助変速装置10を前,後進2段の変
速を行なうものとしたが、高,低2段の変速を行なうも
のともできるのは言うまでもない。なお第1の実施例に
おいて第4図に図示の状態まで組立てられ駆動軸5を未
だ組込まれていない状態のプリアセンブリーを、ミツシ
ヨンケース3の前面に予め装着してしまうような組立て
も可能である。すなわち同プリアセンブリーにおいて係
合金物14はシフト金物15を介し、第2図に図示のように
シフトフオーク17に受け支持されて所定位置に位置決め
されており、これにより歯車8と噛合う歯車12も位置決
めされている。そして歯車9とアイドラ歯車19を介し噛
合う歯車13は前記クリアランスαの範囲で軸線方向に沿
い変位しうるが、同クリアランスαは僅かであるから歯
車13の姿勢自体はくずれることがなく、ミツシヨンケー
ス3の前面に装着したプリアセンブリーに駆動軸5の後
端部を挿入して組込む上で不都合が起きず、そして駆動
軸5を単独或はクラツチハウジング1と共に組込むとリ
ング49に押され歯車13が位置決めされるからである。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの考案の第1の実施例を装備するトラクタの
要部を示す縦断側面図、第2図は第1図のII−II線にほ
ぼ沿つた一部省略縦断面図、第3図は第1の実施例で設
けた支持枠を示す斜視図、第4図は第1の実施例の組立
て法を示す縦断面図、第5図及び第6図はそれぞれ、第
2及び第3の実施例の一部分を組立て途中の状態で示す
縦断面図、第7図は第4の実施例の要部を示す縦断側面
図、第8図及び第9図はそれぞれ、第4の実施例の組立
て法を示す縦断面図である。 1…クラツチハウジング、1a…仕切壁、2…主クラツ
チ、3…ミツシヨンケース、4…変速伝動機構、5…駆
動軸、6…入力軸、7…カウンタ軸、8,9…歯車、10…
補助変速装置、11…支持枠、11a,11b…軸受板部、11c,1
1d…連結板部、12,13…歯車、14…係合金物、15…シフ
ト金物、16…ガイド杆、17…シフトフオーク、18…アイ
ドラ軸、19…アイドラ歯車、23…エンジン・フライホイ
ール、35…ボルト、45…ボルト、60…歯車、61…中間
軸、64…出力歯車。

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】前端部内において主クラツチ2を内装する
    クラツチハウジング1と変速伝動機構4を内装するミツ
    シヨンケース3とを前後に連設すると共に、主クラツチ
    2従動側の駆動軸5とミツシヨンケース3の入力軸6と
    を互に同心配置し、これらの駆動軸5及び入力軸6に平
    行するカウンタ軸7上において2個の歯車8,9を装備し
    駆動軸5と入力軸6間で2段の変速を行なう機械式の補
    助変速装置10を、クラツチハウジング1内の後方部に設
    置してあるトラクタの伝動構造において、 互に間隔をあけた前後の軸受板部11a,11bを上下の連結
    板部11c,11dによつて一体的に連結してなる支持枠11
    を、後方側の軸受板部11bでミツシヨンケース3の前面
    に装着してクラツチハウジング1内の後方部に設けて、
    この支持枠11に前記補助変速装置10を支持させる一方、
    該補助変速装置10を、前記駆動軸5及び入力軸6と同心
    配置の2個の歯車12,13を前記したカウンタ軸7上の2
    個の歯車8,9と噛合せると共にこれらの何れかの組の2
    個の歯車間で駆動軸5またはカウンタ軸7にスプライン
    嵌めされた係合金物14を備え、この係合金物14上に摺動
    のみ自在に設けたシフト金物15によつて係合金物14両側
    の歯車を択一的に係合金物14へと結合して変速伝動を行
    なうものに構成し、また上記した支持枠11の前後の軸受
    板部11a,11bにまたがらせて支持させたガイド杆16上に
    上記シフト金物15をシフト操作するシフトフオーク17を
    設ける一方、補助変速装置10の前方側でクラツチハウジ
    ング1内に該ハウジングと一体の仕切壁1aを設けたこと
    を特徴とする伝動構造。
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