JP2501551B2 - 架橋ヒアルロン酸 - Google Patents
架橋ヒアルロン酸Info
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Description
【発明の詳細な説明】 本発明は、架橋ヒアルロン酸に関し、更に詳しくは、
ヒアルロン酸(以下「HA」という)又はその塩を多官能
性エポキシ化合物で架橋させて成る架橋ヒアルロン酸及
びその塩に関するものである。
ヒアルロン酸(以下「HA」という)又はその塩を多官能
性エポキシ化合物で架橋させて成る架橋ヒアルロン酸及
びその塩に関するものである。
HAは、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸やケラト硫
酸などの酸性ムコ多糖と同様に、皮膚、硝子体、臍帯、
関節骨液、鶏冠などの結合組織の中に広く分布してい
る。また、HAの組織内での存在形態は蛋白質との複合体
で細胞間に存在し、その高い保水性によりゼリー状のマ
トリツクスを形成しており、細胞の保持外力あるいは細
胞侵入に対する保護、細胞の代謝調節、関節における潤
滑的な働きなど生体において重要な役割を果たしている
(K.Meyer,Physiol.Rev.,27,335(1947))。
酸などの酸性ムコ多糖と同様に、皮膚、硝子体、臍帯、
関節骨液、鶏冠などの結合組織の中に広く分布してい
る。また、HAの組織内での存在形態は蛋白質との複合体
で細胞間に存在し、その高い保水性によりゼリー状のマ
トリツクスを形成しており、細胞の保持外力あるいは細
胞侵入に対する保護、細胞の代謝調節、関節における潤
滑的な働きなど生体において重要な役割を果たしている
(K.Meyer,Physiol.Rev.,27,335(1947))。
このように、HAは他の高荷電性を有するムコ多糖とは
異なつた作用を有しており、これは単なる多荷陰性荷電
性質とは別の因子、即ち、HA分子の高粘弾性によるもの
であろうとされている。
異なつた作用を有しており、これは単なる多荷陰性荷電
性質とは別の因子、即ち、HA分子の高粘弾性によるもの
であろうとされている。
単離精製したHAを生体内又は細胞系に投与して上記の
ようなHAのもつ作用を発現させる試み、例えば、関節炎
等の治療、眼科領域における前眼部除術での組織表面の
損傷防止など、は従来から行なわれてきている。しかし
ながら、生体内におけるHAは、ある特殊な蛋白質と複合
体を形成し、安定かつ強い曳糸性、高粘弾性を有し、特
殊な働きをしているのに対して、単離精製されたHAは曳
糸性をほとんど示さず、かつ、従来技術では高粘性のHA
の抽出精製は非常に困難である。また、生体内、特に病
的部位に投与した後、酵素的分解や非酵素的酸化還元的
分解(W.Pigman,S.Pizvi及びH.L.Holley.,Arthritis Rh
eumatism,4,240-252(1961))を受け、その粘性を維持
することが困難であるため、満足な結果は得られていな
い。
ようなHAのもつ作用を発現させる試み、例えば、関節炎
等の治療、眼科領域における前眼部除術での組織表面の
損傷防止など、は従来から行なわれてきている。しかし
ながら、生体内におけるHAは、ある特殊な蛋白質と複合
体を形成し、安定かつ強い曳糸性、高粘弾性を有し、特
殊な働きをしているのに対して、単離精製されたHAは曳
糸性をほとんど示さず、かつ、従来技術では高粘性のHA
の抽出精製は非常に困難である。また、生体内、特に病
的部位に投与した後、酵素的分解や非酵素的酸化還元的
分解(W.Pigman,S.Pizvi及びH.L.Holley.,Arthritis Rh
eumatism,4,240-252(1961))を受け、その粘性を維持
することが困難であるため、満足な結果は得られていな
い。
一方、従来よりデキストランやアガロースを架橋剤を
用いて架橋する試みは行なわれているが(特開昭47-132
1号)、HAを架設した事例はない。
用いて架橋する試みは行なわれているが(特開昭47-132
1号)、HAを架設した事例はない。
そこで、本発明者らは、酵素的分解及び非酵素的酸化
還元的分解に対して抵抗性を有する架橋HAを得ることを
目的として鋭意研究を重ねた結果、HA又はその塩を多官
能性エポキシ化合物で架橋することにより、本発明の目
的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至つ
た。
還元的分解に対して抵抗性を有する架橋HAを得ることを
目的として鋭意研究を重ねた結果、HA又はその塩を多官
能性エポキシ化合物で架橋することにより、本発明の目
的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至つ
た。
即ち、本発明の架橋HA及びその塩は、HA又はその塩を
ハロメチルオキシラン化合物及びビスエポキシ化合物か
ら選ばれた多官能性エポキシ化合物で架橋して得られ、
架橋数がHAのグルクロン酸とN−アセチルグルコサミン
から成る繰り返し二糖(以下「HAの繰り返し二糖」とい
う)1000個当り5〜20内に入るものであって、水溶性で
曳糸性を有し、非ニュウートン指数が0.5〜0.8であるも
のである。
ハロメチルオキシラン化合物及びビスエポキシ化合物か
ら選ばれた多官能性エポキシ化合物で架橋して得られ、
架橋数がHAのグルクロン酸とN−アセチルグルコサミン
から成る繰り返し二糖(以下「HAの繰り返し二糖」とい
う)1000個当り5〜20内に入るものであって、水溶性で
曳糸性を有し、非ニュウートン指数が0.5〜0.8であるも
のである。
本発明に用いるHAは、臍帯、鶏冠、硝子体など特にそ
の由来は限定されず、通常、分子量数千から数百万のも
のを用いる。その精製法としては、特開昭52-145594
号、同54-67100号及び同55-74796号公報記載の方法など
が挙げられる。また、HA塩としては、ナトリウム塩、カ
リウム塩などのアルカリ金属塩及びカルシウム塩、マグ
ネシウム塩などのアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
の由来は限定されず、通常、分子量数千から数百万のも
のを用いる。その精製法としては、特開昭52-145594
号、同54-67100号及び同55-74796号公報記載の方法など
が挙げられる。また、HA塩としては、ナトリウム塩、カ
リウム塩などのアルカリ金属塩及びカルシウム塩、マグ
ネシウム塩などのアルカリ土類金属塩等が挙げられる。
本発明において、多官能性エポキシ化合物とは、エポ
キシ基を少なくとも1個有する化合物であつて、その他
に、エポキシ基を含めて、ヒアルロン酸を架橋するに適
した官能基を1個以上有する化合物をいう。
キシ基を少なくとも1個有する化合物であつて、その他
に、エポキシ基を含めて、ヒアルロン酸を架橋するに適
した官能基を1個以上有する化合物をいう。
かかる化合物としては、例えば、ハロメチルオキシラ
ン化合物及びビスエポキシ化合物などが挙げられる。ハ
ロメチルオキシラン化合物としては、エピクロルヒドリ
ン、エピブロムヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリ
ン及びβ−メチルエピブロムヒドリンなどが挙げられ
る。ビスエポキシ化合物としては、1,2−ビス(2,3−エ
ポキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(2,3−エポキシ
プロポキシ)ブタン、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポ
キシ)ヘキサン及びビスフエノールA又はビスフエノー
ルFのジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
ン化合物及びビスエポキシ化合物などが挙げられる。ハ
ロメチルオキシラン化合物としては、エピクロルヒドリ
ン、エピブロムヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリ
ン及びβ−メチルエピブロムヒドリンなどが挙げられ
る。ビスエポキシ化合物としては、1,2−ビス(2,3−エ
ポキシプロポキシ)エタン、1,4−ビス(2,3−エポキシ
プロポキシ)ブタン、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポ
キシ)ヘキサン及びビスフエノールA又はビスフエノー
ルFのジグリシジルエーテルなどが挙げられる。
本発明の架橋HAは、例えば、次のようにして合成する
ことができる。
ことができる。
通常、分子量数千から数百万のHA又はその塩を、0.5
%以上、好ましくは1.0%以上の濃度に、アルカリ水溶
液に溶解し、水溶性有機溶剤を全液量の30%以上、好ま
しくは50%以上になるように加える。アルカリ水溶液
は、pH8〜14であることが好ましく、pH12〜14であるこ
とが更に好ましい。アルカリとしては、通常、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの金
属水酸化物及び炭酸ナトリウム炭酸カリウムなどの金属
炭酸塩等が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ジ
オキサンなどが挙げられ、これらは、単独で又は混合物
として用いられる。これらの水溶性有機溶剤を加えるこ
とにより反応を有効に行なうことができ、また、アルカ
リによるHAの分解(低分子化)も抑制することができ
る。
%以上、好ましくは1.0%以上の濃度に、アルカリ水溶
液に溶解し、水溶性有機溶剤を全液量の30%以上、好ま
しくは50%以上になるように加える。アルカリ水溶液
は、pH8〜14であることが好ましく、pH12〜14であるこ
とが更に好ましい。アルカリとしては、通常、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどの金
属水酸化物及び炭酸ナトリウム炭酸カリウムなどの金属
炭酸塩等が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、ジ
オキサンなどが挙げられ、これらは、単独で又は混合物
として用いられる。これらの水溶性有機溶剤を加えるこ
とにより反応を有効に行なうことができ、また、アルカ
リによるHAの分解(低分子化)も抑制することができ
る。
次いで、得られた溶液に、前記多官能性エポキシ化合
物の1種以上を加え、0〜100℃、好ましくは10〜60
℃、更に好ましくは20〜40℃で反応させる。反応時間
は、反応温度により異なるが、20℃付近では24時間から
48時間が好ましく、40℃近辺では2時間から3時間が好
ましい。
物の1種以上を加え、0〜100℃、好ましくは10〜60
℃、更に好ましくは20〜40℃で反応させる。反応時間
は、反応温度により異なるが、20℃付近では24時間から
48時間が好ましく、40℃近辺では2時間から3時間が好
ましい。
本反応において、HA又はその塩と多官能性エポキシ化
合物とのモル比を変えることにより、得られる架橋HA又
はその塩の架橋率を調節することができる。
合物とのモル比を変えることにより、得られる架橋HA又
はその塩の架橋率を調節することができる。
本発明で目的とする架橋数がHAの繰り返し二糖1000個
当り5〜20である架橋HAを得るには、HAの繰り返し二糖
1モルに対し、多官能性エポキシ化合物1モル以上用い
ればよい。分子量100万前後のHAにおいては、HAの繰り
返し二糖1モルに対する多官能性エポキシ化合物の使用
モル数を1〜10モルにすれば、水溶性で曳糸性を有する
架橋HA(以下「s−架橋HA」という)を得ることができ
る。また、分子量200万前後のHAにおいては、それぞ
れ、2〜6モル、6モル以上で同様の目的を達成でき
る。
当り5〜20である架橋HAを得るには、HAの繰り返し二糖
1モルに対し、多官能性エポキシ化合物1モル以上用い
ればよい。分子量100万前後のHAにおいては、HAの繰り
返し二糖1モルに対する多官能性エポキシ化合物の使用
モル数を1〜10モルにすれば、水溶性で曳糸性を有する
架橋HA(以下「s−架橋HA」という)を得ることができ
る。また、分子量200万前後のHAにおいては、それぞ
れ、2〜6モル、6モル以上で同様の目的を達成でき
る。
s−架橋HAは、高粘性、即ち、原料HAに比し粘度が高
く、1%生理食塩水溶液における粘度(20℃、ずり速度
1.0sec-1)は、通常、650〜50000センチポアーズであ
り、非ニユートン指数(近藤仁,北里医学,10,485(19
80))は0.5〜0.8である。
く、1%生理食塩水溶液における粘度(20℃、ずり速度
1.0sec-1)は、通常、650〜50000センチポアーズであ
り、非ニユートン指数(近藤仁,北里医学,10,485(19
80))は0.5〜0.8である。
架橋ヒアルロン酸は高粘性の非ニュートン液体であっ
て、剪断応力はずり速度(剪断速度)によって変化する
ので、この非ニュートン性の尺度としての非ニュートン
指数は、図2に示すように、両対数グラフのヨコ軸にず
り速度、タテ軸に粘土をとり、各ずり速度で測定した粘
度をプロットし、ずり速度の変化(b)に対する粘度の
変化(a)を、 (非ニュートン指数)として表わした。
て、剪断応力はずり速度(剪断速度)によって変化する
ので、この非ニュートン性の尺度としての非ニュートン
指数は、図2に示すように、両対数グラフのヨコ軸にず
り速度、タテ軸に粘土をとり、各ずり速度で測定した粘
度をプロットし、ずり速度の変化(b)に対する粘度の
変化(a)を、 (非ニュートン指数)として表わした。
本発明の架橋HA及びその塩は、ヒアルロニダーゼに対
して抵抗性を示すと共に、HAの有する種々の特性も維持
しており、幅広い用途を有する。
して抵抗性を示すと共に、HAの有する種々の特性も維持
しており、幅広い用途を有する。
s−架橋HAは、正常人の関節液と非常に類似する性質
を有し、関節炎時の疼痛に対して優れた鎮痛効果を示
す。また、高粘性であるにもかかわらず、無理なく注射
針を通過する。
を有し、関節炎時の疼痛に対して優れた鎮痛効果を示
す。また、高粘性であるにもかかわらず、無理なく注射
針を通過する。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、
これらの実施例は、本発明の範囲を何ら制限するもので
はない。
これらの実施例は、本発明の範囲を何ら制限するもので
はない。
実施例1. (1) s−架橋HAの合成 HAナトリウム塩(分子量7.3×105)10gを0.2N−水酸
化ナトリウム溶液450mlに冷却しつつ溶解し、0.45μの
ミクロフイルターで過した。液に10N−水酸化ナト
リウム溶液40mlを加えて、撹拌下、エタノール500mlと
エピクロルヒドリン6.0mlを加えた。20℃で24時間反応
させ、反応液を酢酸でpH6.4に調整した。エタノール500
mlを加えて白色沈殿物を得、取後、エタノールで充分
に洗浄し、減圧乾燥した。
化ナトリウム溶液450mlに冷却しつつ溶解し、0.45μの
ミクロフイルターで過した。液に10N−水酸化ナト
リウム溶液40mlを加えて、撹拌下、エタノール500mlと
エピクロルヒドリン6.0mlを加えた。20℃で24時間反応
させ、反応液を酢酸でpH6.4に調整した。エタノール500
mlを加えて白色沈殿物を得、取後、エタノールで充分
に洗浄し、減圧乾燥した。
元素分析値 C:42.0%,H:4.87%,N:3.29%,Na:5.81% (2) s−架橋HAのゲルクロマトグラフイー (1)で合成されたs−架橋HAと合成に使用したHAに
ついてガラスビーズCPG3000(ELECTRO NUCLEONICS.INC.
社)のカラム(6×850mm)を用いて、ゲルクロマトグ
ラフイーを行なつた。展開溶媒は1.5M塩化ナトリウム水
溶液を水酸化ナトリウムでpH8.5に調整して使用し、0.5
2mlずつ溶出画分に分け、カルバゾール−硫酸法でウロ
ン酸を定量した。結果を図1に示す。図1において、○
印及び●印は、それぞれ、s−架橋HA及びHAの各フラク
シヨンのカルバゾール−硫酸法における吸光度を表わ
し、V0はゲル粒子外部容積を表わす。
ついてガラスビーズCPG3000(ELECTRO NUCLEONICS.INC.
社)のカラム(6×850mm)を用いて、ゲルクロマトグ
ラフイーを行なつた。展開溶媒は1.5M塩化ナトリウム水
溶液を水酸化ナトリウムでpH8.5に調整して使用し、0.5
2mlずつ溶出画分に分け、カルバゾール−硫酸法でウロ
ン酸を定量した。結果を図1に示す。図1において、○
印及び●印は、それぞれ、s−架橋HA及びHAの各フラク
シヨンのカルバゾール−硫酸法における吸光度を表わ
し、V0はゲル粒子外部容積を表わす。
図1から、本発明のs−架橋HAは、HAに比し、非常に
高分子になつていることがわかる。
高分子になつていることがわかる。
(3) s−架橋HAの非ニユートン指数 (1)で合成されたs−架橋HAと合成に使用したHAと
の1%生理食塩水溶液について回転粘度計((株)東京
計器製E形粘度計)を用い、ずり速度を変え、37℃で粘
度を測定し、非ニユートン指数(m=a/b)を算出し
た。また、正常人の関節液及び変形性関節症患者の関節
液についても、同様に粘度を測定し、非ニユートン指数
を算出した。結果を図2に示す。図2において、○印、
●印、□印および■印は、それぞれ、s−架橋HA及びHA
の1%生理食塩水溶液並びに正常人の関節液及び軽度の
変形性関節症患者の関節液の各ずり速度における粘度を
表わす。
の1%生理食塩水溶液について回転粘度計((株)東京
計器製E形粘度計)を用い、ずり速度を変え、37℃で粘
度を測定し、非ニユートン指数(m=a/b)を算出し
た。また、正常人の関節液及び変形性関節症患者の関節
液についても、同様に粘度を測定し、非ニユートン指数
を算出した。結果を図2に示す。図2において、○印、
●印、□印および■印は、それぞれ、s−架橋HA及びHA
の1%生理食塩水溶液並びに正常人の関節液及び軽度の
変形性関節症患者の関節液の各ずり速度における粘度を
表わす。
図2から、本発明のs−架橋HAの1%生理食塩水溶液
は、正常人の関節液と非常に類似した物理パターンを示
すことがわかる。
は、正常人の関節液と非常に類似した物理パターンを示
すことがわかる。
(4) s−架橋HAの曳糸性 (1)で合成されたs−架橋HAと合成に使用したHAの
曳糸性を、渡辺式曳糸性測定装置(池内宏,日本整形外
科学会雑誌,34,175(1960))を模して作製した装置を
用いて測定した。結果を図3に示す。図3において、○
印、△印及び●印は、それぞれ、s−架橋HAの0.5%生
理食塩水溶液、同1%生理食塩水溶液及びHAの1%生理
食塩水溶液の各引き上げ速度における曳糸性を表わす。
曳糸性を、渡辺式曳糸性測定装置(池内宏,日本整形外
科学会雑誌,34,175(1960))を模して作製した装置を
用いて測定した。結果を図3に示す。図3において、○
印、△印及び●印は、それぞれ、s−架橋HAの0.5%生
理食塩水溶液、同1%生理食塩水溶液及びHAの1%生理
食塩水溶液の各引き上げ速度における曳糸性を表わす。
図3から、本発明のs−架橋HAは、高い曳糸性を有す
ることがわかる。
ることがわかる。
(5) s−架橋HAの鎮痛効果 (1)で合成されたs−架橋HAについて、次のように
して、その鎮痛効果を検討した。
して、その鎮痛効果を検討した。
ビーグル犬を雌雄の別なく用い、一方の後肢のヒザ関
節に疼痛物質として、プランジキニン又はアセチルコリ
ンのそれぞれ20μg又は2mgをs−架橋HA2.5mg/0.5ml生
理食塩水と同時に投与し、投与側の後肢荷重の変動を経
時的に測定した。また、対照としてs−架橋HAの代りに
(1)で原料として用いたHAナトリウム塩5mg/0.5ml生
理食塩水を用いた。鎮痛効果は、正常時の50%荷重回復
時間をもつて比較した。結果を表1に示す。
節に疼痛物質として、プランジキニン又はアセチルコリ
ンのそれぞれ20μg又は2mgをs−架橋HA2.5mg/0.5ml生
理食塩水と同時に投与し、投与側の後肢荷重の変動を経
時的に測定した。また、対照としてs−架橋HAの代りに
(1)で原料として用いたHAナトリウム塩5mg/0.5ml生
理食塩水を用いた。鎮痛効果は、正常時の50%荷重回復
時間をもつて比較した。結果を表1に示す。
表1から、本発明のs−架橋HAは、HAナトリウム塩と
同様に優れた鎮痛効果を有することがわかる。
同様に優れた鎮痛効果を有することがわかる。
実施例2.s−架橋HAの合成 HAカリウム塩(分子量1.7×106)の1%水溶液に10N
−水酸化カリウム0.1mlとメタノール5mlを加えた。撹拌
下、エピブロムヒドリン17mgを加えて、20℃で24時間反
応後、反応液を酢酸でpH6.5としてエタノール10mlを加
えて白色沈殿を得た。沈殿を取し、減圧乾燥した。
−水酸化カリウム0.1mlとメタノール5mlを加えた。撹拌
下、エピブロムヒドリン17mgを加えて、20℃で24時間反
応後、反応液を酢酸でpH6.5としてエタノール10mlを加
えて白色沈殿を得た。沈殿を取し、減圧乾燥した。
収量 98mg HAの繰り返し二糖1000個当りの架橋数 7.5 1%生理食塩水溶液における粘度 34000センチポアー
ズ(20℃,ずり速度1.0sec-1) 非ニユートン指数 0.65 元素分析値 C:41.98%,H:4.79%,N:3.30%,K:9.45% 実施例3.s−架橋HAのヒアルロニダーゼ抵抗性 分子量7.3×105のHAナトリウム塩を出発原料として実
施例1(1)に準じて次に示す3種のs−架橋HAを合成
した。
ズ(20℃,ずり速度1.0sec-1) 非ニユートン指数 0.65 元素分析値 C:41.98%,H:4.79%,N:3.30%,K:9.45% 実施例3.s−架橋HAのヒアルロニダーゼ抵抗性 分子量7.3×105のHAナトリウム塩を出発原料として実
施例1(1)に準じて次に示す3種のs−架橋HAを合成
した。
(A) HAの繰り返し二糖1000個当りの架橋数 13 1%生理食塩水溶液における粘度 45500 (20℃,ずり速度1.0sec-1) 非ニユートン指数 0.77 (B) HAの繰り返し二糖1000個当りの架橋数 11.5 1%生理食塩水溶液における粘度 28000 (20℃,ずり速度1.0sec-1) 非ニユートン指数 0.70 (C) HAの繰り返し二糖1000個当りの架橋数 7.5 1%生理食塩水溶液における粘度 8000 (20℃,ずり速度1.0sec-1) 非ニユートン指数 0.61 これらの3種のs−架橋HA及び合成に使用したHAナト
リウム塩を、それぞれ、0.1M−酢酸(pH5.0)に1%の
濃度に溶解し、測定(20℃,ずり速度1.0sec-1)したと
ころ、次のとおりであつた。
リウム塩を、それぞれ、0.1M−酢酸(pH5.0)に1%の
濃度に溶解し、測定(20℃,ずり速度1.0sec-1)したと
ころ、次のとおりであつた。
s−架橋HA(A) 45000センチポアーズ s−架橋HA(B) 27000センチポアーズ s−架橋HA(C) 8000センチポアーズ HAナトリウム塩 1500センチポアーズ これらの溶液に0.09重量%になるように牛睾丸ヒアル
ロニダーゼを加え50℃で反応させ、15、35、55、70分後
に粘度を測定し、反応前の粘度に対する割合を算出し
た。
ロニダーゼを加え50℃で反応させ、15、35、55、70分後
に粘度を測定し、反応前の粘度に対する割合を算出し
た。
結果を図4に示す。図4において、□印、△印、○印
及び●印は、それぞれ、s−架橋HA(A)、(B)、
(C)及びHAナトリウム塩の酢酸溶液の各反応時間にお
ける反応前の粘度に対する割合を表わす。
及び●印は、それぞれ、s−架橋HA(A)、(B)、
(C)及びHAナトリウム塩の酢酸溶液の各反応時間にお
ける反応前の粘度に対する割合を表わす。
図4から、本発明のs−架橋HAは、HAに比し、ヒアル
ロニダーゼに対する抵抗性が高く、その程度は、架橋度
が高いほど顕著であることがわかる。
ロニダーゼに対する抵抗性が高く、その程度は、架橋度
が高いほど顕著であることがわかる。
実施例(4) 架橋HAの架橋率 分子量3.7×105及び7.3×105のHAナトリウム塩100mg
を、それぞれ、1N−水酸化ナトリウム5.0mlに溶かした
溶液に、エタノール5mlとエピクロルヒドリン、それぞ
れ、25,50,100,200μlとを加え、40℃で2時間反応し
た。反応後は実施例1(1)に準じて後処理を行なつ
た。
を、それぞれ、1N−水酸化ナトリウム5.0mlに溶かした
溶液に、エタノール5mlとエピクロルヒドリン、それぞ
れ、25,50,100,200μlとを加え、40℃で2時間反応し
た。反応後は実施例1(1)に準じて後処理を行なつ
た。
また、分子量1.7×106のHAナトリウム塩75mgを1N−水
酸化ナトリウム7.5mlに溶かした溶液にエタノール75ml
とエピクロルヒドリン40μm又は80μlとを加え、40℃
で2時間反応した。更に、上記反応と同時に同じ条件で
〔2−14C〕エピクロルヒドリン(アマシヤム・ジヤパ
ン社から入手)を用いて反応を行ない、この標識化合物
の放射活性から架橋率を算出した。架橋率と粘度との関
係を表3に示す。
酸化ナトリウム7.5mlに溶かした溶液にエタノール75ml
とエピクロルヒドリン40μm又は80μlとを加え、40℃
で2時間反応した。更に、上記反応と同時に同じ条件で
〔2−14C〕エピクロルヒドリン(アマシヤム・ジヤパ
ン社から入手)を用いて反応を行ない、この標識化合物
の放射活性から架橋率を算出した。架橋率と粘度との関
係を表3に示す。
表3から、s−架橋HAにおいては、架橋率と粘度とが
比例関係にあることがわかる。
比例関係にあることがわかる。
図1は、s−架橋HAとHAとのゲルクロマトグラフを示す
図である。図2は、s−架橋HA、HA並びに正常人及び変
形性関節症患者の関節液の粘度測定結果を示す図であ
る。図3は、s−架橋HA及びHAの曳糸性測定結果を示す
図である。図4は、各種s−架橋HA及びHAをヒアルロニ
ダーゼ処理したときの粘度低下と時間との関係を示す図
である。
図である。図2は、s−架橋HA、HA並びに正常人及び変
形性関節症患者の関節液の粘度測定結果を示す図であ
る。図3は、s−架橋HA及びHAの曳糸性測定結果を示す
図である。図4は、各種s−架橋HA及びHAをヒアルロニ
ダーゼ処理したときの粘度低下と時間との関係を示す図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 奥山 隆 東大和市立野3丁目1253番地 生化学工 業株式会社東京研究所内 (56)参考文献 特開 昭54−36388(JP,A) 米国特許3829412(US,A) Acta Chem.Scand.18 (1964)No.1 p.274−275
Claims (1)
- 【請求項1】ヒアルロン酸又はその塩をハロメチルオキ
シラン化合物及びビスエポキシ化合物から選ばれた多官
能性エポキシ化合物で架橋して得られ、架橋数がヒアル
ロン酸のグルクロン酸とN−アセチルグルコサミンから
成る繰り返し二糖1,000個当り5〜20内に入るものであ
って、水溶性で曳糸性を有し、非ニュートン指数が0.5
〜0.8である架橋ヒアルロン酸及びその塩。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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US06/729,558 US4716224A (en) | 1984-05-04 | 1985-05-02 | Crosslinked hyaluronic acid and its use |
EP85303183A EP0161887B1 (en) | 1984-05-04 | 1985-05-03 | Crosslinked hyaluronic acid and its use |
DE85303183T DE3583963D1 (en) | 1984-05-04 | 1985-05-03 | New crosslinked hyaluronic acid prods. |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP59088440A JP2501551B2 (ja) | 1984-05-04 | 1984-05-04 | 架橋ヒアルロン酸 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS60233101A JPS60233101A (ja) | 1985-11-19 |
JP2501551B2 true JP2501551B2 (ja) | 1996-05-29 |
Family
ID=13942858
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP59088440A Expired - Fee Related JP2501551B2 (ja) | 1984-05-04 | 1984-05-04 | 架橋ヒアルロン酸 |
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Country | Link |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019019201A (ja) * | 2017-07-14 | 2019-02-07 | キユーピー株式会社 | 架橋ヒアルロン酸、及びその製造方法 |
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IT1198449B (it) * | 1986-10-13 | 1988-12-21 | F I D I Farmaceutici Italiani | Esteri di alcoli polivalenti di acido ialuronico |
US6610810B2 (en) * | 2001-03-13 | 2003-08-26 | Glyn Owen Phillips | Biopolymers obtained by solid state irradiation in an unsaturated gaseous atmosphere |
JP2006016519A (ja) * | 2004-07-02 | 2006-01-19 | Toppan Printing Co Ltd | 架橋重合体及びその製造方法 |
JP2008255061A (ja) * | 2007-04-06 | 2008-10-23 | Shiseido Co Ltd | 可溶性架橋ヒアルロン酸含有眼用組成物 |
TWI387620B (zh) * | 2008-09-23 | 2013-03-01 | Scivision Biotech Inc | 交聯透明質酸之製造方法 |
US9371402B2 (en) | 2009-04-09 | 2016-06-21 | Scivision Biotech Inc. | Method for producing cross-linked hyaluronic acid |
US20140275340A1 (en) * | 2013-03-15 | 2014-09-18 | Lake Region Manufacturing, Inc. d/b/a Lake Region Medical | Modified hyaluronate hydrophilic compositions, coatings and methods |
Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US3829412A (en) | 1969-05-16 | 1974-08-13 | Lunz F And Co Ltd | Chemically modified polysaccharides and process of preparing same |
Family Cites Families (1)
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JPS5436388A (en) * | 1977-08-26 | 1979-03-17 | Sumitomo Electric Ind Ltd | Porous polysaccharide and its preparation |
-
1984
- 1984-05-04 JP JP59088440A patent/JP2501551B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US3829412A (en) | 1969-05-16 | 1974-08-13 | Lunz F And Co Ltd | Chemically modified polysaccharides and process of preparing same |
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
ActaChem.Scand.18(1964)No.1p.274−275 |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2019019201A (ja) * | 2017-07-14 | 2019-02-07 | キユーピー株式会社 | 架橋ヒアルロン酸、及びその製造方法 |
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Publication number | Publication date |
---|---|
JPS60233101A (ja) | 1985-11-19 |
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