JP2502671B2 - 電気湯沸器の蓋体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、収容液体を加熱・保温する電気湯沸器の蓋
体に関するものである。

従来の技術 従来のこの種の電気湯沸器の一例として第８図および
第９図に示すようなものが公知である。図面に基づいて
説明すると、１は内部に水などの液体２を収容する有底
筒状の容器で本体３内に収納され、この容器１の底面に
は内部の液体２を沸騰させ、その後一定温度に保温する
ヒータ４が装着されている。前記容器１の下端には導出
管５の下端が連通され、この導出管５の上端に連通され
た導出口６から容器１の内部の液体２が導出されて吐出
口７を介して外部に取り出されるようになっている。

８は前記容器１の上端開口部を開閉するために前記湯
沸器本体３の上端に軸支された蓋体で、内部のベローズ
９と、このベローズ９を押圧する中央の押し体10と、一
端に前記容器１に連通する流入口11を有し、他端を前記
蓋体８の上端より外部に臨ませた蒸気通路12と、前記押
し体10によるベローズ９の圧縮操作に連動して前記蒸気
通路12を開閉する切替弁13と、前記ベローズ９の下端開
放部を支持するために蓋体８の底部を形成する蓋カバー
14と、前記ベロース９の上端開放部を支持するために前
記押し体10の内側に設けられた上板15とを備え、これら
はそれぞれ気密状態に装着されている。

また前記切替弁13は蓋パッキン16を装着した弁体17と
昇降軸18とから成り、前記ベローズ９の押圧による圧送
空気を容器１の内部に送る場合は、前記蓋カバー14に形
成された圧送口19を蓋パッキン16が開き、同時に弁体17
で前記蒸気通路12の流入口11を閉じるように構成されて
いる。なお、前記ベローズ９の非圧縮時において、前記
弁体17はばね21によって上方に付勢されているので、前
記蒸気通路12の流入口11は開かれており、同時に前記弁
体17に装着した蓋パッキン16により前記圧送口19は閉じ
られている。

前記蓋カバー14は、その下面のほぼ全体を飾り板22で
覆われており、飾り板22の中央付近には容器１に連通す
る穴23を形成している。前記容器１と蓋体８との間およ
び前記蓋カバー14と前記飾り板22との間はそれぞれパッ
キン24でシールされている。前記蓋カバー14と前記飾り
板22と前記パッキン24で形成される空間25は、前記蒸気
通路12を通じ外部に開放されている。

上記構成において、動作について説明する。

まず容器１から液体２を取り出す場合は、前記押し体
10を押圧操作することにより蒸気通路12の流入口20が弁
体17によって閉じられると同時にベローズ９の内部の空
気が圧縮されて圧送口19から空気口（図示せず）を介し
て容器１の内部に送られ、容器１の内部の液体２は押し
出される。

また、容器１から液体２を取り出していない状態にお
いて、たとえば沸騰による発生蒸気は、まず飾り板22の
穴23から空間25内に充満した後、前記蓋パッキン16によ
り前記圧送口19が閉じられているのでベローズ９の内部
は通らず、開放状態の流入口11から蒸気通路12を通って
外部に導かれる。また保温時の熱気も同様空間25内に充
満後、蒸気通路12から外部に放熱される。

発明が解決しようとする課題 このような従来の電気湯沸器においては、容器１内の
液体２を取出す場合、ベローズ９による圧送空気を外部
に洩らさないため蓋カバー14と飾り板22との気密はパッ
キン24によりシールされ保持されているが、シール部の
長さが長いため、気密を安定的に維持するのが容易では
ない。また、液体２の保温時の熱気が一度空間25内に充
満し、投影面積の大きい空間25から外部に放熱されるた
め放熱量が多くなり、保温時の消費電力量つまり保温電
力量が大きくなるという問題があった。さらに、沸騰時
に発生する蒸気も一度空間25内に充満した後、外部に放
出されるが、空間25内に充満したときに、蒸気が飾り板
22の内面全体に触れるため、一般的に腐食しにくいステ
ンレス銅を使用した飾り板22であるが、腐食の進行を促
進する可能性が高いという問題があった。

本発明は、以上の問題点を解決するもので、蓋体から
の放熱量を抑え保温電力量を少なくし、また液体を取り
出す場合、ベロースと容器との連通路の気密が容易に安
定的に維持でき、さらに、飾り板の腐食の進行を抑える
ことが可能な電気湯沸器の蓋体を提供することを目的と
するものである。

課題を解決するための手段 上記目的を達成するため、本発明は容器を内蔵した湯
沸器本体と、この湯沸器本体上部に開閉自在に軸支した
蓋体とからなり、この蓋体内には、一端が前記容器の上
方で開口し、他端が蓋体の表面で開口する蒸気通路と、
上部に吸気口と下部は蓋体下面を覆う蓋カバーに気密に
固着され圧送口を有し押体の押下げ操作に連動して前記
容器内に空気を圧送するベローズと、前記押体の押下げ
操作により前記圧送口を開放するとともに前記蒸気通路
を閉じる切替弁と、前記蓋カバーの下面を覆う飾り板と
を備え、前記ベローズと容器または前記容器と外部を連
通する連通路を、前記蓋カバーと飾り板で形成する空間
の略中央に集中させ、この空間の前記連通路以外を略密
閉構造とし、この略密閉構造部内に断熱材を設けたもの
である。

また、略密閉構造部内の断熱部材として、断熱材を樹
脂フィルムや金属箔等で略密閉したものを設けたもので
ある。

また、略密閉構造部内に、その投影面に相当形状の金
属板や金属箔を設けたものである。

さらに、略密閉構造部内の断熱部材として、断熱材を
内部から外部へは気体を放出するが外部から内部へは流
入させない逆止弁を設けた樹脂フィルムまたは金属箔で
気密状態で覆った断熱部材を設けたものである。

また、略密閉構造部の一部に蓋体開放時に容器側と連
通する穴を形成したものである。

作用 上記構成より、ベローズと容器または容器と外部とを
連通する連通路を蓋カバーと飾り板とで形成する空間の
局部に集中させ、この空間の連通路以外の部分を略密閉
構造とし、この略密閉構造部内に各種の断熱材を設けた
ので、容器内の熱気や蒸気が略密閉構造部内に流入する
ことがなく蓋体からの外部への放熱量が抑えられ、保温
電力量が少なくなる。また連通路を前記空間の局部に集
中させたので液体取出し時の外部との完全エアーシール
部長さを短くすることができ、連通路の気密が容易に安
定的に維持でき、また飾り板の上面の大半の部分に発生
蒸気に直接触れることがないので飾り板の腐食の進行を
抑えることができる。

また、略密閉構造部は、密閉構造としても、蓋体の加
熱・冷却の繰返しによる内部の空気の膨張・収縮や、密
閉レベルの経時変化による低下により、少しずつ吸湿し
内部に水滴が発生し、徐々に蓄積してしまうため、略密
閉構造部の蓋体開閉時のほぼ最下位位置に蓋体開放時に
容器側と連通する穴を設けたので、蓋開時の都度、内部
の水滴が容器内に戻され蓄積されることなく、蓄積水の
変質による衛生面の心配が不要となる。

実施例 以下に、本発明の実施例について、第１図〜第７図に
基づいて説明する。なお上記第８図および第９図に示す
従来例と同一部材については同一符号で示し、従来例と
構成の異なる部分のみ詳細に説明する。

第１図において、30は切替弁で中央部において上方に
突出する昇降軸31と外周に位置する第一の蓋パッキン32
とからなり、この第一の蓋パッキン32は、固定部33と可
動部34とからなる。35は第二の蓋パッキンで、飾り板36
が第二の蓋パッキン35を介して蓋カバー14に締付けられ
ると同時に蒸気通路12が前記第一の蓋パッキン32の固定
部33と第二の蓋パッキン35を介して締付けられている。
このとき、第一と第二の二つの蓋パッキン32・35により
完全にエアーシールされている。これによりベロース９
と容器１また容器１と外部とが連通される連通路が形成
される。37は蓋カバー14と飾り板36とで形成される空間
で、前記連通路を除く略ドーナツ状の空間であり、第三
の蓋パッキン38により略密閉構造となっており、この空
間37内に、たとえばグラスウールやセラミックウール等
の繊維状の断熱材41を設けている。また、略密閉構造の
空間37に、蓋カバー14に設けた溝42と第三の蓋パッキン
38により形成される穴43により蓋開放時に容器１側と連
通されている。

他の構成は前記従来例とほぼ同様である。

上記構成において、動作について説明する。

まず容器１から液体２を取り出す場合は、前記押し体
10の押圧操作により蒸気通路12の流入口11が切換弁30に
より閉じられると同時にベローズ９の内部の空気が第一
の蓋パッキン32内を通り昇降軸31の先端の空気口29から
飾り板36の穴40を通り容器１内に送られ容器１から液体
２が押し出される。

また、容器１から液体２を取り出していない状態にお
いては、たとえば、沸騰による発生蒸気は、まず飾り板
36の穴40から蒸気通路12の流入口11を経て蒸気通路12を
通り外部に放出される。このとき、空間37内には、まっ
たく蒸気の侵入がない。

また、保温時の熱気も前記の蒸気と同様、空間37内へ
の直接の流入がなく、また断熱材41を空間37に設けてい
るので両者の効果で放熱が少ない。

また、第３図に示される実施例では、前記空間37内に
断熱材41を樹脂フィルムや金属箔等のシール材44で略密
閉し、蓋体８加熱時に内部の空気が外部に出るようにピ
ン状の空気抜きを設けた断熱部材を設けている。

また、第４図および第５図に示される実施例では、前
記空間37内に高熱線反射のアルミやステンレス等の金属
板45または金属箔46からなる反射板を設けている。

さらに、第６図および第７図に示される実施例では、
前記空間37内に、断熱材41を蓋体８の温度上昇時に内部
空気を内部から外部へは流出するが外部から内部には流
入しない逆止弁46を備えた樹脂フィルムまたは、金属箔
等のシール材44で略密閉した断熱部材を設けている。

以上の構成により、略ドーナツ状の空間37を略密閉構
造としこの部分に断熱材を配したので、容器内の熱気や
蒸気がこの空間37内に直接流入することがなく、また断
熱材の効果により蓋体８からの外部への放熱量が抑えら
れ、保温時の消費電力量つまり保温電力量が少なくでき
る。

また、ベローズ９と容器１、容器１と外部を連通する
連通路を蓋体８の中央部に集中させているので、第一，
第二の蓋パッキン32,35による完全エアーシール部の総
長さを短くすることができ、連通路の気密が容易に安定
的に維持できる。さらに飾り板36の上面の大半の部分に
蒸気が触れることがないので飾り板36の腐食の進行を抑
えることができる。

また、前記空間37内に、さらに前記のような各種断熱
部材を設けることにより、液体２からの熱量の対流によ
る放熱を抑えたり、また、金属製の反射板を設けること
により液体２からのふく射熱を抑えたり、また、対流及
びふく射熱をともに抑えたりさらに断熱材を逆止弁機能
を有するフィルムや箔等で略密閉することにより、容器
１内の液体２を一度100℃で沸とうさせた後、約90℃前
後で保温する場合等、断熱材41内の空気が液体２沸とう
時に最大膨張し、その後、保温温度まで下がり一定温度
に液体２が安定した時に、断熱材41内の空気が、その分
収縮するが逆止弁45が設けられているため内部がやや負
圧となり、断熱効果をさらに向上されるものであり、そ
れぞれ保温電力量を少なくすることができるものであ
る。

また、略密閉構造の空間37に、蓋体開放時のほぼ最下
位位置に蓋体開放時に容器１側と連通する穴43を設けた
ので、蓋体の加熱・冷却の繰返しや密閉レベルの経時変
化での低下による蓄積水滴を、蓋開放時の都度、内部の
水滴を容器１内に戻し、水滴の蓄積防止をすることがで
きるので、蓄積水の変質による衛生面の心配が不要とな
る。

発明の効果 本発明は、以上説明したように、ベローズと容器また
は容器と外部とを連通する連通路を蓋カバーと飾り板と
で形成する空間の局部に集中させ、この空間の連通路以
外の部分を略密閉構造とし、この略密閉構造部内に各種
の断熱材を設けたので、容器内の熱気や蒸気が略密閉構
造部内に流入することがなく蓋体からの外部への放熱量
が抑えられ、保温電力量が少なくなる。また連通路を前
記空間の局部に集中させたので外部との完全エアーシー
ル部長さを短くすることができ、連通路の気密が容易に
安定的に維持でき、また飾り板の上面の大半の部分に発
生蒸気に直接触れることがないので飾り板の腐食の進行
を抑えることができる。

また、略密閉構造部の空間に、蓋体開閉時のほぼ最下
位位置に蓋体開放時に容器側と連通する穴を設けたの
で、蓋体の加熱・冷却の繰返しや密閉レベルの経時変化
による低下による蓄積水滴を、蓋開放時の都度、内部の
水滴が容器内に戻し、水滴の蓄積防止をすることができ
るので、蓄積水の変質による衛生面の心配が不要とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示す電気湯沸器の蓋体の断
面図、第２図は第１図Ａ部の詳細を示す要部拡大図、第
３図〜第６図は第１図Ａ部の他の実施例を示す要部拡大
図、第７図は第６図に示す断熱部材の逆止弁部を示す要
部拡大断面図、第８図は従来例を示す電気湯沸器の断面
図、第９図は同電気湯沸器の蓋体要部断面図を示す。 １……容器、３……本体、８……蓋体、９……ベロー
ズ、12……蒸気通路、14……蓋カバー、19……圧送口、
30……切換弁、36……飾り板、41……断熱材、43……
穴、47……逆止弁。

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】容器を内蔵した湯沸器本体と、この湯沸器
   本体上部に開閉自在に軸支した蓋体とからなり、この蓋
   体内には、一端が前記容器の上方で開口し、他端が蓋体
   の表面で開口する蒸気通路と、上部に吸気口と下部は、
   蓋体下面を覆う蓋カバーに気密に固着され圧送口を有し
   押体の押下げ操作に連動して前記容器内に空気を圧送す
   るベローズと、前記押体の押下げ操作により前記圧送口
   を開放するとともに前記蒸気通路を閉じる切替弁と、前
   記蓋カバーの下面を覆う飾り板とを備え、前記ベローズ
   と容器または前記容器と外部を連通する連通路を、前記
   蓋カバーと飾り板で形成する空間の略中央に集中させ、
   この空間の前記連通路以外を略密閉構造とし、この略密
   閉構造部内に断熱材を設けた電気湯沸器の蓋体。
2. 【請求項２】略密閉構造部内に、断熱材を樹脂フィルム
   で略密閉した断熱部材を設けた請求項１記載の電気湯沸
   器の蓋体。
3. 【請求項３】略密閉構造部内に、断熱材を金属箔で略密
   閉した断熱部材を設けた請求項１記載の電気湯沸器の蓋
   体。
4. 【請求項４】略密閉構造部内に、金属板または金属箔を
   設けた請求項１記載の電気湯沸器の蓋体。
5. 【請求項５】略密閉構造部内に、断熱材を、内部から外
   部へは気体を放出するが外部から内部へは流入させない
   逆止弁を形成した樹脂フィルムまたは金属箔で気密状態
   で覆った断熱部材を設けた請求項１記載の電気湯沸器の
   蓋体。
6. 【請求項６】略密閉構造部内に断熱材を内蔵または非内
   蔵とし、この略密閉構造部内の一部に蓋体開放時に容器
   内と連通する穴を形成した請求項１記載の電気湯沸器の
   蓋体。