JP2004353157A - 原料ガス供給ノズル、カーボンナノファイバー製造装置、およびカーボンナノファイバーの製造方法 - Google Patents

原料ガス供給ノズル、カーボンナノファイバー製造装置、およびカーボンナノファイバーの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反応管内の反応効率を向上させることができる原料ガス供給ノズル、炭素繊維質物製造装置、および炭素繊維質物の製造方法を提供すること。
【解決手段】円筒状の反応管11の一端部に配設され、円筒状に形成される気流となるように原料ガスを噴出可能に形成されて成る噴射口12Aを備えることを特徴とする原料ガス供給ノズル12。
【選択図】 図1



Description

本発明は、原料ガス供給ノズル、カーボンナノファイバー製造装置、およびカーボンナノファイバーの製造方法に関し、詳しくは、カーボンナノファイバーの製造の際において反応管中の反応領域で円筒状に形成された気流中に、原料を均一で安定なガス状にして送り込むことができる原料ガス供給ノズル、この原料ガス供給ノズルを備えるカーボンナノファイバー製造装置、およびカーボンナノファイバーの製造方法に関する。
従来より、気相成長炭素繊維は、流動気相法と称される製造方法により製造されている。この流動気相法と称される方法は、メタン、エタン、ベンゼン等の炭素化合物のガスと、フェロセン等の有機遷移金属化合物のガスとを混合してなる原料ガスを反応管に注入することにより、気相中で金属触媒を生成し、連続的に炭素繊維を製造する方法である。このカーボンナノファイバーの製造方法として、特公昭62−49363号、特公平4−37166号等に記載された方法が、連続生産が可能で生産性の高い方法と評価され、主流となっている。
この反応管内に原料ガスを供給する際には、反応管の一端に設けられた原料ガス供給ノズルを介して、原料ガスを供給している。この原料ガス供給ノズルとしては、単管に形成されて成るノズル(以下において、単に、単管ノズルと称することがある。この単管ノズルの内径は、反応管の内径の1/4〜1/6程度である。)から構成された原料ガス供給ノズルが開示されている(特許文献1参照)。
特開平8−209456号公報(図1)
しかしながら、特許文献1記載の技術によると、原料ガスが、反応管の中心軸に沿って、原料ガス供給ノズルから反応管内へ供給されている。この反応管の中心軸は、反応管内壁から離れているため、反応管内に供給された原料ガスに反応管内壁からの輻射熱が伝わらず、反応管内壁からの輻射熱を有効に利用することができない。そのため、反応管内に供給された原料ガスが未反応のまま、反応管外へ排出されてしまい、製造効率が悪いという問題があった。また、反応管の内部における上下で、供給される原料ガスの濃度にバラツキが生じていて、この点においても製造効率が悪いという問題があった。
ところで近年、炭素繊維よりも遥かに直径の小さなカーボンナノファイバーが注目され、その製造方法の開発が急がれている。カーボンナノチューブを炭素繊維の製造装置を流用して製造するには、反応管内に存在する仮想的な反応領域において、原料ガス中に存在する触媒源から生成した触媒金属を核にして長さ成長をさせつつ太さ成長を抑制する反応条件を決定しなければならない。ところが、カーボンナノチューブの直径よりも遥かに大きな直径を有する炭素繊維の製造装置に組み込まれている反応管においても前記問題があるのであるから、炭素繊維の製造装置を流用してカーボンナノファイバーを製造するのはそうそう簡単な話ではない。
本発明は、このような従来の問題点を有する炭素繊維製造装置を利用しつつ、反応管内でカーボンナノファイバーを効率良く製造することのできる原料ガス供給ノズル、その原料ガス供給ノズルを有するカーボンナノファイバー製造装置、およびそのカーボンナノファイバー製造装置を利用したカーボンナノファイバーの製造方法を提供することをその課題とする。
この発明の前記課題を解決するための第1の手段は、
(1)円筒状の反応管の一端部に配設され、円筒状に形成される気流となるように原料ガスを噴出可能に形成されて成る噴射口を備えることを特徴とする原料ガス供給ノズルである。
この第1の手段における好ましい態様としては、下記〈1〉〜〈5〉の原料ガス供給ノズルを挙げることができる。
〈1〉前記噴射口が、管状の外管における内壁の環状端部と、この外管の中心軸に沿って該外管の内部に設けられた管状の内管における外壁の環状端部とで形成されて成る環状噴射口である原料ガス供給ノズル。
〈2〉前記噴射口が、管状の外管の端部とその外管の内部に外管と同軸に配置された内管の端部とを閉塞する環状端面に、所定間隔をもって円状に配列された複数の環状列設噴射口である原料ガス供給ノズル。
〈3〉前記内管の内部に、反応管の軸心方向に噴出するキャリアガスを整流する内部整流手段が設けられて成る原料ガス供給ノズル。
〈4〉前記外管の外壁と前記反応管の端部内壁との間に、反応管の内壁に沿う方向に噴出するキャリアガスを整流する外部整流手段が設けられて成る原料ガス供給ノズル。
〈5〉前記内管には、該内管の内部温度を制御する温度制御手段が設けられている原料ガス供給ノズル。
この発明における前記課題を解決するための第2の手段は、
(2)原料ガスを分解してカーボンナノファイバーを生成する反応管と、この反応管の一端に設けられた前記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の原料ガス供給ノズルとを備えることを特徴とするカーボンナノファイバー製造装置である。
この発明における前記課題を解決するための第3の手段は、
(3)加熱された反応管内に、前記反応管の一端に設けられた前記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の原料ガス供給ノズルにおける噴出口から、円筒状の気流となるように原料ガスを噴出し、前記円筒状の気流内で前記原料ガスからカーボンナノファイバーを生成させることを特徴とするカーボンナノファイバーの製造方法である。
本発明によれば、反応管内の反応効率を向上させることができる原料ガス供給ノズル、カーボンナノファイバー製造装置、およびカーボンナノファイバーの製造方法を提供することができる。すなわち、円筒状に形成される気流となるように原料ガスを噴出可能に形成されて成る噴射口を備えることにより、反応管の径方向断面における温度のバラツキが減るため、原料ガスの反応における最適な温度に制御可能な範囲を大きくとることができ、その結果、収量を改善し、また原料ガスの未分解物を含まず、均一な品質を有するカーボンナノファイバーが生成されることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1には、本発明に係るカーボンナノファイバー製造装置1が示されている。カーボンナノファイバー製造装置1は、原料ガスを反応させ、上部を供給口11A側とし、下部を排出口11B側とする縦型の反応管11と、反応管11の一端としての供給口11A側に、かつ中心軸に設けられた原料ガス供給ノズル12と、電気炉13と、捕集器14と、原料用タンク15と、原料用ポンプ16と、気化器17と、キャリアガス供給機18とを備える。
ここで、原料ガスのもととなる原料は、触媒金属源と炭素源とを有するものである。触媒金属源は、熱分解により触媒となる金属を発生させる物質乃至化合物であれば特に制限がない。使用可能な触媒金属源としては、特開昭60−54998号公報の第3頁左上欄第9行〜同頁右上欄最下行に記載の有機遷移金属化合物、特開平9−324325号公報の段落番号[0059]に記載された有機遷移金属化合物、特開平9−78360号公報の段落番号[0049]に記載された有機遷移金属化合物等を挙げることができる。
好ましい触媒金属源としては、例えばフェロセン等の有機金属化合物、あるいは鉄カルボニル等の金属カルボニルを挙げることができる。触媒金属源は、一種単独で使用することもできるし、また複数種を併用することもできる。
また、触媒金属源は助触媒と共に使用することもできる。そのような助触媒として、前記触媒金属源から発生する触媒金属と相互作用してカーボンナノファイバーの生成を促進することのできるものであれば良く、特開平9−78360号公報の段落番号[0051]、並びに特開平9−324325号公報の段落番号[0061]に記載された含硫黄複素環式化合物及び硫黄化合物を制限なく使用することができる。好適な助触媒として、硫黄化合物特にチオフェン及び硫化水素等を挙げることができる。
炭素源は、熱分解により炭素を発生させてカーボンナノファイバーを生成させることができる化合物であれば特に制限がない。使用可能な炭素源としては、特公昭60−54998号公報の第2頁左下欄第4行〜同頁右下欄第10行に記載された炭素化合物、特開平9−324325号公報の段落番号[0060]に記載された有機化合物、特開平9−78360号公報の段落番号[0050]に記載された有機化合物等を挙げることができる。各種の炭素源の中で好適例としてベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、ヘキサン、プロパン、エタン、メタン等の脂肪族炭化水素、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素等を挙げることができる。なお、炭素源はその一種単独を使用することもできるし、また複数種を併用することもできる。
炭素源及び触媒金属源のガス(原料ガスを言う。)の全混合ガス(原料ガスおよびキャリアガスの全てを言う。)に占める割合は、好ましくは、各々0〜40%及び0.01〜40%、更に好ましくは各々0.5〜10%及び0.05〜10%である。ここで、炭素源ガスの濃度が0でも良いのは、触媒金属源である例えば有機金属化合物がその分子中に十分な炭素を含有している場合には、必ずしも炭素源ガスを必要としないという意味である。したがって、この発明においては、炭素源と触媒金属源とが同一化合物であることもある。
また、カーボンナノファイバーが生成する時に太さ成長すると熱分解炭素が多く含有されることから、熱分解炭素の析出のない、細かくて黒鉛化度の高い気相成長炭素繊維あるいはこの気相成長炭素繊維よりも径の小さなカーボンナノファイバーを得るためには、炭素源の濃度を小さくし、触媒金属源の濃度を大きくするのが良い。なお、この発明において、カーボンナノファイバーはカーボンナノチューブを含む。
一方、反応管11は、例えばシリコンカーバイド(SiC)からなる円管形状を有する。また、後述する原料ガス供給ノズル12の外管121外壁と反応管11の内壁との間であって原料ガス供給ノズル12の先端部分には、キャリアガスを整流する外側整流手段としてのハニカム111が設けられている。
原料ガス供給ノズル12は、原料ガスを噴射する噴射口を備え、前記噴射口は、反応管11の内部において円筒状の気流を形成することができるように、形成されている限り種々の形式を採用することができる。
本実施形態においては、原料ガス供給ノズル12は、管状の外管121と、この外管121の中心軸に沿って外管121の内部に設けられた管状の内管122とを備え、図2に示されるように、外管121の内壁の下端部と内管122の外壁の下端部とにより囲まれて形成される環状の間隙により、環状噴射口12Aが形成される。また、原料ガス供給ノズル12の先端側は、反応管11内に挿入され、その基端側は、反応管11の供給口11A側の端面より突出している。
外管121は、金属で形成された円管形状を有する。
内管122は、金属で形成された円管形状を有する。内管122の先端部分の内部には、キャリアガスを整流する整流手段としてのハニカム1221が設けられている。また、内管122の中央部分の内部には、内管122内部の温度を制御する温度制御手段としての電気ヒータ1222が設けられている。電気ヒータ1222は、内管122の内部の温度を制御できるものであればよく、内管122内側を流れるキャリアガスの流れを妨げない大きさ、形状のものが好ましい。
ここで、外管121の径は、反応管11の径の10%〜80%の範囲内であり、好ましくは、20%〜60%の範囲内である。外管121の径が、反応管11の径の10%未満であると、反応管11の中心軸に沿って原料ガスが噴射されることとなり、原料ガスが反応管11の中心軸近傍に集中する場合がある。外管121の径が、反応管11の径の80%を超えると、噴射口12Aが反応管11の内壁に近くなり、原料ガスが反応管11内壁に付着する場合がある。
また、外管121内壁と内管122外壁との間である噴射口12Aの幅は、反応管11の径の0.1%〜10%の範囲内であり、好ましくは、0.5%〜5%の範囲内である。噴射口12Aの幅が、反応管11の径の0.1%未満であると、原料ガスが固化して生成した固化物が噴射口12A内で詰まってしまう場合がある。噴射口12Aの幅が、反応管11の径の10%を超えると、反応管11内に噴射された原料ガスの反応管11内壁に近い側と、反応管11の中心軸に近い側とで温度差が生じ、原料ガスの分解反応が均一にならず分解生成物が不均一になる場合がある。
一方、電気炉13は、反応管11の長さ方向に沿って反応管11の外側面部分に設けられている。この電気炉13は、公知の電気炉であり、温度調節可能なものであればよい。電気炉13により加熱された反応管11は、反応管11の内部に向かって輻射熱を放出する。この輻射熱が原料ガスの完全な分解を完全にし、カーボンナノファイバーの生成に寄与する。
捕集器14は、反応管11の排出口11B側に設けられ、気相成長炭素繊維を捕集する際に用いる公知の捕集器を使用することができる。
原料用タンク15は、原料を貯蔵するものであり、原料用タンク15を上流として、原料用ポンプ16と、気化器17と、原料ガス供給ノズル12との順番で配管により接続されている。
原料用ポンプ16は、原料を気化器17を介して原料ガス供給ノズル12に供給する。気化器17は、原料用タンク15に貯蔵された原料をガス化する。
キャリアガス供給機18は、キャリアガスを貯蔵し、原料ガス供給ノズル12および反応管11内へ供給するものであり、原料ガス供給ノズル12へキャリアガスを供給するための第1キャリアガス供給機181と、内管122内側および反応管11と外管121との間へ供給するための第2キャリアガス供給機182とを備える。
第1キャリアガス供給機181は、気化器17と原料ガス供給ノズル12との間に接続されている。第2キャリアガス供給機182は、反応管11の供給口11Aと、内管122とに接続されている。
次に、以上に述べたカーボンナノファイバー製造装置1を使用して、気相成長炭素繊維を製造する手順の一例および作用を述べる。まず、原料用タンク15に、配合成分として、例えばベンゼン95質量%、フェロセン2質量%、チオフェン3質量%を成分とする原料を貯蔵する。また、第1キャリアガス供給機181および第2キャリアガス供給機182にキャリアガスとして例えば水素ガスを貯蔵する。さらに、電気炉13を700〜1200℃に温度設定して作動させる。そして、電気ヒータ1222を400〜450℃に設定して作動させる。
次に、第2キャリアガス供給機182を作動させて、水素ガスを反応管11の内壁と外管121との間の空間に例えば、3〜200L/minの流量で供給する。供給された水素ガスは、ハニカム111を通過して、整流される。整流された水素ガスは、反応管11内壁に沿って反応管11で区画された反応室11C内に供給される(図1中、破線の矢印参照)。この反応室11C内においては、反応管11内壁に沿って水素ガスを供給しているため、対流が起こらず、キャリアガスの流れ方向が反応管11供給口11A側から反応管11排出口11B側への反応管11内壁に沿ったピストンフローに近い気流となる。
同時に、第2キャリアガス供給機182の作動により、例えば水素ガスを内管122内側に10〜100L/minの流量で供給する。内管122内側に供給された水素ガスは、電気ヒータ1222により加熱される。加熱された水素ガスは、ハニカム1221を通過して整流される。整流された水素ガスは、反応管11の中心軸に沿って反応室11C内へ供給される(図1中、破線の矢印参照)。
次に、原料用ポンプ16および気化器17をそれぞれ作動させる。原料用ポンプ16により原料を原料用タンク15から気化器17に供給する。気化器17に供給された原料は、ガス化する。そして、ガス化した原料から成る原料ガスと、第1キャリアガス供給機181より供給される水素ガスとを混合した状態で、原料ガス供給ノズル12に供給する(図1中、破線の矢印参照)。
原料ガス供給ノズル12に供給された原料ガスは、環状噴射口12Aより噴射される。すなわち、原料ガスを反応させる反応管11で区画された反応室11C内に環状噴射口12Aから原料ガスを噴出すると、噴出された原料ガスは筒状の気流となって反応室11C内に流通する。
反応室11C内に環状の気流となって流通する原料ガスは、図1における矢印の方向に、つまり縦方向に、水平断面において環状(略リング状と称することもできる。)に、筒状の気流を形成して、反応室11C内を流れる。反応管11の内壁からは輻射熱が放射されているので、筒状の気流となって流通する原料ガスが分解し、生成する金属粒子を核にしてカーボンナノチューブの長さ成長及び太さ成長が進行しつつ下降していく。下降しつつ生成したカーボンナノチューブは、反応管11の排出口11Bへ流れ、捕集器14で捕集される。
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)原料ガス供給ノズル12は、原料ガスを噴射する環状噴射口12Aを有することにより、噴射された原料ガスは筒状の気流を形成して反応室11C内を流通するようになる。反応管11の軸線部分には原料ガスが流通しない。筒状の気流を形成して流通する原料ガスが反応管11内壁の近くを流れるようになるので、反応管11の内壁側から放射される輻射熱を受けて、反応管11の内壁からの熱を有効に利用するので、反応室11C内でカーボンナノファイバーを効率よく形成することができる。つまり、反応室11C内を流通する原料ガスの気流が円柱状となっていると、反応管11の内壁近傍において原料ガスが受ける輻射熱の程度と反応管11の軸線近傍において原料ガスが受ける輻射熱の程度との差が生じることにより、原料ガスの分解の程度が反応管11の内壁近傍と中心軸線近傍とで相違していたところ、前記原料ガス供給ノズル112によると、反応管11の内壁近傍で原料ガスが分解し、反応管11の中心軸線近傍には原料ガスが存在しないので中心軸線近傍での原料ガスの分解を考慮する必要がなくなり、均一な分解反応が実現される。すなわち、反応管11の径方向断面における温度のバラツキが減るため、原料ガスの反応における最適な温度に制御可能な範囲を大きくとることができ、その結果、原料ガスの未分解物を含まず、均一な品質を有するカーボンナノファイバーが生成されることが可能となる。
(2)原料ガス供給ノズル12が、外管121と内管122とを備え、外管121の内壁の端部と内管122の外壁の端部とで環状噴射口12Aが形成されているので、ノズル構造が簡易に成る。その結果、原料ガス供給ノズル12の製造コストを削減することができ、ひいてはカーボンナノファイバーの製造コストを下げることができる。
(3)内管122の先端部分の内部には、キャリアガスを整流する内部整流手段としてのハニカム1221が設けられている。これにより、反応管11の中心軸に沿ってキャリアガスが流れ、反応室11C内を流通する原料ガスを反応管11の内壁側へ押しやるようになり、換言すると、反応室11C内を流通する原料ガスが反応管11の中心軸線に分布することがなくなり、反応管11の内壁側からの熱が伝わり易くなるので、より原料ガスの反応効率を向上させることができる。
(4)内管122の中央部分かつ管内には、内管122の内部の温度を制御する温度制御手段としての電気ヒータ1222が設けられていることにより、電気ヒータ1222を通過するキャリアガスとしての水素ガスが加熱される。加熱された水素ガスは、反応管11の中心軸に沿って流れ、この中心軸側から、反応室11C内を流れる原料ガスに熱を与えるようになるので、より一層原料ガスの反応効率を向上させることができる。
(5)外管121外壁と反応管11内壁との間であって原料ガス供給ノズル12の先端部分には、キャリアガスとしての水素ガスを整流する外部整流手段としてのハニカム111が設けられていることにより、原料ガス供給ノズル12から水素ガスが、反応管11内壁に沿って、流れるようになり、反応管11内壁に生成物等が付着することを抑えることができる。したがって、外部整流手段を設けることにより反応管11の内壁に生成物付着を防止するという目的を達成することができる。
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は、本発明に含まれるものである。前記実施形態では、原料ガス供給ノズル12は、外管121と、内管122とを備え、外管121内壁と内管122外壁との間に環状のスリットとなっている環状噴射口12Aを備えるが、これに限られず、反応室11C内に筒状の気流となって原料ガスを噴出することができる限り様々の変形例を採用することができる。
例えば、図3に示すように、管状の外管の端部とその外管の内部に外管と同軸に配置された内管の端部とを閉塞する環状端面に、所定間隔をもって円状に配列された複数の環状列設噴射口22Aを設けるようにしてもよい。このような環状に列設された複数の環状列設噴射口22Aを設けると、各環状列設噴射口22Aから噴出した原料ガスが、隣に位置する環状列設噴射口22Aから噴出した原料ガスが相互に融合して筒状に流通する気流を形成することができ、この発明の目的を達成することができる。
また、図4に示すように、中心軸線から一定の距離をもって離れた位置に複数の単管ノズル321を円状に配列し、これら単管ノズルの先端部分である噴出口32Aを備えてなる原料ガス供給ノズル32を変形例として挙げることができる。この図4に示される原料ガス供給ノズル32においても、図2及び図3に示される原料ガス供給ノズルと同様の作用効果を示す。
前記実施形態では、反応管11、外管121、内管122の断面形状は、円形に限られず、適宜変更してもよい。反応管11、外管121、内管122の断面形状としては、例えば、三角形、四角形、五角形等の多角形状や、楕円形状等としてもよい。
前記実施形態では、整流手段としては、ハニカム111、1222を使用したが、これに限られず、ガスを整流する機能を有するものであれば、使用することができ、例えば、多孔質板や平行に配列された複数のフィンの集合体等が挙げられる。
前記実施形態では、温度制御手段としては、内管122内側に電気ヒータ1222を設けたが、これに限られず、原料ガス供給ノズル12の外で、温度を調節したキャリアガスを内管122内側に流すようにして、内管122内部の温度を制御するようにしてもよい。
前記実施形態では、原料としては、ベンゼン95質量%、フェロセン2質量%、チオフェン3質量%を成分とする原料を使用したが、これに限られず、適宜、目的の化合物を生成するための原料を使用してもよい。
その他、本発明を実施する際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲内で他の構造等としてもよい。
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明は実施例の内容に限定されるものではない。
[実施例1]
図1および図2に示されるカーボンナノファイバー製造装置1を使用して、以下に示す条件でカーボンナノファイバーとしてのカーボンナノチューブを製造した。
外管121の径 ;97mm
内管122の径 ;89mm
反応管11内壁の周辺温度 ;1180℃
反応管11の内壁と外管121との間の空間に供給される水素ガスの流量 ;30L/min
水素ガスを内管122内側に供給される水素ガスの流量; 40L/min
原料ガスとともに第1キャリアガス供給機181より供給される水素ガスの流量; 15L/min
原料 ;ベンゼン95質量%、フェロセン2質量%、チオフェン3質量%
[比較例1]
この比較例は、実施例1で使用される原料ガス供給ノズルの代わりに、従来からある単管ノズルを使用した以外は、前記実施例と同様にして実施した。この単管ノズルの内径は、32mmであった。
[評価方法および評価結果]
上記した実施例1および比較例1により得られた生成物を電子顕微鏡(SEM)により、観察した。実施例1におけるSEM写真を図5に示し、比較例1におけるSEM写真を図6に示す。
この実施例1の図5(SEM写真)によれば、10nm前後の均一な大きさ、形状を有するカーボンナノチューブが生成されたことがわかる。一方、比較例1の図6(SEM写真)によれば、カーボンナノチューブ自体が大きさ、形状ともに不均一であり、さらに、不純物のススも確認された。
以上、実施例1と比較例1との比較をすることにより、本発明に係る原料ガス供給ノズルを使用すると、反応室11C内の反応効率を向上させることができることがわかった。
図1は、本発明に係るカーボンナノファイバー製造装置を示す概略図である。 図2は、図1の原料ガス供給ノズル先端部分の端面を示す概略図である。 図3は、本発明に係る第1の変形例としての原料ガス供給ノズルの先端部分を示す概略図である。 図4は、本発明に係る第2の変形例としての原料ガス供給ノズルの先端部分を示す概略図である。 図5は、実施例1で得られた生成物を観察した電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である。 図6は、比較例1で得られた生成物を観察した電子顕微鏡(SEM)写真を示す図である。
符号の説明
1 カーボンナノファイバー製造装置
11 反応管
11A 供給口
11B 排出口
11C 反応室
12 原料ガス供給ノズル
12A 噴射口
13 電気炉
14 捕集器
15 原料用タンク
16 原料用ポンプ
17 気化器
18 キャリアガス供給機
22 原料ガス供給ノズル
22A 噴出口
32 原料ガス供給ノズル
32A 噴出口
111 ハニカム
121 外管
122 内管
1221 ハニカム
1222 電気ヒータ
181 第1キャリアガス供給機
182 第2キャリアガス供給機
321 単管ノズル


Claims (8)

  1. 円筒状の反応管の一端部に配設され、円筒状に形成される気流となるように原料ガスを噴出可能に形成されて成る噴射口を備えることを特徴とする原料ガス供給ノズル。
  2. 前記噴射口が、管状の外管における内壁の環状端部と、この外管の中心軸に沿って該外管の内部に設けられた管状の内管における外壁の環状端部とで形成されて成る環状噴射口である前記請求項1に記載の原料ガス供給ノズル。
  3. 前記噴射口が、管状の外管の端部とその外管の内部に外管と同軸に配置された内管の端部とを閉塞する環状端面に、所定間隔をもって円状に配列された複数の環状列設噴射口である前記請求項1に記載の原料ガス供給ノズル。
  4. 前記内管の内部に、反応管の軸心方向に噴出するキャリアガスを整流する内部整流手段が設けられて成ることを特徴とする前記請求項2又は3に記載の原料ガス供給ノズル。
  5. 前記外管の外壁と前記反応管の端部内壁との間に、反応管の内壁に沿う方向に噴出するキャリアガスを整流する外部整流手段が設けられて成ることを特徴とする前記請求項2〜4のいずれか1項に記載の原料ガス供給ノズル。
  6. 前記内管には、該内管の内部温度を制御する温度制御手段が設けられていることを特徴とする前記請求項2〜5のいずれか1項に記載の原料ガス供給ノズル。
  7. 原料ガスを分解してカーボンナノファイバーを生成する反応管と、この反応管の一端に設けられた前記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の原料ガス供給ノズルとを備えることを特徴とするカーボンナノファイバー製造装置。
  8. 加熱された反応管内に、前記反応管の一端に設けられた前記請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の原料ガス供給ノズルにおける噴出口から、円筒状の気流となるように原料ガスを噴出し、前記円筒状の気流内で前記原料ガスからカーボンナノファイバーを生成させることを特徴とするカーボンナノファイバーの製造方法。



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