JP4692018B2 - 強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法 - Google Patents

強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は,主として自動車の車体部品等の使途に好適な、引張強さが590MPa以上の高張力熱延鋼板およびその製造方法に係り、特に強度−延性バランスに優れた複合組織を有する高張力熱延鋼板およびその製造方法に関する。本発明の高張力熱延鋼板は、軽度の曲げ加工やロールフォーミングなど比較的軽加工に供されるものから比較的厳しい絞り成形に供されるものまで、広範囲の用途に適するものである。
近年、地球環境の保全を目的とした、自動車の燃費改善並びに車両衝突時の乗員保護の観点から、自動車車体の安全性向上が要求されている。このため、自動車車体の軽量化と強化の両立のための検討が積極的に進められている。これを満足させるには、部品の素材を高強度化することが効果的であると言われており、最近では高張力鋼板が自動車部品に積極的に使用されている。すなわち、自動車部品に高張力鋼板を適用して、使用する鋼板の薄肉化を図るのが有効である。
ところが、鋼板を素材とする自動車の車体用部品の多くがプレス加工により成形されるため、使用される高張力鋼板は、優れたプレス成形性を有することが要求される。そのため、鋼板の機械的特性として、特に高い延性が求められている。しかし、一般に、鋼板を高強度化すると延性(伸び)が低下してプレス成形性が劣化するため、これらを両立するのは依然として難しいものであった。
プレス成形性の良好な高張力鋼板の代表例としては、軟質のフェライトと硬質のマルテンサイトとの複合組織からなる複合組織鋼板が有り、降伏応力が低く高い強度−延性バランスを有する鋼板である。しかし、この種の複合組織鋼板は、降伏比が70%以下と低く、形状凍結性には優れるものの、安定して得られる強度−延性バランス(TS×El)は19000MPa・%程度が限界であった。したがって、通常の条件での加工性については概ね良好であるが、厳しい条件下での成形には問題を残していた。
また、組織を、フェライトおよびベイナイトと残留オーステナイトとからなる複合組織として強度−延性バランスを顕著に向上させた、いわゆる変態誘起塑性型鋼板が提案されている。例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3および特許文献4には、残留オーステナイトによる変態誘起塑性を活用した、延性に優れた高強度熱延鋼板が提案されている。
これらの変態誘起塑性型鋼板は、強度−延性バランス(TS×El)が20000MPa・%を超えるものもある反面、同一強度のフェライトおよびマルテンサイト複合組織鋼と比較すると、CおよびSiの含有量が大幅に高くなるため、Cが高いときには溶接部が脆化して充分な溶接強度、特にスポット溶接による溶接面における垂直方向の強度、が得られず、実用上の問題がある。一方、Siが高いときには、塗装性および耐食性を低下させるために表面の美麗性が損なわれ、これを回復するには、酸洗処理等を長時間にわたり行う必要があり、製造コストが大幅に上昇することは避けられない。
近年、良好なプレス成形性と、成形後の高強度とを同時に満足できる鋼板として、プレス成形前は軟質でプレス成形し易く、プレス成形後は塗装焼付処理により硬化し部品強度を高めることができる鋼板が開発されている。このような鋼板の例として、特許文献5には、N添加型の変態誘起塑性型鋼板が提案されている。この技術では、固溶Nを特定範囲内に制限し、さらに熱延条件を制御することにより、延性および歪時効硬化特性を向上させた熱延鋼板が得られている。ところが、Si含有量が1.0%以上と多く、この場合も塗装性や美麗性を確保するためのコストアップが避けられないという問題があった。
特公平6−41617号公報 特公平5−65566号公報 特公平5−67682号公報 特開平11−43725号公報 特開2002−30385号公報
本発明は、上記した従来技術の問題点を有利に解決し、溶接強度の低下を招くことのない、比較的低いC含有量であり、かつ、塗装性および耐食性の低下をまねくことのない、比較的低いSi含有量でありながら、引張強さ590MPa以上でかつ強度−延性バランスが19000MPa・%以上となる強度−延性バランスに優れた、複合組織型の高張力熱延鋼板を、その製造方法に併せて提案することを目的とする。
従来、フェライト、ベイナイトおよび残留オーステナイトからなる複合組織を形成して強度−延性バランスを顕著に向上させるには、多量のCやSiが必要であり、C含有量を溶接性に問題のない適度な範囲としたうえで微量のSiの添加により、上記のような複合組織を生成し、延性を顕著に向上させた高張力熱延鋼板を得ることは困難とされてきた。これは、多量のSiの添加により、焼鈍時に残留オーステナイトの生成に必要な量のCをオーステナイト中に濃化させることが可能となるためである。すなわち、SiはFeCの生成を抑制し、より効果的にCをオーステナイト中に濃化させる働きがある。
発明者らは、かような働きを有するSiを低減しても強度−延性バランスを向上し得る手法を開発するべく、成分組成および製造条件を種々に変更して鋼板を製造し、多くの材質評価実験を行った。その結果、高延性が要求される分野では従来積極的に利用されることがなかった、Nを利用することにより、Siを微量としても、強度−延性バランスの向上が図れることを知見した。
以下、本発明を導くに至った実験結果について説明する。
C:0.075mass%、Si:0.5 mass%、Mn:1.55 mass%、P:0.019 mass%、S:0.002 mass%およびAl:0.012 mass%を基本組成とし、これにNを0.0018〜0.0188 mass%の範囲で種々に変化させた組成の鋼塊を、1250℃に加熱し、1h均熱した後、粗圧延後のシートバー厚、仕上圧延終了後の冷却開始時間、冷却を一旦停止し再度冷却を開始するまでの空冷処理の有無および時間、巻取温度、巻取後の冷却速度を種々に変化させて、板厚1.6mmの熱延鋼板とした。
かくして得られた熱延鋼板について、引張試験を実施した。引張試験は、長軸を圧延方向と直交する方向としたJIS5号引張試験片を用いて、JIS Z2241の規定に準拠して行い、引張特性(降伏強さYS、引張強さTS、伸びEl)を求めた。
また、各鋼板の固溶N量および残留オーステナイト量(以下、残留γ量と示す)についても調査した。
なお、固溶Nの分析法は、鋼中の全N量から、析出N(電解抽出による溶解法で求める)を差し引いた値とした。その詳細は、後述する。
さらに、残留γ量は鋼板の板厚1/4付近の面でX線回折法により、オーステナイト相の(211)および(220)面とフェライト相の(200)および(220)面のピーク強度から残留オーステナイト相の体積率を算出した。
これらの調査結果を、図1〜6に示す。
まず、図1は、残留γ量とTS×Elとの関係を、仕上圧延終了後の冷却中における空冷処理の有無で比較して示したものである。同図に示すように、残留γ量とTS×Elとは強い相関を示し、その関係は空冷処理の有無やその他の製造条件に関わらず一義的に整理される。すなわち、残留γ量を3vol%以上とすることにより、19000MPa・%以上のTS×Elが得られることが示されている。
また、図2は、固溶N量と残留γ量との関係を、上記空冷処理の有無で比較して示したものである。同図に示すように、空冷処理が有る場合には、固溶N量の増加に伴い残留γ量が増加し、固溶N量を50ppm以上とすることによって残留γ量を3vol%以上にできるが、空冷処理が無い場合には固溶N量が増加しても残留γ量は3vol%未満である。
次に、C:0.075mass%、Si:0.5 mass%、Mn:1.55 mass%、P:0.019 mass%、S:0.002 mass%およびAl:0.012 mass%を基本組成とし、これにNを0.0116mass%で含む組成の鋼魂を、粗圧延により厚み30〜10mmのシートバーとし、引き続いて仕上圧延終了温度が850℃となるように7パスの仕上圧延を行い板厚1.6mmとした。仕上圧延終了後1.5秒経過後に平均冷却速度50℃/sで720℃まで冷却し、10s空冷したのち、再び平均冷却速度50℃/sで600〜300℃の巻取相当温度まで冷却し、巻取り後の冷却処理として冷却速度が1.5〜10℃/minの一定の冷却速度で100℃以下まで冷却した。このときの固溶N量はいずれも80〜115ppmの範囲であった。
図3は、仕上圧延の合計の圧下率:95%、巻取温度:450℃および巻取後の冷却速度:2℃/minとして得た鋼板における、残留γ量と空冷時間との関係を示したものである。同図から、空冷時間を3〜30秒に制御することにより3vol%以上の残留γ量が確保され、高延性を獲得できることがわかる。
なお、ここで、仕上圧延の合計の圧下率(以下仕上全圧下率ともいう)とは、
{(シートバー厚 − 仕上圧延後板厚(ここでは1.6mm))/シートバー厚}×100%
で算出される仕上圧延中の合計の圧下率である。
図4は、残留γ量と仕上圧延の合計の圧下率との関係を示したものである。このときの空冷時間は10秒、巻取温度は450℃および巻取後の冷却速度は2℃/minであった。同図から、仕上圧延の合計の圧下率を90%以上に制御することにより3vol%以上の残留γ量が確保され、高延性を獲得できることがわかる。
図5は、残留γ量と巻取温度との関係を示したものである。このときの仕上全圧下率は95%、空冷時間は10秒および巻取後の冷却速度は2℃/minであった。同図から、巻取温度を350〜500℃に制御することにより3vol%以上の残留γ量が確保され、高延性を獲得できることがわかる。
図6は、残留γ量と巻取後冷却速度との関係を示したものである。このときの仕上全圧下率は95%、空冷時間は10秒および巻取温度は450℃であった。同図から、巻取後の冷却速度を3℃/min以下に制御することにより3vol%以上の残留γ量が確保され、高延性を獲得できることがわかる。
以上のように、固溶N量を50ppm以上とし、仕上全圧下率を90%以上、巻取温度を350〜500℃、巻取後冷却速度を3℃/min以下とした場合に、3vol%以上の残留γ量すなわち19000MPa・%以上の強度−延性バランス(TS×El)を得ることが可能であり、高い延性が実現される。
この原因については以下のように考えられる。
すなわち、オーステナイトの安定化のためには、熱間圧延後の制御冷却の空冷処理段階において、オーステナイト相へのC、Nの濃化を図る必要がある。そして、安定化したオーステナイト相では、巻取後の冷却中にベイナイト変態が進行するとともに、さらなるオーステナイト相へのC、Nの濃化、すなわちオーステナイトのさらなる安定化が生じ、室温においてもオーステナイトが残存することになる。従って、巻取中に炭化物や窒化物といった析出物を生成した場合には、残留オーステナイト相へのC、Nの濃化、すなわち残留オーステナイト相の十分な安定化が困難になる。
ここで、NはCに比べて、析出物(窒化物)の形成傾向が低く固溶状態で存在しやすい。例えば、Cを利用する場合は、Siを多量添加し、そのC排出作用によりオーステナイト相へのC濃化を図る必要がある。これに対して、Nを利用する場合は、巻取温度を適正に制御しながら巻取後の緩冷却を施すことにより、巻取後の緩冷却中に残留オーステナイト相へのNの濃化が効果的に行われるため、Siを低減しても、Cの濃化が不足する分を補って尚余るため、オーステナイトの安定化を図ることができる。一方、フェライト形成元素としてのSiの低下を補うためには、仕上圧下率を高めることでフェライト変態を促進させる必要がある。
以上の実験結果から導かれた、上記した各条件を満足することにより、組織をフェライトおよびベイナイトと残留オーステナイトとからなる複合組織とすることができ、鋼板のプレス成形性を顕著に向上できることを、ここに知見したのである。本発明は、これら知見に基づき、さらに検討して完成されたものであり、その要旨は次のとおりである。
(1)C:0.05〜0.15 mass%、
Si:0.005〜0.8 mass%、
Mn:1.0〜3.0 mass%、
P:0.005〜0.08 mass%、
S:0.0002〜0.005 mass%、
Al:0.001〜0.05 mass%および
N:0.0090〜0.025 mass%
を含有し、かつ固溶状態のN:0.0050mass%以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成に成り、60〜94vol%のフェライト相、3〜30 vol%のベイナイト相および3vol%以上の残留オーステナイト相を含む複合組織を有することを特徴とする強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板。
(2)前記成分としてさらに、Cr:0.05〜1.0 mass%、Mo:0.05〜1.0 mass%およびNi:0.05〜1.0 mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(1)に記載の強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板。
(3)前記成分としてさらに、Nb、Ti、VおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上を、下記式を満足する範囲で含有することを特徴とする上記(1)または(2)に記載の強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板。

N/(Al+Nb+Ti+V+B)≧0.3
ここで、N、Al、Nb、Ti、V、B:各元素の含有量(mass%)
(4)C:0.05〜0.15 mass%、
Si:0.005〜0.8 mass%、
Mn:1.0〜3.0 mass%、
P:0.005〜0.08 mass%、
S:0.0002〜0.005 mass%、
Al:0.001〜0.05 mass%および
N:0.0090〜0.025 mass%
を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物より成る鋼スラブを、1100〜1300℃に加熱し、粗圧延後に、仕上圧延出側温度がAr〜(Ar+50)℃でかつ合計の圧下率が90%以上の仕上圧延を施し、その後3秒以内に冷却速度が20℃/s以上の冷却を開始し、該冷却を680〜760℃の温度範囲内で一旦停止し、3〜30秒の空冷を施した後、再度冷却速度が20℃/s以上の冷却を施し、次いで350〜500℃で巻取ったのち、巻取温度〜300℃までを3℃/min以下の冷却速度で冷却することを特徴とする強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板の製造方法。
(5)前記鋼スラブが、さらに、Cr:0.05〜1.0 mass%、Mo:0.05〜1.0 mass%およびNi:0.05〜1.0 mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする上記(4)に記載の強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板の製造方法
(6)前記鋼スラブが、さらに、Nb、Ti、VおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上を、下記式を満足する範囲で含有することを特徴とする上記(4)または(5)に記載の強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板の製造方法

N/(Al+Nb+Ti+V+B)≧0.3
ここで、N、Al、Nb、Ti、V、B:各元素の含有量(mass%)
本発明によれば、微量のSi含有量においても延性の向上に必要な残留オーステナイト相が確保されるため、引張強さ590MPa以上でかつ強度−延性バランスが19000MPa・%以上となる強度−延性バランスに優れた、複合組織型の高張力熱延鋼板を提供できる。
まず、本発明の熱延鋼板の組成を限定した理由について説明する。
C:0.05〜0.15 mass%
Cは、鋼板の強度増加やオーステナイト相への濃化によるオーステナイト相の安定化の観点から重要な元素であり、本発明では強度と所望の残留γ量を確保するために0.05mass%以上の含有を必要とする。一方、0.15mass%を超える含有は、溶接性を著しく劣化させる。このため、C量は0.05〜0.15mass%の範囲に限定する。なお、極めて高い強度−延性バランスと溶接性の両立という観点からは、0.07〜0.12mass%とするのが好ましい。
Si:0.005〜0.8mass%
Siは、鋼の延性を顕著に低下させることなく、鋼板を高強度化させることができる有用な強化元素であり、さらには巻取後の冷却中にオーステナイトがベイナイト変態する際に炭化物の生成を抑制して、未変態オーステナイトの安定性を向上させる効果を有する元素である。このような効果は0.005mass%以上の範囲で認められるが、0.8mass%を超えるSiの含有は、表面性状や化成処理性等に悪影響を与える上、これらの悪影響を抑制するためには鋼板表面の酸洗処理等を長時間化する必要があり、大きなコストアップは避けられない。なお、本発明では、0.8mass%以下の含有量であっても未変態オーステナイトの安定性は保たれ、上記のようなSiの悪影響を容易に避けることができる。したがって、Siは0.8mass%以下の範囲とした。より厳格な表面性状並びに化成処理性等が求められる用途では、0.4mass%以下が好ましい。
Mn:1.0〜3.0mass%
Mnは、焼入れ性を向上させる元素であり、鋼板強度の増加に大きく寄与する。また、MnはSによる熱間割れを防止する有効な元素であり、含有するS量により添加するのが好ましい。さらに、Mnは、オーステナイト相に濃化し焼入れ性を向上させる上、オーステナイト相に濃縮し残留オーステナイトを安定化する効果も併せ持つ。このような効果は、1.0mass%以上の範囲で認められるが、3.0mass%を超える場合は上記した効果が飽和する上、スポット溶接性が顕著に劣化する。このため、Mnは1.0〜3.0mass%に限定した。なお、より良好な耐蝕性と成形性が要求される用途では、2.5mass%以下が望ましい。
P:0.005〜0.08mass%
Pは、鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必要量含有させることができる。このような効果は、0.005mass%以上の範囲で認められるが、P含有量が0.08mass%を超えると、プレス成形性および溶接性が劣化する。このため、P含有量は0.08mass%以下に限定した。なお、より優れたプレス成形性および溶接性が要求される場合は、P含有量を0.05mass%以下とすることが好ましい。
S:0.0002〜0.005mass%
Sは、鋼板中では介在物として存在し、鋼板の延性の劣化をもたらす元素であるため、できるだけ低減することが好ましい。0.005mass%以下に低減すると延性への悪影響が無視できることから、本発明におけるS含有量は、0.005mass%を上限とした。なお、より優れた延性を要求される場合には、S含有量は0.003mass%以下とすることが好ましい。一方、0.0002mass%未満とすることは工業的に困難であるため、これを下限とする。
Al:0.001〜0.05mass%
Alは、鋼の脱酸元素として添加され、鋼の清浄度を向上させるのに有用な元素であり、鋼の組織微細化のためにも添加することが望ましい元素である。本発明においては、固溶状態のNを残留オーステナイトの安定化元素や強化元素としても利用するが、適性範囲のアルミを添加したアルミキルド鋼のほうが、アルミを添加しない従来のリムド鋼に比して、機械的性質が優れている。アルミ含有量が多くなると表面性状の悪化、固溶Nの顕著な低下につながり、本発明の目的である微量のSi含有量における優れた強度−延性バランスを確保することが困難となる。このため上限は、従来鋼より低い0.05mass%とした。さらに、材質の安定性という観点では、上限を0.03mass%とするのが望ましく、0.015mass%とするのがさらに望ましい。なお、0.001mass%未満とすることは工業的に困難であるため、これを下限とする。
N:0.0090〜0.025mass%
Nは、優れた強度−延性バランスを発現させる上で重要な添加元素である。すなわち、適正範囲のN添加や製造条件により、熱延製品の状態で必要かつ十分なオーステナイト中へのNの濃化量を確保することで残留オーステナイト相の生成と安定化を図ることができ、目標とする590MPa以上の引張り強度と19000MPa・%以上の強度−延性バランス(TS×El:引張強さ×全伸び)が安定して得られる。また、Nは鋼の変態点を降下させる効果もあり、薄物で変態点を大きく割り込んだ圧延をしたくないという状況では、その添加は有効である。おおむね0.0090mass%以上の添加によって、このような効果が安定して得られる。しかし、0.025mass%を超えて添加した場合は、鋼板の内部欠陥の発生率が高くなるとともに、連続鋳造時のスラブ割れなどの発生も顕著となるため、その上限を0.025mass%とした。製造工程全体を考慮した材質の安定性および歩留まり向上という観点では、0.0120〜0.0170mass%の範囲がさらに好適である。なお、窒素を添加しても、本発明の範囲であれば溶接性等にはまったく悪影響はない。
固溶状態のN:0.0050mass%以上
オーステナイトの安定化が図られて強度−延性バランスの向上に十分な量の残留オーステナイトが確保されるには、固溶状態のNは概ね0.0050mass%以上である必要がある。
ここで、固溶Nは、鋼中の全N量から析出Nを差し引いた値とするが、この析出Nは、電解抽出による溶解法で求めることが好ましい。なぜなら、析出Nの分析法について種々の方法を検討したが、本発明で採用した定電位電解法を用いた電解抽出による溶解法を適用する方法が最も良く材質の変化と対応したためである。なお、電解液としては、アセチルアセトン系を用いることが好ましい。定電位電解法を用いた電解抽出による溶解法にて抽出した残渣を化学分析し、この残渣中のN量を求め、これを析出N量とした。また、さらに大きな強度および延性バランスが必要な場合は、固溶Nを0.0090mass%以上とすることが有効である。
本発明では、上記した成分に加えてさらに下記成分を適宜含有することができる。
Cr:0.05〜1.0 mass%、Mo:0.05〜1.0 mass%およびNi:0.05〜1.0 mass%のうちから選ばれる1種または2種以上
Cr、MoおよびNiは、焼入れ性を向上させ鋼板の強度を増加させるとともに、残留オーステナイトの分布状態を微細分散とする作用を有し、強度−延性バランスをさらに向上させる効果を有する元素である。このような効果は、それぞれ0.05mass%以上の含有で認められる。一方、1.0mass%を超える範囲では、成形性を阻害する。このため、Cr、MoおよびNiは、それぞれ0.05〜1.0mass%の範囲で添加することが好ましい。
Nb、Ti、VおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上を、
N/(Al+Nb+Ti+V+B)≧0.3(N、Al、Nb、Ti、V、B:各元素の含有量:mass%)
を満足する範囲で含有する
Nb、TiおよびVは、いずれも鋼を析出強化する作用があり、所望の強度に応じて必要量含有することができる。この効果を得るには、Nb:0.002mass%以上、Ti:0.002mass%以上およびV:0.002mass%以上とすることが好ましく、必要に応じて選択して単独または複合して含有できる。しかし、含有量が多すぎると、熱間変形抵抗が増加したり、硬質化して延性を損なうため、Nb、TiおよびVの合計で0.1mass%以下とすることが好ましい。
Bは、鋼の焼入れ性を向上し低温変態相の分率を増加させて鋼を強化する作用があり、所望の強度に応じて必要量含有することができる。この効果を得るにはB:0.0002mass%以上とすることが好ましい。しかし、含有量が多すぎると、熱間変形能が低下するとともに、硬質化して延性を損なうため、Bは0.0030mass%以下とすることが好ましい。
ただし、これらNb、Ti、VおよびBはAlと同様に窒化物を形成するため過剰に添加すると、固溶N量の低下を招き強度−延性バランスの向上が達成されない危険がある。このため、Nb、Ti、VおよびBを単独添加または複合添加する場合は、
N/(Al+Nb+Ti+V+B)≧0.3
を満足する範囲で添加する。
なお、Nb、Ti、V、Bを添加しない場合も、N/Al≧0.3を満足させることが、固溶N量を確保する上で好ましい。
なお、本発明では、上記した成分以外については、特に限定していないが、Ca、ZrおよびREM等を通常の鋼組成の範囲内であれば含有させてもなんら問題はない。
また、上記した成分以外の残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、例えばSb、Sn、Zn、Co等が挙げられ、これらの含有量の許容範囲としては、Sb:0.01mass%以下、Sn:0.1mass%以下、Zn:0.01mass%以下およびCo:0.1mass%以下の範囲である。
次に、本発明鋼板のミクロ組織について説明する。
本発明の熱延鋼板は、組織全体に対して60〜94vol%の主相であるフェライト相と、第二相として、組織全体に対して3〜30 vol%のベイナイト相および3vol%以上の残留オーステナイト相とを含む複合組織を有するものとする。
すなわち、主相であるフェライト相が、組織全体に対する体積率で60 vol%未満では、高度な加工性が要求される自動車用鋼板として必要な高い延性を確保することが困難となり、プレス成形性が低下する傾向となる。また、さらなる良好な延性が必要とされる用途では、フェライト相は組織全体に対する面積率で70 vol%以上とするのが好ましい。なお、複合組織の利点を利用するため、フェライト相は94 vol%以下とする必要がある。このため、フェライト相は組織全体に対して60〜94 vol%とする。
また、ベイナイト相が、組織全体に対して3vol%未満では、高い強度−延性バランスを確保することができない。なお、さらに良好な強度−延性バランスが要求される場合は、ベイナイト相は5vol%以上とするのが好ましい。ベイナイト相が30 vol%を超えると、延性の劣化が著しくなる。このためベイナイト相は3〜30 vol%とした。
さらに、本発明の熱延鋼板では、高い強度−延性バランスを確保するために、3vol%以上、好適には5vol%以上の残留オーステナイト相を含有する。これにより、強度−延性バランス(TS×El)として、微量のSi含有鋼としては非常に高い、19000MPa・%以上を確保できる。残留オーステナイト相の含有率の上限は特に限定しないが、実質的には15 vol%程度と考えられる。
なお、上記した主相および第二相以外に、若干量(30 vol%以下)のマルテンサイト相またはパーライト相が許容できる。
最後に、製造条件の限定理由について説明する。
まず、スラブは、成分のマクロな偏析を防止すべく連続鋳造法で製造することが望ましいが、造塊法や薄スラブ鋳造法によっても製造可能である。また、スラブを製造したのち、一旦室温まで冷却し、その後再度加熱する従来法に加え、冷却しないで、温片のままで加熱炉に挿入する、あるいはわずかの保熱を行った後に直ちに圧延する、直送圧延・直接圧延などの省エネルギープロセスも問題なく適用できる。特に、固溶状態のNを有効に確保するには、直送圧延が有用な技術の一つである。
熱延条件については以下のように規定される。
スラブ加熱温度:1100〜1300℃
スラブ加熱温度は、初期状態として固溶状態のNを確保するという観点から、1100℃以上とする必要がある。一方、1300℃を超えると、酸化重量の増加にともなう鋼のロスの増大などが顕著になるとともに、オーステナイト粒の粗大化によりフェライト変態が遅延するため、所望の強度−延性バランス(TS×El)を得るのが困難になる。
熱間圧延時の仕上圧延温度:Ar〜(Ar+50℃)
仕上圧延温度がAr点を下まわると、鋼板の組織が不均一になり、ともに表層に粗大粒が発生するため加工性が低下する。従って、仕上圧延温度はAr点以上とした。一方、(Ar+50℃)よりも高い温度で圧延した場合は、仕上圧延後のフェライト変態前のオーステナイトの粒径が粗大化するとともに、歪みの蓄積が不充分となりフェライト変態が遅延するため、所望の強度−延性バランス(TS×El)を得るのが困難になる。
ここで、Ar3点(Ar3変態点ともいう)は以下に記す方法で測定すればよい。すなわち、直径6mmおよび高さ12mmの円筒形に加工した鋼の試料を900℃に加熱し、5分間均熱した後に円筒軸方向に50%の圧縮加工を施す。加工後は直ちに10℃/sの一定の冷却速度で冷却をする。冷却過程では熱膨張、収縮に起因する円筒軸方向の長さ変化を測定し、収縮から膨張に変化する点を読み取り、このときの温度をAr3変態点として測定する。
仕上圧延の合計の圧下率:90%以上
微量のSi添加において、充分なフェライト変態をさせるためには、仕上圧延後のフェライト変態前のオーステナイトに歪みを蓄積させて、フェライト変態の核生成サイトを増大させる必要がある。この効果を有効に発揮させるためには、仕上圧延中に合計で90%以上の圧下率の圧延を施す必要がある。
ここで、仕上圧延における合計の圧下率とは、仕上圧延前の板厚(シートバー厚)をt0、仕上圧延後の板厚をt1とすると、
{(to−t1)/to}×100(%)で算出される。
この仕上圧延後は、3秒以内に冷却速度が20℃/s以上の冷却を開始する。
冷却の開始が3秒を超える場合には、蓄積した変態前のオーステナイトの歪みが解放されるためフェライト変態が遅延する。また、冷却速度は速い方がフェライト変態の駆動量増大の観点から好ましい。この効果を有効に発揮させるためには、20℃/s以上の冷却速度が必要である。
680〜760℃の範囲内で冷却を停止し、その後3〜30秒の空冷を施す。
上記冷却をフェライト変態速度の速い温度域にて一時停止し、空冷を施すことにより、空冷中にオーステナイト相へのC,Nの濃化が進行し、これを安定化させることができる。
冷却停止温度が680℃よりも低い場合および760℃よりも高い場合には、フェライト変態速度が小さいために、上記効果が小さい。また、空冷時間が3秒未満の場合には、C,Nの濃化のための時間的余裕が少なくなり、オーステナイトの安定化が不十分となる。一方、30秒を超える場合にはパーライトの生成が顕著になるとともに、C,Nが炭化物や窒化物として析出してしまい、所望の鋼組織および固溶Nを確保することが困難になる。
再度、冷却速度が20℃/s以上の冷却を施す。
上記空冷後の冷却速度が20℃/s未満の場合には、パーライトの生成が顕著になるとともに、C,Nが炭化物や窒化物として析出してしまい、所望の鋼組織および固溶Nを確保することが困難になる。
熱延巻き取り温度:350〜500℃
巻取後の冷却過程においては、安定化させたオーステナイト中からベイナイト変態が進行し、C,Nの濃化がさらに進行して一層のオーステナイトの安定化が成されるため、室温においても残留オーステナイト相を得ることができる。
すなわち、巻取温度が350℃よりも低い場合および500℃よりも高い場合には、ベイナイト変態が効果的に生じないため、所望の残留γ量を得る事が困難になる。
巻取後、巻取温度〜300℃までの冷却速度を3℃/min以下で冷却
巻取温度〜300℃までの冷却速度が3℃/minを超えると、上記したベイナイト変態が効果的に生じないため、所望の残留γ量を得る事が困難になる。
なお、該冷却速度を3℃/mim以下とするには、例えば巻き取る際の鋼帯コイルの大きさ(コイル単重)を調整したり、保温のための容器に封入し、放熱を抑制するなどすればよい。
また、熱間圧延後は酸洗、そして調質圧延を施し製品とされるが、これらは通常公知の方法によって行えばよい。
表1に示す成分組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続鋳造法でスラブとした。ついで、これら鋼スラブを表2に示す熱延条件により、板厚2.0mmの熱延鋼板とした。ここで、巻取り後の冷却速度(巻取後冷速)は、コイル単重にて調整した。引き続き、これら熱延鋼板(熱延鋼帯ともいう)を酸洗後、伸び率1.5%の調質圧延を施した。得られた鋼板から試験片を採取し、下記に示す方法で組織観察、引張試験、そして表面性状の評価を実施した。
なお、表1中のAr3は、表1の各々の成分組成の鋼を試料として前記の方法で求めたAr3変態点である。
Figure 0004692018
Figure 0004692018
(1)組織観察
得られた熱延鋼帯から試験片を採取し、圧延方向に直交する断面(C断面)について、光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡を用いて微視組織を撮像し、画像解析装置を用いて、主相としてのフェライト相、第二相としてのベイナイトおよびパーライトなどの鋼組織の種類の同定を行い、それらの組織分率(面積率)を求め、これを体積率(vol%)とした。
なお、固溶N量は、化学分析により得た全N量から定電位電解法により測定した析出N量を差し引いた値とした。
また、残留γ量は、鋼板の板厚1/4付近の面でX線回折法により、オーステナイト相の(211)および(220)とフェライト相の(200)、(220)面のピーク強度から残留オーステナイト相の体積率を算出した。
(2)引張試験
得られた熱延鋼帯から長軸を圧延方向に直交する方向としたJIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を行い、引張特性(降伏応力(YS)、引張強さ(TS)、伸び(El))を求めた。
(3)表面性状
表面性状は、鋼板表面を目視で観察し、表面模様の程度を以下のように5段階で評価した。評価値が4以上であれば、実用上問題無いレベルのものである。
5:模様なし
4:模様微少
3:模様少
2:模様中
1:模様多
(4)溶接特性
溶接特性は、JIS Z 3136、同Z 3137に準拠して、スポット溶接点の剪断引張強度および十字引張強度を測定した。スポット溶接は、2枚重ねで実施し、電極は先端径8mmΦのDR型、加圧力は5.0kN、溶接電流値は10kA、溶接時間は19サイクル(50Hz)、通電後の加圧保持時間は5サイクル(50Hz)とした。これより延性比(十字引張強度/剪断引張強度)を算出し、溶接特性を評価した。この値は、溶接面に対して垂直方向の強度が低くなると小さくなるため、高い値ほど良好な溶接特性である。
以上の測定結果を表3に示す。本発明例は、いずれも引張強さ(TS)が590MPa以上の高張力を有しているとともに、3vol%以上の残留γ量を有するため19000MPa・%以上の高い強度−延性バランス(TS×El)を示している。また、表面性状の評点はいずれも4以上と良好であり、溶接特性は延性比が0.5以上と良好である。
Figure 0004692018
残留γ量とTS×Elとの関係を示す図である。 固溶N量と残留γ量との関係を示す図である。 空冷時間と残留γ量との関係を示す図である。 仕上圧延の合計の圧下率と残留γ量との関係を示す図である。 巻取温度と残留γ量との関係を示す図である。 巻取後冷却速度と残留γ量との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. C:0.05〜0.15 mass%、
    Si:0.005〜0.8 mass%、
    Mn:1.0〜3.0 mass%、
    P:0.005〜0.08 mass%、
    S:0.0002〜0.005 mass%、
    Al:0.001〜0.05 mass%および
    N:0.0090〜0.025 mass%
    を含有し、かつ固溶状態のN:0.0050mass%以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物の成分組成に成り、60〜94vol%のフェライト相、3〜30 vol%のベイナイト相および3vol%以上の残留オーステナイト相を含む複合組織を有することを特徴とする強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板。
  2. 前記成分としてさらに、Cr:0.05〜1.0 mass%、Mo:0.05〜1.0 mass%およびNi:0.05〜1.0 mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板。
  3. 前記成分としてさらに、Nb、Ti、VおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上を、下記式を満足する範囲で含有することを特徴とする請求項1または2に記載の強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板。

    N/(Al+Nb+Ti+V+B)≧0.3
    ここで、N、Al、Nb、Ti、V、B:各元素の含有量(mass%)
  4. C:0.05〜0.15 mass%、
    Si:0.005〜0.8 mass%、
    Mn:1.0〜3.0 mass%、
    P:0.005〜0.08 mass%、
    S:0.0002〜0.005 mass%、
    Al:0.001〜0.05 mass%および
    N:0.0090〜0.025 mass%
    を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物より成る鋼スラブを、1100〜1300℃に加熱し、粗圧延後に、仕上圧延出側温度がAr〜(Ar+50)℃でかつ合計の圧下率が90%以上の仕上圧延を施し、その後3秒以内に冷却速度が20℃/s以上の冷却を開始し、該冷却を680〜760℃の温度範囲内で一旦停止し、3〜30秒の空冷を施した後、再度冷却速度が20℃/s以上の冷却を施し、次いで350〜500℃で巻取ったのち、巻取温度〜300℃までを3℃/min以下の冷却速度で冷却することを特徴とする強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板の製造方法。
  5. 前記鋼スラブが、さらに、Cr:0.05〜1.0 mass%、Mo:0.05〜1.0 mass%およびNi:0.05〜1.0 mass%のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項4に記載の強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板の製造方法
  6. 前記鋼スラブが、さらに、Nb、Ti、VおよびBのうちから選ばれる1種または2種以上を、下記式を満足する範囲で含有することを特徴とする請求項4または5に記載の強度−延性バランスに優れた高張力熱延鋼板の製造方法

    N/(Al+Nb+Ti+V+B)≧0.3
    ここで、N、Al、Nb、Ti、V、B:各元素の含有量(mass%)
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