JP2008137831A - カーボンナノチューブ製造装置及びそれを用いたカーボンナノチューブの製造方法。 - Google Patents

カーボンナノチューブ製造装置及びそれを用いたカーボンナノチューブの製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】カーボンナノチューブを大面積に十分に均一に且つ効率よく製造することが可能なカーボンナノチューブ製造装置及びそれを用いたカーボンナノチューブの製造方法を提供する。
【解決手段】反応炉10と、反応炉10に接続された原料ガス供給管11及び排気管12と、反応炉10内に配置された載置台13と、反応炉10内を所定温度に加熱するための加熱手段14とを備え、原料ガス供給管11を介して供給される原料ガスを載置台13上に配置された基板15上の触媒が配置される領域に接触させてCVD法によりカーボンナノチューブを合成するためのカーボンナノチューブ製造装置であって、 前記触媒配置領域上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口16との間の距離が100mm以下となるように複数の原料ガス吐出口16が配設されていることを特徴とするカーボンナノチューブ製造装置。
【選択図】図2

Description

本発明は、カーボンナノチューブ製造装置並びにそれを用いたカーボンナノチューブの製造方法に関する。
従来から、カーボンナノチューブを合成するために、基板上に配置した触媒に原料ガスを接触させるCVD(Chemical Vapor Deposition)法が採用されてきた。このようなCVD法によるカーボンナノチューブの合成に用いるカーボンナノチューブ製造装置としては、例えば、特開2001−240403号公報(特許文献1)に記載されているようなカーボンナノチューブ製造装置が挙げられる。そして、このような特開2001−240403号公報に記載の従来のカーボンナノチューブ製造装置は、図1に示すように、反応炉10と、反応炉10に接続された原料ガス供給管11及び排気管12と、反応炉10内に配置された載置台13と、反応炉10内を所定温度に加熱するための加熱手段14と、原料ガスを加熱するためのフィラメント20とを備えるものである。このような従来のカーボンナノチューブ製造装置においては、原料ガス供給管11を介して供給された原料ガスをフィラメント20により合成温度近くまで加熱した後に、基板15上に配置された触媒に接触させ、触媒表面上で原料の分解を起こし、カーボンナノチューブを合成していた。
特開2001−240403号公報
しかしながら、上述のような従来のカーボンナノチューブ製造装置においては、基板上の触媒を配置した領域にカーボンナノチューブを十分に均一に製造することができなかった。また、従来のカーボンナノチューブ製造装置においては、原料ガスの多くが合成反応に利用されずにそのまま排気されており、効率よくカーボンナノチューブを製造することができなかった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、基板上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を十分に均一にして原料ガスを接触させることができ、カーボンナノチューブを大面積に十分に均一に且つ効率よく製造することが可能なカーボンナノチューブ製造装置及びそれを用いたカーボンナノチューブの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、触媒配置領域の近傍に複数の前記原料ガス吐出口を配設することにより、基板上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を十分に均一にして原料ガスを接触させることができ、カーボンナノチューブを大面積に十分に均一に且つ効率よく製造することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のカーボンナノチューブ製造装置は、反応炉と、前記反応炉に接続された原料ガス供給管及び排気管と、前記反応炉内に配置された載置台と、前記反応炉内を所定温度に加熱するための加熱手段とを備え、前記原料ガス供給管を介して供給される原料ガスを前記載置台上に配置された基板上の触媒が配置される領域に接触させてCVD法によりカーボンナノチューブを合成するためのカーボンナノチューブ製造装置であって、
前記触媒配置領域上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口との間の距離が100mm以下となるように複数の前記原料ガス吐出口が配設されていることを特徴とするものである。
また、本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、反応炉と、前記反応炉に接続された原料ガス供給管及び排気管と、前記反応炉内に配置された載置台と、前記反応炉内を所定温度に加熱するための加熱手段とを備えるカーボンナノチューブ製造装置を用い、前記原料ガス供給管を介して供給される原料ガスを前記載置台上に配置された基板上の触媒が配置される領域に接触させてCVD法によりカーボンナノチューブを合成するためのカーボンナノチューブの製造方法であって、
前記触媒配置領域上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口との間の距離が100mm以下となるように配設されている複数の前記原料ガス吐出口から原料ガスを吐出することを特徴とする方法である。
本発明においては、上述のように、前記触媒配置領域上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口との間の距離が100mm以下となるように前記原料ガス吐出口が配設されていることから、前記触媒配置領域の近傍から原料ガスを吐出させることが可能となり、前記触媒配置領域に対する単位面積当たりの原料ガスの供給量を十分に均一にすることができ、前記触媒配置領域にカーボンナノチューブを十分に均一に且つ効率よく合成させることが可能となる。
上記本発明のカーボンナノチューブ製造装置においては、前記原料ガス供給管の一部が前記基板の近傍に配置されるように該原料ガス供給管が前記反応炉中に挿設されており、該原料ガス供給管に前記原料ガス吐出口が形成されていることが好ましい。
更に、上記本発明のカーボンナノチューブ製造装置においては、前記原料ガス供給管が基板及び/又は載置台に、前記原料ガス吐出口と該原料ガス吐出口に連通する原料ガス流路とが形成されており、該原料ガス流路に前記原料ガス供給管が接続されていることが好ましい。
また、上記本発明のカーボンナノチューブ製造装置においては、前記複数の原料ガス吐出口が、前記基板の表面に対して略平行な同一面内に配設されていることが好ましい。
また、上記本発明のカーボンナノチューブ製造装置においては、前記基板の表面と、前記複数の原料ガス吐出口が配設されている前記基板の表面に対して略平行な面との距離が、30mm以内であることが好ましい。
更に、上記本発明のカーボンナノチューブ製造装置においては、前記原料ガス供給管の前記反応炉内に配置されている部位が、前記原料ガス吐出口から吐出される原料ガスを前記所定温度近傍に加熱するために十分な長さを有することが好ましい。
また、上記本発明のカーボンナノチューブの製造方法においては、前記原料ガス供給管内を流れる原料ガスの流量を1〜1000cm/minとすることが好ましい。
さらに、上記本発明のカーボンナノチューブの製造方法においては、前記原料ガス吐出口における原料ガスの流速を1000cm/min以下とすることが好ましい。
また、上記本発明のカーボンナノチューブの製造方法においては、前記原料ガス吐出口から供給される原料ガス中の原料の濃度を10〜100体積%とすることが好ましい。
さらに、上記本発明のカーボンナノチューブの製造方法においては、前記原料ガス吐出口から供給される原料ガスの温度を500〜1000℃とすることが好ましい。
また、上記本発明のカーボンナノチューブの製造方法においては、反応炉と、複数の原料ガス吐出口を有し且つ該複数の原料ガス吐出口が前記反応炉内に配置されるようにして前記反応炉に接続された原料ガス供給管と、前記反応炉に接続された排気管と、前記反応炉内に配置された載置台と、前記反応炉内を所定温度に加熱するための加熱手段とを備えるカーボンナノチューブ製造装置を用意する工程と、
カーボンナノチューブの製造に使用する触媒を基板に供給し、基板上の所望の領域に触媒を配置する工程と、
前記触媒配置領域上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口との間の距離が100mm以下となるように、前記基板を前記載置台に載置する工程と、
前記複数の原料ガス吐出口から原料ガスを吐出して、前記触媒に接触させる工程と、
を含むことが好ましく、また、前記原料ガス吐出口から供給される原料ガスの温度が500〜1000℃となるように原料ガスを加熱する工程を更に含むことがより好ましい。
本発明によれば、基板上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を十分に均一にして原料ガスを接触させることができ、カーボンナノチューブを大面積に十分に均一に且つ効率よく製造することが可能なカーボンナノチューブ製造装置及びそれを用いたカーボンナノチューブの製造方法を提供することが可能となる。
以下、図面を参照しながら本発明のカーボンナノチューブ製造装置及びカーボンナノチューブの製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明及び図面中、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図2は、本発明のカーボンナノチューブ製造装置の好適な一実施形態の概略縦断面図である。
図2に示すカーボンナノチューブ製造装置は、反応炉10と、反応炉10に接続された原料ガス供給管11及び排気管12と、前記反応炉10の炉心管10a内に配置された載置台13と、反応炉10の炉心管10a内を所定温度に加熱するための加熱手段14とを備える。さらに、原料ガス供給管11は、原料容器21、還元性ガスボンベ22及び不活性ガスボンベ23にそれぞれ接続されている。そして、原料ガス供給管11内を流れるガスの流量はバルブ24a〜fにより調節可能となっている。また、載置台13上には基板15が配置されている。また、基板15の表面上には触媒粒子17が配置されている。更に、排気管12は除害装置25を介して排ガスが排気されるように構成されており、排気管12は排気装置26に接続されている。また、加熱手段14は加熱手段制御装置27に電気的に接続されている。また、原料ガス供給管11は、反応炉10の炉心管10a中に挿設され、原料ガス供給管11の一部が基板15の近傍に配置されている。さらに、原料ガス供給管11の基板15の近傍の部位には原料ガス吐出口16が配設されている。
図3は、図2に示すカーボンナノチューブ製造装置の炉心管内の概略横断面図である。図3に示すように、本実施形態においては、載置台13上に配置された基板15の表面上に触媒粒子17が配置されており、原料ガス供給管11の基板15の近傍の部位は、基板15上の触媒粒子17の配置された領域(触媒配置領域)を取り囲むようにしてU字型の形状となっている。そして、触媒配置領域17上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口16との間の距離が30mm以下となっている。また、原料ガス供給管11の終端は閉鎖されており、原料ガス供給管11の基板15の近傍の部位に配設されている原料ガス吐出口16は、基板を挟んで向かい合うようにして且つ隣り合う原料ガス吐出口16が10mm間隔で等間隔になるようにして、計14個形成されている。また、複数の原料ガス吐出口16は同一面内にあり且つ複数の原料ガス吐出口16を含む面が基板15の表面と略平行となっている。そして、このような原料ガス吐出口16により基板面に対してほぼ水平に原料ガスが吐出させることが可能となっている。また、このような原料ガス吐出口16の形状は特に制限されず、基板上の触媒領域に原料ガスを効率的に吐出することが可能な形状にその設計を適宜変更して用いることができる。本実施形態においては、このような原料ガス吐出口16の形状を直径3.0mmの円形とした。また、本実施形態においては、基板15の表面と、前記複数の原料ガス吐出口が配設されている前記基板の表面に対して略平行な面との距離は10mmとなっている。
反応炉10はカーボンナノチューブの製造に用いることが可能なものであればよく、特に制限されない。また、このような反応炉10及びその炉心管10aの材質、大きさ、形状等も特に制限されず、カーボンナノチューブを合成させる基板のサイズやその合成量等の種々の観点から、その製造目的に応じて、その設計を適宜変更することができる。本実施形態においては、反応炉10として、直径100mm、長さ900mmの円筒状の炉心管10aが形成されたものを用いている。また、本実施形態においては、炉心管10aは石英ガラス製である。
また、原料ガス供給管11は特に制限なく、公知の材料で製造されたものを適宜用いることができる。更に、原料ガス供給管11の大きさや形状も特に制限されず、カーボンナノチューブの製造目的に応じて、その設計を適宜変更することができる。本実施形態においては、原料ガス供給管11として、直径6.35mm(1/4インチ)のステンレス製のものであって、図3に示すような形状のものを用いている。そして、原料ガス供給管11には、図3に示すように原料ガス吐出口16が配設されている。また、このような原料ガス供給管11においては、上述のように、複数の原料ガス吐出口16が基板15の表面に対して略平行な同一面内に配設されていることが好ましい。このように原料ガス吐出口を配設させることで、カーボンナノチューブを前記触媒配置領域により高い水準で均一に製造できる傾向にある。
また、このような原料ガス供給管11としては、原料ガス供給管11の反応炉10内に配置されている部位が、前記原料ガス吐出口から吐出される原料ガスを所定温度近傍に加熱するために十分な長さを有することが好ましい。従来のカーボンナノチューブ製造装置においては、上述のように、反応炉内に加熱用のフィラメントを設けていたため、装置の構造が複雑となるばかりか、原料ガスを触媒の表面に達するまでに合成温度近くまで加熱する必要上、前記フィラメントによる加熱区間を長くとる必要があり、装置が大型化するという問題があった。これに対して、本発明において、前記原料ガス供給管の前記反応炉内に配置されている部位を、前記原料ガス吐出口から吐出される原料ガスを前記所定温度近傍に加熱するために十分な長さとすることによって、原料ガス供給管に原料ガスの加熱機能を発揮させることが可能となる。そのため、本発明においては、原料ガスを加熱するために新たな装置(従来技術のフィラメント等)が不要となり、カーボンナノチューブ製造装置の複雑化、大型化を防止できる。また、前記所定温度としては、カーボンナノチューブの合成温度近傍とすることが好ましい。このような原料ガスを前記所定温度近傍に加熱するために十分な原料ガス供給管11の長さは、原料ガス供給管11の材料の熱伝導度や加熱手段14の種類等によって適宜定められるものである。本実施形態においては、前記原料ガス供給管の前記反応炉内に配置されている部位のうちの図3中においてHで示される部位の長さが410mmとなるように設計されており、原料ガス供給管11の炉心管10a中に挿設された部位から原料ガス吐出口までの間に、原料ガス供給管11内において、原料ガスが炉心管10a内の熱によりカーボンナノチューブの合成温度近傍まで加熱されるようになっている。
また、本実施形態においては、原料ガス供給管11は、原料ガス供給管11を介して炉心管10a内に原料ガスを供給できるように、原料容器21、還元性ガスボンベ22及び不活性ガスボンベ23にそれぞれ接続されており、原料ガス供給管11に形成されたバルブ24a〜fにより、還元性ガス、不活性ガス、原料ガスの供給量をそれぞれ独立に制御できるようになっている。このような原料容器21、還元性ガスボンベ22及び不活性ガスボンベ23としては特に制限されず、公知のものを適宜用いることができる。
また、排気管12は特に制限されず、公知の材料で製造されたものを適宜用いることができ、その形状等もカーボンナノチューブ製造装置の構造等に応じて、適宜変更することができる。また、本実施形態においては、排気管12は除害装置25を介して排ガスが排気されるような構成をとっている。このような除害装置25としては、特に制限されず、コールドトラップ等の公知の構造のものを適宜用いることができる。また、排気管12は排気装置26に接続されている。排気装置26としては特に制限されず、公知の構造のものを適宜用いることができる。本実施形態においては、排気管12としてステンレス製のものを用い、除害装置25としてコールドトラップを用い、排気装置26として油回転ポンプを用いて排気している。
載置台13は、基板15を固定できるものであればよく、その材質、形状等は特に制限されず、公知のものを適宜用いることができる。このような載置台13としては、1000℃以上の融点を持ち、基板を載置する面が平面にできる材料からなるものが好ましく、例えば、石英ガラス製の載置台を好適に用いることができる。また、載置台13の大きさも特に制限されず、基板15の大きさ等により適宜変更することができる。本実施形態においては、載置台13として、石英ガラス製のものを用いている。
加熱手段14は特に制限されず、炉内をカーボンナノチューブの所定温度に加熱できる公知のヒーターを適宜用いることができる。本実施形態においては、波長1.0μm〜1.7μmの範囲にエネルギー分光分布のピークを有する輻射ヒーターが用いられている。また、加熱手段14と電気的に接続されている加熱手段制御装置27は、加熱手段14への供給電力を制御することができるものであればよく、特に制限されず、公知の制御装置を適宜用いることができる。本実施形態においては、このような加熱手段制御装置27として、温度計により基板15の温度を計測し、その計測データの入力により基板上の温度が所定の温度となるように加熱手段14への供給電力を制御するように予めプログラムされた装置を用いている。
基板15はその表面に触媒を配置し、その触媒配置領域上にカーボンナノチューブを製造させるために用いることができるものであればよく、カーボンナノチューブの製造に用いることが可能な公知の基板を適宜用いることができる。このような基板15としては、例えば、ガラス、セラミック、シリコン、金属等の材料により形成された基板が挙げられる。また、基板15の形状等は特に制限されず、合成炉の規模等に応じて、その設計を適宜変更できる。本実施形態においては、縦60mm、横100mmの大きさの石英ガラス製の基板を用いている。
さらに、前記触媒としては特に制限されず、カーボンナノチューブを製造させるために用いることができる公知の触媒粒子を適宜用いることができる。本実施形態においては、触媒粒子としてFe(鉄)粒子と、Mo(モリブデン)粒子と、アルミナ(Al)粒子とを含有する触媒粒子を用いている。ここで、このような触媒粒子について説明すると、Fe粒子は、カーボンナノチューブの成長を促す主触媒粒子として含有されるものである。また、このような触媒粒子においては、CVD前の加熱工程においては前記主触媒粒子同士が凝集して粒成長してしまう傾向にあるため、主触媒粒子同士の粒成長を防止するために、高融点金属であるMo粒子が助触媒粒子として含有されている。更に、このようなFe粒子とMo粒子は、CVD前の加熱工程中に反応して合金粒子となる傾向にあり、形成された合金粒子は、数nmという比較的小さな粒径を保ちやすいという特長がある。そして、アルミナ(Al)粒子は、Fe−Mo合金粒子同士が凝集することを避ける目的で含有され、Fe粒子とMo粒子と化学反応せずに立体障害物となる粒子である。
また、触媒粒子は、予め基板15を平滑に研磨し、洗浄した後に基板15上に配置する。触媒粒子を基板上に配置する方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、ディップコーティング法、真空蒸着法、スパッタリング法等を採用できる。本実施形態においては、マグネトロンスパッタを用いて基板15上に触媒粒子を配置している。より具体的には、先ず、スパッタ装置の真空チャンバ内にFe、Mo、アルミナターゲットをそれぞれ固定し、予め鏡面研磨及び洗浄を施した石英ガラス基板を真空チャンバ内に導入した後、10−5Paまで真空排気し、Arガスをチャンバ内に流通して2Paの圧力とし、その後、アルミナをスパッタして、膜厚換算で0.5〜10nmとなるようにして第一層を形成し、次いで、Moをスパッタして膜厚換算で0.1〜0.5nmとなるようにして第一層の表面に第二層を形成し、更に、Feをスパッタして膜厚換算で0.1〜0.5nmとなるようにして第3層を形成して、3層構造の触媒として基板上に触媒を配置する方法を採用することができる。なお、このようなスパッタ装置としては特に制限されず、公知のスパッタ装置を適宜用いることができ、例えば、北野精機社製の商品名「TWS」等を用いることができる。また、上述のようなスパッタ装置を用いて触媒を基板上に配置する方法においては、膜厚換算で成膜パラメータを制御しているが、このような極端に薄い膜厚では連続的な膜が形成されず、実際には島状構造となる。そして、このようにして配置される触媒粒子の平均粒子径は1〜20nm程度となる。
次に、図2に示す実施形態のカーボンナノチューブ製造装置を用いる本発明のカーボンナノチューブの製造方法として好適な方法について説明する。
このような本発明のカーボンナノチューブの製造方法として好適な方法は、前述のようにして配設された複数の原料ガス吐出口16から原料ガスを吐出する工程を含む方法である。このような方法によって、前記触媒配置領域の近傍から原料ガスを吐出させることが可能となるため、原料ガスの気流が前記触媒配置領域に接触するまでの間に旋回流となることが防止され、前記触媒配置領域への単位面積当たりの原料ガスの供給量を十分に均一とすることが可能となり、カーボンナノチューブを十分に均一に合成することが可能となる。なお、このような効果が得られる理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、従来のカーボンナノチューブ製造装置においては、原料ガス供給管の末端にある供給口から供給された原料ガスの気流が、反応炉内においてヒーター等の熱により旋回流(らせん状の気流)となっており、この気流の下で原料ガスが触媒配置領域に接触していたため、触媒配置領域に原料ガスを均一に接触させるのが困難であった。これに対して、本発明においては、前記触媒配置領域の近傍から原料ガスを吐出させるため、原料ガスの気流が前記触媒配置領域に接触するまでの間に旋回流となることが防止されるとともに、原料ガスを前記触媒配置領域にほぼ直接的に噴き付けることができることから、カーボンナノチューブが大面積に均一に且つ効率よく合成できるものと本発明者らは推察する。更に、本発明においては、前記触媒配置領域の近傍から原料ガスを吐出させるため、原料ガスと基板上の金属触媒粒子面との接触確率が向上することから、原料ガスの使用効率向上させることができるものと本発明者らは推察する。
このような原料ガスに含有させる原料は特に制限されず、反応炉内での合成反応により分解した際に炭素源とすることが可能な有機化合物を好適に用いることができる。このような有機化合物としては、例えば、メタン、エチレン等の炭化水素、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ベンゼン、スチレンなどの芳香族炭化水素化合物等があげられる。本実施形態においては、このような原料としてエタノールを用いている。
また、原料ガスには、原料とともにキャリアガスを含有させることができる。このようなキャリアガスとしては、水素、一酸化炭素等の還元性ガスや、窒素、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。本実施形態においては、このようなキャリアガスとして、水素とアルゴンの混合物を用いている。
また、このような原料ガスとしては、原料ガス中の原料の濃度が10〜100体積%(より好ましくは30〜70体積%)であることが好ましい。原料ガス中の原料の濃度が前記下限未満では、原料ガスの供給量が不十分となって、カーボンナノチューブを効率よく製造することが困難となる傾向にある。なお、このような原料ガスの濃度はバルブ24a〜fの開閉によって調整できる。また、本実施形態においては、このような原料ガス中の原料の濃度が体積比で全体の1/3となるように調整している。
さらに、原料ガス供給管11内を流れる原料ガスの流量としては、1〜1000cm/min(より好ましくは、50〜500cm/min)とすることが好ましい。このような原料ガスの流量が前記下限未満では、原料ガスの供給量が不十分となり、効率よくカーボンナノチューブを製造できない傾向にあり、他方、前記上限を超えると基板そのものが吹き飛ばされ易くなる。なお、本実施形態においては、このような原料ガスの流量が150cm/minとなるように調整している。
また、原料ガス吐出口16における原料ガスの流速としては、1000cm/min以下とすることが好ましい。原料ガスの流速が1000cm/minを超えると、原料ガス吐出口から噴き出す原料ガスの流速が大きすぎて、基板そのものが吹き飛ばされ易くなるし、また、基板上の触媒粒子や成長中のカーボンナノチューブが吹き飛ばされてしまう傾向にある。また、このような原料ガスの流速は、触媒配置領域上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口との間の距離が10mm未満である場合には、前記流速は10cm/min未満とすることがより好ましく、前記距離が10mm以上30mm未満である場合には、前記流速は10cm/min以上100cm/min未満とすることがより好ましく、前記距離が30mm以上100mm以下である場合には、100cm/min以上1000cm/min以下とすることがより好ましい。なお、本実施形態においては、このような原料ガスの流速が530.5cm/minとなるように調整している。
また、カーボンナノチューブの製造の際においては、加熱手段14により、炉心管10a内の温度がカーボンナノチューブの合成温度以上になるように加熱することが好ましい。このような合成温度は、カーボンナノチューブの製造に用いる触媒の種類や、原料の種類によって異なるものであり、一概には言えないが、エタノールを原料として用いる場合は600℃〜1000℃程度とすることが好ましい。なお、本実施形態においては、このような加熱温度が800℃となるように調整している。
また、カーボンナノチューブの製造の際においては、前記原料ガス吐出口から供給される原料ガスの温度を500〜1000℃となるように加熱する工程を更に含むことが好ましい。前記原料ガス吐出口から供給される原料ガスの温度が500℃未満では、原料が合成温度近傍の温度となっていないため、カーボンナノチューブを効率よく合成することが困難となる傾向にある。他方、前記原料ガス吐出口から供給される原料ガスの温度が1000℃を超えると、基板、載置台、反応炉を溶かしてしまう危険性がある。なお、原料ガス吐出口から吐出される原料ガスの温度を500〜1000℃となるように加熱する工程としては、前述のように原料ガス供給管11の反応炉10内に配置されている部位を、前記原料ガス吐出口から吐出される原料ガスを500〜1000℃に加熱するために十分な長さとすることにより、原料ガスの温度を500〜1000℃に加熱する方法や、別途、原料ガスの加熱手段を設けて、原料ガスの温度を500〜1000℃に加熱する方法等を適宜採用することができる。
さらに、カーボンナノチューブの製造の際においては、原料ガス吐出口16から吐出される原料ガスの温度がカーボンナノチューブの合成温度の±10°の範囲となるように予め加熱することがより好ましい。原料ガス吐出口16から吐出される原料ガスの温度を前記温度範囲となるように予め加熱することにより、より効率よくカーボンナノチューブを製造できる傾向にある。なお、本実施形態においては、炉心管10a内の原料ガス供給管11の部位Hが410mmとなるように設計されていることから、炉心管10a内の原料ガス供給管11内を通る原料ガスが、原料ガス吐出口16に到達する前に炉心管10a内の熱により加熱され、炉心管10a内の温度近傍(合成温度の±10°の範囲)まで加熱される。
また、カーボンナノチューブの製造方法においては、先ず、反応炉10の炉心管10a内の載置台13上に、原料ガス吐出口との間の距離が前述のような関係になるようにして基板15を配置し、反応炉内を真空排気した後に、還元性ガスを流通させながら、反応炉10内を所定の温度に加熱する。次いで、原料ガスを原料ガス供給管11に流して、複数の原料ガス吐出口16から原料ガスを吐出させる。このようにして複数の原料ガス吐出口16から原料ガスを吐出させることで、基板15上の触媒粒子17に原料ガスが接触し、触媒粒子17上で合成反応が起こり、カーボンナノチューブが製造される。そして、基板15に接触し反応を終えた残留ガスは、排気管を介して反応炉の外部に排気される。
このようにしてカーボンナノチューブを製造する際の基板近傍の概略縦断面図を図4に示す。カーボンナノチューブを製造する際には、前述のように、原料ガス吐出口16から原料ガスが基板15の表面と平行な方向(触媒に対して真横の方向)に吐出される。このようにして原料ガスを基板15の表面と平行な方向に吐出させることで、基板の表面と平行な方向に、原料ガスの濃度が均一な層(雰囲気)が形成されるものと推察される。そして、このような原料ガスの濃度が均一な層が基板の表面と平行な方向に形成されるため、基板上の触媒配置領域に、十分に均一な量の原料ガスを接触させることが可能となり、カーボンナノチューブを前記触媒配置領域に十分に均一に製造できるものと推察される。また、上述のようにして、触媒配置領域の近傍に配設された複数の原料ガス吐出口16から原料ガスを吐出させるため、原料ガス吐出口16から吐出された原料ガスの気流Aは、前記触媒配置領域に接触するまでの間に旋回流(らせん状の気流)となることがない。そのため、基板15上の触媒配置領域(成長面)に効率よく原料ガスが接触し、原料の使用効率が向上され、CVD法によりカーボンナノチューブ30を効率よく製造することができる。
以上、本発明のカーボンナノチューブ製造装置及びカーボンナノチューブの製造方法の好適な一実施形態について説明したが、本発明のカーボンナノチューブ製造装置及びカーボンナノチューブの製造方法は上記実施形態に限定されるものではない。
例えば、本実施形態においては、触媒配置領域17上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口16との間の距離が30mm以下となるようにして原料ガス吐出口16が配設されているが、本発明においては、前記距離は100mm(より好ましくは70mm、更に好ましくは50mm)以下であればよい。触媒配置領域17上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口との間の距離が100mmを超えると、原料ガス吐出口から実用的な流速で原料ガスを供給した場合に、原料ガス吐出口から供給される原料ガスの前記触媒配置領域への単位面積当たりの供給量にばらつき生じ、カーボンナノチューブを十分に均一に合成させることが困難となる。
また、本実施形態においては、前記基板の表面と、前記複数の原料ガス吐出口が配設されている前記基板の表面に対して略平行な面との距離は10mmとなっているが、本発明においては、前記距離が30mm以内であることが好ましい。このような距離が30mmを超えると、触媒に対して十分に均一な量の原料ガスを接触させることが困難となり、カーボンナノチューブを均一に製造できなくなる傾向にある。
また、本実施形態においては、原料ガス供給管11の形状を図3に示すようなU字型のものとしているが、本発明においては、原料ガス供給管11の形状は特に制限されず、例えば、図5に示すようなS字型の形状としてもよい。
また、本実施形態においては、原料ガス供給管11の基板15の近傍の部位に原料ガス吐出口16を形成させているが、本発明において、原料ガス吐出口16を形成する部材等は特に制限されず、例えば、前記基板及び/又は前記載置台に原料ガス吐出口を形成してもよい。すなわち、前記基板及び/又は前記載置台に前記原料ガス吐出口と前記原料ガス吐出口に連通する原料ガス流路とを形成し、前記原料ガス流路に前記原料ガス供給管を接続して、前記基板及び/又は前記載置台に形成された原料ガス吐出口から原料ガスが吐出される構成としてもよい。例えば、図6に示すように、基板15及び載置台13に原料ガス吐出口16に連通する原料ガス流路13a及び15aを形成し、基板15上に原料ガス吐出口16を形成させてもよい。図6に示すような実施形態においては、前記原料ガス流路に原料ガス供給管11が接続されて原料ガス供給管を介して原料ガスが原料ガス流路13a及び15aに流れ込むような構成となっており、原料ガス流路13a及び15aに流れ込んだ原料ガスは原料ガス吐出口16から吐出される。そのため、図6に示すような実施形態のものを用いた場合であっても、触媒配置領域17上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口16との間の距離が100mm以下となるように原料ガス吐出口16を配設させることが可能であり、これによって触媒配置領域の近傍から原料ガスを吐出することが可能となる。また、他の実施形態としては載置台13に原料ガス流路と原料ガス吐出口16とを形成させ、基板15を多孔質のものとすることが挙げられる。このように載置台13にのみ原料ガス吐出口16を形成させ、基板15として多孔質のものを用いることで、原料ガス吐出口16から吐出された原料ガスを基板15の細孔内に流すことが可能となり、これによって基板15の表面の細孔から原料ガスを吐出されるため、触媒配置領域の近傍から原料ガスを吐出することが可能となる。なお、基板15として前述のような多孔質のものを用いる場合においては、細孔を原料ガス吐出口としてもよい。上述のように、原料ガス供給管に前記原料ガス吐出口を形成するか、あるいは、基板及び/又は載置台に原料ガス吐出口を形成することにより、簡便な構造でありながら、前記触媒配置領域上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口との間の距離が100mm以下となるような位置に前記原料ガス吐出口を配設することが効率よく達成される。
また、他の実施形態としては、原料ガス供給管11に、原料ガス吐出口16が形成されたノズルを取り付けたものが挙げられる。このようなノズルの材料及び形状は特に制限されず、触媒配置領域17上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口16との間の距離が100mm以下となるように原料ガス吐出口16を配設させるようにすればよく、その設計を適宜できる。
また、本実施形態においては、原料ガス供給管11の部位H(図3)を直線形状としているが、本発明においては、原料ガス供給管11の部位Hの形状は特に制限されず、図7に示すような蛇行形状としてもよい。原料ガス供給管11の部位Hの形状を蛇行形状とすることで、より少ないスペースで、前記原料ガス供給管の前記反応炉内に配置されている部位を、前記原料ガス吐出口から吐出される原料ガスを前記所定温度近傍に加熱するために十分な長さとすることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
前述の図2に示すカーボンナノチューブ製造装置を用い、前述の方法と同様の方法を採用してカーボンナノチューブを製造した。すなわち、反応炉10としては、直径100mm、長さ900mmの円筒状の炉心管10aが形成されたものを用いた。また、原料供給管11としては直径6.35mm(1/4インチ)のステンレス製のものを用いた。また、原料供給管11としては、基板15の近傍の部位が図3に示すようなU字型のものを用いた。更に、原料供給管11には、図3に示すような原料供給管11の基板15の近傍の部位に、直径3.0mmの原料ガス供給口を、隣あった原料ガス供給口同士が10mm間隔となるようにして計14個形成させた。また、基板上の触媒配置領域17上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口16との間の距離が30mm以下となるようにした。また、前記原料ガス供給管の前記反応炉内に配置されている部位のうちの図3中においてHで示される部位の長さを410mmとなるようにした。
加熱手段14としては、波長1.0μm〜1.7μmの範囲にエネルギー分光分布のピークを有する輻射ヒーターを用いた。このような輻射ヒーターとしては、真空理工社製の商品名「P−610CP」を用いることができる。また、基板15としては、図8に示すXが60mm、Y100mmの石英ガラスからなる大面積基板を用い、基板上の図8に示すような領域S1〜S6の上に触媒粒子を配置させた。なお、領域S1〜S6はそれぞれ、縦20mm、横20mmの正方形の形状であり、用いた触媒粒子の種類、配置方法は前述の実施形態と同様の方法を採用した。
また、カーボンナノチューブの製造に際しては、原料としてはエタノールを用い、キャリアガスとしては水素とアルゴンの混合物(混合物中の水素の含有量が3体積%)を用いた。更に、原料供給管11に流す原料ガス流量は、150cm/min(原料50cm/min、キャリアガス100cm/min)となるように調整し、原料ガス供給口16から吐出される原料ガスの流速を530.5cm/minとなるように調整し、炉心管10a内の温度は加熱手段14を用いて800℃となるように調整した。このような条件で、原料ガス吐出口16から原料ガスを吐出させてカーボンナノチューブを製造したところ、カーボンナノチューブの成長速度は3μm/minであった。
このようにして得られたカーボンナノチューブ合成後の基板上面からの概観写真を図9に示す。基板上において触媒粒子を配置したS1〜S6のいずれの場所においても、ムラ無く黒色になっており、カーボンナノチューブがムラ無く成長している様子がよくわかる。図10は、基板面の領域S3で成長したカーボンナノチューブを観察したSEM写真であり、図11は、基板面の領域S4で成長したカーボンナノチューブを観察したSEM写真である。
図10〜11に示す結果から、カーボンナノチューブは成長方向が基板面に対しほぼ垂直方向となっていることが確認されるとともに、均一な膜厚のカーボンナノチューブが製造されていることが確認された。このような結果から、本発明のカーボンナノチューブ製造装置及び製造方法(実施例1)によれば、高品位のカーボンナノチューブが大面積に十分に均一に形成されることが分かった。なお、従来の方法では均一にカーボンナノチューブを製造できる領域の大きさは、大きく見積もっても四角形の場合で1辺30mm〜40mm程度であったが、本実施例では60mm×100mmの基板を用いて均一にカーボンナノチューブを製造することができた。このような結果から、本発明の製造方法を使用することにより、原理的に、炉心管に収まる範囲内であれば、更に大面積の領域に均一なカーボンナノチューブが製造できるということが分かった。
(比較例1)
原料ガス供給管が図12に示すようにして配置されたカーボンナノチューブ製造装置を用いた以外は、実施例1と同様の方法を採用してカーボンナノチューブを製造した。なお、比較例1においては、原料ガス供給管の端部の開口部から原料ガスを吐出させた。また、前記開口部から基板上の触媒領域の一番近い部位までの距離は300mmであり、100mmを超えていた。また、原料ガスの予熱もできていないので、CVD反応に必要な温度には到底及ばない低温のままの原料ガスが基板上へ供給されてしまった。更に、製造時における反応炉内を流れる原料ガスの流速は1.9cm/minであり、カーボンナノチューブの成長速度は0.5μm/minであった。このようにして得られたカーボンナノチューブ合成後の基板上面からの概観を図13に示す。
図13では、カーボンナノチューブの成長領域S1〜S6が、黒色と灰色のグラデーションになっており、比較例1で得られたカーボンナノチューブは、膜厚にムラがあり、不均一なものであることが分かる。このような結果は、炉心管10a内に供給された原料ガスの気流が旋回流となったことに起因するものと推察される。
以上説明したように、本発明によれば、基板上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を十分に均一にして原料ガスを接触させることができ、カーボンナノチューブを大面積に十分に均一に且つ効率よく製造することが可能なカーボンナノチューブ製造装置及びそれを用いたカーボンナノチューブの製造方法を提供することが可能となる。
したがって、本発明のカーボンナノチューブ製造装置により、装置構成の簡略化や製造効率の向上等が図れ、効率的なカーボンナノチューブの製造が可能となる。
従来のカーボンナノチューブ製造装置の一実施形態を示す概略縦断面図である。 本発明のカーボンナノチューブ製造装置の好適な一実施形態の概略縦断面図である。 図2に示すカーボンナノチューブ製造装置の炉心管内の概略横断面図である。 図2に示すカーボンナノチューブ製造装置の基板近傍の概略縦断面図である。 本発明のカーボンナノチューブ製造装置の好適な他の実施形態(S字型の形状の原料ガス供給管を用いた実施形態)のカーボンナノチューブ製造装置の基板近傍の概略縦断面図である。 本発明のカーボンナノチューブ製造装置の好適な他の実施形態(基板上に原料ガス供給管が形成されている実施形態)のカーボンナノチューブ製造装置の基板近傍の概略縦断面図である。 本発明のカーボンナノチューブ製造装置の好適な他の実施形態(原料ガス供給管の部位Hの形状が蛇行形状となっている実施形態)のカーボンナノチューブ製造装置の概略縦断面図である。 実施例1で用いた基板の概略上面図である。 実施例1で得られたカーボンナノチューブの合成後の基板上面からの概観写真である。 実施例1で得られたカーボンナノチューブの電子顕微鏡(SEM)写真である。 実施例1で得られたカーボンナノチューブの電子顕微鏡(SEM)写真である。 比較例1で用いたカーボンナノチューブ製造装置を示す概略縦断面図である。 比較例1で得られたカーボンナノチューブの合成後の基板上面からの概観写真である。
符号の説明
10…反応炉、10a…炉心管、11…原料ガス供給管、12…排気管、13…載置台、14…ヒーター、15…基板、16…原料ガス供給口、17…触媒、20…フィラメント、21…原料容器、22…還元性ガスボンベ、23…不活性ガスボンベ、24a〜f…バルブ、25…コールドトラップ(除害装置)、26…排気装置、27…加熱手段制御装置、30…カーボンナノチューブ、A…原料ガスの気流、S1〜6…触媒配置領域、X…基板の横の長さ、Y…基板の縦の長さ。

Claims (13)

  1. 反応炉と、前記反応炉に接続された原料ガス供給管及び排気管と、前記反応炉内に配置された載置台と、前記反応炉内を所定温度に加熱するための加熱手段とを備え、前記原料ガス供給管を介して供給される原料ガスを前記載置台上に配置された基板上の触媒が配置される領域に接触させてCVD法によりカーボンナノチューブを合成するためのカーボンナノチューブ製造装置であって、
    前記触媒配置領域上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口との間の距離が100mm以下となるように複数の前記原料ガス吐出口が配設されていることを特徴とするカーボンナノチューブ製造装置。
  2. 前記原料ガス供給管の一部が前記基板の近傍に配置されるように該原料ガス供給管が前記反応炉中に挿設されており、該原料ガス供給管に前記原料ガス吐出口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ製造装置。
  3. 前記基板及び/又は前記載置台に、前記原料ガス吐出口と該原料ガス吐出口に連通する原料ガス流路とが形成されており、該原料ガス流路に前記原料ガス供給管が接続されていることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ製造装置。
  4. 前記複数の原料ガス吐出口が、前記基板の表面に対して略平行な同一面内に配設されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ製造装置。
  5. 前記基板の表面と、前記複数の原料ガス吐出口が配設されている前記基板の表面に対して略平行な面との距離が、30mm以内であることを特徴とする請求項4に記載のカーボンナノチューブ製造装置。
  6. 前記原料ガス供給管の前記反応炉内に配置されている部位が、前記原料ガス吐出口から吐出される原料ガスを前記所定温度近傍に加熱するために十分な長さを有することを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ製造装置。
  7. 反応炉と、前記反応炉に接続された原料ガス供給管及び排気管と、前記反応炉内に配置された載置台と、前記反応炉内を所定温度に加熱するための加熱手段とを備えるカーボンナノチューブ製造装置を用い、前記原料ガス供給管を介して供給される原料ガスを前記載置台上に配置された基板上の触媒が配置される領域に接触させてCVD法によりカーボンナノチューブを合成するためのカーボンナノチューブの製造方法であって、
    前記触媒配置領域上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口との間の距離が100mm以下となるように配設されている複数の前記原料ガス吐出口から原料ガスを吐出することを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  8. 前記原料ガス供給管内を流れる原料ガスの流量を1〜1000cm/minとすることを特徴する請求項7に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  9. 前記原料ガス吐出口における原料ガスの流速を1000cm/min以下とすることを特徴とする請求項7又は8に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  10. 前記原料ガス吐出口から供給される原料ガス中の原料の濃度を10〜100体積%とすることを特徴とする請求項7〜9のうちのいずれか一項に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  11. 前記原料ガス吐出口から供給される原料ガスの温度を500〜1000℃とすることを特徴とする請求項7〜10のうちのいずれか一項に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  12. 反応炉と、複数の原料ガス吐出口を有し且つ該複数の原料ガス吐出口が前記反応炉内に配置されるようにして前記反応炉に接続された原料ガス供給管と、前記反応炉に接続された排気管と、前記反応炉内に配置された載置台と、前記反応炉内を所定温度に加熱するための加熱手段とを備えるカーボンナノチューブ製造装置を用意する工程と、
    カーボンナノチューブの製造に使用する触媒を基板に供給し、基板上の所望の領域に触媒を配置する工程と、
    前記触媒配置領域上の全ての点に関し、該点と、該点に対して最も近い位置に存在する原料ガス吐出口との間の距離が100mm以下となるように、前記基板を前記載置台に載置する工程と、
    前記複数の原料ガス吐出口から原料ガスを吐出して、前記触媒に接触させる工程と、
    を含むことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法。
  13. 前記原料ガス吐出口から供給される原料ガスの温度が500〜1000℃となるように原料ガスを加熱する工程を更に含むことを特徴とする請求項12に記載のカーボンノチューブの製造方法。
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