JP5549984B2 - 高比表面積のカーボンナノチューブ集合体の製造方法 - Google Patents

高比表面積のカーボンナノチューブ集合体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は高炭素環境、触媒賦活物質含有の原料から連続的に、高比表面積の配向した単層CNT集合体の高効率での製造法に関するものである。
近時、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料、および生体関連材料などの機能性新素材へのカーボンナノチューブ(以下、CNTとも称する)の展開が期待されており、その用途、品質、および量産性などに対する検討が精力的に進められている。
CNTの製造方法の一つに、化学気相成長法(以下、CVD法とも称する)が知られている(特許文献1などを参照されたい)。この方法は、約500℃〜1000℃の高温雰囲気下で炭素化合物などの原料ガスを触媒の触媒微粒子と接触させることを特徴としており、触媒の種類や配置、あるいは原料ガスの種類や、還元ガス、キャリアーガス、合成炉や反応条件といった態様を様々に変化させた中でのCNTの製造が可能であり、CNTの大量生産に適したものとして注目されている。またこのCVD法は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)とのいずれも製造可能である上、触媒を担持した基材を用いることで、基材面に垂直に配向した多数のCNTを製造することができる、という利点を備えている。比表面積が高く、配向性を持つCNT集合体は、物質・エネルギー貯蔵材料として、スーパーキャパシターの電極や指向性を持つ伝熱・放熱材料などの様々な用途において、非常に好適である。
CNTのなかでも単層CNTは、電気的特性(極めて高い電流密度)、熱的特性(ダイアモンドに匹敵する熱伝導度)、光学特性(光通信帯波長域での発光)、水素貯蔵能、および金属触媒担持能などの各種特性に優れている上、半導体と金属との両特性を備えているため、電子デバイス、蓄電デバイスの電極、MEMS部材、及び機能性複合材料のフィラーなどの材料として注目されている。
また、金属不純物が少なく、比表面積が800m/g〜2600m/gの範囲にある単層CNTの集合体は、触媒の担持体やエネルギー・物質貯蔵材として有効であり、スーパーキャパシターやアクチュエータなどの用途に好適である。
このような高比表面積の配向したCNT集合体が創製されれば、CNTの応用分野が飛躍的に拡大するものと予測されるが、実用化を推進するためには、高比表面積の配向したCNT集合体の量産性を向上させることが重要である。
しかしながら、従来の化学気相成長法では、CNTの合成過程で発生する炭素系不純物が触媒微粒子を被覆し、触媒が容易に失活し、CNTが効率良く成長できなかった。触媒の活性は通常数パーセント程度で、寿命は1分程度であった。そのため、従来の単層CNT成長工程においては、低炭素濃度雰囲気で合成を行うのが普通であった。ここで、低炭素濃度雰囲気とは、原料ガス及び雰囲気ガスを含むガスに対する原料ガスの割合が0.1〜1%程度の成長雰囲気のことを言う。従来の合成法で、炭素濃度を高くすると、触媒がさらに容易に失活し、CNTの成長効率がさらに低下してしまった。
結果として、従来の合成法では、触媒への原料ガスの供給が少ないため、CNTの成長速度が遅いだけでなく、高さが数十μm程度の単層CNT集合体しか製造できなかった。また、実際に成長工程で、基材上の触媒と接触した原料ガスに含まれる炭素の内、CNTに転化された割合である炭素効率も極端に悪く、ほとんどの原料ガスが廃棄されてしまうため、コスト面からも問題があった。
本発明者らは、反応雰囲気中に水分などの触媒賦活物質を極微量存在させることにより触媒効率が劇的に向上するのを見出し、より高効率で、高純度、高比表面積、高配向単層CNTを製造することが可能であることを、非特許文献1において報告した。
この方法では、CNTの合成雰囲気中に添加した触媒賦活物質が、触媒微粒子を覆った炭素系不純物を取り除いて、触媒膜の地肌を清浄化する結果、著しく触媒の活性が向上するとともに寿命が延びる。この触媒賦活物質の添加により、触媒の活性が高められ、且つ寿命が延長した結果、従来は高々2分間程度で終了した単層CNTの成長が数十分間継続する上、触媒活性は従来の高々数パーセントから、84%にも改善することになった。この結果、従来の高々4μmの高さから、その高さが数百倍著しく増大した(非特許文献1においては、高さ2.5ミリで、4μmから625倍の改善)単層CNT集合体が得られることとなった。これは、触媒賦活物質存在下においては、触媒活性が著しく向上するため、高炭素濃度環境下においても、触媒は活性を失わず、長時間のCNTの成長が可能となるとともに、成長速度が著しく向上するためである。ここで、高炭素濃度環境とは、原料ガス及び雰囲気ガス、触媒賦活物質を含むガスに対する原料ガスの割合が2〜20%程度の成長雰囲気のことを言う。
特開2003−171108号公報
Kenji Hata et al, Water-Assisted Highly Efficient Synthesis of Impurity-Free Single-Walled Carbon Nanotubes, SCIENCE, 2004.11.19, vol.306, p.1362-1364
触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境での、CNTの合成は、従来と比較して格段の、成長効率、炭素効率、成長速度の向上をもたらした。しかしながら、本手法を用いて、CNT集合体を製造する場合には、従来の合成法にはなかった触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境、特有の技術課題が発生する。
従来の触媒賦活物質として水分、原料ガスとしてエチレンを用いて、CNT集合体を製造する場合、エチレンに対して最適な水分量は、極めて少ない。例えば、エチレンに含まれる炭素原子の個数濃度と、水分に含まれる酸素原子の個数濃度との最適な比は[非特許文献1]の事例では1500程度である。
また、高炭素濃度環境下で合成を行うと、原料ガスの分解が過大となり、炭素不純物が多く発生する。発生した、炭素不純物が合成炉内の基材周辺、下流域に付着し、ごく微量の水分と反応するため、水分が消費され、最適な量の水分を安定して触媒に供給することが困難となる。さらに、炭素不純物がCNTに付着すると比表面積が著しく低下する。
特に、連続的に、高比表面積のCNT集合体を大量に製造する場合には、発生した炭素不純物が蓄積され、水分を消費し、CNT集合体の製造が不安定になる。すなわち、合成回数を増やすにつれ、触媒に供給される水分の量が、最適値よりずれ、製造されるCNT集合体の比表面積、および収量が低下する。
また、粒状体や線状体を積層させた、体積の割に表面積を大きくとれる基材を用いて、高比表面積のCNT集合体を大量に製造する場合には、触媒賦活物質は、複数回、触媒及び基材と接触するが、触媒賦活物質は触媒および基材と接触する度に消費されるため、均一で最適な量の触媒賦活物質を積層体全体に渡って供給することが著しく困難となる。
このような従来技術の問題点に鑑み、本発明の主な目的は、触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境で、高比表面積のCNT集合体を、連続的に安定に製造する方法を提供することにある。
また、本発明の別の主目的は、炭素重量フラックスが調整された原料ガスおよび触媒賦活物質を、基材上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を略均一にして接触させることで、高比表面積のCNT集合体を、大面積に略均一に製造する方法を提供することにある。
また、本発明のさらに別の主目的は、粒状体や線状体を積層させた、積層体の全体に渡って、高比表面積のCNT集合体を、製造する方法を提供することにある。
なお、本明細書で言う「CNT集合体」とは、成長用基材から一定の方向に成長した複数のCNTの集合体を言い、このCNT集合体を基材から剥離して得られた物体も含む。剥離により、CNT集合体は粉体状になる場合もある。
発明者らは鋭意研究の結果、高温下の炉内において、原料ガスおよび触媒賦活物質を、触媒に接触させ、高比表面積の単層CNT集合体を成長させる化学気相成長法において、原料ガス、触媒賦活物質として従来のエチレンと水分ではなく、エチレンよりCNT合成の効率の良い炭素源(例えばアセチレン)を用いて、原料ガスの濃度を低減させる、およびまたは、水分より触媒賦活の効率が悪い触媒賦活物質(例えば二酸化炭素)を用いて、触媒賦活物質の濃度を向上させ、触媒と接触する、炭素原子の個数濃度と、酸素原子の個数濃度との最適な比を低減させた。
それにより、触媒賦活物質が若干消費されても、十分な量の触媒賦活物質が残余し、最適量に近い量を安定に触媒に供給できるようになり、高収量で、かつ連続的な、単層CNT集合体の成長を可能とした。
本発明のカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、基材上の触媒に原料ガスと、触媒賦活物質とを接触させてカーボンナノチューブを成長させる製造方法において、還元ガスを供給して前記基材上の触媒に接触させるとともに前記触媒および前記還元ガスの少なくともいずれか一つを加熱して、前記触媒を還元、及びまたは微粒子化するフォーメーション工程と、炭素を含有しかつ酸素を含有しない原料ガスと、酸素を含有する触媒賦活物質とを、前記フォーメーション工程で還元した前記触媒および触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させると共に、前記触媒、前記触媒微粒子、前記原料ガスおよび前記触媒賦活物質の少なくともいずれか一つを加熱してカーボンナノチューブを成長させるカーボンナノチューブ成長工程とを備え、前記カーボンナノチューブ成長工程で使用される前記原料ガスに含有される炭素原子個数濃度と前記カーボンナノチューブ成長工程で使用される前記触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比が0.5以上200以下であることを特徴とする。
このカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、前記原料ガスは前記基材平面に対して略平行方向の複数の方向に原料ガス流を形成した後に、前記原料ガスは前記基材平面に対して略垂直方向から前記基材上の前記触媒および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触することが好ましい。
また、このカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、原料ガスと雰囲気ガスとの供給量から炭素重量フラックスを調整して得られた前記原料ガスと前記雰囲気ガスとを合成炉に供給し、前記原料ガスを略均一の量をもって前記基材上の前記触媒および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させてカーボンナノチューブを成長させていることが好ましい。
さらにまた、このカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、前記カーボンナノチューブ成長工程の後に、さらに炭素不純物付着抑制工程を備えることが好ましい。
そして、このカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、前記原料ガスは、原料ガスと雰囲気ガスの供給量から炭素重量フラックスを調整して供給されることが好ましい。
また、このカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、前記原料ガスの流れる流路の断面積が、前記原料ガスの流れる流路が前記触媒と交わる面の面積と概ね一致することが好ましい。
さらにこのカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、触媒を担持した粒状体およびまたは線状体の基材に、原料ガスと、触媒賦活物質とを接触させてカーボンナノチューブを成長させる製造方法において、還元ガスを供給して前記触媒に接触させるとともに前記触媒および前記還元ガスの少なくともいずれか一つを加熱して、前記触媒を還元、及びまたは微粒子化するフォーメーション工程と、炭素を含有しかつ酸素を含有しない原料ガスと、酸素を含有する触媒賦活物質とを、前記フォーメーション工程で還元した前記触媒および触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させると共に、前記触媒、前記触媒微粒子、前記原料ガスおよび前記触媒賦活物質の少なくともいずれか一つを加熱してカーボンナノチューブを成長させるカーボンナノチューブ成長工程とを備え、前記カーボンナノチューブ成長工程で使用される前記原料ガスに含有される炭素原子個数濃度と前記カーボンナノチューブ成長工程で使用される前記触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比が0.5以上200以下であることを特徴とする。
このカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、前記粒状体または前記線状体の基材の平均径が10μm以上1cm以下であることが好ましい。
また、このカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、前記原料ガスは前記基材平面に対して略平行方向の複数の方向に原料ガス流を形成した後に、前記原料ガスは前記基材平面に対して略垂直方向から前記基材上の前記触媒および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触することが好ましい。
さらにまた、このカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、原料ガスと雰囲気ガスとの供給量から炭素重量フラックスを調整して得られた前記原料ガスと前記雰囲気ガスとを合成炉に供給し、前記原料ガスを略均一の量をもって前記基材上の前記触媒および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させてカーボンナノチューブを成長させていることが好ましい。
そして、このカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、前記カーボンナノチューブ成長工程の後に、さらに炭素不純物付着抑制工程を備えることが好ましい。
また、このカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、前記原料ガスは、原料ガスと雰囲気ガスの供給量から炭素重量フラックスを調整して供給されることが好ましい。
また、このカーボンナノチューブ集合体の製造方法は、前記原料ガスの流れる流路の断面積が、前記原料ガスの流れる流路が前記触媒と交わる面の面積と概ね一致することが好ましい。
本発明の方法によれば、従来手法に比べ、炭素不純物の発生を抑制しつつ、高炭素効率でCNT集合体を製造できるため、原料ガスの無駄を大きく減らすことが可能であると共に比表面積が高く、一本一本のCNTが規則的な方向に配向していて、かつ重量密度が低いために成型加工性を持つCNT集合体を安定して連続的に製造することが容易である。このため産業界への利用が十分に期待できるものである。
本発明が適用されるCNT製造装置の一例を概念的に示した図である。 ガス流形成手段の形状・形態の例を示した図である。 炭素重量フラックスの定義の例を示した図である。 炭素重量フラックスの定義の例を示した図である。 二酸化炭素導入量を変化させたときの、CNT集合体の成長時間と高さの関係を示したグラフである。 実施例1で製造されたCNT配向集合体の一例を示す写真である。 実施例1において45回連続でCNT集合体を合成したときの、各合成時におけるCNT集合体の収量を示す。 実施例4で製造されたCNT集合体の一例を示す写真である。 実施例4で製造されたCNT集合体の一例を示す写真である。 比較例6で製造されたCNT集合体の一例を示す写真である。 実施例7で製造されたCNT集合体の一例を示す写真である。 実施例7で製造されたCNT集合体の一例を示す写真である。
以下に本発明を添付の図面を参照して詳細に説明する。
本発明が適用されるCNT製造装置の一例を図1に示す。このCNT製造装置は触媒層2を備える基材1を受容する例えば石英ガラス等からなる合成炉3と、合成炉3の上壁に設けられ、合成炉3と連通するガス供給管4と、下流側の下壁もしくは側壁に設けられ、合成炉3と連通するガス排気管5と、合成炉3を外囲して設けられた例えば抵抗発熱コイルなどからなる加熱手段6と、炉内温度を所定の温度に調整するための加熱温度調整手段と、加熱手段6と加熱温度調整手段により、所定温度に加熱された合成炉3内の加熱領域7とを備える。また、加熱体積が排気体積より大きくなるように、合成炉3内の加熱領域7に、触媒層2を備える基材1を保持するための基材ホルダ8が設けられている。
触媒層2とは、基材1上での触媒を包含する面もしくは空間のことであり、一般的には基材1が平板状の場合には、基材面となり、基材1が微粒子やビーズの集合体の場合にはそれらの基材1を包含する空間となる。
基材ホルダ8及びまたは、触媒層2の上方の加熱領域7内には、ガス供給管4から供給される原料ガスおよび触媒賦活物質を分配・分散させ、複数の方向へ流れる原料ガス流および触媒賦活物質流を形成させる、ガス流形成手段9が配置されている。ガス流形成手段9は、基材1表面に対して略平行の複数の方向に原料ガスおよび触媒賦活物質の流れを形成する。またガス流形成手段9には、基材1平面に対して略垂直方向の原料ガス流および触媒賦活物質流を形成する複数の、ガス噴出手段10が設けられている。ガス噴出手段10は、基材1の表面に対して、略平行な同一面内に配設されている。
このようなガス流形成手段9を用いることにより、ガス供給管4から供給された原料ガスおよび触媒賦活物質を、基材1平面と略平行な平面に展開・分散してから、基材1平面と略垂直方向から触媒と接触させることができる。そのため原料ガスおよび触媒賦活物質を、基材1上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を略均一にして触媒に接触させることができる。
CNT製造装置は、CNTの原料となる炭素化合物を収容する原料ガスボンベ11、触媒賦活物質を収容する触媒賦活物質ボンベ12、原料ガスや触媒賦活物質のキャリアガスを収容する雰囲気ガスボンベ13、および触媒を還元するための還元ガスボンベ14を備えており、これらのボンベからのそれぞれのガスの供給量をガスフロー装置で制御可能な炭素重量フラックス調整手段15を備えている。炭素重量フラックス調整手段15は最適化された量の原料ガスおよび触媒賦活物質を触媒に接触させるために好適である。
ガス供給管4、ガス排気管5、並びに各供給部の適所には、逆止弁、流量制御弁、および流量センサが設けられており、図示されていない制御装置からの制御信号によって各流量制御弁を適宜に開閉制御することにより、所定流量の原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、並びに還元ガスが、ガス供給管4から反応プロセスに応じて連続的にあるいは間欠的に合成炉3内に供給されるようになっている。
〔合成炉〕
合成炉3とは、触媒を担持した基材1を受容し、CNTの合成を行う炉のことを指す。合成炉3の材質は、CNTの成長を阻害せず、成長温度で触媒を担持した基材1を受容することができ、炉内の均熱性を保ち得るものとすると良い。さらには、大量のCNTを合成するために、合成炉3は、基材を複数、もしくは連続的に供給・取り出しを行うシステムを装備していてもよい。
本発明の効果を得るためには合成炉3は横型よりも縦型であることが好ましい。ここで縦型合成炉3とは、原料ガスおよび触媒賦活物質が縦(鉛直)方向から供給される合成炉3を示す。原料ガスおよび触媒賦活物質を縦(鉛直)方向から供給すると、基材1を水平方向に配設し、かつ、原料ガスおよび触媒賦活物質を鉛直方向から、触媒に接触させることが容易なため好ましい。
〔CNT製造装置の材質〕
CNT製造装置の一部、特に合成炉3、ガス流形成手段9、ガス噴出手段10の材質は、その機能を発現できるものであればよく、公知の物を適宜用いることができる。このような、CNT製造装置の一部、特に合成炉3、ガス流形成手段9、ガス噴出手段10の材質は耐熱合金とすると良い。耐熱合金は、加工性、機械的強度に優れるために、構造が複雑な形状をCNT製造装置の一部の作るために好ましい。
耐熱合金としては、耐熱鋼、ステンレス鋼、ニッケル基合金等が挙げられる。
なお、Feを主成分として他の合金濃度が50%以下のものが耐熱鋼と一般に呼ばれる。また、Feを主成分として他の合金濃度が50%以下であり、Crを約12%以上含有する鋼は一般にステンレス鋼と呼ばれる。また、ニッケル基合金としては、NiにMo、CrおよびFe等を添加した合金が挙げられる。
具体的には、SUS310、インコネル600、インコネル601、インコネル625、インコロイ800、MCアロイ、Haynes230アロイなどが耐熱性、機械的強度、化学的安定性、コストなどの点から好ましい。
〔浸炭防止層〕
CNT製造装置の一部、特に合成炉3、ガス流形成手段9、ガス噴出手段10の表面又は裏面の少なくともいずれか一方には、浸炭防止層が形成してもよい。もちろん、表面及び裏面の両面に浸炭防止層が形成されていることが望ましい。この浸炭防止層は、CNT製造装置の一部と原料ガスの化学反応を抑制するために好ましい。また、原料ガスの分解により、CNT製造装置の一部が浸炭されて変形してしまうのを防止するために好ましい。
浸炭防止層は、単独で触媒活性を示さない金属元素又はその化合物によって構成されることが望ましい。その材料としては、例えばアルミナ(Ai)、酸化ケイ素(SiO)、ジルコニア(ZrO)、酸化マグネシウム(MgO)等の金属酸化物、銅やアルミニウム等の金属を適用することができる。
〔ガス供給管〕
ガス供給管4は、炭素重量フラックス調整手段15から供給された原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、還元ガスなどを、合成炉3内、及びまたはガス流形成手段9に供給する配管を指す。なお、ガス供給管4は、ガスのみならず、液体を供給してもよい。ガス供給管4は、合成炉3の上壁、およびまたは、側壁に設けられた、開口から合成炉3内へ挿設するのが、原料ガスおよび触媒賦活物質を縦(鉛直)方向から供給するために好ましい。配管の一部は合成炉3の中に挿入されていてもよく、加熱領域7内にその末端が設けられていてもよい。合成炉3の中に挿入されている配管は各種ガスと反応せず、高熱下においてもその品質、形状を保ち得るものであればよく、石英、各種金属材料などが挙げられる。
〔ガス排気管〕
ガス排気管5は、合成炉3から、雰囲気ガス、触媒賦活物質、還元ガス、原料ガス等を排気する配管、ダクト等の手段を指す。なお、ガス排気管5は、ガスのみならず、液体を排気してもよい。ガス排気管5の材料は各種ガスと反応せず、その品質、形状を保ち得るものであればよく、石英、各種金属材料などが挙げられる。ガス排気管5は、合成炉3の下壁、およびまたは、ガス供給管4より下側の側壁に設けられた、開口から合成炉3内へ挿設するのが好ましい。このように、ガス供給管4とガス排気管5を配設すれば、合成炉3内で原料ガスおよび触媒賦活物質が縦(鉛直)方向から触媒に供給され、後述するように、乱流を抑制し、基材1上に設けられた触媒層2表面に、原料ガスを略均一の量で接触させるのに好ましい。
〔加熱手段 & 加熱領域〕
加熱手段6は、合成炉3を外囲するように設けられた合成炉3を加熱するための装置を指す。電熱線を用いるもの、赤外線を用いるものなど既存の加熱手段を用いることができる。なお、本明細書で言う加熱領域7とは、加熱手段6により、加熱された合成炉3の内部の空間を言う。
〔ガス流形成手段〕
ガス流形成手段9とは、ガス供給管4から供給される原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、還元ガス等を、複数の方向に分配する手段のことである。ガス流形成手段9は、原料ガスや触媒賦活物質等を複数の方向に分配・分散することができれば、材質、形状等は特に制限されず、公知のものを適宜用いることができる。ガス流形成手段9の形状・形態としては、図2に示すように、円盤状、円筒状、平面上で中空構造を有するものや、パイプ状の配管を用いるもの、複数の枝分かれするパイプ状の配管や、これらの組み合わせを例示できる。ガス流形成手段9を用いれば、ガス供給管4から点状に供給される原料ガスおよび触媒賦活物質を、平面状に分配・分散させ、平面基材1上の触媒を配置した領域に単位面積あたりの供給量を略均一で接触させるために格段の効果を奏する。ガス流形成手段9を用いて、複数の方向に分配される原料ガスおよび触媒賦活物質は、異なる複数の方向に流れる原料ガス流および触媒賦活物質流を形成する。原料ガス流および触媒賦活物質流の流れる複数の方向の軸線の間の最大角度が、90度以上(より好ましくは180度以上)になることが、ガス供給管4から点状に供給される原料ガスおよび触媒賦活物質を、平面状に分配・分散させるためには好ましい。また、ガス流形成手段9が対称軸を有し、対称軸上にガス供給管4が連通されていることは、ガス供給管4から点状に供給される原料ガスおよび触媒賦活物質を、平面状に分配・分散させるためには好ましい。また、基材1平面に対して略平行方向な複数の方向に原料ガス流および触媒賦活物質流を形成するガス流形成手段9は、上記効果を得るために好ましい。略平行方向とは、ガス流形成手段9により、複数の方向に分配・分散された原料ガスおよび触媒賦活物質が流れる方向の軸線が基材1の法線と成す角が45以上135°未満となるような方向を示す。ここで、略均一の供給量とは、本発明の効果が得られる程度に、原料ガスおよび触媒賦活物質の供給が均一であることを意味する。すなわち、基材1上の触媒を配置した領域のおおよそ全面からCNTが合成できる程度であればよい。
〔ガス噴出手段〕
ガス噴出手段10とは、ガス供給管4から合成炉3内に供給された、原料ガス、触媒賦活物質、雰囲気ガス、還元ガス等を合成炉3内で噴出する手段である。ガス噴出手段10を複数、適宜ガス流形成手段10に分散・配設することで、基材1の触媒に接触する原料ガスの量を均一化することに効果がある。ガス噴出手段10としては、配管、中空部材などから構成されるガス流形成手段9に配設された噴出孔や、ノズル、実質的な噴出孔が無数にあるようなポーラス材料を例示できるが、上記の効果があれば、適宜の形態の物を用いることができる。
ガス噴出手段10は複数、ガス流形成手段9に設けるのが、上記効果を得るために好ましい。ガス噴出手段10の間隔は、複数のガス噴出手段10から噴出されるガスが、略均一な原料ガス流および触媒賦活物質流を形成するようにすることが好ましい。略均一とは、原料ガス流および触媒賦活物質流の断面平面を、原料ガスおよび触媒賦活物質が略均一の量で流れることを示す。基材1平面に対して略垂直方向の原料ガス流および触媒賦活物質流を形成するように配設された、複数のガス噴出手段は、上記効果を得るために好ましい。また、複数のガス噴出手段10が、基材1の表面に対して、略平行な同一面内に配設されていることは、上記効果を得るために好ましい。
略垂直方向とは、ガス噴出手段10の、噴射軸線が基材1の法線と成す角が0以上45°未満となるような方向を示す。つまりガス供給管4に設けられたガス噴出手段10から噴出するガス流の方向が、基材1の触媒層2に鉛直方向から接触するようにされていることを指す。
ガス噴出手段10とガス供給管4との間の角度の最大値が、90度以上(より好ましくは180度以上)になることが、ガス供給管4から点状に供給される原料ガスおよび触媒賦活物質を、平面状に分配・分散させるためには好ましい。
〔炭素重量フラックス〕
炭素重量フラックスとは、広義には、単位時間当たりに単位面積当たりの触媒層2に接触する炭素の重量を表したものである。炭素重量フラックスは、触媒に接触する炭素の量を表すため、CNTの重要な製造条件である。
〔炭素重量フラックス調整手段〕
炭素重量フラックス調整手段15は、ガスフロー装置等により、CNTの原料となる炭素化合物となる原料ガスの供給量及び原料ガスや触媒賦活物質のキャリアガスである雰囲気ガスの供給量をそれぞれ調整し、任意の炭素重量フラックスを炉内に供給する手段である。このような手段を用いることにより、炭素重量フラックスを調整でき、最適な量の炭素を触媒に供給することが可能になり、本発明の効果を得ることができる。
炭素重量フラックス調整手段15を用いて、炭素重量フラックスを40g/cm/min〜4300g/cm/minとすることにより触媒賦活物質含有、高炭素濃度環境下で、高速にかつ高収量で効率良くCNTを製造することができ、本発明の目的を達成することができる。炭素重量フラックスが40g/cm/min未満であると、触媒に供給される原料ガスが十分ではなく、高速でCNTを製造することができない。一方で、炭素重量フラックスが4300g/cm/minを超えると、炭素不純物が大量に発生し、製造されたCNTと合成炉3内に付着する。
〔炭素重量フラックスの規定法〕
炭素重量フラックスとは、広義には、単位時間当たりに単位面積当たりの触媒層2に接触する炭素の重量を表したものである。図3に示すように、炭素重量フラックス16は、単位時間当たりに原料ガスの流路17を通過する原料ガスに含まれる炭素原子の重量を、触媒層2(基材1上での触媒を包含する面もしくは空間)と原料ガスの流路17とが交わる面の面積18で割って、触媒層2の単位断面積、単位時間当たりに接触する炭素の重量を表したものである。炭素重量フラックス18は、マスフロー等で構成される炭素重量フラックス調整手段15の調節により設定可能である。
炭素重量フラックス(g/cm/min)=12×原料ガスの1分子内に含まれる炭素の数×原料ガスの流量×炉内圧力/(気体定数×加熱された炉内の絶対温度)/交わる面の面積
によって求められる。
もしも、基材1が平面状の基板から構成され、その基板が流路に対して平行に置かれた場合、流路と交わる面の面積は実質的にゼロと計算される。このことは、原料ガスから供給される炭素のほとんどが、触媒層2と接触することがないことを示している。そのため、このような配置でCNTの製造を行った場合、合成炉3内に供給される原料ガスのほとんどが触媒と接触しない。
そのため、高収量で効率良くCNTの製造を行うためには、触媒層2(基材1上での触媒を包含する面もしくは空間)と原料ガスの流路17とが概して垂直に交わることが、高収量で効率良くCNTを製造するために好適である。
さらには、原料ガスの流路17の断面積が、原料ガスの流路17と触媒層2とが交わる面の面積18と概ね一致することが望ましい。このように原料ガスの流路17、基材1、および触媒層2を配置すれば、原料ガス中に含まれる炭素の大部分が、触媒層2に接触し、効率よく高速でCNTを製造することが可能である。
図4では、基材1として粒状体を用い、複数の粒状体を円筒の中に配置し、それを包含する円柱状の触媒層2に概して垂直に原料ガスの流路17が交わるようにし、かつ、原料ガスの流路17の断面積が、原料ガスの流路17と触媒層2とが交わる面の面積18とを概ね一致させた場合を例示する。
ここで、触媒層2が空間の場合における触媒層2の表面とは、原料ガスの流路17が触媒層2と接触する触媒層2の面と定義し、表面の面積を触媒層2の面積とする。
このように原料ガスの流路17、基材1、および触媒層2を配置すれば、原料ガス中に含まれる炭素の大部分が、触媒層2に接触し、効率よく高速でCNTを製造することが可能である。
触媒層2と原料ガスの流路17とが交わる面の面積18、原料ガスの流路17の断面積、および触媒層2の面積が、お互い20%異なると、20%以上の原料ガス、もしくは触媒が無駄になり、効率よくCNTを製造することが困難となる。
本発明に係る単層CNT集合体の製造には、公知のCVD法を適用することができる。これは、基材1上に触媒層を製造し、その触媒層に複数のCNTを化学気相成長(CVD)させるものである。
図1を参照しながら説明すると、先ず、ガス供給管4から供給された雰囲気ガス(例えばヘリウム)が満たされた合成炉3内に、触媒層2(例えばアルミナ−鉄薄膜)を別工程で予め成膜した基材1(例えばシリコンウエハ)を基材ホルダ8に載置する。
このとき、触媒層2表面と原料ガスおよび触媒賦活物質の流路とが概して垂直に交わるように基材1を配設し、原料ガスおよび触媒賦活物質が効率良く触媒に供給されるようにする。
また、排気体積が加熱体積よりも小さくなるように基材1を加熱領域7内に配置し、触媒層2と接触した原料ガスおよび触媒賦活物質が速やかに排気されるようにする。
次いでガス供給管4から合成炉3内に還元ガス(例えば水素)を供給しながら、合成炉3内を所定の温度(例えば750℃)に加熱し、その状態を所望の時間保持するフォーメーション工程を行う。
この還元ガスにより、触媒層2が還元、及びまたは微粒子化され、CNTの触媒として好適な状態に調整される。フォーメーション工程においては、必要に応じて触媒賦活物質を添加してもよい。
ここで適切な触媒層2の厚さ並びに還元反応条件を選択することにより、直径が数ナノメートル、例えば、1〜10ナノメールの触媒微粒子を、1×1010(個/cm)から5×1013(個/cm)の個数密度に調整可能である。この個数密度は、触媒層2に直交する向きに配向した複数のCNTを成長させるのに好適である。フォーメーション工程においては、必要に応じて触媒賦活物質を添加しても良い。
次いで炭素重量フラックス調整手段15を用いてガス供給管4からの還元ガスおよび雰囲気ガスの供給を所望(反応条件)に応じて停止あるいは低減すると共に、原料ガス(例えばエチレン)と、雰囲気ガスと、触媒賦活物質(例えば二酸化炭素)とを、ガス供給管4から供給する。ガス供給管4から供給されたこれらのガスは、基材1平面に対して略平行方向の複数の方向に向いたガス流を形成した後に、噴出孔から基材1平面に対して略垂直方向から略均一の量で、基材1上の触媒層2表面に吹きかけられる。この時、触媒微粒子は、主として触媒層2上に固着したままであり、更なるCNTの成長を維持するためには、原料ガス及び触媒賦活物質が成長した配向CNT集合体の中を効率よく拡散し、還元された触媒層、及びまたは触媒層2上の触媒微粒子に継続的にかつ安定的に供給される必要があり、噴出孔から基材1平面に対して略垂直方向から略均一の量で、基材1上の触媒層2表面に吹きかけることは好適である。
また、これらのガスは炭素重量フラックス調整手段15を用いて最適化された量で触媒層2の表面に接触し、還元された触媒層、及びまたは基材1に被着した触媒微粒子から高速にかつ高収量で効率良くCNTが成長する(成長工程)。また、触媒層2に接触した後には、これらのガスは速やかにガス排気管5より排気され、炭素不純物の発生は最小限に抑えられる。
CNTの生産終了後、合成炉3内に残余する、原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または合成炉3内に存在する炭素不純物等がCNT集合体へ付着することを抑制するために、雰囲気ガスのみを流し、CNT集合体への不純物の接触を抑制する(炭素不純物付着抑制工程)。
このようにして、基材1上の触媒層2から同時に成長した複数のCNTは、触媒層2に直交する向きに成長して、配向し、高さが概ねそろった高比表面積のCNT集合体を構成する。
以下、これらの各種条件について詳述する。
〔フォーメーション工程〕
フォーメーション工程とは、基材1に担持された触媒の周囲環境を還元ガス環境とすると共に、触媒および還元ガスの少なくとも一つを加熱する工程である。この工程により、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態の微粒子化促進、および触媒の活性向上の少なくとも一つの効果が現れる。例えば、触媒がアルミナ−鉄薄膜である場合、鉄触媒層は還元、及びまたは微粒子化されて、アルミナ層上にナノメートルサイズの触媒微粒子が多数形成される。
〔成長工程〕
成長工程とは、触媒の周囲環境を原料ガス環境とすると共に、触媒、原料ガスおよび触媒賦活物質の少なくともいずれか一つを加熱することにより、触媒表面にCNTを成長させる工程のことである。フォーメーション工程の後に成長工程を行うことはCNT集合体の生産に好適である。
〔炭素不純物付着抑制工程〕
炭素不純物付着抑制工程とは、CNTの生産終了後、合成炉3内に残余する、原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または合成炉3内に存在する炭素不純物等がCNT集合体へ付着することを抑制する工程のことであり、かかる効果があれば、どのような形態、工程でもよい。炭素不純物付着抑制工程として、CNTの生産終了後に、雰囲気ガスを一定時間流したり、合成炉3内に残余する、原料ガス、触媒賦活物質、それらの分解物、または炭素不純物等がない領域に基材1を移送することが例示できる。基材1を移送する際には、炭素不純物が多い合成炉3の下流ではなく、上流に向けて基材1を移送すると好ましい。
高炭素環境下でCNTを生産すると、従来よりも多量の原料ガス、および炭素不純物が、合成炉3内、特に基材1周辺、および合成炉3下流に発生する。CNT集合体は極めて比表面積が大きいため、CNTの生産終了後、基材1周辺に、原料ガス、炭素不純物等が存在すると、CNT集合体に炭素不純物として付着し、比表面積が著しく低下してしまう。そのため、炭素不純物付着抑制工程を用いて、CNTの生産終了後に、CNT集合体への不純物の接触を抑制することは、高比表面積のCNT集合体を得るために著しい効果がある。
〔冷却工程〕
冷却工程とは、CNT集合体、触媒、および基材を、成長工程後に冷却する工程のことである。成長工程後のCNT集合体、触媒、および基材1は高温状態にあるため、酸素存在環境下に置かれると酸化してしまうおそれがある。それを防ぐために冷却ガス環境下でCNT集合体、触媒、および基材1を、好ましくは400℃以下、より好ましくは200℃以下に冷却する。冷却ガスとしては、不活性ガスが好ましく、特に安全性、経済性、およびパージ性などの点から窒素が好ましい。
〔基材(基板)〕
基材1(基板)とは、その表面にCNTを成長させる触媒を担持することのできる部材であり、最低限400℃以上の高温でも形状を維持できるものであれば適宜のものを用いることができる。基材1の形態としては、ガス流形成手段9を用いる場合には、平板状が好ましい。また、薄膜状、ブロック状、粉末状、または線状などでもよく、特に体積の割に表面積を大きくとれる形態が大量にCNT集合体を生産する上で好ましい。
特に粒状体(ビーズ)や線状体(ワイヤ)は、触媒を均一に塗布し易く取り扱いが容易であり、しかも体積の割に表面積を大きくとれるので、基材1として好適である。さらには、粒状体(ビーズ)や線状体(ワイヤ)を積層させた積層体を基材1として用いることは、大量にCNT集合体を生産する上で好ましい。積層体を基材1として用いた場合には、触媒賦活物質、及び原料ガスは、複数回、触媒、及び基材1と接触することもある。積層体の形態としては、ガス流形成手段19を用いる場合には、積層体は平板状が好ましい。
基材1として、マクロ形状が平らな粒子(フレーク状・ディスク状など)や、細長い粒子(円柱状・ロッド状・リボン状など)やこれらの積層体などを用いてもよい。具体的には、板状アルミナ・石英フレーク・石英繊維・セラミック繊維・繊維状酸化チタンなどを例示できる。積層体の形態としては、ガス流形成手段19を用いる場合には、積層体は平板状が好ましい。
これまでにCNTの製造に実績のある材質としては、鉄・ニッケル・クロム・モリブデン・タングステン・チタン・アルミニウム・マンガン・コバルト・銅・銀・金・白金・ニオブ・タンタル・鉛・亜鉛・ガリウム・インジウム・ゲルマニウム・砒素・燐・アンチモンなどの金属、並びにこれらの金属を含む合金および酸化物、またはシリコン・石英・マグネシア・スピネル・カルシア・ドロマイト・クロミア・ジルコニア・チタニア・ムライ・ガラス・マイカ・グラファイト・アルミナ・酸化マグネシウム・チタン酸カリウム・酸化ジリコニウム・ゼオライト・シリカ・酸化チタン・ダイヤモンドなどの非金属、並びにセラミックおよびこれらの混合物が挙げられる。
金属は、シリコンやセラミックと比較して廉価である点が好ましく、特に、鉄−クロム(Fe−Cr)合金、鉄−ニッケル(Fe−Ni)合金、および鉄−クロム−ニッケル(Fe−Cr−Ni)合金などが本発明の実施に好適である。
粒状体や線状体を基材1として用いる場合の基材のサイズに格別な制限はないが、基材1の平均径を著しく凌駕する高さのCNT集合体を製造することは容易ではないため、基材1、すなわち粒状体や線状体の平均径は10μm以上1cm以下であり、より好ましくは20μm以上5000mm以下、さらに好ましくは50μm以上3000mm以下である。
この範囲に平均径がある粒状体や線状体を基材1として用いた場合には、数十μm以上の高さのCNT集合体を製造することができる。これに対し、基材1の平均径が10μm未満の場合には、数十μm以上の高さのCNT集合体を製造することが困難になる。基材1の平均径が20μm以下、およびまたは、3000mm以上の場合には、積層体全体にわたり、CNT集合体を製造することが困難となる。また、基材1の平均径が1cmを超える場合には、ガス流形成手段19などを用いて原料ガスおよび触媒賦活物質を供給する場合に、基材1の表面全体に均一に原料ガスおよび触媒賦活物質を供給することが困難となるため、CNT集合体を製造することが困難になる。
〔触媒〕
本発明の実施において基材に担持され、例えば触媒膜などの触媒層2を形成する触媒としては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば適宜のものを用いることができるが、具体的には、鉄・ニッケル・コバルト・モリブデン、およびこれらの塩化物並びに合金や、これらがさらにアムミニウム・アルミナ・チタニア・窒化チタン・酸化シリコンと複合化、または重層化したものでもよい。特に好ましいものとしては、鉄−モリブデン薄膜、アルミナ−鉄薄膜、アルミナ−コバルト薄膜、アルミナ−鉄−モリブデン薄膜、アルミニウム−鉄薄膜、およびアルミニウム−鉄−モリブデン薄膜などを例示することができる。
本発明の実施における触媒の存在量は、これまでのCNT製造に実績のある範囲内であればよいが、例えば鉄やニッケルの金属薄膜を用いる場合、その厚さは、0.1nm〜100nmが好ましく、0.5nm〜5nm以下がより好ましく、0.8nm〜2nmが高比表面積のCNT集合体を得るために特に好ましい。
〔触媒形成法〕
基材1表面への触媒層2の形成は、ウェットプロセスまたはドライプロセスのいずれをも適用することができる。具体的には、スパッタリング蒸着法や、金属微粒子を適宜な溶媒に分散させた液体の塗布・焼成法などを適用することができる。
〔還元ガス〕
フォーメーション工程で用いる還元ガスは、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態の微粒子化促進、および触媒の活性向上の少なくとも一つの効果を持つガスである。本発明の実施に用いる還元ガスとしては、これまでのCNTの製造に実績のある還元性を有するガスであれば適宜のものを用いることができるが、例えば水素・アンモニア・水、およびそれらの混合ガスを適用することができる。
〔不活性ガス(雰囲気ガス)〕
化学気相成長の雰囲気ガス(キャリアガス)としては、CNTの成長温度で不活性であり、成長するCNTと反応しないガスであればよく、本発明の実施に用いる雰囲気ガスとしては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば適宜のものを用いることができる。一般的には、不活性ガスが好ましく、ヘリウム・アルゴン・水素・窒素・ネオン・クリプトン・二酸化炭素・塩素などや、これらの混合ガスが挙げられ、特に窒素・ヘリウム・アルゴン・水素、およびこれらの混合ガスが好適である。
〔原料(原料ガス)〕
本発明の実施においてCNTの製造に用いる原料としては、これまでのCNTの製造に実績のあるものであれば、成長温度において原料炭素元素を含み、酸素元素を含まない適宜な物質を用いることができる。酸素を含有する、エタノールや、一酸化炭素等を原料ガスとして用いてCNTが製造できることが知られている。一般的に、エタノールや、一酸化炭素等を原料ガスとして用いてCNTを製造する場合には、成長速度、合成効率等が、本発明の製造法と比較して大きく劣る。本発明においては、このような酸素を含有する原料ガスを用いた場合、触媒賦活物質の効果が著しく低減するため、本発明の効果を得ることができない。本発明においては、エタノールや、一酸化炭素は、原料ガスではなく、触媒賦活物質として用いる。
この原料ガスとしては、芳香族化合物・飽和炭化水素・不飽和炭化水素・不飽和鎖式炭化水素・飽和鎖式炭化水素・環状不飽和炭化水素・環状飽和炭化水素などのガス状炭素化合物を例示できる。中でも、メタン・エタン・プロパン・ブタン・ペンタン・ヘキサン・ヘプタン・プロピレン・エチレン・ブタジエン・ポリアセチレン・アセチレンなどの炭化水素が好適である。これらの原料ガスが成長工程において触媒と接触することにより、触媒表面にCNTが生成される。
〔雰囲気圧力〕
CNTを成長させる雰囲気の圧力は、10Pa以上、10Pa(100気圧)以下が好ましく、5×10Pa以上、2×10Pa(2大気圧)以下がさらに好ましく、9×10Pa以上、1.1×10Pa以下が特に好ましい。9×10Pa以上、1.1×10Paの間で、真空や高圧を用いない、大気圧や大気圧に近い圧力下では、CNTの製造効率は非常に良好である。また、シャッターやバルブを用いない開放系の製造装置が使用可能となるので量産の観点からも好ましい。
〔触媒賦活物質の添加〕
CNTの成長工程において、触媒賦活物質を添加するとよい。触媒賦活物質の添加により、触媒の寿命を延長し、且つ活性を高め、結果としてCNTの生産効率向上や高純度化を推進することができる。
ここで用いる触媒賦活物質としては、酸素もしくは、硫黄などの酸化力を有する物質であり、且つ成長温度でCNTに多大なダメージを与えない物質であればよく、水・酸素・オゾン・酸性ガス、および酸化窒素・一酸化炭素・二酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物、またはエタノール・メタノール・イソプロパノールなどのアルコール類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、アセトンなどのケトン類、アルデヒドロ類・酸類・塩類・アミド類・エステル類、並びにこれらの混合物が有効である。この中でも、水・酸素・二酸化炭素・一酸化炭素・エーテル類・アルコール類が好ましいが、特に、極めて容易に入手できる水が好適である。
触媒賦活物質として、炭素を含むものを用いた場合、触媒賦活物質中の炭素が、CNTの原料となりうる。
成長工程において触媒賦活物質と原料とを用いてCNTを製造する際には、(1)原料は炭素を含み酸素を含まず、(2)触媒賦活物質は酸素を含むことが、CNTを高効率で製造する上に重要である。
〔触媒賦活物質の供給量〕
触媒賦活物質の添加量には最適値が存在する。つまり、触媒賦活物質の添加量が多すぎると、過剰な触媒賦活物質が成長効率を低下させ、逆に少なすぎると、触媒賦活物質の効果が十分に発揮されない。CNTの製造効率を高めるためには、原料に含まれる炭素原子の個数濃度と触媒賦活物質に含まれる酸素の個数濃度との比がもっとも大事な要因の一つである。炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度との最適な比は、成長工程の温度、用いる触媒賦活物質と原料、および用いる触媒によって異なるが、合成炉に導入される原料ガスに含有される炭素原子の個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子の個数濃度の比で言うと、一般的に0.5以上2000以下であることが好ましい。
また、原料ガスに含有される炭素原子の個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子の個数濃度の比は{(導入された原料ガスの濃度)×(原料ガスに含まれる炭素の個数)}を{(導入された触媒賦活物質の濃度)×(触媒賦活物質に含まれる酸素の個数)}で割ったものから計算できる。ここで導入された原料ガス、及び触媒賦活物質の濃度とは、供給管を介して、合成炉内に供給され、触媒と接触するガスの総流量に対する原料ガス、及び触媒賦活物質の流量の割合を意味する。
炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度との比が0.5よりも小さいと、過剰な酸素のために触媒の活性が低下して、CNTの製造が阻害される。逆に炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度との比が2000以上であると、酸素不足のために触媒賦活物質の効果が十分に発揮されない。炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度との比が0.5から2000の範囲にあると、高効率なCNTの製造が可能となり、高さ寸法と比表面積とが共に大きいCNT集合体を効率よく製造することができる。
従来の触媒賦活物質として水分、原料ガスとして、エチレンを用いた場合、エチレンに対して、最適な水分量は、極めて少ない。例えば、エチレンに含まれる炭素原子の個数濃度と、水分に含まれる酸素原子の個数濃度との最適な比は[非特許文献1]の事例では1500程度である。
〔本発明のメカニズム〕
このような、極めて少量の触媒賦活物質を用いて、CNT集合体を成長させると、最適な量の水分を安定して触媒に供給することが困難となる。例えば、原料ガスが分解して発生する、炭素不純物発生が合成炉内に付着すると、炭素不純物が水分と反応してしまうため、ごく微量の水分が消費され、最適な量の水分を安定して触媒に供給することが困難となる。炭素不純物の存在量は、合成回数とともに変動するため、触媒に供給される水分も、合成ごとに異なり、結果として、連続的に安定にCNT集合体を製造することが困難となる。
さらには、粒状体や線状体を積層させた、体積の割に表面積を大きくとれる積層体基材を用いて、高比表面積のCNT集合体を大量に製造する場合には、触媒賦活物質は、複数回、触媒、及び基材と接触する。触媒賦活物質は触媒、および基材と接触する度に消費されるため、均一で最適な量の触媒賦活物質を積層体全体に渡って供給することが著しく困難となる。
そこで、本発明者らは、原料ガスとしてエチレン、触媒賦活物質として水分の組み合わせ以外でも、(1)原料は炭素を含み酸素を含まず、(2)触媒賦活物質は酸素を含む条件を満たす原料と触媒賦活物質の組み合わせであれば、CNTを高効率で製造することができることを見いだした。さらに、特に、触媒賦活物質として水分より効率の悪い触媒賦活物質(例えば二酸化炭素)、およびまたは、原料ガスとして、エチレンより効率の良い原料ガス(例えばアセチレン)を用いると、炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度の比を小さくでき、結果として、CNT集合体を高効率で連続的に安定に製造することができることを見いだした。さらには、粒状体や線状体を積層させた、積層体の全体に渡って、高比表面積のCNT集合体を、効率よく製造できることを見いだした。
本発明により、炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度の比が小さい、原料ガスと触媒賦活物質の組み合わせが、連続的かつ均一なCNT集合体の合成を可能にするメカニズムは、以下のように推察される。
すなわち、触媒賦活物質が高濃度で供給されるため、炭素不純物、基材等に触媒賦活物質が接触して若干消費されても、常に十分な量の触媒賦活物質が残余し、最適量に近い量の触媒賦活物質が、安定かつ均一に触媒に供給できると推察される。そのため、安定かつ均一な単層CNT集合体の成長が可能になったと推察される。
同様に、触媒賦活物質が高濃度で供給されているため、触媒賦活物質が触媒に接触し消費されても、常に十分な量の触媒賦活物質が残余し、最適量に近い量の触媒賦活物質が、安定かつ均一に触媒に供給できるため、積層体基材の全体に渡って、高比表面積のCNT集合体を、製造できると推察される。
このように、常に最適な量の触媒賦活物質を触媒に供給して安定に高比表面積のCNT集合体を合成するためには、効率の悪い触媒賦活物質を用いて、最適な触媒賦活物質の濃度を増加させる、およびまたは、効率の良い原料ガスを用いて、最適な原料ガスの濃度を低減させる、すなわち、炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度との比を従来([非特許文献1]の事例では1500程度)よりも低下させると良い。
効率の悪い触媒賦活物質は、効率の良い触媒賦活物質と比較して、より高濃度で添加しないと、触媒の活性を高め、寿命を延長する効果が十分に発現しないため、最適な触媒賦活物質を供給するためには、合成炉内の酸素原子の個数濃度を増加させる必要がある。
効率の悪い触媒賦活物質とは、水分より酸化力が弱い物質が良く、二酸化炭素や、アセトン、テトラヒドロフラン、エタノールなどが例示できる。また、効率の良い触媒賦活物質としては、水を例示できる。
本発明の効果を得るために、好適な炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度との比は、0.2から300の範囲であり、より好適には、0.3から250の範囲であり、より好適には0.5から200の範囲であり、より好ましくは1から100の範囲である。
このような範囲に、炭素原子の個数濃度と酸素原子の個数濃度との比があると、炭素不純物、基材、触媒等に触媒賦活物質が接触して若干消費されても、十分な量の触媒賦活物質が残余し、最適量に近い量を安定かつ均一に触媒に供給できるため、安定かつ均一な単層CNT集合体の成長に好適である。
〔反応温度〕
CNTを成長させる反応温度は、金属触媒、原料炭素源、および反応圧力などを考慮して適宜に定められるが、触媒失活の原因となる副次生成物を排除するために触媒賦活剤を添加する工程を含む場合は、その効果が十分に発現する温度範囲に設定することが望ましい。
つまり、最も望ましい温度範囲としては、アモルファスカーボンやグラファイトなどの副次生成物を触媒賦活物質が除去し得る温度を下限値とし、主生成物であるCNTが触媒賦活物質によって酸化されない温度を上限値とすることである。
具体的には、触媒賦活物質として水を用いる場合は、好ましくは400℃〜1000℃とすることである。400℃未満では触媒賦活物質の効果が発現せず、1000℃を超えると触媒賦活物質がCNTと反応してしまう。
また触媒賦活物質として二酸化炭素を用いる場合は、400℃〜1100℃以下とすることがより好ましい。400℃未満では触媒賦活物質の効果が発現せず、1100℃を超えると触媒賦活物質がCNTと反応してしまう。
〔高炭素濃度環境〕
CNTの成長速度は、触媒に接触する原料ガスに含まれる炭素原子の数に比例する。つまり、全流量に対する原料ガスの割合(原料濃度)が高ければ高いほど成長速度が高くなるので、CNTの生産効率が向上すると言える。
しかしその反面、触媒賦活物質を用いない原料ガスのみでの従来の合成法によるCNTの製造過程においては、炭素濃度(原料濃度)を高くするに従ってCNTの成長工程で発生する炭素系不純物が多くなり、これが触媒微粒子を被覆して触媒を失活させるので、全流量に対する原料の割合が0.1〜1%程度の成長雰囲気(低炭素濃度環境)でCNTを製造していた。そのため、CNTの製造効率を思うほどに向上できなかった。
触媒賦活物質を添加する本発明の製造方法によれば、触媒賦活物質の存在下においては、触媒活性が著しく向上するため、全流量に対する原料ガスの割合が1%を超える2%〜20%程度の原料濃度(高炭素濃度環境)においても、触媒は活性を失わず、長時間のCNTの成長が可能である。この高炭素濃度環境下においては、CNTの成長速度が著しく向上し、高純度、高比表面積のカーボンナノチューブ集合体を製造するのに好適である。
つまり、触媒賦活物質を添加することにより、はじめて、高炭素濃度環境下で、CNTの高効率、高純度、特に高比表面積の単層CNTからなるCNT集合体の製造が可能となった。
〔CNT集合体〕
上記したCNT製造装置、および製造法により、高炭素環境化・触媒賦活物質含有雰囲気で、基材上の触媒から原料ガスを用いて、高効率でCNTを成長させることができ、触媒から成長した多数のCNTは特定の方向に配向し、CNT集合体を形成する。
本発明による、CNT集合体は、重量密度が0.002g/cm〜0.2g/cmと低密度にするのが好ましい。この重量密度は、フォーメーション工程の条件を調整し、触媒層の触媒微粒子の個数密度を調整することによって制御する。この密度範囲にある、CNT集合体は、基材上の触媒微粒子から成長した単層CNTが、数本〜数十本ずつがくっつき合った複数のバンドルを形成しつつ基材面の法線方向に成長したものとなっている。そのため、CNTの間を原料ガス、触媒賦活物質等が容易に拡散でき、基材上の触媒層に容易に接触でき、触媒層から大量のCNT集合体を製造することができる。
また、本発明に係わるCNT集合体は、炭素不純物の発生と付着が抑制されているために、比表面積が高いという優れた特性を有する。
炭素不純物が単層CNT集合体に付着すると、単層CNT集合体の比表面積が低下する。本発明に係わる単層CNT集合体は、炭素不純物の発生と付着が抑制されているために、比表面積は800m/g〜2600m/gと非常に大きい。CNT集合体の比表面積は、液体窒素の77Kでの吸脱着等温線の計測によって求めることができる。このように大きな比表面積は、触媒の担持体やエネルギー・物質貯蔵材として有効であり、スーパーキャパシタやアクチュエータなどの用途に好適である。
比表面積が800m/gに満たない未開口のもの、もしくは1300m/gに満たない開口したものは、炭素不純物を重量の数十%(40%程度)含んでいる可能性があり、CNT本来の機能を発現することが困難になる。
大きい比表面積を得るためには、CNTが可能な限り高純度であることが望ましい。ここでいう純度とは、炭素純度である。炭素純度とは、CNT集合体の重量の何パーセントが炭素で構成されているかを示し、蛍光X線を用いた元素分析等から求めるとよい。大きな比表面積を得る上での炭素純度に上限はないが、製造上の都合から、99.9999%以上の炭素純度を有するCNT集合体を得ることは困難である。炭素純度が95%に満たないと、未開口CNTの場合、800m/gを超える比表面積を得ることが困難となる。
[配向性]
単層CNT集合体の配向性の評価は、例えばヘルマンの配向係数に基づいて行う。
例えば、θ−2θ法またはラウエ法で得られたX線回折強度または、SEM画像または原子間力顕微鏡(以下、AFMとも称す)画像を高速フーリエ変換(FFT変換)して得られたFFT画像から得た強度プロフィールを用いて計算したヘルマンの配向係数が、CNT集合体において0.1より大きく1より小さいCNT集合体は、良好な電気特性、良好な機械的特性、良好な熱特性を示し、且つ熱力学的、電気的、機械的な異方性もあり、様々な用途に好適である。
配向の方向は、単層CNT集合体を構成する個々の単層CNTの方向ベクトルの平均となる。そのため、単層CNT集合体の場所、配向性を評価する領域のサイズにより、配向の方向は異なる可能性がある。定量的に配向の向きを決めるためには単層CNT集合体のSEM画像等を高速フーリエ変換した、FFT画像を用いると良い。配向性を有する単層CNT集合体のFFT画像は、扁平な楕円状をなし、楕円が扁平であるほど配向性が高い。楕円の長軸方向は、配向性に起因する単層CNTの周期性が最大となる方向であり、楕円の短軸方向は、FFT画像の元画像の視野における、配向の向きとなる。ヘルマン配向係数を計算する参照方位は、楕円の長軸方向とする。
CNT集合体の配向は以下の1から3の少なくともいずれか1つの方法によって評価することができる。すなわち、
1. CNTの長手方向に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とからX線を入射してX線回折強度を測定(θ−2θ法)した場合に、第2方向からの反射強度が、第1方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在し、且つ第1方向からの反射強度が、第2方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在すること。
2. CNTの長手方向に直交する方向からX線を入射して得られた2次元回折パターン像でX線回折強度を測定(ラウエ法)した場合に、異方性の存在を示す回折ピークパターンが出現すること。
3. ヘルマンの配向係数が、θ−2θ法またはラウエ法で得られたX線回折強度を用いると0.1より大きく1より小さいこと。より好ましくは0.25以上1未満であること。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明による単層CNT集合体の製造方法についてより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
図1に示した、CNT製造装置を用いて、最良の形態に記載のCNT製造方法と同様の方法を採用して、CNT集合体を製造した。図1を参照しながら説明する。
縦型合成炉3としては、円筒等の石英管(内径80mm)を用いた。加熱手段6、および加熱領域7の長さは260mmであった。
加熱領域7の中心部の水平位置から50mm下流に石英からなる基材ホルダ8を設けた。基材ホルダ8は水平方向に設置され、平面状の基材1を載置することが可能である。
合成炉3の上壁には、合成炉3上壁中心に設けられた開口に鉛直方向に挿入された直径22mm(内径20mm)の耐熱合金からなるガス供給管4を設け、また下壁には、合成炉3下壁に設けられた開口に鉛直方向に挿入されたガス排気管5を設けた。合成炉3を外囲して設けられた抵抗発熱コイルからなる加熱手段6と加熱手段6と加熱温度調整手段を設けた。
直径60mmの円筒状で扁平な中空構造をなす耐熱合金インコネル600からなるガス流形成手段9を、ガス供給管4の合成炉3内の端部に連通して接続するように設けた。ガス供給管4はガス流形成手段9の中心に連通・接続された。
ガス流形成手段9は基材1の表面に対して、略平行な同一面内に配設し、基材1の中心が、ガス流形成手段9の中心と一致するように配設された。また、ガス流形成手段9には噴出孔径:0.5mmの複数の噴出孔からなるガス噴出手段10を設けた。ガス流形成手段9は中空構造を有する円柱状の形状で、寸法は、一例としては、表面サイズ:60.0mm×16.7mmであり、ガス噴出手段径:0.5mm、ガス噴出手段数:82個であった。
ガス噴出手段10の噴出孔は基材1の触媒層2を臨む位置に設けられ、基材1平面に対して略垂直方向から原料ガスおよび触媒賦活物質を触媒に吐出させた。臨む位置とは、噴出孔の、噴射軸線が基材1の法線と成す角が0以上90°未満となるような配置を示す。ガス噴出手段10と対向する触媒表面との距離は20mmとした。
このようにして、ガス供給管4から点状に合成炉3に供給される原料ガスおよび触媒賦活物質は、拡散・分配され、基材1平面に対して略平行面の360度に渡る全方向に原料ガス流および触媒賦活物質流を形成した後に、該原料ガスおよび触媒賦活物質は基材1平面に対して略垂直方向から基材1上の触媒層2表面に接触する。原料ガスおよび触媒賦活物質は触媒と接触した後に、速やかに加熱領域7外へと排気され、炭素不純物の発生が抑制される。
炭素重量フラックス調整手段15はCNTの原料となる炭素化合物となる原料ガスボンベ11、必要に応じて触媒賦活物質ボンベ12、原料ガスや触媒賦活物質のキャリアガスである雰囲気ガスボンベ13、ならびに触媒を還元するための還元ガスボンベ14をそれぞれガスフロー装置に接続して構成し、それぞれ供給量を独立に制御しながら、ガス供給管4に供給することで、原料ガスの供給量を制御した。
本装置の構成で調整可能な炭素重量フラックスは0g/cm/min〜1000g/cm/minであるが、適宜、適切な供給量を持つガスフロー装置を用いることで、より広範囲に調整することは可能である。
基材1としては、触媒であるAlを30nm、Feを1.8nmスパッタリングした厚さ500nmの熱酸化膜付きSi基材(縦40mm×横40mm)を用いた。
基材1を合成炉3の加熱領域7の中心の水平位置から50mm下流に設置された基板ホルダ8上に搬入した(搬入工程)。基材1は水平方向になるように設置した。これにより、基材1上の触媒と原料ガスおよび触媒賦活物質の流路が概して垂直に交わり、原料ガスおよび触媒賦活物質が効率良く触媒に供給される。
次いで、還元ガスとしてHe:200sccm、H:1800sccmの混合ガス(全流量:2000sccm)を導入しながら、炉内圧力を1.02×10Paとした合成炉3内を、加熱手段6を用いて合成炉3内温度を室温から15分かけて810℃まで上昇させて、さらに810℃に保持した状態で3分間触媒付き基材1を熱した(フォーメーション工程)。これにより、鉄触媒層は還元されて単層CNTの成長に適合した状態の微粒子化が促進され、ナノメートルサイズの触媒微粒子がアルミナ層上に多数形成された。
触媒微粒子の個数密度は10万倍以上の倍率の走査型電子顕微鏡の画像で観察される微粒子の個数を計測することで見積もることができる。計測した触媒の個数密度は5x1011 個/cmであった。
次いで、炉内圧力を1.02E+5Paとした合成炉の温度を810℃とし、総流量2000sccm、雰囲気ガスHe:1840sccm、原料ガスであるアセチレン:15sccm(10%ヘリウム希釈のアセチレンを150sccm導入)、触媒賦活物質として二酸化炭素:10sccmを10分間供給した(成長工程)。この場合の、原料ガスに含有される炭素原子個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比は1.5となる。また、導入する、二酸化炭素の量(酸素原子個数濃度)は前もって、上記アセチレン量に対して、CNT集合体の収量が最大となるように調整した(最適な二酸化炭素量の導入)。
最適量の決定はより具体的には以下のようになされた。異なる二酸化炭素の導入量で合成したCNT集合体の成長中の高さを、特開2009−208976号公報(特願2008−051321号明細書)に記載のテレセントリック測定システムを用いて求めた。図5に示すように、計測された高さの成長曲線より、二酸化炭素の導入量が増加するにつれ、CNT集合体の高さ(収量)が増加し、5000PPMで最大となり、その後、二酸化炭素の増加とともに、減少することがわかる。つまり、最適な二酸化炭素の導入量は、本実験条件では、5000PPMとなり、原料ガスのアセチレンの導入量は7500PPMであるため、炭素原子個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比は1.5となる(アセチレン分子は炭素原子を二つ含有する)。
また、本実験より、過剰な触媒賦活物質に導入した場合には、CNT集合体の収量が減少することがわかる。二酸化炭素の導入量が30000PPMで、炭素原子個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比が0.25の場合、CNT集合体の収量は最大値の約半分となり、好適にCNT集合体を製造する限界である。これ以上の二酸化炭素の導入はさらなる収量の低下をもたらし、好適にCNT集合体を製造できなかった。
これにより、単層CNTが、還元された触媒層や各触媒微粒子から成長し(成長工程)、配向した単層CNTの集合体が得られた。このようにして、触媒賦活物質含有かつ高炭素環境下で、CNTを基材1上より成長させた。
成長工程の後、3分間、雰囲気ガス(総流量4000sccm)のみを供給し、残余の原料ガス、発生した炭素不純物、触媒賦活剤を排除した(炭素不純物付着抑制工程)。
その後、基板を400℃以下に冷却した後、合成炉3内から基材1を取り出す(冷却・基材取り出し工程)ことにより、一連の単層CNT集合体の製造工程を完了させた。図6に製造された単層CNT集合体のデジタル写真を示す。基材1上の触媒層3表面上に一面に、略均一な高さでCNT集合体が製造でき、本発明の製造法は、大面積に略均一に且つ効率よくCNT集合体を製造するのに効果があることが分かる。
上記した方法で、45回連続で、CNT集合体の製造を行った。45回の製造中、合成炉等のクリーニングは全くしなかった。図7に示すように、45回の合成は安定で、得られた収量は、概して均一で1.5mg/cm〜2.5mg/cmであった。また、CNT集合体の比表面積も、低下しなかった。このことから、本発明の製造法により、連続的に、安定かつ均一な、高比表面積のCNT集合体の合成が可能であることがわかる。
〔原料と触媒賦活物質との組み合わせによるCNT集合体の製造〕
本発明に係るCNT集合体を、原料と触媒賦活物質との組み合わせを変えて製造した場合の結果について以下に詳細に説明する。製造工程は、実施例1のプロセス条件と同様であるが、成長工程で用いる原料としては、酸素を含まない2種類の物質(アセチレン・エチレン)との計2種類の物質を用い、また触媒賦活物質としては水に限定せず、酸素を含む5種類の物質(水・イソプロパノール・アセトン・テトラヒドロフラン・エタノール、)を用いて、(エチレンとアセトン)、(エチレンとテトラヒドラフラン)、(エチレンとエタノール)、(エチレンとイソプロパノール)、(アセチレンと水)、(アセチレンとテトラヒドロフラン)の6通りの組み合わせで、上記した実施例1と同様の基材1を用いて、上記した実施例1と同等の条件でCNT集合体の成長を行った。いずれの場合にも、CNT集合体を製造することができた。
このようにして、原料ガスと触媒賦活物質との6通りの組み合わせでCNT集合体を製造するにあたって、まず、原料ガスに対する触媒賦活物質の最適量を前もって検討した。そのために、実施例1の基材1を用いて、合成時間10分間でCNT集合体の収量が最大となる、触媒賦活物質の最適量を求め、(エチレンとアセトン)の組み合わせでは31、(エチレンとテトラヒドラフラン)の組み合わせでは75、(エチレンとエタノール)の組み合わせでは107、(エチレンとイソプロパノール)の組み合わせでは187、(アセチレンと水)の組み合わせでは67、(アセチレンとテトラヒドロフラン)の組み合わせでは15であった。
炭素源として、エチレンより反応性に富みより効率の良いアセチレンを用いると、炭素原子個数濃度を下げることができるために、より多くの触媒賦活物質で、安定、均一にCNT集合体を製造することができる。
各6通りの組み合わせで、実施例1の工程で、45回連続で、CNT集合体の製造を行った。45回の製造中、合成炉等のクリーニングは全くしなかった。6通りの場合とも、45回の合成は安定で、得られた収量は、概して均一であった。また、CNT集合体の比表面積も、低下しなかった。このことから、本発明の製造法により、連続的に、安定かつ均一な、高比表面積なCNT集合体の合成が可能であることがわかる。
<比較例1>
〔水分、エチレンによるCNT集合体の連続製造〕
実施例1の方法で、原料ガスとしてエチレン、触媒賦活物質として水分を用いて、CNT集合体の製造を行った。製造方法は、実施例1と同様であるが、成長工程において、総流量2000sccm、雰囲気ガスHe:総流量比84%(1680sccm)、原料ガスであるエチレン:総流量比7.5%(150sccm)、触媒賦活物質として水分含有He(相対湿度23%):総流量比6%(120sccm)を用いた。水分の導入量から計算すると水分濃度は400ppmであった。この場合の、原料ガスであるエチレンに含有される炭素原子個数濃度と触媒賦活物質である水分に含有される酸素原子個数濃度の比は375となる。水分の濃度は、排気管に接続された、水分濃度計より計測した時には、100ppmであった。計測値を用いた場合、エチレンの炭素原子個数濃度と水分に含有される酸素原子個数濃度の比は1500となる。合成炉に導入した水分の個数濃度と、排気管で計測された水分の個数濃度が異なるのは、極微量の水分が、触媒、基材、合成炉等と接触した際に反応し、消費されたことを示す。
導入する、水分の量(酸素原子個数濃度)は前もって、上記エチレン量に対して、CNT集合体の収量が最大となるように調整した(最適な水分の導入)。
本条件で、45回連続で、CNT集合体の製造を行ったところ、20回を過ぎたところで、合成が安定性をなくし、収量も低下した。合成回数が40回を過ぎたところで、好適なCNT集合体の製造ができなくなった。この合成の不安定性、不均一性は、合成回数を重ねるにつれ、合成炉3に付着した炭素不純物が増加し、それが水分と反応し、極微量の水分が消費され、最適な量の水分が触媒に供給されなくなったためと考えられる。
片や、二酸化炭素は水分と比較して、非常に高濃度で合成炉3内に供給しているため、炭素不純物と反応する二酸化炭素は、全体のごく一部で、常に最適な量の二酸化炭素が触媒に供給されていると考えられる。
以上の結果を表1にまとめた。○は高収量、均一、安定したCNT集合体の製造を、−は実験結果なしを、×は低収量、不均一、不安定もしくは成長なしのCNT集合体の製造をを示す。
以上より、原料ガスに含有される炭素原子個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比1.5から187の範囲にある時には、連続的に、安定、高収率でCNT集合体を製造することができることが分かる。
<実施例2>
(炭素不純物付着抑制工程なし)
実施例1と、同じ製造装置、及び基材、触媒を用いて、実施例1と同じ製造方法を用いて、炭素不純物付着抑制工程を行わずに、CNT集合体を合成後、すぐに加熱領域7から取り出した。CNT集合体は成長でき、その比表面積は900m/g程度であった。
本条件で、50回連続で、CNT集合体の製造を行ったところ、収量は変化しなかったものの、20回を過ぎたところで、比表面積が徐々に低下し、30回を過ぎたところで、800m/g以下となった。
<実施例3>
(ガス流形成手段なし)
実施例1の製造装置において、ガス流形成手段9を用いずに、基材1の20mm上方に配置したガス供給管4から、原料ガスを基材1上の触媒層2に吹きかけた。基材1上の触媒層2の中心部と周辺部でCNT集合体の成長にむらがあり、触媒層全面に合成したCNT集合体はやや不均一であった。収量は、0.4mg/cmであり、比表面積は1100m/g程度であった。連続製造時には、収量、比表面積共に、変動はなかった。
<比較例2>
〔原料ガスのみによるCNT集合体の製造〕
原料ガスとして、エチレンとアセチレンを用いて、触媒賦活物質を添加しないで、CNT集合体の製造を行った。製造工程は、実施例1のプロセス条件と同様であるが、触媒賦活物質を添加しなかった。アセチレンは15sccm、エチレンは150sccm用いた。触媒賦活物質を用いずに原料のみで製造した場合は、CNT集合体を製造できなかった。このことは、CNTを製造するために触媒賦活物質が非常に重要であることを示している。
<比較例3>
〔酸素を含む原料ガス(一酸化炭素)によるCNT集合体の製造〕
CNTを製造する原料ガスとして公知の原料である一酸化炭素を用いて、CNT集合体の製造を行った。一酸化炭素は、エチレン、アセチレンと異なり、酸素を含有する。製造工程は、実施例1のプロセス条件と同様であるが、原料ガスとして、一酸化炭素、触媒賦活物質として(水・二酸化炭素・アセトン・テトラヒドロフラン・エタノール・イソプロパノール)の6通りの組み合わせでCNT集合体の製造を行った。いずれの場合においては、CNT集合体を製造できなかった。このことは、CNTを製造するために原料ガスが酸素を含まないことが非常に重要であることを示している。
<比較例4>
〔酸素を含まない触媒賦活物質(アンモニア)によるCNT集合体の製造〕
CNTを製造する添加剤として、公知の材料であるアンモニアを、触媒賦活物質として用いて、CNT集合体の製造を行った。アンモニアは他の触媒賦活物質と異なり、酸素を含有しない。製造工程は、実施例1のプロセス条件と同様であるが、原料ガスとしてエチレン、アセチレンを用いて、触媒賦活物質としてアンモニアを用いた2通りの組み合わせで、CNT集合体の製造を行った。いずれの場合においては、CNT集合体を製造できなかった。このことは、CNTを製造するために触媒賦活物質が酸素を含むことが非常に重要であることを示している。
<比較例5>
(フォーメーション工程なし)
実施例1と、同じ製造装置、及び基材1、触媒を用いて、実施例1と同じ製造方法を用いて、フォーメーション工程を行わずに、CNT集合体を製造した。CNT集合体は成長できたものの、収量は0.1mg/cmと非常に少なく、また、単層CNTの含有率が低いため、比表面積は400m/g程度であった。フォーメーション工程が、高効率で、高比表面積のCNT集合体を製造するために大事であることが分かる。
以上の結果を表2にまとめた。○は高収量、均一、安定したCNT集合体の製造を、−は実験結果なしを、×は低収量、不均一、不安定もしくは成長なしのCNT集合体の製造を、△は○より劣るが×よりも良好な、収量、均一、安定したCNT集合体の製造を示す。
<実施例4>
〔粒状体基材の積層体による製造〕
本発明に係る単層CNT集合体を、基材として粒状体の積層体を用いた場合の製造方法について以下に説明する。
実施例4に係る製造方法は、実施例1と同様であるが、基材1として、平均径が300μmの球形状のシリカ粒子を厚さ1ミリまで積層した平面状の積層体を用いた。シリカ粒子の積層体をアルミナを蒸着したステンレススティール製の網目状のメッシュから成る、4センチ角の容器に敷き詰めた。この場合、シリカ粒子は5−7層、積層するため、触媒賦活物質は、上流の供給面から、下流側の排出面(基材ホルダ8と平行の方向から排出)を拡散する間に複数回、少なくとも5−7回、触媒、及び基材1と接触することになる。
上記、粒状体の積層体を用いて、実施例1と同様にして、触媒賦活物質として二酸化炭素、及び原料ガスとしてアセチレンを用いCNT集合体を製造させた。原料ガスに含有される炭素原子個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比が3となる、最適量の二酸化炭素を供給すると、図8、及び図9に示すように、ほぼすべての粒状体から、高比表面積のCNT集合体を好適に製造することができた。
〔原料と触媒賦活物質との組み合わせによるCNT集合体の製造〕
本発明に係るCNT集合体を、上記した積層体を用いて、実施例1で検討された、原料と触媒賦活物質との組み合わせを変えて製造した場合の結果について以下に詳細に説明する。製造工程は、実施例1のプロセス条件と同様であるが、成長工程で用いる原料としては、酸素を含まない2種類の物質(アセチレン・エチレン)との計2種類の物質を用い、また触媒賦活物質としては水に限定せず、酸素を含む5種類の物質(水・イソプロパノール・アセトン・テトラヒドロフラン・エタノール)を用いて、(エチレンとアセトン)、(エチレンとテトラヒドラフラン)、(エチレンとエタノール)、(エチレンとイソプロパノール)、(アセチレンと水)、(アセチレンとテトラヒドラフラン)の6通りの組み合わせで、実施例1と同等の条件で、実施例2の積層体を用いて、CNT集合体の成長を行った。
このようにして、原料ガスと触媒賦活物質との5通りの組み合わせでCNT集合体を製造するにあたって、まず、原料ガスに対する触媒賦活物質の最適量を前もって検討した。そのために、実施例1の基材を用いて、合成時間10分間でCNT集合体の収量が最大となる、触媒賦活物質の最適量を求め、(エチレンとアセトン)の組み合わせでは31、(エチレンとテトラヒドラフラン)の組み合わせでは75、(エチレンとエタノール)の組み合わせでは107、(エチレンとイソプロパノール)の組み合わせでは187、(アセチレンと水)の組み合わせでは67、(アセチレンとテトラフドロフラン)の組み合わせでは15であった。最適量の触媒賦活物質を供給すると、6通りの組み合わせのいずれの場合でも、ほぼすべての粒状体から、高比表面積のCNT集合体を好適に製造することができた。
原料ガスに含有される炭素原子個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比が概して3以上、187以下であると、粒状体基材の積層体の全面に渡って、均一に高比表面積のCNT集合体を製造する上好適であることが分かる。
<比較例6>
実施例4の粒状体の積層体を用いて、比較例1の〔水分、エチレンによるCNT集合体の連続製造〕で記載の例と同様に、触媒賦活物質として水分、及び原料ガスとしてエチレンを用いてCNT集合体を製造させた。原料ガスであるエチレンに含有される炭素原子個数濃度と触媒賦活物質である水分に含有される酸素原子個数濃度の比は375となる、最適量の水分を供給すると、図10に示すように、すべての粒状体から、CNT集合体を好適に製造することができなかった。積層体の下流側の粒状体から、CNT集合体が合成できなかったためである。供給された、極微量の水分が、粒状体の積層体に接触するたびに消費され、下流側の粒状体まで、拡散した時には、好適にCNT集合体を製造できる十分な量の水分が残余していなかったと考えられる。
以上のことから、原料ガスに含有される炭素原子個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比が、粒状体基材の積層体の全面に渡って、均一に高比表面積のCNT集合体を製造する上で大事であることが分かる。
以上の結果を表3にまとめた。○は均一、安定したCNT集合体の製造を、−は実験結果なしを、×は不均一、不安定もしくは成長なしのCNT集合体の製造を示す。
<実施例5>
(炭素不純物付着抑制工程なし)
実施例4と、同じ製造装置、及び基材、触媒を用いて、実施例4と同じ製造方法を用いて、炭素不純物付着抑制工程を行わずに、CNT集合体を合成後、すぐに加熱領域7から取り出した。CNT集合体は成長でき、その比表面積は900m/g程度であった。
<実施例6>
(ガス流形成手段なし)
実施例4の製造装置において、ガス流形成手段9を用いずに、基材1の20mm上方に配置したガス供給管4から、原料ガスを基材1上の触媒層2に吹きかけた。基材1上の触媒層2の中心部と周辺部でCNT集合体の成長にむらがあり、触媒層全面に合成したCNT集合体はやや不均一であった。比表面積は1100m/g程度であった。
<比較例7>
〔原料ガスのみによるCNT集合体の製造〕
原料ガスとして、エチレンとアセチレンを用いて、触媒賦活物質を添加しないで、CNT集合体の製造を行った。製造工程は、実施例4のプロセス条件と同様であるが、触媒賦活物質を添加しなかった。アセチレンは15sccm、エチレンは150sccm用いた。触媒賦活物質を用いずに原料のみで製造した場合は、CNT集合体を積層体上に製造できなかった。このことは、CNT集合体を製造するために触媒賦活物質が非常に重要であることを示している。
<比較例8>
〔酸素を含む原料ガス(一酸化炭素)によるCNT集合体の製造〕
CNTを製造する原料ガスとして公知の原料である一酸化炭素を用いて、CNT集合体の製造を行った。一酸化炭素は、エチレン、アセチレンと異なり、酸素を含有する。製造工程は、実施例4のプロセス条件と同様であるが、原料ガスとして、一酸化炭素、触媒賦活物質として(水・二酸化炭素・アセトン・テトラヒドロフラン・エタノール・イソプロパノール)の6通りの組み合わせでCNT集合体の製造を行った。いずれの場合においては、CNT集合体を積層体上に製造できなかった。このことは、CNT集合体を製造するために原料ガスが酸素を含まないことが非常に重要であることを示している。
<比較例9>
〔酸素を含まない触媒賦活物質(アンモニア)によるCNT集合体の製造〕
CNTを製造する添加剤として、公知の材料であるアンモニアを、触媒賦活物質として用いて、CNT集合体の製造を行った。アンモニアは他の触媒賦活物質と異なり、酸素を含有しない。製造工程は、実施例4のプロセス条件と同様であるが、原料ガスとしてエチレン、アセチレンを用いて、触媒賦活物質としてアンモニアを用いた2通りの組み合わせで、CNT集合体の製造を行った。いずれの場合においては、CNT集合体を積層体上に製造できなかった。このことは、CNT集合体を製造するために触媒賦活物質が酸素を含むことが非常に重要であることを示している。
<比較例10>
(フォーメーション工程なし)
実施例2と、同じ製造装置、及び基材1、触媒を用いて、実施例2と同じ製造方法を用いて、フォーメーション工程を行わずに、CNT集合体を製造した。CNT集合体は成長できたものの、収量が非常に少なく、また、単層CNTの含有率が低いため、比表面積は400m/g程度であった。フォーメーション工程が、高効率で、高比表面積のCNT集合体を製造するために大事であることが分かる。
以上の結果を表4にまとめた。○は高収量、均一、安定したCNT集合体の製造を、−は実験結果なしを、×は低収量、不均一、不安定もしくは成長なしのCNT集合体の製造を、△は○より劣るが×よりも良好な、収量、均一、安定したCNT集合体の製造を示す。
<実施例7>
〔粒状体または線状体の基材による製造〕
基材として粒状体または線状体の積層体を用いた場合の製造方法について以下に説明する。
実施例7に係る製造方法は、実施例1と同様であるが、基材1として、球形状の粒状体またはSUS304の線状体から構成される金網の平面状の積層体を、実施例1のシリコン基板に替えて用いた。また触媒層2の形成は、粒状体を用いた場合には、粒状体を回転させながら、スパッタリングをおこなった。
粒状体または線状体の積層体を、アルミナを蒸着したステンレススティール製の網目状のメッシュから成る、4センチ角の容器に敷き詰めた。粒状体または線状体は5−7層、積層させた。そのため、触媒賦活物質は、上流の供給面から、下流側の排出面(基材ホルダ8と平行の方向から排出)を拡散する間に複数回、少なくとも5−7回、触媒、及び基材1と接触することになる。
上記、粒状体または線状体の積層体を用いて、実施例1と同様にして、触媒賦活物質として二酸化炭素、及び原料ガスとしてアセチレンを用いCNT集合体を製造させた。原料ガスに含有される炭素原子個数濃度と触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比が3となる、最適量の二酸化炭素を供給すると、ほぼすべての粒状体、および積層体から、CNT集合体を好適に製造することができた。
平均径が3mmのアルミナ粒子上に成長した単層CNT集合体のデジタル写真を図11に示す。これらの単層CNT集合体の構造は、異なる倍率および異なる場所で観察した図12に示したSEM画像に見られる通り、配向性を有している。
種々の材質、平均径(曲率)の粒状体、及び、線状体(ワイヤ)を基材として用いて単層CNT集合体を製造した場合の結果を表5に示す。
表5の「積層体基材でのCNT集合体の製造」では、CNT集合体が製造できた場合を○とし、「積層体基材でのCNT集合体の均一性(全面)」では、均一にCNT集合体ができた場合を○とし、均一性が劣る場合を△とした。これにより、16μm〜3mmの平均径を持つ線状体、及び粒状体はCNT集合体の製造に好適であることが分かる。
〔実施例で製造されるCNTの特性〕
単層CNT集合体の特性は、製造条件の詳細に依存するが、実施例1−7の製造条件では、典型値として、単層CNT含有率99%(2層CNT、多層CNTに対する単層CNTの本数割合であり、合成した、単層CNT集合体を透過型電子顕微鏡で観察し画像から求める)、重量密度:0.03g/cm、BET−比表面積:1150m/g、炭素純度99.9%、ヘルマンの配向係数0.7である。
〔CNT集合体のラマンスペクトル評価〕
実施例1により得られたCNT集合体のラマンスペクトルを計測した。鋭いGバンドピークが1590カイザー近傍で観察され、これより本発明のCNT集合体を構成するCNTにグラファイト結晶構造が存在することが分かる。
また欠陥構造などに由来するDバンドピークが1340カイザー近傍で観察されているため、CNTに有意な欠陥が含まれていることを示している。複数の単層CNTに起因するRBMモードが低波長側(100〜300カイザー)に観察されたことから、このグラファイト層が単層CNTであることが分かる。
〔CNT集合体の比表面積〕
基材から剥離したCNT集合体から50mgの塊を取り出し、これをBELSORP−MINI(株式会社日本ベル製)を用いて77Kで液体窒素の吸脱着等温線を計測した(吸着平衡時間は600秒とした)。この吸脱着等温線からBrunauer, Emmett, Tellerの方法で比表面積を計測したところ、1150m/gであった。
未開口のCNT集合体の吸脱着等温曲線は、相対圧が0.5以下の領域において高い直線性を示した。αプロットも1.5以下の領域において、直線性を示した。これらの計測結果は、CNT集合体を構成するCNTが未開口であることを示している。
同じCNT集合体をNano Letters誌、第2巻(2002年)、第385〜388頁に記載の方法によって計測した比表面積は、外表面積が1090m/g、内表面積が59m/gとなり、全体での比表面積は1149m/gとなった。
〔CNT集合体の純度〕
CNT集合体の炭素純度は、蛍光X線を用いた元素分析結果より求めた。基板から剥離したCNT集合体を蛍光X線によって元素分析したところ、炭素の重量パーセントは99.98%、鉄の重量パーセントは0.013%であり、その他の元素は計測されなかった。この結果から、炭素純度は99.98%と計測された。
〔θ−2θ法による配向性評価〕
得られたCNT集合体の配向性評価をCu−Ka X線源として15kWのパワーでX線回折装置(Rigaku Gorp Diffractometer :RINT-2500/HRPBO)を用いて、θ−2θ法によるX線回折測定法で行った。X線のスポット径は0.6mmであった。試料として用いた単層CNT集合体の主要諸元は、形状寸法:1m×1m×10mmの四角柱である。
低角(0〜15度)(CP)回折ピークが観察され、当該ピークは単層CNT同士の間隔を反映している。25度近傍で緩やかな回折ピークが観察され、異なる単層CNTの炭素六員環シートの間隔を反映している。42度近傍に回折ピークが観察され、単層CNTの炭素六員環の(100)面を反映している。77〜78度付近で回折ピークが観察され、(110)面を反映している。
単層CNTの炭素六員環構造は、CNTの炭素六員環構造が丸められ湾曲しているため、グラファイトの回折ピークと密接に一致しない。また、単層CNTのサイズ、配向度共にピーク位置は若干変化するが、回折ピークの同定は可能である。
この結果からヘルマンの配向係数Fを算出したところ、(CP)回折ピークでは0.4〜0.62であり、(002)回折ピークでは0.75であった。
〔ラウエ法による配向性評価〕
得られたCNT集合体の配向度をラウエ法によるX線回折測定法で評価した。使用した装置はBruker社製(Bruker SMART APEX CCD area-detector diffractometer)。4.5kWのパワーでX線源(BRUKERAXS MO CE-SRA)としてMo−Kaを用いた。試料とX線検出器の距離は5.968cmでCCD検出器のサイズは6.1x6.1cmであり、X線のスポット径は0.5mmであった。
試料として用いた単層CNT集合配向体の主要諸元は、形状寸法:直径1mm×高さ0.5mmの円柱形である。
この結果、単層CNT集合体の観察された(CP)、(002)、(100)等の回折ピークは楕円状となり、異方性を示した。この異方性は、単層CNTが配向していることを示す。
この結果からヘルマンの配向係数Fを算出したところ、(CP)回折ピークでは0.38であり、(002)回折ピークでは0.61であった。
1 基材
2 触媒層
3 合成炉
4 ガス供給管
5 ガス排気管
6 加熱手段
7 加熱領域
8 基材ホルダ
9 ガス流形成手段
10 ガス噴出手段
11 原料ガスボンベ
12 触媒賦活物質ボンベ
13 雰囲気ガスボンベ
14 還元ガスボンベ
15 炭素重量フラックス調整手段
16 炭素重量フラックス
17 原料ガスの流路
18 触媒層と原料ガスの流路とが交わる面の面積

Claims (17)

  1. 基材上の触媒に原料ガスと、触媒賦活物質とを接触させてカーボンナノチューブを成長させる製造方法において、還元ガスを供給して前記基材上の触媒に接触させるとともに前記触媒および前記還元ガスの少なくともいずれか一つを加熱して、前記触媒を還元、及びまたは微粒子化するフォーメーション工程と、炭素を含有しかつ酸素を含有しない原料ガスと、酸素を含有する触媒賦活物質とを、前記フォーメーション工程で還元した前記触媒および触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させると共に、前記触媒、前記触媒微粒子、前記原料ガスおよび前記触媒賦活物質の少なくともいずれか一つを加熱してカーボンナノチューブを成長させるカーボンナノチューブ成長工程とを備え、前記触媒賦活物質として水分よりも酸化力が弱い触媒賦活物質、およびまたは、前記原料ガスとしてエチレンよりカーボンナノチューブ合成の効率の良い原料ガスを使用し、前記カーボンナノチューブ成長工程で使用される前記原料ガスに含有される炭素原子個数濃度と前記カーボンナノチューブ成長工程で使用される前記触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比が0.5以上200以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  2. 前記触媒賦活物質が、二酸化炭素、アセトン、テトラヒドロフラン、またはエタノールであることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  3. 前記原料ガスが、アセチレンであることを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  4. 前記原料ガスは前記基材平面に対して平行方向の複数の方向に原料ガス流を形成した後に、前記原料ガスは前記基材平面に対して垂直方向から前記基材上の前記触媒および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  5. 原料ガスと雰囲気ガスとの供給量から炭素重量フラックスを調整して得られた前記原料ガスと前記雰囲気ガスとを合成炉に供給し、前記原料ガスを均一の量をもって前記基材上の前記触媒および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させてカーボンナノチューブを成長させていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  6. 前記カーボンナノチューブ成長工程の後に、さらに炭素不純物付着抑制工程を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  7. 前記原料ガスは、原料ガスと雰囲気ガスの供給量から炭素重量フラックスを調整して供給されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  8. 前記原料ガスの流れる流路の断面積が、前記原料ガスの流れる流路が前記触媒と交わる面の面積と一致することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  9. 触媒を担持した粒状体およびまたは線状体の基材に、原料ガスと、触媒賦活物質とを接触させてカーボンナノチューブを成長させる製造方法において、還元ガスを供給して前記触媒に接触させるとともに前記触媒および前記還元ガスの少なくともいずれか一つを加熱して、前記触媒を還元、及びまたは微粒子化するフォーメーション工程と、炭素を含有しかつ酸素を含有しない原料ガスと、酸素を含有する触媒賦活物質とを、前記フォーメーション工程で還元した前記触媒および触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させると共に、前記触媒、前記触媒微粒子、前記原料ガスおよび前記触媒賦活物質の少なくともいずれか一つを加熱してカーボンナノチューブを成長させるカーボンナノチューブ成長工程とを備え、前記触媒賦活物質として水分よりも酸化力が弱い触媒賦活物質、およびまたは、前記原料ガスとしてエチレンよりカーボンナノチューブ合成の効率の良い原料ガスを使用し、前記カーボンナノチューブ成長工程で使用される前記原料ガスに含有される炭素原子個数濃度と前記カーボンナノチューブ成長工程で使用される前記触媒賦活物質に含有される酸素原子個数濃度の比が0.5以上200以下であることを特徴とするカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  10. 前記触媒賦活物質が、二酸化炭素、アセトン、テトラヒドロフラン、またはエタノールであることを特徴とする請求項9に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  11. 前記原料ガスが、アセチレンであることを特徴とする請求項9または10に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  12. 前記粒状体または前記線状体の基材の平均径が10μm以上1cm以下であることを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  13. 前記原料ガスは前記基材平面に対して平行方向の複数の方向に原料ガス流を形成した後に、前記原料ガスは前記基材平面に対して垂直方向から前記基材上の前記触媒および触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触することを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  14. 原料ガスと雰囲気ガスとの供給量から炭素重量フラックスを調整して得られた前記原料ガスと前記雰囲気ガスとを合成炉に供給し、前記原料ガスを均一の量をもって前記基材上の前記触媒および前記触媒微粒子の少なくともいずれか一つに接触させてカーボンナノチューブを成長させていることを特徴とする請求項9から13のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  15. 前記カーボンナノチューブ成長工程の後に、さらに炭素不純物付着抑制工程を備えることを特徴とする請求項9から14のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  16. 前記原料ガスは、原料ガスと雰囲気ガスの供給量から炭素重量フラックスを調整して供給されることを特徴とする請求項9から15のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
  17. 前記原料ガスの流れる流路の断面積が、前記原料ガスの流れる流路が前記触媒と交わる面の面積と一致することを特徴とする請求項9から16のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ集合体の製造方法。
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