JP5582574B2 - カーボンナノチューブの製造装置 - Google Patents
カーボンナノチューブの製造装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5582574B2 JP5582574B2 JP2010293151A JP2010293151A JP5582574B2 JP 5582574 B2 JP5582574 B2 JP 5582574B2 JP 2010293151 A JP2010293151 A JP 2010293151A JP 2010293151 A JP2010293151 A JP 2010293151A JP 5582574 B2 JP5582574 B2 JP 5582574B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gas
- catalyst
- holder
- aggregate
- granular
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Carbon And Carbon Compounds (AREA)
Description
合成炉とは、粒状基材の集合体11を受容し、CNTの合成を行う炉のことを指す。合成炉110の材質は、CNTの成長を阻害せず、成長温度で粒状基材の集合体11を受容することができ、炉内の均熱性を保ち得るものとすると良い。合成炉110は、直管状に(すなわち、軸が直線状に延びるように)形成されており、その断面形状は、四角もしくは、円形、楕円形、卵型、長円形等の丸みを帯びた形状であることが好ましい。
ガス供給管は炭素重量フラックス調整手段180から供給された原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、還元ガスなどを、合成炉110内、および/またはガス流形成手段123に供給する配管を指す。なお、ガス供給管120は、ガスのみならず、液体を供給してもよい。ガス供給管120は、合成炉110の上壁、および/または、側壁に設けられた、開口から合成炉110内へ挿設するのが、原料ガスを縦(鉛直)方向から供給するために好ましい。配管の一部は合成炉110の中に挿入されていてもよく、加熱領域145内にその末端が設けられていてもよい。合成炉110の中に挿入されている配管は各種ガスと反応せず、高熱下においてもその品質、形状を保ち得るものであればよく、石英、各種金属材料などが挙げられる。
ガス排気管は、合成炉110から、雰囲気ガス、触媒賦活物質、還元ガス、原料ガス等を排気する配管、ダクト等の手段を指す。なお、ガス排気管130は、ガスのみならず、液体を排気してもよい。ガス排気管130の材料は各種ガスと反応せず、その品質、形状を保ち得るものであればよく、石英、各種金属材料などが挙げられる。ガス排気管130は、合成炉110の下壁、および/または、ガス供給管120より下側の側壁に設けられた、開口から合成炉110内へ挿設するのが好ましい。このように、ガス供給管120とガス排気管130を配設すれば、合成炉110内で原料ガスが縦(鉛直)方向から触媒に供給され、後述するように、乱流を抑制し、粒状基材の集合体11表面に、原料ガスを均一の量で、かつ等しい滞留時間をもって接触させるのに好ましい。
加熱手段は、合成炉110を外囲するように設けられた合成炉110を加熱するための装置を指す。電熱線を用いるもの、赤外線を用いるものなど既存の加熱手段を用いることができる。なお、本明細書で言う加熱領域とは、加熱手段140により、加熱された合成炉110の内部の空間を言う。
ガス流形成手段とは、ガス供給管120から供給される原料ガスを、複数の方向に分配する手段のことである。ガス流形成手段123は、原料ガスを複数の方向に分配・分散することができれば、材質、形状等は特に制限されず、公知のものを適宜用いることができる。ガス流形成手段123の形状・形態としては、図2に示すように、円盤状(図2(a))、円筒状(図2(b))、平面上で中空構造を有するものや、パイプ状の配管を用いるもの、複数の枝分かれするパイプ状の配管(図2(c)及び図2(d))や、これらの組み合わせを例示できる。ガス流形成手段123を用いれば、ガス供給管120から点状に供給される原料ガスを、平面状に分配・分散させ、粒状基材の集合体11表面の単位面積あたりの供給量を均一にしてかつ等しい滞留時間をもって接触させるために格段の効果を奏する。
ガス噴出手段とは、ガス供給管120から合成炉110内に供給された、原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、還元ガス等を合成炉110内で噴出する手段である。ガス噴出手段125としては、配管、中空部材などから構成されるガス流形成手段123に配設された噴出孔や、ノズル、実質的な噴出孔が無数にあるようなポーラス材料を例示できるが、上記の効果があれば、適宜の形態の物を用いることができる。
本発明の実施において粒状基材10に担持される触媒としては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば適宜のものを用いることができるが、具体的には、鉄・ニッケル・コバルト・モリブデン、およびこれらの塩化物並びに合金や、これらがさらにアムミニウム・アルミナ・チタニア・窒化チタン・酸化シリコンと複合化、または重層化したものでもよい。
粒状基材10への触媒の形成は、ウェットプロセスまたはドライプロセスのいずれをも適用することができる。具体的には、スパッタリング蒸着法や、金属微粒子を適宜な溶媒に分散させた液体の塗布・焼成法などを適用することができる。
粒状基材とは、CNTを成長させる触媒を担持することのできる部材であり、最低限400℃以上の高温でも形状を維持できるものであれば適宜のものを用いることができる。粒状とは、顆粒状、粉末状、薄片状、ブロック状などの形態を含む広い意味で解釈する。すなわち、粒状基材10は、積層させることができ、かつ、積層体中を原料ガス等の気体が拡散でき、かつ、攪拌することができる形態であればよい。
図3は、粒状基材の集合体11の模式図である。粒状基材の集合体11に含まれる粒状基材10の表面に担持した触媒からCNT1が合成され、粒状基材10の触媒表面にはCNT集合体が形成される。触媒を担持した粒状基材10を積層させた積層体を粒状基材の集合体11として用いることは、大量にCNT集合体を生産する上で好ましい。触媒を担持した粒状基材10を積層させ、積層体とした場合には、触媒賦活物質、および原料ガスは、複数回、触媒、および粒状基材10と接触する。触媒賦活物質および原料ガスは、触媒および/または粒状基材10と接触する度に消費されるため、均一で最適な量の触媒賦活物質および原料ガスを積層体全体に渡って供給することが著しく困難となる。
保持具とは、粒状基材の集合体11を保持でき、かつ原料ガス等の気体を通過させることで原料ガス等の気体を粒状基材の集合体11から排気することができる細孔を備える手段のことである。さらには、保持具は、少なくともその一部が回動、振動、篩動作、周期運動等の運動をすることができ、運動により、粒状基材の集合体11中の粒状基材10を動かしたり、攪拌したりすることができる。保持具160の形態としては、粒状基材10を載せるか、あるいは内部に保持できるような把持体であれば特にその形状等は問わない。
触媒供給部170は、触媒と担持した粒状基材10を貯めておく触媒貯留槽171と、触媒貯留槽171から合成炉110の上流蓋151を貫通して設けられたスクリューフィーダ173とを備える。スクリューフィーダ173は、合成炉110の上流側から下流に向かって該合成炉110の軸と略平行に延び、スクリューフィーダ173の先端は加熱領域145の上流側近傍に至っていることが好ましい。粒状基材10は、触媒貯留槽171からスクリューフィーダ173を介して所定の速度で送り出され、スクリューフィーダ173の先端に設けられた触媒供給口174から合成炉110内の保持具160に供給される。
合成炉110の下流側を塞ぐ下流蓋153には、加熱領域145を通って合成炉110内を上流側から下流側へと送られてきた粒状基材の集合体11(典型的には、生成したCNTが粒状基材の集合体11に付着している。以下、これを「CNT付き粒状基材13」という。)を回収する回収部175が連結されている。回収部175は、CNT付き粒状基材の集合体15に塊(凝集)がある場合に塊をほぐす解砕装置176を備える。
製造装置の一部、保持具160、ガス流形成手段123、ガス噴出手段125の材質は、その機能を発現できるものであればよく、公知の物を適宜用いることができる。このような、生産装置の一部、保持具160、ガス流形成手段123、ガス噴出手段125の材質は耐熱合金とすると良い。耐熱合金は、加工性、機械的強度に優れるために、構造が複雑な形状を生産装置の一部の作るために好ましい。耐熱合金としては、耐熱鋼、ステンレス鋼、ニッケル基合金等が挙げられる。
製造装置の一部、特にガス流形成手段123、ガス噴出手段125の表面又は裏面の少なくともいずれか一方には、浸炭防止層を形成してもよい。もちろん、表面および裏面の両面に浸炭防止層が形成されていることが望ましい。この浸炭防止層は、製造装置100の一部と原料ガスの化学反応を抑制するために好ましい。また、原料ガスの分解により、製造装置100の一部が浸炭されて変形してしまうのを防止するために好ましい。
炭素重量フラックス調整手段は、ガスフロー装置等により、CNTの原料となる炭素化合物となる原料ガスの供給量および原料ガスや触媒賦活物質のキャリアガスである雰囲気ガスの供給量をそれぞれ調整し、任意の炭素重量フラックスを炉内に供給する手段である。炭素重量フラックスとは、広義には、単位時間当たりに単位面積当たりの粒状基材の集合体11に接触する炭素の重量を表したものである。このような炭素重量フラックス調整手段180を用いることにより、炭素重量フラックスを調整でき、最適な量の炭素を触媒に供給することが可能になり、本発明の効果を得ることができる。
本発明に係るCNT集合体の製造には、公知の合成法を適用することができる。これは、触媒を担持した粒状基材10の積層体から複数のCNTから成るCNT集合体を化学気相成長(合成)させるものである。
本発明では、薄膜状に積層された触媒を担持した粒状基材10を、粒状基材10がこぼれ落ちないが、気体は通過させるような細孔を有する保持具160に保持し、保持具160と対応するガス流形成手段123から、粒状基材の集合体11表面の全面に渡って均一に、原料ガス、および/または、触媒賦活物質を供給する。このような製造装置100の構成により、原料ガス等のガス流形成手段123から供給された気体が、粒状基材の集合体11中の触媒に効率良く、かつ均一に接触しながら、粒状基材の集合体11中を拡散して、保持具160中の細孔を通過してから、ガス流形成手段123と反対側に配置された、ガス排気管130を介して排気される。
〔フォーメーション工程〕
フォーメーション工程とは、粒状基材10に担持された触媒の周囲環境を還元ガス環境とすると共に、触媒または還元ガスの少なくとも一方を加熱する工程である。この工程により、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態の微粒子化促進、および触媒の活性向上の少なくとも一つの効果が現れる。例えば、触媒がアルミナ−鉄薄膜である場合、鉄粒状基材の集合体11は還元されて微粒子化し、アルミナ層上にナノメートルサイズの触媒微粒子が多数形成される。
成長工程とは、CNTの生産に好適な触媒の周囲環境を原料ガス環境とすると共に、触媒または原料ガスの少なくとも一方を加熱することにより、CNT集合体を成長させる工程のことを意味する。フォーメーション工程の後に成長工程を行うことはCNT集合体の生産に好適である。
炭素不純物付着抑制工程とは、CNTの生産終了後、合成炉110内に残余する、原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または合成炉110内に存在する炭素不純物等がCNT集合体へ付着することを抑制する工程のことであり、かかる効果があれば、どのような形態、工程でもよい。炭素不純物付着抑制工程として、CNTの生産終了後に、粒状基材の集合体11に雰囲気ガスを一定時間流したり(フラッシュ工程)、合成炉110内に残余する原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または炭素不純物等がない領域に粒状基材10を移送したりすることが例示できる。粒状基材10を移送する際には、炭素不純物が多い合成炉110の下流ではなく、上流に向けて粒状基材10を移送すると好ましい。
冷却工程とは、CNT集合体、触媒、および粒状基材10を、成長工程後に冷却する工程のことである。成長工程後のCNT集合体、触媒、および粒状基材10は高温状態にあるため、酸素存在環境下に置かれると酸化してしまうおそれがある。それを防ぐために冷却ガス環境下でCNT集合体、触媒、および粒状基材10を、好ましくは400℃以下、より好ましくは200℃以下に冷却する。冷却ガスとしては、CNTと反応しないガスでればよく、不活性ガスが好ましく、特に安全性、経済性、およびパージ性などの点から窒素が好ましい。
フォーメーション工程で用いる還元ガスは、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態の微粒子化促進、および触媒の活性向上の少なくとも一つの効果を持つガスである。本発明の実施に用いる還元ガスとしては、これまでのCNTの製造に実績のある還元性を有するガスであれば適宜のものを用いることができるが、例えば水素・アンモニア・水、およびそれらの混合ガスを適用することができる。
化学気相成長の雰囲気ガス(キャリアガス)としては、CNTの成長温度で不活性であり、成長するCNTと反応しないガスであればよく、本発明の実施に用いる雰囲気ガスとしては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば適宜のものを用いることができる。一般的には、不活性ガスが好ましく、ヘリウム・アルゴン・水素・窒素・ネオン・クリプトン・二酸化炭素・塩素などや、これらの混合ガスが挙げられ、特に窒素・ヘリウム・アルゴン・水素、およびこれらの混合ガスが好適である。
本発明の実施においてCNTの製造に用いる原料としては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば、成長温度において原料炭素元素を含み、酸素元素を含まない適宜な物質を用いることができる。
CNTを成長させる雰囲気の圧力は、104Pa以上、106Pa(100気圧)以下が好ましく、5×104Pa以上、2×105Pa(2大気圧)以下がさらに好ましく、9×104Pa以上、1.1×105Pa以下が特に好ましい。9×104Pa以上、1.1×105Paの間で、真空や高圧を用いない、大気圧や大気圧に近い圧力下では、CNTの製造効率は非常に良好である。また、シャッターやバルブを用いない開放系の製造装置が使用可能となるので量産の観点からも好ましい。
CNTの成長工程において、触媒賦活物質を添加するとよい。触媒賦活物質の添加により、触媒の寿命を延長し、且つ活性を高め、結果としてCNTの生産効率向上や高純度化を推進することができる。ここで用いる触媒賦活物質としては、酸素もしくは、硫黄などの酸化力を有する物質であり、且つ成長温度でCNTに多大なダメージを与えない物質であればよく、水・酸素・オゾン・酸性ガス、および酸化窒素・一酸化炭素・二酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物、またはエタノール・メタノール・イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類、アルデヒドロ類・酸類・塩類・アミド類・エステル類、並びにこれらの混合物が有効である。この中でも、水・酸素・二酸化炭素・一酸化炭素・エーテル類・アルコール類が好ましいが、特に、極めて容易に入手できる水が好適である。
成長工程において触媒賦活物質と原料とを用いてCNTを製造する際には、(1)原料は炭素を含み酸素を含まず、(2)触媒賦活物質は酸素を含むことが、CNTを高効率で製造するために好適である。
CNTを成長させる反応温度は、金属触媒、原料炭素源、および反応圧力などを考慮して適宜に定められるが、触媒失活の原因となる副次生成物を排除するために触媒賦活剤を添加する工程を含む場合は、その効果が十分に発現する温度範囲に設定することが望ましい。
CNTの成長速度は、触媒に接触する原料ガスに含まれる炭素原子の数に比例する。つまり、全流量に対する原料ガスの割合(原料濃度)が高ければ高いほど成長速度が高くなるので、CNTの生産効率が向上する。
上記した生産装置、および製造法により、高炭素環境化・触媒賦活物質含有雰囲気で、粒状基材10上の触媒から原料ガスを用いて、高効率でCNTを成長させることができ、触媒から成長した複数のCNT1は粒状基材10と垂直方向に配向し、CNT集合体を形成する。CNT集合体とは粒状基材10から剥離して得られた物体でも良い。その場合、CNT集合体は粉体状であっても良い。
CNT集合体の配向性の評価は、例えばヘルマンの配向係数に基づいて行う。例えば、θ−2θ法またはラウエ法で得られたX線回折強度または、SEM画像または原子間力顕微鏡(以下、AFMとも称す)画像を高速フーリエ変換(FFT変換)して得られたFFT画像から得た強度プロフィールを用いて計算したヘルマンの配向係数が、CNT集合体において0.1より大きく1より小さいCNT集合体は、良好な電気特性、良好な機械的特性、良好な熱特性を示し、且つ熱力学的、電気的、機械的な異方性もあり、様々な用途に好適である。
1. CNTの長手方向に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とからX線を入射してX線回折強度を測定(θ−2θ法)した場合に、第2方向からの反射強度が、第1方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在し、且つ第1方向からの反射強度が、第2方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在すること。
2. CNTの長手方向に直交する方向からX線を入射して得られた2次元回折パターン像でX線回折強度を測定(ラウエ法)した場合に、異方性の存在を示す回折ピークパターンが出現すること。
3. ヘルマンの配向係数が、θ−2θ法またはラウエ法で得られたX線回折強度を用いると0.1より大きく1より小さいこと。より好ましくは0.25以上1未満であること。
角度調節機とは、台座491上に配設した合成炉110の傾斜角を調節する装置である。角度調節機493は、合成炉110の傾斜角を調節することが可能な機構を有する装置であればよく、公知のものを用いることが出来る。本実施例においては、角度調節機として、ジャッキを例示することができる。ジャッキには、機械式、液体作動式または空気式があり、本実施例の角度調節機493には、何れを用いることもできる。機械式ジャッキとしては、普通形ねじジャッキ、ラチェット式ねじジャッキ、軸受付ねじジャッキやラック駆動ジャッキが例示できる。液体作動式ジャッキとしては、ポンプ一体型の油圧ジャッキやポンプ分離型の油圧ジャッキが例示できる。また、空気式のエアージャッキを用いてもよい。
滞留時間調整手段とは、滞留時間を意図的に増加、および/または調整させることで、原料ガスの滞留時間を増加・調整し、最適化する手段のことである。しかるに滞留時間調整手段527には、原料ガスの滞留時間を調整、最適化できる手段であれば、形状形態を問わず、公知の何らかの手段を適宜用いることができる。滞留時間調整手段527を用いると、従来は長くすることを検討されることのなかった滞留時間を、長くする方向に調整し、最適化することができ、触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で、高収量、高速成長で効率良くCNT集合体を製造することに効果がある。
乱流抑制手段とは、原料ガスが、ガス供給管120から合成炉110内の加熱領域145に供給されてから、触媒に接触するまでの間に乱流となることを抑制する手段であればよく、形状等はとくに制限されず、形状、材質等、整流板、ハニカム等、公知の方法を適宜用いることができる。また、乱流が発生しにくいガス配管を用いても良い。
滞留時間とは、加熱手段140により加熱された合成炉110内の加熱領域145において、ガス供給管120より合成炉110内の加熱領域145にガスが供給されてから粒状基材の集合体11に接触するまでの時間を表す。
滞留時間は、加熱体積をガスが通過する時間で規定される。ガス供給量を制御する炭素重量フラックス調整手段180での流量設定が、室温で計算されている場合、加熱された炉内における原料ガスの流量は、(加熱された炉内における原料ガスの流量)=(室温(25℃)で供給された流量)×{(293+T)/298}1/2となる。
滞留時間t=(加熱体積)/(原料ガスの流量×{(293+T)/298}1/2)
上述した各製造装置の一部、特に滞留時間調整手段527、ガス流形成手段123、ガス噴出手段125、乱流抑制手段528の表面又は裏面の少なくともいずれか一方には、浸炭防止層が形成してもよい。もちろん、表面および裏面の両面に浸炭防止層が形成されていることが望ましい。この浸炭防止層は、製造装置の一部と原料ガスの化学反応を抑制するために好ましい。また、原料ガスの分解により、生産装置の一部が浸炭されて変形してしまうのを防止するために好ましい。
図1に示したCNTの製造装置100を用いて、実施形態に記載の製造装置と同様の方法を採用して、CNT集合体を製造した。以下、図1を参照しながら説明する。
その後、粒状基材の集合体11を400℃以下に冷却した後、合成炉110内から取り出す(冷却・基板取り出し工程)ことにより、一連の単層CNT集合体の製造工程を完了させた。
単層CNT集合体の特性は、製造条件の詳細に依存するが、実施例1の製造条件では、典型値として、単層CNT含有率99%(2層CNT、多層CNTに対する単層CNTの本数割合であり、合成した単層CNT集合体を透過型電子顕微鏡で観察し画像から求める)、重量密度:0.03g/cm3、BET−比表面積:900m2/g、炭素純度99.9%、ヘルマンの配向係数0.6である。
実施例1により得られたCNT集合体のラマンスペクトルを計測した。鋭いGバンドピークが1590カイザー近傍で観察され、これより本発明のCNT集合体を構成するCNTにグラファイト結晶構造が存在することが分かる。
基板から剥離したCNT集合体から50mgの塊を取り出し、これをBELSORP−MINI( BR>博ョ会社日本ベル製)を用いて77Kで液体窒素の吸脱着等温線を計測した(吸着平衡時間は600秒とした)。この吸脱着等温線からBrunauer, Emmett, Teller(BETともいう)の方法で比表面積を計測したところ、900m2/gであった。
CNT集合体の炭素純度は、蛍光X線を用いた元素分析結果より求めた。基板から剥離したCNT集合体を蛍光X線によって元素分析したところ、炭素の重量パーセントは99.98%、鉄の重量パーセントは0.013%であり、その他の元素は計測されなかった。この結果から、炭素純度は99.98%と計測された。
保持具160として、メッシュでなく、インコネルシートの薄膜を用いた(細孔がない)。製造工程、ならびに用いた粒状基材10、触媒は、実施例1の製造条件と同様である。細孔がない保持具160でCNTを積層した粒状基材10上で製造した場合は、粒状基材の集合体11全面からCNT集合体を製造できなかった。
Claims (4)
- 合成炉と、前記合成炉に連通するガス供給管およびガス排気管と、前記合成炉内を所定温度に加熱するための加熱手段とを備え、
前記ガス供給管を介して供給される原料ガスを、前記加熱手段により加熱された前記合成炉の加熱領域内に供給して、粒状基材に担持された触媒からカーボンナノチューブを成長させ、前記ガス排気管より、前記原料ガスを排気するカーボンナノチューブの製造装置であって、
前記合成炉内に設けられ、前記触媒を担持した前記粒状基材の集合体を保持し、かつ前記原料ガスを通過させるための複数の細孔を有する保持具と、
前記保持具に運動を与え、前記粒状基材を動かす保持具揺動具と、
前記保持具に対向して配設された、前記ガス供給管から供給される前記原料ガスを複数の方向に分配するガス流形成手段と、
前記保持具の上流側の一端に設けられ、前記触媒を担持した前記粒状基材を前記合成炉内に供給するための触媒供給部と、
前記保持具の下流側の他端から前記原料ガスを排出する前記ガス排気管と、
前記合成炉の下流側を塞ぐ下流蓋に前記加熱領域を通って前記保持具の上流側から下流側へと送られてきた前記粒状基材の集合体を回収する回収部と、を備え、
前記合成炉内に前記触媒を担持した前記粒状基材を連続的に供給及び回収するカーボンナノチューブ製造装置。 - 前記保持具揺動具は、前記保持具に回動、振動、篩動作の少なくとも1つの運動を付与することを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ製造装置。
- 前記保持具が多段に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ製造装置。
- 前記保持具に担持された前記触媒を担持した粒状基材の表面に前記原料ガスを略均一の量で、かつ略等しい滞留時間をもって接触させる滞留時間調整手段を備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のカーボンナノチューブ製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010293151A JP5582574B2 (ja) | 2010-12-28 | 2010-12-28 | カーボンナノチューブの製造装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010293151A JP5582574B2 (ja) | 2010-12-28 | 2010-12-28 | カーボンナノチューブの製造装置 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2012140266A JP2012140266A (ja) | 2012-07-26 |
JP2012140266A5 JP2012140266A5 (ja) | 2013-08-29 |
JP5582574B2 true JP5582574B2 (ja) | 2014-09-03 |
Family
ID=46676978
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010293151A Expired - Fee Related JP5582574B2 (ja) | 2010-12-28 | 2010-12-28 | カーボンナノチューブの製造装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5582574B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US10046969B2 (en) * | 2011-08-24 | 2018-08-14 | Zeon Corporation | Device for manufacturing and method for manufacturing oriented carbon nanotube aggregates |
JP2015227254A (ja) * | 2014-05-30 | 2015-12-17 | ヤマハ株式会社 | カーボンナノチューブの製造装置及び製造方法 |
JP6604759B2 (ja) * | 2015-07-10 | 2019-11-13 | 日立造船株式会社 | カーボンナノチューブウェブの製造方法、カーボンナノチューブ集合体の製造方法およびカーボンナノチューブウェブの製造装置 |
KR101754746B1 (ko) | 2016-03-04 | 2017-07-07 | 김대현 | 가로형 오존화 오일 제조 장치 |
CN116963995A (zh) * | 2021-03-10 | 2023-10-27 | 日本瑞翁株式会社 | 碳纳米管集合体的制造方法和制造装置 |
JP7494800B2 (ja) | 2021-06-04 | 2024-06-04 | トヨタ自動車株式会社 | ゲストフリーシリコンクラスレートの製造方法、ゲストフリーシリコンクラスレートの製造装置 |
WO2023145841A1 (ja) * | 2022-01-31 | 2023-08-03 | 日本ゼオン株式会社 | カーボンナノチューブ集合体の製造方法及び製造装置 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3675425B2 (ja) * | 2001-12-26 | 2005-07-27 | 東レ株式会社 | カーボンナノチューブの製造方法および製造装置 |
JP5277511B2 (ja) * | 2003-08-05 | 2013-08-28 | 東レ株式会社 | 気相反応方法および装置 |
JP2007153694A (ja) * | 2005-12-06 | 2007-06-21 | Toray Ind Inc | カーボンナノチューブの製造方法および製造装置 |
JP4945406B2 (ja) * | 2007-11-12 | 2012-06-06 | 株式会社東芝 | カーボンナノチューブ生成炉 |
JP2010100518A (ja) * | 2008-09-25 | 2010-05-06 | Nissin Electric Co Ltd | カーボンナノコイルの製造方法および製造装置 |
JP5608952B2 (ja) * | 2009-06-17 | 2014-10-22 | 独立行政法人産業技術総合研究所 | カーボンナノチューブの製造装置および製造方法 |
-
2010
- 2010-12-28 JP JP2010293151A patent/JP5582574B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2012140266A (ja) | 2012-07-26 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5549984B2 (ja) | 高比表面積のカーボンナノチューブ集合体の製造方法 | |
JP5582574B2 (ja) | カーボンナノチューブの製造装置 | |
JP5904562B2 (ja) | Cnt配向集合体を備える粒状体基材又は線状体基材 | |
US9061909B2 (en) | Method for simultaneously producing carbon nanotubes and hydrogen, and device for simultaneously producing carbon nanotubes and hydrogen | |
US20100062229A1 (en) | Aligned single-walled carbon nanotube aggregate, bulk aligned single-walled carbon nanotube aggregate, powdered aligned single-walled carbon nanotube aggregate, and production method thereof | |
JP5608952B2 (ja) | カーボンナノチューブの製造装置および製造方法 | |
NO343898B1 (en) | Method for producing silicon particles for use as anode material in lithium ion rechargeable batteries, use of a rotating reactor for the method and particles produced by the method and a reactor for operating the method | |
WO2008029927A1 (fr) | Procédé destiné à produire un nanotube de carbone | |
JP6202359B2 (ja) | カーボンナノチューブの製造方法 | |
JP5549983B2 (ja) | 高比表面積のカーボンナノチューブ集合体の製造方法 | |
EP3421424B1 (en) | Production method for fibrous carbon nanostructure | |
JP5791157B2 (ja) | 合成炉 | |
JP2014166936A (ja) | カーボンナノチューブ集合体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20130717 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130723 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20140313 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140401 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140530 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20140624 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20140710 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5582574 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |