JP4743076B2 - 伸び及び伸びフランジ性に優れた高強度鋼板 - Google Patents

伸び及び伸びフランジ性に優れた高強度鋼板 Download PDF

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Description

本発明は、伸び及び伸びフランジ性に優れた高強度複合組織鋼板に関し、特に590MPa以上の高強度域において、強度−伸び、及び伸びフランジ性に優れた高強度複合組織鋼板に関するものである。
自動車、電機、機械等の産業用分野において、プレス成形して使用される鋼板は、優れた強度と成形性を兼ね備えていることが要求され、この様な要求特性は近年、益々、高まっている。延性に優れる高強度鋼板には、フェライトとマルテンサイトの複合組織を有する2相組織鋼板(DP鋼)や、フェライト、ベイナイト及び残留オーステナイトを含む組織からなるTRIP鋼が知られている。しかし、DP鋼やTRIP鋼などの複合組織鋼板は、伸びフランジ性に劣るという問題点を有している。
高強度鋼板において伸びフランジ性を改善するためには、組織を単相組織とし組織内の加工性を均一化することでひずみの局在化を抑制する方法、複相組織の軟質相と硬質相の強度差を低減する方法が知られている。これら2つの方法については、例えば、以下のような技術が開示されている。
1.単相組織(特許文献1参照)
成分と熱処理条件を適正化することで、引張強度が880〜1170MPaのマルテンサイト単相鋼板を作製する方法。マルテンサイト単相組織を作製するため、オーステナイト化に必要な均熱温度を850℃と通常の工業的に達成可能な温度条件とすることで、マルテンサイト単相組織を工業的に達成可能とした。しかし、マルテンサイト単相組織の鋼板は、マクロ的に組織が均一であるので伸びフランジ性には優れるものの、延性(伸び)が大きく劣化する(EL<8%)。
2.複相組織の強度差低減(特許文献2参照)
低温変態相の占積率が90%以上の鋼板を、フェライトとオーステナイトの2相域に加熱・保持することにより、低温変態相のラスを継承した微細なフェライトとオーステナイトとすることができ、その後の冷却によって、最終的にフェライトと低温変態相がラス状に細かく分散した組織となる。このように微細に分散した低温変態相は、伸びフランジ変形時のボイドの生成と成長を抑制し、伸びフランジ性を向上させる。
しかしながら、本手法では、組織が微細となるが、硬質相であるマルテンサイトを結晶粒内に析出させることができない。また、マルテンサイトの結晶粒径は最小で5μmであり、組織を十分に均一化することができない。そのため、伸びフランジ性の改善効果は十分なものにはならない。
3.微細残留オーステナイト鋼板(特許文献3参照)
結晶粒内に、平均粒径が500nm以下の第2相を微細分散させた鋼板。破壊の起点を粒内とすることで高い伸びと伸びフランジ性を達成している。
この方法では、第2相を粒内に生成するためにAu、Ag、Ni等の非常に高価なオーステナイト安定元素を添加しなければならない。また、第2相を粒内に生成するためは、粒内にオーステナイト安定元素の濃化域を形成しなければならないが、そのためには、1270℃以上、かつ5時間以上の溶体化処理が必要となっている。従って、本方法には、時間・コストの増加の工業的な問題が残されている。
特許第3729108号公報 特開2005−272954号公報 特開2005−179703号公報
従って、本発明は、特に590MPa以上の高強度鋼板において、伸び及び伸びフランジ性を両立して発現させること、さらにこのような高強度鋼板を工業的に実現することを目的とする。
強度と延性(伸び)を両立させるための手段としては、上述のように従来からDP鋼やTRIP鋼などが開発されている。DP鋼は硬質なマルテンサイトと軟質なフェライトからなり、硬質なマルテンサイトにより強度を確保し、軟質なフェライトにより延性(伸び)を確保するものである。一方、TRIP鋼は残留オーステナイトが変形中に加工誘起変態を生じることにより、延性(伸び)を向上させるものである。しかしながら、ここで述べる延性(伸び)とは均一伸びを示すものであり、これらの鋼板は、強度と延性(均一伸び)を兼備するには優れているが、局部伸びには劣るとの欠点があった。局部伸びは伸びフランジ性と高い相関性があることが知られており、高い伸びフランジ性を得るためには、局部伸びの向上が不可欠である。
そこで、本研究者らは590MPa以上の高強度域でも伸び及び伸びフランジ性を兼ね備えた鋼板、即ち、強度と共に均一伸び及び局部伸びを兼備した鋼板を提供すべく鋭意検討した結果、本発明である伸び及び伸びフランジ性に優れる高強度鋼板の開発に成功した。以下に本発明鋼の開発プロセスと高特性発現メカニズムについて説明する。
強度と延性を両立するためには、軟質相と硬質相が複合する複相組織とすることが有利であり、本発明鋼も軟質相であるフェライトと硬質相であるマルテンサイトを有する複相組織となっている。しかしながら、従前のDP鋼のように単に軟質なフェライトと硬質なマルテンサイトを有する複相組織としただけでは、強度と均一伸びの両立には有効であるが、優れた伸びフランジ性を確保するには至らない。DP鋼が伸びフランジ性に劣る理由としては、硬質相であるマルテンサイトの大きさと存在位置が挙げられる。即ち、DP鋼のマルテンサイトは通常数十μm程度と大きく、且つフェライトとの粒界は大傾角粒界になる。鋼板に変形を加えると、結晶粒内と比較して結晶粒界(大傾角粒界)にひずみが集中するが、ここに強度差の異なる界面が存在すると途端にボイドが発生し、破壊に至り易い。このようなボイドの発生や破壊は局部伸びと相関性があり、ボイドの発生及び亀裂の伝播が生じ易い鋼板は局部伸びに劣る。DP鋼のフェライトとマルテンサイトの粒界は、まさに強度差の異なる界面となっており、このような理由で優れた伸びフランジ性を有することができない。また、硬質相の大きさが小さくなるとこの傾向は低下すると考えられるが、通常のDP鋼のマルテンサイトの大きさでは、その効果を得ることはできない。
そこで本発明者らは、DP鋼の優れた特性(強度と均一伸びの両立)を有したままで、伸びフランジ性を向上させる手段として、基本的には軟質相(フェライト)と硬質相(マルテンサイト)を有する複相組織とするが、フェライト粒内(もしくは小傾角粒界)にマルテンサイトを微細分散させることを考えた。同程度の強度を確保した場合でも、通常のDP鋼と比較して個々のマルテンサイトの粒径を小さくすることができ、更に粒内(もしくは小傾角粒界)に存在させることにより、変形が生じた場合のボイドの発生を抑制することが可能になると考えたのである。これらにより、強度及び伸びフランジ性の兼備は可能になるが、更に、残留オーステナイトを含む組織としてTRIP効果を活用することにより、より一層の延性(特に均一伸び)の向上も期待される。上述のような思想により開発された本発明鋼は、フェライトを母相とし、マルテンサイト及び残留オーステナイトが主としてフェライト粒内に微細分散した組織となっており、これにより、強度と共に、伸び及び伸びフランジ性を兼備するものである。
本発明に係る伸び及び伸びフランジ性に優れた高強度鋼板は、組織は主として、フェライト母相中に第2相であるマルテンサイトと残留オーステナイトが分散した組織(MD組織)を有し、このMD組織が組織全体に占める割合が90%以上であり、且つ、全組織中の第2相の組織全体に占める割合が10〜60%であり、更に、前記MD組織中の第2相はフェライト粒内及び粒界に存在し、そのうちフェライト粒内に存在する第2相の割合が50%以上であり、全組織中においてフェライトの平均粒径が20μm以下であり、全組織中において第2相は50μm×50μmの観察視野に平均20個以上存在することを特徴とする。この高強度鋼板において、全組織中の残留オーステナイトの組織全体に占める割合が2%以上であることが望ましい。
なお、本発明において割合とは面積の割合(面積率)を意味する。また、本発明において全組織中というときはMD組織とその他組織の全体を意味する。
上記組織形態を有する鋼板は、工業的に可能な範囲で化学組成及び製造工程(加工熱処理条件)を最適化することにより、得ることが可能である。上記組織の発現メカニズムについては不明な点も残されており、その詳細に至るまで全てを明らかにしたわけではないが、現状では以下のような説明が可能であると考えている。
本発明鋼は、適正な範囲に制御された成分組成からなる鋼板素材を加熱し、A3点以上の温度から冷却し、600〜1000℃の温度範囲で圧下率が5%以上の加工を加え、その後0.2〜20℃/sの冷却速度でMs点以下の温度まで冷却することにより製造することができる。なお、この製造工程(加工熱処理)は熱延工程で施されても良く、また、通常実施される熱延工程及び冷延工程の後施されても良い(この場合、再加熱してこの加工熱処理を行う)。
これにより、フェライトを母相とし、マルテンサイト及び残留オーステナイトが主としてフェライト粒内に微細分散したMD組織となる。このように、A3点以上の温度でオーステナイト単相組織とした後冷却し、所定の温度で加工を加え、その後に適正な範囲で冷却することにより、本発明の組織が発現する。
上述のように、本発明鋼の組織形成メカニズムについては、その詳細に至るまでは明確にできたわけではないが、以下に現状において考えられる一つの説明を記載する。従って、以下の説明は、本発明自体の技術的範囲を限定するものではない。
本発明組織を得るするために考案した種々の組織設計指針のうちの一つは、以下の通りに説明される。
即ち、本発明者らは、冷却過程において生じるベイナイト変態を活用して、母相であるフェライト中にマルテンサイト及び残留オーステナイトが微細分散した組織を得ることを考えた。そのため、加工後の冷却工程でベイナイトを生成させるが、本発明鋼では、通常のベイナイトのようにベイニティックフェライトとセメンタイトの混合組織にはならない。セメンタイトはマルテンサイトよりも更に硬質であるため、伸びフランジ性にとって有害である。更に、本発明鋼で必須である残留オーステナイトの確保のためには、オーステナイト中へのCの濃化が必要であり、これを阻害するセメンタイトの析出は防止する必要がある。そのため、本発明鋼ではSi及びAlを添加し、冷却過程でのセメンタイトの析出を抑制した。このため、ベイニティックフェライトのラス間にCが濃化したオーステナイトが形成される。このオーステナイトが、後の冷却工程でマルテンサイトに変態するか、もしくは変態せずに残留オーステナイトとして残存する。
ベイニティックフェライトのラスは小傾角粒界であり、上述のような大傾角粒界のような変形時のひずみの集中は起こりにくいため、ベイニティックフェライトのラス間に存在するマルテンサイト及び残留オーステナイトは、比較的破壊の起点になり難い。本発明でいうフェライト粒界はフェライトの大傾角粒界を意味し、破壊の起点になり難いラス境界は粒界ではない。
ただし、本発明者らにより得られた組織には、マルテンサイト及び残留オーステナイトが存在する位置に小傾角粒界を観察することが困難であった。これは、以下の理由により、本発明鋼は更に優れた組織形態になっていることを示唆している。
即ち、本発明鋼では所定の温度域で加工を加えていることから、ベイナイト変態が促進されて短時間でベイナイト変態が終了する。更に、その後の冷却速度を比較的遅い条件に設定しているため、ベイナイト変態終了後にも比較的高温で一定時間存在することになる。そのため、ベイニティックフェライトのラス(小傾角粒界)さえも消失したのではないかと考えられ、その結果、マルテンサイト及び残留オーステナイトが主としてフェライト粒内に微細分散した組織(MD組織)が得られたと考えられる。
なお、以上では、本発明組織(MD組織)の発現メカニズムとして、現状考えられる一つの考え方を示したが、このようなベイニティックフェライトを母相とするもののみが本発明の対象ではない。すなわち、本発明のMD組織の母相であるフェライトは、ベイニティックフェライトのラスが不明瞭になったものだけに限定されているわけではなく、初析フェライトのような比較的高温で析出するフェライトをも含む。このように、本発明には、請求項に規定された組織形態を有するMD組織鋼板全てが含まれる。
また、本発明者らは、上記検討の過程で、フェライト中にマルテンサイト及び残留オーステナイトが存在しないフェライトが存在する場合は、強度が低下するだけでなく、フェライトとMD組織の界面の強度差により伸びフランジ性が低下することを見出した。そのため、Bを添加することによりこのようなマルテンサイトを含まないフェライトの生成を抑制し、ほぼ全面をMD組織としている。
本発明によれば、硬質セメンタイトより母相との強度差が小さいマルテンサイト及び残留オーステナイトをフェライト結晶粒内にも均一微細に分散した組織にすることより、590MPa以上の高強度域においても、高い延性を保ちながら強度−伸び及び伸びフランジ性に優れた複合組織鋼板を提供できる。
また、本発明によれば、このような複相組織鋼板を工業的に可能な手段で製造できる。
はじめに、本発明の組織について説明する。
本発明鋼の組織は、主として、母相であるフェライト結晶粒内に第2相である微細なマルテンサイト及び残留オーステナイトを含むもの(MD組織)である。結晶粒内に微細な第2相を含まないフェライトとMD組織とは組織形態が異なり、また、特性に及ぼす影響も異なるため区別する必要がある。
その識別手法としては、例えばこれらの組織を含む鋼板に対してレペラー腐食を行い、画像解析をすることによってフェライトを灰色、マルテンサイト及び残留オーステナイトを白色とすることで識別できる。結晶粒内に微細な第2相を含まないフェライトは、全面が灰色になる。一方、MD組織では、フェライト相中に微細なマルテンサイト及び残留オーステナイトが含まれているため、フェライト結晶粒内に微細な白点を確認することができる。
組織全体の面積率を100%とした時、上記MD組織(フェライト+マルテンサイト+残留オーステナイト)の割合は、90%以上である必要がある。MD組織の割合が90%未満の場合、残部の影響が大きくなり、組織の均一性が損なわれ、伸びフランジ性が劣化する。残部としては、結晶粒内に第2相を伴わないフェライト、パーライト、ベイナイト等がある。一方、前記MD組織の組織全体に占める割合は多ければ多いほどよく、特に上限は定めない。
組織全体の面積率を100%とした時、全組織中の第2相のマルテンサイトと残留オーステナイト(MD組織及びその他組織に存在するマルテンサイトと残留オーステナイト)の割合は、10〜60%である必要があり、これにより所望の強度を得ることができる。この割合が10%未満になると十分な強度が得られず、60%を越えるようだと伸びが低下する。好ましくは15〜55%の範囲である。より好ましくは20〜50%、さらに20〜35%の範囲である。
フェライト母相中の第2相(MD組織中のマルテンサイト及び残留オーステナイト)の存在位置は、MD組織中の第2相の全体を100%とした時、フェライト結晶粒内の第2相の割合が50%以上(結晶粒界上のマルテンサイト及び残留オーステナイトの割合が50%未満)である必要があり、これにより所望の伸びフランジ性を得ることができる。この割合が、50%未満になると、結晶粒界にあるマルテンサイト及び残留オーステナイトが破壊の起点として作用するようになり、伸びフランジ性が劣化する。この割合は多いほどよく、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
なお、本発明において結晶粒界とは大傾角粒界を指し、例えばFE/SEM−EBSP(Electron Back Scatter Diffraction Pattern)で隣り合う結晶粒同士の方位差を測定した時、方位差が15°以上となる大傾角粒界を結晶粒界と定義する。
全組織中においてフェライト(MD組織及びその他組織中に存在するフェライト)の平均粒径は20μm以下である必要があり、これにより所望の伸びフランジ性を得ることができる。この値が20μmを超えると局部変形能が低下し、伸びフランジ性が劣化するため好ましくない。この平均粒径は小さいほどよく、好ましくは15μm以下であり、より好ましくは10μm以下である。
一方、全組織中において第2相(MD組織及びその他組織に存在するマルテンサイト及び残留オーステナイト)は微細分散していることが求められ、50μm×50μmの観察視野において平均20個以上観察されることが必要である。この値は20個未満であると、所望の強度が確保できなくなるか伸びフランジ性が劣化する可能性があるため好ましくない。好ましくは30個以上であり、より好ましくは40個以上である。さらに、50個以上、80個以上、100個以上など、多い方が好ましい。
本発明の組織において、全組織中に分散した第2相(MD組織及びその他組織に存在するマルテンサイト及び残留オーステナイト)の平均粒径は3μm以下であることが望ましい。このマルテンサイト及び残留オーステナイトの平均粒径が3μm以上であると、破壊の起点が偏在化するので十分な伸びフランジ性が得られない。マルテンサイト及び残留オーステナイトの平均結晶粒径は、小さいほどよく、好ましくは2.5μm以下である。より好ましくは2μm以下である。
また、組織全体の面積率を100%とした時、全組織中に存在する残留オーステナイト(MD組織及びその他組織に存在する残留オーステナイト)の全組織中に占める割合は、2%以上であることが望ましい。第2相として残留オーステナイトが存在することにより所望の延性(主として均一伸び)を得ることができるが、2%未満になると期待される延性向上効果が希薄になる。好ましくは5%以上であり、より好ましくは8%以上である。この残留オーステナイトは多い方が好ましいが、現実的には20%程度が上限となる。
本発明の組織形態を有するMD組織鋼板は、質量%で、C:0.02〜0.3%、Si:0.01〜3%、Mn:0.5〜3%、B:0.0001〜0.005%、Al:0.01〜1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成で得られる。
さらに、(1)Mo:0.03〜1%、(2)Nb、Ti、Vのうち1種又は2種以上を合計で0.01〜0.1%、(3)Ni:0.5%以下及び/又はCu:0.5%以下(4)Cr:1.5%以下、(5)Ca:0.003%以下及び/又はREM:0.003%以下を含有してもよい。
次に、上記成分組成について説明する。
C:0.02〜0.3%
Cは、鋼材の強度を得るうえで有効な成分であり、その下限値である0.02%は、所定の第2相占積率を得て所望の強度を得るために、最低限必要な量である。上限の0.3%は、これ以上添加するとマルテンサイトの強度が高くなるため、伸びフランジ性が低下する。好ましい含有量は0.04〜0.25%、より好ましい含有量は0.06〜0.2%の範囲である。
Si:0.01〜3%
Siは、フェライト中の固溶C量を減少させ、伸び等の延性向上に寄与し、またセメンタイトの析出を抑制する元素であり、0.01%以上添加する。これより少ないと、冷却中にセメンタイトが析出し、所望の残留オーステナイト量の確保が難しくなる。好ましくは0.3%以上、より好ましくは0.5%以上である。一方、3%を超えて添加すると、割れが生じる恐れがあり、伸び及び伸びフランジ性が低下する。好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下である。
Mn:0.5〜3%
Mnは、固溶強化によって鋼材を高強度化すると共に、鋼の焼入れ性を向上させ、マルテンサイトの生成を促進する作用を有する。このような作用は、Mn含有量が0.5%以上の鋼で認められる。好ましくは0.7%以上、より好ましくは1%以上である。一方、3%を超えて添加すると伸びフランジ性が劣化する。好ましくは2.5%以下、より好ましくは2%以下である。
B:0.0001〜0.005%
Bは、本発明にとって重要である。Bを添加すると、初析フェライトの生成を抑制することができ、伸びフランジ性にとって悪影響を及ぼす結晶粒内に微細第2相を伴わないフェライトの析出を防止することができる。その効果は0.0001%以上添加したときに示される。好ましくは0.0002%以上、より好ましくは0.0003%以上である。一方、0.005%を超えて添加すると結晶粒界への偏析度合いが大きくなり、伸びフランジ性を低下させるため、これを上限とした。好ましくは0.004%以下、より好ましくは0.003%以下である。
Al:0.01〜1.5%
Alは、鋼の脱酸のために使用されるが、Alが0.01%未満ではシリケート介在物が残り、鋼の加工性が劣化するため、Alを0.01%以上とする必要がある。また、Siと同様にセメンタイトの析出を防止し、残留オーステナイトの確保に寄与する効果もある。好ましくは0.03%以上、より好ましくは0.05%以上である。しかしながら、Alが1.5%以上となると表面疵の増加を招き、伸びフランジ性の低下を招くため、その上限を1.5%とする。好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下である。
本発明の鋼板素材は、上記必須成分に加えてさらに、以下の成分を含有してもよい。
Mo:0.03〜1%
Moは、フェライト変態を抑制するとともに、焼入れ性を向上させる効果も有する。このような効果を得るためには、0.03%以上のMoが必要である。好ましくは0.07%以上、より好ましくは0.1%以上である。一方、1%を超えるMoの添加は、強度が増加し伸びフランジ性が低下するため、上限を1%とする。好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.6%以下である。
Nb、Ti、Vのうち1種又は2種以上の合計:0.01〜0.1%
Nb、Ti、Vは炭窒化物を形成し、鋼を析出強化によって高強度化する作用、及び結晶粒を微細化させる作用を有しており、必要に応じて添加することができる。このような作用は、添加量がNb、Ti、Vのうち1種又は2種以上の合計で0.01%未満では有効に発揮されない。一方、合計で0.1%を超えて添加すると、析出物が増加し、伸びフランジ性を著しく劣化させるため、上限を0.1%と規定した。好ましくは0.05%以下、さらに0.03%以下である。
Ni:0.5%以下(0%を含まない)及び/又はCu:0.5%以下(0%を含まない)
Ni及びCuは、強度−延性バランスを高く保持したまま、高強度化を実現するのに有効な元素であり、適宜添加されるが、過剰に添加しても前記効果が飽和してしまうほか、熱延時に割れが生じる等生産性が劣化することから、添加量はそれぞれ0.5%以下に抑えるのがよい。好ましくはそれぞれ0.3%以下、さらに好ましくはそれぞれ0.2%以下である。前記効果を有効に発揮させるためには、Ni:0.1%以上、及び/又はCu:0.1%以上を添加することが推奨される。
Cr:1.5%以下(0%を含まない)
Crは、焼入れ性を向上させて、鋼の強度を高めるのに有効な元素であり、適宜添加されるが、過剰に添加しても効果が飽和してしまうほか、延性が劣化するため、添加量は1.5%以下に抑えることが好ましい。好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.8%以下である。前記効果を有効に発揮させるためには、0.1%以上添加することが推奨される。
Ca:0.003%以下(0%を含まない)及び/又はREM:0.003%以下(0%を含まない)
Ca及びREM(希土類元素)は、鋼中の硫化物の形態を制御し、伸びフランジ性の向上に有効な元素であり、適宜添加されるが、過剰に添加しても上記効果が飽和してしまい、経済的に無駄であるため、それぞれ添加量は0.003%以下とする。前記効果を有効に発揮させるためには、それぞれ0.0003%以上添加することが推奨される。なお、REMとしては、Sc、Y、ランタノイド等が挙げられる。
不可避不純物
本発明に係る鋼板の組成は、上記成分以外の残部はFe及び不可避的不純物からなる。不可避的不純物のうちP及びSは、P:0.07%以下(0%を含まない)、S:0.07%以下(0%を含む)であれば許容される。P及びSは、鋼板の加工性を考慮した場合、低い方がよく、特にSはその含有量が高いと介在物(MnS)が増加し、鋼板の伸びフランジ性に著しく悪影響を及ぼすが、上記の範囲内であれば鋼板の特性に影響を与えない。
次に、本発明に係る鋼板において前記組織を得るための製造条件を説明する。
本発明の請求範囲にある成分系を満足する鋼板素材を加熱し、A3点以上の温度(例えば1200℃)から冷却し、600〜1000℃の温度範囲で圧下率が5%以上の加工を加え、その後0.2〜20℃/sの冷却速度でMs点まで冷却することで、本発明の高強度鋼板、即ちMD鋼板を得ることができる。
・A3点以上の温度に加熱・保持後、600〜1000℃の温度範囲で圧下率5%以上で加工
本発明鋼板は、母相であるフェライト中に第2相が微細分散したMD組織をほぼ全面に有するものである。加熱温度がA3点以下の場合、加熱中の組織が全面オーステナイトとならず、微細な第2相を伴わないフェライトが生成する。この微細な第2相を粒内に伴わないフェライトは、伸びの増加には寄与するが、MD組織との界面の強度差が大きくなるため、伸びフランジ性が低下する。加熱温度はA3点以上であればよいが、実操業レベルとの関係で、適宜適切な値に制御することが推奨される。
その後の600〜1000℃の温度範囲で圧下率が5%以上の加工を加えるのは、例えば、ベイナイト変態を促進させて微細MD組織を得やすくしたり、フェライトの平均粒径を小さくするためである。加工温度が600℃より低いとフェライトが析出し、1000℃より高いとフェライトの平均粒径が大きくなる。また、加工率が5%より低いとベイナイト変態が促進されない。加工率の上限値は実用上は90%程度であるが、それ以上でも特に問題はない。好ましい加工温度の範囲は620〜980℃であり、より好ましくは650〜950℃である。また、圧下率の好ましい範囲は8〜85%であり、より好ましくは10〜80%、さらに10〜60%の範囲である。
・0.2〜20℃/sの冷却速度で室温まで冷却
組織の大部分をMD組織とし、本発明所定の組織を得るためには、前記鋼組成において冷却速度を0.2〜20℃/sとする必要があり、通常は室温まで冷却する。冷却速度を0.2℃/s未満とすると、結晶粒内に第2相を伴わないフェライトが生成し、MD組織の割合が90%未満となり、強度及び伸びフランジ性が劣化する。好ましくは0.5℃/s以上、より好ましくは1℃/s以上である。また、20℃/sを越えると、全組織がマルテンサイトとなるため、伸びが著しく劣化する。そのため、冷却速度は20℃/s以下とする必要がある。好ましくは15℃/s以下、より好ましくは10℃/s以下とする。
表1に示す成分組成を有する鋼A〜Wを溶製し、スラブとしてから、1200℃まで加熱し、800℃で板厚3.0mmまで熱間圧延し、550℃で巻き取った。更に、図1及び表2に示す加工熱処理(加熱温度T1(℃)、加工温度T2(℃)、圧下率P(%)、冷却速度R(℃/s))を行って室温まで冷却し、板厚が1.2mmになるように減厚加工を施した。
Figure 0004743076
Figure 0004743076
上記のようにして得た各鋼板について、以下の要領でミクロ組織観察を行うと共に、引張試験及び穴拡げ試験により、力学特性を評価した。
各鋼板のミクロ組織は、以下の方法で同定した。
各鋼板について、10mm×10mm×1.2mmのミクロ組織観察用試験片を切り出し、冷間樹脂に埋め込んだ後、圧延方向の板厚の1/4の位置を観察した。その際、組織観察場所の同定が行えるようビッカース試験機で目印となる圧痕をつけた後、レペラーで腐食し、光学顕微鏡を用いて倍率1000倍で組織を5箇所観察した。レペラー腐食後の組織写真を画像解析すると、フェライトは灰色、マルテンサイト及び残留オーステナイトは白色に観察される。光学顕微鏡によるミクロ組織観察後、ビッカース圧痕が消えない程度にバフ研磨及び電解研磨を行い、同箇所について、FE/SEM−EBSPを用いてステップ間隔100nmで組織観察を行った。結晶粒の方位差15°以上の境界を結晶粒界とし、結晶粒界を同定した。
光学顕微鏡写真とFE/SEM−EBSP組織写真とをビッカース圧痕を基準として組み合わせ、組織を評価した。
・MD組織
MD組織は、上述のように、母相であるフェライト結晶粒内に微細なマルテンサイト又は残留オーステナイト(第2相)を含むものである。光学顕微鏡とFE/SEM−EBSPの観察結果を組み合せ、大傾角粒界で囲まれる結晶粒の内部(即ち、結晶粒内)に、多数のマルテンサイト又は残留オーステナイトが存在する組織をMD組織として同定し、その占積率を求めた。
その他の組織としては、パーライト、ベイナイト、結晶粒内にマルテンサイト又は残留オーステナイトを伴わないフェライト等が含まれる可能性があるが、これらの組織の同定方法は以下の通りである。
・パーライト
パーライトはフェライトとセメンタイトのラメラ構造であり、セメンタイトはFE/SEM−EBSPで識別することが可能である。ここでは、観察視野におけるパーライトの占積率を求めた。
・ベイナイト
ベイナイトはFE−SEM/EBSPで同定したフェライト結晶粒内にラスが存在する。フェライト結晶粒内にラスが存在するものについてはベイナイトであると判断し、観察視野におけるベイナイトの占積率を求めた。
・結晶粒内にマルテンサイト又は残留オーステナイトを伴わないフェライト
FE−SEM/EBSPで同定したフェライト結晶粒の中にマルテンサイト又は残留オーステナイトが確認できないものについては、結晶粒内にマルテンサイト又は残留オーステナイトを伴わないフェライトとして、MD組織と異なる組織であると判断する。観察視野における結晶粒内にマルテンサイト又は残留オーステナイトを伴わないフェライトの占積率を求めた。
観察視野において、MD組織が観察されないものはMD無しと判定する。また、全組織を100%とした時のその他の組織(パーライト、ベイナイト、結晶粒内にマルテンサイトまたは残留オーステナイトを伴わないフェライト等)の占積率の合計が10%を超える場合は規定する組織となっておらず、この場合、MD一部と判定した。
・全組織中の第2相が組織全体に占める割合
・全組織中におけるフェライトの平均結晶粒径
・MD組織においてフェライト粒内に存在する第2相の割合
まず、全組織中の第2相(マルテンサイト及び残留オーステナイト)の占積率は、光学顕微鏡写真を画像解析し、全組織における白色の部分の占積率を用いた。次に、FE/SEM−EBSPの画像を用いてフェライトの平均粒径(円相当直径)を求めると共に、上記光学顕微鏡写真と組み合せることにより、MD組織内に存在する第2相をフェライト結晶粒内に存在するものと、結晶粒界に存在するものを分離して、MD組織内に存在する第2相全体のうち結晶粒内に存在する第2相の占積率を求めた。
・全組織中の残留オーステナイトの組織全体に占める割合
一方、マルテンサイトと残留オーステナイトの区別は、FCC構造である残留オーステナイトをFE/SEM−EBSPで識別することが可能である。しかしながら、残留オーステナイトは本発明における重要な組織であり、その占積率を定量的に測定することは、本発明の効果を有効に発揮するためには不可欠である。そのため、FE/SEM−EBSPの画像を解析することによって残留オーステナイトの占積率を測定する手法も考えられるが、ここでは、より高精度な測定値が得られる飽和磁化法により、残留オーステナイトの占積率を算出した。なお、飽和磁化法で計測される値は体積率と考えられるが、この体積率は面積率と同等とみなすことができる。
・全組織中の第2相の平均結晶粒径及び個数
一方、第2相(マルテンサイト及び残留オーステナイト)の平均結晶粒径(第2相粒子の平均粒径)及び個数は、以下の手法で求めた。即ち、平均結晶粒径は、SEM観察写真(倍率3000倍)より、20μm×20μmの観察視野5箇所をランダムに抽出し、それぞれの観察視野におけるマルテンサイト及び残留オーステナイトの平均結晶粒径(円相当直径)を求め、その平均値を全組織中のマルテンサイト及び残留オーステナイトの平均結晶粒径とした。個数は、上記光学顕微鏡写真から50μm×50μmの観察視野5箇所をランダムに抽出し、ここで観察される第2相粒子の個数を平均した。
また、鋼材の各種力学特性は、以下の方法で求めた。
・引張特性
鋼板圧延方向の垂直方向から採取したJIS5号試験片を用いて、JIS Z 2241に準拠し、引張強度TS、均一伸びu−El、局部伸びl−EL、全伸びt−EL(=u−El+l−EL)を測定した。TS:590MPa以上、t−EL:10%以上を合格とした。ここで、最大荷重点から破断までのひずみ量を局部伸びとした。
・伸びフランジ性
伸びフランジ性として穴拡げ率λを測定した。穴拡げ率λは、鉄鋼連盟規格(JFST1001−1996)に準拠して測定した。λ:80%以上を合格とした。
以上の結果を表3,4に示した。
Figure 0004743076
Figure 0004743076
試験No.1、2、3、4、7、8、13、14、17、19、20、21、22は、いずれも組織形態が本発明の規定を満たし、引張強度TS、全伸びt−EL及び穴拡げ率λについてすべて良好な特性を示した。なお、第2相の平均粒径はすべて3μm以下の範囲内であった。
一方、No.5は、C量が請求の範囲よりも多い鋼Eを使用したため、ほぼ全面がマルテンサイトの組織となり、全伸び及びλが不足した。
No.6は、Si量が請求の範囲よりも少ない鋼Fを使用したため、ベイナイト+マルテンサイトの組織となり、全伸び及びλが不足した。
No.9は、Si量が請求の範囲よりも多い鋼Iを使用したため、ほぼ全面がマルテンサイトの組織となり、全伸び及びλが不足した。
No.10は、Mn量が請求の範囲よりも少ない鋼Jを使用したために焼入れ性が低下し、フェライトが析出したためにTS及びλが不足した。
No.11は、Mn量が請求の範囲よりも多い鋼Kを使用したためにMD+マルテンサイトの組織となり、全伸び及びλが不足した。
No.12は、Al量が請求の範囲よりも少ない鋼Lを使用したため、Si、MnとOの化合物が不可避的に生成し、全伸び及びλが不足した。
No.15は、Mo量が請求の範囲よりも多い鋼Oを使用したためにMD+マルテンサイトの組織となり、全伸び及びλが不足した。
No.16は、B量が請求の範囲よりも少ない鋼Pを使用したため、フェライトが析出してTS及びλが不足した。
No.18は、B量が請求の範囲よりも多い鋼Rを使用したため、粒界偏析に起因すると考えられるλの低下を生じた。
No.23は、C量が請求の範囲よりも少ない鋼Wを使用したため、フェライトが析出してTSが不足した。
No.24は、加工温度T2が請求の範囲よりも低いため、フェライトが析出してλが低下した。
No.25は、加工温度T2が請求の範囲よりも高いため、母相フェライトの平均粒径が規定の範囲よりも大きくなり、λが低下した。
No.26は、圧下率が請求の範囲よりも低いため、ベイナイト変態が促進されず、MD+マルテンサイトの組織となってλが低下した。
No.27は、冷却速度が請求の範囲よりも低いため、フェライトが析出してλが低下した。
No.28は、冷却速度が請求の範囲よりも高いため、マルテンサイト組織となって、全伸び及びλが不足した。
No.29は、C量が請求の範囲よりも少ない鋼Xを使用したため、全組織中の第2相の割合が少なくなり、TSが低下した。
実施例の加工熱処理を模式的に示す図である。

Claims (7)

  1. 質量%で、C:0.02〜0.3%、Si:0.01〜3%、Mn:0.5〜3%、B:0.0001〜0.005%、Al:0.01〜1.5%を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、組織は主として、フェライト母相中に第2相であるマルテンサイトと残留オーステナイトが分散した組織(以下、本組織をMD(Micro Duplex)組織と呼ぶ)を有し、このMD組織が組織全体に占める割合が90%以上であり、且つ、全組織中の第2相の組織全体に占める割合が10〜60%であり、更に、前記MD組織中の第2相はフェライト粒内及び粒界に存在し、そのうちフェライト粒内に存在する第2相の割合が50%以上であり、全組織中においてフェライトの平均粒径が20μm以下であり、全組織中において第2相は50μm×50μmの観察視野に平均20個以上存在することを特徴とする伸び及び伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。
  2. 全組織中の残留オーステナイトの組織全体に占める割合が2%以上であることを特徴とする請求項1に記載された伸び及び伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。
  3. さらに、Mo:0.03〜1%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載された伸びおよび伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。
  4. さらに、Nb、Ti、Vのうち1種又は2種以上を合計で0.01〜0.1%含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された伸び及び伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。
  5. さらに、Ni:0.5%以下及び/又はCu:0.5%以下を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された伸び及び伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。
  6. さらに、Cr:1.5%以下を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載された伸び及び伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。
  7. さらに、Ca:0.003%以下及び/又はREM:0.003%以下を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載された伸び及び伸びフランジ性に優れた高強度鋼板。
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