JP2501041B2 - 気相成長炭素繊維の連続製造装置 - Google Patents

気相成長炭素繊維の連続製造装置

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JP2501041B2
JP2501041B2 JP3031275A JP3127591A JP2501041B2 JP 2501041 B2 JP2501041 B2 JP 2501041B2 JP 3031275 A JP3031275 A JP 3031275A JP 3127591 A JP3127591 A JP 3127591A JP 2501041 B2 JP2501041 B2 JP 2501041B2
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宏一 今井
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、炭素繊維を発生させ
る触媒としての金属微粒子もしくはその懸濁液と、炭素
繊維生成のための原料ガスと、キャリアガスとを加熱し
て、連続的に炭素繊維を製造する装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の気相成長炭素繊維の製造
方法として、電気炉内にアルミナ等の磁器、黒鉛等の基
板を置き、これに炭素繊維の成長の核となる鉄、ニッケ
ル、コバルトの超微粒子触媒を形成し、この上にベンゼ
ン等の炭化水素のガスと水素キャリアガスの混合ガスを
導入し、1000〜1300℃の温度下に炭化水素を分
解させることにより、基板上に炭素繊維を成長させる方
法が知られている。
【0003】しかし、このような気相成長させる基板を
使用する製造手段では、基板表面での温度条件や反応条
件が均一でないため、収率が悪く、また繊維の取出しが
面倒となり、連続製造ができないことから生産性も悪い
など多くの問題点を有していた。
【0004】このような観点から、縦型炉の上部より金
属微粉末もしくはそのアルコール懸濁液と、炭化水素の
ガスと、水素ガスとを注入し、金属微粉末が炉内を落下
しつつある途中で炭素繊維を生成させる流動法気相成長
炭素繊維の製造方法が提案されている(特開昭58−1
8615号公報)。
【0005】しかし、流動法によれば、得られる繊維は
長さがせいぜい100μmであり、補強用充填材として
は充分ではなく、有効ではない。これに対して、基板法
は長い繊維が得られるので、得られた繊維はもつれるこ
とさえ無ければ補強材として有効に機能するものであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
許に係る炭素繊維の製造方法は、従来の基板法におい
て、基板へのシーディング、炉の昇温、炉の不活性ガス
置換、水素置換、炭化水素注入による繊維生成、不活性
ガス置換、基板の取出しという複雑な工程を必要として
いたのを改善し、生産性の向上を目指したものであった
が、未だ解決し得ない問題点を有していた。
【0007】すなわち、浮遊している金属粒子の一部が
炉壁に付着し、そこから繊維が生成するものであり、繊
維の製造を続けているとこの炉壁から生成した繊維が増
大して、これが浮遊繊維の落下を妨げて炉内が次第に閉
塞されてくるのである。
【0008】従って、この種の繊維製造においては、炉
内への全ての注入物の注入を中止し、炉を不活性ガスで
置換し、場合によっては炉の温度を下げて、内部を閉塞
している繊維を除去する必要があった。このため、この
種の改良された炭素繊維の製造方法による生産性も満足
すべきものではなかった。
【0009】そこで、本発明の目的は、基板へのシーデ
ィングと繊維の生成および成長とを連続的に行うと共
に、炉壁への繊維の付着による閉塞を防止することによ
り、基板法の操業性を改善した気相成長炭素繊維の連続
製造装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る気相成長炭
素繊維の連続製造装置は、L字形に交差連結する縦型炉
と横型炉とを備えた炉の構成とし、前記縦型炉の上部に
金属微粒子もしくはその懸濁液とキャリアガスを供給す
るための第1の注入手段を設け、前記横型炉には炭素繊
維生成のための原料ガスとキャリアガスとを供給するた
めの第2の注入手段を設け、前記縦型炉と横型炉との連
結部に基板供給手段を設け、前記横型炉内において基板
を移動させるための移送手段を設けると共に、横型炉の
他端部に基板の取出しもしくは繊維の取出しを行う手段
とガス排出手段とを設け、さらに前記炉内への雰囲気ガ
スの侵入を防止する機能を有する雰囲気ガス侵入防止手
段を設けることを特徴とする。
【0011】前記の気相成長炭素繊維の連続製造装置に
おいて、縦型炉と横型炉とは、それぞれ炉の温度を独立
に制御可能に構成することができる。
【0012】また、縦型炉と横型炉との連結部下部に縦
型炉を通過したガスを炉外に排除する手段を設けるこが
できる。
【0013】さらに、本発明に係る気相成長炭素繊維の
連続製造装置として、一端部に基板供給手段を設けると
共に他端部に基板の取出しもしくは繊維の取出しを行う
手段とガス排出手段とを設けた横型炉の構成とし、この
横型炉の一端部上側に金属微粒子もしくはその懸濁液と
キャリアガスを供給するための第1の注入手段を設け、
この第1の注入手段に対し前記横型炉の中間部側に炭素
繊維生成のための原料ガスとキャリアガスとを供給する
ための第2の注入手段を設け、前記横型炉内において基
板を移動させるための移送手段を設け、さらに前記炉内
への雰囲気ガスの侵入を防止する機能を有する雰囲気ガ
ス侵入防止手段を設けるように構成することもできる。
【0014】この場合、横型炉の第1の注入手段を設け
た部分と第2の注入手段を設けた部分の炉の温度を独立
に制御可能に構成すれば好適である。
【0015】そして、本発明装置においては、さらに横
型炉の第2の注入手段を設けた部分を長さ方向に2部分
に分け、これら各部の炉の温度を独立に制御可能に構成
することができると共に、この場合、2部分に分けた横
型炉の各部に原料ガスおよび必要に応じてキャリアガス
の供給を行う注入手段を設けることができる。
【0016】
【作用】本発明に係る気相成長炭素繊維の連続製造装置
によれば、縦型炉では実質的に繊維は生成せず、金属粒
子が壁に付着しても繊維により閉塞されることはなく、
横型炉では金属粒子は基板上にあり、基板上に成長した
繊維は基板と共に炉を出て行くので、ここでも閉塞され
ることはない。
【0017】縦型炉において金属微粒子は落下しつつ還
元され、横型炉に落下し、基板にシーディングされる。
炭素繊維は、シーディングされ横型炉を移動する基板か
ら成長し、基板と共に炉から取り出される。炭素繊維の
製造は、炉温や各注入手段からの注入量を変更すること
なく続いて行われ、新しい基板が連続的もしくは断続的
に供給され、成長した炭素繊維を堆積した基板が連続的
もしくは断続的に取り出される。
【0018】本発明において、金属微粒子としては、直
径100オングストローム以下の金属で気相成長炭素繊
維の生成を開始するものとして知られたものを使用する
ことができる。特に、金属としては、鉄、コバルト、ニ
ッケルが好適であり、またそれらの酸化物あるいは水素
による還元により純金属を生成するものであればよい。
また、これを懸濁する媒体としては、不活性液体であっ
て、例えばメタノール、エタノール等の低級アルコー
ル、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等の炭化水素を使用
できるが、液体状態での単位体積当りの炭素数の少ない
ものが好ましい。炭素数が多い場合、縦型炉の温度が高
いとススや繊維が発生して十分に目的を達成し得なくな
る。なお、懸濁のための液体媒体を使用せずに、粉体状
態で落下させたり、キャリアガスを用いて噴出させるこ
とも好ましい態様である。そして、注入手段としては、
キャリアガスと共通でもよいし、あるいはキャリアガス
と別の注入手段であってもよく、いずれにしても縦型炉
の上部に設けることが必要である。この場合、落下中の
金属微粒子の凝集を避けるように噴霧することが好まし
い。また、本発明においては、第1の注入手段は繊維生
成触媒となる金属粒子を炉へ供給する機能を有すればよ
いのであるから、その第1の注入手段は、該金属粒子を
生成する材料としての金属化合物、例えば金属酸化物や
有機金属化合物を炉に注入して、炉内で金属粒子を生成
させることにより、この金属粒子を供給し、基板にシー
ディングを行うように構成してもよいことは勿論であ
る。但し、金属酸化物を使用する場合は、キャリアガス
が還元性を有していることが必要であり、また有機金属
化合物を使用する場合は、基板へのシーディング前に繊
維を生成することがないように、1分子中の炭素比率の
低いものが好ましい
【0019】キャリアガスとしては、水素もしくは水素
と不活性ガスとの混合物を使用する。また、水素に代え
て硫化水素、アンモニア、その他の還元性ガスを使用す
ることもできる。すなわち、本発明で使用する金属粒子
は表面積が大きくて活性が強いために酸化され易い。従
って、粒子化されてから経過時間の長いものは、少なく
ともその表面は酸化物となっている。このため、縦型炉
内の雰囲気は還元性である必要がある。しかるに、縦型
炉を通過させるキャリアガスは、横型炉の繊維生成部分
に浮遊金属粒子を実質的に存在させないために、基板に
付着しなかった金属粒子と共に炉外に排除するのが好ま
しい。金属粒子が殆ど基板上に落ちる場合は、キャリア
ガスを必ずしも排除する必要はない。また、横型炉に供
給されるキャリアガスは、炭化水素の分解速度を抑える
ために、水素を含有させるのが好ましい。温度が低く、
炭化水素濃度も低く、炭化水素の分解速度が十分に低い
時は、不活性ガスだけでもよい。この場合、不活性ガス
としては、窒素、アルゴン、ヘリウム等が使用できる。
【0020】原料ガスとしては、炭素繊維を生成する炭
素の供給源である気相法炭素繊維の原料として知られて
いるものを広く使用できる。従って、炭化水素が一般的
であり、メタン、エタン、プロパン、ブタン、エチレ
ン、アセチレン、天然ガス、ベンゼン、トルエン、ナフ
タレン等が使用でき、条件によっては一酸化炭素も使用
可能である。また、原料ガスまたはキャリアガスにチオ
フェン、硫化水素等の硫黄化合物を含有させると、得ら
れる繊維が屈曲の少ないものとなるので好ましい。そし
て、原料ガスとキャリアガスの注入手段は別個でもよい
が、炉に入る前に両者が混合されている方が好ましい。
【0021】
【実施例】次に、本発明に係る気相成長炭素繊維の連続
製造装置の実施例につき、添付図面を参照しながら以下
詳細に説明する。
【0022】図1は、本発明に係る気相成長炭素繊維の
連続製造装置の一実施例を示す概略構成図である。図1
において、参照符号10は縦型炉、12は横型炉をそれ
ぞれ示し、これら縦型炉10と横型炉12とは一端部に
おいてL字形に交差連結されている。前記縦型炉10と
横型炉12との外周部にはそれぞれ独立した加熱バレル
14と16を配設し、各炉に対して独立して温度条件等
を調整し得るよう構成されている。
【0023】しかるに、炉の構造は、一般的に断面円形
の円筒形とし、炉の内壁は、炉温(1000〜1300
℃)に耐え、炭素繊維生成の触媒となる鉄、ニッケル、
コバルトその他の遷移金属を含有しない石英ガラス、セ
ラミックス、金属を使用する。また、炉の長さは、製造
条件によって異なるが、通常縦型炉10の長さは、炉1
つ当りの出口(横型炉12の入口)で触媒の活性が2割
以下にまで低下する程度の長さに設定すれば好適であ
る。
【0024】そして、横型炉12の内部には、縦型炉1
0との結合部から他端部に延在する無端ベルト状基板1
8を設ける。この場合、無端ベルト状基板18は、前記
炉の内壁と同様に、炉温(1000〜1300℃)に耐
え、炭素繊維生成の触媒となる鉄、ニッケル、コバルト
等の遷移金属を含まない石英ガラス、セラミックス、金
属からなるチェーンまたは連結具で基板を連結させて構
成することができる。そして、この基板18の移送手段
としては、その駆動手段である駆動ロールにより、図示
のように炉の内部で回動させてもよいが、あるいは他端
部において炉の外へ出て、炉の外側を戻るように構成す
ることもできる(図4参照)。
【0025】しかるに、炉の内部で無端ベルト状基板1
8を回動させる場合には、炉内に設置されるローラやベ
アリング等の材質についても触媒となる金属成分を含ま
ず耐熱性に優れたものである必要がある。しかし、環路
が炉外となる場合、キャリアガスとして水素が使用され
る際には、炉の出入口から炉内に空気が入り込まないよ
うに、雰囲気ガス侵入防止手段として、不活性ガスカー
テンを設けたり、無端ベルト状基板18の戻りに対して
も水素気流中にシールする等の手段が必要である。
【0026】前記無端ベルト状基板18を設けた横型炉
12の他端部には、その下方に開口20を設けて、その
下部に無端ベルト状基板18から炭素繊維を落下させて
これを取出す繊維の取出し手段22を設置する。この場
合、無端ベルト状基板18に生成した炭素繊維を掻き落
す手段を設けることが好ましい。そして、この繊維の取
出し手段22には、炉内部に導入されたガスを排出する
ためのガス排出手段24が設けられる。なお、このガス
排出手段24は、必ずしも繊維の取出し手段22に併設
する必要はなく、例えば繊維の取出し手段22が設けら
れる無端ベルト状基板18の開口20の近傍に設けるこ
とも可能である。また、無端ベルト状基板18の戻りを
炉の外部に設定するものにおいては、その出口部分が繊
維の取出し手段およびガス排出手段を構成することにな
る。
【0027】前記構成からなる炉の構成体において、縦
型炉10の上部に炭素繊維生成に必要な触媒としての金
属微粒子もしくはその懸濁液とキャリアガスとを供給す
るための第1の注入手段26が設けられる。そこで、こ
の注入手段26には、例えば触媒としての金属微粒子も
しくはその懸濁液とキャリアガスとの混合物を与熱器で
加熱して、これを縦型炉10に送り込むよう構成する。
また、この場合、注入手段26の注入口1個当りの縦型
炉の断面積は広い方が好ましく、注入口の数は多い方が
炉壁面積が相対的に小さくなり、金属粒子の付着が少な
くなるので好ましい。
【0028】また、横型炉12の縦型炉10と結合する
一端部には、第2の注入手段28を設け、その注入口か
ら原料ガスを注入するよう構成する。この場合、注入手
段28としての注入口は複数設けてもよい。なお、ガス
の注入に際しては、原料の分解温度を越えない範囲で予
め予熱ないし気化しておけば、炉内の温度ムラを大きく
生じないので有効である。
【0029】このように構成した本発明に係る気相成長
炭素繊維の連続製造装置は、予め加熱バレル14,16
を作動させて、縦型炉10および横型炉12をそれぞれ
所要の温度条件に調整しかつキャリアガスで炉内を置換
しておき、次いで縦型炉10の上部に設けた第1の注入
手段26から、例えば炭素繊維を生成する触媒の原料で
ある金属微粒子とこの金属微粒子の表面酸化を防止する
キャリアガスとを縦型炉内に供給する。この結果、縦型
炉10内で表面が活性な金属微粒子が得られ、これら金
属微粒子は横型炉12内に設けた無端ベルト状基板18
に落下し、その基板にシーディングされる。
【0030】ここで、前記第2の注入手段28から原料
ガスが注入されて、炭素繊維は繊維の取出し手段22ま
で成長を続けながら搬送される。この取出し手段22の
位置においては、搬送された炭素繊維は全て自動的に前
記取出し手段22へ取出される。
【0031】このようにして、本発明装置によれば、略
均一な径を有する繊維が、連続的にしかも炉の内壁に付
着することなく、円滑に生成し、成長し、そして回収す
ることができる。
【0032】図2は、本発明に係る気相成長炭素繊維の
連続製造装置の別の実施例を示す概略構成図である。な
お、説明の便宜上、図1に示す装置と同一の構成部分に
ついては同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略
する。
【0033】図2に示す装置は、横型炉12内に設ける
基板の移送手段の別の実施例を示すもので、図1に示す
実施例のように触媒金属成分を含有しないチェーンが使
用できない場合に、独立したセラミックス等〔すなわ
ち、炉温(1000〜1300℃)に耐え、炭素繊維生
成の触媒となる鉄、ニッケル、コバルトその他の遷移金
属を含有しない石英ガラス、金属等〕からなる基板19
を並べて、この基板19を横型炉12の一端部に設けた
基板供給手段30より順次供給すると共に、プッシャ等
の押出し手段32で1枚づつ横型炉12の他端部側へ押
出し移送し、横型炉12の他端部側において押出された
基板19を順次取出すための基板の取出し手段を兼ねる
繊維の取出し手段22へ移送し、そこで繊維の取出しを
行うように構成すれば、繊維の回収を円滑に達成するこ
とができる。この場合、平面状基板を使用するとすれ
ば、横型炉の下内壁が基板に近い幅の平面でなければな
らないのは当然である。
【0034】そして、基板供給手段30においては、横
型炉12と遮断し得る隔室を形成し、この隔室を前記炉
12と連通させて隔室内に予め配置した基板19を押出
し手段32で炉12内へ押出すよう構成する。すなわ
ち、隔室を炉12と遮断した状態において、上方の供給
口より基板19を導入し、次いでこの隔室内を不活性ガ
スもしくはキャリアガスで置換し、その後隔室を前記炉
12と連通させて押出し手段32により基板19を炉1
2内へ押出すと共に、既に炉12内にある基板19をそ
の1個分だけ基板の取出し手段22側に移動させる。以
下、同様の動作を繰り返すよう構成する。なお、この
際、基板は隔室内において、予熱手段により適当な温度
に加熱しておけば好適である。また、本実施例におい
て、第2の注入手段28は、横型炉12の縦型炉10と
の結合部の近傍であれば有効であり、例えば図2に示す
位置に設けることもできる。
【0035】前述した実施例から明らかなように、本発
明装置においては、縦型炉と横型炉の長さは、条件に応
じた金属微粒子の還元速度と繊維の成長速度およびそれ
ぞれの還元、成長の目標値から決定することができる。
そこで、例えば横型炉の高さが大きい場合には、縦型炉
の長さが0であっても充分であるということもあり得る
が、還元条件と成長条件を独立に設定することができな
くなる。
【0036】しかし、1つの炉内で、金属微粒子を落下
させてシーディングし、次いで繊維を生成、成長させる
という本発明の思想は実施することができる。そこで、
図3は、前記本発明に係る気相成長炭素繊維の連続製造
装置のさらに別の実施例を示す概略構成図である。な
お、説明の便宜上、図2に示す装置と同一の構成部分に
ついては同一の参照符号を付してその詳細な説明は省略
する。
【0037】すなわち、図3に示す装置は、図2に示す
装置と比較し、縦型炉を除去して横型炉12のみとし、
基板供給手段30を設けた横型炉12の一端部の上側に
金属微粒子もしくはその懸濁液とキャリアガスを供給す
るための第1の注入手段26を設け、そしてこの第1の
注入手段26に対し前記横型炉12の中間部側に原料ガ
スとキャリアガスとを供給するための第2の注入手段2
8を設けたものであり、その他の構成は図2に示す装置
と同様である。なお、本実施例装置においては、前記横
型炉12の加熱バレルを分離して、第1の注入手段26
を有する部分と第2の注入手段28を有する部分とに分
け、前者を還元層とすると共に後者を繊維生成層として
形成し、各層の温度を独立に制御可能に構成すれば好適
である。また、前記繊維生成層について、横型炉12を
長さ方向に2部分に分け、各部の炉の温度を独立に制御
可能に構成することができると共に、この場合、2部分
に分けた各部に原料ガスおよび必要に応じてキャリアガ
スの供給を行う注入手段を設けることもできる。
【0038】以上、本発明装置の好適な実施例について
説明したが、本発明は前記実施例に限定されることな
く、本発明の精神を逸脱しない範囲内において種々の設
計変更をなし得ることは勿論である。
【0039】例えば、基板を多孔質材料から構成した
り、あるいは細孔を設けたりして、縦型炉10の下部の
基板の下側にガス排出手段を設けることにより、第1の
注入手段26から注入されて縦型炉10を通過したキャ
リアガスを、基板に付着しなかった金属粒子と共に完全
に排出し、炭素繊維生成の触媒である金属粒子が横型炉
12内で浮遊するのを実質的に0として、横型炉内で浮
遊状態での繊維の発生を防ぐことができる。すなわち、
基板が横型炉12を移動中に、浮遊状態で炭素繊維が生
成されると製品にムラを生じる原因になるが、これを防
止することができる。なお、横型炉12内での流れを乱
したり、基板を振動させたりすることにより、基板上で
生じる炭素繊維の成長ムラを防止することもできる。
【0040】前記のガス排出手段としては、その上方を
通過する基板により閉塞されることがないように、例え
ば基板下側に脚を設けて、ガス通路を確保することが好
ましい。また、炉の下壁に溝を設けることも好ましい態
様である。さらに、排気のための駆動源は、排気量が大
き過ぎると炉内に空気が進入して危険である。そこで、
この駆動源としては、ある程度の定量性を有するものを
選定し、例えば耐熱性のある定量性ファンを使用した
り、定量弁を経由して減圧ラインに連通する構成とする
ことができる。
【0041】また、金属粒子が浮遊状態で横型炉内を通
過するのを防止するため、例えば横型炉の入口側にフィ
ルタ手段を設けたり、あるいは、第1の注入手段内を加
圧状態にして還元された金属微粒子を含むキャリアガス
を、横型炉下側の基板に向けて細孔から噴出させ、金属
微粒子を基板に衝突させてその担持率を増大するように
設定すれば好適である。
【0042】必要により無端ベルト状基板18の出入口
等に、例えば図4に示すように、金属ワイヤブラシ等の
掻落し手段38を設けて、表面の剥離清掃を行うことに
より、無端ベルト状基板18に付着した炭素繊維が繰り
返し横型炉12内を通過して太い径の炭素繊維に成長す
るのを防止することができる。
【0043】炉内部は、空気の侵入を防ぐために、内部
圧力を大気圧よりやや高めに設定することが好ましい。
また、キャリアガスとして水素等の可燃性ガスを用いる
ときは、例えば図4に示すように、無端ベルト状基板1
8の出入口34,34にそれぞれガス排出口36,36
を設けて、これらガス排出口でガスを燃焼させることに
より、前記出入口34,34のガス排出口36,36の
近傍に空気と水素の比重差による界面Pが形成されて、
空気が炉内に入り込まないように構成することができ
る。
【0044】さらにまた、本発明装置においては、横型
炉12(図3の実施例では繊維の生成層)を長さ方向に
2部分に分け、各部の炉の温度を独立に制御するよう構
成し、しかも好ましくはこれら2部分に分けた炉の各部
に原料ガスおよび必要に応じてキャリアガスの注入手段
を設けることにより、ティベッツ他(Tibbetse
t al.・米国特許第4,565,684号)の行っ
た繊維の長さ成長と太さ成長の最適条件をそれぞれ上流
部と下流部に設定して、アスペクト比をコントロールす
る方法の操業性を改善することができる。
【0045】気相成長炭素繊維は、一般に炭素生成(c
arburizing)傾向の低い条件では、繊維の長
さ方向の成長が主として起り、炭素生成傾向の高い雰囲
気条件では、繊維表面での炭素の沈着が激しくなって太
さの成長が速くなり、長さの成長端である金属微粒子も
炭素で覆われて長さ方向の成長は停止する。故に、本発
明装置を使用すれば、横型炉の上流側の部分を比較的低
温に、水素濃度を高めに設定して、金属微粒子を長時間
活性を伸ばして長さ成長の効率を高め、一方横型炉で
は、逆に温度を高めに、原料濃度を高めに、水素濃度を
低めに(但し、いずれもすすを発生しない範囲で)設定
して、太さの成長の効率を高めて、総合的な生産性を上
げかつ製品のばらつきを抑えることができる。
【0046】
【発明の効果】前述した実施例から明らかなように、本
発明によれば、縦型炉もしくは横型炉の一端部で金属粒
子を還元し、これを基板に落してシーディングし、横型
炉を移動中の基板に繊維を生成させるものであるから、
縦型炉もしくは横型炉の一端部では原料が存在しない
か、存在しても少量のため繊維は生成せず、炉を閉塞す
ることはない。また、横型炉では、繊維の生成を開始す
べき金属粒子は基板の上にしかなく、この基板は所定の
横型炉内滞在時間後には炉を出ていくので、横型炉閉塞
されることはない。この結果、従来において操業性の悪
かった基板法による炭素繊維の製造につき、その操業性
を改善して連続製造を可能とし、生産性の向上に寄与す
る効果はきわめて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る気相成長炭素繊維の連続製造装置
の一実施例を示す概略断面図。
【図2】本発明装置の別の実施例を示す概略断面図。
【図3】本発明装置のさらに別の実施例を示す概略断面
図。
【図4】本発明装置の変形例を示す要部概略断面図。
【符号の説明】
10 縦型炉 12 横型
炉 14 加熱バレル 16 加熱
バレル 18 無端ベルト状基板 19 基板 20 開口 22 繊維
の取出し手段 24 ガス排出手段 26 第1
の注入手段 28 第2の注入手段 30 基板
供給手段 32 押出し手段 34 出入
口 36 ガス排出口 38 掻落
し手段

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 L字形に交差連結する縦型炉と横型炉と
    を備えた炉の構成とし、前記縦型炉の上部に金属微粒子
    もしくはその懸濁液とキャリアガスを供給するための第
    1の注入手段を設け、前記横型炉には炭素繊維生成のた
    めの原料ガスとキャリアガスとを供給するための第2の
    注入手段を設け、前記縦型炉と横型炉との連結部に基板
    供給手段を設け、前記横型炉内において基板を移動させ
    るための移送手段を設けると共に、横型炉の他端部に基
    板の取出しもしくは繊維の取出しを行う手段とガス排出
    手段とを設け、さらに前記炉内への雰囲気ガスの侵入を
    防止する機能を有する雰囲気ガス侵入防止手段を設ける
    ことを特徴とする気相成長炭素繊維の連続製造装置。
  2. 【請求項2】 縦型炉と横型炉とは、それぞれ炉の温度
    を独立に制御可能に構成してなる請求項1記載の気相成
    長炭素繊維の連続製造装置。
  3. 【請求項3】 縦型炉と横型炉との連結部下部に縦型炉
    を通過したガスを炉外に排除する手段を設けてなる請求
    項1記載の気相成長炭素繊維の連続製造装置。
  4. 【請求項4】 一端部に基板供給手段を設けると共に他
    端部に基板の取出しもしくは繊維の取出しを行う手段と
    ガス排出手段とを設けた横型炉の構成とし、この横型炉
    の一端部上側に金属微粒子もしくはその懸濁液とキャリ
    アガスを供給するための第1の注入手段を設け、この第
    1の注入手段に対し前記横型炉の中間部側に炭素繊維生
    成のための原料ガスとキャリアガスとを供給するための
    第2の注入手段を設け、前記横型炉内において基板を移
    動させるための移送手段を設け、さらに前記炉内への雰
    囲気ガスの侵入を防止する機能を有する雰囲気ガス侵入
    防止手段を設けることを特徴とする気相成長炭素繊維の
    連続製造装置。
  5. 【請求項5】 横型炉の第1の注入手段を設けた部分と
    第2の注入手段を設けた部分の炉の温度を独立に制御可
    能に構成してなる請求項4記載の気相成長炭素繊維の連
    続製造装置。
  6. 【請求項6】 横型炉の第2の注入手段を設けた部分を
    長さ方向に2部分に分け、これら各部の炉の温度を独立
    に制御可能に構成してなる請求項1ないし5のいずれか
    に記載の気相成長炭素繊維の連続製造装置。
  7. 【請求項7】 2部分に分けた横型炉の各部に、それぞ
    れ原料ガス等を供給する第2の注入手段を設けてなる請
    求項6記載の気相成長炭素繊維の連続製造装置。
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