JP2504529Y2 - 車両用座席 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案はシートベルトのベルトアンカーをシートアジ
ャスタの可動側レールに取付けて成る車両用座席に関す
る。

〔従来の技術〕

従来、乗用車等の車両用座席には第４図及び第５図に
示すように、シートクッションＳに取付けるシートアジ
ャスタ（１）の床面側に固定される固定側レール（２）
に対して上下方向には係合した状態で前後方向に摺動さ
れる可動側レール（３）にシートベルトのベルトアンカ
ー（４）を取付けたものがある。この構成のものは衝突
時等においてシートベルトに大負荷が作用すると可動側
レール（３）にベルトアンカー（４）を介して引き上げ
力が加わり、このため可動側レールは固定側レールから
剥離されることになってシートベルトの着用者を確保で
きなくなる。

そこで、これを防止するために第５図に示すように可
動側レール（３）に固定側レール（２）を巻回状に抱持
する抱持プレート（５）を固着して両レール（２），
（３）間において互いに上下方向の荷重を受けるように
成されており、また互いの前後方向の荷重は固定側レー
ル（２）の下側に固着されたロックプレート（６）の爪
溝（6a）に可動側レール（３）に備えられたロック爪
（７）が係合されて受けるように構成されている。

〔考案が解決しようとする課題〕

この従来の構成においてはシートベルトからの大負荷
による固定側レールと可動側レール間の互いの上下方向
荷重は可動側レールに対する抱持プレートの溶接強度で
保証し、また互いの前後方向荷重はロック爪自体の強度
により保証することになるので、抱持プレートの溶接作
業に難点があり、またロック爪に必要以上の強度が要求
されることになってコスト高になる不具合がある。

本考案はかかる点に鑑みてなされたもので、簡単な構
成により固定側レールに対する可動側レールの剥離を防
止できると共に前後方向のロック強度を高め安全性の一
層の向上を図るようにした車両用座席を提供することを
目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案は、シートベルト
のベルトアンカーをシートアジャスタの可動側レールに
取付けると共にシートベルトからの負荷時に固定側レー
ルに対する可動側レールの剥離を防止するために可動側
レールに固定側レールを巻回状に抱持する抱持プレート
を固着して成る車両用座席であって、抱持プレートに切
欠部を介して可動側レールを跨ぐように対応する支持プ
レート部が形成され、この支持プレート部に固定側レー
ルの下側に位置する支持ピンを横架固定して構成したも
のである。

〔作用〕

このように構成したことにより、車両の衝突時等にお
いてシートベルトに大負荷が作用しベルトアンカーを介
して可動側レールに大きな引き上げ荷重が加わり可動側
レールが上方へ変形する状態になると、これに伴って抱
持プレートの支持プレート部が切欠部から変形して支持
ピンが固定側レールの下面側に近接してロックプレート
の爪溝に入り込み固定側レールに対する可動側レールの
剥離が防止される。また前後方向の荷重も支持ピンを介
してロックプレートの爪溝で受けることができ、ロック
爪に加わる荷重が少なくなり、ロック爪の変形も防止さ
れて前後移動が防止されることになる。

〔実施例〕

以下、本考案の一実施例を第１図乃至第３図を参照し
て説明するに、要部のみを図示し、また第４図及び第５
図に示す従来例と同種部材には同一符号を付してその詳
細な説明は省略する。

本例においては可動側レール（３）に固定側レール
（２）を巻回状に抱持する抱持プレート（５）に切欠部
（5a）を介して可動側レール（３）に跨ぐように対応す
る支持プレート部（15）が延長形成されて、この支持プ
レート部（15）の下端部間に支持ピン（16）が固定側レ
ール（２）の下側に位置して横架固定されている。

そして、可動側レール（３）がシートベルトに作用す
る大負荷による大きな引き上げ荷重により上方へ変形す
る状態となると、この変形に従って第３図に示すように
抱持プレート（５）は延長形成された支持プレート（1
5）が切欠部（5a）において上方へ変形させられるが、
支持ピン（16）が固定側レール（２）の下面側に近接し
その下面側に固定されたロックプレート（６）の爪溝
（6a）に入り込み係止されることにより支持プレート部
（15）は変形が防止されて可動側レール（３）は引き止
められることになって固定側レール（２）に対する剥離
が防止され、シートベルトの着用者を安定して確保でき
る。

また、支持ピン（16）がロックプレート（６）の爪溝
（6a）に係止されることにより固定側レール（２）に対
する可動側レール（３）の前後方向の荷重も受けること
になってロックプレート（６）に係合するロック爪
（７）に加わる荷重が少なくなり、このロック爪（７）
の変形も防止されてロックプレート（６）に対するロッ
ク強度が高くなり、座席の不要の前後移動が防止されて
安全性が一層向上される。

以上、本考案の一実施例を説明したが、本考案はこの
実施例に限定されるものではなく、本考案の趣旨を逸脱
しない範囲で種々変更できるものである。

例えば、抱持プレートの支持プレート部は可動側レー
ルに溶接等によって固着してもよく、この抱持プレート
の形状等は各種変更できるものである。

また、ロックプレートとロック爪の構成は本考案とは
直接には関係しないが、ロックプレートの爪溝に支持ピ
ンが入り込み係止される構成であればよい。

〔考案の効果〕

以上のように本考案によれば、可動側レールにシート
ベルトのベルトアンカーか取付けられたシートアジャス
タにおいて、可動側レールのシートベルトからの荷重に
よる変形を確実に抑止することができて固定側レールに
対する剥離を防止し、シートベルトの着用者を安定して
確保でき、また可動側レールの前後方向のロック強度も
高くなり不要の移動が防止されて安全性が一層向上さ
れ、しかも構成が簡単で既存のシートアジャスタにも容
易に適用できる等の効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による車両用座席の一例の要部の側面
図、第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図は同、動
作状態を示す側面図、第４図は従来の車両用座席の側面
図、第５図は第３図のＢ−Ｂ線拡大断面図である。 図中、（１）はシートアジャスタ、（２）は固定側レー
ル、（３）は可動側レール、（４）はベルトアンカー、
（５）は抱持プレート、（６）はロックプレート、（1
5）は支持プレート部、（16）は支持ピンである。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シートベルトのベルトアンカーをシートア
   ジャスタの可動側レールに取付けると共にシートベルト
   からの負荷時に固定側レールに対する可動側レールの剥
   離を防止するために可動側レールに固定側レールを巻回
   状に抱持する抱持プレートを固着して成る車両用座席で
   あって、 上記抱持プレートに切欠部を介して上記可動側レールに
   跨ぐように対応する支持プレート部が形成され、 上記支持プレート部に上記固定側レールの下側に位置す
   る支持ピンを横架固定したことを特徴とする車両用座
   席。