JP5608952B2 - カーボンナノチューブの製造装置および製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブの製造装置および製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で高効率で、高純度、高比表面積のカーボンナノチューブ集合体の製造装置および製造方法に関するものである。
近時、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料、および生体関連材料などの機能性新素材へのカーボンナノチューブ(以下、CNTとも称する)の展開が期待されており、その用途、品質、および量産性などに対する検討が精力的に進められている。
CNTの製造方法の一つに、化学気相成長法(以下、合成法とも称する)が知られている(非特許文献1、特許文献1、2参照)。この方法は、約500℃〜1000℃の高温雰囲気下で炭素化合物などの原料ガスを触媒の触媒微粒子と接触させることを特徴としており、触媒の種類や配置、あるいは原料ガスの種類や、還元ガス、キャリアガス、合成炉や反応条件といった態様を様々に変化させた中でのCNTの製造が可能であり、CNTの大量生産に適したものとして注目されている。
またこの合成法は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)とのいずれも製造可能である上、触媒を担持した基材を用いることで、基材面に垂直に配向した多数のCNTを製造することができる、という利点を備えている。
CNTの中でも単層CNTは、電気的特性(極めて高い電流密度)、熱的特性(ダイアモンドに匹敵する熱伝導度)、光学的特性(光通信帯波長域での発光)、水素貯蔵能、および金属触媒担持能などの各種特性に優れている上、半導体と金属との両特性を備えているため、電子デバイス蓄電デバイスの電極、MEMS部材、及び機能性材料のフィラーなどの材料として注目されている。
しかしながら、従来の化学気相成長法では、CNTの合成過程で発生する炭素系不純物が触媒微粒子を被覆し、触媒が容易に失活し、CNTが効率良く成長できなかった。触媒の活性は通常数パーセント程度で、寿命は1分程度であった。そのため、従来の単層CNT成長工程においては、低炭素濃度雰囲気で合成を行うのが普通であった。
ここで、低炭素濃度雰囲気とは、原料ガスおよび雰囲気ガスを含むガスに対する原料ガスの割合が0.1%〜1%程度の成長雰囲気のことを言う。従来の合成法で、炭素濃度を高くすると、触媒がさらに容易に失活し、CNTの成長効率がさらに低下してしまった。
結果として、従来の合成法では、触媒への原料ガスの供給が少ないため、CNTの成長速度が遅いだけでなく、高さが数十μm程度の単層CNT集合体しか製造できなかった。また、実際に成長工程で、導入した原料ガスがCNTに転化される割合も悪く、ほとんどの原料ガスが廃棄されてしまうため、コスト面からも問題があった。
本発明者らは、反応雰囲気中に水分などの触媒賦活物質を極微量存在させることにより触媒効率が劇的に向上するのを見出し、より高効率で、高純度、高比表面積の単層CNT集合体を製造することが可能であることを非特許文献1において報告した。
この方法では、CNTの合成雰囲気中に添加した触媒賦活物質が、触媒微粒子を覆った炭素系不純物を取り除いて、触媒層の地肌を清浄化する結果、著しく触媒の活性が向上するとともに寿命が延びる。この触媒賦活物質の添加により、触媒の活性が高められ、且つ寿命が延長した結果、従来は高々2分間程度で終了した単層CNTの成長が数十分間継続する上、触媒活性は従来の高々数パーセントから、84%にも改善することになった。
この結果、従来の高々4μmの高さから、その高さが数百倍著しく増大した(非特許文献1においては、高さ2.5ミリで、4μmから625倍の改善)単層CNT集合体が得られることとなった。これは、触媒賦活物質存在下においては、触媒活性が著しく向上するため、高炭素濃度環境下においても、触媒は活性を失わず、長時間のCNTの成長が可能となるとともに、成長速度が著しく向上するためである。ここで、高炭素濃度環境下とは、原料ガス、雰囲気ガス、および触媒賦活物質を含む原料含有ガスに対する原料ガスの割合が2%〜20%程度の成長雰囲気のことを言う。
Kenji Hata et al, Water-Assisted Highly Efficient Synthesis of Impurity-Free Single-Walled Carbon Nanotubes, SCIENCE, 2004.11.19, vol.306, p.1362-1364
特開2003−171108号公報 特開2007−261839号公報 特願2008−051321 特願2006−324416 特願2007−42672
またCNTを大量に製造するために、様々な原料ガスの供給手段やそれを備える製造装置が提案されている。例えば、特許文献4には、複数の原料ガス吐出口から原料ガスを基材上の触媒層表面に水平方向から吹きかけて、触媒層表面に、略均一に原料ガスを接触させ、カーボンナノチューブを大面積に略均一に且つ効率よく製造することが可能なCNT製造装置及び製造方法が開示されている。特許文献4に記載のCNT製造装置は、図15に示すように、基板の表面上の触媒粒子が配置された領域である触媒層2を取り囲むようにして、U字型の原料ガス供給管101を配置し、原料ガス供給管101に設けられた複数のガス吐出口102から原料ガスを触媒に噴出する。
特許文献4にはさらに、原料ガス供給管の反応炉内に配置されている部位が、原料ガス吐出口から吐出される原料ガスを所定温度近傍に加熱するために十分な長さを有する製造装置が開示されている。しかしながら、原料ガスは単一の流路を有するガス供給管から触媒層表面に吹きかけられるため、原料ガスは加熱領域内で異なる滞留時間を経たのちに、触媒に接触する。すなわち、触媒と接触する原料ガスの滞留時間を等しくする技術思想はない。
また、特許文献5には、原料ガスが供給される加熱領域内の第一部分に複数の中空部材を設け、原料ガスと加熱体との接触面積を増大し、原料ガスの分解を促進することで、低温でCNTを製造する製造装置が開示されている。従来技術で用いられた原料ガスの流路部に、複数の中空部材を備えたものであり、意図的に加熱体積を増加・調整させ、原料ガスの滞留時間を増加・調整する技術思想、及び基材上の触媒に原料ガスを略均一の量で、かつ略等しい滞留時間をもって接触させる技術思想はない。
触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下での、CNTの合成は、従来と比較して格段の、成長効率の向上をもたらした。しかしながら、本手法を用いて、CNT集合体を製造する場合には、従来の合成法にはなかった触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下特有の技術課題が発生する。
上記環境下で合成を行うと、形成されたCNTが高濃度の原料ガス中に曝露され炭素不純物が付着し、純度、比表面積の低下がおきやすい。
また、連続合成装置等を用いて、CNTを大量に製造する場合には、成長速度と、収量等の成長効率は安価なCNTを大量に製造するための重量な要因であることから、触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で成長効率を向上させる合成法の開発は重要である。
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の主な目的は、原料ガスの炭素重量フラックスを調整するのみならず、従来は長くすることが検討されなかった、原料ガスが合成炉中で加熱される滞留時間を長くし調整することで、原料ガスの分解を促進、最適化し、CNT成長にもっとも最適な形態の原料ガスを触媒に接触させることで、高効率で、高純度、高比表面積のCNT集合体を製造する方法と装置を提供することにある。
また、本発明の別の主目的は、炭素重量フラックスと滞留時間が調整された原料ガスを、基材上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を略均一にして接触させることで、高純度、高比表面積のCNT集合体を、大面積に略均一に且つ効率よく製造する装置を提供することにある。
さらに、本発明は、炭素重量フラックスと滞留時間が調整された原料ガスが、基材上の触媒に接触する際の滞留時間を、等しくすることで、高純度、高比表面積のCNT集合体を、大面積に略均一に且つ効率よく製造する装置と製造方法を提供することを目的とする。
特に、触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境の成長工程で、成長速度が著しく向上し、触媒寿命が延びたCNTの合成に最適化な製造方法とそれを実施する装置を提供することを目的とする。
なお、本明細書で言う「CNT集合体」とは、成長用基材から一定の方向に成長した複数のCNTの集合体を言い、このCNT集合体をまとめて基材から剥離して得られた物体でも良い。その場合、CNT集合体は粉体状であっても良い。
また、明細書中において成長速度とはCNTの成長始め時刻から1分間に成長したCNTの高さ(μm/min)と定義する。成長速度は特許文献3に記載のテレセントリック測定システムを用いて成長時間1分での高さから求めてもよい。また、より簡便に成長工程の成長時間を1分としてCNT集合体を製造して、製造後に高さを計測してもよい。
発明者らは鋭意研究の結果、高温下の炉内において、原料ガスを、金属触媒を表面に有する基材に接触させカーボンナノチューブを成長させる化学気相成長法において、原料ガスが加熱される滞留時間および単位面積・単位時間あたりに流れる炭素量を示す炭素重量フラックスを最適化し、原料ガスを略均一な量かつ略等しい滞留時間で、基材に配設された触媒に接触させることにより触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で、高効率で、高純度、高比表面積のカーボンナノチューブ集合体を製造する方法および実現するための装置を提供するに至った。
本発明のカーボンナノチューブの製造装置は、合成炉と、前記合成炉に連通するガス供給管およびガス排気管と、前記合成炉内を所定温度に加熱するための加熱手段と、前記ガス供給管を介して供給される原料ガスを前記合成炉内に噴出するガス噴出手段とを備え、前記ガス供給管を介して供給される原料ガスを、前記加熱手段により加熱された前記合成炉の加熱領域内に供給して、基材に設けられた触媒層表面からカーボンナノチューブを製造し、前記ガス排気管より、原料ガスを排気するカーボンナノチューブの製造装置であって、前記基材上に設けられた前記触媒層表面に、原料ガスを略均一の量で、かつ略等しい滞留時間をもって接触させる滞留時間調整手段を備えることを特徴とする。
本発明のカーボンナノチューブの製造装置は、合成炉と、前記合成炉に連通するガス供給管およびガス排気管と、前記合成炉内を所定温度に加熱するための加熱手段と、前記ガス供給管を介して供給される原料ガスを前記合成炉内に噴出するガス噴出手段と、前記加熱手段によって加熱された加熱領域内に配設されたガス噴出手段を備え、前記ガス供給管から供給される原料ガスを複数の方向に分配するガス流形成手段と、前記加熱手段により加熱される原料ガスの滞留時間を調整する滞留時間調整手段と、原料ガスの炭素重量フラックスを調整する炭素重量フラックス調整手段とを備え、原料ガスを前記加熱手段により加熱された前記合成炉の前記加熱領域内に供給して、基材に設けられた触媒からカーボンナノチューブを製造し、前記ガス排気管より、原料ガスを排気することを特徴とする。
このカーボンナノチューブの製造装置において、前記滞留時間調整手段が、乱流抑制手段を備えることが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、前記滞留時間調整手段が、加熱領域内で加熱される原料ガスの加熱体積を調整することが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、前記加熱体積の調整が加熱体積を増大させることが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、ガス流形成手段が、基材平面に対して略平行方向の原料ガス流を形成することが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、前記ガス噴出手段が基材平面に対して略垂直方向の原料ガス流を形成することが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、前記滞留時間調整手段がガス流形成手段と連通して設けられていることが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、基材上に設けられた触媒層表面と、該触媒表面に対向して設けられたガス流形成手段に設けられたガス噴出手段との距離が40mm以上を有することが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、前記滞留時間調整手段がガス供給管と連通して設けられていることが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、前記滞留時間調整手段が、複数のガス噴出手段を備えることが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、前記滞留時間調整手段が、ガス供給管から供給される原料ガスを、複数の方向に分配する、ガス流形成手段を備えることが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、滞留時間調整手段、ガス流形成手段、乱流抑制手段のいずれかすくなくとも一つが耐熱合金であることが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、滞留時間調整手段、ガス流形成手段、乱流抑制手段のいずれかすくなくとも一つが浸炭防止層を備えることが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、前記加熱領域で加熱手段により加熱される原料ガスの流路の加熱体積と排気流路の排気体積とを規定し、前記加熱領域は、該加熱体積が該排気体積より大きいことが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造装置において、前記複数のガス噴出手段から噴出される原料ガスの流路の断面積が、該原料ガスの流路と触媒形成面と交わる面の面積とほぼ一致してなることが好ましい。
本発明のカーボンナノチューブの製造方法は、原料ガスと雰囲気ガスとの供給量から炭素重量フラックスを調整して得られた該原料ガスと該雰囲気ガスとを合成炉に供給し、原料ガスを略均一の量で、かつ略等しい滞留時間をもって基材上の触媒層に接触させてカーボンナノチューブを成長することを特徴とする。
このカーボンナノチューブの製造方法において、原料ガスは基材平面に対して略平行方向に複数の方向に原料ガス流を形成した後に、基材平面に対して略垂直方向から基材上の触媒層表面に接触することが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造方法において、カーボンナノチューブを成長する工程の前に、還元ガスを供給して触媒膜に触媒微粒子を形成する工程をさらに含むことが好ましい。
このカーボンナノチューブの製造方法において、カーボンナノチューブを成長する工程の前に、原料ガスが基材に接触してからガス排気管より排出されるまでの流路において加熱領域内に含まれる流路の体積として規定される排気体積を、原料ガスがガス供給管より供給され基材に接触するまでの流路において加熱領域内に含まれる流路の体積として規定される加熱体積より小さくなるように調節して基材を加熱領域に設置する工程をさらに含むことが好ましい。
本発明の方法によれば、従来手法に比べ、高収量、高速成長で、高比表面積、高純度のCNT集合体を製造できるため、原料ガスの無駄を大きく減らすことが可能であると共に短時間で高純度、高表面積のカーボンナノチューブ集合体を大量に製造することが容易である。このため、産業界への利用が十分に期待できるものである。
本発明に適用されるCNT製造装置を概念的に示した図である。 本発明に適用されるCNT製造装置を概念的に示した図である。 ガス流形成手段の形状・形態の例を示した図である。 炭素重量フラックスの定義の例を示した図である。 炭素重量フラックスの定義の例を示した図である。 実施例1におけるCNT製造装置を概念的に示した図である。 実施例1で製造されたCNT配向集合体の一例の写真である。 加熱長および炭素重量フラックスによるCNTの成長結果の例である。 本発明に適用されるCNT製造装置の別の例を概念的に示した図である。 本発明に適用されるCNT製造装置の別の例を概念的に示した図である。 本発明に適用されるCNT製造装置の別の例を概念的に示した図である。 本発明に適用されるCNT製造装置の別の例を概念的に示した図である。 本発明に適用されるCNT製造装置の別の例を概念的に示した図である。 本発明に適用されるCNT製造装置の別の例を概念的に示した図である。 従来のCNT製造装置を概念的に示した図である。
以下に本発明の構成要素について添付の図面を参照して詳細に説明する。
本発明が適用される合成装置の一例を図1および図2に示す。この合成装置は触媒層2を備える基材1を受容する例えば石英ガラス等からなる合成炉3と、合成炉3の上壁に設けられ、合成炉3と連通するガス供給管4と、下流側の下壁もしくは側壁に設けられ、合成炉3と連通するガス排気管5と、合成炉3を外囲して設けられた例えば抵抗発熱コイルなどからなる加熱手段6と、炉内温度を所定の温度に調整するための加熱温度調整手段と、加熱手段6と加熱温度調整手段により、所定温度に加熱された合成炉3内の加熱領域7とを備える。また、加熱体積が排気体積より大きくなるように、合成炉3内の加熱領域7に、触媒層2を備える基材1を保持するための基材ホルダ8が設けられている。
基材ホルダ8及びまたは、触媒層2の上方の加熱領域7内には、ガス供給管4から供給される原料ガスを分配・分散させ、複数の方向へ流れる原料ガス流を形成させる、ガス流形成手段21が配置されている。ガス流形成手段21は、基材1表面に対して略平行の複数の方向に原料ガスの流れを形成する。またガス流形成手段21には、基材1平面に対して略垂直方向の原料ガス流を形成する複数の、ガス噴出手段20が設けられている。ガス噴出手段20は、基材1の表面に対して、略平行な同一面内に配設されている。
このようなガス流形成手段21を用いることにより、ガス供給管4から供給された原料ガスを、基材1平面と略平行な平面に展開・分散してから、基材1平面と略垂直方向から触媒と接触させることができる。そのため原料ガスを、基材1上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を略均一にして触媒に接触させることができる。
ガス噴出手段20と触媒層2の間には、滞留時間を増加およびまたは調整するために、意図的に増加およびまたは調整された加熱体積と、ガス流形成手段21と接続かつ連通された、複数枚の複数の孔を備える、板状の整流板からなる乱流抑制手段22から構成される滞留時間調整手段14が設けられている。加熱体積を増加させるため、基材1上に設けられた触媒層2表面と、該触媒表面に対向して設けられたガス噴出手段20との距離を40mm以上(より好ましくは70mm)とする。
このようにすれば、滞留時間調整手段14中の、原料ガスの流路の断面積が大きくなり、加熱体積、及び、滞留時間を増加・調整させることが容易になる。
従来は、ガス噴出手段20と、触媒層2との距離が長くなると合成炉3が大きくなり、合成装置が複雑化するため、通常、触媒層2に均一に原料ガスが供給できる限界まで(10mm程度)、距離を短くすることが好ましいとされてきた。
本発明では、原料ガスが加熱領域内7で加熱される加熱体積を増加させ、従来は長くすることを検討されなかった滞留時間が長くなる方向に調整した。そのため、原料ガスの分解が促進し、CNTの成長により好適な形態の原料ガスを触媒に接触させ、従来よりも効率良くCNTを合成することができた。
乱流抑制手段22は滞留時間調整手段14内の原料ガスの乱流を抑制し、滞留時間調整手段14内を流れる原料ガスの滞留時間を、略等しくし、結果として、基材1上の触媒に接触する際の滞留時間を、略等しくすることに格段の効果を奏する。意図的に増加させた、加熱体積を有する加熱領域7内では、乱流が発生しやすく、乱流があると、滞留時間調整手段14内を流れる原料ガスの滞留時間が長くはなるものの、等しくならない。
合成装置は、CNTの原料となる炭素化合物を収容する原料ガスボンベ9、触媒賦活物質を収容する触媒賦活物質ボンベ10、原料ガスや触媒賦活物質のキャリアガスを収容する雰囲気ガスボンベ11、および触媒を還元するための還元ガスボンベ12を備えており、これらのボンベからのそれぞれのガスの供給量をガスフロー装置で制御可能な炭素重量フラックス調整手段13を備えている。炭素重量フラックス調整手段13は最適化された量の原料ガスを触媒に接触させるために好適である。
ガス供給管4、ガス排出管5、並びに各供給部の適所には、逆止弁、流量制御弁、および流量センサが設けられており、図示されていない制御装置からの制御信号によって各流量制御弁を適宜に開閉制御することにより、所定流量の原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、並びに還元ガスが、ガス供給管4から反応プロセスに応じて連続的にあるいは間欠的に合成炉3内に供給されるようになっている。
〔炭素重量フラックス〕
炭素重量フラックスとは、広義には、単位時間当たりに単位面積当たりの触媒層に接触する炭素の重量を表したものである。炭素重量フラックスは、触媒に接触する炭素の量を表すため、CNTの重要な製造条件である。
〔合成炉〕
合成炉3とは、触媒を担持した基材1を受容し、CNTの合成を行う炉のことを指す。合成炉3の材質は、CNTの成長を阻害せず、成長温度で触媒を担持した基材1を受容することができ、炉内の均熱性を保ち得るものとすると良い。さらには、大量のCNTを合成するために、合成炉3は、基材1を複数、もしくは連続的に供給・取り出しを行うシステムを装備していてもよい。
本発明の効果を得るためには合成炉3は横型よりも縦型であることが好ましい。ここで縦型合成炉とは、原料ガスが縦(鉛直)方向から供給される合成炉を示す。原料ガスを縦(鉛直)方向から供給すると、基材1を水平方向に配設し、かつ、原料ガスを鉛直方向から、触媒に接触させることが容易なため好ましい。
〔ガス供給管〕
ガス供給管4は炭素重量フラックス調整手段13から供給された原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、還元ガスなどを、合成炉3内、及びまたはガス流形成手段21、及びまたは滞留時間調整手段14に供給する配管を指す。なお、ガス供給管4は、ガスのみならず、液体を供給してもよい。ガス供給管4は、合成炉3の上壁、およびまたは、側壁に設けられた、開口から合成炉3内へ挿設するのが、原料ガスを縦(鉛直)方向から供給するために好ましい。配管の一部は合成炉3の中に挿入されていてもよく、加熱領域7内にその末端が設けられていてもよい。合成炉3の中に挿入されている配管は各種ガスと反応せず、高熱下においてもその品質、形状を保ち得るものであればよく、石英、各種金属材料などが挙げられる。
〔ガス排気管〕
ガス排気管5は、合成炉3から、雰囲気ガス、触媒賦活物質、還元ガス、原料ガス等を排気する配管、ダクト等の手段を指す。なお、ガス排気管5は、ガスのみならず、液体を排気してもよい。ガス排気管5の材料は各種ガスと反応せず、その品質、形状を保ち得るものであればよく、石英、各種金属材料などが挙げられる。ガス排気管5は、合成炉3の下壁、およびまたは、ガス供給管4より下側の側壁に設けられた、開口から合成炉3内へ挿設するのが好ましい。このように、ガス供給官4とガス排気管5を配設すれば、合成炉3内で原料ガスが縦(鉛直)方向から触媒に供給され、後述するように、乱流を抑制し、基材1上に設けられた触媒層2表面に、原料ガスを略均一の量で、かつ略等しい滞留時間をもって接触させるのに好ましい。
〔加熱手段および加熱領域〕
加熱手段6は、合成炉3を外囲するように設けられた合成炉3、およびまたは滞留時間調整手段14を加熱するための装置を指す。電熱線を用いるもの、赤外線を用いるものなど既存の加熱手段6を用いることができる。なお、本明細書で言う加熱領域7とは、加熱手段6により、加熱された合成炉3、及びまたは滞留時間調整手段14の内部の空間を言う。
〔ガス流形成手段〕
ガス流形成手段21とは、ガス供給管4から供給される原料ガスを、複数の方向に分配する手段のことである。ガス流形成手段21は、原料ガスを複数の方向に分配・分散することができれば、材質、形状等は特に制限されず、公知のものを適宜用いることができる。
ガス流形成手段21の形状・形態としては、図3に示すように、円盤状、円筒状、平面上で中空構造を有するものや、パイプ状の配管を用いるもの、複数の枝分かれするパイプ状の配管や、これらの組み合わせを例示できる。
ガス流形成手段21を用いれば、ガス供給管4から点状に供給される原料ガスを、平面状に分配・分散させ、平面基材1上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を略均一にしてかつ略等しい滞留時間をもって接触させるために格段の効果を奏する。ガス流形成手段21を用いて、複数の方向に分配される原料ガスは、異なる複数の方向に流れる原料ガス流を形成する。原料ガス流の流れる複数の方向の軸線の間の最大角度が、90度以上(より好ましくは180度以上)になることが、ガス供給管4から点状に供給される原料ガスを、平面状に分配・分散させるためには好ましい。
また、ガス流形成手段21が対称軸を有し、対称軸上にガス供給管4が連通されていることは、ガス供給管4から点状に供給される原料ガスを、平面状に分配・分散させるためには好ましい。また、基材1平面に対して略平行方向な複数の方向に原料ガス流を形成するガス流形成手段21は、上記効果を得るために好ましい。略平行方向とは、ガス流形成手段21により、複数の方向に分配・分散された原料ガスが流れる方向の軸線が基材1の法線と成す角が45以上135°未満となるような方向を示す。
ここで、略均一の供給量とは、本発明の効果が得られる程度に、原料ガスの供給が均一であることを意味する。すなわち、基材1上の触媒を配置した領域のおおよそ全面からCNTが合成できる程度であればよい。
〔ガス噴出手段〕
ガス噴出手段20とは、ガス供給管4から合成炉3内に供給された、原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、還元ガス等を合成炉3内で噴出する手段である。ガス噴出手段20を複数、適宜ガス流形成手段21およびまたは滞留時間調整手段14に分散・配設することで、基材1の触媒に接触する原料ガスの量を均一化する、およびまたは、触媒に接触する原料ガスの滞留時間を等しくすることに効果がある。ガス噴出手段20としては、配管、中空部材などから構成されるガス流形成手段21に配設された噴出孔や、ノズル、実質的な噴出孔が無数にあるようなポーラス材料を例示できるが、上記の効果があれば、適宜の形態の物を用いることができる。
ガス噴出手段20は複数、ガス流形成手段21に設けるのが、上記効果を得るために好ましい。ガス噴出手段20の間隔は、複数のガス噴出手段20から噴出されるガスが、略均一な原料ガス流を形成するようにすることが好ましい。略均一とは、原料ガス流の断面平面を、原料ガスが略均一の量で流れることを示す。基材1平面に対して略垂直方向の原料ガス流を形成するように配設された、複数のガス噴出手段20は、上記効果を得るために好ましい。また、複数のガス噴出手段20が、基材1の表面に対して、略平行な同一面内に配設されていることは、上記効果を得るために好ましい。
略垂直方向とは、ガス噴出手段20の、噴射軸線が基材1の法線と成す角が0以上45°未満となるような方向を示す。つまりガス管に設けられたガス噴出手段20から噴出するガス流の方向が、基材1の触媒層2に鉛直方向から接触するようにされていることを指す。
ガス噴出手段20とガス供給管4との間の角度の最大値が、90度以上(より好ましくは180度以上)になることが、ガス供給管4から点状に供給される原料ガスを、平面状に分配・分散させるためには好ましい。
〔滞留時間調整手段〕
滞留時間調整手段14とは、滞留時間を意図的に増加、及びまたは調整させることで、原料ガスの滞留時間を増加・調整し、最適化する手段のことである。しかるに滞留時間調整手段14は、原料ガスの滞留時間を調整、最適化できる手段であれば、形状形態を問わず、公知の何らかの手段を適宜用いることができる。滞留時間調整手段14を用いると、従来は長くすることを検討されることのなかった滞留時間を、長くする方向に調整し、最適化することができ、触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で、高収量、高速成長で効率良くCNT集合体を製造することに著しい効果がある。
滞留時間調整手段14が、加熱領域7内で加熱される原料ガスの加熱体積を意図的に、増加及びまたは調整する手段を有することは上記効果を得るために好ましい。また、加熱体積を増加させるための手段としては、加熱領域7内で、基材1上に設けられた触媒層2表面と、該触媒表面に対向して設けられたガス噴出手段20との距離が40mm以上に設置すること、大きな加熱体積15を有する中空状の構造体を原料ガス流路に設けること、また、乱流が発生しない程度の断面積を有する蛇行し、長くさせたパイプ状の加熱領域7内のガス配管等を例示できる。このような滞留時間調整手段14においては、基材1上に設けられた触媒層2表面と、該触媒表面に対向して設けられたガス噴出手段20との距離を調整すること、大きな加熱体積を有する中空状の構造体中に加熱体積を減少させるブロック等を設置すること、または、加熱領域7内のガス配管の長さを調整することにより、滞留時間を調整することできる。さらには、雰囲気ガスの流量を増減させることにより、滞留時間を微調整することも可能である。滞留時間調整手段14としては、原料ガスの流路の断面積が大きい形態が望ましい。そのため、滞留時間調整手段14をガス流形成手段21の後に連通させ、ガス流形成手段21により、複数の方向に分配・分散し、大きな流路断面積で流れる原料ガスを、滞留時間調整手段14中に流すのが好ましい。
基材1上に設けられた触媒層2表面と、該触媒表面に対向して設けられたガス噴出手段20との距離が40mm以上あると、滞留時間を4秒から30秒間の範囲に調整することが容易になり、好適である。逆に基材1上に設けられた触媒層2表面と、該触媒表面に対向して設けられたガス噴出手段20との距離が40mm未満であると、滞留時間を長くし、最適な値に調整することが困難となる。
基材1上に設けられた触媒層2表面と、該触媒表面に対向して設けられたガス噴出手段20との距離に特段の上限はないが、非常に長くなると装置が大型化するため、100cm以下であることが好ましい。
さらに、触媒層2の全ての点に関し、基材1上に設けられた触媒層2表面と、該触媒表面に対向して設けられたガス噴出手段20との距離が70mm以上となるように境界が配設されていれば、滞留時間を6秒〜30秒の範囲に調整することが容易になり、より好適である。
〔乱流抑制手段〕
乱流抑制手段22とは、原料ガスが、ガス供給管4から合成炉3内の加熱領域7に供給されてから、触媒に接触するまでの間に乱流となることを抑制する手段であればよく、形状等はとくに制限されず、形状、材質等、整流板、ハニカム等、公知の方法を適宜用いることができる。
また、乱流が発生しにくいガス配管を用いても良い。このような乱流抑制手段22を用いると、基材1上の触媒に接触する際の滞留時間を、略等しくすることに格段の効果を奏する。
特に滞留時間調整手段14は、一般的に大きな加熱体積を有するため、乱流が発生しやすいため、滞留時間調整手段14に乱流抑制手段22を備えるとよい。乱流が発生すると、原料ガスの滞留時間が等しくならず、基材1上に設けられた触媒層2表面に、原料ガスを略等しい滞留時間をもって接触させることが困難となる。本発明において、略等しい滞留時間とは、本発明の効果が得られる程度に、滞留時間が等しければよい。本発明の実施の形態の場合には、本発明の効果を得るためには、滞留時間が4秒〜30秒の範囲に滞留時間があれば好ましく、より好ましくは、7秒〜15秒の範囲である。すなわち、多少の乱流などにより、原料ガスの滞留時間にばらつきがあっても、本発明の効果を得ることができればよい。
〔製造装置の材質〕
製造装置の一部、特に滞留時間調整手段14、ガス流形成手段21、ガス噴出手段20、乱流抑制手段22の材質は、その機能を発現できるものであればよく、公知の物を適宜用いることができる。このような、生産装置の一部、特に滞留時間調整手段14、ガス流形成手段21、ガス噴出手段20、乱流抑制手段22の材質は耐熱合金とすると良い。耐熱合金は、加工性、機械的強度に優れるために、構造が複雑な形状を生産装置の一部の作るために好ましい。
耐熱合金としては、耐熱鋼、ステンレス鋼、ニッケル基合金等が挙げられる。
なお、Feを主成分として他の合金濃度が50%以下のものが耐熱鋼と一般に呼ばれる。また、Feを主成分として他の合金濃度が50%以下であり、Crを約12%以上含有する鋼は一般にステンレス鋼と呼ばれる。また、ニッケル基合金としては、NiにMo、CrおよびFe等を添加した合金が挙げられる。
具体的には、SUS310、インコネル600、インコネル601、インコネル625、インコロイ800、MCアロイ、Haynes230アロイなどが耐熱性、機械的強度、化学的安定性、コストなどの点から好ましい。
〔浸炭防止層〕
製造装置の一部、特に滞留時間調整手段14、ガス流形成手段21、ガス噴出手段20、乱流抑制手段22の表面又は裏面の少なくともいずれか一方には、浸炭防止層が形成してもよい。もちろん、表面及び裏面の両面に浸炭防止層が形成されていることが望ましい。この浸炭防止層は、製造装置の一部と原料ガスの化学反応を抑制するために好ましい。また、原料ガスの分解により、生産装置の一部が浸炭されて変形してしまうのを防止するために好ましい。
浸炭防止層は、単独で触媒活性を示さない金属元素又はその化合物によって構成されることが望ましい。その材料としては、例えばアルミナ(Ai)、酸化ケイ素(SiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化マグネシウム(MgO)等の金属酸化物、銅やアルミニウム等の金属を適用することができる。
〔滞留時間〕
滞留時間とは、加熱手段6により加熱された合成炉3内の加熱領域7において、ガス供給管4より合成炉3内の加熱領域7にガスが供給されてから基材1の触媒に接触するまでの時間、すなわち加熱体積15をガスが通過する時間を表す。
一般的に滞留時間を長くすると、原料ガスが長時間高温に晒されることになり、原料ガスの分解反応が進み、原料ガスが触媒と接触した際に、容易に反応し、CNTの製造が促進される。しかしながら、滞留時間が長すぎると、原料ガスの分解反応が進みすぎ、炭素不純物が大量に発生し、合成炉、及び製造されたCNTに付着してしまう。
触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で、高速にかつ高収量で効率良くCNTを製造するためには、通常の合成環境の炉内滞留時間1〜2秒よりも、滞留時間を長くすることが望ましい。
そのためには、滞留時間調整手段14により、滞留時間を通常よりも長くすることが好ましい。特に、原料ガスが加熱される体積を調整する滞留時間調整手段14により、加熱体積を通常よりも増加させ、滞留時間を長くすることが好ましい。
好適な滞留時間の範囲に上限はないが、成長工程の加熱温度が600℃〜1000℃の範囲にある場合、4秒〜30秒の範囲が好ましい。滞留時間が1秒未満の場合には、十分に原料ガスの分解が進んでおらず、高速にかつ高収量で効率良くCNTを製造することが困難である。また、滞留時間が30秒よりも長いと、原料ガスの分解が進みすぎ、大量の炭素不純物が大量に発生し、合成炉3および製造されたCNTに付着してしまう
〔加熱体積〕
加熱体積15とは、図2に示すように、加熱手段6により加熱された合成炉3内の加熱領域7において、ガス供給管4より合成炉3内の加熱領域7に供給された原料ガスが基材1の触媒に接触するまでに経た流路の体積で規定される。
ここで原料ガスが流れる加熱領域7内の流路の温度は、原料ガスを十分に加熱し、触媒上でCNTを効率よく合成するためにも、少なくとも400℃以上に加熱されていることが好適である。400℃未満においては、原料ガスの分解が促進されず、本発明の効果を得ることが困難となる。
基材1が粉末状やビーズ状の構造体の集合体から構成され、原料ガスが複数回触媒と接触する場合には、原料ガスが触媒に最後に接触した場所からの流路を加熱体積15と規定する。
原料ガスが加熱領域7内で、ガス供給管4、ガス流形成手段21、および滞留時間調整手段14を流れて触媒層2に接触する場合には、加熱体積15は、加熱領域7内にある、ガス供給管4の体積と、ガス流形成手段21の体積と、滞留時間調整手段14の体積と、これらから噴出された原料ガスが触媒に接触するまでの流路の体積の合計で規定される。
〔排気体積〕
排気体積16とは、図2に示すように、原料ガスが基材1に接触してからガス排気管5より排出されるまでに経た流路において、加熱手段6により加熱された加熱領域7内にある加熱された原料ガスの体積(濃灰色部位)で規定される。
基材1が粉末状やビーズ状の構造体の集合体から構成され、原料ガスが、複数回触媒と接触する場合には、排気体積16は原料ガスが触媒に最後に接触した場所からの流路を排気体積と規定する。
〔炭素重量フラックス調整手段〕
炭素重量フラックス調整手段13は、ガスフロー装置等により、CNTの原料となる炭素化合物となる原料ガスの供給量及び原料ガスや触媒賦活物質のキャリアガスである雰囲気ガスの供給量をそれぞれ調整し、任意の炭素重量フラックスを炉内に供給する手段である。このような手段を用いることにより、炭素重量フラックスを調整でき、最適な量の炭素を触媒に供給することが可能になり、本発明の効果を得ることができる。
炭素重量フラックス調整手段13を用いて、炭素重量フラックスを40g/cm/min〜4300g/cm/minとすることにより触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で、高速にかつ高収量で効率良くCNTを製造することができ、本発明の目的を達成することができる。炭素重量フラックスが40g/cm/min未満であると、触媒に供給される原料ガスが十分ではなく、高速でCNTを製造することができない。一方で、炭素重量フラックスが4300g/cm/minを超えると、炭素不純物が大量に発生し、製造されたCNTと合成炉3内に付着する。
〔炭素不純物抑制手段〕
炭素不純物抑制手段は、合成炉3の加熱領域7内、特に基材1近傍での炭素不純物の発生を抑制する手段のことを示す。触媒賦活物質含有、高炭素環境下で、加熱体積15を増やすことで滞留時間を長くし最適に調整されたCNTの成長工程においては、原料ガスの分解が進んでいるため、分解が進んだ原料ガスを、触媒と接触後に速やかに排気することで、合成炉3内で発生する炭素不純物の量を低減することができる。そのためには、ガス排気管5の断面積をガス供給管4の断面積より大きくすると好適である。また、ガス排気管5の側壁、及びまたは、合成炉3の下壁に複数設けてもよい。
そのために、加熱体積15と比して排気体積16が大きくなるように、基材1を加熱領域7に設置すれば、原料ガスが触媒と接触した後に、速やかに加熱領域7外へと排気することができ、炭素不純物の発生を抑制することができる。このようにすれば、高収量で効率良くCNTを製造しつつ、炭素不純物の量を低減し、高比表面積のCNT集合体を製造するのに好適である。
〔本発明のメカニズム〕
原料ガスの滞留時間や炭素重量フラックスを調整し、ガス流形成手段21と、複数のガス噴出手段20と、滞留時間調整手段14とを用いて、原料ガスを略均一な量かつ略等しい最適化された滞留時間で触媒に接触させて、触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で、高速にかつ高収量で効率良く効率よく、高純度、高比表面積のCNTを製造することができるメカニズムは以下のように推察される。
原料ガスの滞留時間が短かすぎたり、時間/単位面積あたりの原料ガスの量が少ないと炭素化合物の触媒での分解・反応効率が落ちてしまい、CNTを効率よく合成することができない。一方これらの量が長すぎたり、高すぎると、触媒での分解量が多すぎ、触媒寿命が著しく短寿命化してしまったり、すでに成長したCNTに分解した炭素化合物が付着してしまい純度が悪化してしまったり、合成炉3の下流に大量のタール等の炭素不純物が付着してしまうため、望ましくない。
さらには、触媒賦活物質の導入により、触媒の寿命が改善し、CNTの合成効率が著しく向上したことに着目すれば、従来よりも、異なる、滞留時間、炭素重量フラックスにおいて、合成効率が最適化されると考えることができる。
ここで本発明者らは多数の実験を繰り返した結果、従来は長くすることを検討されることのなかった滞留時間を、滞留時間調整手段14、また、必要に応じて乱流抑制手段22を用いていることで、原料ガスの滞留時間を長くかつ調整する方向に調整し、および、炭素重量フラックスを作為的に前記範囲内に規定することにより、CNTの成長に最適な原料ガスの形態を触媒に接触させることで、高速成長および高収量で効率良く合成したCNTを得つつ、発生する不純物の量を最小限に抑えることができた。
さらには、ガス流形成手段21と、複数のガス噴出手段20を用いることで、ガス供給管4から点状に合成炉3に供給される原料ガスを複数の方向に拡散・分配することで、基材1平面上の触媒層2表面に均一な量かつ略等しい滞留時間で、接触させることができ、大きな基材1上に均一なCNT集合体を製造することができる。
原料ガスは調整された加熱体積15を流れ、最適化された滞留時間を経た後に、炭素重量フラックス調整手段13を用いて最適化された量で触媒層2に接触し、基材1に被着した触媒微粒子から高速にかつ高収量で効率良くCNTが成長する(成長工程)。また、触媒層2に接触した後には、これらのガスは速やかにガス排気管5より排気され、炭素不純物の発生は最小限に抑えられる。
すなわち、原料ガスの炭素化合物の分解効率や時間/単位面積あたりの量を最適化することで、原料ガスが効率良く触媒と反応しCNTに転換し、CNTの高速成長が実現する。また、収量も大幅に改善されると同時に、CNTに触れる炭素化合物の量も減少するため、高純度、高比表面積のCNTを合成することが可能となる。
〔滞留時間の規定法〕
滞留時間は、加熱体積15をガスが通過する時間で規定される。ガス供給量を制御する炭素重量フラックス調整手段13での流量設定が、室温で計算されている場合、加熱された炉内における原料ガスの流量は、(加熱された炉内における原料ガスの流量)=(室温(25℃)で供給された流量)×{(293+T)/298}1/2となる。
そのため、滞留時間tは、以下のように規定される。
滞留時間t=(加熱体積)/(原料ガスの流量×{(293+T)/298}1/2
〔炭素重量フラックスの規定法〕
炭素重量フラックスとは、広義には、単位時間当たりに単位面積当たりの触媒層2に接触する炭素の重量を表したものである。図4に示すように、炭素重量フラックス19は、単位時間当たりに原料ガスの流路17を通過する原料ガスに含まれる炭素原子の重量を、触媒層2(基材1上での触媒を包含する面もしくは空間)と原料ガスの流路17とが交わる面の面積18で割って、触媒層2の単位断面積、単位時間当たりに接触する炭素の重量を表したものである。炭素重量フラックスは、マスフロー等で構成される炭素重量フラックス調整手段13の調節により設定可能である。
炭素重量フラックス(g/cm/min)=12×原料ガスの1分子内に含まれる炭素の数×原料ガスの流量×炉内圧力/(気体定数×加熱された炉内の絶対温度)/交わる面の面積
によって求められる。
もしも、基材1が平面状の基板から構成され、その基板が流路に対して平行に置かれた場合、流路と交わる面の面積は実質的にゼロと計算される。このことは、原料ガスから供給される炭素のほとんどが、触媒層2と接触することがないことを示している。そのため、このような配置でCNTの製造を行った場合、合成炉3内に供給される原料ガスのほとんどが触媒と接触しない。
そのため、高収量で効率良くCNTの製造を行うためには、触媒層2(基材1上での触媒を包含する面もしくは空間)と原料ガスの流路17とが概して垂直に交わることが、高収量で効率良くCNTを製造するために好適である。
さらには、原料ガスの流路17の断面積が、原料ガスの流路17と触媒層2とが交わる面の面積18と概ね一致することが望ましい。このように原料ガスの流路17、基材1、および触媒層2を配置すれば、原料ガス中に含まれる炭素の大部分が、触媒層2に接触し、効率よく高速でCNTを製造することが可能である。
図5では、基材1として粒状体を用い、複数の粒状体を円筒の中に配置し、それを包含する円柱状の触媒層2に概して垂直に原料ガスの流路17が交わるようにし、かつ、原料ガスの流路17の断面積が、原料ガスの流路17と触媒層2とが交わる面の面積18とを概ね一致させた場合を例示する。
ここで、触媒層2が空間の場合における触媒層2の表面とは、原料ガスの流路17が触媒層2と接触する触媒層2の面と定義し、表面の面積を触媒層2の面積とする。
このように原料ガスの流路17、基材1、および触媒層2を配置すれば、原料ガス中に含まれる炭素の大部分が、触媒層2に接触し、効率よく高速でCNTを製造することが可能である。
触媒層2と原料ガスの流路17とが交わる面の面積18、原料ガスの流路17の断面積、および触媒層2の面積が、お互い20%異なると、20%以上の原料ガス、もしくは触媒が無駄になり、効率よくCNTを製造することが困難となる。
本発明に係る単層CNT集合体の製造には、公知の合成法を適用することができる。これは、基材1上に触媒層を製造し、その触媒から複数のCNTを化学気相成長(合成)させるものである。
図1および図2を参照しながら説明すると、先ず、ガス供給管4から供給された雰囲気ガス(例えばヘリウム)が満たされた合成炉3内に、触媒層2(例えばアルミナ−鉄薄膜)を別工程で予め成膜した基材1(例えばシリコンウエハ)を搬入し、基材ホルダ8に載置する。
このとき、触媒層2表面と原料ガスの流路とが概して垂直に交わるように基材1を配設し、原料ガスが効率良く触媒に供給されるようにする。
また、基材1を排気体積16は加熱体積15よりも小さくなるように、加熱領域7内に設置することで、触媒層2と接触した原料ガスが速やかに排気されるようにする。
さらに、合成炉3内の原料ガスの滞留時間は滞留時間調整手段14によって予め、CNTの成長に最適になるように調整されている。
次いでガス供給管4から合成炉3内に還元ガス(例えば水素)を供給しながら、合成炉3内を所定の温度(例えば750℃)に加熱し、その状態を所望の時間保持するフォーメーション工程を行う。
この還元ガスにより、触媒層2が微粒子化され、CNTの触媒として好適な状態に調整される。フォーメーション工程においては、必要に応じて触媒賦活物質を添加してもよい。
次いで炭素重量フラックス調整手段13を用いてガス供給管4からの還元ガスおよび雰囲気ガスの供給を所望(反応条件)に応じて停止あるいは低減すると共に、原料ガス(例えばエチレン)と、雰囲気ガスと、触媒賦活物質(例えば水)とを、ガス供給管4から供給する。ガス供給管4から供給されたこれらのガスは、基材1平面に対して略平行方向の複数の方向に向いたガス流を形成した後に、噴出孔から基材1平面に対して略垂直方向から略均一の量で、基材1上の触媒層2表面に吹きかけられる、
また、これらのガスは滞留時間調整手段14によって、増加・調整された加熱体積15を流れ、最適化された滞留時間を経た後に、炭素重量フラックス調整手段13を用いて最適化された量で触媒層2の表面に接触し、基材1に被着した触媒微粒子から高速にかつ高収量で効率良くCNTが成長する(成長工程)。さらには、必要に応じて乱流抑制手段22を用いることで、これらのガスは、略等しい滞留時間で、基材1上の触媒微粒子に接触する。また、触媒層2に接触した後には、これらのガスは速やかにガス排気管5より排気され、炭素不純物の発生は最小限に抑えられる。
CNTの生産終了後、合成炉3内に残余する、原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または合成炉3内に存在する炭素不純物等がCNT集合体へ付着することを抑制するために、雰囲気ガスのみを流し、CNT集合体への不純物の接触を抑制する(炭素不純物付着抑制工程)。
このようにして、基材1上の触媒層2から同時に成長した複数のCNTは、触媒層2に直交する向きに成長して、配向し、高さが概ねそろった高比表面積、高純度のCNT集合体を構成する。
以下、これらの各種条件について詳述する。
〔フォーメーション工程〕
フォーメーション工程とは、基材1に担持された触媒の周囲環境を還元ガス環境とすると共に、触媒または還元ガスの少なくとも一方を加熱する工程である。この工程により、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態の微粒子化促進、および触媒の活性向上の少なくとも一つの効果が現れる。例えば、触媒がアルミナ−鉄薄膜である場合、鉄触媒層は還元されて微粒子化し、アルミナ層上にナノメートルサイズの触媒微粒子が多数形成される。
〔成長工程〕
成長工程とは、CNTの生産に好適な触媒の周囲環境を原料ガス環境とすると共に、触媒または原料ガスの少なくとも一方を加熱することにより、CNT集合体を成長させる工程のことを意味する。フォーメーション工程の後に成長工程を行うことはCNT集合体の生産に好適である。
〔炭素不純物付着抑制工程〕
炭素不純物付着抑制工程とは、CNTの生産終了後、合成炉3内に残余する、原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または合成炉3内に存在する炭素不純物等がCNT集合体へ付着することを抑制する工程のことであり、かかる効果があれば、どのような形態、工程でもよい。炭素不純物付着抑制工程として、CNTの生産終了後に、雰囲気ガスを一定時間流したり(フラッシュ工程)、合成炉3内に残余する、原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または炭素不純物等がない領域に基材1を移送することが例示できる。基材1を移送する際には、炭素不純物が多い合成炉3の下流ではなく、上流に向けて基材1を移送すると好ましい。
高炭素環境下でCNTを生産すると、従来よりも多量の原料ガス、および炭素不純物が、合成炉3内、特に基材1周辺、および合成炉3下流に発生する。CNT集合体は極めて比表面積が大きいため、CNTの生産終了後、基材1周辺に、原料ガス、炭素不純物等が存在すると、CNT集合体に炭素不純物として付着し、比表面積が著しく低下してしまう。そのため、炭素不純物付着抑制工程を用いて、CNTの生産終了後に、CNT集合体への不純物の接触を抑制することは、高比表面積のCNT集合体を得るために著しい効果がある。
〔冷却工程〕
冷却工程とは、CNT集合体、触媒、および基材1を、成長工程後に冷却する工程のことである。成長工程後のCNT集合体、触媒、および基材1は高温状態にあるため、酸素存在環境下に置かれると酸化してしまうおそれがある。それを防ぐために冷却ガス環境下でCNT集合体、触媒、および基材1を、好ましくは400℃以下、より好ましくは200℃以下に冷却する。冷却ガスとしては、不活性ガスが好ましく、特に安全性、経済性、およびパージ性などの点から窒素が好ましい。
〔基材(基板)〕
基材1(基板)とは、その表面にCNTを成長させる触媒を担持することのできる部材であり、最低限400℃以上の高温でも形状を維持できるものであれば適宜のものを用いることができる。
基材1の形態としては、平板等の平面状の形態が、本発明の効果を用いて、大量のCNTを製造するために好ましい。しかしながら、粉末、または線状体の集合体で、平面状をなす基材1でもよい。
これまでにCNTの製造に実績のある材質としては、鉄・ニッケル・クロム・モリブデン・タングステン・チタン・アルミニウム・マンガン・コバルト・銅・銀・金・白金・ニオブ・タンタル・鉛・亜鉛・ガリウム・インジウム・ゲルマニウム・砒素・燐・アンチモンなどの金属、並びにこれらの金属を含む合金および酸化物、またはシリコン・石英・マグネシア・スピネル・カルシア・ドロマイト・クロミア・ジルコニア・チタニア・ムライ・ガラス・マイカ・グラファイト・アルミナ・酸化マグネシウム・チタン酸カリウム・酸化ジリコニウム・ゼオライト・シリカ・酸化チタン・ダイヤモンドなどの非金属、並びにセラミックおよびこれらの混合物が挙げられる。
金属は、シリコンやセラミックと比較して廉価である点が好ましく、特に、鉄−クロム(Fe−Cr)合金、鉄−ニッケル(Fe−Ni)合金、および鉄−クロム−ニッケル(Fe−Cr−Ni)合金などが本発明の実施に好適である。
粉末、または線状体としては、具体的には、板状アルミナ・石英フレーク・石英繊維・セラミック繊維・繊維状酸化チタンなどを例示できる。
〔触媒〕
本発明の実施において基材1に担持され、触媒層2を形成する触媒としては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば適宜のものを用いることができるが、具体的には、鉄・ニッケル・コバルト・モリブデン、およびこれらの塩化物並びに合金や、これらがさらにアムミニウム・アルミナ・チタニア・窒化チタン・酸化シリコンと複合化、または重層化したものでもよい。
本発明の実施における触媒の存在量は、これまでのCNT製造に実績のある範囲内であればよいが、例えば鉄やニッケルの金属薄膜を用いる場合、その厚さは、0.1nm〜100nmが好ましく、0.5nm〜5nm以下がより好ましく、0.8nm〜2nmが特に好ましい。
〔還元ガス〕
フォーメーション工程で用いる還元ガスは、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態の微粒子化促進、および触媒の活性向上の少なくとも一つの効果を持つガスである。本発明の実施に用いる還元ガスとしては、これまでのCNTの製造に実績のある還元性を有するガスであれば適宜のものを用いることができるが、例えば水素・アンモニア・水、およびそれらの混合ガスを適用することができる。
〔不活性ガス(雰囲気ガス)〕
化学気相成長の雰囲気ガス(キャリアガス)としては、CNTの成長温度で不活性であり、成長するCNTと反応しないガスであればよく、本発明の実施に用いる雰囲気ガスとしては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば適宜のものを用いることができる。一般的には、不活性ガスが好ましく、ヘリウム・アルゴン・水素・窒素・ネオン・クリプトン・二酸化炭素・塩素などや、これらの混合ガスが挙げられ、特に窒素・ヘリウム・アルゴン・水素、およびこれらの混合ガスが好適である。
〔原料(原料ガス)〕
本発明の実施においてCNTの製造に用いる原料としては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば、成長温度において原料炭素元素を含み、酸素元素を含まない適宜な物質を用いることができる。酸素を含有する、エタノールや、一酸化炭素等を原料ガスとして用いてCNTが製造できることが知られている。一般的に、エタノールや、一酸化炭素等を原料ガスとして用いてCNTを製造する場合には、成長速度、合成効率等が、本発明の製造法と比較して大きく劣る。本発明においては、このような酸素を含有する原料ガスを用いた場合、触媒賦活物質の効果が著しく低減するため、本発明の効果を得ることができない。本発明においては、エタノールや、一酸化炭素は、原料ガスではなく、触媒賦活物質として用いる。
この原料ガスとしては、芳香族化合物・飽和炭化水素・不飽和炭化水素・不飽和鎖式炭化水素・飽和鎖式炭化水素・環状不飽和炭化水素・環状飽和炭化水素などのガス状炭素化合物を例示できる。中でも、メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン・ヘプタン・プロピレン・エチレン・ブタジエン・ポリアセチレン・アセチレンなどの炭化水素が好適である。これらの原料ガスが成長工程において触媒と接触することにより、触媒表面にCNTが生成される。
〔雰囲気圧力〕
CNTを成長させる雰囲気の圧力は、10Pa以上、10Pa(100気圧)以下が好ましく、5×10Pa以上、2×10Pa(2大気圧)以下がさらに好ましく、9×10Pa以上、1.1×10Pa以下が特に好ましい。9×10Pa以上、1.1×10Paの間で、真空や高圧を用いない、大気圧や大気圧に近い圧力下では、CNTの製造効率は非常に良好である。また、シャッターやバルブを用いない開放系の製造装置が使用可能となるので量産の観点からも好ましい。
〔触媒賦活物質の添加〕
CNTの成長工程において、触媒賦活物質を添加するとよい。触媒賦活物質の添加により、触媒の寿命を延長し、且つ活性を高め、結果としてCNTの生産効率向上や高純度化を推進することができる。
ここで用いる触媒賦活物質としては、酸素もしくは、硫黄などの酸化力を有する物質であり、且つ成長温度でCNTに多大なダメージを与えない物質であればよく、水・酸素・オゾン・酸性ガス、および酸化窒素・一酸化炭素・二酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物、またはエタノール・メタノール・イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類、アルデヒドロ類・酸類・塩類・アミド類・エステル類、並びにこれらの混合物が有効である。この中でも、水・酸素・二酸化炭素・一酸化炭素・エーテル類・アルコール類が好ましいが、特に、極めて容易に入手できる水が好適である。
触媒賦活物質として、炭素を含むものを用いた場合、触媒賦活物質中の炭素が、CNTの原料となりうる。
〔触媒賦活物質および原料の条件〕
成長工程において触媒賦活物質と原料とを用いてCNTを製造する際には、(1)原料は炭素を含み酸素を含まず、(2)触媒賦活物質は酸素を含むことが、CNTを高効率で製造する上に重要である。
〔反応温度〕
CNTを成長させる反応温度は、金属触媒、原料炭素源、および反応圧力などを考慮して適宜に定められるが、触媒失活の原因となる副次生成物を排除するために触媒賦活剤を添加する工程を含む場合は、その効果が十分に発現する温度範囲に設定することが望ましい。
つまり、最も望ましい温度範囲としては、アモルファスカーボンやグラファイトなどの副次生成物を触媒賦活物質が除去し得る温度を下限値とし、主生成物であるCNTが触媒賦活物質によって酸化されない温度を上限値とすることである。
具体的には、触媒賦活物質として水を用いる場合は、好ましくは400℃〜1000℃とすることである。400℃未満では触媒賦活物質の効果が発現せず、1000℃を超えると触媒賦活物質がCNTと反応してしまう。
また触媒賦活物質として二酸化炭素を用いる場合は、400℃〜1100℃以下とすることがより好ましい。400℃未満では触媒賦活物質の効果が発現せず、1100℃を超えると触媒賦活物質がCNTと反応してしまう。
〔高炭素濃度環境〕
CNTの成長速度は、触媒に接触する原料ガスに含まれる炭素原子の数に比例する。つまり、全流量に対する原料ガスの割合(原料濃度)が高ければ高いほど成長速度が高くなるので、CNTの生産効率が向上すると言える。
しかしその反面、触媒賦活物質を用いない原料ガスのみでの従来の合成法によるCNTの製造過程においては、炭素濃度(原料濃度)を高くするに従ってCNTの成長工程で発生する炭素系不純物が多くなり、これが触媒微粒子を被覆して触媒を失活させるので、全流量に対する原料の割合が0.1〜1%程度の成長雰囲気(低炭素濃度環境)でCNTを製造していた。そのため、CNTの製造効率を思うほどに向上できなかった。
触媒賦活物質を添加する本発明の製造方法によれば、触媒賦活物質の存在下においては、触媒活性が著しく向上するため、全流量に対する原料ガスの割合が1%を超える2%〜20%程度の原料濃度(高炭素濃度環境)においても、触媒は活性を失わず、長時間のCNTの成長が可能である。この高炭素濃度環境下においては、CNTの成長速度が著しく向上し、高純度、高比表面積のカーボンナノチューブ集合体を製造するのに好適である。
つまり、触媒賦活物質を添加することにより、はじめて、高炭素濃度環境下で、CNTの高速製造、高純度、特に高比表面積の単層CNTからなるCNT集合体の製造が可能となった。
〔CNT集合体〕
上記した生産装置、および製造法により、高炭素環境化・触媒賦活物質含有雰囲気で、基材上の触媒から原料ガスを用いて、高効率でCNTを成長させることができ、触媒から成長した多数のCNTは特定の方向に配向し、CNT集合体を形成する。CNT配向集合体とは基材1から剥離して得られた物体でも良い。その場合、CNT集合体は粉体状であっても良い。
炭素不純物が単層CNT集合体に付着すると、単層CNT集合体の比表面積が低下する。本発明に係わる単層CNT集合体は、炭素不純物の発生が抑制されているために、比表面積は800m/g〜2600m/gと非常に大きい。CNT集合体の比表面積は、液体窒素の77Kでの吸脱着等温線の計測によって求めることができる。このように大きな比表面積は、触媒の担持体やエネルギー・物質貯蔵材として有効であり、スーパーキャパシタやアクチュエータなどの用途に好適である。
比表面積が800m/gに満たない未開口のもの、もしくは1300m/gに満たない開口したものは、炭素不純物を重量の数十%(40%程度)含んでいる可能性があり、CNT本来の機能を発現することが困難になる。
大きい比表面積を得るためには、CNTが可能な限り高純度であることが望ましい。ここでいう純度とは、炭素純度である。炭素純度とは、CNT集合体の重量の何パーセントが炭素で構成されているかを示し、蛍光X線を用いた元素分析等から求めるとよい。大きな比表面積を得る上での炭素純度に上限はないが、製造上の都合から、99.9999%以上の炭素純度を有するCNT集合体を得ることは困難である。炭素純度が95%に満たないと、未開口CNTの場合、800m/gを超える比表面積を得ることが困難となる。
[配向性]
単層CNT集合体の配向性の評価は、例えばヘルマンの配向係数に基づいて行う。
例えば、θ−2θ法またはラウエ法で得られたX線回折強度または、SEM画像または原子間力顕微鏡(以下、AFMとも称す)画像を高速フーリエ変換(FFT変換)して得られたFFT画像から得た強度プロフィールを用いて計算したヘルマンの配向係数が、CNT集合体において0.1より大きく1より小さいCNT配向集合体は、良好な電気特性、良好な機械的特性、良好な熱特性を示し、且つ熱力学的、電気的、機械的な異方性もあり、様々な用途に好適である。
配向の方向は、単層CNT集合体を構成する個々の単層CNTの方向ベクトルの平均となる。そのため、単層CNT集合体の場所、配向性を評価する領域のサイズにより、配向の方向は異なる可能性がある。定量的に配向の向きを決めるためには単層CNT集合体のSEM画像等を高速フーリエ変換した、FFT画像を用いると良い。配向性を有する単層CNT集合体のFFT画像は、扁平な楕円状をなし、楕円が扁平であるほど配向性が高い。楕円の長軸方向は、配向性に起因する単層CNTの周期性が最大となる方向であり、楕円の短軸方向は、FFT画像の元画像の視野における、配向の向きとなる。ヘルマン配向係数を計算する参照方位は、楕円の長軸方向とする。
CNT集合体の配向は以下の1から3の少なくともいずれか1つの方法によって評価することができる。すなわち、
1. CNTの長手方向に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とからX線を入射してX線回折強度を測定(θ−2θ法)した場合に、第2方向からの反射強度が、第1方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在し、且つ第1方向からの反射強度が、第2方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在すること。
2. CNTの長手方向に直交する方向からX線を入射して得られた2次元回折パターン像でX線回折強度を測定(ラウエ法)した場合に、異方性の存在を示す回折ピークパターンが出現すること。
3. ヘルマンの配向係数が、θ−2θ法またはラウエ法で得られたX線回折強度を用いると0.1より大きく1より小さいこと。より好ましくは0.25以上1未満であること。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1および図6に示したCNT製造装置を用いて、上記に記載の製造装置と同様の方法を採用して、CNT集合体、およびCNT配向集合体を製造した。図1、図2、および図6を参照しながら説明する。
縦型合成炉3としては、円筒等の石英管(内径80mm)を用いた。加熱手段6、および加熱領域7の長さは265mmであった。中心部の水平位置から20mm下流に石英からなる基材ホルダ8を設けた。基材ホルダ8は、水平方向に設置され、平面状の基材1を載置することが可能である。
合成炉3の上壁には、合成炉3上壁中心に設けられた開口に鉛直方向に挿入された直径22mm(内径20mm)の耐熱合金からなるガス供給管4を設け、また下壁には、合成炉3下壁中心に設けられた開口に鉛直方向に挿入されたガス排気管5を設けた。合成炉3を外囲して設けられた抵抗発熱コイルからなる加熱手段6と加熱手段6と加熱温度調整手段を設け、所定温度に加熱された合成炉3内の加熱領域7を規定(加熱手段6の全長は265mm、加熱領域7の長さは265mm)した。
直径60mmの円筒状で扁平な中空構造をなす耐熱合金インコネル600からなるガス流形成手段21を、ガス供給管4の合成炉3内の端部に連通して接続するように設けた。ガス供給管4はガス流形成手段21の中心に連通・接続された。
ガス流形成手段21は基材1の表面に対して、略平行な同一面内に配設し、基材1の中心が、ガス流形成手段21の中心と一致するように配設された。また、ガス流形成手段21には噴出孔径:0.5mmの複数の噴出孔からなるガス噴出手段20を設けた。ガス流形成手段21は中空構造を有する円柱状の形状で、寸法は、一例としては、表面サイズ:60.0mm×16.7mmであり、ガス噴出手段20の径:0.5mm、ガス噴出手段20の数:82個であった。
ガス噴出手段20の噴出孔は基材1の触媒層2を臨む位置に設けられ、基材1平面に対して略垂直方向から原料ガスを触媒に吐出させた。臨む位置とは、噴出孔の、噴射軸線が基材の法線と成す角が0以上90°未満となるような配置を示す。ガス噴出手段20と対向する触媒表面との距離は140mmとした。
このようにして、ガス供給管4から点状に合成炉3に供給される原料ガスは、拡散・分配され基材1平面に対して略平行面の360度に渡る全方向に原料ガス流を形成した後に、該原料ガスは基材1平面に対して略垂直方向から基材1上の触媒層2表面に接触する。
ここで、意図的にガス流形成手段21とガス噴出手段20と触媒表面の間に140mmの距離を設け、加熱体積15を増加させ、その加熱体積15の空間に滞留時間調整手段14を設けた。滞留時間調整手段14は1層目にφ4mmの8個の穴が、2層目にφ0.5mmの101個の穴が開けられている、ガス流形成手段21と接続された、乱流防止手段22である、耐熱合金インコネル600からなる二枚の整流板を備える。ガス流形成手段21とガス噴出手段20と触媒表面の間に距離:140mmを滞留時間調整手段14の長さと定義する。本装置では、滞留時間調整手段14の長さは触媒表面に対向して設けられたガス流形成手段21に設けられたガス噴出手段20との距離と一致する。
炭素重量フラックス調整手段13はCNTの原料となる炭素化合物となる原料ガスボンベ9、必要に応じて触媒賦活物質ボンベ10、原料ガスや触媒賦活物質のキャリアガスである雰囲気ガスボンベ11、ならびに触媒を還元するための還元ガスボンベ12をそれぞれガスフロー装置に接続して構成し、それぞれ供給量を独立に制御しながら、ガス供給管4に供給することで、原料ガスの供給量を制御した。
本装置の構成で調整可能な炭素重量フラックスは0g/cm/min〜1000g/cm/minであるが、適宜、適切な供給量を持つガスフロー装置を用いることで、より広範囲に調整することは可能である。
〔加熱体積の規定〕
本装置の構成において、滞留時間調整手段14の長さは140mmであり、加熱体積15は444cm(滞留時間調整手段14の体積396.2cm(断面積28.3cm×距離14cm)+ガス流形成手段21の体積47.3cm(断面積28.3cm×高さ1.67cm))と規定される。
基材1と基材ホルダ8は加熱領域7の中心部の水平位置から20mm下流に設置されているため、排気体積16は318cm(原料ガス流路の断面積28.3cm×加熱領域7の距離26.5cm/2−2cm=11.3cm))であり、加熱体積15よりも小さい。
基材1としては、触媒であるAlを30nm、Feを1.8nmスパッタリングした厚さ500nmの熱酸化膜付きSi基材(縦40mm×横40mm)を用いた。
基材1を合成炉2の加熱領域7の中心の水平位置から20mm下流に設置された基板ホルダ8上に搬入した(搬入工程)。基板は水平方向になるように設置した。これにより、基板上の触媒と原料ガスの流路が概して垂直に交わり、原料ガスが効率良く触媒に供給される。
次いで、還元ガスとしてHe:200sccm、H:1800sccmの混合ガス(全流量:2000sccm)を導入しながら、炉内圧力を1.02×10Paとした合成炉3内を、加熱手段6を用いて合成炉3内の温度を室温から15分かけて810℃まで上昇させて、さらに810℃に保持した状態で3分間触媒付き基材を熱した(フォーメーション工程)。これにより、鉄触媒層は還元されて単層CNTの成長に適合した状態の微粒子化が促進され、ナノメートルサイズの触媒微粒子がアルミナ層上に多数形成された。
次いで、炉内圧力を1.02×10Pa(大気圧)とした合成炉3の温度を810℃とし、炭素重量フラックスが192g/cm/minとなるように、総流量2000sccm、雰囲気ガスHe:総流量比84%(1680sccm)、原料ガスであるC:総流量比10%(200sccm)、触媒賦活物質としてHO含有He(相対湿度23%):総流量比6%(120sccm)を10分間供給した(成長工程)。炉内滞留時間は7秒であった。
これにより、単層CNTが各触媒微粒子から成長し(成長工程)、配向した単層CNTの集合体が得られた。このようにして、触媒賦活物質含有かつ高炭素環境下で、CNTを基材1上より成長させた。
成長工程の後、3分間、雰囲気ガス(総流量4000sccm)のみを供給し、残余の原料ガス、発生した炭素不純物、触媒賦活剤を排除した(炭素不純物付着抑制工程・フラッシュ工程)。
その後、基板を400℃以下に冷却した後、合成炉3内から基板を取り出す(冷却・基板取り出し工程)ことにより、一連の単層CNT集合体の製造工程を完了させた。
〔CNT集合体の成長速度〕
CNT集合体の成長速度は620μm/minであった。Appl. Phys. Lett.93巻,143115頁2008年などで今までに報告されているCNTの成長速度は高々200μm/min程度であるので、本発明の装置構成と製造法は、高速に配向したCNT集合体を製造するのに著しく効果があることが分かる。
また本製造法での収量は7.6mg/cm2であり、従来の滞留時間調整手段を有さない合成装置、製造法での収量が1.5〜2.0mg/cm2程度であるのに比較して、本発明の装置構成と製造法は、高効率でCNT集合体を製造するのに著しく効果があることが分かる。また、基材1上の触媒層2の表面上に一面に、約均一な高さでCNT集合体が製造でき、本発明の装置構成と製造法は、大面積に略均一に且つ効率よくCNT集合体を製造するのに著しく効果があることが分かる。
本実施例で製造されたCNT配向集合体の一例の写真を図7に示す。
(実施例2)
実施例1とは炉および基材1を変えて実施をした例を示す。図1、図2、および図6を参照しながら説明する。石英管の合成炉3(内径80mm、断面積5024mm、全長550mm)に触媒であるAlを30nm、Feを1.8nmスパッタリングした厚さ500nmのフォイル(材質YEF426、厚さ0.3mm)基材1(縦20mm×横20mm)を搬入した。加熱手段6、および加熱領域7の全長は420mmとした。加熱手段6の中心部の水平位置から基材1までの距離は120mm下流側であり、加熱領域7内5センチのところにガス排気管5を設置した。実施例1と同様な、ガス流路形成手段21、ガス噴出手段20、及び滞留時間調整手段14を設けた。ガス噴出手段20と対向する触媒表面との距離は140mmとした。この距離を滞留時間調整手段14の長さと定義する。
製造装置の他の部位の構造材質、および他各工程における各種ガスの流量比、作業は実施例1と同様である。
ガス供給管4はウィルソンシールにより合成炉3に密着装填されており、手動により上下させると、滞留時間調整手段14の長さ、および、体積、すなわち加熱体積15を調整することが可能である。
滞留時間調整手段14の長さが、140mmのとき、加熱体積15は505cm(滞留時間調整手段14の体積396.2cm(断面積28.3cm×距離14cm)+ガス流形成手段21の体積56.6cm(断面積28.3cm×高さ2cm)+ガス供給管4の体積52.7cm(断面積3.1cm×長さ42/2+12−6=17cm))である。
滞留時間調整手段14の長さが、40mmのとき、加熱体積15は253cm(滞留時間調整手段14の体積113.2cm(断面積28.3cm×距離4cm)+ガス流形成手段21の体積56.6cm(断面積28.3cm×高さ2cm)+ガス供給管4の体積83.7cm(断面積3.1cm×長さ42/2+12−6=27cm))である。
また、排気体積16は、113cm(原料ガスの流路の断面積28.3cm×排気側の長さ42/2―12−5=4cm)であり、加熱体積15よりも小さい。
実施例1および実施例2の製造装置を用いて、装置の滞留時間調整手段14と、炭素重量フラックス調整手段13を用いて、様々な滞留時間調整手段14の長さと炭素重量フラックスでCNT集合体を製造し、図8にその結果を示す。滞留時間調整手段の長さと炭素重量フラックス以外の装置構成、製造工程は実施例1、または2と同じとした。
図中の○は、収量が3mg/cm2以上、成長速度200μm/min以上、比表面積1000m/g以上の高速、高収量で効率良く、高純度のCNT集合体が製造できたことを示し、図中の×は、上記いずれかの条件を充足しない場合を示す。
実施例2より、滞留時間調整手段の長さが40mm以上であれば、高速、高収量で効率良く、高純度のCNT配向集合体が製造できることが分かる。滞留時間調整手段の長さには特段の上限はなく、実施例2では300mmまで高速、高収量で効率良く、高純度のCNT集合体が製造できることが確認された。さらには炭素重量フラックスが、50g/cm/min〜550g/cm/minの範囲であれば、高速、高収量で効率良く、高純度のCNT集合体が製造できることが分かる。
(実施例3)
本実施例では、図9に示す、滞留時間調整手段14中の、乱流防止手段22が、複数のパイプの蜂の巣状の集合体やハニカムなどの、複数の中空部材や筒状部材から構成されるCNT製造装置について説明する。
本実施例の滞留時間調整手段14は、複数の中空部材や筒状部材は原料ガスの流れる方向に沿う方向に延びている。本実施例の滞留時間調整手段14によれば、原料ガスの流れる方向に延びる複数の乱流を抑制されたガス流路が形成される。
製造装置の他の部位、およびカーボン製造方法に関しては実施例1で説明した製造装置の部位、および製造方法を用いることができ、それぞれの詳細については、ここでは省略する。本実施例の製造装置を用いると、各ガス流路においては、原料ガスの流路断面積が絞られるため、乱流を抑制しつつ、原料ガスが滞留時間調整手段14中を流れることができるため、滞留時間を増加させつつ、かつ滞留時間を略等しくすることができる。
(実施例4)
本実施例では、図10に示す、実施例1で説明したガス流形成手段21と、ガス流形成手段21に設けられたガス噴出手段20と対向する触媒層2表面との距離を40mm未満とし、加熱領域7内のガス供給管4と、ガス流形成手段21の間に、両者に連通させて、大きな加熱体積15を有する、中空状の構造体(ガス保留手段)からなる滞留時間調整手段14を設けるCNT製造装置について説明する。
製造装置の他の部位、およびカーボン製造方法に関しては実施例1で説明した製造装置の部位、および製造方法を用いることができ、それぞれの詳細については、ここでは省略する。
本実施例では、滞留時間調整手段14の加熱体積15を増加・調整させても、ガス流形成手段21に設けられたガス噴出手段20と触媒層2表面との位置関係が固定されているため、原料ガスを略均一の量で、触媒層2表面に供給することが容易となる。
(実施例5)
本実施例では、図11に示す、実施例4で用いた、大きな加熱体積15を有する中空状の構造体中である滞留時間調整手段14中に、乱流防止手段22を備えるCNT製造装置について説明する。製造装置の他の部位、およびカーボン製造方法に関しては実施例1で説明した製造装置の部位、および製造方法を用いることができ、それぞれの詳細については、ここでは省略する。
本実施例のCNT製造装置によれば、滞留時間調整手段14の乱流を抑制し、略等しい滞留時間をもって原料ガスを触媒と接触させることが容易になる。また、滞留時間調整手段14の加熱体積15を増加・調整させても、ガス流形成手段21に設けられたガス噴出手段20と触媒層2表面との位置関係が固定されているため、原料ガスを略均一の量で、触媒層2表面に供給することが容易となる。
(実施例6)
本実施例では、図12に示す、実施例4で用いた、大きな加熱体積15を有する中空状の構造体中である滞留時間調整手段14中に、ガス流形成手段21とガス噴出手段20とを備えるCNT製造装置について説明する。製造装置の他の部位、およびカーボン製造方法に関しては実施例1で説明した製造装置の部位、および製造方法を用いることができ、それぞれの詳細については、ここでは省略する。
本実施例のCNT製造装置によれば、滞留時間調整手段14中の原料ガスの流れをより均一化することができ、略等しい滞留時間をもって原料ガスを触媒と接触させることに効果がある。また、滞留時間調整手段14の加熱体積15を増加・調整させても、ガス流形成手段21に設けられたガス噴出手段20と触媒層2表面との位置関係が固定されているため、原料ガスを略均一の量で、触媒層2表面に供給することが容易となる。
(実施例7)
本実施例では、図13に示す、実施例1で用いたガス流形成手段21と、ガス流形成手段21に設けられたガス噴出手段20と対向する触媒層2表面との距離を40mm未満とし、加熱領域7内のガス供給管4と、ガス流形成手段21の間に、両者に連通させて、大きな加熱体積15を有する、乱流が発生しない程度の断面積を有するパイプ状のガス配管からなる滞留時間調整手段14を設けたCNT製造装置について説明する。
滞留時間調整手段14では、原料ガスの流路断面積が絞られるため、乱流を抑制しつつ、原料ガスが滞留調整手段14中を流れることができるため、滞留時間を増加させつつ、かつ滞留時間を略等しく保つことができる。すなわち、本実施例のCNT製造装置の滞留時間調整手段14は乱流防止手段22を備える。本実施例のCNT製造装置によれば、滞留時間調整手段14の加熱体積15を増加・調整させても、ガス流形成手段21に設けられたガス噴出手段20と触媒層2表面との位置関係が固定されているため、原料ガスを略均一の量で、触媒層2表面に供給することが容易となる。
(実施例8)
本実施例では、図14に示す、実施例1で用いたガス流形成手段21と、ガス流形成手段21に設けられたガス噴出手段20と対向する触媒層2表面との距離を40mm未満とし、合成炉3外に、加熱炉を設け、ガス供給管4と、ガス流形成手段21の間に、両者に連通させて、大きな加熱体積15を有する、乱流が発生しない程度の断面積を有するパイプ状のガス配管からなる滞留時間調整手段14、もしくは大きな加熱体積15を有する、中空状の構造体(ガス保留手段)からなる滞留時間調整手段14を設けたCNT製造装置について説明する。加熱炉と合成炉3は独立に加熱制御してもよい。
このようにすれば、加熱炉の温度を増減させることで、実効的に原料ガスの分解の具合を制御でき、実質的に滞留時間を調整したのと同じ効果を得ることが出来る。
本実施例のCNT製造装置によれば、滞留時間調整手段14は合成炉3外に配設されるので、合成炉3を小型化できる。また、合成炉3に、各々独立に加熱制御が可能な複数の加熱パーティションを設けて、加熱パーティションを制御することで、加熱されている加熱パーティション数を増減させ、およびまたは、温度を増減させることで、結果として加熱体積15およびまたは滞留時間を調整することができる。さらには、滞留時間調整手段14の加熱体積15を増加・調整させても、ガス流形成手段21に設けられたガス噴出手段20と触媒層2表面との位置関係が固定されているため、原料ガスを略均一の量で、触媒層2表面に供給することが容易となる。
また、本発明の製造装置は上記実施例1から8に例示した具体的な形態および手段を適宜組み合わせたものでもよい。
〔実施例1および2で製造されるCNTの特性〕
単層CNT集合体の特性は、製造条件の詳細に依存するが、実施例1、および実施例2の製造条件では、典型値として、単層CNT含有率99%(2層CNT、多層CNTに対する単層CNTの本数割合であり、合成した、単層CNT集合体を透過型電子顕微鏡で観察し画像から求める)、重量密度:0.03g/cm、BET−比表面積:1150m/g、炭素純度99.9%、ヘルマンの配向係数0.7である。
〔CNT集合体のラマンスペクトル評価〕
実施例1により得られたCNT集合体のラマンスペクトルを計測した。鋭いGバンドピークが1590カイザー近傍で観察され、これより本発明のCNT集合体を構成するCNTにグラファイト結晶構造が存在することが分かる。
また欠陥構造などに由来するDバンドピークが1340カイザー近傍で観察されているため、CNTに有意な欠陥が含まれていることを示している。複数の単層CNTに起因するRBMモードが低波長側(100〜300カイザー)に観察されたことから、このグラファイト層が単層CNTであることが分かる。
〔CNT集合体の比表面積〕
基板から剥離したCNT集合体から50mgの塊を取り出し、これをBELSORP−MINI(株式会社日本ベル製)を用いて77Kで液体窒素の吸脱着等温線を計測した(吸着平衡時間は600秒とした)。この吸脱着等温線からBrunauer, Emmett, Tellerの方法で比表面積を計測したところ、1150m/gであった。
未開口のCNT集合体の吸脱着等温曲線は、相対圧が0.5以下の領域において高い直線性を示した。αプロットも1.5以下の領域において、直線性を示した。これらの計測結果は、CNT集合体を構成するCNTが未開口であることを示している。
同じCNT集合体をNano Letters誌、第2巻(2002年)、第385〜388頁に記載の方法によって計測した比表面積は、外表面積が1090m/g、内表面積が59m/gとなり、全体での比表面積は1149m/gとなった。
〔CNT集合体の純度〕
CNT集合体の炭素純度は、蛍光X線を用いた元素分析結果より求めた。基板から剥離したCNT集合体を蛍光X線によって元素分析したところ、炭素の重量パーセントは99.98%、鉄の重量パーセントは0.013%であり、その他の元素は計測されなかった。この結果から、炭素純度は99.98%と計測された。
〔θ―2θ法による配向性評価〕
得られたCNT集合体の配向性評価をCu-Ka X線源として15kWのパワーでX線回折装置(Rigaku Gorp Diffractometer :RINT-2500/HRPBO)を用いて、θ−2θ法によるX線回折測定法で行った。X線のスポット径は0.6mmであった。試料として用いた単層CNT集合体の主要諸元は、形状寸法:1m×1m×10mmの四角柱である。
低角(0〜15度)(CP)回折ピークが観察され、当該ピークは単層CNT同士の間隔を反映している。25度近傍で緩やかな回折ピークが観察され、異なる単層CNTの炭素六員環シートの間隔を反映している。42度近傍に回折ピークが観察され、単層CNTの炭素六員環の(100)面を反映している。77〜78度付近で回折ピークが観察され、(110)面を反映している。
単層CNTの炭素六員環構造は、CNTの炭素六員環構造が丸められ湾曲しているため、グラファイトの回折ピークと密接に一致しない。また、単層CNTのサイズ、配向度共にピーク位置は若干変化するが、回折ピークの同定は可能である。
この結果からヘルマンの配向係数Fを算出したところ、(CP)回折ピークでは0.4〜0.62であり、(002)回折ピークでは0.75であった。
〔ラウエ法による配向性評価〕
得られたCNT集合体の配向度をラウエ法によるX線回折測定法で評価した。使用した装置はBruker社製(Bruker SMART APEX CCD area-detector diffractometer)。4.5kWのパワーでX線源(BRUKERAXS MO CE-SRA)としてMo-Kaを用いた。試料とX線検出器の距離は5.968cmでCCD検出器のサイズは6.1x6.1cmであり、X線のスポット径は0.5mmであった。
試料として用いた単層CNT集合配向体の主要諸元は、形状寸法:直径1mm×高さ0.5mmの円柱形である。
この結果、単層CNT集合体の観察された(CP)、(002)、(100)等の回折ピークは楕円状となり、異方性を示した。この異方性は、単層CNTが配向していることを示す。
この結果からヘルマンの配向係数Fを算出したところ、(CP)回折ピークでは0.38であり、(002)回折ピークでは0.61であった。
(比較例1)
実施例1と同じ、合成炉3、ガス流形成手段21、ガス噴出手段20からなるCNT製造装置(滞留時間調整手段14を有さない)において、実施例1と同じ、基材1、触媒を用いて、実施例1と同じ工程でCNT集合体を製造した。滞留時間調整手段14を有さないため、ガス流形成手段21とガス噴出手段20と触媒表面の間の距離は10mmとした。
本装置の構成において、加熱体積15は116cm(ガス噴出手段20と触媒層2表面の間の体積 28.3cm(断面積28.3cm×距離1cm)+ガス流形成手段21の体積47.3cm(断面積28.3cm×高さ1.67cm)+ガス供給管4の体積40.3cm(断面積3.1cm×13cm)))、と規定される。排気体積16は318cm(原料ガス流路の断面積28.3cm×加熱領域7の距離26.5cm/2−2cm=11.3cm))であり、排気体積16が加熱体積15よりも小さい。
実施例1と同じ工程、製造方法を用いてCNT集合体を製造した。本製造法での収量は1.5mg/cm2であり、また成長速度は、80μm/minであった。
これらの結果を表1にまとめた。
1 基材
2 触媒層
3 合成炉
4 ガス供給管
5 ガス排気管
6 加熱手段
7 加熱領域
8 基材ホルダ
9 原料ガスボンベ
10 触媒賦活物質ボンベ
11 雰囲気ガスボンベ
12 還元ガスボンベ
13 炭素重量フラックス調整手段
14 滞留時間調整手段
15 加熱体積
16 排気体積
17 原料ガスの流路
18 触媒層と原料ガスの流路とが交わる面の面積
19 炭素重量フラックス
20 ガス噴出手段
21 ガス流形成手段
22 乱流抑制手段

Claims (7)

  1. 合成炉と、前記合成炉内に配設され、触媒層を担持した基材と、前記合成炉に接続され、原料ガスを該合成炉内に供給する原料ガス供給管と、前記原料ガス供給管から酸素を含有しない炭素化合物を含有する原料ガスを前記基材平面に対して臨む位置に設けられた前記基材上の触媒層に向けて供給する原料ガス噴出手段と、前記原料ガス噴出手段から前記合成炉内に供給される前記原料ガスを加熱して加熱領域を形成する加熱手段と、前記原料ガス供給管から前記加熱領域に原料ガスが供給されてから前記基材の触媒層に接触するまでの加熱体積を増加させ、滞留時間を長くなる方向に調整するための滞留時間調整手段と、前記原料ガスを前記合成炉外に排出するガス排気管と、を備え、
    ここで、前記滞留時間調整手段は、前記触媒層表面と該触媒層表面に対向して設けられた前記原料ガス噴出手段との距離を40mm以上に設定して、滞留時間を4秒から30秒の範囲に調整してなるカーボンナノチューブの製造装置。
  2. 前記滞留時間調整手段は、乱流抑制手段を備える、請求項1に記載のカーボンナノチューブの製造装置。
  3. 前記滞留時間調整手段は、原料ガス供給管から供給される原料ガスを複数の方向に分配するガス流形成手段を備える、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブの製造装置。
  4. 合成炉内に触媒層を担持した基材を配設する工程と、前記合成炉に原料ガスと雰囲気ガスとの供給量から炭素重量フラックスを調整して得られた原料ガスと雰囲気ガスとをガス供給管を通して前記触媒層に供給する工程と、ここで、前記ガスは、前記基材平面に対して臨む位置に設けられた前記基材上の触媒層に向け、かつ加熱領域に供給されてから基材の触媒層に接触するまでの加熱体積を増加させ、前記触媒層表面と該触媒層表面に対向して設けられた前記原料ガス噴出手段との距離を40mm以上に設定して、滞留時間を4秒から30秒の範囲に調整して供給され、前記原料ガスを前記合成炉外に排出する工程と、を備える、カーボンナノチューブの製造方法。
  5. カーボンナノチューブの合成終了後、合成炉内に残余する炭素不純物がカーボンナノチューブ集合体へ付着することを抑制する炭素不純物付着抑制工程をさらに備える、請求項4に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  6. 前記原料ガスは、全流量に対する原料ガスの割合が2%〜20%の高炭素濃度環境下において触媒賦活物質が添加される、請求項5または6に記載のカーボンナノチューブの製造方法。
  7. 前記炭素重量フラックスは、40g/cm/min〜4300g/cm/minに調整される、請求項4から6のいずれかに記載のカーボンナノチューブの製造方法。
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