JP2504114B2 - 車両の加速スリップ防止装置 - Google Patents

車両の加速スリップ防止装置

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JP2504114B2
JP2504114B2 JP63097274A JP9727488A JP2504114B2 JP 2504114 B2 JP2504114 B2 JP 2504114B2 JP 63097274 A JP63097274 A JP 63097274A JP 9727488 A JP9727488 A JP 9727488A JP 2504114 B2 JP2504114 B2 JP 2504114B2
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slip
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Control Of Driving Devices And Active Controlling Of Vehicle (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は車両の加速スリップ防止装置に関する。
(従来の技術) 従来、特開昭61−85248号公報に示すような加速時の
駆動輪スリップを防止するトラクションコントロール装
置が知られている。
(発明が解決しようとする課題) このような従来のトラクションコントロール装置にお
いては、駆動輪にスリップが発生したか否かを判定し、
スリップが発生したと判定すると車両の走行状態やスリ
ップの大きさに関わらず単にスロットル弁を閉動するな
どして駆動トルクが低減し、スリップがなくなったと判
定すると駆動トルクを元に戻すように制御が行われる。
このため、必要以上に駆動トルクが低減されて車両の
加速性が大きく損なわれたり、駆動トルクが直ちに元の
大きさに戻されることにより、再び過大なスリップが発
生するといった問題点がある。
また、変速中は変速ショックによる車両への振動が車
両の対地速度の変化を生み、それによって実際よりスリ
ップを大きく検出したり、あるいは小さく検出したりす
ることがあり、実際よりスリップを大きく検出した場合
には、本来の駆動トルクより小さな駆動トルクを駆動輪
に伝達するため、車両の加速性が大きく損なわれ、一方
実際より小さくスリップを検出した場合には、駆動トル
ク制御を行っているにもかかわらず、スリップが発生し
てしまうものである。
いずれにしても、変速ショックによる車両の対地速度
の変化は、運転者に大きな不快感を与えるものである。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、駆動輪
にスリップが発生したときに、駆動輪に伝達される駆動
トルクをスリップの大きさに応じてスリップが生じない
最大限の値に調整することにより車両の加速性を確保し
ながら過大なスリップの発生を防止するとともに、変速
時においても、変速ショックによる車両の対地速度の変
化に起因する加速性の悪化及び過大なスリップを防止し
た車両の加速スリップ防止装置を提供することを目的と
する。
[発明の構成] (課題を解決するための手段及び作用) 車両の駆動輪におけるスリップ状態を示すスリップ状
態量を検出するスリップ検出手段と、上記車両の加速度
を検出する加速度検出手段と、同加速度検出手段によっ
て検出された加速度を用い上記車両を上記加速度で走行
させるために必要なトルクとして基準トルクを算出する
基準トルク算出手段と、上記スリップ検出手段によって
検出されたスリップ状態量に基づき上記駆動輪のスリッ
プ状態を軽減するための補正トルクを算出する補正トル
ク算出手段と、変速機の変速段切り換えを検出する変速
検出手段と、上記基準トルク算出手段によって算出され
た上記基準トルクを上記補正トルク算出手段によって算
出された上記補正トルクによって補正し、上記変速検出
手段の検出に基づき変速段の切り換えが行われていると
きは変速前の上記補正トルクを使用して上記基準トルク
を補正することにより目標トルクを設定する目標トルク
設定手段と、上記目標トルク設定手段によってエンジン
出力を制御する出力制御手段とを備えたことを特徴とす
る車両の加速スリップ防止装置である。
この加速スリップ防止装置によれば、駆動輪にスリッ
プが発生するスリップ検出手段により検出される。一
方、車両の加速度が加速度検出手段によって検出され、
この加速度検出手段によって検出された加速度を用い、
基準トルク算出手段が上記車両を上記加速度で走行させ
るために必要なトルクとして基準トルクを算出する。そ
して、補正トルク算出手段が上記スリップ検出手段によ
って検出されたスリップ状態量に基づき上記駆動輪のス
リップ状態を軽減するための補正トルクにより補正する
ことによって目標トルクを設定する。
上記基準トルクは車両の加速度を用い上記車両を上記
加速度で走行させるために必要なトルクとして算出され
るものであるため、そのときに駆動輪から路面に伝達可
能な駆動トルクとして上記基準トルクが求められる。そ
して、このような基準トルクをスリップ状態量に応じた
補正トルクによって補正することにより、駆動輪のスリ
ップを収束させるために必要な目標トルクを得ることが
できる。
さらに、このときスリップの収束にともない補正トル
クを変化させ、駆動輪に伝達されるトルクを徐々に路面
に伝達可能な最大の駆動トルクに近づけることにより、
スリップを抑制しながら車両の加速性をも確保すること
が可能となる。このとき、スリップの収束に伴い駆動ト
ルクは徐々に回復していくため、従来技術のようなスリ
ップの再発も抑制することが可能である。
また、変速検出手段によって、変速されたことが検出
されると、補正トルクを変速直前の値に保持するため、
変速ショックの振動による対地速度の変化に起因して、
実際とは異なるスリップ量を検出した際に、目標トルク
を補正する補正トルクが変速直前の値に保持され、駆動
輪のスリップを収束させる行程に悪影響を及ぼさない
上、運転者へ加速性の悪化及び過大なスリップを体感さ
せることが可能とする。
(実施例) 以下図面を参照して本発明の一実施例に係わる車両の
加速スリップ防止装置について説明する。第1図は車両
の加速スリップ防止装置を示す構成図である。同図は前
輪駆動車を示しているもので、WFRは前輪右側車輪、W
FLは前輪左側車輪、WRRは後輪右側車輪、WRLは後輪左
側車輪を示している。また、11は前輪右側車輪(駆動
輪)WFRの車輪速度VFRを検出する車輪速度センサ、12
は前輪左側車輪(駆動輪)WFLの車輪速度VFLを検出す
る車輪速度センサ、13は後輪右側車輪(従動輪)WRRの
車輪速度VRRを検出する車輪速度センサ、14は後輪左側
車輪(従動輪)WRLの車輪速度VRLを検出する車輪速度
センサである。上記車輪速度センサ11〜14で検出された
車輪速度VFR,VFL,VRR,VRLはトラクションコントローラ
15に入力される。このトラクションコントローラ15は加
速時の駆動輪のスリップを防止する制御を行なっている
もので、エンジン16のスロットル弁(図示せず)のスロ
ットル開度Θ1を制御してエンジン出力を制御したり、
あるいは図示しないブレーキの制御も行なっている。
次に、第2図を参照してトラクションコントローラ15
の詳細な構成について説明する。車輪速度センサ11及び
12において検出された駆動輪の車輪速度VFR及びVFLは
平均部21において平均されてVF=(VFR+VFL)/2が算出
される。また同時に、車輪速度センサ11及び12において
検出された駆動輪の車輪速度VFR及びVFLは高車輪速選
択部(SH)22に送られて、車輪速度VFRと車輪速度VFL
のうちの大きい車輪速度の方が駆動輪速度VF′として選
択されて出力される。上記高車速選択部22は両駆動輪に
対する路面の摩擦係数μが異なることにより一方の駆動
輪に片寄ってスリップが発生した場合にもこれを検出
し、駆動力制御(トラクションコントロール)の開始を
速めて、速く対応するようにしている。
また、車輪速度センサ13及び14において検出された従
動輪の車輪速度VRR及びVRLは高車輪速選択部(SH)23
に送られて、車輪速度VRRと車輪速度VRLのうちの大き
い車輪速度の方が選択されて車体速度VBとして出力さ
れる。上記高車輪速選択部23はカーブを走行中に内輪差
を考慮して内輪と外輪との車輪速度の大きい方を車体速
度VBとして選択することにより、スリップの誤判定を
防止するようにしている。つまり、後述するように車体
速度VBはスリップの発生を検出するための基準速度と
なるもので、この車体速度VBを高めておくことによ
り、カーブ走行中におけるスリップ発生の誤判定を防止
している。
また、上記高車速輪選択部23において選択出力された
車体速度VBは車体加速度演算部24において車体速度VB
の加速度、つまり車体加速度B(GB)が演算される。
この車体加速度Bの演算は今回に車体加速度演算部24
に入力された車体速度VBと前回に車体加速度演算部2
4に入力された車体速度VBn-1との差をサンプリング時
間Tで割算することにより求められる。
つまり B=GB=(VB−VBn-1)/T …(1) とされる。
つまり、上記車体加速度演算部24において車体加速度
Bを算出することにより、駆動輪の加速スリップ中に
発生した従動輪の回転加速度Bから路面に伝達するこ
とのできる駆動トルクを推定している。つまり、駆動輪
が路面に伝達できる力Fは前輪駆動車であれば、 F=μWF=MBB …(2) (WFは駆動力分担荷重,MBは車両質量) である。上記第(2)式から明らかなように駆動力分担
荷重WFと車両質量MBとが一定である場合には、路面の
摩擦係数μと車体加速度Bは比例関係にある。また、
第3図に示すように、駆動輪がスリップして「2」より
大きくなるとμの最大を越えてしまい、「1」点の方に
μが近付く。そして、スリップが収まる場合には「1」
からこの「2」のピークを通って「2」〜「3」の領域
に入る。この「2」での車体加速度Bを測定できれ
ば、その摩擦係数μの路面に伝達可能な最大トルクを推
定できる。この最大トルクを基準トルクTGとしてい
る。
つまり、上記車体加速度演算部24において求められた
車体加速度Bは基準トルク演算部25に送られて基準ト
ルクTG′=B×W×Reが算出される。ここで、Wは車
重、Reはタイヤ半径である。
次に、上記基準トルクTG′はエンジントルク演算部2
6に送られて、基準トルクTG′に対応したエンジントル
クが算出される。つまり、エンジントルク演算部26にお
いてTG×1/(ρM・ρD・t)が算出されて基準とな
るエンジン出力トルク、つまり基準トルクTGが求めら
れる。
ここで、ρMは変速比,ρDは減速比、tはトルク比
を意味している。そして、上記エンジントルク演算部26
において算出されたエンジントルクは最小トルククリッ
プ部27において、下限値が制限される。つまり、上記エ
ンジントルク演算部26において算出された基準トルクT
Gが規定トルクTa(例えば4Kg・m)より小さい場合には
基準トルクTGをTaとしている。
また、上記高車輪速選択部23において選択された車体
速度VBは乗算部28においてK1倍されて基準駆動輪速度
VΦ′とされる。このK1は第4図に示すように、車体加
速度Bの大きさに応じて変化する。凍結路のような低
μ路を走行中の場合に比べ、じゃり路等の悪路を走行中
の場合の方が車体加速度が大きくなるので、車体加速度
Bが大きい時は、じゃり路のような悪路を走行してい
ると判断して、このような場合にはK1を大きくして後述
するスリップ判定の基準となる基準駆動輪速度VΦを大
きくして、スリップの判定を甘くしている。さらに、上
記基準駆動輪速度VΦ′は加速部30において定数発生部
29に記憶される定数β(例えば2Km/h)と加算されて基
準駆動輪速度VΦが求められる。なお、上記βについて
も上記K1と同様に車体加速度Bの大きさに応じて変化
させ、Bが大きい時には大きい値をもつようにしても
良い。そして、上記平均部21において求められた駆動輪
速度VFが上記加算部30の出力である基準駆動輪速度V
Φから減算部31において減算されてスリップ量DV=VF
−VΦが算出される。
次に、上記スリップ量DVは例えば15msのサンプリング
時間TでTSn演算部32に送られて、スリップ量DVが係数K
1を乗算されながら積分されて補正トルクTSnが求められ
る。つまり、 TSn=KI・ΣDVi(KIは係数) としてスリップ量DVの積算により求められた補正トル
ク、つまり積分型補正トルクTSnが求められる。
また、上記スリップ量DVは上記サンプリング時間T毎
にTPn演算部33に送られて、スリップ量DVに比例する補
正トルクTPnが算出される。つまり、TPn=DV×Kp(Kpは
係数)としてスリップ量DVに比例する補正トルク、つま
り比例型補正トルクTPnが求められる。
また、減算部34において、上記高車輪速選択部22によ
り選択された駆動輪速度VF′から加算部30で求められ
た基準駆動輪速度VΦが減算されて、スリップ量DV′=
VF′−VΦが計算される。
そして、このスリップ量DV′はA指令開始/終了判定
部35に送られて、スリップ量DV′とその時間的変化量Δ
DV′に基づき、A指令(エンジンの出力トルクを“0"に
する)を開始しあるいは終了(つまり、B指令の開始)
させる判定処理が行われる。つまり、この判定部35にお
いて、「DV′>A(例えば、2Km/h),かつΔDV′>α
1(例えば、2〜3g、ただしgは動加速度)」の場合に
A指令が開始され、「DV′<閾値VthかつΔDV′<0」
の場合にA指令が終了されてB指令が開始される。上記
A指令終了の閾値は第5図に示すように車体加速度B
が大きくなると大きくなる。これは第4図を用いて説明
したように、じゃり路のような悪路を走行中におけるス
リップを低減させるA指令を速めに終了させることによ
り、スリップの判定を甘くして、悪路走行中での加速性
を向上させている。つまり、じゃり道等の悪路は多少ス
リップぎみに走行した方が加速性が良いためである。
ところで、上記最小トルククリップ部27の出力である
基準トルクTGからの上記TSn演算部32の出力である積分
型補正トルクTSnの減算は減算部36において行われる。
そして、この減算部36から出力されるトルク(TG−TS
n)はクリップ部37において、トルクTb以上にクリップ
される。さらに、減算部38において、「(TG−TSn)−
TPn」が行われて、実際の目標トルクTΦとしてTΦ=
TG−TPn−TSnとされる。つまり、この目標トルクTΦ
がB指令とされる。
そして、上記A指令とB指令は切換えスイッチ39によ
り切換えられてリミッタ40に出力される。このリミッタ
40はエンジン低回転時に上記目標トルクTΦが小さすぎ
ると、エンジンストールを起こさせるので、目標トルク
TΦに下限値Tlimを与えている。この下限値Tlimとエン
ジン回転数Neとの関係は第6図に示しておく。
第6図に示すように、下限値Tlimはエンジン回転数が
小さくなるほど大きくなっている。
さらに、上記リミッタ40により下限値Tlimでクリップ
された目標トルクTΦは変速中ホールド部41において、
変速中は変速ショックによってもスリップが発生するの
で、変速中には上記TSn演算部32で行われるスリップ量D
Vの積分をホールドすることにより余分な積算が行われ
ないようにしている。なお、変速中でない場合にはこの
ホールド処理は行われない。以下、変速ホールド部41か
ら出力される目標トルクTΦはトラクションコントロー
ルスイッチTRSWを介してスロットル開度演算部42に送ら
れる。このスロットル開度演算部42において上記目標ト
ルクTΦを発生させるスロットル開度Θ1が求められ
る。このスロットル開度Θ1は第7図に示すような上記
目標トルクTΦとエンジン回転数Neとの関係から求めら
れる。また、第8図に示すようにスロットル弁が2つあ
る場合にはアクセル開度Θsがスロットル開度演算部42
に入力される。
次に、上記のように構成された本発明の一実施例に係
わる車両の加速スリップ防止装置の動作について説明す
る。まず、車輪速度センサ11,12により検出された駆動
輪の車輪速度VFR,VFLのうち、大きい方の車輪速度が駆
動輪速VF′として高車輪速選択部22において選択さ
れ、減算部34においてスリップ量DV′=VF′−VΦが
算出される。このスリップ量DV′はA指令開始/終了判
定部35送られて、スリップ量DV′及びそのスリップ量D
V′の時間的変化量ΔDV′に基づいて加速時のスリップ
の発生を防止する駆動力制御の開始及び終了の制御が行
われる。駆動力制御の開始の条件としては、「DV′>A
(例えば、2Km/h)かつΔDV′>α1(例えば、3g〜4
g)」であり、駆動力制御の終了の条件としては「DV′
<VthかつΔDV′<0」とされる。この閾値Vthは第5図
に示すように、車体加速度Bが大きくなると閾値Vthが
大きくなるように設定されている。これは、例えばじゃ
り路走行時のような悪路走行時には駆動力制御の終了の
閾値を車体加速度Bが小さい時より大きくすることに
より、駆動力制御を早めに終了させて、多少スリップを
発生させながら、じゃり路を走行させて加速性を向上さ
せているためである。
また、車輪速度センサ13,14から出力される従動輪の
車輪速度VRR,VRLは高車輪速選択部23に送られて、従動
輪の車輪速度VRR,VRLのうちの大きい方が車体速度VB
として選択出力される。以下、この車体速度VBに基づ
いて基準トルクTG,積分型補正トルクTSn,比例型補正
トルクTPnが算出される。
まず、基準トルクTGを求める場合の動作について説
明する。上記高車輪速選択部23から出力された車体速度
VBはサンプリング時間T(例えば、15ms)毎に車体加
速度演算部24に読込まれて、第(1)式に基づいて前回
読み込まれた車体速度VBn-1と今回読み出された車体速
度VBとの差をサンプリング時間Tで割算することに
より、車体加速度Bが算出される。そして、上記車体
加速度Bは基準トルク演算部25に送られて、車重W及
びタイヤ半径Reが乗算されて、車体加速度Bである場
合に駆動輪が路面で伝達することができる基準トルクT
G′が求められる。次に、基準トルクTG′が変速比ρM,
減速比ρD及びトルク比tで除算されて、エンジン出力
トルクとしての基準トルクTGに変換される。この基準
トルクTGは最小トルククリップ部27において、下限値
がTaに制限される。これは、基準トルクTGが規定値Ta
より小さいと車両が加速されなくなる恐れがあるためで
ある。以上のようにして、従動輪の車輪速度VBの加速
度、つまり車体加速度Bにより基準トルクTGを求める
ことにより、その時の路面に対して伝達可能な最大のト
ルクが基準トルクTGとして求められる。
次に、従動輪の車輪速度VBに基づいて積分型補正ト
ルクTSn,比例型補正トルクTPnを算出する処理について
説明する。まず、従動輪の車輪速度VBは乗算部28に送
られて、K1倍されて基準駆動輪速度VΦ′が求められ
る。このK1は第4図に示すように車体加速度Bに応じ
て変化するもので、車体加速度Bが大きくなると、大
きくなるように設定されている。また、上記基準駆動輪
速度VΦ′は加算部30において、定数βが加算されて基
準駆動輪速度VΦが算出される。そして、上記平均部22
で求められた駆動輪速度VFと基準駆動輪速度VΦが減
算されてスリップ量DV=VF−VΦが算出される。つま
り、車体加速度Bが大きくなると基準駆動輪速度VΦ
を大きくしているので、スリップ量DVをより小さく検出
している。また、トラクションコントロールの開始の判
定となるスリップ量DV′の検出値も小さくなるので、車
体加速度Bが大きい場合にはスリップの判定を甘くし
ている。つまり、第(2)式に示したように駆動輪分担
荷重WFが車両質量とが一定値であると考えた場合に、
車体加速度Bは路面の摩擦係数μに比例する。従っ
て、車体加速度Bが大きいということはμが大きいこ
とと等価なものである。ところで、凍結路等に比べじゃ
り路はμが高いので、車体加速度Bが高くなり、スリ
ップ量DV及びDV′は実際よりも小さい値として検出され
る。このため、スリップの判定が甘くなるので、車両は
多少スリップしながら加速されていく。これは、じゃり
路のような悪路では第3図中においてスリップ率Sの比
較的大きいところにμのピークがあるのでスリップの判
定を甘くして、多少スリップをさせた方が、加速性が良
いためである。
次に、上記スリップ量DVはTSn演算部32に送られて、
積分型補正トルクTSn(=KIΣDV)が算出される。この
積分型補正トルクTSnはサンプリング時間T毎にスリツ
プ量DVを積算している。さらに、上記スリップ量DVはT
P演算部33に送られて、サンプリング時間T毎に比例型
補正トルクTP=DV×Kpが算出される。つまり、サンプ
リング時間T毎のスリップ量DVに係数Kpを掛けたものが
比例型補正トルクTPとされる。以下、基準トルクTG−
積分型補正トルクTSn−比例型補正トルクTPnの演算が減
算部36,38において行われて、目標トルクTΦ=TG−TS
n−TPnが算出される。
そして、判定部35において、「DV′>AでかつΔDV′
>α1」である場合には切換えスイッチ39はA指令側に
切換えられると共にスイッチTRSWが閉成され上記判定部
35から目標トルクTΦ=0が出力される。そして、リミ
ッタ40で下限値がTlimに制限された後、スロットル開度
演算部42において目標トルクTΦ=Tlimに対応したスロ
ットル開度Θ1の指令が出力されて、エンジン出力は大
きく低減される。
また、このようなエンジン出力の大きな低減によりス
リップが減少して、判定部35により「DV′<VthかつΔD
V′<0」であると判定されると、エンジン出力を大き
く低減させるA指令の処理からスリップ量DVに応じた出
力低減処理が行われる。つまり、切換えスイッチ39がB
指令側に切換えられて、目標トルクTΦがリミッタ40、
ホールド部41を介してスロットル開度演算部42に出力さ
れる。ホールド部41では、変速中はTSn演算部32で行わ
れるスリップ量DVの積分をホールドすることにより、変
速時のショックによる駆動輪のスリップを加速スリップ
として誤検出しないようにしている。そして、第7図に
示すエンジン回転数Neと上記目標トルクTΦによりスロ
ットル開度Θ1が決定される。そして、このようなB指
令により駆動輪のスリップが低減され、目標トルクTΦ
>TAC(アクセルペダルの踏込み量に対応したトルク)
の状態が例えば0.5秒以上となると、スイッチTRSWが開
成されて、駆動輪の駆動トルクを低減させる処理は終了
される。
なお、第8図に示すようにスロットル弁THm,THsが2
つある場合には「Θs×KΘ(KΘ:係数)<Θ1」と
なるとスイッチTRSWが開成されてB指令は終了される。
[発明の効果] 以上詳述したように本発明によれば、車両の加速度を
用い上記車両を上記加速度で走行させるために必要なト
ルクとして基準トルクを算出し、この基準トルクをスリ
ップ状態量に応じた補正トルクで補正して目標トルクを
設定する。そして、この目標トルクに応じてエンジン出
力を制御することにより、路面に伝達可能な最大駆動ト
ルクをスリップ状態に応じた補正トルク分だけ補正した
トルクまで、駆動輪に伝達される駆動トルクを低減する
ことにより、過大なスリップを発生することがない最大
トルクを得ることが可能となる。したがって、駆動トル
クが必要以上に低減されることがなく、車両の加速性を
確保することができる。
また、このときのスリップの収束にともない補正トル
クを変化させ、駆動輪に伝達される駆動トルクを徐々に
路面に伝達可能な最大のトルクに近づけることにより、
スリップの収束にともない駆動トルクは徐々に回復して
いくため、従来技術の不具合であったスリップの再発も
抑制することが可能となる。
また、変速検出手段によって、変速中であることが検
出されると、補正トルクを変速直前の値に保持するた
め、変速ショックの振動による対地速度の変化に起因し
て、実際とは異なるスリップ量を検出した際に、目標ト
ルクを補正する補正トルクが変速直前の値に保持され、
駆動輪のスリップを収束させる行程に悪影響を及ぼさな
い上、運転者へ加速性の悪化及び過大なスリップを体感
させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例に係わる車両の加速スリップ
防止装置の全体的な構成図、第2図は第1図のトラクシ
ョンコントローラの制御を機能ブロック毎に別けて示し
たブロック図、第3図は路面μ−スリップ率S特性図、
第4図はK1−B特性図、第5図はVTH−B特性図、第
6図はTlim−Ne特性図、第7図はTΦ−Ne特性図、第8
図はスロットル弁を示す図である。 11〜14……車輪速度センサ、15……トラクションコント
ローラ、32……TSn演算部、33……TPn演算部、35……A
指令開始終了判定部、42……スロットル開度演算部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 政義 東京都港区芝5丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−203938(JP,A) 特開 昭63−113131(JP,A) 特開 平1−16446(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両の駆動輪におけるスリップ状態を示す
    スリップ状態量を検出するスリップ検出手段と、上記車
    両の加速度を検出する加速度検出手段と、同加速度検出
    手段によって検出された加速度を用い上記車両を上記加
    速度で走行させるために必要なトルクとして基準トルク
    を算出する基準トルク算出手段と、上記スリップ検出手
    段によって検出されたスリップ状態量に基づき上記駆動
    輪のスリップ状態を軽減するための補正トルクを算出す
    る補正トルク算出手段と、変速機の変速段切り換えを検
    出する変速検出手段と、上記基準トルク算出手段によっ
    て算出された上記基準トルクを上記補正トルク算出手段
    によって算出された上記補正トルクによって補正し、上
    記変速検出手段の検出に基づき変速段の切り換えが行わ
    れているときは変速前の上記補正トルクを使用して上記
    基準トルクを補正することにより目標トルクを設定する
    目標トルク設定手段と、上記目標トルク設定手段によっ
    てエンジン出力を制御する出力制御手段とを備えたこと
    を特徴とする車両の加速スリップ防止装置。
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