JP2003268491A - 加工部材用高強度鋼板とその製造方法および耐磨耗性に優れた加工面を有する加工部材の製造方法、 - Google Patents

加工部材用高強度鋼板とその製造方法および耐磨耗性に優れた加工面を有する加工部材の製造方法、

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JP2003268491A
JP2003268491A JP2002068239A JP2002068239A JP2003268491A JP 2003268491 A JP2003268491 A JP 2003268491A JP 2002068239 A JP2002068239 A JP 2002068239A JP 2002068239 A JP2002068239 A JP 2002068239A JP 2003268491 A JP2003268491 A JP 2003268491A
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Akio Tosaka
章男 登坂
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JFE Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形加工時には軟質で、かつ使用時には優
れた耐磨耗性を示す加工面を有する熱延鋼板、冷延鋼板
およびめっき鋼板とその製造方法、ならびに上記鋼板を
用いた加工(摺動)部材の製造方法を提案する。 【解決手段】 C:0.05〜0.25mass%、Si:3.0mass%
以下、Mn:0.5〜3.0mass%、P:0.01mass%以下、S:
0.003mass%以下、Al:0.02mass%以下、N:0.0030〜
0.025mass%を含有する組成を有する鋼素材を、スラブ
加熱温度を1000℃以上、仕上圧延出側温度を800℃以
上、冷却速度を40℃/sec以上、熱延巻取温度を650℃以
下として熱間圧延を行うことにより、フェライト相の面
積率が60%以上、フェライト相の平均粒径が10μm以下
の組織を有し、さらに引張強度が590MPa以下でかつ時効
効果特性であるBHが80MPa以上、ΔTSが40MPa以上の
特性を示す鋼板を得、該鋼板を、打抜き加工後あるいは
摺動部分に相当歪0.05以上の加工を施した後、100℃以
上300℃以下にて30秒以上20分以下の熱処理を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、打抜き加工を施さ
れた後、打抜き加工面を繰り返し摺動して用いられる加
工部材、あるいは曲げ加工等により歪を受けた加工面
が、繰り返し摺動して用いられる加工部材に関し、とく
に成形加工が容易であると共に加工面の耐磨耗性に優れ
る加工部材用高強度鋼板とその製造方法、ならびに耐磨
耗性に優れた加工面を有する加工(摺動)部材を製造する
方法についての提案である。
【0002】
【従来の技術】自動車や家電機器等の部品およびその要
素部品には、剪断加工、打抜き加工、プレス加工等によ
り種々の形状に成形加工された後、これらの加工面が摺
動面として使用されるものがある。参考までに、加工部
が摺動面として使用される場合の例を図1に示す。図1
(a)は、歯車に加工された場合であり、2枚の歯車が噛
み合う部分が摺動面となる。図1(b)は、歯車とラック
に加工された場合であり、歯車の回転により歯車がラッ
ク上を移動する際の噛み合う面が摺動面となる。また、
図1(c)は、2つの部材に軸穴を打抜き加工し、この軸
穴に通した軸を中心に回転させて動作する場合であり、
軸と部材および部材同士が摺動する。また、自動車部品
で例を挙げれば、自動車ドアのウィンドガラス昇降装置
のギヤ関係部品、サンルーフの開閉装置のギヤ関係部
品、種々のリンク機構、カム機構、レバー類、摺動プレ
ート類など、その用途は広範囲に及ぶ。
【0003】上記ギヤ部品等の素材としては、比較的厚
物の熱延および冷延鋼板が使われているが、その素材と
して打抜き加工性に優れる軟鋼板を用いた場合、摺動に
よる摩耗が大きいため、その製品寿命が短いという問題
があった。これらの用途には、打抜き加工後に浸炭、浸
窒などの特殊な熱処理を施して、必要な耐摩耗性を付与
することが行われていた。しかし、上記熱処理は、煩雑
かつ長時間を要するため、製品コストが上昇するという
問題があった。また、これらの熱処理による変形や歪み
も問題であった。
【0004】一方、より高強度の鋼板を使用することで
耐摩耗性を向上させる方法もある。しかし、この方法
は、鋼板強度が高いため、剪断加工の負荷が増加し、大
きな加工装置や特殊な金型が必要となるなどの問題点に
加え、金型寿命も低下するため、最終的には製品コスト
の上昇を招くといった問題点があった。
【0005】また、ある程度の焼入れ性を有する組成の
鋼を用いて、打抜き加工後に、必要部分を局部的にある
いは全体を焼入れ処理して硬質化する方法もある。しか
し、この方法もまた、前記方法と同様、熱処理により歪
みが発生し、ギヤなどに用いた場合には、異音の発生や
局部摩耗などの問題を引き起こす。
【0006】また、曲げ加工された表面が他の部材と摺
動して用いられる部品においてもまた、耐磨耗性が要求
される。この場合は、従来、単に加工硬化による耐磨耗
性の向上を期待するのみで、それ以上の改善は行われて
いなかったのが実情である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記のような用途に用
いられる鋼板には、成形時には軟質で加工性に優れると
ともに、その後の使用時には高い耐摩耗性を示す特性を
有することが望まれる。また、熱延鋼板や冷延薄鋼板で
は耐食性が不足する場合には、溶融亜鉛めっきに代表さ
れるめっき鋼板が使用されるが、これらにおいても同様
の要求がある。そして、上記鋼板には極めて強い要求が
あるにもかかわらず、これらの特性を満足する鋼板を工
業的に安価にかつ安定して製造する技術がなかった。
【0008】本発明の目的は、成形加工時には軟質で、
かつ使用時には優れた耐磨耗性を示す加工面を有する熱
延鋼板、冷延鋼板およびそれら鋼板を原板とするめっき
鋼板とその製造方法、ならびに上記鋼板を用いた加工
(摺動)部材の製造方法を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記の問題
を解決するために種々の成分、製造法の鋼板を製造し、
多くの材質評価実験を行った。その結果、従来、加工性
が要求される鋼板にはあまり積極的に利用されていなか
った窒素を強化元素として活用し、それらが持つ大きな
歪時効硬化特性を自動車の塗装焼付け処理あるいはさら
に積極的に成形後の熱処理と結合させることが効果的で
あることを見出した。また、このためには、鋼板の微視
組織を制御すること、また、N以外の他の成分として、
特にAlの添加量を制御することが、これらの特性を安定
して得るためには重要であることも見出した。すなわ
ち、Nを固溶状態で残存させ、かつキーとなる元素であ
るAl含有量を適正な範囲に制御し、さらに熱延条件を適
正化して微視組織と固溶N量を最適化することにより、
従来のC−Mn鋼、析出強化鋼に比べ、より優れた成形性
と歪時効硬化性を有する鋼板を得ることができることが
明らかとなった。
【0010】以上の知見に基づく本発明は、C:0.05〜
0.25mass%、Si:3.0mass%以下、Mn:0.5〜3.0mass
%、P:0.01mass%以下、S:0.003mass%以下、Al:
0.02mass%以下、N:0.0030〜0.025mass%を含有し、
残部Feおよび不可避的不純物からなり、フェライト相の
面積率が60%以上、フェライト相の平均粒径が10μm以
下の組織を有し、さらに引張強度が590MPa以下でかつ歪
時効硬化特性であるBHが80MPa以上、ΔTSが40MPa以
上であることを特徴とする加工部材用高強度鋼板であ
る。
【0011】なお、本発明の上記鋼板は、前記成分組成
に加えてさらに、下記A群〜C群の中から選ばれる1種
または2種以上を含むことが好ましい。 A群:Cu,Ni,Cr,Moを合計で1.0mass%以下 B群:Nb,Ti,V,Bを合計で0.1mass%以下 C群:Ca:0.0010〜0.010mass%および/またはREM:0.0
010〜0.010mass%
【0012】また、本発明は、C:0.05〜0.25mass%、
Si:3.0mass%以下、Mn:0.5〜3.0mass%、P:0.01mas
s%以下、S:0.003mass%以下、Al:0.02mass%以下、
N:0.0030〜0.025mass%を含有する組成を有する鋼素
材を、スラブ加熱温度を1000℃以上、仕上圧延出側温度
を800℃以上、仕上圧延後の冷却速度を40℃/sec以上、
熱延巻取温度を650℃以下として熱間圧延を行うことに
より、フェライト相の面積率が60%以上、フェライト相
の平均粒径が10μm以下の組織を有し、さらに引張強度
が590MPa以下で歪時効硬化特性であるBHが80MPa以
上、ΔTSが40MPa以上の特性を示す熱延鋼板を得るこ
とを特徴とする加工部材用高強度鋼板の製造方法を提案
する。
【0013】なお、本発明の上記の製造方法は、上記熱
延鋼板を、さらに冷間圧延し、次いで再結晶温度以上90
0℃以下の温度で連続焼鈍を行い、あるいはさらにめっ
き処理を施してもよい。
【0014】また、本発明は、C:0.05〜0.25mass%、
Si:3.0mass%以下、Mn:0.5〜3.0mass%、P:0.01mas
s%以下、S:0.003mass%以下、Al:0.02mass%以下、
N:0.0030〜0.025mass%を含有するとともに、フェラ
イト相の面積率が60%以上、フェライト相の平均粒径が
10μm以下の組織を有し、かつ引張強度が590MPa以下で
ある鋼板を、打抜き加工後、あるいは摺動部分に板厚方
向1/4位置での相当歪で0.05以上の加工を施した後、
100℃以上300℃以下にて30秒以上20分以下の熱処理を行
うことを特徴とする耐磨耗性に優れた加工面を有する加
工部材の製造方法を提案する。
【0015】
【発明の実施の形態】まず、本発明に係る鋼の成分組成
を限定した理由について説明する。 C:0.05〜0.25mass% Cは、その含有量が0.25mass%を超えると、鋼中の炭化
物の分率が増加することに起因して鋼板の延性さらには
成形性が悪化するので、0.25mass%を上限とする。ま
た、C量が0.15mass%を超えるとスポット溶接やアーク
溶接性などが低下するため、溶接がなされる部材につい
ては、C量は0.15mass%以下とするのが好ましい。さら
に、成形性の向上という観点からは、0.10mass%以下が
好ましく、特に良好な延性が求められる用途に対して
は、0.08mass%以下が好適である。一方、C量が0.05ma
ss%未満となると、本発明鋼の重要な特性である延性の
改善に寄与するマルテンサイト等の硬質第2相を得るこ
とが困難となる。また、冷延・箱焼鈍・連続焼鈍後に固
溶C量の低減が困難となり、時効劣化が問題となる。
【0016】Si:3.0mass%以下 Siは、強化元素の一つであり、打抜き面の性状を改善す
るのに有効な元素である。特に下限値は制限しないが、
0.01mass%以上含有することにより打抜き面の性状を改
善する効果があるため、0.01mass%以上の添加が好まし
く、より好ましくは0.05mass%以上含有することが望ま
しい。しかし、含有量が3.0mass%以上を超えると、熱
間変形抵抗が増加することに加え、本発明鋼の重要な特
性である歪時効硬化特性を得ることができなくなり、耐
摩耗性が低下する。また、特に鋼板表面の耐磨耗性が重
要となる用途では、表面の脱炭層の存在は不利となるの
で、打抜き加工性、耐摩耗性を安定して得るためには1.
5mass%以下とすることが望ましい。
【0017】Mn:0.5〜3.0mass% Mnは、Sによる熱間圧延時の脆性割れを防止する有効な
元素であり、含まれるS量に応じて含有させる必要があ
る。Mnは他に、結晶粒を微細化する効果や固溶Nを安定
して確保するという効果を有する。Sを安定して固定す
るという観点、固溶Nを安定して確保するという観点か
らは、0.5mass%以上の含有が望ましい。さらに、Mnの
含有量を高めることにより、熱延条件の変動による鋼板
の機械的性質とくに優れた歪時効硬化特性の敏感性が改
善されるという大きな利点が得られるため、0.7mass%
以上含有させることが望ましい。しかし、Mnを過度に含
有させると、鋼板の熱間変形抵抗を増加させる傾向があ
り、好ましくない。さらに溶接性や溶接部の成形性も悪
化する傾向にある。また、フェライトの生成が抑制され
るため延性が低下する。以上のことから、その上限を3.
0mass%とした。より良好な耐食性と成形性が要求され
る用途では2.5mass%以下が望ましい。
【0018】P:0.01mass%以下 Pは、鋼の固溶強化元素であるが、本発明においては、
鋼を脆化させ、さらに鋼板の伸びフランジ性を悪化させ
る点で望ましくない元素である。また、鋼中において偏
析する傾向が強いため、それに起因した溶接部の脆化を
もたらすので好ましくない。以上のことから、その上限
を0.01mass%とした。これらの特性が特に重要視される
用途に用いる場合は0.005mass%以下とすることが望ま
しい。
【0019】S:0.003mass%以下 Sは、介在物として存在し、鋼板の延性を減少させると
ともに耐食性の劣化を招く元素であるので、その上限を
0.003mass%とする。特に良好な加工性が要求される用
途においては0.002mass%以下とすることが望ましい。
また、Sを0.003mass%以下に低減することは、鋼中の
介在物数が減少し、ひいてはC,Nの析出サイトが減少
するためと考えられるが、歪時効硬化特性を安定して高
いレベルに維持し、打抜き加工面の耐摩耗性を向上させ
るのに有効である。
【0020】Al:0.02mass%以下 Alは、鋼の脱酸元素で、鋼の清浄度を向上させるのに有
用な元素であり、また、鋼の組織微細化のためにも含有
させること望ましい元素である。本発明においては、固
溶状態のNを強化元素として利用するが、適性範囲のア
ルミを含有したアルミキルド鋼のほうが、アルミを全く
含有しない従来のリムド鋼に比して、機械的性質が優れ
ている。一方、アルミ含有量が多くなると、表面性状の
悪化、固溶Nの顕著な低下につながり、本発明が目的と
する大きな歪時効硬化特性を確保することが困難とな
る。このため含有量の上限は、従来鋼より低い0.020mas
s%とした。材質の安定性という観点からは0.001〜0.01
5mass%が望ましい。また、Al含有量の低減により結晶
粒の粗大化を引き起こす懸念があるが、本発明ではMn等
の他の合金元素を適量に制限することと、製造条件、例
えば、熱間圧延条件や焼鈍条件を最適な範囲とすること
で防止することができる。
【0021】N:0.0030〜0.025mass% Nは、本発明において、最も重要な元素である。すなわ
ち、Nを適正量含有させて、製造条件を制御すること
で、製品の状態で必要かつ十分な固溶状態のNを確保す
ることができ、固溶強化と歪時効硬化による強度(降伏
応力および引張強度)上昇効果を安定して得ることがで
きる。また、打抜き加工面の耐摩耗特性も顕著に改善す
ることができる。上記効果は、30ppm以上のNの含有に
よって安定して得られる。しかし、0.025mass%を超え
て含有した場合には、ブローホールなど鋼板の内部欠陥
発生率が高くなるとともに、連続鋳造時のスラブ割れな
どを引き起こすため、その上限を0.025mass%とした。
製造工程全体を考慮した材質の安定性・歩留まり向上と
いう観点からは、0.0070〜0.0170mass%の範囲が好まし
い。なお、窒素を添加しても、本発明の範囲であれば溶
接性等にはまったく悪影響はない。
【0022】なお、鋼板の十分な強度が確保され、さら
にNによる歪時効効果が有効に発揮されるには固溶状態
のNは概ね0.0030mass%以上とすることが好ましい。こ
こで、上記固溶Nは、鋼中の全N量から電解抽出による
溶解法で求めた析出Nを差し引いた値とする。この理由
は、析出Nの分析法について種々の方法を検討したが、
本発明法で採用した電解抽出による溶解法が最も良く材
質の変化と対応したことに基づく。また、さらに大きな
歪時効硬化による降伏応力の増加、引張強度の増加が必
要な場合は、固溶Nを0.0050mass%さらには0.0070mass
%以上とすることが有効である。
【0023】また、本発明では、上記必須とする元素以
外に選択的元素として、下記のA群〜C群の中から選ば
れる1種または2種以上を含有することができる。 A群:Cu,Ni,Cr,M。を合計で1.0mass%以下 B群:Nb,Ti,V,Bを合計で0.1mass%以下 C群:Ca:0.0010〜0.010mass%および/またはREM:0.0
010〜0.010mass% A群、B群の元素は、固溶強化および焼入れ性を目的と
して、含有させる。これらの元素は、それぞれA群また
はB群の中から単独または複合で含有させても、これら
の強化効果は相殺されることはない。また、これらの元
素が含有されることで、結晶粒径の均一化と微細化が達
成される。しかし、鋼板の強度が高まる一方、熱間圧延
時の変形抵抗の増加も著しい。また化成処理性およびよ
り広義の表面処理特性の悪化が大きく、さらには、溶接
部の硬化による溶接部の成形性の低下も著しい。これら
の効果は、単独でも複合で含有させても同様の挙動を示
すため、熱間変形抵抗におよぼす実験式をもとに2つの
グループに分類し、各々の含有量の上限を設定した。な
お、これらの元素の上記効果を得るためには、A,B群
中の元素をそれぞれ0.005mass%以上含有させることが
好ましい。特に伸びフランジ性が要求される場合は、C
群のCa、REMを含有させて介在物の形態制御を行うこと
も有効である。これらの元素は、各々の含有量の合計を
0.0010〜0.010mass%とすることで表面欠陥の発生など
を伴うことなく伸びフランジ特性を改善することができ
る。
【0024】次いで、鋼板の組織、引張特性、歪時効硬
化特性等、本発明の鋼板が具備すべき特性について説明
する。 フェライト相の面積率:60%以上 本発明の鋼板は、高度な加工性(主として打抜き加工性)
と耐摩耗性が要求される自動車用の部品等に使用される
鋼板を対象としており、フェライトが面積率で60%未満
では必要な延性を確保することが困難となる。ここで上
記フェライトとしては、いわゆるポリゴナルフェライト
のみではなく、炭化物の析出を含まないベイニテイック
フェライト、アシキュラーフェライトも含むものとす
る。なお、鋼組織中に含まれる第2相としては、パーラ
イト、ベイナイト、マルテンサイト、残留オーステナイ
ト、セメンタイトを含むことができるが、なかでもマル
テンサイトおよび残留オーステナイトが歪時効硬化およ
び延性改善の観点からは有利である。
【0025】フェライト相の平均結晶粒径 フェライト相の平均結晶粒径は、歪時効硬化性の向上、
塑性加工後の面性状の改善、特に打抜き加工面の平滑性
向上の観点からは小さいことが有効で、概ね10μm以下
の結晶粒径とすることでこれらの効果が顕著となる。さ
らに望ましくは8μm以下とすることで、顕著な打抜き面
の耐摩耗特性の向上効果が得られる。
【0026】引張特性 鋼板の引張強度は、590MPa以下とする。打抜き加工に要
する負荷は、鋼板の引張強度の上昇にともない増加す
る。この負荷の増大により、金型の損耗、変形、加工材
料の固定の困難化などが起こり、製品の打抜き加工精度
は顕著に低下する。引張強度が590MPaを超えると、これ
らの不具合の発生が顕著となる。一方、引張強度の上昇
により耐磨耗性は向上するが、本発明においては、歪時
効硬化特性により引張強度を上昇し、耐磨耗性を向上す
ることができる。したがって、打抜き加工性と耐摩耗性
を同時に向上させるためには、加工前の鋼板の引張強度
は590MPa以下とする必要がある。
【0027】歪時効硬化特性 歪時効特性は、5%の予歪を付与した後、100℃以上300
℃以下の温度で30秒以上20分以下の熱処理を施したの
ち、熱処理前後の変形応力の差(熱処理後の降伏応力−
5%歪時の変形応力であり、以後「BH」で示す)およ
び、熱処理前後の引張強度TSの差(ΔTS)で評価す
る。本発明の鋼板は、上記条件で測定したBHが80MPa
以上、ΔTSが40MPa以上であることが必要である。こ
れらの値は、さらにBHが100MPa以上、ΔTSが50MPa
以上であることが望ましく、時効温度を上げたり、時効
時間を長くすることにより得ることができる。
【0028】なお、上記、歪時効特性の評価条件につい
て説明する。 予歪量 歪時効硬化特性を規定する場合、予歪量は重要である。
打抜き加工を行う場合、剪断部端面には極めて大きな歪
が生じる。この歪の分布を断面の硬度分布から調査した
結果、平均して5%程度の塑性変形量すなわち相当歪で
0.05程度に対応することが明らかとなった。また、5%
予歪後、時効処理した時の強度特性と打抜き加工後の耐
磨耗特性がよく対応することが明らかとなった。よっ
て、本発明では、1軸引張で5%を予歪条件とした。な
お、曲げ加工のような場合も同様に、板厚方向1/4の位
置での相当歪0.05が、引張変形5%の歪量に対応するこ
とも明らかとなった。曲げ加工のような場合、耐磨耗性
が問題となる板厚最表面での正確な歪の評価は難しい
が、板厚1/4位置での相当歪で0.05以上の加工を施すこ
とにより、板厚最表面には板厚1/4位置を上回る歪が導
入され、歪時効硬化により良好な耐磨耗特性を付与でき
る。
【0029】熱処理温度 一般に、時効温度は、高温ほど短時間の硬化には有利で
ある。従来の塗装焼付け処理条件は170℃×20分が標準
として広く採用されているが、本発明鋼のように多量の
固溶Nを残存させ、5%以上の歪を付与する場合は、よ
り緩やかな処理でも硬化が達成され、いいかえればより
幅広い時効条件が設定可能である。本開発鋼では、予加
工後、100℃程度に加熱することで硬化が顕著となる。
一方、300℃を超えるとその効果が飽和し、逆にやや軟
化する傾向を示す。また300℃以上の温度に加熱する
と、熱歪みやテンパーカラーが発生するなどの問題が起
こり望ましくない。
【0030】熱処理時間 時効時間は、30秒以上20分以下とする。200℃の時効温
度では、30秒程度以上保持すればほぼ十分な歪時効硬化
が達成される。より大きな歪時効硬化を達成する場合に
は60秒以上保持することが望ましい。しかし20分以上の
長時間の熱処理は、実用上、生産効率の低下をもたらす
ので好ましくない。加熱方法は通常の塗装焼付けのよう
に、炉で雰囲気加熱される場合のみでなく、たとえば誘
導加熱、無酸化炎、レーザー、プラズマなどによる加熱
も有効である。従来の焼付け硬化型鋼板では十分な硬化
が達成されない低温、短時間でも、本発明鋼では大きな
硬化が達成される。上記のような歪時効硬化特性を有す
る本発明の鋼板では、打抜き加工後あるいは摺動部分に
相当歪で0.05以上の加工を施した後、100℃以上300℃以
下にて30秒以上20分以下の熱処理を施すことにより、上
記打抜き加工部あるいは摺動部分を歪時効硬化させ、良
好な耐磨耗性を得ることができる。
【0031】ところで、鋼板が打抜きままで使われるた
めには、打抜き面の美麗性が要求される。また、打抜き
加工後、さらに加工が加えられることも多く、打抜き面
の加工性が要求される。このような要求を満たすために
は、伸びフランジ性に優れた特性を有することが好まし
い。この特性は、一般に、穴拡げ率で評価され、穴拡げ
率が大きいほど好ましい。さらに、加工後の鋼板表面の
肌荒れも問題となることがあるため、肌荒れは小さいほ
ど好ましい。なお、鋼板の厚みについては特に限定する
必要はない。鋼板が厚い場合でも薄い場合でも本発明の
効果は発揮される。
【0032】次に、本発明の上記加工部材用高強度鋼板
を製造する方法のうち、とくに特徴的な条件についてそ
の限定理由を説明する。スラブは、成分のマクロな偏析
を防止するためには、連続鋳造法で製造することが望ま
しいが、造塊法、薄スラブ鋳造法によって製造すること
も可能である。また、熱間圧延前のスラブ加熱は、スラ
ブを製造した後、いったん室温まで冷却し、その後再加
熱する従来法のほか、冷却しないで、温片のまま加熱炉
に装入する、あるいはわずかの保熱をおこなった後、直
ちに圧延する直送圧延・直接圧延などの省工ネルギープ
ロセスも問題なく適用できる。特に固溶状態のNを有効
に確保するには、直送圧延は有用な技術の一つである。
【0033】熱延条件については以下のように規定され
る。 スラブ加熱温度:1000℃以上 スラブ加熱温度は、固溶状態のNを確保するためには、
1000℃以上とする必要がある。上限は特に規制されない
が、酸化ロスの増大を抑制するため等から1280℃以下と
することが望ましい。
【0034】仕上圧延温度:800℃以上 仕上圧延温度(FDT)は、800℃以上とすることで、均
一微細な熱延鋼板組織を得ることができる。しかし、仕
上圧延温度が800℃を下まわると、固溶Nが低下するた
め、目標とする大きな歪時効硬化特性を得る事が困難と
なる。また、仕上圧延温度が低い場合、鋼板の組織が不
均一になり、熱延加工組織が残留するようになる。上記
不均一組織は、冷延、焼鈍後にも不均一性が消えずに残
留し、プレス成形時に種々の不具合を引き起こす危険性
を増大させる。また、熱延加工組織の残留を回避するた
めに高い巻取温度を採用しても、粗大粒が発生し、同様
の不具合を生じる。従って、仕上圧延温度は800℃以上
とした。さらに機械的性質を向上させるには820℃以上
であることが望まれる。上限温度は特に規制しないが、
過度に高い温度で圧延した場合は、スケール疵などが発
生するため、1000℃程度以下とするのが好ましい。
【0035】仕上圧延後の冷却 熱間仕上圧延終了後、直ちに(0.5秒以内に)水冷を開始
し、冷却中の平均冷却速度を40℃/sec以上とすることが
歪時効硬化量をさらに大きくするためには有利である。
これらが満足されないと結晶粒径の微細化が達成されに
くく、固溶N量も十分な量を確保することが難しく望ま
しくない。これは、熱間圧延後は圧延歪により窒化アル
ミの析出が促進される傾向にあるが、そのような高温域
をできるだけ速く冷却することでこれを防止し、固溶N
を確保するためである。また、冷却速度の上限は特に規
定しないが、300℃/secを上回ると、第2相の分率が顕
著に増加し、強度は上昇するものの延性も低下するので
好ましくない。また、材質の不均一と形状の不均一性を
招くので好ましくない。
【0036】熱延巻取温度:650℃以下 巻取温度が低下すると、鋼板の強度、歪時効特性は増加
する傾向にある。自動車の車体の軽量化に寄与する十分
高い引張強度、歪時効硬化量を得るには、650℃以下の
巻取温度とすることが必要である。下限温度は、材質上
は厳しく限定されないが、概ね200℃を下まわると、第
2相の分率が顕著に増加し延性が低下するので好ましく
ない。さらに、鋼板の形状が乱れだし、また、材質の均
一性も低下する傾向にある。従って、熱延巻取温度は20
0℃以上が好ましい。より高い材質均一性が要求される
場合は300℃以上とすることが望ましい。
【0037】酸洗、冷間圧延 本発明の鋼板は、熱延のままのいわゆる黒皮の状態でも
製品とすることができる。また、酸洗して製品とするこ
とも可能である。酸洗は通常法に準じて行う。酸洗後、
さらに冷間圧延、焼鈍を行い、冷延鋼板とすることもで
きる。しかし、極めて薄いスケールの状態であれば、酸
洗を省略し直ちに冷間圧延することも可能である。
【0038】連続焼鈍 冷間圧延後の鋼板は、再結晶温度以上900℃以下の温度
で連続焼鈍を行う。焼鈍温度が再結晶温度以下では強度
は確保できるものの、未再結晶組織を含むため延性が極
めて低く、加工用の鋼板としては使用できない。一方、
上限温度は、固溶Nが析出して減少することを防止する
ため、900℃とする。焼鈍方法は、連続焼鈍法で行うこ
とが、歪時効硬化性を高くするには有利である。また、
連続焼鈍法であれば、結晶粒径が小さくなるため、打抜
き加工性が向上し、ひいては打抜き面の耐摩耗性の向上
に有利である。なお、本発明の鋼板は、鋼成分、焼鈍条
件を限定することで、冷延鋼板製品およびめっき製品に
おいても十分な量の固溶Nを確保できる。
【0039】めっき工程 熱延鋼板に対して酸洗後、あるいはこれを冷間圧延後、
さらにはこれを焼鈍後、連続溶融めっきラインまたは電
気めっきラインにてめっき処理を施すことも可能であ
る。すなわち熱延鋼板を原板としたあるいは冷延鋼板を
原板としためっき鋼板の製造が可能である。溶融めっき
鋼板の場合は、亜鉛の合金化めっき、非合金化めっきの
いずれにも適用可能である。また、亜鉛をベースにし、
Al等の合金を含有するめっき鋼板にも適用可能である。
また、電気めっき鋼板の場合は、純ZnめっきやZn−Ni等
の合金めっきが適用可能である。めっき方法は、溶融め
っき、電気めっきとも、常法に準じて行うことができ
る。
【0040】次いで、補助的に適用することが望ましい
製造条件について述べる。本発明の鋼板は、自動車や電
気機器等の摺動部品への使用に適した薄鋼板であり、鋼
板の形状・寸法精度の向上のほか、鋼板の長手方向およ
び幅方向の材質均一化が求められる。この要求に応える
ためには、熱間圧延に、現在、一部で実用化されている
連続圧延技術を適用することは極めて有効である。同時
に、材質均一化のために圧延温度をコイルの長手方向、
幅方向に均一化するシートバーエッジヒーター、あるい
はシートバーヒーターを併せて使用することも有効であ
る。また、連続圧延によりコイル先端を安定して通板で
きるため、潤滑圧延を適用することも可能であり、圧延
荷重の低減、ロールの寿命延長、形状の均一化、材質の
均一化に有効である。さらに、圧延後の冷却において、
エッジ部の過冷却を防止するために、幅方向に冷却水の
マスキングを行う技術も材質均一化の観点では重要な技
術の一つである。なお、本発明では、熱間圧延後あるい
は連続焼鈍後あるいはさらにめっき処理後、従来行われ
ている形状矯正や粗度調整を目的とする調質圧延(スキ
ンパスともいう)やレベラー加工を行っても良いことは
言うまでもない。
【0041】
【実施例】(実施例1)次に本発明の実施例について説
明する。表1に示す成分組成を含み、残部が実質的にFe
からなる鋼を転炉で溶製し、連続鋳造で鋼スラブとした
後、この鋼スラブを表1に示す条件で熱間圧延を行い、
さらに酸洗して熱延鋼板を製造した。得られた熱延鋼板
について、組織、引張特性および歪時効特性を調査し、
表2に示した。この際、引張特性の測定にはJIS5号試
験片を使用した。また歪時効は、5%の引張予歪後、17
0℃×20分の熱処理を施し、熱処理前の変形応力と熱処
理後のYSの差(BH)および熱処理前後のTSの差(Δ
TS)を求めた。
【0042】また、得られた熱延鋼板を用いて、耐磨耗
性試験を行った。この試験は、打抜き加工により、打抜
き面を摺動面とする歯車を製造し、170℃×20分の熱処
理を施したのち、これらを2枚組合せて回転させて打抜
き面を摺動させ、耐磨耗性を調査した。なお、試験に使
用した歯車は、外径80mmφの平面状で、打抜き加工に
は、クリアランスが板厚の12%である金型を用いた。ま
た耐磨耗試験は、歯車同士を、無潤滑状態で、50Nの力
を負荷しつつ、80rpmで回転し、磨耗の程度(量)を、外
観で評価した。比較として、従来鋼についても同様に耐
摩耗性を調査した。
【0043】さらに、上記鋼板について、穴拡げ性(伸
びフランジ性)を、鉄鋼連盟規格(JFST 1001 1996)に準
じて評価した。同時に、打抜き加工性についても、上記
穴拡げ性を調査する際に、穴拡げ前の試験片の剪断面を
目視観察し、平滑であるほど打抜き加工性が良好である
と評価した。上記調査結果を、表2に併せて示した。本
発明の鋼板は、いずれも耐磨耗性に優れているほか、穴
拡げ性(伸びフランジ性)、打抜き加工性にも優れてい
る。これらの特性が良好であることは、打抜き加工後、
剪断面を摺動面として用いる部材に好適であることを示
すものである。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】(実施例2)C:0.08mass%、Si:0.25ma
ss%、Mn:1.55%、P:0.009mass%、S:0.002mass
%、Al:0.015mass%、N:0.0126mass%の鋼スラブを
素材とし、表3に示すように製造条件を幅広く変化させ
て冷延鋼板および電気めっき鋼板(Zn-Niめっき)を製造
し、実施例1と同様にして、組織、引張特性、歪時効硬
化特性、耐磨耗性、穴拡げ性および打抜き性も評価し
た。さらに、加工後の肌荒れ性について、鋼板に板厚1/
4位置の相当歪が0.1となる曲げ加工を行い、この加工後
の鋼板表面を目視観察により、肌荒れの有無、割れの有
無を調査し相対評価した。この、結果を表4に示した
が、本発明の鋼板は、いずれも、耐磨耗性に優れ、穴拡
げ性が良好でありかつ打抜き面の美麗性、加工後の鋼板
表面の肌荒れ性も優れている。
【0047】
【表3】
【0048】
【表4】
【0049】(実施例3)実施例1の表1に記載された
本発明の鋼板No.1および比較例の鋼板No.9を、図2に
示すように、板厚1/4での相当歪が異なる引張曲げ加工
を行った後、170℃×20分の熱処理を施してから、図2
に示すように、曲げ加工部外面を平板状の金型(材質:
SKD1)に、線圧196N/mm(20kgf/mm)で押し付け、200
mm/secの速度で一方向に繰り返し往復摺動させ、耐磨耗
性を評価した。耐磨耗性は、表面での顕著な磨耗が観察
されるまでの摺動回数で評価した。この試験は、加工部
を摺動面とする用途をシミュレートした試験である。結
果を、表5に示したが、本発明の鋼板No.1を用いた場
合、相当歪0.05以上を加えることにより、耐磨耗性は大
きく改善されている。そして、上記鋼板は、比較例であ
る相当歪0.07を加えたNo.9の鋼板と比較し、耐磨耗性
に優れていることは明らかである。
【0050】
【表5】
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
塑性加工面、特に打抜き加工面および曲げ加工面の耐摩
耗性に優れる熱延鋼板、冷延鋼板および溶融めっき鋼板
を提供することができる。この結果、塑性加工や打抜き
加工後の浸炭、浸窒などの特殊な硬化処理を必要とせ
ず、常用されている塗装焼付け等の熱処理で耐磨耗特性
を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 加工部が摺動面として使用される部材の例を
示す図である。
【図2】 曲げ加工部の耐摩耗性を評価する方法の模式
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C21D 9/46 C21D 9/46 H T C22C 38/06 C22C 38/06 38/58 38/58 Fターム(参考) 4E002 AA07 AD04 BC07 BD03 BD07 CB01 4K037 EA01 EA02 EA05 EA06 EA09 EA11 EA13 EA15 EA16 EA17 EA18 EA19 EA20 EA23 EA25 EA27 EA28 EA31 EA32 EA36 EB05 EB07 EB09 FA02 FA03 FC03 FC04 FD04 FE01 FE02 FH01 FJ05 FJ06 FM02 GA05 JA07 4K042 AA25 BA01 BA03 CA02 CA03 CA05 CA06 CA08 CA09 CA10 CA12 CA13 CA14 DA05 DA06 DC02 DC03

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 C:0.05〜0.25mass%、Si:3.0mass%以下、 Mn:0.5〜3.0mass%、 P:0.01mass%以下、 S:0.003mass%以下、 Al:0.02mass%以下、 N:0.0030〜0.025mass% を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなり、フェ
    ライト相の面積率が60%以上、フェライト相の平均粒径
    が10μm以下の組織を有し、さらに引張強度が590MPa以
    下でかつ歪時効硬化特性であるBHが80MPa以上、ΔT
    Sが40MPa以上であることを特徴とする加工部材用高強
    度鋼板。
  2. 【請求項2】前記成分組成に加えてさらに、下記A群〜
    C群の中から選ばれる1種または2種以上を含むことを
    特徴とする請求項1に記載の高強度鋼板。 A群:Cu,Ni,Cr,Moを合計で1.0mass%以下 B群:Nb,Ti,V,Bを合計で0.1mass%以下 C群:Ca:0.0010〜0.010mass%および/またはREM:0.0
    010〜0.010mass%
  3. 【請求項3】C:0.05〜0.25mass%、Si:3.0mass%以
    下、 Mn:0.5〜3.0mass%、 P:0.01mass%以下、 S:0.003mass%以下、 Al:0.02mass%以下、 N:0.0030〜0.025mass% を含有する組成を有する鋼素材を、スラブ加熱温度を10
    00℃以上、仕上圧延出側温度を800℃以上、仕上圧延後
    の冷却速度を40℃/sec以上、熱延巻取温度を650℃以下
    として熱間圧延を行うことにより、フェライト相の面積
    率が60%以上、フェライト相の平均粒径が10μm以下の
    組織を有し、さらに引張強度が590MPa以下でかつ歪時効
    硬化特性であるBHが80MPa以上、ΔTSが40MPa以上の
    特性を示す熱延鋼板を得ることを特徴とする加工部材用
    高強度鋼板の製造方法。
  4. 【請求項4】上記熱延鋼板を、さらに冷間圧延し、次い
    で再結晶温度以上900℃以下の温度で連続焼鈍を行い、
    あるいはさらにめっき処理を施すことを特徴とする請求
    項3に記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 C:0.05〜0.25mass%、Si:3.0mass%以下、 Mn:0.5〜3.0mass%、 P:0.01mass%以下、 S:0.003mass%以下、 Al:0.02mass%以下、 N:0.0030〜0.025mass% を含有するとともに、フェライト相の面積率が60%以
    上、フェライト相の平均粒径が10μm以下の組織を有
    し、かつ引張強度が590MPa以下である鋼板を、打抜き加
    工後、あるいは摺動部分に板厚方向1/4位置での相当
    歪で0.05以上の加工を施した後、100℃以上300℃以下に
    て30秒以上20分以下の熱処理を行うことを特徴とする耐
    磨耗性に優れた加工面を有する加工部材の製造方法。
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