JP2502405B2 - 連続焼鈍炉 - Google Patents

連続焼鈍炉

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、連続焼鈍炉の加熱帯と冷却帯との間で冷
延鋼板を連続的に浸炭あるいは浸窒化する方法に関す
る。
〔従来の技術〕
プレス加工用冷延鋼板は、従来C≧0.01%の低C−リ
ムド鋼や低C−Alキルド鋼を箱焼鈍して製造されていた
が、最近の省エネルギーならびに製造納期の短縮要求に
かんがみ、連続焼鈍への変換が積極的に進められてい
る。
この連続焼鈍法では、加熱及び均熱時間が極めて短い
ため、絞り性が箱焼鈍法より劣る。そこで、絞り性を箱
焼鈍材並みにするために、低C鋼の熱延巻取り温度及び
焼鈍温度を箱焼鈍法より高温にする等の対策がとられて
いる。さらに、連続焼鈍法は、冷却時間も極端に短いた
め、過時効処理を施すことにより焼鈍中に固溶したCを
析出させていたが、固溶Cが依然として残留するため
に、加工性はともかく常温遅時効性を得ることは困難で
あった。
そこで、箱焼鈍された低C−Alキルド鋼と同等の耐時
効性と、それ以上の高加工性を得る手段として、極低C
鋼(C≦0.01%、Al≦0.20%を含有)を用い、必要に応
じてTi,Nb,B等の炭化物形成元素を添加する技術が一般
的になり、現状では広くプレス加工用鋼板として採用さ
れている。
しかし、このような極低C鋼は、プレス成形後、塗装
下地処理として施されるリン酸亜鉛処理において、反応
性が従来の低C−リムド鋼,低C−Alキルド鋼と比較し
て幾分劣り、生成したリン酸亜鉛鉄結晶の細かさ、化成
処理条件の変動時安定性が不利であった。
そして、溶接性に対しては、極低C鋼の場合、熱影響
部(HAZ)の組織が粗大化し、溶着部や母材よりも強度
が低下し易いため、溶接部の強度及び疲労特性の点で低
C−Alキルド鋼より不利であった。
さらに、極低C鋼は延性に富み、非常に粘り強いた
め、低C−Alキルド鋼と同一の条件で打ち抜きや剪断を
行うと、その端面にバリが発生し、後のプレス工程で剥
がれると星目欠陥を誘発する等の問題があり、極低C鋼
の打ち抜き性改善が強く望まれていた。
そこで、鋼板を浸炭或いは浸窒化することにより、鋼
板の表面層にのみ固溶C或いは固溶Nを存在させて、プ
レス成形用冷延鋼板を提供する従来例(特公平1−4233
1号,特開昭63−38556号)が存在する。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、この従来例には、表面層にのみ固溶C
あるいは固溶Nを存在させたプレス成形用冷延鋼板を連
続的に製造するための具体的な設備構成については、未
だ提案されていない。
ところで、鋼材に連続的に浸炭或いは浸窒を施す従来
例として、個別部品を処理する従来例が存在する(特開
昭47−29230号)が、鋼帯を処理するものは殆どなかっ
た。
そして、高C鋼帯の製造方法として、水平パス方式を
提案している従来例が存在する(特公昭56−26708号,
特開昭50−70275号)が、低C鋼,極低C鋼帯の高速表
層浸炭・浸窒には適していないという課題があった。
そこで、この発明は、表面層にのみ浸炭あるいは浸窒
層が形成された冷延鋼板を連続的に製造できるようにし
た連続浸炭及び/又は浸窒方法を提供することを目的と
するものである。
〔課題を解決するための手段〕
このような目的を達成するために、この発明は、加熱
帯及び均熱帯と冷却帯との間に浸炭帯及び/又は浸窒帯
が設けられた連続焼鈍炉を用いて、加熱又は加熱及び均
熱された冷延鋼板を連続的に浸炭及び/又は浸窒するに
際し、前記浸炭帯及び/又は浸窒帯の炉内温度を650〜9
00℃として前記冷延鋼板を浸炭及び/又は浸窒した後、
該冷延鋼板を前記冷却帯において鋼板温度が600℃以下
になるまで20℃/sec以上の冷却速度で急冷することを特
徴とするものである。
なお、この発明の実施に適した連続焼鈍炉の形式とし
ては、冷延鋼板を高速処理することのできる竪型連続浸
炭炉が好適である。
〔作用〕
この発明によれば、冷延鋼板を加熱帯又は加熱帯及び
均熱帯で所定の再結晶を行わせた後、浸炭帯及び/又は
浸窒帯の炉内温度条件、冷却帯における冷却条件を適切
に特定することにより、冷延鋼板の表面層のみにおける
浸炭・浸窒の濃度と深さを所望の値にすることができ
る。
また、本来の連続焼鈍の搬送速度で浸炭・浸窒処理を
行うことができるように浸炭・浸窒帯の長さ(パス長)
を設定すれば、連続焼鈍の処理速度を下げることなく浸
炭・浸窒処理を付加することができる。
〔実施例〕
次にこの発明の一実施例を添付の図面に基づいて説明
する。
第1図は、冷延鋼板を連続的に焼鈍する竪型連続焼鈍
炉の構成を示すもので、この連続焼鈍炉は順に、コイル
巻戻し機,溶接機,洗浄機等を有する図示しない入側設
備、予熱帯1、加熱帯2、均熱帯3、浸炭帯4、第1冷
却帯5、第2冷却帯6、せん断機,巻取り機等の図示し
ない出側設備からなる。
極低炭素の冷延鋼板は、入側設備から連続的に送給さ
れた後、予熱帯1、加熱帯2、均熱帯3、浸炭帯4、第
1・第2冷却帯5,6を順に通過して最終的には常温まで
冷却される。
前記加熱帯2は、入側設備から連続的に送給され、予
熱された冷延鋼板を例えば、再結晶温度以上まで加熱す
るものであり、具体的には炉内温度が900〜950℃で、ス
トリップの温度が700〜800℃になるように当該鋼板を加
熱する。そして、加熱された冷延鋼板は均熱帯3にて必
要な時間保持された後、浸炭帯4に到る。
この浸炭帯4は、設置面積の低減の要求から縦型にて
形成される。そして、当該浸炭帯4は、冷延鋼板表面の
極薄い部分(0.5μm〜100μm以下)にC≧0.01%の浸
炭層を形成するために、650〜900℃の炉内温度に制御さ
れ、冷延鋼板が浸炭帯内を10〜30秒で通過するように、
搬送速度が制御される。
このような浸炭帯4において、鋼板温度が650℃未満
であると、浸炭速度が低下して熱処理生産性が低下す
る。一方、炉内温度が900℃を越えると、固溶Cが拡散
し表面層にのみ固溶Cを固定することができない。
この浸炭帯内温度分布は、冷延鋼板表面へのスーティ
ングを防止するため、炉内温度差は50℃以内であること
が望ましい。鋼板の表面に遊離Cが付着すると化成処理
性の劣化等、品質低下及び後工程の弊害要因となる。
浸炭炉内に供給される浸炭ガスの組成として、例え
ば、CO=5〜10vol%,H2=2〜4vol%,CO/CO2=15〜2
0、残部N2が挙げられ、この浸炭性ガスを1000Nm3/hr以
上の割合で浸炭帯内に供給する。浸炭帯に供給された浸
炭性ガスの外部への漏洩を防止するため、当該浸炭帯内
への冷延鋼板の入口及び出口には、シール部材40が設け
られてなる。
浸炭帯4を出た鋼板は、前記第1冷却帯5に到る。こ
の第1冷却帯5では、鋼板の表面の極薄い範囲にのみ固
溶Cを固定するため、浸炭後の鋼板を、鋼板温度が600
℃以下、好ましくは、500〜400℃程度になるまで、20℃
/sec.以上の冷却速度で急冷する。第1冷却帯5内で
は、この冷却条件が達成できるように、冷却帯内を搬送
される鋼板へ吹きつけられる冷却ガス流量,流速及び冷
却ロール温度,巻付け角等が制御される。
この第1冷却帯5を出た鋼板は、次いで第2冷却帯6
に到る。この第2冷却帯では、鋼板温度が250〜200℃程
度までガス冷却が行われる。
このようにして最終的には、表面層にのみ固溶Cが存
在する極低炭素のプレス成形用冷延鋼板を得ることがで
きる。このプレス成形用冷延鋼板は、特公平1−42331
号にも記載のように、プレス成形性及び化成処理性に優
れたものとなる。そして、このようなプレス加工用冷延
鋼板は、溶接性、打ち抜き性、及び摺動性にも優れたも
のとなる。
次に具体的な実施例について説明する。
C=0.0027wt%,Si=0.01wt%,Mn=0.10wt%,P=0.01
1wt%,S=0.008wt%,Al=0.041wt%,Nb=0.006wt%その
他の不可避の不純物を含むスラブを、転炉出鋼後RH脱ガ
ス及び連続鋳造法により作成した。該スラブを1200℃に
加熱後、仕上げ温度890℃で熱間圧延し、540℃で巻取り
熱延コイルとした。次いで、この熱延コイルを巻き戻し
て酸洗後圧下率75%で冷間圧延を施し0.8mm厚の冷延鋼
板コイルとした。
このような冷延コイルを前記第1図の連続焼鈍炉にて
前記第2図の温度履歴による連続焼鈍を行った。この第
2図は、第1図の焼鈍プロセスにおける冷延鋼板の温度
履歴を示したものであり、第2図の(a),(b),
(c),(d)は、それぞれ第1図の(a),(b),
(c),(d)の各点における鋼板温度に対応する。第
2図の(a)は浸炭帯内温度領域、(b)は浸炭帯出側
温度領域、(c)は第1冷却帯内温度領域、(d)は第
1冷却帯出側温度領域をそれぞれ示す。
この連続焼鈍において、浸炭帯4における浸炭性雰囲
気を、CO=9.5vol%,H2=3.0vol%,残部N2とし、ガス
流量を1000Nm3/hr,浸炭温度780℃,浸炭時間を20秒と
し、第1冷却帯における冷却速度が20℃/sec.、出側温
度が500℃になる迄冷却した。
尚、比較例として、前記連続焼鈍において、浸炭処理
を施さない冷延鋼板も作成した。
このようにして、第1表に示す結果を得た。
このように、本実施例に係る連続焼鈍炉によってプレ
ス成形性及び化成処理性に優れた冷延鋼板を連続的に提
供できる。
前記実施例では、浸炭の場合について説明したが、浸
炭帯に変えて浸窒を行う浸窒帯を設けても良い。また、
雰囲気を変えることにより同一炉を浸炭と浸窒に使い分
けることもできる。浸窒性雰囲気としては、例えば、NH
3を含有する(N2+H2)ガスや、その他の混合ガスを用
いれば充分である。尚、この発明の浸炭帯は、浸炭ばか
りでなく浸炭窒化を行うものであっても良い。
また、前記実施例では極低炭素鋼の冷延鋼板の連続焼
鈍について説明したが、これに限定されず低C−リムド
鋼,低C−Alキルド鋼等の低炭素鋼等他の鋼種に対して
も適用できる。
またさらに、本実施例では均熱帯と第1冷却帯との間
に浸炭帯が設けられているが、均熱帯と浸炭帯とを同一
炉で形成すること,均熱帯を省略して加熱帯と第1冷却
帯との間に浸炭帯を設けること,均熱帯のあと浸炭帯の
前段に第1冷却帯を設け、この第1冷却帯により、均熱
後の鋼板を浸炭に適当な温度まで調整して浸炭後さらに
第2冷却帯により冷却すること、浸炭帯と第1冷却帯と
の間に浸炭深さを調整するための拡散帯を設けること、
等もそれぞれ可能である。
また、二つある冷却帯を一つの冷却帯にすることもで
きる。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明によれば、加熱又は加
熱及び均熱された冷延鋼板を炉内温度650〜900℃で浸炭
及び/又は浸窒した後、鋼板温度が600℃以下になるま
で20℃/sec以上の冷却速度で急冷しているため、表面層
にのみ浸炭あるいは浸窒層が形成され、プレス成形性及
び化成処理性に優れた冷延鋼板を連続的に製造すること
が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明に用いる連続焼鈍炉の一例に係る構成
図、第2図は連続焼鈍される冷延鋼板の温度履歴を示す
グラフである。 図中、2は加熱帯、4は浸炭帯、5,6は冷却帯を示す。
フロントページの続き (72)発明者 貝原 利一 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 古川 九州男 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株 式会社千葉製鉄所内 (56)参考文献 特開 昭51−67236(JP,A) 特公 平1−42331(JP,B2)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】加熱帯又は加熱帯及び均熱帯と冷却帯との
    間に浸炭帯及び/又は浸窒帯が設けられた連続焼鈍炉を
    用いて、加熱又は加熱及び均熱された冷延鋼板を連続的
    に浸炭及び/又は浸窒するに際し、前記浸炭帯及び/又
    は浸窒帯の炉内温度を650〜900℃として前記冷延鋼板を
    浸炭及び/又は浸窒した後、該冷延鋼板を前記冷却帯に
    おいて鋼板温度が600℃以下になるまで20℃/sec以上の
    冷却速度で急冷することを特徴とする冷延鋼板の連続浸
    炭及び/又は浸窒方法。
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