JP4396347B2 - 延性および伸びフランジ性に優れる高張力鋼板の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記した知見に基づいて開発されたものである。
記
(a)群:Al:1.5mass%以下
(b)群:Cr,Moのうちの1種または2種を合計で0.05〜1.0mass%
(c)群:B:0.003mass%以下
(d)群:Ti,Nb,Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.01〜0.3mass%
(e)群:Ca,REMのうちの1種または2種を合計で0.01mass%以下
また、本発明は、上記いずれかの方法で得られた鋼板に、溶融亜鉛めっき処理あるいはさらに合金化処理を施すことを特徴とする。
本発明の高張力鋼板の製造方法においては、鋼板素材を予め、下記特定の組織と特定の硬さを有するものにしておく必要がある。
低温変態相分率:90vol%以上
本発明の鋼板素材は、最終焼鈍に先立つ前組織が、低温変態相90vol%以上からなることが必要である。最終焼鈍前の低温変態相が90vol%未満では、焼鈍後に粗大なフェライトや低温変態相が生成し、伸びフランジ性が低下するからである。なお、本発明では、低温変態相とはマルテンサイトあるいはベイナイトのことを言う。
最終焼鈍前の低温変態相がマイクロビッカース硬さHv 300未満では、焼鈍時に生成するオーステナイト粒が粗大化し、伸びフランジ性が低下する。よって、鋼板素材の硬さは、Hv 300以上に制限する必要がある。鋼板素材の硬さの上限は特に規定しないが、本発明における成分系では、Hv 700以下である。
C:0.07〜0.25mass%
Cは、鋼板の高強度化に有用な元素であり、特に低温変態相の生成に有効な元素である。そのため、C含有量は0.07mass%以上であることが好ましい。また、0.25mass%を超えると溶接性が劣化する傾向にある。よって、Cは0.07〜0.25mass%の範囲とすることが好ましい。より好ましくは、0.10〜0.20mass%である。
Mnは、固溶強化によって鋼を高強度化するとともに、鋼の焼入れ性を向上し、低温変態相の生成を促進する作用を有する。このような作用は、Mn含有量が1.0mass%以上で認められる。一方、3.0mass%を超えて含有しても、それらの効果が飽和して含有量に見合う効果が得られず、コストの上昇を招くだけである。そのため、Mnは1.0〜3.0mass%の範囲で添加することが好ましい。より好ましくは、1.5〜2.5mass%である
Siは、固溶強化によって鋼を高強度化するとともに、焼鈍時に生成するフェライト相中の固溶C量を低減してフェライト相を清浄化し、延性を向上する作用を有する。しかし、Siは、2.0mass%を超えて含有してもその効果は飽和するだけでなく、鋼板表面に生成するスケールの性状を悪化させ、表面品質の低下を招く。よって、Siは、2.0mass%以下に制限することが好ましい。なお、本発明を用いて溶融亜鉛めっき鋼板を製造する場合には、めっき性を確保するために、Si添加量を1mass%以下に制限するのが好ましい。より好ましくは、0.6mass%以下である
(a)群:Al:1.5mass%以下
Alは、Siと同様、フェライトを清浄化して延性を向上させる作用を有する。一方、Alは、強いフェライト生成能を有するため、1.5mass%を超えて含有すると、90%以上のマルテンサイト組織を得ることが困難となる。そのため、Alの含有量は、1.5mass%以下の範囲に限定するのが好ましい。
CrおよびMoは、鋼の焼入れ性を向上し、低温変態相の生成を促進する元素である。このような作用は、CrおよびMoのうちの1種または2種を合計で0.05mass%以上含有したときに得ることができる。一方、合計で1.0mass%を超えて含有しても、その効果が飽和し、含有量に見合う効果を得られない。そのため、Cr,Moは合計で、0.05〜1.0mass%の範囲で添加するのが好ましい。
Bは、鋼の焼入れ性を向上する元素であり、必要に応じて添加することができる。しかし、過剰に添加してもその効果が飽和するため、Bは0.003mass%以下添加することができる。好ましい範囲は0.001〜0.002mass%である。
Ti,NbおよびVは、炭窒化物を形成し、鋼を析出強化によって高強度化する作用を有しており、必要に応じて添加することができる。このような作用は、Ti,Nb,Vのうちから選ばれる1種または2種以上を合計で0.01mass%以上添加したときに発現する。一方、合計で0.3mass%を超えて添加すると、過度に高強度化して延性の低下を招く。そのため、Ti,Nb,Vのうちの1種または2種以上の含有量は、合計で0.01〜0.3mass%の範囲とするのが好ましい。
Ca,REMは、硫化物系介在物の形態を制御する作用を有し、これにより、鋼板の伸びフランジ性を向上させる。しかし、この効果は、Ca,REMの合計含有量が0.01mass%を超えると飽和するため、合計で0.01mass%以下に制限するのが望ましい。
熱延鋼板をそのまま、即ち、最終焼鈍に先立つ予備焼鈍を施さないで、最終焼鈍して高強度鋼板を製造する場合には、上記熱延鋼板は、上述した鋼板組織および硬さを有する鋼板素材であることが必要である。そのためには、上記熱延鋼板は、上述した成分組成に調整された鋼スラブを、仕上圧延温度を860℃以上とする熱間圧延を行った後、圧延後から巻き取るまでを冷却速度を100℃/sec以上とし、350℃以下で巻き取ることにより製造する必要がある。仕上圧延温度が860℃未満あるいは冷却速度が100℃/sec未満では、圧延後の冷却時にフェライトが生成しやすくなり、圧延後に90vol%以上の低温変態相を得ることができない。また、巻取温度が350℃を超えると、低温変態相の硬さをHv 300以上にすることができない。
本発明は、上記の鋼板組織および硬さに調整した鋼板素材を最終焼鈍し、延性および伸びフランジ性に優れた高強度鋼板とする。この最終焼鈍は、720〜870℃の温度範囲に5〜300sec保持した後、550℃以下まで5℃/sec以上の冷却速度で冷却する条件で行う必要がある。焼鈍温度が720℃未満あるいは焼鈍時間が5秒未満では、再オーステナイト化が不十分となり、最終的にラス状の低温変態相が得られず、延性および伸びフランジ性が共に低下する。また、焼鈍温度が870℃を超えたり、焼鈍時間が300秒を超えたりすると、焼鈍後に生成する低温変態相が粗大となり、伸びフランジ性が低下する。よって、焼鈍温度は720〜870℃とし、焼鈍時間は5〜300秒とする。また、冷却速度が5℃/sec未満あるいは冷却停止温度が550℃を超える場合には、パーライトの生成やセメンタイトの析出が起こり、伸びフランジ性が低下するので好ましくない。好ましくは、焼鈍温度は750〜850℃とし、焼鈍時間は20〜120秒、冷却速度は20℃/sec以上、冷却停止温度は500℃以下である。
なお、本発明の製造方法は、高強度熱延鋼板や高強度冷延鋼板のほか、それらに溶融亜鉛めっき処理を施した高強度溶融亜鉛めっき鋼板あるいはさらに合金化処理した高強度合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造にも適用することができる。
<ミクロ組織>
鋼板のミクロ組織は、圧延方向断面を光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡にて観察し、低温変態相の体積率(vol%)の測定および低温変態相の種類の判定を行った。
<硬さ測定>
鋼板素材の硬さ測定は、マイクロビッカース硬度計を用いて、荷重1000g、負荷時間15secの条件で行った。
<引張特性>
機械的特性は、鋼板から圧延直角方向に採取したJIS 5号引張試験片を用いて、JIS Z 2241に準拠し、降伏強さYP、引張強さTS、伸びElを測定した。また、この値から、降伏比YR(YS/TS)、引張強さと伸びの積(TS×El)を求めた。
<穴拡げ率λ>
鋼板に、直径di(10mmφ)の初期穴を打抜き、この穴に60°円錐ポンチを押し当てて穴拡げ加工を行い、穴縁の亀裂が板厚を貫通した時の穴径をdbを求め、次式によって穴拡げ率λを求めた。また、この値から、引張強さと穴拡げ率の積(TS×λ)を求めた。
λ(%)={(db−di)/di}×100
ここで、di:初期穴径(mm)、db:亀裂が板厚を貫通した時の穴径(mm)
Claims (4)
- C:0.07〜0.25mass%、Si:2.0mass%以下、Mn:1.0〜3.0mass%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、低温変態相の体積率が90%以上で、マイクロビッカース硬さがHv300以上の、熱延鋼板を冷間圧延してなる鋼板素材を加熱し、720〜870℃の温度に5〜300sec保持し、その後、550℃以下まで冷却速度5℃/s以上で冷却することを特徴とする延性および伸びフランジ性に優れる高張力鋼板の製造方法。
- 上記鋼板素材はさらに、上記成分組成に加えて下記(a)〜(e)群のうちから選ばれた1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の高張力鋼板の製造方法。
記
(a)群:Al:1.5mass%以下
(b)群:Cr,Moのうちの1種または2種を合計で0.05〜1.0mass%
(c)群:B:0.003mass%以下
(d)群:Ti,Nb,Vのうちから選ばれた1種または2種以上を合計で0.01〜0.3mass%
(e)群:Ca,REMのうちの1種または2種を合計で0.01mass%以下 - 上記鋼板素材は、熱延鋼板を冷間圧延した後、850℃以上の温度に加熱して5秒以上保持後、冷却速度50℃/sec超えで350℃以下まで冷却したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の高張力鋼板の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の方法で得られた鋼板に、溶融亜鉛めっき処理あるいはさらに合金化処理を施すことを特徴とする高張力鋼板の製造方法。
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